JPH06228646A - 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法 - Google Patents
磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法Info
- Publication number
- JPH06228646A JPH06228646A JP5115033A JP11503393A JPH06228646A JP H06228646 A JPH06228646 A JP H06228646A JP 5115033 A JP5115033 A JP 5115033A JP 11503393 A JP11503393 A JP 11503393A JP H06228646 A JPH06228646 A JP H06228646A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- weight
- annealing
- slab
- steel sheet
- hot
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)
- Soft Magnetic Materials (AREA)
- Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)
Abstract
性電磁鋼板の磁気特性の高位安定化を図ることを目的と
する。 【構成】 C,Si,酸可溶性Al:0.010〜0.
060%、S:0.01〜0.05%、N:0.003
0%未満を含有したスラブを1280℃未満の温度で加
熱し、熱延を行い、引き続き、通常の工程で一方向性電
磁鋼板を製造する方法において、Mn:0.02〜0.
8%、Cu:0.01〜0.4%のうち何れか一方また
は両方をさらに含有せしめると共に、Ti量,Zr量,
N量を所定の関係を満す範囲内に制御し、熱延後最終仕
上焼鈍の二次再結晶開始までの間に窒化処理を施すこと
を特徴とし、さらには、Sn添加、所定温度範囲での熱
延板焼鈍を施すこと、脱炭焼鈍完了後最終仕上焼鈍開始
までの間の一次再結晶粒の平均粒径制御を行うことを特
徴とする。
Description
て使用される磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造
方法に関する。
他の電気機器の鉄心材料として使用されており、励磁特
性、鉄損特性等の磁気特性に優れていることが要求され
る。励磁特性を表す数値としては、通常磁場の強さ80
0A/mにおける磁束密度B8が使用される。また、鉄
損特性を表す数値としては、周波数50Hzで1.7テス
ラー(T)まで磁化した時の1kg当りの鉄損W17/50 を
使用している。磁束密度は、鉄損特性の最大支配因子で
あり、一般的にいって磁束密度が高いほど鉄損特性が良
好になる。なお、一般的に磁束密度を高くすると二次再
結晶粒が大きくなり、鉄損特性が不良となる場合があ
る。これに対しては、磁区制御により、二次再結晶粒の
粒径に拘らず、鉄損特性を改善することができる。
程で二次再結晶を起こさせ、鋼板面に{110}、圧延
方向に〈001〉軸を持ったいわゆるゴス組織を発達さ
せることにより製造されている。良好な磁気特性を得る
ためには、磁化容易軸である〈001〉を圧延方向に高
度に揃えることが必要である。
製造技術として代表的なものに特公昭40−15644
号公報及び特公昭51−13469号公報記載の方法が
ある。前者においては主なインヒビターとしてMnS及
びAlNを、後者ではMnS,MnSe,Sb等を用い
ている。従って現在の技術においてはこれらのインヒビ
ターとして機能する析出物の大きさ、形態及び分散状態
を適正に制御することが不可欠である。MnSに関して
言えば、現在の工程では熱延前のスラブ加熱時にMnS
を一旦完全固溶させた後、熱延時に析出する方法がとら
れている。二次再結晶に必要な量のMnSを完全固溶す
るためには1400℃程度の温度が必要である。これは
普通鋼のスラブ加熱温度に比べて200℃以上も高く、
この高温スラブ加熱処理には以下に述べるような不利な
点がある。 1)方向性電磁鋼専用の高温スラブ加熱炉が必要。 2)加熱炉のエネルギー原単位が高い。 3)溶融スケール量が増大し、いわゆるノロかき出し等
に見られるように操業上の悪影響が大きい。
ブ加熱温度を普通鋼並みに下げれば良いわけであるが、
このことは同時にインヒビターとして有効なMnSの量
を少なくするかあるいは全く用いないことを意味し、必
然的に二次再結晶の不安定化をもたらす。このため低温
スラブ加熱化を実現するためには何らかの形でMnS以
外の析出物等によりインヒビターを強化し、仕上焼鈍時
の正常粒成長の抑制を充分にする必要がある。
他、窒化物、酸化物及び粒界析出元素等が考えられ、公
知の技術として例えば次のようなものがあげられる。特
公昭54−24685号公報ではAs,Bi,Sn,S
b等の粒界偏析元素を鋼中に含有することにより、スラ
ブ加熱温度を1050〜1350℃の範囲にする方法が
開示され、特開昭52−24116号公報ではAlの
他、Zr,Ti,B,Nb,Ta,V,Cr,Mo等の
窒化物生成元素を含有することによりスラブ加熱温度を
1100〜1260℃の範囲にする方法を開示してい
る。また、特開昭57−158322号公報ではMn含
有量を下げ、Mn/Sの比率を2.5以下にすることに
より低温スラブ加熱化を行い、さらにCuの添加により
二次再結晶を安定化する技術を開示している。
金属組織の側から改良を加えた技術も開示された。すな
わち特開昭57−89433号公報ではMnに加えS,
Se,Sb,Bi,Pb,Sn,B等の元素を加え、こ
れにスラブの柱状晶率と二次冷延圧下率を組み合わせる
ことにより1100〜1250℃の低温スラブ加熱化を
実現している。さらに特開昭59−190324号公報
ではSあるいはSeに加え、Al及びBと窒素を主体と
してインヒビターを構成し、これに冷延後の一次再結晶
焼鈍時にパルス焼鈍を施すことにより二次再結晶を安定
化する技術を公開している。このように方向性電磁鋼板
製造における低温スラブ加熱化実現のためには、これま
でに多大な努力が続けられてきている。
いてはMnを0.08〜0.45%、Sを0.007%
以下にすることにより低温スラブ加熱化を可能にする技
術が開示された。この方法により高温スラブ加熱時のス
ラブ結晶粒粗大化に起因する製品の線状二次再結晶不良
発生の問題が解消された。
方法は元来、製造コストの低減を目的としているもの
の、当然のことながら良好な磁気特性を安定して得る技
術でなければ、工業化できない。本発明者らは、低温ス
ラブ加熱の工業化のため、最終仕上焼鈍前の一次再結
晶の平均粒径制御と、熱延後、最終仕上焼鈍の二次再
結晶開始までの間に鋼板に窒化処理を施すことを柱とす
る技術を構築してきた。この窒化処理により形成される
窒化物は、二次再結晶開始時点では、主にAlNになっ
ている。高温で変化しにくいインヒビターとして、Al
Nを選択しているわけであり、その意味において、スラ
ブ中にAlが含有されることは必須条件となる。他方、
スラブ中にNが必要以上に含有されることは、本技術体
系からして、再考の余地があった。つまり、スラブ中に
必須のAlと、ある程度以上のN量があれば、スラブ加
熱から脱炭焼鈍までの工程で、AlNが形成され、脱炭
焼鈍時の一次再結晶粒の粒成長に影響を与えることとな
る。
低減と、それに代わる安定なインヒビターを検討し、低
温スラブ加熱での磁性変動のない優れた特性を有する一
方向性電磁鋼板の安定製造方法を提供することである。
ろは下記の通りである。すなわち、(1)重量%でC
:0.025〜0.075%、Si:2.5〜4.5
%、酸可溶性Al:0.010〜0.060%、N :
0.0030%未満、S :0.01〜0.05%、M
n:0.02〜0.8%を含有し、残部がFe及び不可
避的不純物からなるスラブを1280℃未満の温度で加
熱し、熱延し、圧下率80%以上の最終冷延を含み、必
要に応じて中間焼鈍をはさむ1回以上の冷延を施し、次
いで、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を施して一方向性電磁鋼
板を製造する方法において、スラブのTi,Zr,Nの
含有量(重量%)を、下記の式に制御し、 0.5×N(%)<0.292 ×Ti(%)+0.154 ×Zr
(%)<0.0050 熱延後、最終仕上焼鈍開始までの間に鋼板に窒化処理を
施すことを特徴とする磁気特性の優れた一方向性電磁鋼
板の安定製造方法であり、(2)重量%でC :0.0
25〜0.075%、Si:2.5〜4.5%、酸可溶
性Al:0.010〜0.060%、N :0.003
0%未満、S :0.01〜0.05%、Cu:0.0
1〜0.40%を含有し、残部がFe及び不可避的不純
物からなるスラブを1280℃未満の温度で加熱し、熱
延し、圧下率80%以上の最終冷延を含み、必要に応じ
て中間焼鈍をはさむ1回以上の冷延を施し、次いで、脱
炭焼鈍、最終仕上焼鈍を施して一方向性電磁鋼板を製造
する方法において、スラブのTi,Zr,Nの含有量
(重量%)を、下記の式に制御し、 0.5×N(%)<0.292 ×Ti(%)+0.154 ×Zr
(%)<0.0050 熱延後、最終仕上焼鈍開始までの間に鋼板に窒化処理を
施すことを特徴とする磁気特性の優れた一方向性電磁鋼
板の安定製造方法、(3)重量%でC :0.025〜
0.075%、Si:2.5〜4.5%、酸可溶性A
l:0.010〜0.060%、N :0.0030%
未満、Cu:0.01〜0.40%、Mn:0.02〜
0.8%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物から
なるスラブを1280℃未満の温度で加熱し、熱延し、
圧下率80%以上の最終冷延を含み、必要に応じて中間
焼鈍をはさむ1回以上の冷延を施し、次いで、脱炭焼
鈍、最終仕上焼鈍を施して一方向性電磁鋼板を製造する
方法において、スラブのTi,Zr,Nの含有量(重量
%)を、下記の式に制御し、 0.5×N(%)<0.292 ×Ti(%)+0.154 ×Zr
(%)<0.0050 熱延後、最終仕上焼鈍開始までの間に鋼板に窒化処理を
施すことを特徴とする磁気特性の優れた一方向性電磁鋼
板の安定製造方法、及び(4)スラブの成分としてがさ
らにSn:0.01〜0.15%を含有せしめることを
特徴とする前各項に記載の磁気特性の優れた一方向性電
磁鋼板の安定製造方法、さらに(5)熱延後850〜1
250℃の熱延板焼鈍を施すことを特徴とする前各項に
記載の磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方
法であり、(6)脱炭焼鈍完了後、最終仕上焼鈍開始ま
での一次再結晶粒の平均粒径を18〜35μmとするこ
とを特徴とする前各項に記載の磁気特性の優れた一方向
性電磁鋼板の安定製造方法である。
従来用いられている製鋼法で得られた溶鋼を連続鋳造法
あるいは造塊法で鋳造し、必要に応じて分塊工程をはさ
んでスラブとし、引き続き熱間圧延して熱延板とし、次
いで圧下率80%以上の最終冷延を含み、必要に応じて
中間焼鈍をはさむ1回以上の冷延を施し、次いで、脱炭
焼鈍、最終仕上焼鈍を順次行うことによって製造され
る。
た場合の磁性の変動原因とその解消策について詳細に検
討した。そしてその結果、この現象がスラブ加熱時のス
ラブ内の温度差に基づく、AlNの析出のバラツキに起
因しているという新知見を得た。そして、その課題の解
決策として、N量を低めることと、Ti量,Zr量,
N量を3つの量の関係式で規定される所定の範囲に抑え
ること、さらに、S量,Cu量を所定量添加するこ
と、Mn量を所定量添加すること、脱炭焼鈍完了後
最終仕上焼鈍開始までの一次再結晶粒の平均粒径を制御
すること、Snを添加すること、所定の温度範囲で
の熱延板焼鈍を施すことが有効であることがわかった。
本発明者らは、スラブ加熱時のAlNの固溶、析出に着
目した。本発明の前提としている1280℃未満の温度
では、本発明のAl,N,Siの成分範囲では、α相で
のAlNの完全固溶は保障されていない。一方、スラブ
加熱の方式は種々あるが、スラブを炉に装入後、プッシ
ャーで移動させながら出口から出す方式やスキッド上に
スラブを置き、スキッドを動かしてスラブを入口から出
口方向へ移動させる方式等が一般的に行われている。そ
してスラブの中でスキッドや炉の下面に接する部分は、
温度が低めとなることが多い。従って、このスラブ内の
温度差に起因するAlNの析出量、固溶N量の差が生じ
ることが考えられた。そして、熱延から脱炭焼鈍までの
工程で、スラブ加熱時に固溶していたNは、大部分Al
Nとして微細析出し、その程度がスラブ加熱時の固溶N
量に依存することが考えられた。実際、工場で実験を行
った際、磁気特性の変動が生じたコイルの、脱炭焼鈍後
の一次再結晶粒の平均粒径を光学顕微鏡と画像解析機を
用いて測定したところ、その平均粒径が変動しているこ
とが判明した。そして、そのバラツキの程度は、Al,
N量によって異なっていた。
減らすことを考えた。そのためには、AlまたはN量を
減らすことが有効であるが、二次再結晶時のインヒビ
ターとしてのAlN量を確保する必要がある点、Nは
鋼板に窒化で導入することが可能であるが、Alは、鋼
板に導入することが困難である点を考慮し、N量を減ら
すことを検討した。そして、N量を製鋼段階で減らすこ
とは技術的に制約があるかもしくはコストアップにつな
がることも考慮し、Nとの親和力がAlより強く固溶す
るN量と強い相関があると予想される元素の原子当量か
ら計算されるY(%)=0.292×Ti(%)+0.
154×Zr(%)(Ti(%):スラブのTi含有
量、Zr(%):スラブのZr含有量、何れも重量%)
という量を定義しY(%)と磁気特性の変動との関係を
以下の2つの実験に基づいて調査した。
た。すなわち、重量で、C=0.045%、Si=3.
20%、酸可溶性Al=0.018〜0.040%、N
=0.0006〜0.0098%、S=0.015%、
Mn=0.16%、Ti=0.0007〜0.0211
%、Zr=0.0005〜0.0414%を含有し、残
部Fe及び不可避的不純物からなる250mm厚のスラブ
を作成した。そして1100℃、1200℃の2水
準の温度で各スラブを60分均熱後11パスの熱延で
2.3mm厚とし、約3秒後に水冷し、550℃まで冷却
した後、550℃の温度に1時間保持した。かかる熱延
板に熱延板焼鈍を施すことなく約88%の強圧下圧延を
行って最終板厚0.285mmの冷延板とした。この冷延
板を835℃に150秒保持する脱炭焼鈍を施し、次い
で、750℃に30秒保持する焼鈍時、焼鈍雰囲気中に
NH3 ガスを混入させ、鋼板に窒素を吸収せしめた。こ
の窒化処理後のN量は、0.0187〜0.0214重
量%であった。かかる窒化処理後の鋼板にMgOを主成
分とする焼鈍分離剤を塗布し、最終仕上焼鈍を行った。
しかる後、製品の磁束密度B8 を測定し、同一成分のス
ラブに対してとった2つのスラブ均熱条件でのB8 の差
ΔB8 〔スラブ加熱温度1100℃におけるB8 (T)
−同温度1200℃におけるB8 (T)〕を求め、鉄損
値W17/50 (w/kg)と共に図1に示した。図1から明
らかなように、N(%)<0.0030、0.5×N
(%)<Y(%)<0.0050の範囲で、スラブ加熱
温度差に起因する製品の磁束密度の差ΔB8 (T)が
0.02T未満におさまり、かつ、W17/50 <1.00
w/kgなる良好な鉄損特性を示した。
た。すなわち、重量で、C=0.041%、Si=3.
