JPH0651104A - 反射防止プラスチックレンズ - Google Patents

反射防止プラスチックレンズ

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JPH0651104A
JPH0651104A JP4204801A JP20480192A JPH0651104A JP H0651104 A JPH0651104 A JP H0651104A JP 4204801 A JP4204801 A JP 4204801A JP 20480192 A JP20480192 A JP 20480192A JP H0651104 A JPH0651104 A JP H0651104A
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JP
Japan
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plastic lens
refractive index
layer
primer layer
hard coat
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JP4204801A
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English (en)
Inventor
Shoji Mase
昇次 間瀬
Noboru Otani
昇 大谷
Motoaki Yoshida
元昭 吉田
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 干渉縞が見えず、反射防止コート後の耐衝撃
性が優れたプラスチックレンズを提供することを目的と
する。 【構成】 屈折率nSが1.64〜1.70のプラスチ
ックレンズ表面上に、プライマー層と、屈折率nHを有
するシリコン系ハードコート層と、無機物質の蒸着によ
る単層または多層の反射防止層をこの順に積層してな
り、前記プライマー層はポリオールと芳香環を有するポ
リイソシアネートのブロック体を反応させて得られるポ
リウレタンからなり、かつ所定の2つの条件をともに満
足する屈折率nPおよび厚みdを有することを特徴とす
る反射防止プラスチックレンズである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、外観が改善され、か
つ、耐摩耗性、耐衝撃性、染色性、反射防止性、耐候
性、耐薬品性、被覆膜の付着性の優れたプラスチックレ
ンズに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、眼鏡用の素材としてガラスに比べ
て軽いプラスチックが注目を浴びており、それを受けて
高屈折率、低色収差のプラスチックレンズが数多く提供
されている。一般にプラスチックレンズは非常に傷つき
易いという欠点を有しているため、通常はレンズの表面
にシリコン系その他のハードコート膜が設けられ、さら
にハードコート膜の上に、像のチラツキの原因である表
面反射を抑えるために無機物質を蒸着した反射防止膜が
設けられた状態で提供されている。
【0003】通常、ハードコート層の屈折率は1.40
〜1.50の範囲にあり、プラスチックレンズ基材は通
常1.50以上の屈折率を有する。この屈折率との差が
大きくなると、ハードコート層の膜厚が均一ならば問題
はないが、もし、膜厚が不均一だと干渉縞が見え、外観
上、非常に見苦しいレンズになる。しかしながらハード
コート層の膜厚を均一にすることは、生産上非常に困難
である。
【0004】この問題を解決するために、特開昭62−
11801には、下記の2つの条件を満たすプライマー
層をレンズ基材とハードコート層の間に設けることが開
示されている。 条件1 プライマー層の屈折率nPが、
【0005】
【数2】
【0006】(nSはプラスチックレンズ基材の屈折
率、nHはハードコート層の屈折率)で表わされる式を
満足すること。 条件2 プライマー層の膜厚dが、 d=λ/(4nP) (λは可視光の波長で450〜650nm)で表わされ
る式を満足すること。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】特開昭62−1180
1に開示された方法は、プライマー層の素材として、芳
香族ホモポリマー、芳香族ホモポリマーとアクリル化合
物の共重合体、エポキシ化合物、シリコン系化合物から
選ばれたものが用いられているが、反射防止層を設けた
後のプラスチックレンズの耐衝撃性が不十分である。
【0008】本発明は、干渉縞が見えず、反射防止コー
ト後の耐衝撃性が優れたプラスチックレンズを提供する
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記の問題
点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、プラスチッ
クレンズ基材表面上に、ポリオールと芳香環を有するポ
リイソシアネートのブロック体を反応させて得られるポ
リウレタンのプライマー層と、シリコン系、ハードコー
ト層と、無機物質の蒸着による単層または多層の反射防
止層を、レンズ表面からこの順に積層し、しかもプライ
マー層が前記条件1および2を満足するプラスチックレ
ンズが、干渉縞が見えず、反射防止コート後の耐衝撃性
が優れるプラスチックレンズであることを見い出した。
【0010】すなわち、本発明は、屈折率nSが1.6
4〜1.70のプラスチックレンズ表面上に、プライマ
ー層と、屈折率nHを有するシリコン系ハードコート層
と、無機物質の蒸着による単層または多層の反射防止層
をこの順に積層してなり、前記プライマー層はポリオー
ルと芳香環を有するポリイソシアネートのブロック体を
反応させて得られるポリウレタンからなり、かつ下記の
2つの条件をともに満足する屈折率nPおよび厚みdを
有することを特徴とする反射防止プラスチックレンズで
ある。 条件1 プライマー層の屈折率nP(波長が550nm
の光に対する)が、下記式3
【0011】
【数3】
【0012】(nSは波長が550nmの光に対するプ
ラスチックレンズ基材の屈折率、nHは波長が550n
mの光に対するハードコート層の屈折率)で表わされる
式を満足すること。 条件2 プライマー層の膜厚dが、 d=λ/(4nP) (λは可視光の波長で450〜650nmの範囲のいず
れかの値)で表わされる式を満足すること。
【0013】以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0014】本発明では、プラスチックレンズ基材の種
類は特に限定されず、ポリカーボネート,アクリル樹
脂,スチレン樹脂,ウレタン樹脂,アリル樹脂などの透
明で1.64〜1.70の屈折率を有する樹脂を用いる
ことができるが、ポリイソシアネートとポリチオールを
加熱重合させて得られるプラスチックレンズが特に好ま
しく用いられる。これらのレンズの重合方法は通常のプ
ラスチックレンズの重合方法とほとんど同じであり、モ
ノマー混合物をガラスモールドとエチレン−酢ビ共重合
体製ガスケットにより組み立てられた鋳型中に流し込
み、所定温度で所定時間加熱し、さらにガラスモールド
から取り出した後所定温度で所定時間ポストキュアする
ことによりレンズが得られる。
【0015】本発明では、上記のレンズ上に、まず、プ
ライマー層として、ポリウレタンからなる層を設ける。
ポリウレタンは活性水素化合物であるポリオールと、ポ
リイソシアネートを反応させて得られるが、ポリオール
の例としては、水酸基を一分子内に複数個有するポリエ
ステル、ポリエーテル、ポリカプロラクトン、ポリカー
ボネート、ポリアクリレートが挙げられる。
【0016】また、本発明ではポリイソシアネートに芳
香環を有するものを用いる。例としては、トリレンジイ
ソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシア
ネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジ
ンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テ
トラメチルキシレンジイソシアネート、及びその変性体
などが挙げられる。
【0017】ポリイソシアネートの変性体の例として
は、ビウレット、イソシアヌレート、アロファネート、
カルボジイミドなどが挙げられる。
【0018】また、ポリイソシアネートにはブロック型
と非ブロック型があるが、本発明ではポリイソシアネー
トはブロック型のものを用いる。ブロック型ポリイソシ
アネートとはイソシアネート基がブロッキング剤と呼ば
れるものにより保護されたものである。本発明において
ブロック型ポリイソシアネートが好ましい理由は、非ブ
ロック型ポリイソシアネートを用いるとポリオールの活
性水素とイソシアネート基の反応が常温で進行するた
め、塗料のポットライフが非常に短くなってしまうため
である。これに対してブロック型ポリイソシアネート
は、加熱してブロッキング剤が解離することにより初め
て活性水素と反応し得るため、常温でのポットライフは
非常に長い。
【0019】ブロッキング剤には、β−ジケトン、オキ
シム、フェノール、カプロラクタムなどがある。この中
で、特に好ましい例は、トリレンジイソシアネートおよ
び/または4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネー
トの変性体をβ−ジケトンでブロックしたものである。
その理由は、ブロッキング剤の解離温度が低く、100
℃以下の温度で硬化が可能であり、耐熱性がそれほど良
くないレンズ、例えばガラス転移温度が110℃以下の
プラスチックレンズにも使用できるからである。β−ジ
ケトンの例としては、アセチルアセトン、2,4−ヘキ
サンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタ
ンジオン等が好ましいものとして挙げられる。
【0020】また、ポリオールの例としては、水酸基を
一分子内に複数個有するポリエステル、ポリエーテル、
ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリアクリレ
ートが挙げられる。ブロック型ポリイソシアネートとポ
リオールの比率は、イソシアネート基と水酸基のモル比
で好ましくは0.5〜1.5であり、特に好ましくは
0.85〜1.2である。このモル比が0.5未満また
は1.5より大きいと硬化膜の架橋密度が小さすぎて耐
衝撃性が向上し難い傾向が認められるようになる。
【0021】また、β−ジケトンでブロックしたブロッ
ク型ポリイソシアネートとポリオールを反応させる際に
は、特に硬化触媒は必要としない。
【0022】本発明においては、プライマー用塗料は溶
媒により希釈される。希釈に用いられる溶媒としてはア
ルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類が挙げ
られ、その他の公知の溶媒も使用が可能である。特に好
ましくは、ジアセトンアルコール、酢酸エチル、メチル
エチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテ
ルであるが、これらは単独で用いても良いし、2種以上
の混合溶媒としても良い。また、プライマー用塗料の中
には、塗布性を改善するためのレベリング剤や耐候性向
上のための紫外線吸収剤や酸化防止剤を添加することも
可能である。プライマー用塗料の塗布方法はスピンコー
ト法、ディッピング法等公知の方法であれば特に制限は
ない。また、レンズは、必要に応じてアルカリ処理、プ
ラズマ処理、紫外線処理等の前処理を行っておくことが
好ましい。
【0023】本発明においては、プライマー層として、
上記に挙げたポリオールとポリイソシアネートから得ら
れたポリウレタンからなり、上記式3の計算式に基づい
て算出される屈折率nPのものを選択し、塗布する。
【0024】nPは次式
【0025】
【数4】
【0026】を満足することがより好ましい。
【0027】またプライマー層の厚みdが、下記の条件
2の式 d=λ/(4nP) (ここにおいてλは可視光の波長であって、450〜6
50nmの範囲のいずれかの値)を満足するように厚み
dを制御する。
【0028】上記条件1および条件2の式の両者を満足
させることにより、プラスチックレンズ基材とプライマ
ー層との界面で反射される光と、プライマー層とハード
コート層との間の界面で反射される光との干渉によって
生じる干渉縞がほとんど見えなくなる。
【0029】プライマー層の形成は、ポリオール、ポリ
イソシアネート、溶媒と必要に応じて用いられる硬化触
媒からなる塗料をレンズ基材に塗布し、その後溶媒を揮
発させながらポリオールとポリイソシアネートを反応さ
せて熱硬化性ポリウレタンを得る方法を用いる。この方
法により、溶媒に不溶の架橋タイプのポリウレタンを形
成させることができる。
【0030】本発明では、前記のポリウレタンプライマ
ー層上にハードコート層を設ける。ハードコート層の形
成に用いるハードコート剤はシリコン系樹脂が好まし
く、特に好ましくは (1)−a コロイダルシリカ、コロイダルアンチモン
酸化物のような50〜200オングストロームの平均粒
子直径を有する無機酸化物粒子、または (1)−b 官能基を有しないシラン化合物と、 (2) エポキシ基、メタクリル基のような官能基を有
するシラン化合物、との共加水分解物を主成分とする組
成物である。(1)と(2)の合計に対して(1)は5
〜50%含有されることが好ましい。前記官能基を有す
るシラン化合物の例としては、γ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル−メ
チル−ジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプ
ロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0031】ハードコート層としてのシリコン系樹脂
は、メラミン系、アクリル系の樹脂よりも硬いハードコ
ート層を与えるという理由で好適に用いられる。硬さを
あまり重視しないのであればハードコート層として、メ
ラミン系、アクリル系樹脂も用いられる。また、ハード
コート剤の塗布法はディッピング法、スプレー法、スピ
ンコート法等一般に実施されている方法であればどのよ
うな方法でもよい。作業性を考慮すればディッピング法
が最も適している。ハードコート剤を塗布した後、加熱
硬化、紫外線硬化、エレクトロンビーム硬化というよう
なそのハードコート剤の硬化手段に応じた方法で硬化処
理がなされる。かくしてプラスチックレンズ表面のポリ
ウレタンプライマー層上にハードコート層が形成され
る。このハードコート層(硬化後)の好ましい厚みは2
〜5μmであり、通常は1.40〜1.50の屈折率を
有する。
【0032】さらに、本発明では、ハードコート層上に
さらに単層または多層の反射防止膜を設ける。反射防止
膜形成に用いる物質としては、無機物質例えば金属、金
属または半金属の酸化物、フッ化物等が挙げられる。具
体的にはSiO2、ZrO2等の金属酸化物、MgF2
のフッ化物が好適な代表的な例である。単層または多層
の反射防止膜を形成させる方法としては、例えば、真空
蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、
イオンビームアシスト法等が挙げられる。
【0033】多層の反射防止膜の例としては、ハードコ
ート層の側から、ZrO2、SiO2、ZrO2、SiO2
の膜を順にそれぞれλO/12、λO/12、λO/2、
λO/4の光学的膜厚みで形成させたものを挙げること
ができる。ここでλOは光の波長520nmである。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、プラスチックレンズと
ハードコート層の間に屈折率を制御されたプライマー層
が設けられているので、干渉縞が見えない。
【0035】また、プライマー層としてポリウレタンを
使用するため、反射防止コート後の耐衝撃性に優れ、米
国のFDA規格を合格する。また、本発明でプライマー
層を設けたレンズをハードコート液に浸しても、プライ
マー成分であるポリウレタンが架橋構造を有しているた
めにハードコート液中に溶出せず、ハードコート液を汚
染する心配がない。
【0036】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、本発明
がこれらによって限定されることはない。なお、複数の
膜を有するプラスチックレンズの性能評価は次の方法で
行った。 1)膜の付着性 膜の付着性を評価するためにクロスカットテープテスト
を次の方法で実施した。すなわち、膜を有するレンズの
表面をカッターで1mm角のゴバン目(100個)に切
傷をつけ、その上にセロハンテープを貼り付けた後、こ
のセロハンテープを勢いよく引き剥し、レンズから剥ぎ
取られずに残っている膜のゴバン目の数mを数えた。そ
して、結果を「m/100」のように表した。「100
/100」はクロスカットテープテストの結果、膜が全
く剥がれなかったことを示している。 2)耐摩耗性 プライマー層、ハードコート層を有するプラスチック基
材を#0000のスチールウールで摩擦して傷のつきに
くさを調べ、次のように判定した。
【0037】A:強く摩擦しても傷がつかない B:強く摩擦すると少し傷がつく C:弱い摩擦でも傷がつく 3)染色性 一般的な分散染料であるプラックスブラウンD((株)
服部セイコー製)2部、プラックス染色助剤3部を水1
000部に添加した染浴中で90℃、10分間の条件で
浸せき処理にて染色し、可視光線透過率をTOPCON
Sunglass Tester(東京光学機械製)
で測定し、この値が80%以下のものを染色性良好と判
定した。 4)反射防止コートの付着性 プライマー層、ハードコート層を有するプラスチック基
材上にSiO2/ZrO2系の4層反射防止膜を真空蒸着
法により形成させた後反射防止膜の上から#0000の
スチールウールで摩擦し、反射色の変化を調べて次のよ
うに判定した。
【0038】A:強く摩擦しても反射色が変化しない B:強く摩擦すると傷がつき、傷の部分が白くなるが、
傷以外の部分の反射色は変化しない C:弱い摩擦でも膜が削り取られ、摩擦した部分が完全
に白くなる 5)耐衝撃性 鋼球落下試験により評価した。表1に示した鋼球を軽い
ものから順に127cmの高さからレンズの中心部に向
かって自然落下させ、割れる1つ前の鋼球の重さをレン
ズの耐衝撃性とした。なお、本試験に用いたレンズの中
心厚は表2に示す。
【0039】 6)外観 暗室においてレンズに蛍光灯の光を当てて目視で透明度
を観察した。 7)干渉縞 暗室においてレンズに波長が550nmの単色光を当
て、反射による干渉縞の程度を目視で評価した。
【0040】評価は下記の基準で行った。
【0041】A:干渉縞がほとんど見えない B:干渉縞が少し目立つ C:干渉縞がはっきり目立つ なお、外観、耐摩耗性、反射防止コート付着性、耐衝撃
性テストはプライマー層、ハードコート層、反射防止コ
ート層をすべて施したもので行い、膜の付着性、染色性
テスト、および干渉縞は反射防止コート層を施す前、す
なわちプライマー層とハードコート層のみを施した場合
の性能テストである。 実施例1 (1)プラスチックレンズ基材の製造 m−キシリレンジイソシアネート9.4g(0.050
モル)と、1,2−ジメルカプトベンゼン7.1g
(0.050モル)を室温で混合し、均一とした後、シ
リコン系焼付タイプの離型剤で処理をしたガラスモール
ドとテフロン製ガスケットよりなるモールド型中に注入
した。次いで45℃で3時間、60℃で2時間、80℃
で2時間加熱を行い硬化させた。こうして得られたレン
ズは、屈折率nS1.66、アッベ数28、比重1.3
2、ガラス転移温度85℃であり、無色透明で加工性、
耐紫外線性も良好で、光学歪みもなかった。以下におい
て、これをプラスチックレンズ基材として用いた。 (2)プライマー組成物の調製および塗布硬化 市販のウレタン塗料原料「デスモサーム2265」
(4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートの変性
体のイソシアネート基をβ−ジケトンでブロックしたも
のと、ポリエステルポリオールの混合物、住友バイエル
ウレタン(株)製)6.15重量部、レベリング剤とし
て市販のフッ素系レベリング剤「フロラードFC−43
0」(住友スリーエム(株)製)0.01重量部、溶媒
としてプロピレングリコールモノメチルエーテル46.
92重量部、トルエン46.92重量部からなる混合物
を均一な状態になるまで十分に撹拌し、これをプライマ
ー組成物とした。
【0042】このプライマー組成物を、前処理としてア
ルカリ処理を行った(1)で得られたプラスチックレン
ズ基材上に浸せき法(引き上げ速度:5cm/分)にて
塗布し、このレンズを室温で15分間風乾させた後80
℃で60分間加熱処理してプライマーを硬化させ、レン
ズ上に、厚みが0.090μm、屈折率nPが1.56
1のプライマー層を形成させた。 (3)シリコン系ハードコート剤の塗布硬化 市販の可染タイプのシリコン系ハードコート剤「C−3
39」(日本エーアールシー(株)製)を(2)で得ら
れたプライマー層を有するプラスチックレンズ基材のプ
ライマー層上に浸せき法(引き上げ速度:40cm/
分)で塗布した。塗布したレンズを室温にて15分間風
乾させた後、80℃で16時間加熱処理して、最も薄い
部分の厚みが2μm、最も厚い部分の厚みが4μm、屈
折率nHが1.470のハードコート層を形成させた。
【0043】なお、プラスチックレンズ基材の屈折率n
S=1.66と、ハードコート層の屈折率nH=1.47
0から条件1の式の左辺および右辺の値を計算すると、
それぞれ1.610および1.515となり、プライマ
ー層の屈折率nP=1.561は条件1の式を満足して
いる。また、プライマー層の屈折率nP=1.561お
よび可視光の波長λ=562nmから条件2の式の右辺
の値を計算すると0.090μmとなり、この値はプラ
イマー層の厚みd=0.090μmと一致した。 (4)反射防止膜の形成 上記(3)で得られたプライマー層、シリコン系ハード
コート層を有するプラスチックレンズ基材上にSiO2
/ZrO2系の4層反射防止膜を真空蒸着法により形成
させた。すなわちハードコート層の側から、ZrO2
SiO2、ZrO2、SiO2の膜を順にそれぞれλO/1
2、λO/12、λO/2、λO/4の光学的膜厚みで形
成させたものである。ここでλOは光の波長520nm
である。このように作製した複合膜を有するプラスチッ
クレンズの試験結果は表2に示す。 実施例2 (1)プラスチックレンズ基材の製造 2リットルのセパラブルフラスコに撹拌機、滴下ロート
をセットし、室温で下記の構造式で示されるモノマー5
83gおよび3,3′−ジビニルビフェニル250gを
仕込み、強く撹拌して溶解させた。窒素気流下、撹拌を
続けながら、室温にてジエチルメチルアミン0.8gを
添加し、次にペンタエリスリトールテトラチオグリコレ
ート30gを滴下ロートで滴下しながら加えた。反応温
度は25〜35℃に制御した。その後、さらに3時間撹
拌を続け、反応を完結させた。反応終了後、強塩基吸着
用無機吸着剤(協和化学工業(株)製、キョーワード7
00SL)を40g添加して、ジエチルメチルアミンを
除去した。吸着剤を濾別し、液状の生成物を得た。この
生成物100重量部にアゾビスイソブチロニトリル0.
3重量部を混合、溶解したものをシリコン系焼付タイプ
の離型剤で処理をしたガラスモールドとテフロン製ガス
ケットよりなるモールド型中に注入した。この注型物を
熱風炉中で35℃、5時間保持後、5時間かけて80℃
まで昇温し、その後、80℃で2時間保持して硬化させ
た。脱型後、100℃で2時間アニーリング処理した。
こうして得られたレンズは、屈折率1.65、ガラス転
移温度130℃であり、無色透明で加工性、耐紫外線性
も良好で、光学歪みもなかった。以下において、これを
プラスチックレンズ基材として用いた。 (2)プライマー組成物の調製および塗布硬化 市販のポリエステルタイプのポリオール「デスモフェン
670−80B」(住友バイエルウレタン(株)製)
3.38重量部、市販のブロック型ポリイソシアネート
「バーノックD−500」(トリレンジイソシアネート
のアダクト体のイソシアネート基をオキシムでブロック
したもの、大日本インキ化学工業(株)製)3.54重
量部、硬化触媒としてジ−n−ブチルスズジラウレート
0.05重量部、レベリング剤として市販のフッ素系レ
ベリング剤「フロラードFC−430」(住友スリーエ
ム(株)製)0.01重量部、溶媒としてプロピレング
リコールモノメチルエーテル46.51重量部、トルエ
ン46.51重量部からなる混合物を均一な状態になる
まで十分に撹拌しこれをプライマー組成物とした。
【0044】このプライマー組成物を用い、プライマー
を120℃で60分間加熱硬化させ、さらにハードコー
トを120℃で60分間加熱硬化させたこと以外はすべ
て実施例1と同様とした。プライマー層の厚みおよび屈
折率はそれぞれ0.090μmおよび1.553であ
り、条件1および条件2の式(λ=559nm)を満足
した。試験結果は表2に示す。 実施例3 市販のアクリルポリオール「デスモフェンA−565
(住友バイエルウレタン(株)製)4.19重量部、市
販のブロック型ポリイソシアネート「バーノックD−5
00」3.50重量部、硬化触媒としてジ−n−ブチル
スズジラウレート0.05重量部、レベリング剤として
市販のフッ素系レベリング剤「フロラードFC−43
0」0.01重量部、溶媒としてプロピレングリコール
モノメチルエーテル46.13重量部、トルエン46.
12重量部からなる混合物を均一な状態になるまで十分
に撹拌し、これをプライマー組成物とした。
【0045】このプライマーを用いたこと以外はすべて
実施例2と同様とした。プライマー層の厚みおよび屈折
率はそれぞれ0.088μmおよび1.550であり、
条件1および条件2の式(λ=546nm)を満足し
た。試験結果は表2に示す。 比較例1 プライマー層を一切設けないこと以外はすべて実施例2
と同様にして複合膜を有するプラスチックレンズを作製
した。試験結果は表2に示す。 比較例2 ビーカーに、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン6.8重量部、メチルイソブチルケトン84.0重
量部を加え撹拌し、続いてイソプロピルアルコール48
重量部、アセチルアセトン6重量部を加え均一な溶液と
した。次にテトラ−n−ブトキシチタンの4量体15.
5重量部を加え、30分撹拌した後、0.05N塩酸水
0.5重量部を加え加水分解を行った。24時間熟成
後、少量の過塩素酸アンモニウムと界面活性剤を加えプ
ライマー用組成物とした。
【0046】このプライマー組成物を用いたこと以外は
すべて実施例2と同様とした。得られたプライマー層の
膜厚は0.081μm、屈折率は1.545であった。
試験結果は表2に示す。
【0047】
【表1】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 屈折率nSが1.64〜1.70のプラ
    スチックレンズ表面上に、プライマー層と、屈折率nH
    を有するシリコン系ハードコート層と、無機物質の蒸着
    による単層または多層の反射防止層をこの順に積層して
    なり、前記プライマー層はポリオールと芳香環を有する
    ポリイソシアネートのブロック体を反応させて得られる
    ポリウレタンからなり、かつ下記の2つの条件をともに
    満足する屈折率nPおよび厚みdを有することを特徴と
    する反射防止プラスチックレンズ。 条件1 プライマー層の屈折率nPが、 【数1】 (nSはプラスチックレンズ基材の屈折率、nHはハード
    コート層の屈折率)で表わされる式を満足すること。 条件2 プライマー層の膜厚dが、 d=λ/4nP (λは可視光の波長で450〜650nmの範囲のいず
    れかの値)で表わされる式を満足すること。
  2. 【請求項2】 前記芳香環を有するポリイソシアネート
    のブロック体は、芳香環を有するポリイソシアネートを
    β−ジケトンによってブロックしたものである請求項1
    記載の反射防止プラスチックレンズ。
  3. 【請求項3】 前記芳香環を有するポリイソシアネート
    は、トリレンジイソシアネートおよび/または4,4′
    −ジフェニルメタンジイソシアネートの変性体である請
    求項2記載の反射防止プラスチックレンズ。
  4. 【請求項4】 前記ポリオールは、ポリエステルポリオ
    ールおよび/またはアクリルポリオールである請求項1
    記載のプラスチックレンズ。
  5. 【請求項5】 前記プラスチックレンズ基材はガラス転
    移温度が110℃以下のレンズである請求項1記載のプ
    ラスチックレンズ。
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