JPH0636346B2 - 荷電粒子線装置及びこれによる試料観察方法 - Google Patents

荷電粒子線装置及びこれによる試料観察方法

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JPH0636346B2
JPH0636346B2 JP5530089A JP5530089A JPH0636346B2 JP H0636346 B2 JPH0636346 B2 JP H0636346B2 JP 5530089 A JP5530089 A JP 5530089A JP 5530089 A JP5530089 A JP 5530089A JP H0636346 B2 JPH0636346 B2 JP H0636346B2
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J37/00Discharge tubes with provision for introducing objects or material to be exposed to the discharge, e.g. for the purpose of examination or processing thereof
    • H01J37/02Details
    • H01J37/04Arrangements of electrodes and associated parts for generating or controlling the discharge, e.g. electron-optical arrangement, ion-optical arrangement
    • H01J37/10Lenses
    • H01J37/145Combinations of electrostatic and magnetic lenses

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、対物レンズとして静電レンズと磁界型レンズ
よりなる対物レンズを用いた集束荷電粒子線装置及びこ
の装置による試料観察方法に関する。
〔発明の概要〕
静電レンズと磁界型レンズとから成る対物レンズを用い
て、電子プローブ照射系の球面収差係数及び色収差係数
を低減させると共に、生じた二次電子を静電レンズの穴
を通過させて効率よく検出するようにした。又、正イオ
ンと電子を選択的に試料に照射し得る荷電粒子線装置に
おいて、静電レンズと磁界型レンズとから成る対物レン
ズを用いて電子束を試料上に集束させる一方、正イオン
束と前記電子を集束させた場合と同じ極性に保持された
静電レンズの電界作用により、試料に集束するようにし
て、対物レンズの強度をほぼ一定に保ちつつ正イオンと
電子を同一の試料位置に集束することが出来るようにし
た。
〔従来の技術〕
電子顕微鏡のような荷電粒子線装置においては、対物レ
ンズとして静電レンズを用いるものがある。このような
静電レンズは、一般的に、磁界型レンズに比し電子プロ
ーブ制御時間の短縮化が可能であり、超高真空が達成し
易く、しかも装置のコンパクト化が可能であるといった
利点があるが、球面収差係数や色収差係数が大きくな
り、分解能が低下し易い事、及び電極に高電圧をかけた
時の電気的な絶縁問題が生じ易い等の欠点もある。電気
的な絶縁問題については、近年、走査型電子顕微鏡の分
野で加速電圧が5KV(キロボルト)以下といった低加
速の装置が注目されており、前記問題は大幅に緩和され
ている。
このような特色をもった静電レンズの一従来例を第8図
に示す。この静電レンズはアインツェルレンズと呼ばれ
るもので、中央電極1と、この中央電極1の上下両側に
対にして配置された接地電極2及び3とから概略構成さ
れている。中央電極1と、それぞれの接地電極2,3と
の間は、高電圧をかけられる様絶縁が施されている。
このような静電レンズにおいて、中央電極1には負(電
子については減速モード)、或いは正(同じく電子につ
いては加速モード)の電圧が印加され、接地電極2,3
はアースされていて接地電位に保たれている。一般に静
電レンズにおいては、減速モードが多く使われている。
電子線源から照射された電子線束4は下側接地電極3よ
りWD(これをワーキングディスタンスという)の距離
にある試料5に集束されている。
このアインツェルレンズについて、各部分の値として中