05%、酸可溶性Al=0.019〜0.045%、N
=0.0004〜0.0092%、S=0.014%、
Cu=0.18%、Ti=0.0008〜0.0204
%、Zr=0.0004〜0.0409%を含有し、残
部Fe及び不可避的不純物からなる250mm厚のスラブ
を作成した。そして1100℃、1200℃の2水
準の温度で各スラブを60分均熱後11パスの熱延で
2.3mm厚とし、約3秒後に水冷し、550℃まで冷却
した後、550℃の温度に1時間保持した。かかる熱延
板に熱延板焼鈍を施すことなく約88%の強圧下圧延を
行って最終板厚0.285mmの冷延板とした。この冷延
板を835℃に150秒保持する脱炭焼鈍を施し、次い
で、750℃に30秒保持する焼鈍時、焼鈍雰囲気中に
NH3 ガスを混入させ、鋼板に窒素を吸収せしめた。こ
の窒化処理後のN量は、0.0196〜0.0209重
量%であった。かかる窒化処理後の鋼板にMgOを主成
分とする焼鈍分離剤を塗布し、最終仕上焼鈍を行った。
しかる後、製品の磁束密度B8 を測定し、同一成分のス
ラブに対してとった2つのスラブ均熱条件でのB8 の差
ΔB8 〔スラブ加熱温度1100℃におけるB8 (T)
−同温度1200℃におけるB8 (T)〕を求め、鉄損
値W17/50 (w/kg)と共に図2に示した。図2から明
らかなように、第2の実験の場合も第1の実験と同様に
N(%)<0.0030、0.5×N(%)<Y(%)
<0.0050の範囲で、スラブ加熱温度差に起因する
製品の磁束密度の差ΔB8 (T)が0.02T未満にお
さまり、かつ、W17/50 <1.00w/kgなる良好な鉄
損特性を示した。また、Mn,Cu,Sを複合して添加
した場合にも、上記第1の実験及び第2の実験と同様の
効果が得られた。
について、本発明者らは、次のように考えている。本実
験では、加熱炉内でのスラブ内の温度差により生じてい
る現象を、スラブ加熱温度を変えてシュミレートした。
それによると、本発明のAl,Nの成分範囲では128
0℃未満のスラブ加熱温度条件の場合、スラブの高温部
と低温部でAlNの固溶、析出量に差が生じる。すなわ
ち、スラブ加熱時のスラブ高温部では固溶Nが多く、引
き続く熱延及び脱炭焼鈍時に、この固溶Nは、AlNの
形で微細析出する。他方スラブ加熱時のスラブ低温部で
は固溶Nが少なく、引き続く熱延及び脱炭焼鈍時に微細
に析出するAlN量は少ない。このようなAlNの析出
の場所的不均一は、脱炭焼鈍時の一次再結晶粒の粒成長
の場所的不均一を生じさせる。つまり、スラブ加熱時の
スラブ内高温部に相当する部分では、脱炭焼鈍時微細な
AlNが多いため、一次再結晶粒の粒成長は抑制され
る。一方、スラブ加熱時のスラブ内低温部に相当する部
分では、脱炭焼鈍時微細なAlNが少ないため、一次再
結晶粒は粒成長しやすい。このため、脱炭焼鈍完了時、
コイル内に、スラブ加熱時のスラブ内の温度差に起因す
る一次再結晶粒径の場所的不均一が生じる。本発明者ら
が、特開平2−182866号公報で開示したように、
この脱炭焼鈍完了時の一次再結晶粒径は、製品の磁束密
度と極めて強い相関がある。従って、この一次再結晶粒
径の場所的不均一は、製品での磁束密度の場所的不均一
を生ぜしめることとなる。それゆえ、その磁束密度のバ
ラツキの原因となっているスラブ加熱時におけるスラブ
内の固溶N量のバラツキを所定の範囲に入れれば、製品
の磁束密度のバラツキが低減されるものと考えられる。
量添加することにより、TiN,ZrNを形成せしめ、
スラブ内の固溶N量の低減を行ったものであり、このT
iN,ZrNは最終製品にも残留し、鉄損特性を劣化さ
せるため、必要以上に添加することは意味がない。
いて述べる。先ず、スラブ成分とスラブ加熱温度に関し
て限定理由を詳細に説明する。Cは0.025重量%
(以下単に%と略述)未満になると二次再結晶が不安定
になり、かつ二次再結晶した場合でもB8 >1.80
(T)が得がたいので0.025%以上とした。一方、
Cが多くなり過ぎると脱炭焼鈍時間が長くなり経済的で
ないので0.075%以下とした。
著しくなるので4.5%以下とした。また、2.5%未
満では素材の固有抵抗が低すぎ、トランス鉄心材料とし
て必要な低鉄損が得られないので2.5%以上とした。
望ましくは3.2%以上である。
もしくは(Al,Si)Nを確保するため、酸可溶性A
lとして0.010%以上が必要である。酸可溶性Al
が0.060%を超えると熱延板のAlNが不適切とな
り二次再結晶が不安定となるので0.060%以下とし
た。
0030%未満にすることが必要である。そして、これ
がスラブ加熱時の温度偏差に起因する磁性の変動を低減
するのに有効である。N量の下限については特に限定す
るものではないが、製鋼段階でNを0.0001%以下
にすることは工業的には難しい。
強く、TiN,ZrNを形成させ、スラブ加熱時の固溶
N量を低減させる効果がある。このため、スラブ加熱時
のスラブ温度偏差に起因するAlNの析出の不均一性を
低減する効果がある。しかし、TiN,ZrNは製品に
も残留し、鉄損特性を劣化させるため、図1に示す如
く、N量に応じて適正範囲があり、0.5×N(%)<
0.292×Ti(%)+0.154×Zr(%)<
0.0050としなければならない。
た。本発明の如く、スラブのN量を少なくしている場合
は、一次再結晶粒の粒成長を、所定の範囲に平均粒径が
なるように制御するためには、AlN以外のインヒビタ
ーを利用する必要がある。このためには、Cu2 Sまた
はMnSを所定量形成させる必要がある。この意味にお
いて、Sの範囲は、0.01〜0.05%でなければな
らない。
記の範囲とする必要がある。CuはMnSより小さいサ
イズのCu2 Sを形成し、一次再結晶粒の粒成長のコン
トロールに有効に利用できる。微細なCu2 Sを適正量
形成させるためには、Cu:0.01〜0.40%とし
なければならない。MnはMnSを形成し、一次再結晶
粒の粒成長のコントロールに利用できる。従ってMnS
を適正量形成させるために、Mn:0.02〜0.8%
添加することは、磁気特性を良好ならしめるために必要
である。
り、粒成長を抑制する元素である。一方、スラブ加熱時
Snは完全固溶しており、通常考えられる数10℃の温
度差を有する加熱時のスラブ内でも、一様に固溶してい
ると考えられる。従って、温度差があるにも拘らず加熱
時のスラブ内で均一に分布しているSnは、脱炭焼鈍時
の粒成長抑制効果についても、場所的に均一に作用する
と考えられる。このため、AlNの場所的不均一に起因
する脱炭焼鈍時の粒成長の場所的不均一を、Snは希釈
する効果があるものと考えられる。従って、本発明のN
量,Ti量,Zr量を制限する技術及び、後述する一次
再結晶粒径の制御に加え、Snを添加することはさらに
製品の磁気特性の場所的バラツキを低減させるのに有効
である。このSnの適正範囲を0.01〜0.15%と
した。この下限値未満では、粒成長抑制効果が少な過ぎ
て好ましくない。一方、この上限値を超えると鋼板の窒
化が難しくなり、二次再結晶不良の原因となるため好ま
しくない。
ているSb,Cr,Ni,B,Nb等を微量に含有する
ことは差し支えない。特に、B,Nb等窒化物構成元素
は、スラブ内の温度差に起因するAlNの場所的差を低
減するために積極的に添加しても構わない。
ダウンを行うという目的から1280℃未満と限定し
た。好ましくは1200℃以下である。加熱されたスラ
ブは、引き続き熱延されて熱延板となる。この熱延方法
については、特に限定されるものではないが、熱延の終
了温度を850〜1050℃とし、熱延の最終了パスの
累積圧下率を40%以上とすることは、製品の磁性の場
所的バラツキを低減し、かつ磁性を向上させる上でさら
に好ましい。
最終冷延を含み、必要に応じて中間焼鈍をはさむ1回以
上の冷延を施す。最終冷延の圧下率を80%以上とした
のは、圧下率を上記範囲とすることによって、脱炭板に
おいて尖鋭な{110}〈001〉方位粒と、これに蚕
食されやすい対応方位粒({111}〈112〉方位粒
等)を適正量得ることができ、磁束密度を高める上で好
ましいためである。
焼鈍を施すことは、磁気特性を高位安定化する上で、さ
らに好ましい。この温度域で熱処理することは、Al
N,Cu2 S,MnSの熱延板の場所的不均一性を低減
する効果がある。
鈍、焼鈍分離剤塗布、最終仕上焼鈍を施されて最終製品
となる。ここで脱炭焼鈍完了後、最終仕上焼鈍開始まで
の間の一次再結晶粒の平均粒径を18〜35μmに制御
することは、N,Ti,Zr量の制御に加え、さらに好
ましい。その理由はこの平均粒径の範囲で良好な磁束密
度が得られやすく、かつ粒径変動に対する磁束密度の変
化が少ないからである。
開始までの間に鋼板に窒化処理を施すと規定したのは、
本発明の如き低温スラブ加熱を前提とするプロセスで
は、二次再結晶に必要なインヒビター強度が不足がちに
なるからである。窒化の方法としては特に限定するもの
ではなく、脱炭焼鈍後引き続き焼鈍雰囲気にNH3 ガス
を混入させ窒化する方法、プラズマを用いる方法、焼鈍
分離剤に窒化物を添加し、最終仕上焼鈍の昇温中に窒化
物が分解してできた窒素を鋼板に吸収させる方法、最終
仕上焼鈍の雰囲気のN2 分圧を高めとし、鋼板を窒化す
る方法等何れの方法でも良い。窒化量については特に限
定するものではないが、1ppm 以上は必要である。
量%、Mn:0.18重量%、S:0.016重量%、
酸可溶性Al:0.024重量%を基本成分とし、N量
を0.0083重量%、0.0012重量%の2水
準とし、Ti量を0.0002重量%、0.004
1重量%なる2水準で添加した4種類の250mm厚のス
ラブを作成した。かかるスラブをa:1180℃、b:
1110℃の2水準の温度で60分均熱した後、直ちに
熱延を開始し、5パスで40mm厚とした後、6パスで
2.3mm厚の熱延板とした。次いで、熱延終了後は、秒
間空冷後550℃まで水冷し、550℃に1時間保持し
た後炉冷する巻取りシュミレーションを行った。
0.285mmの冷延板とし、835℃で150秒保持す
る脱炭焼鈍を施した。しかる後、750℃で30秒保持
する焼鈍を行い、焼鈍雰囲気中にNH3 ガスを混入させ
鋼板に窒素を吸収せしめた。窒化後のこの鋼板のN量は
0.0190〜0.0217重量%であった。次いで、
この鋼板にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、
N2 25%、H2 75%の雰囲気ガス中で15℃/時の
速度で1200℃まで昇温し、引き続きH2 100%雰
囲気ガス中で1200℃で20時間保持する最終仕上焼
鈍を行った。実験条件と磁気特性の結果を表1に示す。
i:3.24重量%、Mn:0.14重量%、S:0.
