JP3169490B2 - 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法Info
- Publication number
- JP3169490B2 JP3169490B2 JP28118193A JP28118193A JP3169490B2 JP 3169490 B2 JP3169490 B2 JP 3169490B2 JP 28118193 A JP28118193 A JP 28118193A JP 28118193 A JP28118193 A JP 28118193A JP 3169490 B2 JP3169490 B2 JP 3169490B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- annealing
- hot rolling
- steel sheet
- rolling
- finish
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)
- Soft Magnetic Materials (AREA)
Description
て使用される磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造
方法に関する。
他の電気機器の鉄心材料として使用されており、励磁特
性、鉄損特性等の磁気特性に優れていることが要求され
る。励磁特性を表わす数値としては、通常磁場の強さ8
00A/m における磁束密度B8が使用される。また、鉄
損特性を表わす数値としては、周波数50Hzで1.7テ
スラー(T)まで磁化した時の1kg当りの鉄損W17/50
を使用している。磁束密度は、鉄損特性の最大支配因子
であり、一般的にいって磁束密度が高いほど鉄損特性が
良好になる。なお、一般的に磁束密度を高くすると二次
再結晶粒が大きくなり、鉄損特性が不良となる場合があ
る。これに対しては、磁区制御により、二次再結晶粒の
粒径に拘らず、鉄損特性の改善をすることができる。
程で二次再結晶を起こさせ、鋼板面に{110}、圧延
方向に〈001〉軸を持ったいわゆるゴス組織を発達さ
せることにより、製造されている。良好な磁気特性を得
るためには、磁化容易軸である〈001〉を圧延方向に
高度に揃えることが必要である。
製造技術として代表的なものに特公昭40−15644
号公報及び特公昭51−13469号公報記載の方法が
ある。前者においては主なインヒビターとしてMnS及
びAlNを、後者ではMnS,MnSe,Sb等を用い
ている。従って現在の技術においてはこれらのインヒビ
ターとして機能する析出物の大きさ、形態及び分散状態
を適正に制御することが不可欠である。MnSに関して
いえば、現在の工程では熱延前のスラブ加熱時にMnS
を一旦完全固溶させた後、熱延時に析出する方法がとら
れている。二次再結晶に必要な量のMnSを完全固溶す
るためには1400℃程度の温度が必要である。
00℃以上も高く、この高温スラブ加熱処理には、1)
方向性電磁鋼専用の高温スラブ加熱炉が必要。2)加熱
炉のエネルギー原単位が高い。3)溶融スケール量が増
大し、いわゆるノロかき出し等に見られるように操業上
の悪影響が大きい。
ブ加熱温度を普通鋼並に下げればよいわけであるが、こ
のことは同時にインヒビターとして有効なMnSの量を
少なくするかあるいは全く用いないことを意味し、必然
的に二次再結晶の不安定化をもたらす。このため低温ス
ラブ加熱化を実現するためには何らかの形でMnS以外
の析出物等によりインヒビターを強化し、仕上焼鈍時の
正常粒成長の抑制を十分にする必要がある。
の他、窒化物、酸化物及び粒界析出元素等が考えられ、
公知の技術として例えば次のようなものが挙げられる。
特公昭54−24685号公報ではAs,Bi,Sn,
Sb等の粒界偏析元素を鋼中に含有することにより、ス
ラブ加熱温度を1050〜1350℃の範囲にする方法
が開示され、特開昭52−24116号公報ではAlの
他、Zr,Ti,B,Nb,Ta,V,Cr,Mo等の
窒化物生成元素を含有することによりスラブ加熱温度を
1100〜1260℃の範囲にする方法を開示してい
る。また、特開昭57−158322号公報ではMn含
有量を下げ、Mn/Sの比率を2.5以下にすることに
より低温スラブ加熱化を行い、さらにCuの添加により
二次再結晶を安定化する技術を開示している。
金属組織の側から改良を加えた技術も開示された。すな
わち特開昭57−89433号公報ではMnに加えS,
Se,Sb,Bi,Pb,Sn,B等の元素を加え、こ
れにスラブの柱状晶率と二次冷延圧下率を組み合わせる
ことにより、1100〜1250℃の低温スラブ加熱化
を実現している。さらに特開昭59−190324号公