央電極の厚さTをT=0(mm)、中央電極1と上下側電
極2,3との距離SをS=4(mm)、中央電極1の穴径
1と上下側電極の穴径D2をD1=D2=4(mm)とし、
球面収差係数Csと色収差係数Ccの値を示すと第9図
のようになる。ここに示されたグラフ中、Csd,Cc
dはそれぞれ減速モードにおける球面収差係数及び色収
差係数であり、Csa,Ccaはそれぞれ加速モードに
おける球面収差係数及び色収差係数である。このグラフ
からわかる様に、加速モードにおける各収差係数Cs
a,Cca通常の磁界型レンズにおける収差係数と同程
度と考えられるが、減速モードにおける各収差係数Cs
d,Ccdは静電レンズの加速モードあるいは磁界型レ
ンズにおける収差係数に比し数倍大きな値となる。従っ
て、通常の減速モードの静電レンズにおいては、分解能
が低下しやすいことがわかる。
〔発明が解決しようとする課題〕
一方、このような従来の静電レンズにあっては、加速モ
ードにおいて上記のような収差係数の上での有利性はあ
るものの、この加速モードで動作させる場合に二次電子
の捕獲効率が低下し易いという問題がある。
即ち、この場合、中央電極1には正の電圧が印加される
為、特にワーキングディスタンスWDが小さい時、二次
電子の一部が静電レンズ穴に引き込まれる。このため、
試料5と静電レンズとの間の側方位置に検出器を設置す
る通常の方法では、全ての二次電子を捕獲することが難
しい。そこで加速モードの場合は、二次電子を静電レン
ズの上方に引き出し、この上方位置に設置された検出器
により検出することが望ましいが、この場合の二次電子
捕獲率は、レンズの穴径、静電レンズへの印加電圧等に
より大きく変化する(例えば1987年秋、応用物理学会、
20a−G−9,NTT,斉藤賢一他)。従って、特にワ
ーキングディスタンスWD或いは加速電圧が大きく変わ
る時は実用化が困難であった。
又、磁界型レンズにおいても、ワーキングディスタンス
WDが小さい場合は、磁界型レンズ上方に設けた二次電
子検出器、WDが大きい場合には試料の側方に設けられ
た二次電子検出器を用いなければならない等、煩雑さが
あった。
さらに、試料側方に設けられた一台の二次電子検出器で
二次電子を検出すると、試料を恰も斜め方向から照明を
あてて見ることになり、例えば超LSIパターン観察
時、ラインプロファイルが非対称になり、測長が不正確
になるという欠点があった。
更に又、イオン集束装置(FIB)のような、荷電粒子
としてイオンを用いた試料観察装置においては、イオン
の質量が大きい為、磁界型レンズは用いられず、一般に
第8図に示した静電レンズが用いられる。近年、Ga+
等の正イオンと電子を同一の粒子源から発生させ、粒子
線軸を共用した鏡筒を用いて試料5をイオンと電子を集
束させる試みがある。例えば第8図において、1価の正
イオンに対しては、例えば中央電極1に加速電圧の大き
さがUで正の電圧を印加し、電子に対しては同じ大きさ
で負の電圧を印加すれば、同じワーキングディスタンス
WDの位置に集束し、しかも同じ光学定数を持つ。
しかし、印加電圧の極性を切り換えなければならない
為、装置の動作の安定性や操作性の上で問題がある。
本発明はこのような従来の問題点を鑑みてなされたもの
で、その第1の目的は、収差係数を低減させると共に二
次電子の捕獲効率を増大させ、走査型の荷電粒子線装置
の分解能,像質を向上させることである。
本発明の第2の目的は、地物レンズの極性を切り換えず
かつ、強度をほぼ同一にして、正イオンと電子を同一試
料位置に集束可能とし、荷電粒子線装置の安定性,操作
性を向上させた試料観測方法を提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は前記目的を達成するため、静電レンズと、当該
静電レンズと同軸に配置された単極磁界型レンズとで対
物レンズを構成し、この対物レンズによって荷電粒子線
束を試料上へ集束させ、又、対物レンズの上方に二次電
子検出器を設け、対物レンズによって二次電子を粒子線
軸付近に拘束し、静電レンズ穴を通過させて二次電子検
出器により検出するようにしたことを主たる要旨とす
る。
また、本願の発明はイオン及び電子を発生させる粒子線
源と、これらイオン又は電子を同一の粒子線軸に沿って
選択的に試料に照射する手段と、互いに同軸に配置され
た静電レンズ及び磁界型レンズで構成された対物レンズ
と、この対物レンズの上方に配置された二次電子検出器