015重量%、N:0.0010重量%、酸可溶性A
l:0.024重量%を基本成分とし、Tiを0.0
003重量%、0.0041重量%、Zrを0.0
004重量%、0.0054重量%の各2水準のレベ
ルで添加し、残部Fe及び不可避的不純物からなる4種
類の250mm厚のスラブを作成した。かかるスラブを
a:1180℃、b:1110℃の2水準の温度で60
分均熱した後、直ちに熱延を開始し、5パスで40mm厚
とした後、6パスで2.3mm厚の熱延板とした。次い
で、この熱延板を最終仕上焼鈍まで実施例1の条件で処
理した。窒化後のN量は0.0195〜0.0208重
量%であった。実験条件と製品の磁気特性を表2に示
す。
i:3.28重量%、Mn:0.21重量%、S:0.
018重量%、酸可溶性Al:0.025重量%、N:
0.0018重量%、Ti:0.0045重量%を添加
し、残部Fe及び不可避的不純物からなる250mm厚ス
ラブを作成した。かかるスラブをa:1150℃、b:
1080℃の2水準の温度で60分均熱した後、直ちに
熱延を開始し、5パスで40mm厚とした後、6パスで
2.3mm厚の熱延板とした。
88%で0.285mmの冷延板とし、820℃、8
40℃、860℃、870℃の各温度で150秒保
持する脱炭焼鈍を施した。しかる後、750℃で30秒
保持する焼鈍を行い、焼鈍雰囲気中にNH3 ガスを混入
させ鋼板に窒素吸収を生ぜしめた。窒化後のこの鋼板の
N量は0.0198〜0.0237重量%であった。そ
してこの鋼板の平均結晶粒径を、光学顕微鏡と画像解析
機を用いて測定した。次いで、この鋼板にMgOを主成
分とする焼鈍分離剤を塗布し、N2 50%、H2 50%
の雰囲気ガス中で20℃/時の速度で1200℃まで昇
温し、引き続きH2 100%雰囲気ガス中で1200℃
で20時間保持する最終仕上焼鈍を行った。実験条件と
製品の磁気特性を表3に示す。
i:3.34重量%、Mn:0.24重量%、S:0.
016重量%、酸可溶性Al:0.024重量%、N:
0.0008重量%、Zr:0.0041重量%を基本
成分とし、Sn量を添加なし(<0.01重量%)、
0.05重量%、0.11重量%なる3水準で添加
し、残部Fe及び不可避的不純物からなる3種類の25
0mm厚のスラブを作成した。かかるスラブをa:117
0℃、b:1100℃の2水準の温度で60分均熱した
後、直ちに熱延を開始し、5パスで40mm厚とした後、
6パスで2.3mm厚の熱延板とした。次いでこの熱延板
を最終仕上焼鈍まで実施例3の条件で処理した。ただ
し、脱炭焼鈍条件については、840℃×150秒
(均熱)、860℃×150秒(均熱)のみ行った。
窒化後のN量は、0.0198〜0.0226重量%で
あった。実験条件と製品の磁気特性を表4に示す。
i:3.44重量%、Mn:0.31重量%、S:0.
018重量%、N:0.0014重量%、酸可溶性A
l:0.026重量%を基本成分とし、酸可溶性Tiを
0.0006重量%、0.0037重量%なる2水
準のレベルで添加し、さらには、Snを(a)添加なし
(<0.01重量%)、(b)0.06重量%なる2水
準とし、残部Fe及び不可避的不純物からなる4種類の
250mm厚のスラブを作成した。かかるスラブをa:1
160℃、b:1090℃の2水準の温度で60分均熱
した後、直ちに熱延を開始し、5パスで40mm厚とした
後、6パスで2.3mm厚の熱延板とした。次いで、熱延
板を1100℃に30秒保持し引き続き900℃に30
秒保持した後急冷する熱延板焼鈍を施した。
まで冷間圧延し、次いで、825℃×90秒(均熱)な
る脱炭焼鈍を施した。その後、750℃で30秒保持す
る焼鈍を行い、焼鈍雰囲気中にNH3 ガスを混入させ鋼
板に窒素吸収を生ぜしめた。窒化後の鋼板のN量は、
0.0215〜0.0223重量%であった。次いで、
この鋼板にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、
N2 50%、H2 50%の雰囲気ガス中で10℃/時の
速度で1200℃まで昇温し、引き続きH2 100%雰
囲気ガス中で1200℃で20時間保持する最終仕上焼
鈍を行った。実験条件と製品の磁気特性を表5に示す。
の熱延板を1.8mmまで冷間圧延し、次いで、1100
℃に30秒保持し、引き続き900℃に30秒保持した
後急冷する焼鈍を施した。しかる後、圧下率約91%で
0.170mmまで、冷間圧延し、引き続き、脱炭焼鈍か
ら最終仕上焼鈍までの工程を実施例5記載の条件で処理
した。窒化後の鋼板のN量は、0.0190〜0.02
43重量%であった。実験条件と製品の磁気特性を表6
に示す。
i:3.02重量%、Cu:0.08重量%、S:0.
012重量%、酸可溶性Al:0.025重量%を基本
成分とし、N量を0.0080重量%、0.001
0重量%の2水準とし、Ti量を0.0003重量
%、0.0043重量%なる2水準で添加した4種類
の250mm厚のスラブを作成した。かかるスラブをa:
1180℃、b:1110℃の2水準の温度で60分均
熱した後、直ちに熱延を開始し、5パスで40mm厚とし
た後、6パスで2.3mm厚の熱延板とした。次いで、熱
延終了後は、秒間空冷後550℃まで水冷し、550℃
に1時間保持した後炉冷する巻取りシュミレーションを
行った。
0.285mmの冷延板とし、835℃で150秒保持す
る脱炭焼鈍を施した。しかる後、750℃で30秒保持
する焼鈍を行い、焼鈍雰囲気中にNH3 ガスを混入させ
鋼板に窒素を吸収せしめた。窒化後のこの鋼板のN量は
0.0184〜0.0204重量%であった。次いで、
この鋼板にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、
N2 50%、H2 50%の雰囲気ガス中で15℃/時の
速度で1200℃まで昇温し、引き続きH2 100%雰
囲気ガス中で1200℃で20時間保持する最終仕上焼
鈍を行った。実験条件と磁気特性の結果を表7に示す。
i:3.28重量%、Cu:0.11重量%、S:0.
