JPH06245300A - 音像定位制御装置 - Google Patents

音像定位制御装置

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JPH06245300A
JPH06245300A JP26830793A JP26830793A JPH06245300A JP H06245300 A JPH06245300 A JP H06245300A JP 26830793 A JP26830793 A JP 26830793A JP 26830793 A JP26830793 A JP 26830793A JP H06245300 A JPH06245300 A JP H06245300A
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Application number
JP26830793A
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English (en)
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Yoshiaki Tanaka
美昭 田中
Hiroshi Hayashi
宏 林
Norihiko Fuchigami
徳彦 渕上
Masahiro Nakayama
雅博 中山
Takuma Suzuki
琢磨 鈴木
Mitsuo Matsumoto
光雄 松本
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Victor Company of Japan Ltd
Original Assignee
Victor Company of Japan Ltd
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Publication date
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  • Filters That Use Time-Delay Elements (AREA)
  • Tone Control, Compression And Expansion, Limiting Amplitude (AREA)
  • Complex Calculations (AREA)
  • Obtaining Desirable Characteristics In Audible-Bandwidth Transducers (AREA)
  • Stereophonic System (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ゲーム機などでの音場再生において、聴取者
M(操作者)に所望の任意の位置に音像が定位している
ように感じさせる音像定位制御装置を提供する。 【構成】 同一の音源(X)からの信号を畳み込み演算
処理する一対のコンボルバ1,2と、各音像定位位置に
おけるキャンセルフィルタ用の係数群(インパルス応
答)を保持する記憶手段3と、指定された音像定位位置
に対応した係数をコンボルバに供給設定する係数供給手
段4とから音像定位制御装置を構成する。そして、コン
ボルバで畳み込み演算処理した信号を一対のスピーカs
p1,sp2で再生する。コンボルバに設定する係数を
変えることにより、聴取者(M)対して任意の位置
(x)に音像が定位しているように感じさせることがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、実際のトランスジュー
サ(スピーカ)とは異なる所望の任意の位置に音像が定
位しているように感じさせる音像定位制御装置に係り、
特に、アミューズメントゲーム機やコンピュータ端末機
などにも搭載可能な、音像定位感に優れ、かつ、回路規
模が小さい音像定位制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、両耳における信号のレベル差
と位相差(時間差)によって特定位置(特定方向)に音
源を感じさせる音像定位方法がある。この音像定位方法
を、デジタル回路により実現したものとして、例えば、
特開平2-298200号公報記載の「音像形成方法及びその装
置」がある。このデジタル回路を用いた音像定位装置
は、音源からの信号をFFT(Fast Fourier Transfor
m)変換して、周波数軸上で処理し、左右の両チャンネ
ル信号に周波数に依存したレベル差と位相差とを与えて
音像の定位をデジタル的に制御するものである。この装
置の各音像定位位置における、周波数に依存したレベル
差と位相差とは、実際の聴取者を利用した実験的なデー
タとして収集されたものである。しかし、この音像定位
装置により、正確・精密に音像を定位させようとする
と、回路規模が大きくなるので、特殊な業務用のレコー
ディングシステムとして利用されるにすぎなかった。レ
コーディングの段階で音像定位の処理(例えば飛行音の
移動)をして、その処理した結果の音(音楽)信号をレ
コード化していた。処理された信号は、通常のステレオ
再生装置で再生することにより、音像の移動効果が生じ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、最近では、
バーチャルリアリティ(仮想現実感)を利用したアミュ
ーズメントゲーム機やコンピュータ端末機が出現してい
る。これらゲーム機や端末機においても、画面に応じた
現実感のある音像定位が要求され始めている。例えばゲ
ーム機において、画面上の飛行機の動きにマッチした飛
行音の動きが必要とされ始めている。この場合、飛行機
の飛ぶコースが決っていれば、予めその動きに合わせて
音像の移動処理をした音(音楽)を入れておき、ゲーム
機側ではその音(音楽)を単純に再生すれば、足りる。
【0004】しかし、ゲーム機(や端末機)において
は、操作者の操作に応じて、飛行機の飛ぶコース(位
置)が異なることになり、操作に応じてリアルタイムで
操作に合った音像の移動処理をして、それを再生する必
要が生じる。この点が、前述したレコード用の音像定位
処理と大幅に異なる。このため、個々のゲーム機に音像
定位装置が必要となるが、上述した従来の装置では、音
源からの信号をFFT変換して、周波数軸上で処理して
再び逆FFT変換して再生する必要があるので、回路規