とを有する荷電粒子線装置を主たる要旨とする。
さらに、本願の発明は前記イオン,電子集束型の荷電粒
子線装置において、対物レンズの電磁界の作用により、
電子線を試料上に集束する一方、静電レンズの極性を前
記電界及び磁界の作用時と同じに保ち、主に前記対物レ
ンズの電界により、イオン束を試料上に集束すると共
に、生じた二次電子を光軸付近に拘束して対物レンズ穴
を前方に通過させた後、二次電子検出器により検出する
ようにした試料観察方法を主たる要旨とする。
〔作用〕
粒子線源から発射された電子線束は、対物レンズによっ
て磁界及び磁界作用を受け、試料上に集束される。
この電子線束の集束によって、試料面上では励起作用が
起こり二次電子が発生する。この二次電子は対物レンズ
の電界及び磁界によって捕獲され、粒子線軸付近に拘束
されると共に対物レンズ穴を通過する。そして、対物レ
ンズの上方に配置された二次電子検出器によって検出さ
れる。又、粒子線源が電子と正イオンとの双方を発射す
る装置では、正イオンと電子をレンズ極性を切り換え
ず、且つ強度をほぼ同じに保ち、同一試料位置に各粒子
を集束でき、安定性,操作性が向上する。
〔実施例〕
第1図は本願第1発明による荷電粒子線装置の第1の実
施例を示す図である。この実施例に係わる荷電粒子線装
置は、試料室14内に設置された試料5の前方に配置され
た静電レンズ10と、頂面13が試料5と静電レンズ10との
間に配置され、この静電レンズ10と共に対物レンズ12を
構成する磁界型レンズ11と、対物レンズ12の前方に配置
された二次電子検出器15とを備えて成る。静電レンズ10
は中央電極16と、この中央電極16の上下両側に対になっ
て配置され、且つ中央電極16との間が碍子のような絶縁
部材17によって絶縁された上側電極18及び下側電極19と
を有するアインツェルレンズによって構成される。中央
電極16にはV(ボルト)の正電圧が印加され、上下側電
極18,19は接地されている。磁界型レンズ11としては単
極磁界型レンズが用いられ、この磁界型レンズは、磁極
頂面13が静電レンズ10に近接して配置され、磁性材によ
って構成されたヨーク20と、このヨーク20に巻装された
励磁コイル21とから成り、前記静電レンズと同軸になる
様設置される。又、頂面13及び各電極16,18,19の中心軸
部分には電子線或いは電子線束22を通す穴23が形成され
ている。
又、試料室14は非磁性材より成り、励磁コイル21及びこ
れを取囲むヨーク部20aは真空外に設置されており、鏡
筒焼き出し時取り出し可能な構成になっている。
かかる構成において、磁界型レンズ11には起磁力J(A
T;アンペア・ターン)が印加される。電子線束22は、
静電レンズ10が作る電界と、磁界型レンズ11が作る磁界
により、試料5に集束される。この電子プローブは、対
物レンズ12よりも上方に設けられた二段の走査手段(図
示してない)により、試料5上に走査される。これによ
って生じた二次電子24は、磁界型レンズ11の作る磁界に
より粒子線軸(以下、便宜上光軸という)25付近に拘束
され、レンズ穴23内に進入し、さらに静電レンズ10によ
る静電界の作用を受けて光軸25付近に拘束され、静電レ
ンズ10の上方に設けられた二次電子検出器15により検出
される。
第2図は、前記第1の実施例に係わる荷電粒子線装置の
構造を一部変更した第2の実施例を示す図である。この
実施例においては、単極磁界型レンズ11の磁極頂面13に
よって静電レンズ10の下側電極が構成されている。そし
て、他の部位の構成は前記第1の実施例と同じである。
又、作用についても同様である。なお、静電レンズ10の
下側電極と磁界型レンズ11の磁極頂面とが共通構造とな
っているから、前記第1の実施例よりは構造がコンパク
トになり、しかも静電レンズ10と試料5との間の距離が
より小さくなるため、対物レンズ12の光学特性等が更に
よくなる。
この実施例における単極磁界型レンズによる光軸Z方向
の磁界分布(B/Bo)の例、及び静電アインツェルレ
ンズによる光軸上の電位分布(V/Vo)の例を第10図
に示す。
但し、Bo,Voはそれぞれの最大値を示し、Vはアース
電位を0ボルトとしている。
第10図で示されるように、単極磁界型分布の磁界分布は
Z>0の方向(第2図にて試料の方向)になだらかに減
衰し、Z<0の方向(第2図にて静電レンズのある分
布)に急速に減衰する方向を有しており、単極磁界型レ
ンズの磁界と静電アインツェルレンズのつくる電界との