報ではSあるいはSeに加え、Al及びBと窒素を主体
としてインヒビターを構成し、これに冷延後の一次再結
晶焼鈍時にパルス焼鈍を施すことにより二次再結晶を安
定化する技術を公開している。
温スラブ加熱化実現のためには、これまでに多大な努力
が続けられてきている。さらに、特開昭59−5652
2号公報においてはMnを0.08〜0.45%、Sを
0.007%以下にすることにより低温スラブ加熱化を
可能にする技術が開示された。この方法により高温スラ
ブ加熱時のスラブ結晶粒粗大化に起因する製品の線状二
次再結晶不良発生の問題が解消された。
方法は元来、製造コストの低減を目的としているもの
の、当然のことながら良好な磁気特性を安定して得る技
術でなければ、工業化できない。本発明者らは、低温ス
ラブ加熱の工業化のため、最終仕上焼鈍前の一次再結
晶の平均粒径制御と、熱延後、最終仕上焼鈍の二次再
結晶開始までの間に鋼板に窒化処理を施すことを柱とす
る技術を構築してきた。この窒化処理により形成される
窒化物は、二次再結晶開始時点では、主にAlNになっ
ている。高温で変化しにくいインヒビターとして、Al
Nを選択しているわけであり、その意味において、スラ
ブ中にAlが含有されることは必須条件となる。
ることは、本技術体系からして、再考の余地があった。
つまり、スラブ中に必須のAlと、ある程度以上のN量
があれば、スラブ加熱から脱炭焼鈍までの工程で、Al
Nが形成され、脱炭焼鈍時の一次再結晶粒の粒成長に影
響を与えることとなる。本発明の目的は、この上工程で
のAlNの析出制御方策を検討し、低温スラブ加熱で、
かつ、熱延板焼鈍を省略して、なお、優れた特性を有す
る一方向性電磁鋼板の製造方法を提供することにある。
ろは、下記の通りである。 (1)重量比でC:0.075%以下、Si:2.2〜
4.5%、酸可溶性Al:0.010〜0.060%、
N:0.0130%以下、S+0.405Se:0.0
14%以下、Mn:0.05〜0.8%を含有し、残部
がFe及び不可避的不純物からなるスラブを1280℃
未満の温度で加熱し、熱延を行い、引き続き熱延板焼鈍
を施すことなく、圧下率80%以上の最終強圧下冷延を
行い、次いで脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を施して一方向性
電磁鋼板を製造する方法において、粗熱延の累積圧下率
を60%以上とし、粗熱延と仕上熱延の間の時間を1秒
以上とし、仕上熱延の開始温度を800〜1100℃と
し、スラブの酸可溶性Al,Nの含有量(重量%)、仕
上熱延の開始温度のコイル内偏差ΔFoT(℃)を下記
(1)式の範囲に制御し、脱炭焼鈍完了後、最終仕上焼
鈍開始までの一次再結晶粒の平均粒径を18〜35μm
とし、脱炭焼鈍後最終仕上焼鈍の二次再結晶開始までの
間に鋼板に0.0010重量%以上の窒素吸収を行わせ
る窒化処理を施すことを特徴とする磁気特性の優れた一
方向性電磁鋼板の製造方法。 ΔFoT(℃)≦15+2500×{Al(%)−(27/14)×N(%)}……(1) 但し、Al:酸可溶性Al
さらにSn:0.01〜0.15%を含有せしめること
を特徴とする磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造
方法。
従来用いられている製鋼法で得られた溶鋼を連続鋳造法
あるいは造塊法で鋳造し、必要に応じて分塊工程をはさ
んでスラブとし、引き続き熱間圧延して熱延板とし、熱
延板を焼鈍することなく、次いで圧下率が80%以上と
なる最終冷延を施し、次いで脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を
順次行うことによって製造される。
冷延法で、低温スラブ加熱材を製造する場合の磁性の変
動の原因と、その解決策について詳細に検討した。その
結果、スラブの酸可溶性Al量,N量に応じて、仕上熱
延開始温度のコイル内偏差を制御し、粗熱延の累積圧下
率、粗熱延と仕上熱延の間の時間、仕上熱延開始温度を
制御することによって、その磁性変動を激減できること
をつきとめた。まず、実験結果を基に、本発明の効果を
説明する。
/14)×N(%)量(但し、Al:酸可溶性Al)、
仕上熱延開始温度の最高と最低の差ΔFoT(℃)と製
品の磁束密度の変動の関係を示す。この場合、重量比
で、C:0.024〜0.031%、Si:2.5〜
3.0%、酸可溶性Al:0.034〜0.040%、
N:0.0054〜0.0068%、S:0.005〜
0.007%、Mn:0.10〜0.14%を含有し、
残部Fe及び不可避的不純物からなる250mm厚の20
ton スラブを作成した。そして、1050〜1200℃
の温度に約120分保持した後、7パスで粗熱延を行