模が大きくなりやすい。また、従来の装置では、周波数
軸上のデータ(周波数に依存したレベル差と位相差の伝
達特性)にもとづく音像定位であったので、HRTF
(頭部伝達関数)の近似が正確に実施し得ず、必要な音
像定位位置のすべて(360 度分)について、その伝達特
性を保有させることができなかった。
【0005】すなわち、特開平4-242684号公報記載の
「対話型ビデオゲーム装置」のように、3時方向と9時
方向(正面から左右に90度の位置方向)とに、音像定
位させるための伝達特性(係数)のみを準備して、正面
位置での再生音と3時方向(または9時の方向)での定
位再生音とを実質的にパンポット処理して、音像定位さ
せていた(すなわち、両者のミキシング割合を変えて、
中間位置に定位させていた)。しかし、このような簡易
な処理では、 180度の範囲を越える広範囲な空間に(特
に、後方に)音像定位させることが困難であり、その音
像定位感も曖昧なものにすぎなかった。
【0006】そこで、本発明はかかる従来の上記問題点
に鑑みてなされたもので、回路規模が小さくコスト的に
優れるとともに、 180度の範囲を越える広範囲な空間に
定位させることが可能で、かつ音像定位感に優れた音像
定位制御装置を提供するものである。その特徴は、第1
に、一対のコンボルバにより音源からの信号を時間軸上
で処理して音像を定位させるように構成した点にあり、
これにより、回路規模が非常に小さくなり民生用あるい
は業務用のゲーム機などに搭載することが可能である。
さらに、第2に、音像定位用の伝達特性(コンボルバの
係数)を、最終的に時間軸上のIR(インパルス応答)
のデータとして音像処理するように構成した点にあり、
これにより、音像定位感を損なうことなくHRTFを正
確に近似処理して、コンボルバの係数の長さを短くし
た。第3に、長さが短くなったコンボルバの係数を、全
ての( 360度にわたる)音像定位位置の伝達特性として
備えて、指定された音像定位位置に応じて係数をコンボ
ルバに供給設定して、音像定位処理するようにしたこと
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、図1に示すように、離間して配設された一
対のトランスジューサ(スピーカsp1,sp2)か
ら、同一の音源(X)が供給された一対のコンボルバ
(係数がcfLx,cfRxであるキャンセルフィルタ
からなる畳み込み演算処理回路)で処理した信号を再生
して、聴取者(M)に前記一対のトランスジューサとは
異なる任意の位置(x)に音像が定位しているように感
じさせる音像定位制御装置であって、同一の音源からの
信号を、設定された係数に応じて畳み込み演算処理する
一対のコンボルバ1,2と、各音像定位位置において測
定された頭部伝達関数をもとにして、所定の長さに収束
処理され、かつ、所定のレベルにスケーリング処理され
て、インパルス応答として算出されたキャンセルフィル
タ用の係数群(cfLx,cfRx)を保持する記憶手
段(係数ROM)3と、指定された音像定位位置に対応
した係数を、前記記憶手段から前記一対のコンボルバに
供給する係数供給手段(制御手段)4とからなることを
特徴とする音像定位制御装置を提供するものである。
【0008】
【作用】上記のような音像定位制御装置によれば、指定
された音像定位位置に対応した係数が、一対のコンボル
バ1,2に供給設定される。音源(X)からの信号は、
一対のコンボルバにより、設定された係数に応じて時間
軸上で畳み込み演算処理がなされて、離間して配設され
た一対のトランスジューサ(スピーカsp1,sp2)
から再生される。一対のトランスジューサから再生され
た音は、両耳へのクロストークがキャンセルされて、所
望の任意の位置(x)に音源があるように音像定位し
て、聴取者(例えば、ゲーム操作者)Mに、聞かれる。
【0009】
【実施例】本発明になる音像定位制御装置の一実施例に
ついて、以下図面と共に説明する。 最初に、音像定位
制御の方法の基本原理について説明する。これは、離間
して配設された一対のトランスジューサ(以下、スピー
カを例として説明する)を使用し、空間の任意の位置に
音像を定位させる技術である。
【0010】図6は音像定位の原理図である。sp1,
sp2は受聴者(実施例の中では、聴取者と称すること
もある)の前方左右に配置されるスピーカであり、スピ
ーカsp1から聴取者左耳までの頭部伝達特性(インパ
ルス応答)をh1L、右耳までの頭部伝達特性をh1
R、スピーカsp2から左右耳までの頭部伝達特性をh
2L,h2Rとする。また、目的とする定位位置xに実
際のスピーカを配置したときの受聴者左右耳までの頭部
伝達特性をpLx,pRxとする。ここで各伝達特性は
音響空間にスピーカと、ダミーヘッド(または人頭)の
両耳位置にマイクとを配置して実際に測定し、適切な波
形処理などを施したものである。
【0011】次に、定位させたい音源(ソース)Xを信
号変換装置cfLx,cfRx(コンボルバなどによる
伝達特性)に通して得られる信号を、それぞれスピーカ
sp1,sp2で再生することを考える。このとき受聴
者左右耳に得られる信号をeL,eRとすると、 eL=h1L・cfLx・X+h2L・cfRx・X (式1) eR=h1R・cfLx・X+h2R・cfRx・X (〃 ) 一方、音源Xを目的の定位位置から再生したときに受聴
者左右耳に得られる信号をdL,dRとすると、 dL=pLx・X (式2) dR=pRx・X (〃 )
【0012】ここで、スピーカsp1,sp2の再生に
より受聴者左右耳に得られる信号が、目的位置から音源
を再生したときの信号に一致すれば、受聴者はあたかも
目的位置にスピーカが存在するように音像を認識するこ
ととなる。この条件eL=dL,eR=dRと(式
1),(式2)より、Xを消去して h1L・cfLx+h2L・cfRx=pLx (式3) h1R・cfLx+h2R・cfRx=pRx (〃 ) (式3)からcfLx,cfRxを求めると cfLx=(h2R・pLx−h2L・pRx)/H (式4a) cfRx=(−h1R・pLx+h1L・pRx)/H (〃 ) ただし、 H=h1L・h2R−h2L・h1R (式4b)
【0013】したがって、(式4a),(式4b)によ
り算出した伝達特性cfLx,cfRxを用いてコンボ
ルバ(畳み込み演算処理回路)等により定位させたい信
号を処理すれば、目的の位置xに音像を定位させること
ができる。具体的な信号変換装置の実現方法は様々考え
