JPH0634893Y2

JPH0634893Y2 - エンドミル

Info

Publication number: JPH0634893Y2
Application number: JP1986194683U
Authority: JP
Inventors: 修辻村; 辰夫新井; 貴宣斉藤
Original assignee: Mitsubishi Materials Corp
Current assignee: Mitsubishi Materials Corp
Priority date: 1986-12-18
Filing date: 1986-12-18
Publication date: 1994-09-14
Anticipated expiration: 2001-12-18
Also published as: JPS63100116U

Description

【考案の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕この考案は、エンドミルに関するものである。

〔従来の技術〕

一般に、エンドミルは、段付き部の加工や溝加工のよう
に、被削材の平面に対して垂直な面を加工する際に使用
される。このため、エンドミルに装着されるスローアウ
ェイチップとしては、正面側を向く切刃に逃げを設ける
必要があることから、菱形や平行四辺形状のもののよう
に鋭角のコーナー部を有するものが使用される。従来、
このようなスローアウェイチップとしては、例えば、第
10図および第11図に示すものがある。これらの図に示す
スローアウェイチップは、上下面（平面）1,2が互いに
平行な外観菱形状のもので、上下面1,2と側面３との交
叉部が主切刃４とされ、上下面1,2の鋭角をなす一対の
コーナー部が副切刃５とされたものである。なお、図中
符号６はスローアウェイチップの取付孔を示すものであ
る。

このようなスローアウェイチップは、鋭角をなして隣接
する２つの側面３・３を、エンドミルに形成されたチッ
プ着座部の取付側面にそれぞれ突き当てて位置決めさ
れ、取付孔６内に挿通させたクランプねじによりエンド
ミルに着脱自在に装着されるようになっている。

［考案が解決しようとする課題］ところで、エンドミルのチップ着座部は、スローアウェ
イチップの位置決め精度、および着座安定性を得るため
に、取付側面のなす角度がスローアウェイチップの鋭角
をなすコーナー部の角度と正確に一致したものでなけれ
ばならない。ところが、上記スローアウェイチップにお
いては、上記コーナー部がなす角度が鋭角であるため、
取付側面を高い精度で加工することが困難である。この
ため、スローアウェイチップの位置決め精度および着座
安定性が低下し、切刃の偏摩耗や被削材の加工精度の悪
化を来すという問題があった。

この考案は上記のような問題点を解決するためになされ
たもので、エンドミルのチップ着座部の加工を容易に行
うことができ、したがってチップ着座部の加工精度を大
幅に向上させることのできるエンドミルを提供すること
を目的とする。

［課題を解決するための手段］この考案のエンドミルは、平面視略四辺形板状をなし、
上下いずれかの面と側面との交叉部のうち対辺に位置す
る互いに並行な一対の稜線部が主切刃とされ、他の一対
の稜線部の一部と前記主切刃とが交叉するコーナーがそ
れぞれ副切刃とされたスローアウェイチップを、前記主
切刃の一方を外周へ向けるとともに前記副切刃の一方を
先端へ向けてチップ取付座に取り付けてなるエンドミル
において、前記スローアウェイチップの他の一対の稜線部は、それ
ぞれ中間部分で鈍角をなして屈曲することにより、前記
主切刃の一方に鋭角状に交叉する副切刃用の稜線部と、
前記主切刃の他方に垂直に交叉する支持用の稜線部とに
分割され、前記チップ着座部には、前記スローアウェイチップの主
切刃である一対の稜線部に沿う側面が当接させられる第
１の取付側面がエンドミル本体の外周へ向けて設けら
れ、前記他の一対の稜線部における支持用の稜線部に沿
う側面が当接させられる第２の取付側面がエンドミル本
体の先端へ向けて設けられ、前記第１および第２の取付
側面は互いに直交する方向へ向けられ、かつ、これらが
交叉する位置には、前記副切刃の他方を受け入れるため
のポケット部が副切刃との間に間隔をおいて設けられた
ことを特徴とするものである。

〔作用〕

上記構成によれば、切削しない側の主切刃の側面と、こ
れと直交する側面とをチップ取付座に支持させることに
なるから、チップ取付座の座面は、前記互いに直交する
側面に対応して、互いに直交するように形成されていれ
ばよい。また切削を行う主切刃と副切刃とが鋭角で交叉
しているから、垂直壁を加工することができる。また、
副切刃に続く側面は、これに対して鋭角で交叉して反対
側の主切刃につながっているから、副切刃より引っ込ん
だ位置に存在することになり、工具を斜め下方へ送りな
がら加工しようとする場合に前記側面が送りの障害とな
ることがない。

〔実施例〕

以下、この考案の一実施例を第１図ないし第９図を参照
しながら説明する。第１図は実施例のスローアウェイチ
ップＡを示す平面図である。このスローアウェイチップ
Ａは、上下面10,11が互いに平行かつ平坦な外観略長方
形板状のもので、上記下面11がエンドミルのチップ着座
部上に載置される着座面とされるとともに、上面（平
面）10の対辺に位置する一対の稜線部が主切刃12・12と
されたものである。ここで、主切刃12・12から下面11に
至る側面13は、主切刃12・12から下面11に向けて所定角
度でスローアウェイチップの中心側に向けて傾斜して形
成されている。また、主切刃12に沿う方向を向く側面14
も上記側面13と同様に、上面10の稜線部から下面11に向
けて所定角度でスローアウェイチップの中心側へ傾斜し
て形成されているが、その一端部は他端部から主切刃12
に沿う方向へ突出して形成されている。

すなわち、側面14のうち中心から一端部側へ離間した箇
所から側面13に至所定長さ部分は、主切刃12に沿った外
側へ向けて傾斜して形成されている。これによって、側
面14の一端部の上面10側の稜線部15aは、主切刃12と鋭
角をなして交叉している。そして、稜線部15aと主切刃1
2とが交叉するコーナー部は、円弧状に形成されて副切
刃16とされている。また、側面14の他端部は、主切刃12
に沿う方向と直交する方向へ延びるように形成されてお
り、これによって、側面14の他端部の上面10側の支持用
の稜線部15bは、主切刃12と直角に交叉している。ま
た、他方の側面14も上記側面14と同様に形成され、上記
副切刃16の対角に位置するコーナー部に副切刃16が形成
されている。なお、図中符号17は、取付孔を示すもので
ある。

このようなスローアウェイチップＡは、第８図に示すよ
うに、二枚刃エンドミル18の先端部に形成されたチップ
着座部19・19に、主切刃12を外周側に向けかつエンドミ
ル18の軸線とほぼ平行に位置させて装着されるようにな
っている。

すなわち、スローアウェイチップは、その下面が取付底
面20上に載置され、主切刃12が取付側面21に突き当てら
れ、かつ側面14の稜線部15bが取付側面22に突き当てら
れて位置決めされ、取付孔17に挿通させたクランプねじ
23によりチップ着座部19に着脱自在に固定されるように
なっている。

このようなスローアウェイチップにおいては、主切刃12
と側面14の稜線部15bとのなす角度が直角になされてい
るから、取付側面21,22を互いに直交するように形成す
ればよい。互いに直角な面を機械加工する場合、その加
工は容易に行うことができ、その加工精度を向上させる
ことができるから、スローアウェイチップの位置決め粘
度および着座安定性を大幅に向上させることができる。
なお、前記取付側面21,22の交叉部には、スローアウェ
イチップＡの副切刃16を受け入れるためのポケット部22
aが設けられている。このポケット部22aの内面は、前記
取付側面21,22をスローアウェイチップの側面14に確実
に接触させるべく、副切刃16の外周との間に間隔が設け
られている。また、上記形状のスローアウェイチップ
は、第８図中二点鎖線で示すように、同じ大きさの菱形
状や平行四辺形状のスローアウェイチップに比して有効
切刃長が長いから、切り込み長さを大きく設定すること
ができ、切削加工の加工効率を向上させることができ
る。さらに、副切刃16に連続する交叉部15aの主切刃12
に対する角度および長さを適宜設定とすることにより、
図中Ｔで示すように、被削材の上面と正面側を向く交叉
部15bとの距離を切削条件に合わせて任意に設定するこ
とができ、最適な切削条件により切削加工を行うことが
できる。

次に、第９図は上記スローアウェイチップＡを他のエン
ドミルに装着した例を示す図である。図において符合24
は、エンドミル本体である。エンドミル本体24の外周部
には、菱形状をなす複数のスローアウェイチップ25…が
鋭角をなすコーナー部を先端側へ向けて軸線方向へ並べ
て配置されている。また、これらスローアウェイチップ
25…に対して円周方向に180°離間した先端部には、ス
ローアウェイチップＡが配置され、このスローアウェイ
チップＡの後端側には、複数のスローアウェイチップ25
…が鈍角をなすコーナー部を先端側へ向けて軸線方向へ
並べて配置されている。このエンドミルでは、各スロー
アウェイチップA,25…の主切刃が回転軌跡において互い
に重なり合い、全体として平坦な切削加工面を得ること
ができる。

そして、このエンドミルではスローアウェイチップＡを
装着しているので、スローアウェイチップＡの有効切刃
長の長さが他のスローアウェイチップ、例えば図中二点
鎖線で示すような平行四辺形状のものに比して長く、ま
た、側面14が屈曲しているので、前記平行四辺形状のも
のよりも上方の位置まで主切刃12（外周切刃）が存在す
ることになるから、スローアウェイチップＡの上方に軸
線方向に隣接するスローアウェイチップ25の主切刃との
間に生じる隙間Ｌを前記平行四辺形のものの場合の隙間
L1よりも狭くすることができる。したがって、隙間Ｌの
部分の切削に関与するスローアウェイチップ25aの負担
を軽減することができるので、その偏摩耗やチッピング
を防止することができる。