い、40mm厚とし、次いで、6パスで仕上熱延を行い、
2.3mm厚の熱延板とした。
冷を施したり、パス間時間を変更したり、粗熱延と仕上
熱延の間の時間を積極的に変更し、仕上熱延開始温度を
広範囲にとった。かかる熱延板の各コイル内で仕上熱延
開始温度が最高の部分と最低の部分から試料を切り出
し、熱延板焼鈍を施すことなく約85%の圧下率で強圧
下圧延を行って最終板厚0.335mmの冷延板とし、8
35℃に約150秒保持する脱炭焼鈍を施し、次いで、
770℃に30秒保持する焼鈍時、焼鈍雰囲気中にNH
3 ガスを混入させ、鋼板に窒素吸収を生ぜせしめた。
0.0237重量%であり、一次再結晶粒の平均粒径
(円相当直径の平均値)は、21〜26μmであった。
かかる窒化処理後の鋼板にMgOを主成分とする焼鈍分
離剤を塗布し、最終仕上焼鈍を行った。しかる後、製品
の磁束密度を測定し、同一成分、同一熱延条件の熱延板
に対してとった2つの試料(仕上熱延開始温度の最高温
度部と最低温度部)でのB8 の差ΔB8 を求めた。
≦15+2500×{Al(%)−(27/14)×N
(%)}の範囲で、ΔB8 ≦0.02Tとなり、安定し
た磁気特性となっている。図1に示したスラブの酸可溶
性Al,Nの量に対応して仕上熱延開始温度の偏差を制
御する効果メカニズムについて、必ずしも明らかではな
いが、本発明者らは、以下のように推定している。
866号公報で開示した脱炭焼鈍後の結晶組織を適切な
ものにすることを基本とする技術体系に属する。一方、
スラブ加熱完了時に固溶していたNは、熱延中または脱
炭焼鈍時(特に昇温時)微細な窒化物(主にAlN)と
なると考えられる。この微細な窒化物は、脱炭焼鈍時の
わずかの温度変化においても、サイズ、析出量が変動す
ると考えられる。
果(Zener因子)は、析出物のサイズに逆比例し、
その体積分率に比例する。従って、スラブ加熱完了時の
固溶N量を減少しすぎても、析出物の粒成長抑制効果が
小さくなりすぎ、その結果、脱炭焼鈍時の粒成長が顕著
になりすぎ、結晶組織の制御が困難となる。
00×{Al(%)−(27/14)×N(%)}は、
スラブの酸可溶性Al量,N量に応じて、仕上熱延開始
温度の偏差を規定することを意味する。ここで、Al
(%)−(27/14)×N(%)が大きい程、同一温
度差における仕上熱延開始時の固溶N量の偏差は減少す
るので、固溶N量の偏差が少ない成分系の場合、仕上熱
延開始温度偏差の許容範囲が広いことを意味する。
述べる。まず、スラブの成分と、スラブ加熱温度に関し
て限定理由を詳細に説明する。Cは、多くなりすぎると
脱炭焼鈍時間が長くなり経済的でないので0.075重
量%(以下単に%と略述)以下とした。なお磁気特性の
面で特に好ましい範囲は、0.020〜0.070%で
ある。Siは4.5%を超えると冷延時の割れが著しく
なるので4.5%以下とした。また、2.2%未満では
素材の固有抵抗が低すぎ、トランス鉄心材料として必要
な低鉄損が得られないので2.2%以上とした。Alは
二次再結晶の安定化に必要なAlNもしくは(Al,S
i)Nを確保するため、酸可溶性Alとして0.010
%以上が必要である。酸可溶性Alが0.060%を超
えると熱延板のAlNが不適切となり二次再結晶が不安
定になるので0.060%以下とした。
ブリスターと呼ばれる鋼板表面のふくれが発生するので
0.0130%以下とした。MnS,MnSeが鋼中に
存在しても、製造工程の条件を適正に選ぶことによって
磁気特性を良好にすることが可能である。しかしながら
SやSeが高いと線状細粒と呼ばれる二次再結晶不良部
が発生する傾向があり、この二次再結晶不良部の発生を
予防するためには(S+0.405Se)≦0.014
%とすべきである。SあるいはSeが上記値を超える場
合には、製造条件をいかに変更しても二次再結晶不良部
が発生する確率が高くなり好ましくない。また最終仕上
焼鈍で純化するのに要する時間が長くなりすぎて好まし
くなく、このような観点からSあるいはSeを不必要に
増すことは意味がない。
5%未満では、熱間圧延によって得られる熱延板の形状
(平坦さ)、つまりストリップの側縁部が波形状となり
製品歩留りを低下させる問題が発生する。一方、Mn量
が0.8%を超えると製品の磁束密度を低下させ好まし
くないので、Mn量の上限を0.8%とした。Snは、
粒界偏析元素として知られており、粒成長を抑制する元
素である。一方スラブ加熱時Snは完全固溶しており、
通常考えられる数10℃の温度差を有する加熱時のスラ
ブ内でも、一様に固溶していると考えられる。従って、
温度差があるにも拘らず加熱時のスラブ内で均一に分布
しているSnは、脱炭焼鈍時の粒成長抑制効果について
も、場所的に均一に作用すると考えられる。
る脱炭焼鈍時の粒成長の場所的不均一を、Snは希釈す