場の重なりは殆どない。
従って、荷電粒子は複合電磁界の作用を受けず、電界と
磁界の作用を別々に受けることになる。これが本発明の
対物レンズの特長でもある。
第3図は、前記2つの実施例における二次電子の軌道を
説明するもので、対物レンズ12の静電レンズ10に正の電
圧を印加し、磁界型レンズ11の起磁力を0とした場合の
二次電子の軌道が第3図(a)に示されている。この場合
は、試料5から大きな角度で出た二次電子24はほぼ直進
し、静電レンズ10の穴23を通過せずに磁極に衝突する。
第3図(b)は、静電レンズ10の印加電圧を0とし、磁界
型レンズの起磁力を数百(AT)印加した場合の二次電
子24の軌道を示す。二次電子24は、光軸付近に拘束され
るが、磁界型レンズ11の穴径が小さい時は、穴壁面に当
たり、二次電子検出器15に到達しなかったりする。第3
図(c)は静電レンズ10に正、磁界型レンズ11に適当な起
磁力を印加した場合の二次電子24の動きを示す。二次電
子24は磁界により光軸25付近に拘束され、更に静電レン
ズ10内では電界の拘束作用を受け、レンズ穴23を通して
静電レンズ10より上に取り出される。
二次電子をレンズ穴23に浸入させる為の、磁界型レンズ
の起磁力のおおよその条件は次の通りである。
均一磁界Bに角度θで進入した速度υの電子は半径が、 の螺旋運動をする。
従って、第1図及び第2図に示した実施例においては、
二次電子24がレンズ穴23に進入するためには、 (1)試料5位置(即ち、頂面13からWDの距離)におい
て、 2γ≦D0 なる条件を満足する必要がある。ここでD0は磁界型レ
ンズ11の頂面13の直径である。さらに又、 (2)磁界型レンズ11の頂面13の位置において、 2γ≦DI なる条件を満足する必要がある。ここでDIは頂面13に
設けられた穴の径である。
上記の2条件のうち、条件(1)は二次電子24を光軸25付
近に拘束するための条件であり、条件(2)はレンズ穴23
に二次電子24が進入するための条件である。
磁束密度Bの分布についての式を使って前記各条件を求
めると、条件(1)として、 が成立し、条件(2)として、 が成立する。
さらに、或る試料位置(即ち、或るWD)における磁界
型レンズ11のみのフォーカス励磁力をJ0とすると、静
電レンズ10によりフォーカス制御するためには、磁界型
レンズ11に印加すべき起磁力Jは、 J<J0……(3) を満たす必要がある。
以上の3条件を満足する起磁力Jを磁界型レンズ11に印
加することにより、ワーキングディスタンスWDの如何
によらず常に二次電子24の殆どをレンズ穴23を通して上
方へ導き、二次電子検出器15によって検出することが出
来、且つフォーカス制御を静電レンズにより行うことが
出来る。このため、従来磁界型レンズを用いた場合にお
いて、WDに応じて複数の二次電子検出器を設けなけれ
ばならない不都合がなくなる。
又、試料位置での磁束密度Bを大きくしたくない場合、
又は或る決まった磁束密度にしたい場合(例えば磁性材
の観察等)は好都合である。即ち、前記条件(1)〜(3)を
満足する起磁力Jを選択して、試料5の上にて必要な磁
束密度Bを得ることができる。この時、フォーカスは静
電レンズ10の印加電圧を制御することによって調節す
る。
第4図は本発明による荷電粒子線装置の第3の実施例を
示す図である。この実施例に係わる荷電粒子線装置は、
試料5の上方に設けられた静電レンズ10と、試料5の下
方に前記静電レンズ10と同軸に配置され、且つ静電レン
ズ10と共に対物レンズ27を構成する磁界型レンズ26と、
静電レンズ10の上方に設けられた二次電子検出器15とか
ら成る。静電レンズ10は記述したと同様の構成を持つ。
磁界型レンズ26には単極磁界型レンズが用いられ、この
単極磁界型レンズは、中心に磁極頂面を有するヨーク28
と、このヨーク28に巻装された励磁コイル29とから成
り、静電レンズ10の下側接地電極19より下方へ距離lの
位置に設置されている。
かかる構成において、静電レンズ10の中央電極16には高
電圧が印加され、磁界型レンズ26には起磁力J(AT)
が印加される。これにより電子線束22は前記第1及び第
2の実施例におけると同様、電磁界の作用により試料5
に集束される。試料5から出た二次電子24は、単極磁界
型レンズ26のつくる磁界の作用を受けつつ、レンズ穴23
を通過し、さらに、静電レンズのつくる静電界の作用に