014重量%、N:0.0012重量%、酸可溶性A
l:0.026重量%を基本成分とし、Tiを0.0
004重量%、0.0039重量%、Zrを0.0
005重量%、0.0050重量%の各2水準のレベ
ルで添加し、残部Fe及び不可避的不純物からなる4種
類の250mm厚のスラブを作成した。かかるスラブを
a:1180℃、b:1110℃の2水準の温度で60
分均熱した後、直ちに熱延を開始し、5パスで40mm厚
とした後、6パスで2.3mm厚の熱延板とした。次い
で、この熱延板を最終仕上焼鈍まで実施例1の条件で処
理した。窒化後のN量は0.0189〜0.0206重
量%であった。実験条件と製品の磁気特性を表8に示
す。
i:3.29重量%、Cu:0.11重量%、S:0.
015重量%、酸可溶性Al:0.024重量%、N:
0.0015重量%、Ti:0.0041重量%を添加
し、残部Fe及び不可避的不純物からなる250mm厚ス
ラブを作成した。かかるスラブをa:1150℃、b:
1080℃の2水準の温度で60分均熱した後、直ちに
熱延を開始し、5パスで40mm厚とした後、6パスで
2.3mm厚の熱延板とした。
88%で0.285mmの冷延板とし、820℃、8
40℃、860℃、870℃の各温度で150秒保
持する脱炭焼鈍を施した。しかる後、750℃で30秒
保持する焼鈍を行い、焼鈍雰囲気中にNH3 ガスを混入
させ鋼板に窒素吸収を生ぜしめた。窒化後のこの鋼板の
N量は0.0194〜0.0240重量%であった。そ
してこの鋼板の平均結晶粒径を、光学顕微鏡と画像解析
機を用いて測定した。次いで、この鋼板にMgOを主成
分とする焼鈍分離剤を塗布し、N2 50%、H2 50%
の雰囲気ガス中で15℃/時の速度で1200℃まで昇
温し、引き続きH2 100%雰囲気ガス中で1200℃
で20時間保持する最終仕上焼鈍を行った。実験条件と
製品の磁気特性を表9に示す。
i:3.30重量%、Cu:0.20重量%、S:0.
013重量%、酸可溶性Al:0.025重量%、N:
0.0009重量%、Zr:0.0036重量%を基本
成分とし、Sn量を添加なし(<0.01重量%)、
0.06重量%、0.12重量%なる3水準で添加
し、残部Fe及び不可避的不純物からなる3種類の25
0mm厚のスラブを作成した。かかるスラブをa:118
0℃、b:1110℃の2水準の温度で60分均熱した
後、直ちに熱延を開始し、5パスで40mm厚とした後、
6パスで2.3mm厚の熱延板とした。次いでこの熱延板
を最終仕上焼鈍まで実施例3の条件で処理した。ただ
し、脱炭焼鈍条件については、840℃×150秒
(均熱)、860℃×150秒(均熱)のみ行った。
窒化後のN量は、0.0190〜0.0221重量%で
あった。実験条件と製品の磁気特性を表10に示す。
i:3.41重量%、Cu:0.26重量%、S:0.
016重量%、N:0.0013重量%、酸可溶性A
l:0.026重量%を基本成分とし、酸可溶性Tiを
0.0008重量%、0.0035重量%なる2水
準のレベルで添加し、さらには、Snを(a)添加なし
(<0.01重量%)、(b)0.07重量%なる2水
準とし、残部Fe及び不可避的不純物からなる4種類の
250mm厚のスラブを作成した。かかるスラブをa:1
160℃、b:1090℃の2水準の温度で60分均熱
した後、直ちに熱延を開始し、5パスで40mm厚とした
後、6パスで2.3mm厚の熱延板とした。次いで、熱延
板を1120℃に30秒保持し引き続き900℃に30
秒保持した後急冷する熱延板焼鈍を施した。
まで冷間圧延し、次いで、830℃×90秒(均熱)な
る脱炭焼鈍を施した。その後、750℃で30秒保持す
る焼鈍を行い、焼鈍雰囲気中にNH3 ガスを混入させ鋼
板に窒素吸収を生ぜしめた。窒化後の鋼板のN量は、
0.0219〜0.0228重量%であった。次いで、
この鋼板にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、
N2 50%、H2 50%の雰囲気ガス中で10℃/時の
速度で1200℃まで昇温し、引き続きH2 100%雰
囲気ガス中で1200℃で20時間保持する最終仕上焼
鈍を行った。実験条件と製品の磁気特性を表11に示
す。
厚の熱延板を1.8mmまで冷間圧延し、次いで、113
0℃に30秒保持し、引き続き900℃に30秒保持し
た後急冷する焼鈍を施した。しかる後、圧下率約91%
で0.170mmまで、冷間圧延し、引き続き、脱炭焼鈍
から最終仕上焼鈍までの工程を実施例5記載の条件で処
理した。窒化後の鋼板のN量は、0.0190〜0.0
220重量%であった。実験条件と製品の磁気特性を表
12に示す。
i:3.04重量%、Cu:0.12重量%、Mn:
0.21重量%、S:0.014重量%、酸可溶性A
l:0.025重量%を基本成分とし、N量を0.0
081重量%、0.0013重量%の2水準とし、T
i量を0.0003重量%、0.0038重量%な
る2水準で添加した4種類の250mm厚のスラブを作成
した。かかるスラブをa:1180℃、b:1110℃
の2水準の温度で60分均熱した後、直ちに熱延を開始
し、5パスで40mm厚とした後、6パスで2.3mm厚の
熱延板とした。次いで、熱延終了後は、秒間空冷後55
0℃まで水冷し、550℃に1時間保持した後炉冷する
巻取りシュミレーションを行った。
0.285mmの冷延板とし、830℃で150秒保持す
る脱炭焼鈍を施した。しかる後、750℃で30秒保持
する焼鈍を行い、焼鈍雰囲気中にNH3 ガスを混入させ
鋼板に窒素を吸収せしめた。窒化後のこの鋼板のN量は
0.0192〜0.0209重量%であった。次いで、
この鋼板にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、
N2 50%、H2 75%の雰囲気ガス中で20℃/時の
速度で1200℃まで昇温し、引き続きH2 100%雰
囲気ガス中で1200℃で20時間保持する最終仕上焼
鈍を行った。実験条件と磁気特性の結果を表13に示
す。
i:3.21重量%、Cu:0.13重量%、Mn:
0.10重量%、S:0.012重量%、N:0.00
11重量%、酸可溶性Al:0.026重量%を基本成
分とし、Tiを0.0004重量%、0.0038
重量%、Zrを0.0003重量%、0.0052
重量%の各2水準のレベルで添加し、残部Fe及び不可
避的不純物からなる4種類の250mm厚のスラブを作成
した。かかるスラブをa:1190℃、b:1120℃
の2水準の温度で60分均熱した後、直ちに熱延を開始
し、5パスで40mm厚とした後、6パスで2.3mm厚の
熱延板とした。次いで、この熱延板を最終仕上焼鈍まで
実施例7の条件で処理した。窒化後のN量は0.019
8〜0.0209重量%であった。実験条件と製品の磁
気特性を表14に示す。
i:3.20重量%、Cu:0.13重量%、Mn:
0.20重量%、S:0.017重量%、酸可溶性A
l:0.026重量%、N:0.0013重量%、T
i:0.0040重量%を添加し、残部Fe及び不可避
的不純物からなる250mm厚スラブを作成した。かかる
スラブをa:1150℃、b:1070℃の2水準の温
度で60分均熱した後、直ちに熱延を開始し、5パスで
40mm厚とした後、6パスで2.3mm厚の熱延板とし
た。
88%で0.285mmの冷延板とし、820℃、8
40℃、860℃、870℃の各温度で150秒保
持する脱炭焼鈍を施した。しかる後、750℃で30秒
保持する焼鈍を行い、焼鈍雰囲気中にNH3 ガスを混入
させ鋼板に窒素吸収を生ぜしめた。窒化後のこの鋼板の
N量は0.0197〜0.0206重量%であった。そ
してこの鋼板の平均結晶粒径を、光学顕微鏡と画像解析
機を用いて測定した。次いで、この鋼板にMgOを主成
分とする焼鈍分離剤を塗布し、N2 25%、H2 75%
の雰囲気ガス中で20℃/時の速度で1200℃まで昇
温し、引き続きH2 100%雰囲気ガス中で1200℃
で20時間保持する最終仕上焼鈍を行った。実験条件と
製品の磁気特性を表15に示す。
i:3.32重量%、Cu:0.09重量%、S:0.