る効果があるものと考えられる。従って、Snを添加す
ることはさらに製品の磁気特性の変動を低減させるのに
有効である。このSnの適正範囲を0.01〜0.15
%とした。この下限値未満では、粒成長抑制効果が少な
すぎて好ましくない。一方、この上限値を超えると鋼板
の窒化が難しくなり、二次再結晶不良の原因となるため
好ましくない。
ているSb,Cu,Cr,Ni,B,Ti,Nb等を微
量に含有することはさしつかえない。特に、B,Ti,
Nb等の窒化物構成元素は、スラブ加熱時の鋼中の固溶
N量を低減するために積極的に添加してもかまわない。
これらのAlよりNとの親和力の高い元素がある場合に
は、後述する仕上熱延開始温度偏差を規定する式を計算
する際に、全N量から含有するB,Ti,Nbのために
形成される窒化物のN量を差し引きすることは、本発明
における制御効果の精度を高める上で好ましい。
ダウンを行うという目的から1280℃未満と限定し
た。好ましくは1200℃以下である。加熱されたスラ
ブは、引き続き熱延されて熱延板となる。熱延工程は、
通常100〜400mm厚のスラブを加熱した後、いずれ
も複数回のパスで行う粗熱延と仕上熱延よりなる。この
粗熱延の累積圧下率を60%以上とする必要がある。本
発明の如きAlN析出制御技術の場合、AlNの析出核
としての転位を多く導入する必要がある。累積圧下率が
60%未満ではこの転位の導入が不十分であるので、6
0%以上と規定した。この累積圧下率の上限は、特に限
定されるものではなく、99.9%程度まで許容され
る。
と規定した。これは、このパス間でのAlNの析出を生
ぜしめるためであり、1秒未満では、その効果が少な
い。パス間時間の上限については、特に限定するもので
はないが、1時間以上もパス間時間をとることは、生産
性の点で好ましくない。
規定した。1100℃超では、熱延におけるAlNの析
出が不十分となり好ましくない。また800℃未満で
は、仕上熱延での再結晶が不十分となり、好ましくな
い。
FoT(℃)≦15+2500×{Al(%)−(27
/14)×N(%}と規定した。これは、図1に示す通
り、この範囲にすることが、磁気特性を安定化するため
に必要なためである。仕上熱延開始温度偏差を上記範囲
にする方策については特に限定するものではない。スラ
ブ温度を温度傾斜等で調整する方法、粗熱延終了時の板
厚を圧延方向位置で変える方法、粗熱延のパス間時間の
調整、粗熱延と仕上熱延のパス間時間の調整、粗熱延及
びそのパス間のコイル内場所ごとの冷却制御、粗熱延と
仕上熱延の間の保温または水冷等によるコイル内場所ご
との温度制御等を実施することができる。
高速連続圧延で行われる。通常仕上熱延の圧下配分は、
前段が圧下率が高く後段に行くほど圧下率を下げて形状
を良好なものとしている。圧延速度は通常100〜30
0m/minとなっており、パス間の時間は0.01〜10
0秒となっている。本発明では、仕上熱延条件を限定し
ているものではないが、AlN析出を行わしめるため、
本発明の特徴の1つである仕上熱延開始温度偏差の制御
に加え、仕上熱延終了温度を調整したり、圧下配分を調
整することは積極的に行うべきである。
50℃)、またはその近傍で、積極的に圧下率を高め、
加工誘起析出を生ぜしめることも、AlN析出量制御に
有効な手段となる。熱延の最終パス後、鋼板は通常0.
1〜100秒程度空冷された後水冷され300〜700
℃の温度で巻取られ、徐冷される。この冷却プロセスに
ついては特に限定されるものではないが、熱延後1秒以
上空冷等を行い、鋼板をAlNの析出温度域にできるだ
け長時間保持する等の方法を、AlN析出量制御に利用
することは好ましい。
となく圧下率80%以上の最終冷延を行う。最終冷延の
圧下率を80%以上としたのは、圧下率を上記範囲とす
ることによって、脱炭板において尖鋭な{110}〈0
01〉方位粒と、これに蚕食されやすい対応方位粒
({111}〈112〉方位粒等)を適正量得ることが
でき、磁束密度を高める上で好ましいためである。かか
る冷延後の鋼板は、通常の方法で脱炭焼鈍、焼鈍分離剤
塗布、最終仕上焼鈍を施されて最終製品となる。ここで
脱炭焼鈍完了後、最終仕上焼鈍開始までの間の一次再結
晶粒の平均粒径を、18〜35μmに制御することは必
要である。その理由はこの平均粒径の範囲で良好な磁束
密度が得られやすく、かつ粒径変動に対する磁束密度の
変化が少ないからである。
結晶開始までの間に鋼板に窒化処理を施すと規定したの
は、本発明の如き低温スラブ加熱を前提とするプロセス
では、二次再結晶に必要なインヒビター強度が不足がち
になるからである。窒化の方法としては特に限定するも
のではなく、脱炭焼鈍後引き続き焼鈍雰囲気にNH3 ガ
スを混入させ窒化する方法、プラズマを用いる方法、焼