より集束された後、二次電子検出器15により検出され
る。
この二次電子の軌道については、先に第1及び第2の実
施例について述べたと同様の理論式によって説明するこ
とが出来る。従って、二次電子24をレンズ穴23に進入さ
せるためには前記条件(1)及び条件(2)を満足させてやれ
ばよい。この第3の実施例にあっては、レンズ穴23の径
をD2とした時、このレンズ穴23に二次電子が進入する
ための磁界型レンズ26の起磁力Jの条件(前記条件(2)
に相当する)は、 となる。ここでD0は頂面28の直径である。
又、試料位置における前記条件(1)に対応する条件は、
この実施例における配置では、試料5上における磁束密
度Bの方がレンズ穴23における磁束密度Bよりも大きい
ため、前記(4)式が満足されれば自ずと満足される。
さらに又、この実施例においても、前記(3)式の条件を
満足する必要がある。
以上の各条件を満足することによって、試料5から出た
二次電子24をレンズ穴23を通して対物レンズ27の上方へ
導き、二次電子検出器15によって検出することができ
る。
次に、前記第1,第2,第3の実施例として示した対物
レンズ12,27の球面収差係数Cs及び色収差係数Ccに
ついて述べる。
軸対称電磁界内における電子の近軸軌道は次の式で表さ
れる。
ここで y:光軸zからの変位 :電位 Bz:光軸z方向の磁束密度 e:電子の電荷 mo:電子の静止質量 である。
電磁レンズの球面収差係数Cs及び色収差係数Ccはそ
れぞれ次の式で表される。
ここで、 zo:物面位置 zi:像面位置o :物面での電位 U:加速電圧 であり、またL,M,N,Gは下記の式で表されるもの
である。
第5図は、前記第2の実施例について(5)式〜(11)式に
より求めたCs,Ccの値を示すグラフである。但し、
この場合において静電レンズ10の寸法は、 T=4(mm) S=4(mm) D1=D2=4(mm) とし、磁界型レンズ11について、 D0=12(mm) とした。また、磁界型レンズ11の起磁力Jは、 となる一定値とした。
第5図から明らかなように、WD5(mm)において、
Cs75(mm),Cc9.5(mm)であり、充分小さな
収差係数が得られている。又、WDの値が大きなことろ
では、従来と比較して特に球面収差係数Csが小さくな
っていることがわかる。
なお、ここでは磁界と磁界が複合して存在する場合の式
(5)〜(11)を用いて計算したが、本発明の実施例、特に
第1図および第2図においては、磁界と磁界がほぼ独立
して存在するので、電界及び磁界に対する各々の寸法を
用いて計算し合成しても同様の値を得る。
又、静電レンズ10の印加電圧、磁界型レンズ11の起磁力
の他の任意の組み合わせについても、前述したと同様に
してCs,Ccの値を求めることが可能であり、第1及
び第3の実施例についても同様にCs,Ccの値を求め
ることができる。
なお、第1乃至第3の実施例に係わる荷電粒子線装置に
おいて、試料位置を同一にしておいて加速電圧を変更す
る場合、磁界型レンズ11,26の起磁力Jを前記(1)〜(4)
式を満足する一定値とし、フォーカス制御を、静電レン
ズ10の印加電圧を変化させることにより行うことができ
る。
さらに、第1乃至第3の実施例において、静電レンズを
弱く電圧印加し、単極磁界レンズを強く励磁するか、あ
るいは静電レンズを強く電圧印加し、単極磁界レンズを
弱く励磁すると各々特別の効果を奏する。
今、第2図の実施例において、 T=4mm,S=4mm 単極レンズポールピースの厚さ4mm D1=D2=DI=4mm,D0=12mmの場合について、
Cs,Ccを求める。
第11図に、WDに対するCs,第12図にWDに対するC
cを示す。
第11図において、Csは静電レンズ(加速モード)のみ
作動させたときのCsを、Csは単極磁界型レンズの
み作動させた場合のCsを表す。Cseは静電レンズ強
度を静電レンズのみによりWDを10mmにフォーカスする
値に保ち、単極磁界型レンズの起磁力Tを増していった
時のWDに対するCsの変化を示す(E点でJ=0)。
Csmは、単極磁界型レンズ強度を、このレンズのみに
よりWD=10mmにフォーカスする値に保ち、静電レンズ
強度を増していったときのWDに対するCcの変化を示
す(M点でアインツェルレンズ中央電極の印加電圧V1
=0ボルト)。
第12図に色収差係数Ccについて同様に示す。第11図,
第12図により、単極磁界型レンズのみのCs,Ccが最