られるが、非対称なFIR(Finite Impulse Response
)型デジタルフィルタ(コンボルバ)として、DSP
(Digital Signal Processor)を用いて実現すれば良
い。なお、FIR型デジタルフィルタで用いる場合の最
終の伝達特性は、時間応答関数である。つまり、必要な
定位位置xにおける伝達特性cfLx,cfRxとし
て、(式4a),(式4b)で求めたものを、1回のF
IRフィルタ処理により実現するための係数として、c
fLx,cfRxの係数をあらかじめ作成し、ROMの
データとして準備しておく。ROMから必要な音像定位
位置の係数をFIRデジタルフィルタに転送し、音源か
らの信号を畳み込み演算処理して一対のスピーカから再
生すれば、所望の任意の位置に音像が定位されることに
なる。
【0014】以上のような原理に基づく音像定位制御装
置おける伝達特性(係数cfLx,cfRx)の算出
(ステップ〜)について、図7〜図9を参照して詳
述する。 頭部伝達関数(Head Related Transfer Fu
nction;以下、HRTFと称する)の測定 図7は、HRTFの測定システムを示すものである。ダ
ミーヘッド(または人頭)DMの両耳に一対マイクロホ
ンML,MRを設置し、スピーカSPからの測定音を受
け、録音器DATにソース音(リファレンスデータ)r
efL,refRと被測定音(測定データ)L,Rを同
期して記録する。ソース音XHとしては、インパルス
音,ホワイトノイズ,その他のノイズ等を用いることが
できる。上記スピーカSPの位置を、正面を0度(°)
として取決めた空間内の複数の角度θ(例えば、図8に
示すように、30度ごとに12ポイント)に設置し、そ
れぞれ所定の時間だけ、連続的に記録する。
【0015】HRTFのインパルス応答(Impulse Re
sponse;以下、IRと称する)の算出 前記した測定で、同期して記録されたソース音(リファ
レンスデータ)refL,refRと被測定音(測定デ
ータ)L,Rとを、ワークステーション(図示せず)上
で処理する。ソース音(リファレンスデータ)の周波数
応答をX(S)、被測定音(測定データ)の周波数応答
をY(S)、測定位置におけるHRTFの周波数応答を
IR(S)とすると、(式5)に示す、入出力の関係が
ある。 Y(S)=IR(S)・X(S) (式5) したがって、HRTFの周波数応答をIR(S)は、 IR(S)=Y(S)/X(S) (式6) である。
【0016】よって、リファレンスの周波数応答X
(S)、測定データの周波数応答Y(S)として、前記
で求めたデータを時間同期した窓で切り出し、それぞ
れFFT変換により有限のフーリエ級数展開して離散周
波数として計算してから、(式6)により、HRTFの
周波数応答IR(S)を、周知の計算方法で求める。こ
の場合、IR(S)の精度をあげる(SN比の向上)た
めに時間的に異なる数百個の窓に対してそれぞれIR
(S)を計算し、それらを平均化する。そして、計算し
たHRTFの周波数応答IR(S)を逆FFT変換し
て、HRTFの時間軸応答(インパルス応答)IR(第
1のIR)とする。
【0017】IR(インパルス応答)の整形処理 ここで、前記で求めたIRを整形する。まず例えばF
FT変換により、求めた第1のIRをオーディオスペク
トラムにわたる離散周波数で展開し、不要な帯域(高域
には大きなディップが生じるが、これは音像定位にあま
り影響しない不要なものである)を、BPF(バンドパ
スフィルタ)で除去する。このように帯域制限すると、
周波数軸上での不要なピークやディップが除去されて、
キャンセルフィルタに不要な係数が生じなくなるので、
収束性がよくなり、係数を短くすることができる。そし
て、帯域制限されたIR(S)を逆FFT変換して、I
R(インパルス応答)を時間軸上で切り出し窓(例え
ば、コサイン関数の窓)を掛けて、ウィンド処理する
(第2のIRとなる)。ウィンド処理することにより、
IRの有効長が長くなくなり、キャンセルフィルタの収
束性が向上して、音質の劣化が生じないようになる。
【0018】各音像定位位置におけるキャンセルフィ
ルタcfLx,cfRxの算出コンボルバ(たたみ込み
積分回路)であるキャンセルフィルタcfLx,cfR
xは、前述した(式4a)及び(式4b)に示したよう
に、 cfLx=(h2R・pLx−h2L・pRx)/H (式4a) cfRx=(−h1R・pLx+h1L・pRx)/H (〃 ) ただし、H=h1L・h2R−h2L・h1R (式4b) である。
【0019】ここで、配置されるスピーカsp1,sp
2による頭部伝達特性h1L,h1R,h2L,h2R
及び、目的とする定位位置xに実際のスピーカを配置し
たときの頭部伝達特性pLx,pRxとして、前記〜
によって求められた、各角度θごとの整形処理された
第2のIR(インパルス応答)を代入する。頭部伝達特
性h1L,h1Rは、図9のLチャンネルスピーカの位
置に対応するもので、正面から左に例えば30度(θ=
330度)に設置されるとすれば、θ=330度のIR
を用いる。頭部伝達特性h2R,h2Lは、同図のRチ
ャンネルスピーカの位置に対応するもので、正面から右
に例えば30度(θ=30度)に設置されるとすれば、
θ=30度のIRを用いる(すなわち、実際の音像再生
時のシステム(例えば図1に示す)に近いものを選
ぶ)。
【0020】そして、頭部伝達特性pLx、pRxとし
ては、目的とする音源定位位置である正面から左右90
度の180度の範囲はもちろんのこと、それを越える広
範囲な空間(全空間)における、30度ごとのIRを代
入することにより、それに対応した全空間のcfLx,
cfRx、すなわち30度ごとに12組のキャンセルフ
ィルタcfLx,cfRx群が求められる(図9では、
240度の位置を例としている)。キャンセルフィルタ
cfLx,cfRx群は、最終的には、時間軸上の応答
であるIR(インパルス応答)として求められる。ま
た、キャンセルフィルタcfLx,cfRxの係数を短
くするには、各頭部伝達特性h1L,h1R,h2L,
pRx,pLx,h2Rをそれぞれ短くすることが必要
である。このため、前記〜で説明したように、ウィ
ンド処理,整形処理などの各種の収束処理をして、各頭
部伝達特性h1L,h1R,h2L,pRx,pLx,
h2Rを短くしている。なお、キャンセルフィルタの係
数cfLx,cfRxをFFT変換して周波数応答を求