なお、図中符合L₁は、スローアウェイチップＡの代わり
に平行四辺形状のスローアウェイチップを装着した場合
の主切刃どうしの間に生じる隙間を示すものである。

なお、本考案は上記のようなポジチップに限るものでは
なく、第10図および第11図に示すようなネガチップに適
用しても上記と同様の効果を得ることができる。

［考案の効果］以上説明したように、本考案のエンドミルは、平面視略
四辺形板状をなし、上下いずれかの面と側面との交叉部
のうち対辺に位置する互いに並行な一対の稜線部が主切
刃とされ、他の一対の稜線部の一部と前記主切刃とが交
叉するコーナーがそれぞれ副切刃とされたスローアウェ
イチップを、前記主切刃の一方を外周へ向けるとともに
前記副切刃の一方を先端へ向けてチップ取付座に取り付
けてなるエンドミルにおいて、前記スローアウェイチッ
プの他の一対の稜線部は、それぞれ中間部分で鈍角をな
して屈曲することにより、前記主切刃の一方に鋭角状に
交叉する副切刃用の稜線部と、前記主切刃の他方に垂直
に交叉する支持用の稜線部とに分割され、前記チップ着
座部には、前記スローアウェイチップの主切刃である一
対の稜線部に沿う側面が当接させられる第１の取付側面
がエンドミル本体の外周へ向けて設けられ、前記他の一
対の稜線部における支持用の稜線部に沿う側面が当接さ
せられる第２の取付側面がエンドミル本体の先端へ向け
て設けられ、前記第１および第２の取付側面は互いに直
交する方向へ向けられ、かつ、これらが交叉する位置に
は、前記副切刃の他方を受け入れるためのポケット部が
副切刃との間に間隔をおいて設けられたことを特徴とす
るものであるから下記の効果を奏する。

イ．切削しない側の主切刃の側面と、これに直交する側
面とをチップ取付座に支持させることになるから、チッ
プ取付座の座面は、前記互いに直交する側面に対応し
て、互いに直交するように形成されていればよく、した
がって、チップ取付座の加工を容易に高い精度で行うこ
とができ、優れた着座安定性およびチップ位置決め精度
を得ることができる。

ロ．切削を行う主切刃や副切刃が鋭角で交叉しているか
ら、溝加工や段差部における垂直壁の加工が可能であ
る。

ハ．主切刃以外の二つの辺が鈍角で屈曲し、かつ、その
一部が副切刃となっているから、同一平面形状の平行四
辺形のスローアウェイチップに比して切刃の有効長が長
くなり、したがって切り込みを大きくすることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第９図は本考案の一実施例を示す図であっ
て、第１図はスローアウェイチップを示す平面図、第２
図は第１図のII方向矢視図、第３図は第１図のIII方向
矢視図、第４図は第１図のIV−IV線視断面図、第５図は
第１図のＶ方向矢視図、第６図は第４図のVI方向矢視
図、第７図は第１図のVII方向矢視図、第８図はスロー
アウェイチップを二枚刃エンドミルに装着して切削加工
を行っている状態を示す側面図、第９図はスローアウェ
イチップを他のエンドミルに装着した状態を示す側面
図、第10図および第11図は従来のスローアウェイチップ
の一例を示す図であって、第10図はその平面図、第11図
は第10図のＸ−Ｘ線視断面図である。１……上面（平面）、２……下面（平面）、３……側
面、４……主切刃、５……副切刃、10……上面（平
面）、12……主切刃、14……側面、16……副切刃、19…
…チップ着座部、21,22……取付側面、22a……ポケット
部、Ａ……スローアウェイチップ。

フロントページの続き (72)考案者斉藤貴宣東京都品川区西品川１丁目27番20号三菱金属株式会社東京製作所内 (56)参考文献特開昭58−171206（ＪＰ，Ａ)

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】平面視略四辺形板状をなし、上下いずれか
の面と側面との交叉部のうち対辺に位置する互いに並行
な一対の稜線部が主切刃とされ、他の一対の稜線部の一
部と前記主切刃とが交叉するコーナーがそれぞれ副切刃
とされたスローアウェイチップを、前記主切刃の一方を
外周へ向けるとともに前記副切刃の一方を先端へ向けて
チップ取付座に取り付けてなるエンドミルにおいて、前記スローアウェイチップの他の一対の稜線部は、それ
ぞれ中間部分で鈍角をなして屈曲することにより、前記
主切刃の一方に鋭角状に交叉する副切刃用の稜線部と、
前記主切刃の他方に垂直に交叉する支持用の稜線部とに
分割され、前記チップ着座部には、前記スローアウェイチップの主
切刃である一対の稜線部に沿う側面が当接させられる第
１の取付側面がエンドミル本体の外周へ向けて設けら
れ、前記他の一対の稜線部における支持用の稜線部に沿
う側面が当接させられる第２の取付側面がエンドミル本
体の先端へ向けて設けられ、前記第１および第２の取付
側面は互いに直交する方向へ向けられ、かつ、これらが
交叉する位置には、前記副切刃の他方を受け入れるため
のポケット部が副切刃との間に間隔をおいて設けられた
ことを特徴とするエンドミル。