JPH0663448U - 助手席用エアバッグ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 単一のエアバッグのみを用いつつ助手席乗員
の拘束性能を向上させた助手席用エアバッグを提供す
る。 【構成】 インストルメントパネル４の助手席２の中央
部と対向する部位には、エアバッグ９が配置されてお
り、該エアバッグ９の膨張基部にはインフレータ１０が
設けられている。前記エアバッグ９の内部には、車室側
部側の基端部１１から車室中央側の先端部１２まで斜状
に亙る緊張体１３が設けられている。該緊張体１３は帯
状であって、布、不織布等のエアバッグ９とともに折り
畳むことが可能で、かつ、引張力が作用した際の伸びが
少ない素材からなり、両端部１４，１４にて前記基端部
１１と先端部１２とに縫着されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、車室内の助手席側に配置される助手席用エアバッグに関する。

【０００２】

【従来の技術】

今日においては、運転席側のみならず助手席側にもエアバッグが配置されるよ うになっている。運転席用エアバッグにあっては、インストルメントパネルから 車室内側に突出したステアリングホイールのセンターパッド部に配置されること から、配置部位から保護すべき運転者までの距離が短く、よって小容量のエアバ ッグが用いられる。これに対し、助手席用エアバッグにあってはインストルメン トパネル自体に配置されことから、配置部位から保護すべき助手席乗員までの距 離が大きく、よって、運転席用エアバッグより大容量のものが用いられる。

【０００３】 このように、助手席用エアバッグにあっては運転席用エアバッグより大容量で あることから、前面衝突時にエアバッグが膨張した際に、エアバッグの側部がそ の側方に位置するフロントピラーやサイドウインドウに衝接する。このため、衝 接した際の反作用によってエアバッグが車室の中央寄りに変位し、助手席乗員を エアバッグの中央部にて適正に拘束することができないこともある。

【０００４】 そこで、助手席乗員を適正に拘束すべく、図７に示した助手席用エアバッグが 提案されるに至っている（特開平４−５５１４１号公報参照）。すなわち、車室 １内には、助手席２が配置されている。該助手席２の側方にはサイドウインドウ ３が設けられており、また前方にはインストルメントパネル４が配置されている 。該インストルメントパネル４には、車室側部寄りの第１エアバッグ５と車室中 央寄りの第２エアバッグ６とが配設されており、各エアバッグ５．６の膨張基部 には各々インフレータ７，７が配置されている。

【０００５】 したがって、かか構造によれば、第１エアバッグ５が膨張する際にサイドウイ ンドウ３に衝接してその反作用により車室内方向（矢印Ａ方向）に変位したとし ても、この第１エアバッグ５の車室中央側の先端面Ｂが、第２エアバッグ６の車 室側部側の先端面Ｃと圧接し、前記変位が抑制される。よって、両エアバッグ５ ，６を適正位置に膨張させて、前面衝突時において助手席２に着座する乗員Ｄを 確実に拘束し得るものである。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、このような従来の助手席用エアバッグにあっては、２個エアバ ッグ５，６及び２個のインフレータ７，７を必要とすることから部品点数及び組 付工数が多く、不可避的にコスト上の不利が生じてしまう。また、インストルメ ントパネル４は各種電気、電子機器のハーネスやエアコンのエアダクト等が集中 配置される。よって、かかるインストルメントパネル４に２個のエアバッグ５， ６及びインフレータ７，７を収容することは、実施化に際して配置レイアウト上 の困難性が伴うものであった。

【０００７】 本考案は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、単一のエアバ ッグのみを用いつつ助手席乗員の拘束性能を向上させた助手席用エアバッグを提 供することを目的とするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

前記課題を解決するために本考案にあっては、車室内のインストルメントパネ ルに配置され、助手席に着座する乗員に向かって膨張するエアバッグにおいて、 該エアバッグにその車室側部側の基端部から車室中央側の先端部に亙る緊張体を 設けてある。

【０００９】

【作用】

前記構成において、助手席用エアバッグにあっては運転席用エアバッグより大 容量であることから、車両の前面衝突時に膨張した際に、助手席側方のフロント ピラーやサイドウインドウに衝接し、その反作用により先端部が車室中央寄りに 変位しようとする。しかし、エアバッグには、該エアバッグの車室側部側の基端 部から車室中央側の先端部に亙る緊張体を設けてあることから、この緊張体の引 張強さによりエアバッグの先端部の車室中央寄り方向への変位が抑制される。そ の結果、エアバッグを助手席に着座する乗員の正面に膨張させることができる。

【００１０】

【実施例】

以下、本考案の一実施例について図にしたがって説明する。すなわち、図１， ２は本考案の第１実施例を示すものであり、車室１内には助手席２が配置されて いる。該助手席２の側方にはサイドウインドウ３が設けられており、また前方に はフロントウインドウ８の下縁に沿って車幅方向に延在するインストルメントパ ネル４が配置されている。該インストルメントパネル４の助手席２の中央部と対 向する部位には、エアバッグ９が配置されており、該エアバッグ９の膨張基部に はインフレータ１０が設けられている。

【００１１】 前記エアバッグ９は合成樹脂皮等で形成されており、内部には車室側部側の基 端部１１から車室中央側の先端部１２まで斜状に亙る緊張体１３が張設されてい る。該緊張体１３は帯状であって、布、不織布等のエアバッグ９とともに折り畳 むことが可能で、かつ、引張力が作用した際の伸びが少ない素材からなり、両端 部１４，１４にて前記基端部１１と先端部１２とに縫着されている。

【００１２】 以上の構成にかかる本実施例において、助手席２に着座する乗員Ｄを拘束する ためのエアバッグ９にあっては、運転席用エアバッグより大容量を有している。 このため、図１に示したように、車両の前面衝突時に膨張した際に、サイドウイ ンドウ３に衝接し、その反作用による力Ｆを受けて先端部が車室中央寄り方向（ 矢印Ａ方向）に変位しようとする。

【００１３】 しかし、エアバッグ９内には、車室側部側の基端部１１から車室中央側の先端 部１１に亙る緊張体１３が張設されていることから、エアバッグ９が膨張した際 にはこの緊張体１３の引張強さが作用して、エアバッグ９の先端部の車室中央寄 り方向（矢印Ａ方向）への変位を抑制する。その結果、エアバッグ９を助手席２ に着座する乗員Ｄの正面に膨張させて、当該乗員Ｄの上半身を確実に拘束するこ とができる。しかも、インストルメントパネル４に単一のエアバッグ９とインフ レータ１０のみを配置すればよいことから、部品点数及び組付工数が少なくコス ト上の有利であるともに、各種電気、電子機器のハーネスやエアコンのエアダク ト等が集中配置されるインストルメントパネル４に配置レイアウト上困性を伴う ことなく実施化が可能となる。

【００１４】 図３，４は、本考案の第２実施例を示すものであり、緊張体３はエアバッグ９ の膨張した状態における上面１５に沿って車室側部側の基端部１１から車室中央 側の先端部１２に亙って縫着されている。したがって、かかる第２実施例によれ ば、前述した先端部が車室中央寄り方向（矢印Ａ方向）に変位しよう現象を緊張 体１３の引張強さにより抑制することができるのみならず、図４示したようにエ アバッグ９のフロントウインドウ８方向（矢印Ｅ方向）への変位を緊張体１３の 張力により抑制することもできる。よって、エアバッグ９は、車室中央より方向 （矢印Ａ方向）とフロントウインドウ８方向（矢印Ｅ方向）への変位がともに抑 制されることによって、助手席２に着座する乗員Ｄの正面に膨張し、正面衝突時 においてより精度よく乗員Ｄの上半身を拘束することができる。

【００１５】 図５，６は本考案の第３実施例を示すものであり、緊張体１３はエアバッグ９ の膨張した状態における上面１５と下面１６の内面に沿って車室側部側の基端部 １１から車室中央側の先端部１２に亙って縫着されている。つまり、この第３実 施例においては緊張体３が環状であり上面１５側のみならず下面１６側に沿って も縫着されている。したがって、前述した第３実施例と同様に、車室中央寄り方 向（矢印Ａ方向）とフロントウインドウ８方向（矢印Ｅ方向）への変位を抑制し 得るのみならず、図６に示したように、下方向（矢印Ｇ方向）への変位も防止す ることができる。よって、エアバッグ９を助手席２に着座する乗員Ｄの上半身正 面に膨張させることができ、これにより正面衝突時において乗員Ｄの上半身を一 層確実に拘束することができる。

【００１６】

【考案の効果】

以上説明したように本考案は、エアバッグにその車室側部側の基端部から車室 中央側の先端部に亙る緊張体を設けるようにした。したがって、この緊張体の引 張強さによりエアバッグの先端部の車室中央寄り方向への変位を抑制して、エア バッグを助手席に着座する乗員の正面にて膨張させることができる。しかも、単 一のエアバッグのみを用いる構成であることから、部品点数及び組付工数が少な くコスト上の有利であるともに、各種電気、電子機器のハーネスやエアコンのエ アダクト等が集中配置されるインストルメントパネルに配置レイアウト上困性を 伴うこともない。よって、コスト上の不利やインストルメントパネルへの配置レ イアウト上の困難性を伴わずに、エアバッグを助手席に着座する乗員の正面にて 膨張させることを可能にして、拘束性能を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例を示す平面図である。

【図２】同実施例の側面図である。

【図３】本考案の第２実施例を示す平面図である。

【図４】同実施例の側面図である。

【図５】本考案の第３実施例を示す平面図である。

【図６】同実施例の側面図である。

【図７】従来の助手席用エアバッグを示す平面図であ
る。

【符号の説明】

１ 車室 ２ 助手席 ４ インストルメントパネル ９ エアバッグ １１ 車室側部側の基端部 １２ 車室中央側の先端部 １３ 緊張体

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車室内のインストルメントパネルに配置
   され、助手席に着座する乗員に向かって膨張するエアバ
   ッグにおいて、該エアバッグにその車室側部側の基端部
   から車室中央側の先端部に亙る緊張体を設けたことを特
   徴とする助手席用エアバッグ。