も小さいことが分かるが、このレンズのみでは、前述の
ように二次電子を効果的に検出できないという不都合が
ある。
そこで、この不都合を解消するため、静電アインツェル
レンズを弱く電圧印加する。例えば、V=+50ボルトに
印加する。この電圧は−500ボルト以上の一次電子線に
対しては極めて弱くしか作用せず、そのCs,Ccは単
極磁界レンズのそれと変わらない。
しかし、二次電子(−5V程度)に対しては、強いレン
ズ作用を持ち、その集束効果により二次電子は静電レン
ズ上方に取り出され、検出される。この場合は、高分解
能観察や上方からの二次電子検出による高精度測長に
は、良好であるが磁界型レンズ特有のヒステリシスの
為、高速自動測長には不適である。
そこで、高速自動測長を目的とするためには、単極磁界
レンズの起磁力を小さく、静電レンズの印加電圧Vを大
きくする。例えば、WD=10mm、J=60ATとする。こ
の起磁力は−500v以上の一次電子線に対しては極めて
弱くしか作用しないが、二次電子に対しては、強い磁界
レンズとして作用し、二次電子を光軸付近に拘束する。
Cs,Ccは静電レンズのみのCs,Ccと変わらな
い。従って、単極磁界型レンズを強く作動させた場合よ
りも分解能は低下するが、電界放射電子銃との組合わせ
により、低加速電圧においても例えば20nm程度の分解
能とすることができ、サブミクロンパターンの高精度測
長が可能である。J=60ATの値は、拘束条件式(1),
(2)を満たすので効果的に静電レンズ穴に進入し、静電
レンズにより集束された後検出される。
この起磁力J=60ATを加速電圧に無関係に固定してお
けば、加速電圧変化に伴うヒステリシスの問題はなく、
上記目的にも良好に作動する。
さらに、磁気ディスク等の磁性体を無磁場観察したい場
合には、単極磁界型レンズの起磁力J=0とすることに
なるが、この場合は、試料側方に二次電子検出器を設け
る必要がある。
又、前記第3の実施例を変更して、励磁コイル29を永久
磁石で置き換えることも可能である。第6図はこのよう
な変更を施した例を示す図である。この変更例では、磁
界型レンズ30のヨーク31の外側部分がN極及びS極に帯
磁された永久磁石32によって構成され、この永久磁石32
の作用によって単極磁界型レンズの頂面33前方に磁界が
形成されるようになっている。なお、この磁界型レンズ
30の上方における試料5、静電レンズ10並びに二次電子
検出器15の配置及び構成,機能は第3の実施例について
上に述べたのと同じであり、磁界型レンズ30が静電レン
ズ10と共に対物レンズ34を構成する点についても同様で
ある。
以上のような構成及び作用を持つ第1乃至第3の実施例
(変更例も含む)に係わる荷電粒子線装置について、粒
子線源に改良を加え、試料5に対して電子及び正イオン
を照射出来るようにすると、この荷電粒子線装置の機能
が更に拡大される。
第7図は、粒子線源側から電子又は正イオンを選択的に
試料5に照射出来るようにした荷電粒子線装置におい
て、静電レンズ10の電圧、及び単極磁界型レンズ11の起
磁力を同一として正イオン線35と電子線22とが同一の試
料位置(即ち、同一のWD)に集束していることを示す
図である。中央電極16には正の印加電圧V(≒0.6|U
|)(Volt)磁界型レンズ11には起磁力J (AT)が印加されている。正のイオン35に対しては、
前記(5)式において、e/m0の項が電子に比し数桁小さ
く、殆ど無視できるため、磁界による集束は行われない
が、正の印加電圧Vが減速電界として働き、比較的低い
電圧でWD≒15mmの位置に集束している。
他方、負の電荷を持つ電子22に対しては、前記正イオン
の場合と同一の大きさを持つ正の印加電圧Vは加速電界
として働き、同一試料位置に集束させるには充分な電圧
とは言えない。しかし、e/m0がイオンの場合に比し
充分大きく、電界と磁界の両作用により、同一試料位置
(即ち、WD≒15mm)に集束できる。これらの場合、イ
オン軌道に対する収差係数は、例えば、第9図のCsd,
Ccdで示され、電子軌道に対する収差係数は第5図のC
s,Ccに示されている。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によれば静電レンズと磁界
型レンズによって構成された対物レンズを用いて、小さ
な球面収差係数、色収差係数を得ると共に、ワーキング
ディスタンスWDによらず、試料から生じた二次電子を