めこれを一定の幅で移動平均化し、それを逆FFT変換
して最終的なキャンセルフィルタの時間応答を得てもよ
い。このように移動平均化することにより、不必要なピ
ークやディップを取り除くことができ、実現すべき時間
応答の収束を早めて、キャンセルフィルタの規模を小さ
くできる。
【0021】キャンセルフィルタのスケーリング また、実際にコンボルバ(キャンセルフィルタ)で音像
処理される音源(ソース音)のスペクトラム分布は、統
計的にみるとピンクノイズのように分布するもの、ある
いは高域でなだらかに下がるものなどがある。いずれに
しても音源は単一音とは異なるために、畳み込み演算処
理(積分)を行ったときオーバーフローして、歪が発生
する危険がある。そこで、オーバーフローを防止するた
め、キャンセルフィルタcfLx,cfRxの係数の中
で最大のゲイン(例えば、キャンセルフィルタcfL
x,cfRxの各サンプル値の2乗和)のものを見つ
け、その係数と0dbのホワイトノイズを畳込んだとき
に、オーバーフローが生じないように、全係数をスケー
リングする。さらに、ウィンド窓(コサイン窓)によ
り、実際のコンボルバの係数の数にあわせて、両端が0
となるように、ウィンド処理し、係数の有効長を短くす
る。このようにしてスケーリング処理されて、最終的に
コンボルバに係数として供給されるデータ群(この例で
は、30度ごとに音像定位が可能な12組のコンボルバ
の係数群)cfLx,cfRxが求まる。
【0022】次に、本発明の要部である音像定位制御装
置の構成及びこれを利用したシステム構成について、図
1〜図5を参照して詳述する。この音像定位制御装置
は、前記〜により算出された係数cfLx,cfR
xで、音源からの信号を畳み込み演算して再生するもの
である。
【0023】(実施例1)図1は、この音像定位制御装
置の基本的な構成を示すものである。音像定位制御装置
は、音源からの信号を時間軸上で畳み込み演算処理する
一対のコンボルバ(畳み込み演算処理回路、なお実施例
2参照)1,2と、前記した〜により算出された3
0度ごとの12組のコンボルバの係数群cfLx,cf
Rxが記憶された係数ROM3と、音像定位命令にもと
づいて係数ROM3から所望の定位位置の係数を前記一
対のコンボルバ1,2に転送する制御手段(CPUから
なる係数供給手段)4とから大略構成されている。
【0024】そして、この音像定位制御装置は、同一
(共通)な音源からの信号を一対のコンボルバ1,2で
畳み込み演算処理し、聴取者Mを中心として所定の開き
角で離間して配設された一対のスピーカsp1,sp2
から再生するように、システム構成されている。スピー
カsp1,sp2の開き角は、コンボルバの係数算出時
に基準とした開き角であり、本実施例では、左右に30
度づづ、60度の開き角を有する(前記した図9参
照)。また、音源(例えば、ゲーム用シンセサイザX)
からのデジタル信号はセレクタ(音源選択手段)5を介
して前記コンボルバ1,2に入力され、アナログ信号の
場合にはA/D変換器6でデジタル変換されて入力され
るように構成されている。コンボルバ1,2で畳み込み
演算処理された信号は、D/A変換器7,8でアナログ
信号にされ、アンプ9,10で増幅されて前記一対のス
ピーカsp1,sp2から再生される。
【0025】このように構成された音像定位制御システ
ムでは、ゲーム機などのメインCPUからの音像定位命
令(例えば、飛行音を左後方120度(θ=240度)
から出せという、音源の選択と音像の定位位置の命令)
に従って、前記制御手段4は音源Xからの信号をセレク
タ(音源選択手段)5で選択し、さらに音像定位位置に
対応した係数cfLx,cfRx(左後方120度(θ
=240度)の位置に音像定位させたい時は、θ=24
0度の係数)をROM3から読み出して、コンボルバ
1,2に供給設定する。
【0026】コンボルバ1,2は、同一音源Xからの信
号(飛行音)を、設定された係数(θ=240度の係
数)に応じて時間軸上で畳み込み演算処理する。畳み込
み演算処理された信号は、離間して配設された一対のス
ピーカsp1,sp2から再生される。一対のスピーカ
sp1,sp2から再生され音は、両耳へのクロストー
クがキャンセルされて、所望の位置(左後方120度)
に音源があるように音像定位して、聴取者(例えば、ゲ
ーム操作者)Mに聞かれ、極めて現実感に満ちた音とし
て再生される。また、コンボルバ1,2の係数は、ゲー
ム装置の場合では、操作者Mの操作に応じた飛行機の動
きに対応するように、メインCPUからの音像定位命令
よって、随時切換えられる。また、飛行音からミサイル
音に変更される時は、音源からのソース音が、セレクタ
5で飛行音からミサイル音に変更される。このようにし
て、本音像定位制御装置によれば、所望の種類の音像を
所望の任意の位置に定位させることができるので、正面
に映像再生装置(例えば、4台のディスプレイを扇状に
並べた映像再生装置DL)などを設置してゲーム画面と
共に音響再生すれば、操作者Mの操作に応じて画面と音
像が変化して、極めて臨場感が高いアミューズメントゲ
ーム機を構成できる。
【0027】また、スピーカsp1,sp2の開き角
(図1のsp1−M−sp2)は、コンボルバの係数算
出時に基準とした開き角であり、本実施例では、左右に
30度づづ、60度の開き角を有する場合を例とした。
これに加えて、図1中に示すように、左右に15度づ
づ、30度の開き角を有するシステム構成に対応するよ
うにしても良い。この場合には、係数ROM3に、開き
角30度用の12組の係数群と、開き角60度用の12
組の係数群とを記憶させておき、さらに、スピーカ設定
の状態(システム情報)を制御手段4に入力して、実際
の再生システムに応じた係数群を選択するように構成し
ておくと良い。さらに、コンボルバの係数は、HRTF
の測定条件により異なるので、この点について配慮して
も良い。人頭の大きさには個人差があるので、HRTF
測定時に、ダミーヘッド(または人頭)の大きさを変え
て、数種類求めておき、聴取者に応じて(例えば、頭の
大きい大人用と、頭の小さい子供用とを)選択的に使用
できるようにしても良い。この場合も、聴取者の状態
(システム情報)を制御手段4に入力して、実際の状態
に応じた係数群を自動的に選択するように構成しておく
と良い。
【0028】続いて、上記実施例を基本とした他の実施
例を説明する。以下の実施例おいて、実施例1と共通な
構成部分については、同一の符号を付してその説明を省
略している。さらに、聴取者Mを中心とした一対のスピ
ーカsp1,sp2によるシステム構成も、前記した実
施例1と同様なので省略し、要部のみを示している。
【0029】(実施例2)この実施例2は、外部から、
音源(データ)や係数を音像定位制御装置内のRAMに
転送自在としたもので、音像定位制御の評価装置やシス
テム構成に応じて最適な係数で音像処理する装置に適し
た例である。図2において、9はインターフェイス10
を介して、外部からロードされるコンボルバの係数群c
fLx,cfRxを記憶するRAMである。11はジョ
イントスティクなどで構成された入力手段で、所望の音
像定位位置や音源を指定入力するためものである。さら
に、音源XV(例えば、PCM音データを再生するPC
M音源)には、インターフェイス10を介して、音源用
のデータが外部入力されるように構成されている。な
お、前記コンボルバの係数群,音源用のデータなどは、
外部のコンピュータやCD−ROMなどの記憶装置から
ロードされるものである。
【0030】一方、装置で処理したい音像定位位置や音
源は、入力手段11(またはインターフェイス10を介
して外部装置)から、制御手段4に入力され、一連の手
順として記憶されて処理される。制御手段4は、入力さ
れた手順にしたがって音源を選択してコンボルバ1,2
に供給すると共に、音像定位位置に応じた係数をRAM
9から読み出してコンボルバ1,2に設定する。なお、
ここでコンボルバ1,2の具体的な構成例を説明する。
コンボルバ1,2は、内部に畳み込み演算係数用RAM
を具備した非対称なFIR(Finite Impulse Response
)型フィルタとして、DSP(Digital Signal Proces
sor)などにより実現したものである。制御手段4によ
り供給される係数は、バッファ12,13に一時的に記
憶されて、コンボルバ1,2によって読み出される。制
御手段4は、バッファ12,13からの信号により、バ
ッファ12,13に書き込んだ係数が,コンボルバ1,
2によって読み出された状態になったことを確認して、
次の係数を順次バッファ12,13に書き込む。バッフ
ァ12,13を介することにより、制御手段4は係数の
供給処理だけでなく、他の処理も効率良く実行できる。
なお、コンボルバ1,2の係数が長く、かつ、瞬時の係
数切換えが必要な場合には、コンボルバ1,2内の演算
係数用RAMを2系統設けてバンク切換え(一括切換
え)したり、バッファ12,13を2系統設けて切換え
るようにしても良い。
【0031】このように構成された音像定位制御装置
は、コンボルバの係数群cfLx,cfRxを実施例1
のように、ROMに固定的に設けず、外部から係数RA
M9にロードするように構成してあるので、コンボルバ
の係数群の変更が容易にできる。したがって、前記〜
により算出されたコンボルバの係数群cfLx,cf
Rxを入力して、実際に音像定位させて、測定算出した
コンボルバの係数を容易に評価できる。さらに、システ
ム構成(スピーカの配置位置,聴取者の状態)により異
なる係数群を多数組、CD−ROMなどの大容量の記憶
媒体に準備しておき、最も適した係数群をロードして音
像定位させることもできる。また、バージョンアップに
よる係数の変更も容易である。
【0032】(実施例3)この実施例3は、音源からの
信号をゲインコントロールしてからコンボルバに供給す
るように構成したもので、処理信号のオーバーフローの
防止、音像の距離間の制御を目的とするものである。図
3において、音源XMは、例えばMIDI(Musical In
strument Didital Interface)信号による音源であり、
外部装置OMからMIDIデータとして、音源制御デー
タと音像定位データが供給されている。外部の音源XM
では、復調した音源制御データにもとづいて音響信号を
送出すると共に、MIDIデータをそのまま制御手段4
に送出する。制御手段4は、MIDIデータから音像定
位データにもとづいた音像定位命令、及び後述する音源
レベルを復調する。さらに、音源XMとコンボルバ1,
2との間には、ゲインコントロール手段(ゲイン調整手
段、例えば可変アッテネータ)14が介装されている。
制御手段4は、音源XMからの音像定位命令に従って、
係数を上記実施例と同様に設定すると共に、音源レベル
に応じてゲインコントロール手段14を制御しゲイン調
整する。ゲイン調整は、一対のコンボルバ1,2(左右
のスピーカに対応)ごとに調整可能である。
【0033】このよう構成して、選択された音源の出力
レベルが高い場合には、音源からの信号のレベルを低く
してコンボルバ1,2に供給すれば、畳み込み演算処理
時のオーバーフローを防止し、音質の劣化を防ぐことが
できる。このとき、係数のレベル及びレベル変化に適応
したゲインの値(例えば、係数算出時のスケーリング係
数に応じた値)を予め係数と共に係数ROMに準備して
おき、それにもとづいて精密にゲイン制御するようにし
ても良い。
【0034】また、ゲインコントロール手段14でゲイ
ン調整し、音像の距離間を制御することも可能である。
音像を近くに定位させたい時はゲインを大きくし、音像
を遠くに定位させたい時は、ゲインを小さく制御する。
音像定位命令より、音源の種類,音像定位の角度位置と
共に、音像定位の距離間も指定するようにして、ゲイン
調整すれば、より臨場感を増加させることができる。こ
のとき、音像定位の角度に応じて異なるゲイン値をコン
ボルバの係数データと共に予め測定して係数ROMに準
備しておき、これを利用して音像定位の距離を精度良く
制御しても良い。 さらに、ゲインコントロール手段1
4により、コンボルバ1,2に供給される信号のレベル
に差を持たせて、音像定位位置,定位感,定位の幅など
を微妙に調整しても良い。
【0035】(実施例4)この実施例は、一対のコンボ
ルバを複数組(2組)設けた例で、音像の定位位置を瞬
時に切換えたい場合や、複数の音像を異なる位置に同時
に定位させたい場合に適した例である。図4(A)に示
すように、この音像定位制御装置では、一対のコンボル
バとして、第1のコンボルバ1,2と、第2のコンボル
バ16,17が併設されている。第1のコンボルバ1,
2と、第2のコンボルバ16,17とからの処理出力
は、セレクタ18,19により連動して切換えられ、一
対のスピーカ(図示せず)から再生されるように構成さ
れている。
【0036】前記第1のコンボルバ1,2と前記第2の
コンボルバ16,17には、制御手段4よって、音像定