017重量%、酸可溶性Al:0.024重量%、N:
0.0008重量%、Zr:0.0041重量%を基本
成分とし、Mn量を添加なし(<0.01重量%)、
0.08重量%、0.18重量%なる3水準で添加
し、残部Fe及び不可避的不純物からなる3種類の25
0mm厚のスラブを作成した。かかるスラブをa:117
0℃、b:1100℃の2水準の温度で60分均熱した
後、直ちに熱延を開始し、5パスで40mm厚とした後、
6パスで2.3mm厚の熱延板とした。次いでこの熱延板
を最終仕上焼鈍まで実施例9の条件で処理した。ただ
し、脱炭焼鈍条件については、840℃×150秒
(均熱)、860℃×150秒(均熱)のみ行った。
窒化後のN量は、0.0189〜0.0208重量%で
あった。実験条件と製品の磁気特性を表16に示す。
i:3.47重量%、Cu:0.23重量%、Mn:
0.35重量%、S:0.019重量%、N:0.00
10重量%、酸可溶性Al:0.025重量%を基本成
分とし、酸可溶性Tiを0.0005重量%、0.
0035重量%なる2水準のレベルで添加し、さらに
は、Snを(a)添加なし(<0.01重量%)、
(b)0.06重量%なる2水準とし、残部Fe及び不
可避的不純物からなる4種類の250mm厚のスラブを作
成した。かかるスラブをa:1160℃、b:1090
℃の2水準の温度で60分均熱した後、直ちに熱延を開
始し、5パスで40mm厚とした後、6パスで2.3mm厚
の熱延板とした。次いで、熱延板を1090℃に30秒
保持し引き続き920℃に30秒保持した後急冷する熱
延板焼鈍を施した。
まで冷間圧延し、次いで、835℃×90秒(均熱)な
る脱炭焼鈍を施した。その後、750℃で30秒保持す
る焼鈍を行い、焼鈍雰囲気中にNH3 ガスを混入させ鋼
板に窒素吸収を生ぜしめた。窒化後の鋼板のN量は、
0.0204〜0.0219重量%であった。次いで、
この鋼板にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、
N2 50%、H2 50%の雰囲気ガス中で15℃/時の
速度で1200℃まで昇温し、引き続きH2 100%雰
囲気ガス中で1200℃で20時間保持する最終仕上焼
鈍を行った。実験条件と製品の磁気特性を表17に示
す。
mm厚の熱延板を1.8mmまで冷間圧延し、次いで、10
90℃に30秒保持し、引き続き910℃に30秒保持
した後急冷する焼鈍を施した。しかる後、圧下率約91
%で0.170mmまで、冷間圧延し、引き続き、脱炭焼
鈍から最終仕上焼鈍までの工程を実施例11記載の条件
で処理した。窒化後の鋼板のN量は、0.0195〜
0.0219重量%であった。実験条件と製品の磁気特
性を表18に示す。
は、N量,Ti量,Zr量,S量,Mn量,Cu量を制
御し、さらには脱炭焼鈍完了後、最終仕上焼鈍開始まで
の間での一次再結晶粒の平均粒径を制御し、さらにはS
n添加し、さらには、所定の温度で熱延板焼鈍を施すこ
とにより、良好な磁気特性をスラブ加熱時のスラブの温
度偏差に起因する場所的バラツキなく安定して得ること
ができるので、その工業的効果は極めて大である。
Cuを添加しない場合(すなわち第1の実験の場合)の
N量、Y(%)=0.292×Ti(%)+0.154
×Zr(%)とスラブ加熱温度差起因の磁気特性差、鉄
損特性との関係を表すグラフである。
Mnを添加しない場合(すなわち第2の実験の場合)の
N量、Y(%)=0.292×Ti(%)+0.154
×Zr(%)とスラブ加熱温度差起因の磁気特性差、鉄
損特性との関係を表すグラフである。
ろは下記の通りである。すなわち、(1)重量%でC
:0.025〜0.075%、Si:2.5〜4.5
%、酸可溶性Al:0.010〜0.060%、N :
0.0030%未満、S :0.01〜0.05%、M
n:0.02〜0.8%を含有し、残部がFe及び不可
避的不純物からなるスラブを1280℃未満の温度で加
熱し、熱延し、圧下率80%以上の最終冷延を含み、必
要に応じて中間焼鈍をはさむ1回以上の冷延を施し、次
いで、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を施して一方向性電磁鋼
板を製造する方法において、スラブのTi,Zr,Nの
含有量(重量%)を、下記の式に制御し、0.5×N
(%)<0.292 ×Ti(%)+0.154 ×Zr(%)<0.
0050熱延後、最終仕上焼鈍開始までの間に鋼板に窒化処
理を施すことを特徴とする磁気特性の優れた一方向性電
磁鋼板の安定製造方法であり、(2)重量%でC :
0.025〜0.075%、Si:2.5〜4.5%、
酸可溶性Al:0.010〜0.060%、N :0.
0030%未満、S :0.01〜0.05%、Cu:
0.01〜0.40%を含有し、残部がFe及び不可避
的不純物からなるスラブを1280℃未満の温度で加熱
し、熱延し、圧下率80%以上の最終冷延を含み、必要
に応じて中間焼鈍をはさむ1回以上の冷延を施し、次い
で、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を施して一方向性電磁鋼板
を製造する方法において、スラブのTi,Zr,Nの含
有量(重量%)を、下記の式に制御し、 0.5×N(%)<0.292 ×Ti(%)+0.154 ×Zr
(%)<0.0050 熱延後、最終仕上焼鈍開始までの間に鋼板に窒化処理を
施すことを特徴とする磁気特性の優れた一方向性電磁鋼
板の安定製造方法、(3)重量%でC :0.025〜
0.075%、Si:2.5〜4.5%、酸可溶性A
l:0.010〜0.060%、N :0.0030%
未満、S :0.01〜0.05%、Cu:0.01〜
0.40%、Mn:0.02〜0.8%を含有し、残部
がFe及び不可避的不純物からなるスラブを1280℃
未満の温度で加熱し、熱延し、圧下率80%以上の最終
冷延を含み、必要に応じて中間焼鈍をはさむ1回以上の
冷延を施し、次いで、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を施して
一方向性電磁鋼板を製造する方法において、スラブのT
i,Zr,Nの含有量(重量%)を、下記の式に制御
し、 0.5×N(%)<0.292 ×Ti(%)+0.154 ×Zr
(%)<0.0050 熱延後、最終仕上焼鈍開始までの間に鋼板に窒化処理を
施すことを特徴とする磁気特性の優れた一方向性電磁鋼
板の安定製造方法、及び(4)スラブの成分としてがさ
らにSn:0.01〜0.15%を含有せしめることを
特徴とする前各項に記載の磁気特性の優れた一方向性電
磁鋼板の安定製造方法、さらに(5)熱延後850〜1
250℃の熱延板焼鈍を施すことを特徴とする前各項に
記載の磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方
法であり、(6)脱炭焼鈍完了後、最終仕上焼鈍開始ま
での一次再結晶粒の平均粒径を18〜35μmとするこ
とを特徴とする前各項に記載の磁気特性の優れた一方向
性電磁鋼板の安定製造方法である。
た。すなわち、重量で、C=0.045%、Si=3.
20%、酸可溶性Al=0.018〜0.040%、N
=0.0006〜0.0098%、S=0.015%、
Mn=0.16%、Ti=0.0007〜0.0211
%、Zr=0.0005〜0.0414%を含有し、残
部Fe及び不可避的不純物からなる250mm厚のスラブ
を作成した。そして1100℃、1200℃の2水
準の温度で各スラブを60分均熱後11パスの熱延で
2.3mm厚とし、約3秒後に水冷し、550℃まで冷却
した後、550℃の温度に1時間保持した。かかる熱延
板に熱延板焼鈍を施すことなく約88%の強圧下圧延を
行って最終板厚0.285mmの冷延板とした。この冷延
板を835℃に150秒保持する脱炭焼鈍を施し、次い
で、750℃に30秒保持する焼鈍時、焼鈍雰囲気中に
NH3 ガスを混入させ、鋼板に窒素を吸収せしめた。こ
の窒化処理後のN量は、0.0187〜0.0214重
量%であった。かかる窒化処理後の鋼板にMgOを主成
分とする焼鈍分離剤を塗布し、最終仕上焼鈍を行った。
しかる後、製品の磁束密度B8 を測定し、同一成分のス
ラブに対してとった2つのスラブ均熱条件でのB8 の差
ΔB8 〔スラブ加熱温度1100℃におけるB8 (T)
−同温度1200℃におけるB8 (T)〕を求め、鉄損
値W17/50 (w/kg)の平均値と共に図1に示した。図
1から明らかなように、N(%)<0.0030、0.
5×N(%)<Y(%)<0.0050の範囲で、スラ
ブ加熱温度差に起因する製品の磁束密度の差ΔB
8 (T)が0.02T未満におさまり、かつ、W17/50
(平均値)<1.00w/kgなる良好な鉄損特性を示し
た。
た。すなわち、重量で、C=0.041%、Si=3.
05%、酸可溶性Al=0.019〜0.045%、N
=0.0004〜0.0092%、S=0.014%、
Cu=0.18%、Ti=0.0008〜0.0204
%、Zr=0.0004〜0.0409%を含有し、残
部Fe及び不可避的不純物からなる250mm厚のスラブ
を作成した。そして1100℃、1200℃の2水
準の温度で各スラブを60分均熱後11パスの熱延で
2.3mm厚とし、約3秒後に水冷し、550℃まで冷却
した後、550℃の温度に1時間保持した。かかる熱延
板に熱延板焼鈍を施すことなく約88%の強圧下圧延を
行って最終板厚0.285mmの冷延板とした。この冷延
板を835℃に150秒保持する脱炭焼鈍を施し、次い
で、750℃に30秒保持する焼鈍時、焼鈍雰囲気中に
NH3 ガスを混入させ、鋼板に窒素を吸収せしめた。こ
の窒化処理後のN量は、0.0196〜0.0209重
量%であった。かかる窒化処理後の鋼板にMgOを主成
分とする焼鈍分離剤を塗布し、最終仕上焼鈍を行った。
しかる後、製品の磁束密度B8 を測定し、同一成分のス
ラブに対してとった2つのスラブ均熱条件でのB8 の差
ΔB8 〔スラブ加熱温度1100℃におけるB8 (T)
−同温度1200℃におけるB8 (T)〕を求め、鉄損
値W17/50 (w/kg)の平均値と共に図2に示した。図
2から明らかなように、第2の実験の場合も第1の実験
と同様にN(%)<0.0030、0.5×N(%)<
Y(%)<0.0050の範囲で、スラブ加熱温度差に
起因する製品の磁束密度の差ΔB8 (T)が0.02T
未満におさまり、かつ、W17/50 (平均値)<1.00
w/kgなる良好な鉄損特性を示した。また、Mn,C
u,Sを複合して添加した場合にも、上記第1の実験及
び第2の実験と同様の効果が得られた。
0.285mmの冷延板とし、830℃で150秒保持す
る脱炭焼鈍を施した。しかる後、750℃で30秒保持
する焼鈍を行い、焼鈍雰囲気中にNH3 ガスを混入させ
鋼板に窒素を吸収せしめた。窒化後のこの鋼板のN量は
0.0184〜0.0204重量%であった。次いで、
この鋼板にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、
N2 50%、H2 50%の雰囲気ガス中で15℃/時の
速度で1200℃まで昇温し、引き続きH2 100%雰
囲気ガス中で1200℃で20時間保持する最終仕上焼
鈍を行った。実験条件と磁気特性の結果を表7に示す。
i:3.28重量%、Cu:0.11重量%、S:0.
014重量%、N:0.0012重量%、酸可溶性A
l:0.026重量%を基本成分とし、Tiを0.0
004重量%、0.0039重量%、Zrを0.0
005重量%、0.0050重量%の各2水準のレベ
ルで添加し、残部Fe及び不可避的不純物からなる4種
類の250mm厚のスラブを作成した。かかるスラブを
a:1180℃、b:1110℃の2水準の温度で60
分均熱した後、直ちに熱延を開始し、5パスで40mm厚
とした後、6パスで2.3mm厚の熱延板とした。次い
で、この熱延板を最終仕上焼鈍まで実施例7の条件で処
理した。窒化後のN量は0.0189〜0.0206重
量%であった。実験条件と製品の磁気特性を表8に示
す。
i:3.30重量%、Cu:0.20重量%、S:0.
013重量%、酸可溶性Al:0.025重量%、N:
0.0009重量%、Zr:0.0036重量%を基本
成分とし、Sn量を添加なし(<0.01重量%)、
0.06重量%、0.12重量%なる3水準で添加
し、残部Fe及び不可避的不純物からなる3種類の25
0mm厚のスラブを作成した。かかるスラブをa:118
0℃、b:1110℃の2水準の温度で60分均熱した
後、直ちに熱延を開始し、5パスで40mm厚とした後、
6パスで2.3mm厚の熱延板とした。次いでこの熱延板
を最終仕上焼鈍まで実施例9の条件で処理した。ただ
し、脱炭焼鈍条件については、840℃×150秒
(均熱)、860℃×150秒(均熱)のみ行った。
窒化後のN量は、0.0190〜0.0221重量%で
あった。実験条件と製品の磁気特性を表10に示す。
mm厚の熱延板を1.8mmまで冷間圧延し、次いで、11
30℃に30秒保持し、引き続き900℃に30秒保持
した後急冷する焼鈍を施した。しかる後、圧下率約91
%で0.170mmまで、冷間圧延し、引き続き、脱炭焼
鈍から最終仕上焼鈍までの工程を実施例11記載の条件
で処理した。窒化後の鋼板のN量は、0.0190〜
0.0220重量%であった。実験条件と製品の磁気特
性を表12に示す。
0.285mmの冷延板とし、830℃で150秒保持す
る脱炭焼鈍を施した。しかる後、750℃で30秒保持
する焼鈍を行い、焼鈍雰囲気中にNH3 ガスを混入させ
鋼板に窒素を吸収せしめた。窒化後のこの鋼板のN量は
0.0192〜0.0209重量%であった。次いで、
この鋼板にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、
N2 25%、H2 75%の雰囲気ガス中で20℃/時の
速度で1200℃まで昇温し、引き続きH2 100%雰
囲気ガス中で1200℃で20時間保持する最終仕上焼
鈍を行った。実験条件と磁気特性の結果を表13に示
す。
i:3.21重量%、Cu:0.13重量%、Mn:
0.10重量%、S:0.012重量%、N:0.00
11重量%、酸可溶性Al:0.026重量%を基本成
分とし、Tiを0.0004重量%、0.0038
重量%、Zrを0.0003重量%、0.0052
重量%の各2水準のレベルで添加し、残部Fe及び不可
避的不純物からなる4種類の250mm厚のスラブを作成
した。かかるスラブをa:1190℃、b:1120℃
の2水準の温度で60分均熱した後、直ちに熱延を開始
し、5パスで40mm厚とした後、6パスで2.3mm厚の
熱延板とした。次いで、この熱延板を最終仕上焼鈍まで
実施例13の条件で処理した。窒化後のN量は0.01
98〜0.0209重量%であった。実験条件と製品の
磁気特性を表14に示す。
i:3.32重量%、Cu:0.09重量%、S:0.
017重量%、酸可溶性Al:0.024重量%、N:
0.0008重量%、Zr:0.0041重量%を基本
成分とし、Mn量を添加なし(<0.01重量%)、
0.08重量%、0.18重量%なる3水準で添加
し、残部Fe及び不可避的不純物からなる3種類の25
0mm厚のスラブを作成した。かかるスラブをa:117
0℃、b:1100℃の2水準の温度で60分均熱した
後、直ちに熱延を開始し、5パスで40mm厚とした後、
6パスで2.3mm厚の熱延板とした。次いでこの熱延板
を最終仕上焼鈍まで実施例15の条件で処理した。ただ
し、脱炭焼鈍条件については、840℃×150秒
(均熱)、860℃×150秒(均熱)のみ行った。
窒化後のN量は、0.0189〜0.0208重量%で
あった。実験条件と製品の磁気特性を表16に示す。
mm厚の熱延板を1.8mmまで冷間圧延し、次いで、10
90℃に30秒保持し、引き続き910℃に30秒保持
した後急冷する焼鈍を施した。しかる後、圧下率約91
%で0.170mmまで、冷間圧延し、引き続き、脱炭焼
鈍から最終仕上焼鈍までの工程を実施例17記載の条件
で処理した。窒化後の鋼板のN量は、0.0195〜
0.0219重量%であった。実験条件と製品の磁気特
性を表18に示す。
Claims (6)
- 【請求項1】 重量%でC :0.025〜0.075
%、Si:2.5〜4.5%、酸可溶性Al:0.01
0〜0.060%、N :0.0030%未満、S :
0.01〜0.05%、Mn:0.02〜0.8%を含
有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるスラブを
1280℃未満の温度で加熱し、熱延し、圧下率80%
以上の最終冷延を含み、必要に応じて中間焼鈍をはさむ
1回以上の冷延を施し、次いで、脱炭焼鈍、最終仕上焼
鈍を施して一方向性電磁鋼板を製造する方法において、
スラブのTi,Zr,Nの含有量(重量%)を、下記の
式に制御し、 0.5×N(%)<0.292 ×Ti(%)+0.154 ×Zr
(%)<0.0050 熱延後、最終仕上焼鈍開始までの間に鋼板に窒化処理を
施すことを特徴とする磁気特性の優れた一方向性電磁鋼
板の安定製造方法。 - 【請求項2】 重量%でC :0.025〜0.075
%、Si:2.5〜4.5%、酸可溶性Al:0.01
0〜0.060%、N :0.0030%未満、S :
0.01〜0.05%、Cu:0.01〜0.40%を
含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるスラブ
を1280℃未満の温度で加熱し、熱延し、圧下率80
%以上の最終冷延を含み、必要に応じて中間焼鈍をはさ
む1回以上の冷延を施し、次いで、脱炭焼鈍、最終仕上
焼鈍を施して一方向性電磁鋼板を製造する方法におい
て、スラブのTi,Zr,Nの含有量(重量%)を、下
記の式に制御し、 0.5×N(%)<0.292 ×Ti(%)+0.154 ×Zr
(%)<0.0050 熱延後、最終仕上焼鈍開始までの間に鋼板に窒化処理を
施すことを特徴とする磁気特性の優れた一方向性電磁鋼
板の安定製造方法。 - 【請求項3】 重量%でC :0.025〜0.075
%、Si:2.5〜4.5%、酸可溶性Al:0.01
0〜0.060%、N :0.0030%未満、Cu:
0.01〜0.40%、Mn:0.02〜0.8%を含
有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるスラブを
1280℃未満の温度で加熱し、熱延し、圧下率80%
以上の最終冷延を含み、必要に応じて中間焼鈍をはさむ
1回以上の冷延を施し、次いで、脱炭焼鈍、最終仕上焼
鈍を施して一方向性電磁鋼板を製造する方法において、
スラブのTi,Zr,Nの含有量(重量%)を、下記の
式に制御し、 0.5×N(%)<0.292 ×Ti(%)+0.154 ×Zr
(%)<0.0050 熱延後、最終仕上焼鈍開始までの間に鋼板に窒化処理を
施すことを特徴とする磁気特性の優れた一方向性電磁鋼
板の安定製造方法。 - 【請求項4】 スラブの成分としてがさらにSn:0.
01〜0.15%を含有せしめることを特徴とする請求
項1または2または3記載の磁気特性の優れた一方向性
電磁鋼板の安定製造方法。 - 【請求項5】 熱延後850〜1250℃の熱延板焼鈍
を施すことを特徴とする請求項1または2または3また
は4記載の磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製
造方法。 - 【請求項6】 脱炭焼鈍完了後、最終仕上焼鈍開始まで
の一次再結晶粒の平均粒径を18〜35μmとすること
を特徴とする請求項1または2または3または4または
5記載の磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5115033A JP3065853B2 (ja) | 1992-12-08 | 1993-05-17 | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4-328168 | 1992-12-08 | ||
JP32816892 | 1992-12-08 | ||
JP5115033A JP3065853B2 (ja) | 1992-12-08 | 1993-05-17 | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06228646A true JPH06228646A (ja) | 1994-08-16 |
JP3065853B2 JP3065853B2 (ja) | 2000-07-17 |
Family
ID=26453647
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5115033A Expired - Fee Related JP3065853B2 (ja) | 1992-12-08 | 1993-05-17 | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3065853B2 (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09118920A (ja) * | 1995-10-25 | 1997-05-06 | Nippon Steel Corp | 磁気特性が優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法 |
JP2007254829A (ja) * | 2006-03-23 | 2007-10-04 | Nippon Steel Corp | 磁気特性が優れた高Si含有方向性電磁鋼板の製造方法 |
WO2011102455A1 (ja) * | 2010-02-18 | 2011-08-25 | 新日本製鐵株式会社 | 方向性電磁鋼板の製造方法 |
WO2011102456A1 (ja) * | 2010-02-18 | 2011-08-25 | 新日本製鐵株式会社 | 方向性電磁鋼板の製造方法 |
CN109957640A (zh) * | 2017-12-26 | 2019-07-02 | Posco公司 | 取向电工钢板及其制备方法 |
WO2021045212A1 (ja) * | 2019-09-06 | 2021-03-11 | Jfeスチール株式会社 | 方向性電磁鋼板およびその製造方法 |
-
1993
- 1993-05-17 JP JP5115033A patent/JP3065853B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09118920A (ja) * | 1995-10-25 | 1997-05-06 | Nippon Steel Corp | 磁気特性が優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法 |
JP2007254829A (ja) * | 2006-03-23 | 2007-10-04 | Nippon Steel Corp | 磁気特性が優れた高Si含有方向性電磁鋼板の製造方法 |
JP4598702B2 (ja) * | 2006-03-23 | 2010-12-15 | 新日本製鐵株式会社 | 磁気特性が優れた高Si含有方向性電磁鋼板の製造方法 |
WO2011102455A1 (ja) * | 2010-02-18 | 2011-08-25 | 新日本製鐵株式会社 | 方向性電磁鋼板の製造方法 |
WO2011102456A1 (ja) * | 2010-02-18 | 2011-08-25 | 新日本製鐵株式会社 | 方向性電磁鋼板の製造方法 |
JP4943559B2 (ja) * | 2010-02-18 | 2012-05-30 | 新日本製鐵株式会社 | 方向性電磁鋼板の製造方法 |
CN102762751A (zh) * | 2010-02-18 | 2012-10-31 | 新日本制铁株式会社 | 方向性电磁钢板的制造方法 |
US9175362B2 (en) | 2010-02-18 | 2015-11-03 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation | Method of manufacturing grain-oriented electrical steel sheet |
CN109957640A (zh) * | 2017-12-26 | 2019-07-02 | Posco公司 | 取向电工钢板及其制备方法 |
JP2019116680A (ja) * | 2017-12-26 | 2019-07-18 | ポスコPosco | 方向性電磁鋼板用スラブ、方向性電磁鋼板およびその製造方法 |
WO2021045212A1 (ja) * | 2019-09-06 | 2021-03-11 | Jfeスチール株式会社 | 方向性電磁鋼板およびその製造方法 |
JPWO2021045212A1 (ja) * | 2019-09-06 | 2021-11-25 | Jfeスチール株式会社 | 方向性電磁鋼板およびその製造方法 |
CN114364821A (zh) * | 2019-09-06 | 2022-04-15 | 杰富意钢铁株式会社 | 方向性电磁钢板及其制造方法 |
CN114364821B (zh) * | 2019-09-06 | 2023-10-20 | 杰富意钢铁株式会社 | 方向性电磁钢板及其制造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3065853B2 (ja) | 2000-07-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPS5948934B2 (ja) | 高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH07252532A (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH0567683B2 (ja) | ||
JPH03294427A (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP3065853B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法 | |
JP3008003B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2607331B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH06306473A (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2521585B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP3169490B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2709549B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH05230534A (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH07118746A (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法 | |
JP2878501B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2521586B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP3314844B2 (ja) | 磁気特性と被膜性状の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP3287488B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH06145802A (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH06306474A (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2948455B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法 | |
JP2948454B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法 | |
JPH06145803A (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法 | |
JPH05156361A (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH07305116A (ja) | 高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH08143962A (ja) | 磁気特性と被膜性状の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20000328 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080512 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090512 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100512 Year of fee payment: 10 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100512 Year of fee payment: 10 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110512 Year of fee payment: 11 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120512 Year of fee payment: 12 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130512 Year of fee payment: 13 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |