JPH0215737B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はシユー間隙自動調整装置を内蔵するド
ラムブレーキに関し、ドラムとブレーキシユーと
の間隙の過調整を防止するものである。

バツクプレート上に可動的に装架された一対の
ブレーキシユーの一方の対向端が作動装置に、且
つ他方の対向端がアンカー部材に夫々当接し、ラ
イニングの摩耗に対応するブレーキシユーの過大
な拡開量に応答して、一方のブレーキシユーに枢
支した調整レバーがばね手段により回転すると共
に、該調整レバーに一端が係合されたブレーキシ
ユーの戻りを規制するストラツトが連動してその
実質的な有効長を伸長し、以てドラムとブレーキ
シユーとの間隙を常にほぼ一定に維持するシユー
間隙自動調整装置が種々提供されている。しかし
乍ら、従来のこの種の装置に於いては、ドラムや
ブレーキシユー等の弾性変形に係わらず、ブレー
キシユーの拡開量に追従して前記調整レバーを回
転してしまう。従つて、急制動時の過調整を防止
するためには、通常制動時のドラムとブレーキシ
ユーとの間隙を大きく設定する必要があり、その
結果、通常制動時のペダル或いはハンドレバーの
操作フイーリングが悪くなつたり、突発時の制動
距離が長くなつて事故を誘発し易い等の欠点があ
つた。

本発明は上述した欠点を解消するために、調整
レバーから一体に伸長した伸長部をブレーキシユ
ー作動装置の作動子とブレーキシユーとの間に介
挿したものであつて、前記作動装置の作動力が上
昇してライニングがドラムに接触し始めると、調
整レバーの伸長部が急激に強く圧接されてその回
転が停止するものである。即ち、調整レバーの回
転はドラムやブレーキシユー等の弾性変形に追従
しないのでドラムとブレーキシユーとの間隙を小
さく設定出来る。

以下、本発明を図面に示す実施例により詳細に
説明する。第１図はその一実施例であつて、１は
バツクプレート、２，３はバツクプレート１上に
可動的に装架された断面Ｔ字状の一対のブレーキ
シユーであつて、夫々シユーリム２ａ，３ａ、シ
ユーウエーブ２ｂ，３ｂ及びライニング２ｃ，３
ｃとから成つている。４はシユー２，３の上方対
向端間に介在されたブレーキシユー作動装置であ
るホイールシリンダ、４ａ，４ｂは該シリンダ４
の両側に滑動自在に嵌装された一対の対向するブ
レーキシユー作動子であるピストン、５はシユー
２，３の下方対向端間に介在しバツクプレート１
上に固定されたアンカー部材、６はブレーキレバ
ーで、その一方端がシユー３の上方端近傍にピン
７で以て回動自在に軸支され、他方端には図示し
ない機械的作動装置のコントロールケーブルが連
結される。ブレーキレバー６の中間部とシユー２
間にはドラム（図示せず）とライニング２ｃ，３
ｃとの間隙を調整する機能を備えたストラツト８
が懸け渡され、且つブレーキレバー６の背縁に形
成した突出部６ａがシユーリム３ａに当接して常
時のシユー２，３の外径が決められる。前記スト
ラツト８はねじ棒９、調整ナツト１０及び管部材
１１より構成されており、ねじ棒９はその一方の
フオーク部９ａがブレーキレバー６に係合し、他
方のねじ部９ｂは調整ナツト１０を螺合し、その
突出部が管部材１１の中空部に遊嵌している。管
部材１１の一方のフオーク部１１ａはシユーウエ
ブ２ｂの切欠溝２ｄに係合し、他方の中空部開口
端面が調整ナツト１０の一側面に当接している。
１２はシユー２の上方端近傍にピン１３で以て回
動可能に軸支された調整レバーであつて、ピン１
３の軸方向並びに径方向に所望の間隙を有して遊
嵌している。調整レバー１２の一方の腕１２ａは
調整ナツト１０に向かつて延設され、そしてほぼ
直角に折曲された先端部の駆動歯１２ｂが、調整
ナツト１０の外周に形成した小核みな調整歯１０
ａに係合している。又、調整レバー１２の他方の
腕１２ｃは管部材１１のフオーク部１１ａの外方
に向かつて延設され、その内縁１２ｄがフオーク
部１１ａの外方端面に当接している。更に、前記
他方の腕１２ｃの外縁にはバツクプレート１側に
向かう折曲部１２ｅが形成され、その折曲部１２
ｅとシユー２間に張設した調整ばね１４により常
時ストラツト８をブレーキレバー６に当接せしめ
ると共に、調整レバー１２の駆動歯１２ｂを調整
ナツト１０の調整歯１０ａに係合せしめる如く偏
倚力を与えている。１５ａ，１５ｂはブレーキ不
作動時、両ブレーキシユー２，３を相近よる方向
に付勢するシユー戻しばね、１６ａ，１６ｂはブ
レーキシユー２，３をバツクプレート１上に軽く
押し付けているホールド機構である。

上述した構成が従来のドラムブレーキの実施例
であつて、本発明によるものは調整レバー１２に
そのピストン４ａ側から伸長する伸長部１２ｆを
一体に形成し、その伸長部１２ｆの端部をほぼ直
角に折曲した折曲部１２ｇと成し、該折曲部１２
ｇをシユーウエブ２ｂとピストン４ａとの間に介
挿せしめたものである。前記折曲部１２ｇはピン
１３を支点とする弧状に、且つシユーウエブ２ｂ
の端面を前記折曲部１２ｇより若干小さい曲率半
径で形成すると良い。

上述した構成に於けるシユー間隙自動調整の作
動を説明する。

ホイールシリンダ４に液圧が生ずるとピストン
４ａ，４bbがシユー戻しばね１５ａ，１５ｂに
抗してブレーキシユー２，３を拡開し、回転して
いるドラム（図示せず）にライニング２ｃ，３ｃ
を圧接してこれを制動する。この時、調整レバー
１２には調整ばね１４により予め回転力が付与さ
れているため、ストラツト８をブレーキシユー３
の動きに追従させると共に、図に於いてピン１３
を支点として反時計方向に回転する。今、ライニ
ング２ｃ，３ｃが摩耗してブレーキシユー２，３
の拡開量が所定の量より大きい場合には駆動歯１
２ｂが調整ナツト１０を回転せしめてねじ棒９を
管部材１１より引き出し、ストラツト８の全長を
増大してドラムとライニング２ｃ，３ｃとの間隙
を詰める。然して従来の調整作動時には、調整レ
バー１２の回転量がドラムやブレーキシユー２，
３等の弾性変形分をも含んでいたので液圧による
ので液圧による前記間隙の大きな変動を余儀なく
された。本発明によるものはライニング２ｃ，３
ｃがドラムに接触し始めると、調整レバー１２の
折曲部１２ｇがピストン４ａとシユーウエブ２ｂ
により急激に強く圧接されてその回転が停止さ
れ、自動調整が不作動状態になる。即ち、調整レ
バー１２はブレーキシユー２とほぼ一体となつて
動くのみである。従つて、それ以降の液圧上昇に
よるドラムやブレーキシユー２，３等の弾性変形
を吸収せず、液圧による前記間隙の変動を小さく
することが出来るものである。

第２図は本発明による変形例を示す第１図の
−断面図であつて、シユーウエブ２ｂとピスト
ン４ａとの間に介挿した調整レバー１２の伸長部
１２ｆの折曲部１２ｇに角度θを設けたものであ
る。先ず、前記折曲部１２ｇを図の方向に傾けた
場合の自動調整の作動を説明する。ホイールシリ
ンダ４に液圧が生じてライニング２ｃ，３ｃがド
ラムに接触するまでは、調整ばね１４により調整
レバー１２の駆動歯１２ｂが調整ナツト１０の調
整歯１０ａに正常に係合した状態で調整作動をし
続けるが、ライニング２ｃ，３ｃがドラムに接触
し始めてホイールシリンダ４の押付力が調整ばね
１４の偏倚力に打ち勝つて折曲部１２ｇの角度θ
が減少する。そのため、調整レバー１２の駆動歯
１２ｂ側がバツクプレート１側に傾動し、以て駆
動歯１２ｂと調整歯１０ａの係合が外れて自動調
整が停止するものである。次いで、前記折曲部１
２ｇを図の反対方向に傾けた場合の自動調整の作
動を説明する。ホイールシリンダ４に液圧が生じ
てライニング２ｃ，３ｃがドラムに接触するまで
は駆動歯１２ｂの調整歯１０ａへの押付力が正常
状態にあるので調整ばね１４により調整作動をし
続けるが、ライニング２ｃ，３ｃがドラムに接触
し始めると、調整レバー１２の一方の腕１２ａが
撓んで駆動歯１２ｂの調整歯１０ａへの押付力が
急激に増大し、該係合部分の摩擦力が大きくなる
のでストラツト８及び調整レバー１２等はブレー
キシユー２とほぼ一体となつて動くのみであり、
自動調整が停止する。

第３図はシユー戻しばね１５ａを利用して調整
レバー１２に回転力を付与した従来のシユー間隙
自動調整装置に本発明を用いたものであつて、シ
ユーウエブ２ｂにピン１３で以て軸支した調整レ
バー１２の一方の腕１２ａは、シユー戻しばね１
５ａを跨いで調整ナツト１０に向かつて延設さ
れ、その折曲された先端部の駆動歯１２ｂが調整
ナツト１０の調整歯１０ａに係合している。調整
レバー１２の他方の腕１２ｃは管部材１１のフオ
ーク部１１ａに向かつて延設されて、そのシユー
ウエブ２ｂ面と略平行な部分が前記フオーク部１
１ａの溝に遊嵌されると共に、外縁にほぼ直角に
折曲した折曲部１２ｅを形成し、その内面がフオ
ーク部１１ａ外縁に当接される。又、前述した実
施例と同様の本発明による伸長部１２ｆが調整レ
バー１２より延設され、その端部の折曲した折曲
部１２ｇがシユーウエブ２ｂとピストン４ａ間に
介挿される。シユー戻しばね１５ａの一方のフツ
クは調整レバー１２の枢支点と他方の腕１２ｃの
フオーク部１１ａへの当接点との中間部に、且つ
他方のフツクがシユーウエブ３ｂに夫々掛止され
てブレーキシユー２，３を相近よる方向に付勢す
ると共に、図に於いて調整レバー１２を反時計方
向に付勢している。本構成によるブレーキ作動及
びシユー間隙自動調整作動は上述した実施例とほ
ぼ同じにつき説明を省略する。

第４図は上述したインクリメンタル形自動調整
装置とは異なるワンシヨツト形自動調整装置に本
発明を用いた実施例であつて、１０１はバツクプ
レート、１０２，１０３は一対の対向するブレー
キシユー、１０２ａ，１０３ａはシユーリム、１
０２ｂ，１０３ｂはシユーウエブ、１０２ｃ，１
０３ｃはライニング、１０４はホイールシリン
ダ、１０４ａ，１０４ｂはそのピストンである。
１０５はアンカー部材、１０６はブレーキバーで
その一端がピン１０７で以てシユーウエブ１０３
ｂに回動可能に軸支され、他端の背縁に形成した
突出部１０６ａがシユーリム１０３ａの内面に当
接している。１０８は板状のストラツトで、その
一方のフオーク部１０８ａにブレーキレバー１０
６の中間部とシユーウエブ１０３ｂを嵌入し、フ
オーク部１０８ａの溝底にブレーキレバー１０６
の切欠き溝１０６ｂの底が当接している。ストラ
ツト１０８の他方にもフオーク状をしたフオーク
部１０８ｂを有してシユーウエブ１０２ｂと後述
する調整レバー１１２を嵌入している。板状の調
整レバー１１２はシユーウエブ１０２ｂの上方端
近傍にピン１１３で以で回動可能に軸支され、図
の下方に向かつて延設された延設端部１１２ａの
弧状の外縁には小刻みな調整歯１１２ｂが刻設さ
れている。調整レバー１１２の中間部には略矩形
の穴１１２ｃが穿設され、この穴１１２ｃにスト
ラツト１０８のフオーク部１０８ｂの溝に形成し
た突状鉤部１０８ｃが嵌入され、ブレーキ非作動
時には、前記突状鉤部１０８ｃの左端面１０８ｄ
が矩形穴１１２ｃの左内縁に当接してブレーキシ
ユー１０２の戻りを規制し、右端面１０８ｅと矩
形穴１１２ｃの右内縁とに間隙Δxを有している。
１１０は一端がシユーウエブ１０２ｂにピン１１
３で以て回動可能に軸支された爪部材で、他端の
外縁に刻設した歯１１０ａが前記調整レバー１１
２の調整歯１１２ｂに噛み合い、該爪部材１１０
はピン１１３に取着した捩りばね１１７により、
図に於いて、常時反時計方向に付勢されている。
捩りばね１１７はそのコイル部をピン１１３に嵌
装して、その一方の腕１１７ａをシユーリム１０
２ａの内面に当接し、且つ他方の腕１１７ｂを撓
ませた状態で爪部材１１０の外縁に掛止すること
により爪部材１１０に回転力を与えている。１１
４はシユーウエブ１０３ｂとストラツト１０８間
に張設した調整ばねで、ブレーキ作動時、捩りば
ね１１７に抗してストラツト１０８と調整レバー
１１２とをブレーキシユー１０３の動きに追従さ
せる。１１５ａ，１１５ｂはシユー戻しばね、１
１６ａ，１１６ｂはシユーホールド機構である。

上述した構成が従来のドラムブレーキの実施例
であつて、本発明によるものは調整レバー１１２
のピン１１３による支承部回りに溶接やリベツト
止め等の手段で以て当板１１８を固着し、該当板
１１８から伸張する伸長部１１８ｆの端部にはほ
ぼ直角に折曲された折曲部１１８ｇが形成されて
おり、この折曲部１１８ｇがシユーウエブ１０２
ｂとピストン１０４ａ間に介挿される。

上述した構成に於けるシユー間隙自動調整の作
動を説明する。ホイールシリンダ１０４に液圧が
生じるとピストン１０４ａ，１０４ｂがシユー戻
しばね１１５ａ，１１５ｂに抗してブレーキシユ
ー１０２，１０３を拡開し、回転しているドラム
（図示せず）にライニング１０２ｃ，１０３ｃを
圧接してこれを制動する。この時、ストラツト１
０８は調整ばね１１４によりブレーキシユー１０
３の動きに追従し、調整レバー１１２と爪部材１
１０等はブレーキシユー１０２とほぼ一体となつ
てその動きに追従する。今、ライニング１０２
ｃ，１０３ｃが摩耗してブレーキシユー１０２，
１０３の拡開量が所定の量より大きい場合には、
ストラツト１０８の突状鉤部１０８ｃの右端面１
０８ｅが調整レバー１１２の矩形穴１１２ｃの右
内縁に当接してその間隙Δxを吸収し、更に捩り
ばね１１７に抗して調整レバー１１２が、図に於
いて反時計方向に回転されるので、調整レバー１
１２と爪部材１１０の歯１１２ｂと１１０の噛み
合い位置が移動する。以てストラツト１０８の実
質的な有効長を伸長してドラムとライニング１０
２ｃ，１０３ｃとの間隙を詰める。従つて、本形
式のシユー間隙自動調整装置も前述したインクリ
メンタル形自動調整装置と同様の欠点を有してい
た。

本発明によれば、ライニング１０２ｃ，１０３
ｃがドラムに接触し始めると、調整レバー１１２
と一体の当板１１８の折曲部１１８ｇがピストン
１０４ａとシユーウエブ１０２ｂにより急激に強
く圧接されてその回転が停止される。調整レバー
１１２の回転が停止した後は、調整ばね１１４が
伸長されてストラツト１０８、調整レバー１１２
及び爪部材１１０等がブレーキシユー１０２とほ
ぼ一体となつて動くのみであつて、自動調整が停
止する。

上述の説明から明らかな如く、本発明によれば
調整レバーから一体に伸長せしめた伸長部の端部
をシユーウエブとシユー作動子との間に介挿する
事により、ライニングがドラムに接触した以降の
シユー間隙自動調整を停止出来るため、制動状態
によるドラムとライニングとの間隙の変動が小さ
い。従つて、ペダル或いはハンドレバーストロー
クを小さく設定出来てフイーリングが良好になる
と共に、突発時等の制動距離が短かくなつて安全
である。又、従来の構成部品の変更も少なく、且
つ構造が簡単であるためそのレイアウトが容易で
あると共に、ブレーキの分解及び組立作業が極め
て簡単であり、しかも回転部分が少ないので耐久
性や耐環境性に対しても優れている等本発明は多
大の効果を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示すドラムブレー
キの正面図、第２図はその変形例を示す第１図の
−断面図、第３図は他の実施例を示すドラム
ブレーキの要部の正面図、第４図は更に他の実施
例を示すドラムブレーキの正面図である。 ２，３，１０２，１０３……ブレーキシユー、
４，１０４……ホイールシリンダ、４ａ，４ｂ，
１０４ａ，１０４ｂ……ピストン、８，１０８…
…ストラツト、９……ねじ棒、１０……調整ナツ
ト、１１……管部材、１２，１１２……調整レバ
ー、１２ｆ，１１８ｆ……伸長部、１２ｇ，１１
８ｇ……折曲部、１１０……爪部材、１１８……
当板。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 一対のブレーキシユーの一方の対向端側に、
   該ブレーキシユーの外径を規制するストラツトを
   配し、一方のブレーキシユーに枢支されると共に
   前記ストラツトの一端部に連動するように係合し
   た調整レバーが、ブレーキシユーの過大な拡開に
   応答して回転し、以て前記ストラツトの実質的な
   有効長を伸長する自動調整装置に於いて、前記調
   整レバーから一体に伸長せしめた伸長部を形成
   し、該伸長端部をブレーキ作動装置の作動子とブ
   レーキシユーとの間に介挿し、前記作動子の押圧
   力が所定値に達すると前記調整レバーの回転を停
   止させる構成としたことを特徴とするブレーキの
   シユー間〓自動調整装置。