位命令にしたがったそれぞれ異なる定位位置の係数が供
給されており、その係数に応じた畳み込み演算出力が前
記セレクタ18,19に出力されている。そして、切換
えのタイミングに応じて、制御手段4がセレクタ18,
19を制御して、第1のコンボルバ1,2と第2のコン
ボルバ16,17とが瞬時に切換えられる。このように
構成すれば、コンボルバ1,2の係数が長い場合でも、
瞬時に音像定位位置を変更できる。
【0037】また、図4(B)に示すように、第1のコ
ンボルバ1,2と前記第2のコンボルバ16,17と
に、異なる2種類の音源X,X´を供給し、畳み込み演
算出力を左右をそれぞれ混合して、一対のスピーカ(図
示せず)から再生するように構成しても良い。このよう
に構成すれば、2つの音像を異なる位置に同時に定位さ
せることができる。なお、音源X,X´からの信号をゲ
インコントロールしてから、第1のコンボルバ1,2と
第2のコンボルバ16,17とに供給して、音像定位感
に変化をつけても良い。
【0038】(実施例5)この実施例5は、一対のコン
ボルバ1,2からの出力を加算して再生する補助スピー
カを設けて、正面位置の音像定位を明確にしたものであ
る。図5に示すように、この音像定位制御装置では、一
対のコンボルバ1,2の出力を加算スイッチ20で加算
して、この加算出力をー対のスピーカsp1,sp2の
間(聴取者Mの正面位置)に配設した補助スピーカsp
3で再生するように構成したものである。加算出力は、
加算スイッチ20を介してスピーカに供給されている。
スイッチ20は制御手段4によりON/OFFされる。
通常はOFFとされ、例えば音像定位位置が正面位置ま
たは正面に近い位置の時にはONとされて、一対のコン
ボルバ1,2の加算出力が補助スピーカsp3から再生
される。
【0039】このように構成すれば、正面位置または正
面に近い位置に音像を定位させる時に、正面位置の補助
スピーカsp3からも再生信号が出力されるので、音の
なか抜けがなく、正面位置の音像定位が明確になり、定
位を感じる範囲も広がる。また、図5の構成とは反対
に、補助スピーカsp3を後方中央に設けて、音像定位
位置が後方中央位置または後方中央に近い位置の時に加
算スイッチ20をONとして、一対のコンボルバ1,2
の加算出力を補助スピーカsp3から再生しても良い。
なお、スイッチ21に代えてアッテネータを設けて、単
なるON/OFFだけでなく、補助スピーカsp3から
の再生音量、加算の割合などを制御しても良い。
【0040】(実施例6)この実施例は、左右一対のコ
ンボルバを構成するそれぞれのコンボルバを2個で構成
すると共に、2個のコンボルバからの出力をクロスフェ
ード処理するように構成した例であり、離散的な音像定
位位置を連続的に変化させる場合や、係数の切換え時に
発生しやすいノイズの防止に適した構成である。図10
に示すように、この音像定位制御装置では、一対のコン
ボルバとして、第1のコンボルバ24R,24Lと、第
2のコンボルバ25R,25Lの2組が併設されてい
る。つまり、第1の実施例(図1)で示した一対のコン
ボルバ1,2と比較して、左(L)用のコンボルバ1は
2個のコンボルバ24L,25Lで構成され、右(R)
用のコンボルバ2は2個のコンボルバ24R,25Rで
構成されている。
【0041】第1のコンボルバ24R,24Lと、第2
のコンボルバ25R,25Lには、音像定位位置の異な
る2組の係数が書き込まれて、畳込み演算処理されるよ
うに、同一の音源Xに接続されている。さらに、フェー
ダ(可変アッテネータ)21L,22L及び加算手段2
3Lで出力L用のクロスフェード手段が構成され、フェ
ーダ(可変アッテネータ)21R,22R及び加算手段
23Rで出力R用のクロスフェード手段が構成されてい
る。そして、コンボルバ24R,25Rからの処理出力
はフェーダ(可変アッテネータ)21R,22Rに入力
され、コンボルバ24L,25Lからの処理出力はフェ
ーダ(可変アッテネータ)21L,22Lに入力されて
いる。そして、コンボルバ24R,25Rからの処理出
力は、フェーダ21R,22R,加算手段23Rでクロ
スフェード処理され、コンボルバ24L,25Lからの
処理出力はフェーダ21L,22L,加算手段23Lで
クロスフェード処理される。最終的には、このようにク
ロスフェード処理された左右の出力(L,R)が、一対
のスピーカ(図示せず)から再生される。
【0042】上記のように構成された音像定位制御装置
において、音像定位位置の変更時(すなわち、係数の変
更切換え時には)、前記第1のコンボルバ24R,24
Lと、第2のコンボルバ25R,25Lに、音像定位命
令に従ったそれぞれ異なる定位位置の係数(切換え前後
の係数)が制御手段4よって供給されて、その係数に応
じた畳み込み演算出力が前記フェーダ21R,22R,
フェーダ21L,22Lに出力される。さらに、制御手
段4からのクロスフェード制御信号により、切換え前後
の畳込み演算出力がクロスフェード処理されて再生され
る。
【0043】この点を詳述すると以下の通りである。図
11はクロスフェード処理のタイミングを説明する図で
ある。例えば、現在60度の位置に音像定位処理してい
る状態から90度の位置に音像定位処理している状態へ
移行する場合を例とする。一方のコンボルバ、例えば第
1のコンボルバ24R,24Lは、60度用の係数が供
給されて動作中であり、他方のコンボルバである第2の
コンボルバ25R,25Lは非動作中である。この状態
で、60度の位置から90度位置への音像定位位置の切
換え命令が制御手段4にあると(同図(A)参照)、制
御手段4は90度用の係数を第2のコンボルバ25R,
25Lに供給する(同図(B)参照)。さらに、制御手
段4から、フェーダ21R,22R,フェーダ21L,
22Lにクロスフェード制御信号が出力される(同図
(C)参照)。
【0044】そして、クロスフェード制御信号に応じ
て、フェーダ21R,21L,フェーダ22R,22L
が同図(D)及び(E)のように動作して、第1のコン
ボルバ24R,24Lの出力がフェードアウトされ、第
2のコンボルバ25R,25Lへの出力がフェードイン
されて、第1のコンボルバ24R,24Lから第2のコ
ンボルバ25R,25Lへクロスフェードしながら切換
えられる。数十msの時間をかけて、クロスフェードしな
がら切換えれば、切換えノイズが発生することなく、係
数を切換えて音像定位位置を変更できる。また、クロス
フェードの時間は、クロスフェード制御信号と共に、各
動作毎に異なる最適な時間を送出して制御するようにし
ても良い。このようにすると、離散的な音像定位位置
(例えば、60度の位置と90度位置)の間を、連続的
に変化させることもできる。
【0045】以上の各実施例1〜5において、再生のた
めのトランスジューサとして、ー対のスピーカsp1,
sp2のかわりにヘッドホーンを用いることもできる。
この場合は、HRTFの測定条件が異なるので、係数を
別に準備して再生状況に応じて切換える。
【0046】なお、各実施例で説明した、離間して配設
された一対のトランスジューサ(スピーカ)から同一の
音源が供給された一対のコンボルバで処理した信号を再
生する構成は、音像定位の効果を得るための最小限の構
成を示すものである。よって、実施例4,5のように、
必要に応じては、一対、すなわち、2つ以上のトランス
ジューサ及びコンボルバを追加構成しても良いことはも
ちろんであり、さらに、コンボルバの係数が長い場合な
どには、係数を分割して複数個のコンボルバで構成して
も良い。
【0047】また、コンボルバの係数群として、θ=0
度〜180度までの半円部(図8参照)のみを係数RO
Mに準備し、残りの半円部については、係数の左右対称
性を利用して、コンボルバに係数を供給するように構成
しても良い。
【0048】以上詳述したように、本発明になる音像定
位制御装置によれば、一対のコンボルバにより音源から
の信号を時間軸上で処理して音像を定位させるようにし
たので、実際に音像処理をする回路としては、時間軸上
での畳み込み演算処理回路(コンボルバ)が一対必要と
なるだけであり、回路規模が非常に小さく安価なものと
なる。つまり、前述した従来の方法のように、音源から
の信号をFFT変換して、周波数軸上で処理して再び逆
FFT変換して再生する複雑な回路を用いる必要がな
い。
【0049】また、前記コンボルバの音像定位処理の係
数を、最終的には時間軸上のIR(インパルス応答)の
データとしたので、コンボルバの係数の数を少なくして
回路規模を小さくすることができる。すなわち、従来の
装置のように、周波数軸上のレベル差と位相差としての
データとして近似する場合と比較して、前述した〜
おける係数算出処理により、HRTFを正確にかつ効果
的に近似処理することができ、音像定位感を損なうこと
なく係数が短くなる。したがって、多くの音像定位位置
に対応した係数を備えることができる。
【0050】つまり、長さがおさえられ短くなったコン
ボルバの係数を、 360度の広範囲にわたる各音像定位位
置の伝達特性として備え、指定された音像定位位置に応
じて、係数(伝達特性)をコンボルバに供給設定して、
音像定位処理するようにしたので、 360度の広範囲に、
自由に音像を定位させることができ、その定位感も明確
である。すなわち、前述した従来の装置のように、3時
方向と9時の方向(正面から左右に90度の位置方向)
の伝達特性のみ備えて、正面位置での再生音と3時方向
(または9時の方向)での定位再生音とを実質的にパン
ポット処理して、音像定位させる簡易な疑似的な構成と
異なり、定位位置の制限や定位感の曖昧さがまったくな
い。
【0051】また、指定された音源を複数の音源から選
択して一対のコンボルバに供給する音源選択手段を設け
たものでは、所望の種類の音像を所望の任意の位置に定
位させることができるので、例えば、正面にディスプレ
イなどを設置してゲーム画面と共に音響再生すれば、操
作に応じて画面と音像が変化して、極めて臨場感が高い
アミューズメント・ゲーム機を構成できる。
【0052】また、キャンセルフィルタ用係数群を保持
する記憶手段を読み書き自在な記憶手段で構成して、外
部から係数群を記憶手段に転送するようすれば、音像定
位制御の評価装置やシステム構成に応じて最適な係数で
処理する装置に適する。
【0053】また、システム構成される音像定位制御装
置のシステム情報を入力する手段を有するものでは、構
成されたシステムに応じた最適な係数群が選択されて音
像定位制御されるので、音像定位感が良い。
【0054】また、ゲイン調整手段を設けたものでは、
音源からの信号をゲインコントロールして、処理信号の
オーバーフローを防止したり、音像の距離間を制御でき
る。
【0055】また、一対のコンボルバを複数組設けたも
のでは、音像の定位位置を瞬時に切換えたり、複数の異
なる音像を異なる位置に同時に定位させることができ
る。
【0056】また、一対のコンボルバで処理された信号
を加算する加算手段を設けたものでは、補助スピーカで
加算出力を再生して、特定位置の音像定位を明確にする
ことができる。
【0057】また、左右一対のコンボルバを構成するそ
れぞれのコンボルバを2個で構成して、2個のコンボル
バからの出力をクロスフェード処理して係数を切換える
ようにしたものでは、係数の切換え時に発生しやすいノ
イズの防止でき、また、離散的な音像定位位置を連続的
に変化させることもできる。
【0058】なお、図10に示したようなクロスフェー
ドのためのフェーダ21L,22Lなどを、コンボルバ
24L,25Lなどの後ろに設けた構成に限るものでは
ない。例えば、フェーダ21L,22Lをコンボルバ2
4L,25Lの前に設け、コンボルバ24L,25Lの
出力を加算手段23Lに供給するように構成し、クロス
フェード処理するようにしても良い。
【0059】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明になる音像
定位制御装置によれば、一対のコンボルバにより音源か
らの信号を時間軸上で処理して音像を定位させるように
したので、実際に音像処理をする回路としては、時間軸
上でのコンボルバ(畳み込み演算処理回路)が必要とな
るだけであり、DSPが利用でき、回路規模が非常に小
さく安価なものとなる。さらに、前記コンボルバの音像
定位処理の係数データを、最終的には時間軸上のIR
(インパルス応答)のデータとしたので、HRTFを正
確にかつ効果的に近似処理することができる。よって、
近似処理された短いコンボルバの係数により、全ての音
像定位位置( 360度)の伝達特性を装置に備えることが
でき、どの音像定位位置に対しても、理論的かつ実践的
に裏付けられた最適な伝達特性で音像処理される。した
がって、 360度の広範囲にわたり、自由に音像を定位さ
せることができ、その定位感も明確である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる音像定位制御装置の一実施例を示
す図で、基本的な構成図である。
【図2】第2の実施例を示す構成図である。
【図3】第3の実施例を示す構成図である。
【図4】第4の実施例を示す構成図である。
【図5】第5の実施例を示す構成図である。
【図6】音像定位制御の基本原理を示す構成図である。
【図7】HRTF(頭部伝達関数)の測定システムを示
す構成図である。
【図8】HRTF測定のポイントを説明する図である。
【図9】キャンセルフィルタの算出例を説明する図であ
る。
【図10】第6の実施例を示す構成図である。
【図11】第6の実施例における、クロスフェード処理
のタイミングを説明する図である。
【符号の説明】
1,2 一対のコンボルバ(第1のコンボルバ) 3 係数ROM3 4 制御手段(係数供給手段、CPU) 5 セレクタ(音源選択手段) 9 係数RAM 12,13 バッファ 14 ゲインコントロール手段(ゲイン調整手段) 16,17 一対のコンボルバ(第2のコンボルバ) 18,19 セレクタ 20 加算スイッチ 21R,22R,21L,22L フェーダ 23R,23L 加算手段 24R,24L,25R,25L コンボルバ sp1,sp2 スピーカ sp3 補助スピーカ h1L,h1R スピーカsp1から受聴者左右耳まで
の頭部伝達特性 h2L,h2R スピーカsp2から受聴者左右耳まで
の頭部伝達特性 pLx,pRx 目的とする定位位置xに実際のスピー
カを配置したときの受聴者左右耳までの頭部伝達特性 cfLx,cfRx キャンセルフィルタ(コンボル
バ)及びその係数 DM ダミーヘッド(または人頭) M 聴取者(ゲーム操作者、受聴者) X,X´,XV 音源 x 目的とする音像定位位置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H03H 21/00 7037−5J H04R 1/40 310 // G06F 15/31 A 7343−5L (72)発明者 中山 雅博 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12番 地 日本ビクター株式会社内 (72)発明者 鈴木 琢磨 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12番 地 日本ビクター株式会社内 (72)発明者 松本 光雄 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12番 地 日本ビクター株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】離間して配設された一対のトランスジュー
    サから、同一の音源が供給された一対のコンボルバで処
    理した信号を再生して、聴取者に前記一対のトランスジ
    ューサとは異なる任意の位置に音像が定位しているよう
    に感じさせる音像定位制御装置であって、 同一の音源からの信号を、設定された係数に応じて畳み
    込み演算処理する一対のコンボルバと、 各音像定位位置において測定された頭部伝達関数をもと
    にして、所定の長さに収束処理され、かつ、所定のレベ
    ルにスケーリング処理されて、インパルス応答として算
    出されたキャンセルフィルタ用係数群を保持する記憶手
    段と、 指定された音像定位位置に対応した係数を、前記記憶手
    段から前記一対のコンボルバに供給する係数供給手段と
    からなることを特徴とする音像定位制御装置。
  2. 【請求項2】離間して配設された一対のトランスジュー
    サから、同一の音源が供給された一対のコンボルバで処
    理した信号を再生して、聴取者に前記一対のトランスジ
    ューサとは異なる任意の位置に音像が定位しているよう
    に感じさせる音像定位制御装置であって、 同一の音源からの信号を、設定された係数に応じて畳み
    込み演算処理する一対のコンボルバと、 各音像定位位置において測定された頭部伝達関数をもと
    にして、所定の長さに収束処理され、かつ、所定のレベ
    ルにスケーリング処理されて、インパルス応答として算
    出されたキャンセルフィルタ用係数群を保持する記憶手
    段と、 指定された音源を、複数の音源から選択して前記一対の
    コンボルバに供給する音源選択手段と、 指定された音像定位位置に対応した係数を、前記記憶手
    段から前記一対のコンボルバに供給する係数供給手段と
    からなることを特徴とする音像定位制御装置。
  3. 【請求項3】キャンセルフィルタ用係数群が保持される
    記憶手段を読み書き自在な記憶手段で構成して、外部か
    ら係数群を記憶手段に転送するように構成したことを特
    徴とする請求項1または請求項2に記載した音像定位制
    御装置。
  4. 【請求項4】システム構成される音像定位制御装置のシ
    ステム情報を入力する手段を有し、構成されたシステム
    に応じた係数群を選択して音像定位制御するようにした
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載した音
    像定位制御装置。
  5. 【請求項5】ゲイン調整手段を有し、同一音源からの信
    号をゲインコントロールして一対のコンボルバに供給す
    るようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2
    に記載した音像定位制御装置。
  6. 【請求項6】一対のコンボルバを複数組設けたことを特
    徴とする請求項1または請求項2に記載した音像定位制
    御装置。
  7. 【請求項7】一対のコンボルバで処理された信号を加算
    する加算手段を有し、加算信号を補助用のトランスジュ
    ーサから再生するように構成したことを特徴とする請求
    項1または請求項2に記載した音像定位制御装置。
  8. 【請求項8】一対のコンボルバをそれぞれ複数個のコン
    ボルバで構成すると共に、前記複数個のコンボルバを用
    いてクロスフェード処理する手段を設けたことを特徴と
    する請求項1または請求項2に記載した音像定位制御装
    置。
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