鈍分離剤に窒化物を添加し、最終仕上焼鈍の昇温中に窒
化物が分離してできた窒素を鋼板に吸収させる方法、最
終仕上焼鈍の雰囲気のN2 分圧を高めとし、鋼板を窒化
する方法等いずれの方法でもよい。窒化量については二
次再結晶を安定して発現させるために10ppm 以上は必
要である。
溶性Al:0.034%、N:0.0062%、Mn:
0.14%、S:0.007%を含有する250mm厚の
20ton スラブに対して、Z(℃)=15+2500×
{Al(%)−(27/14)×N(%)}を計算した
ところ、70であった。(1)式より、仕上熱延開始温
度のコイル内偏差を70℃以下にすることが良好な磁気
特性を得るために必要なことが予測できた。このスラブ
を1150℃に約90分保持した後、7パスで40mm厚
まで粗熱延し(累積圧下率:84%)、しかる後、6パ
スで仕上熱延を行い、2.3mm厚の熱延板とした。この
時、(A)仕上熱延開始まで、圧延方向の後半部に保熱
カバーをかぶせ、15秒空冷、(B)仕上熱延開始ま
で、15秒空冷、なる2通りの熱延を行った。この場
合、仕上熱延開始温度は、各々、(A)1054〜10
90℃、(B)1010〜1089℃であった。
の圧下率で冷延して、0.335mm厚の冷延コイルと
し、845℃に150秒保持する脱炭焼鈍(25%N2
+75%H2 、露点62℃)を施し、しかる後、770
℃で30秒保持する焼鈍を行い、焼鈍雰囲気中にNH3
ガスを混入させ鋼板に窒素を吸収せしめた。窒化後の鋼
板のN量は0.0204〜0.0230%であり、鋼板
の一次再結晶粒の平均粒径は、23〜30μmであっ
た。次いで、この鋼板にMgOを主成分とする焼鈍分離
剤を塗布し、公知の方法で、最終仕上焼鈍を施した。実
験条件と磁気特性の結果を表1に示す。
溶性Al:0.026%、N:0.0070%、Mn:
0.13%、S:0.006%を含有する250mm厚の
10ton スラブに対して、Z(℃)=15+2500×
{Al(%)−(27/14)×N(%)}を計算した
ところ、46であった。(1)式より、仕上熱延開始温
度のコイル内偏差を46℃以下にすることが良好な磁気
特性を得るために必要なことが予測できた。このスラブ
を1180℃に約60分保持した後、7パスで30mm厚
まで粗熱延し(累積圧下率:88%)、しかる後、6パ
スで仕上熱延を行い、2.3mm厚の熱延板とした。この
時、(A)仕上熱延開始まで、圧延方向の前半部を15
秒水冷、(B)仕上熱延開始まで、15秒空冷、なる2
通りの熱延を行った。この場合、仕上熱延開始温度は、
各々、(A)1025〜1052℃、(B)1030〜
1091℃であった。
の圧下率で冷延して、0.335mm厚の冷延コイルと
し、840℃に150秒保持する脱炭焼鈍(25%N2
+75%H2 、露点64℃)を施し、しかる後、770
℃で30秒保持する焼鈍を行い、焼鈍雰囲気中にNH3
ガスを混入させ鋼板に窒素を吸収せしめた。窒化後の鋼
板のN量は0.0221〜0.0242%であり、鋼板
の一次再結晶粒の平均粒径は、20〜26μmであっ
た。次いで、この鋼板にMgOを主成分とする焼鈍分離
剤を塗布し、公知の方法で、最終仕上焼鈍を施した。実
験条件と磁気特性の結果を表2に示す。
溶性Al:0.024%、N:0.0065%、Mn:
0.14%、S:0.007%を含有する250mm厚の
20ton スラブに対して、Z(℃)=15+2500×
{Al(%)−(27/14)×N(%)}を計算した
ところ、44であった。(1)式より、仕上熱延開始温
度のコイル内偏差を44℃以下にすることが良好な磁気
特性を得るために必要なことが予測できた。このスラブ
を、(A)圧延方向の先頭部1100℃、後尾部112
0℃となるよう約60分温度傾斜保持、(B)1100
℃に約60分保持なる2通りのスラブ加熱を行った後、
7パスで40mm厚まで粗熱延し(累積圧下率:84
%)、しかる後、5秒空冷して、6パスで仕上熱延を行
い、2.6mm厚の熱延板とした。この場合、仕上熱延開
始温度は、各々、(A)1020〜1057℃、(B)
1001〜1056℃であった。
の圧下率で冷延して、0.335mm厚の冷延コイルと
し、845℃に150秒保持する脱炭焼鈍(25%N2
+75%H2 、露点60℃)を施し、しかる後、770
℃で30秒保持する焼鈍を行い、焼鈍雰囲気中にNH3
ガスを混入させ鋼板に窒素を吸収せしめた。窒化後の鋼
板のN量は0.0215〜0.0237%であり、鋼板
の一次再結晶粒の平均粒径は、25〜30μmであっ
た。次いで、この鋼板にMgOを主成分とする焼鈍分離
剤を塗布し、公知の方法で、最終仕上焼鈍を施した。実
験条件と磁気特性の結果を表3に示す。
溶性Al:0.034%、N:0.0065%、Mn:
0.14%、S:0.006%を含有し、さらに、
(1)Sn<0.005%、(2)Sn:0.06%を
含有する150mm厚の2種類の10ton スラブに対し
て、Z(℃)=15+2500×{Al(%)−(27
/14)×N(%)}を計算したところ、69であっ
た。(1)式より、仕上熱延開始温度のコイル内偏差を
69℃以下にすることが良好な磁気特性を得るために必
要なことが予測できた。
0分保持した後、7パスで粗熱延し、圧延方向先頭部4
0mm厚から圧延方向後尾部50mm厚まで板厚傾斜し(累
積圧下率:73〜67%)、しかる後、仕上熱延開始ま
で、15秒空冷した後、6パスで仕上熱延を行い、2.
3mm厚の熱延板とした。この時の仕上熱延開始温度は、
865〜899℃であった。また比較のため、(B)同
一成分のスラブを1000℃に60分保持した後、5パ
スで65mm厚まで粗熱延し(累積圧下率:57%)、し
かる後、仕上熱延開始まで、15秒空冷した後、6パス
で仕上熱延を行い、2.3mm厚の熱延板とした。この時
の仕上熱延開始温度は、875〜920℃であった。さ
らに、比較のため、(C)同一成分のスラブを1000
℃に60分保持した後、7パスで30mm厚まで粗熱延し
(累積圧下率:80%)、しかる後、仕上熱延開始ま
で、25秒水冷した後、6パスで仕上熱延を行い、2.
3mm厚の熱延板とした。この時の仕上熱延開始温度は、
755〜799℃であった。
の圧下率で冷延して、0.285mm厚の冷延コイルと
し、840℃に150秒保持する脱炭焼鈍(25%N2
+75%H2 、露点60℃)を施し、しかる後、750
℃で30秒保持する焼鈍を行い、焼鈍雰囲気中にNH3
ガスを混入させ鋼板に窒素を吸収せしめた。窒化後の鋼
板のN量は0.0225〜0.0241%であり、鋼板
の一次再結晶粒の平均粒径は、20〜31μmであっ
た。次いで、この鋼板にMgOを主成分とする焼鈍分離
剤を塗布し、公知の方法で、最終仕上焼鈍を施した。実
験条件と磁気特性の結果を表4に示す。
率、粗熱延と仕上熱延間の時間を制御し、仕上熱延の開
始温度を制御し、酸可溶性Al量,N量を基に、仕上熱
延の開始温度のコイル内偏差を制御し、一次再結晶粒の
平均粒径を制御し、脱炭焼鈍後、最終仕上焼鈍の二次再
結晶開始までの間に鋼板に窒化処理を施し、さらにはS
n添加を行うことにより、低温スラブ加熱でかつ熱延板
焼鈍を省略しても、なお良好な磁気特性を安定して得る
ことができるので、その工業的効果は大である。
イル内偏差と磁束密度の変動の関係を表すグラフであ
る。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量比で C :0.075%以下、 Si:2.2〜4.5%、 酸可溶性Al:0.010〜0.060%、 N :0.0130%以下、 S+0.405Se:0.014%以下、 Mn:0.05〜0.8% 残部がFe及び不可避的不純物からなるスラブを128
0℃未満の温度で加熱し、熱延を行い、引き続き熱延板
焼鈍を施すことなく、圧下率80%以上の最終強圧下冷
延を行い、次いで脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を施して一方
向性電磁鋼板を製造する方法において、粗熱延の累積圧
下率を60%以上とし、粗熱延と仕上熱延の間の時間を
1秒以上とし、仕上熱延の開始温度を800〜1100
℃とし、スラブの酸可溶性Al,Nの含有量(重量
%)、仕上熱延の開始温度のコイル内偏差ΔFoT
(℃)を下記(1)式の範囲に制御し、脱炭焼鈍完了
後、最終仕上焼鈍開始までの一次再結晶粒の平均粒径を
18〜35μmとし、脱炭焼鈍後最終仕上焼鈍の二次再
結晶開始までの間に鋼板に0.0010重量%以上の窒
素吸収を行わせる窒化処理を施すことを特徴とする磁気
特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。 ΔFoT(℃)≦15+2500×{Al(%)−(27/14)×N(%)}……(1) 但し、Al:酸可溶性Al - 【請求項2】 スラブの成分としてSn:0.01〜
0.15%を含有せしめることを特徴とする請求項1記
載の磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28118193A JP3169490B2 (ja) | 1993-11-10 | 1993-11-10 | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 |
US08/322,909 US5472521A (en) | 1933-10-19 | 1994-10-13 | Production method of grain oriented electrical steel sheet having excellent magnetic characteristics |
DE69425406T DE69425406T2 (de) | 1993-10-19 | 1994-10-17 | Verfahren zum Herstellen von kornorientiertem Elektrostahlblech mit hervorragenden magnetischen Eigenschaften |
EP94116331A EP0648847B1 (en) | 1993-10-19 | 1994-10-17 | Production method of grain oriented electrical steel sheet having excellent magnetic characteristics |
KR1019940026613A KR0139247B1 (ko) | 1993-10-19 | 1994-10-18 | 자성이 우수한 일방향성 전기강판의 제조방법 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28118193A JP3169490B2 (ja) | 1993-11-10 | 1993-11-10 | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07138641A JPH07138641A (ja) | 1995-05-30 |
JP3169490B2 true JP3169490B2 (ja) | 2001-05-28 |
Family
ID=17635476
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28118193A Expired - Lifetime JP3169490B2 (ja) | 1933-10-19 | 1993-11-10 | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3169490B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
TW476790B (en) | 1998-05-18 | 2002-02-21 | Kawasaki Steel Co | Electrical sheet of excellent magnetic characteristics and its manufacturing method |
JP2009190278A (ja) * | 2008-02-14 | 2009-08-27 | Seiko Epson Corp | 液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置 |
KR102405173B1 (ko) * | 2019-12-20 | 2022-06-02 | 주식회사 포스코 | 방향성 전기강판 및 그의 제조방법 |
-
1993
- 1993-11-10 JP JP28118193A patent/JP3169490B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07138641A (ja) | 1995-05-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP0648847B1 (en) | Production method of grain oriented electrical steel sheet having excellent magnetic characteristics | |
US5597424A (en) | Process for producing grain oriented electrical steel sheet having excellent magnetic properties | |
JP3169490B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH059666A (ja) | 方向性電磁鋼板およびその製造方法 | |
JP2607331B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP3065853B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法 | |
JPH08269571A (ja) | 一方向性電磁鋼帯の製造方法 | |
JPH0443981B2 (ja) | ||
JP2948454B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法 | |
JP3348217B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法 | |
JPH0450380B2 (ja) | ||
JP2948455B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法 | |
JP2521585B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP3314844B2 (ja) | 磁気特性と被膜性状の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH07118746A (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法 | |
JPH06306473A (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2878501B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2521586B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH07138643A (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2002129236A (ja) | 一方向性電磁鋼板の安定製造方法 | |
JPH05230534A (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP3287488B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP3474594B2 (ja) | 磁気特性の優れた厚い板厚の一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH08269553A (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH0788531B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20010206 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080316 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090316 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090316 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100316 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110316 Year of fee payment: 10 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120316 Year of fee payment: 11 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130316 Year of fee payment: 12 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130316 Year of fee payment: 12 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130316 Year of fee payment: 12 |
|
R370 | Written measure of declining of transfer procedure |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130316 Year of fee payment: 12 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130316 Year of fee payment: 12 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140316 Year of fee payment: 13 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |