JPH0636823U - 射出成形用金型 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 成形品３１の製品部３２を成形するキャビテ
ィ２を設けた第一の金型部材１と、キャビティ２に通じ
るゲート４およびランナ５を設けた第二の金型部材３
と、ランナ５において成形される成形品３１のランナ部
３４を係合するアンダーカット部８を設けた第三の金型
部材６と、をこの順番に接離自在に積層した射出成形用
金型において、型開き時、アンダーカット部８とランナ
部３４の係合が外れてランナ部３４がランナ５内に残っ
てしまうのを防止する。 【構成】 型開きの当初においてスライド部材１１をラ
ンナ部３４と一緒に移動させることによってランナ部３
４をランナ５の内面から引き剥すのに必要とされる力を
小さくし、またこの力にバネ１３の弾性を参加させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、射出成形用金型の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来から、ピンゲート方式の射出成形用金型の一種として、図５に示すように 成形品３１の製品部３２を成形するキャビティ６２を設けた第一の金型部材６１ と、キャビティ６２に通じるゲート６４およびランナ６５を設けた第二の金型部 材３と、ランナ６５において成形される成形品３１のランナ部３４を係合するア ンダーカット部６８を設けた第三の金型部材６６と、をこの順番に接離自在に積 層したものが知られている。成形品３１は樹脂またはゴムを成形材料とし、製品 部３２とランナ部３４をゲート部３３を介して一体に接続している。アンダーカ ット部６８は第三の金型部材６６にスライド自在に挿入した係合ピン６７の下端 に設けられている。

【０００３】 図５は成形の完了状態を示しており、上記金型は、本来、この状態から以下の ように作動すべきものである。 第三の金型部材６６が単独で上昇を始め、成形品３１が、ランナ部３４にお いてアンダーカット部６８に係合しているために上方に引っ張られ、ゲート部３ ３において切断される。 第三の金型部材６６が上昇を続け、ランナ部３４がランナ６５から引き抜か れる。 第二の金型部材６３が単独で上昇する。 製品部３２が突出しピン６９による突出しによってキャビティ６２から突き 出される。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら上記金型を実際に作動させてみると、アンダーカット部６８によ る係合力が不足することを原因として、図６および図７に示すように、アンダー カット部６８とランナ部３４の係合が外れてランナ部３４がランナ６５内に残っ てしまうことがある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は以上の点に鑑み、上記従来技術にみられる問題を解消すべく案出され たものであって、この目的を達成するため、成形品の製品部を成形するキャビテ ィを設けた第一の金型部材と、前記キャビティに通じるゲートおよびランナを設 けた第二の金型部材と、前記ランナにおいて成形される成形品のランナ部を係合 するアンダーカット部を設けた第三の金型部材と、をこの順番に接離自在に積層 した射出成形用金型において、前記第二の金型部材の前記第三の金型部材側の面 に前記ランナの一部の回りを囲む凹部を設け、前記凹部にスライド部材を内挿し 、前記スライド部材が、前記ランナの一部の回りを囲み、前記第二の金型部材に 対して前記第三の金型部材に向けて往復動自在であり、前記第三の金型部材に向 けてバネによって弾性付勢され、前記往復動と直交する方向に二つ割されて一対 の分割体を有しており、前記一対の分割体が、前記第二の金型部材に立設したア ンギュラピンによって型開き時に互いに離れる方向に移動自在であることを特徴 とする射出成形用金型を提供する。

【０００６】

【作用】

上記構成を有する本考案の金型は、型開きの当初においてスライド部材をラン ナ部と一緒に移動させることによってランナ部をランナの内面から引き剥すのに 必要とされる力を従来より小さくしたものであり、またこの力にバネの弾性を参 加させたものである。

【０００７】

【実施例】

つぎに本考案の実施例を図面にしたがって説明すると、当該金型は、図１およ び図２に示すように、成形品３１の製品部３２を成形するキャビティ２を設けた 第一の金型部材１と、キャビティ２に通じるゲート４およびランナ５を設けた第 二の金型部材３と、ランナ５において成形される成形品３１のランナ部３４を係 合するアンダーカット部８を設けた第三の金型部材６と、をこの順番に下から上 に接離自在に積層したものであって、更に、次の構成を有している。

【０００８】 すなわち、第二の金型部材３の上面にランナ５の一部の回りを囲むようにして 凹部１０が設けられ、この凹部１０にスライド部材１１が内挿されている。この スライド部材１１は、ランナ５の一部の回りを囲み、第二の金型部材３に対して 上下方向に移動自在であり、上方に向けてバネ１３によって弾性付勢され、図２ において左右に二つ割されて一対の分割体１１ａ，１１ｂを有しており、この一 対の分割体１１ａ，１１ｂは第二の金型部材３に立設した一対のアンギュラピン １４，１５よって型開き時に互いに離れる方向に移動自在となっている。７は係 合ピン、９は突出しピンである。

【０００９】 図１および図２は成形の完了状態を示しており、上記金型はこの状態から以下 のように作動する。 第三の金型部材６が単独で上昇を始め、スライド部材１１がバネ１３に押さ れてこれに追従し、成形品３１が、ランナ部３４においてアンダーカット部８に 係合しているために上方に引っ張られ、ゲート部３３において切断される（図３ ）。このときランナ部３４をランナ５の内面から引き剥すのに必要とされる力は スライド部材１１がランナ部３４と一緒に移動し、内面の面積が従来より小さい ために従来より小さくて済み、またこの力にバネ１３の弾性が参加するために成 形品３１はゲート部３３において確実に切断され、ランナ部３４はランナ５の内 面から確実に引き剥される。尚、スライド部材１１の内面に第二のアンダーカッ ト部１２を設けておけば、引抜き力は一層大きくなる。 第三の金型部材６６が上昇を続けると、スライド部材１１の一対の分割体１ １ａ，１１ｂがアンギュラピン１４，１５による案内によって互いに離れる方向 に移動し、ランナ部３４がこのスライド部材１１から相対に引き剥される。第三 の金型部材６６は更に上昇を続け、ランナ部３４がスライド部材１１の内周から 引き抜かれる。 製品部３２が突出しピン９による突出しによってキャビティ６２から突き出 され、アンダーカット部８が係合ピン７の引っ込みによってランナ部３４から外 される（図４）。

【００１０】 したがって上記構成の金型によれば、型開きの当初においてスライド部材１１ をランナ部３４と一緒に移動させることによってランナ部３４をランナ５の内面 から引き剥すのに必要とされる力を従来より小さくし、またこの力にバネ１３の 弾性を参加させたために、成形品３１をゲート部３３において確実に切断するこ とができ、ランナ部３４をランナ５の内面から確実に引き剥すことができる。

【００１１】

【考案の効果】

本考案は次の効果を奏する。すなわち、型開きの当初においてスライド部材を ランナ部と一緒に移動させることによってランナ部をランナの内面から引き剥す のに必要とされる力を従来より小さくし、またこの力にバネの弾性を参加させた ために、成形品をゲート部において確実に切断することができ、ランナ部をラン ナの内面から確実に引き剥すことができる。したがって、従来のようにアンダー カット部とランナ部の係合が外れてランナ部がランナ内に残ってしまうのを防止 することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係る射出成形用金型の要部断
面図

【図２】図１におけるＡ−Ａ線断面図

【図３】同金型の作動を示す要部断面図

【図４】同金型の作動を示す要部断面図

【図５】従来例に係る射出成形用金型の要部断面図

【図６】同金型の作動を示す要部断面図

【図７】同金型の作動を示す要部断面図

【符号の説明】

１ 第一の金型部材 ２ キャビティ ３ 第二の金型部材 ４ ゲート ５ ランナ ６ 第三の金型部材 ７ 係合ピン ８ アンダーカット部 ９ 突出しピン １０ 凹部 １１ スライド部材 １１ａ，１１ｂ 分割体 １２ 第二のアンダーカット部 １３ バネ １４，１５ アンギュラピン ３１ 成形品 ３２ 製品部 ３３ ゲート部 ３４ ランナ部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 成形品（３１）の製品部（３２）を成形
   するキャビティ（２）を設けた第一の金型部材（１）
   と、前記キャビティ（２）に通じるゲート（４）および
   ランナ（５）を設けた第二の金型部材（３）と、前記ラ
   ンナ（５）において成形される成形品（３１）のランナ
   部（３４）を係合するアンダーカット部（８）を設けた
   第三の金型部材（６）と、をこの順番に接離自在に積層
   した射出成形用金型において、 前記第二の金型部材（３）の前記第三の金型部材（６）
   側の面に前記ランナ（５）の一部の回りを囲む凹部（１
   ０）を設け、前記凹部（１０）にスライド部材（１１）
   を内挿し、 前記スライド部材（１１）が、前記ランナ（５）の一部
   の回りを囲み、前記第二の金型部材（３）に対して前記
   第三の金型部材（６）に向けて往復動自在であり、前記
   第三の金型部材（６）に向けてバネ（１３）によって弾
   性付勢され、前記往復動と直交する方向に二つ割されて
   一対の分割体（１１ａ）（１１ｂ）を有しており、 前記一対の分割体（１１ａ）（１１ｂ）が、前記第二の
   金型部材（３）に立設したアンギュラピン（１４）（１
   ５）によって型開き時に互いに離れる方向に移動自在で
   あることを特徴とする射出成形用金型。