対物レンズの光軸付近に拘束して導き、一基の二次電子
検出器によって効率良く検出することができるので、分
解能,像質が向上する。
又、超LSI観察に際して、パターンのラインプロファ
イルを対称に得ることが出来、測長精度が向上する。更
に試料観察を行う際、磁界型レンズ部分の励磁を固定し
ておき、静電レンズのみでフォーカス制御できるので、
磁界型レンズ制御に比し応答速度が向上し、自動化測定
に有利である。
さらにまた、正イオンと電子を試料に切り換え照射し、
像を得る場合において、正イオンと電子を同じ極性で同
じ大きさの電界と磁界により、同一点にフォーカスさせ
ることが出来、安定性,操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による荷電粒子線装置の第1の実施例を
示す図、第2図は本発明による荷電粒子線装置の第2の
実施例を示す図、第3図(a)〜(c)は前記2実施例におい
て対物レンズの動作変化に伴う二次電子軌道を示す図、
第4図は本発明による荷電粒子線装置の第3の実施例を
示す図、第5図は前記実施例における対物レンズの球面
収差係数及び色収差係数を示すグラフ、第6図は磁界型
レンズに永久磁石を用いた、前記第3の実施例の変形例
図、第7図はイオンと電子を切り換え照射した場合の粒
子線の集束状態を示す図、第8図は従来の静電レンズの
一例を示す概略構成図、第9図は従来の静電レンズ及び
磁界型レンズの球面収差と色収差をそれぞれ示すグラフ
である。第10図は静電レンズにおける光軸上の電位分
布、及び単極磁界型レンズにおける光軸上の磁場分布の
例を示す図、第11図は静電レンズのみによるCs、単極
磁界型レンズのみによるCs及び両レンズを同時に作動
させた場合のCsを示す図、第12図はCcに対する第11
図と同様の図を示す。 10……静電レンズ 11,26,30……磁界型レンズ 12,27,34……対物レンズ 13……頂面 15……二次電子検出器

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料の前方に設置された静電レンズと、こ
    の静電レンズと試料との間において、静電レンズと同軸
    で且つ磁極頂面が静電レンズに近接して配置された単極
    磁界型レンズとにより構成された対物レンズ、及びこの
    対物レンズの前方に配置された二次電子検出器を備えた
    荷電粒子線装置。
  2. 【請求項2】静電レンズがアインツェルレンズであり、
    その下側電極が単極磁界型レンズの磁極頂面により構成
    されている請求項(1)記載の荷電粒子線装置。
  3. 【請求項3】試料の前方に設置された静電レンズと、こ
    の静電レンズと同軸で且つ試料の後方に磁極頂面が配置
    された単極磁界型レンズとにより構成された対物レン
    ズ、及び静電レンズの前方に配置された二次電子検出器
    を備えた荷電粒子線装置。
  4. 【請求項4】イオン及び電子を発生させる粒子線源と、
    これらイオン又は、電子線を同一の粒子線軸に沿って選
    択的に試料に照射する手段とを有する請求項(1)乃至(3)
    記載の荷電粒子線装置。
  5. 【請求項5】電子線については、対物レンズの電界及び
    磁界作用により、試料上に集束させ、また、イオン束に
    ついては静電レンズの極性を前記電界及び磁界の作用時
    と同じに保ち、主に前記対物レンズの電界により、試料
    上に集束させ、これにより生じた二次電子を粒子線軸付
    近に拘束して対物レンズ穴を通過させた後、二次電子検
    出器により検出するようにしたことを特徴とする請求項
    (4)記載の荷電粒子線装置による試料観察方法。
  6. 【請求項6】静電レンズを弱く電圧印加し、単極磁界レ
    ンズを強く励磁し、主に、前記単極磁界型レンズの磁界
    作用により、電子線束を試料上に集束するようにしたこ
    とを特徴とする請求項(1)ないし(3)記載の荷電粒子線装
    置。
  7. 【請求項7】静電レンズを強く電圧印加し、単極磁界レ
    ンズを弱く励磁し、主に、前記静電レンズの電界の作用
    により、荷電粒子線束を試料上に集束するようにしたこ
    とを特徴とする請求項(1)ないし(3)記載の荷電粒子線装
    置。
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