JP3008003B2 - 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法

Info

Publication number
JP3008003B2
JP3008003B2 JP8765093A JP8765093A JP3008003B2 JP 3008003 B2 JP3008003 B2 JP 3008003B2 JP 8765093 A JP8765093 A JP 8765093A JP 8765093 A JP8765093 A JP 8765093A JP 3008003 B2 JP3008003 B2 JP 3008003B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
annealing
steel sheet
weight
temperature
grain
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP8765093A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0617129A (ja
Inventor
康成 吉冨
克郎 黒木
浩昭 増井
希瑞 石橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP8765093A priority Critical patent/JP3008003B2/ja
Publication of JPH0617129A publication Critical patent/JPH0617129A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3008003B2 publication Critical patent/JP3008003B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トランス等の鉄心とし
て使用される磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一方向性電磁鋼板は、主にトランスその
他の電気機器の鉄心材料として使用されており、励磁特
性、鉄損特性等の磁気特性に優れていることが要求され
る。励磁特性を表す数値としては、磁場の強さ800A
/mにおける磁束密度B8 が通常使用される。また、鉄
損特性を表す数値としては、周波数50Hzで1.7テ
スラー(T)まで磁化したときの1kg当りの鉄損W
17/50 を使用している。磁束密度は、鉄損特性の最大支
配因子であり、一般的にいって磁束密度が高いほど鉄損
特性が良好になる。なお、一般的に磁束密度を高くする
と二次再結晶粒が大きくなり、鉄損特性が不良となる場
合がある。これに対しては、磁区制御により、二次再結
晶粒の粒径に拘らず、鉄損特性を改善することができ
る。
【0003】この一方向性電磁鋼板は、最終仕上焼鈍工
程で二次再結晶を起こさせ、鋼板面に{110}、圧延
方向に<001>軸を持った、いわゆるゴス組織を発達
させることにより製造されている。良好な磁気特性を得
るためには、磁化容易軸である<001>を圧延方向に
高度に揃えることが必要である。このような高磁束密度
一方向性電磁鋼板の製造技術として代表的なものに田口
悟等による特公昭40−15644号公報及び今中拓一
等による特公昭51−13469号公報記載の方法があ
る。前者においてはMnS及びAlNを、後者ではMn
S、MnSe、Sb等を主なインヒビターとして用いて
いる。従って現在の技術においてはこれらインヒビター
として機能する析出物の大きさ、形態及び分散状態を適
正に制御することが不可欠である。MnSに関して言え
ば、現在の工程では熱延前のスラブ加熱時にMnSを一
旦完全固溶させた後、熱延時に析出させる方法がとられ
ている。二次再結晶に必要な量のMnSを完全に固溶さ
せるためには1400℃程度の温度が必要である。これ
は普通鋼のスラブ加熱温度に比べて200℃以上も高
く、この高温スラブ加熱処理には以下に述べるような不
利な点がある。
【0004】1)方向性電磁鋼専用の高温スラブ加熱炉
が必要。 2)加熱炉のエネルギー原単位が高い。 3)溶融スケール量が増大し、いわゆるノロかき出し等
にみられるように操業上の悪影響が大きい。 このような問題点を回避するためにはスラブ加熱温度を
普通鋼並みに下げればよいわけであるが、このことは同
時にインヒビターとして有効なMnSの量を少なくする
か、あるいはまったく用いないことを意味し、必然的に
二次再結晶の不安定化をもたらす。このため低温スラブ
加熱化を実現するためには何らかの形でMnS以外の析
出物などによりインヒビターを強化し、仕上焼鈍時の正
常粒成長の抑制を充分にする必要がある。このようなイ
ンヒビターとしては硫化物の他、窒化物、酸化物及び粒
界析出元素等が考えられ、公知の技術として、例えば次
のようなものがあげられる。
【0005】特公昭54−24685号公報には、A
s、Bi、Sn、Sb等の粒界偏析元素を鋼中に含有さ
せることによりスラブ加熱温度を1050〜1350℃
の範囲にする方法が開示され、特開昭52−24116
号公報には、Alの他、Zr、Ti、B、Nb、Ta、
V、Cr、Mo等の窒化物生成元素を含有させることに
よりスラブ加熱温度を1100〜1260℃の範囲にす
る方法が開示され、また特開昭57−158322号公
報には、Mn含有量を下げ、Mn/Sの比率を2.5以
下にすることにより低温スラブ加熱化を行い、さらにC
uの添加により二次再結晶を安定化する技術が開示され
ている。一方、これらインヒビターの補強と組み合わせ
て金属組織の側から改良を加えた技術も開示されてい
る。すなわち、特開昭57−89433号公報では、M
nに加え、S、Se、Sb、Bi、Pb、Sn、B等の
元素を加え、これにスラブの柱状晶率と二次冷延圧下率
を組み合わせることにより1100〜1250℃の低温
スラブ加熱化を実現している。さらに特開昭59−19
0324号公報では、SあるいはSeに加え、Al及び
Bと窒素を主体としてインヒビターを構成し、これに冷
延後の一次再結晶焼鈍時にパルス焼鈍を施すことによ
り、二次再結晶を安定化する技術が開示されている。こ
のように方向性電磁鋼板製造における低温スラブ加熱化
実現のためには、これまでに多大な努力が続けられてき
ている。
【0006】さて、特開昭59−56522号公報に
は、Mnを0.08〜0.45%、Sを0.007%以
下にすることにより低温スラブ加熱化を可能にする技術
が開示されているが、この技術により高温スラブ加熱時
のスラブ結晶粒粗大化に起因する製品の線状二次再結晶
不良発生の問題が解消された。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】低温スラブ加熱による
方法は元来、製造コストの低減を目的としておるもの
の、当然のことながら、良好な磁気特性を安定して得る
技術でなければ、工業化はできない。そこで、本発明者
らは、Si量を増加させることにより、鉄損特性を向上
させるべく研究を進めてきたが、二次再結晶方位制御が
困難で、目標特性が得られなかった。
【0008】かかる状況を打開すべく広範にわたって研
究した結果、二次再結晶時の析出物制御が重要であると
いう認識に達した。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは下記のとおりである。 (1)重量でC:0.025〜0.075%、Si:
3.68〜5.0%、酸可溶性Al:0.015〜0.
080%、N:0.0030〜0.0130%、S+
0.405Se:0.014%以下、Mn:0.05〜
0.8%を含有し、残部がFe及び不可避不純物からな
るスラブを1280℃未満の温度で加熱し、熱延を行
い、引き続き熱延板焼鈍を行い、もしくは行わず、次い
で圧下率80%以上の最終冷延を1回もしくは中間焼鈍
をはさむ2回以上の工程で行い、次いで脱炭焼鈍、最終
仕上焼鈍を施して一方向性電磁鋼板を製造する方法にお
いて、脱炭焼鈍完了後、最終仕上焼鈍開始までの一次再
結晶粒の平均粒径を18〜32μmとし、脱炭焼鈍後、
最終仕上焼鈍の二次再結晶開始までの間に鋼板に0.0
010重量%以上の窒素吸収を行わせる窒化処理を施
し、最終仕上焼鈍の昇温過程における鋼板の温度が90
0〜1150℃の範囲において、焼鈍雰囲気の窒素分圧
をPN2(%)とし、Siの含有量を重量%を単位として
Si(%)とした時、このPN2(%)を下記の範囲に制
御することを特徴とする磁気特性の優れた一方向性電磁
鋼板の製造方法。
【0010】 PN2(%)≧15×Si(%)−25 (2)重量で0.01〜0.15%のSnをスラブに含
有することを特徴とする前項1記載の磁気特性の優れた
一方向性電磁鋼板の製造方法。
【0011】
【作用】本発明が対象としている一方向性電磁鋼板は、
従来用いられている製鋼法で得られた溶鋼を連続鋳造法
或いは造塊法で鋳造し、必要に応じて分塊工程を挟んで
スラブとし、引き続き熱間圧延して熱延板とし、次いで
この熱延板に必要に応じて焼鈍を施し、次いで圧下率8
0%以上の最終冷延を含み、必要に応じて中間焼鈍をは
さむ1回以上の冷延、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を順次行
うことによって製造される。
【0012】本発明者らは、Si量を増加した場合の二
次再結晶方位制御について種々の観点から広範にわたっ
て研究したところ、Si量に応じて、最終仕上焼鈍の焼
鈍雰囲気を制御する必要があるという新知見を得た。以
下実験結果を基に詳細に説明する。図1に、Si量、最
終仕上焼鈍の昇温過程の900〜1150℃の間の焼鈍
雰囲気の窒素分圧(PN2(%))と磁気特性の関係を示
す。この場合、C:0.055重量%,Si:2.2〜
4.7重量%、酸可溶性Al:0.032重量%、N:
0.0083重量%、Mn:0.13重量%、S:0.
007重量%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物か
らなる珪素鋼の40mm厚スラブを1150℃で1時間
加熱後1.8mm厚まで熱延した。得られた熱延板に、
1100℃に30秒保持に引き続き900℃に30秒保
持して急冷する熱延板焼鈍を施した後、0.170mm
まで冷延し、次いで835℃に90秒保持する脱炭焼鈍
(焼鈍雰囲気 N2 :25%、H2 :75%、D.P.
=62℃)を施した後、750℃に30秒保持する焼鈍
(焼鈍雰囲気 N2 :25%、H2 :75%、D.P.
<0℃)中に焼鈍雰囲気中にNH3 ガスを混入し、鋼板
に窒素吸収を生ぜしめた。この場合窒化量(増窒素量)
は0.0128重量%であり、この窒化処理後の鋼板の
平均結晶粒径は22〜26μm(円相当直径)であっ
た。この鋼板にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布
し、1200℃まで15℃/hrで昇温し、1200℃
に20時間H2 中で保持する最終仕上焼鈍を施した。こ
の最終仕上焼鈍の昇温過程の900℃まではN2 :25
%、H2 :75%の焼鈍雰囲気中で処理し、900℃か
ら1200℃まではN2 とH2 の分圧比を種々に変えた
各条件下で処理した。図1から明らかなように、900
〜1200℃の間のPN2(%)がPN2(%)≧15×S
i(%)−25の場合に、B8 /BS ≧0.95
(BS:飽和磁束密度)なる良好な磁気特性が得られ
た。
【0013】図1で示された磁束密度向上効果のメカニ
ズムについては必ずしも明らかではないが、本発明者ら
は以下のように推察している。本発明の材料の場合、二
次再結晶を生ぜしめるための主インヒビターはAlNで
あるが、鋼中のSi量が増すとAlNが不安定化し、
(Al、Si)NやSi3 4 が安定化してくることが
考えられる。本発明のように、脱炭焼鈍後最終仕上焼鈍
の二次再結晶開始までの間に鋼板に窒化処理を施す場
合、窒化後に鋼板表面近傍に窒素が濃化し、その部分に
Si3 4 等Si基の窒化物が析出する。そして、最終
仕上焼鈍の昇温中に、このSi3 4 等の窒化物が分解
し、板厚全厚での窒素量が均一化するのと並行して、安
定なAlNの析出が生じる。本発明の如く、Si量を増
加させると、このような窒化物の変化に影響が生じる。
つまり、Si量の増加に伴いSi3 4 等Si基窒化物
が安定化し、上記の如き板厚方向の窒素量の均一化、窒
化物の均一化が生じにくくなり、AlNの析出も生じに
くくなる。このように板厚方向に不均一な析出物で、か
つSi3 4 等の窒化物の割合が多い状態で二次再結晶
が開始すると、Si3 4 等Si基窒化物は高温で分
解しやすい、板厚中心部では窒化物が不足する、等の
理由で、インヒビター強度が低い状態で二次再結晶が進
行することとなる。インヒビター強度が低い状態では、
粒界移動の粒界性格依存性が低く、Σ9対応粒界密度の
低いGoss方位から分散した方位粒も二次再結晶しや
すくなる。その結果、二次再結晶方位のGoss集積度
が低下し、磁束密度が低くなってしまう。この現象は、
窒化物に対するSi量の影響に起因するものであり、S
i量が高い程その傾向は顕著となる。従ってこの高Si
化に伴う二次再結晶方位制御の課題を解決するのに、S
i量増加に伴って二次再結晶が生じる温度域での焼鈍雰
囲気の窒素分圧を高め、窒化物の分解を抑制することが
有効だったものと考えられる。
【0014】次に本発明の構成要件の限定理由について
述べる。先ず、スラブの成分とスラブ加熱温度に関して
限定理由を詳細に説明する。Cは0.025重量%(以
下単に%と略述)未満になると二次再結晶が不安定にな
り、かつ二次再結晶した場合でもB8 >1.80(T)
が得がたいので0.025%以上とした。一方、Cが多
くなり過ぎると脱炭焼鈍時間が長くなり経済的でないの
で0.075%以下とした。
【0015】Siは5.0%を超えると冷延時の割れが
著しくなるので5.0%以下とした。一方、Si量の下
限は3.68%とした。Alは二次再結晶の安定化に必
要なAlNを確保するため、酸可溶性Alとして0.0
15%以上が必要である。酸可溶性Alが0.080%
を超えると熱延板のAlNが不適切となり、二次再結晶
が不安定になるので0.080%以下とした。
【0016】Nについては通常の製鋼作業では0.00
30%未満にすることが困難であり、かつ経済的に好ま
しくないので0.0030%以上とし、一方、0.01
30%を超えるとブリスターと呼ばれる“鋼板表面のふ
くれ”が発生するので0.0130%以下とした。Mn
S、MnSeが鋼中に存在しても、製造工程の条件を適
性に選ぶことによって磁気特性を良好にすることが可能
である。しかしながら、SやSeが高いと線状細粒と呼
ばれる二次再結晶不良部が発生する傾向があり、この二
次再結晶不良部の発生を予防するために(S+0.40
5Se)≦0.014%とする。SあるいはSeが上記
値を超える場合には製造条件をいかに変更しても二次再
結晶不良部が発生する確率が高くなり好ましくない。ま
た最終仕上焼鈍で純化するのに要する時間が長くなりす
ぎて好ましくなく、このような観点からSあるいはSe
を不必要に増すことは意味がない。
【0017】Mnの下限値は0.05%である。0.0
5%未満では、熱間圧延によって得られる熱延板の形状
(平坦さ)、就中ストリップの側縁部は波形状となり、
歩留りを低下させるので、Mnは0.05%以上と規定
した。一方、Mn量が0.8%を超えると製品の磁束密
度を低下せしめるので好ましくない。従って、Mn量の
上限値を0.8%とした。
【0018】Snを0.01〜0.15%添加すること
は、二次再結晶でのインヒビター強度を高めることによ
り磁気特性を高位安定化する上でさらに好ましい。0.
01%未満では、この効果が十分でなく、0.15%超
では、窒化処理が困難となり好ましくない。この他、イ
ンヒビター構成元素として公知なSb、Ti、Zr、B
i、Nb等を添加することはさしつかえない。
【0019】スラブ加熱温度は、普通鋼並にしてコスト
ダウンを行うという目的から1280℃未満と限定し
た。好ましくは1200℃以下である。加熱されたスラ
ブは、引き続き熱延されて熱延板となる。この熱延板
に、必要に応じて熱延板焼鈍を施し、次いで圧下率80
%以上の最終冷延を含みかつ必要に応じて中間焼鈍をは
さむ1回以上の冷延を施す。最終冷延の圧下率を80%
以上としたのは、圧下率を上記範囲とすることによっ
て、脱炭板において尖鋭な{110}<001>方位粒
と、これに蚕食され易い対応方位粒({111}<11
2>方位粒等)を適正量得ることができ、磁束密度を高
める上で好ましいためである。
【0020】冷延後、鋼板には順次、脱炭焼鈍、焼鈍分
離剤塗布、仕上焼鈍が施されて最終製品となる。ここで
脱炭焼鈍完了後、最終仕上焼鈍開始までの間の一次再結
晶粒の平均粒径を18〜35μmに制御することが良好
な磁気特性を得るために必要である。平均粒径が18μ
m未満では二次再結晶方位制御が困難となり、35μm
超では二次再結晶が不安定となり、好ましくない。
【0021】そして、脱炭焼鈍後、最終仕上焼鈍の二次
再結晶開始までの間に鋼板に窒化処理を施すと規定した
のは、本発明の如き低温スラブ加熱を前提とするプロセ
スでは、二次再結晶に必要なインヒビター強度が不足が
ちになるからである。窒化の方法としては特に限定する
ものではなく、脱炭焼鈍後引き続き焼鈍雰囲気にNH3
ガスを混入させ窒化する方法、プラズマを用いる方法、
焼鈍分離剤に窒化物を添加し、最終仕上焼鈍の昇温中に
窒化物が分解してできた窒素を鋼板に吸収させる方法、
最終仕上焼鈍の雰囲気のN2 分圧を高めとし、鋼板を窒
化する方法等いずれの方法でもよい。窒化量について
は、10ppm以上は必要である。
【0022】さらに、図1から明らかなように、最終仕
上焼鈍の昇温過程における鋼板の温度が900〜115
0℃の範囲において、焼鈍雰囲気の窒素分圧PN2(%)
をPN2(%)≧15×Si(%)−25の範囲にするこ
とは、優れた磁気特性を得る上で必要である。900℃
未満の温度範囲の焼鈍雰囲気は特に規定しない。二次再
結晶は通常900〜1150℃で生じるので、この温度
範囲での焼鈍雰囲気を制御すれば十分である。昇温は通
常1100〜1250℃まで行われ、昇温中に通常二次
再結晶が完了し、純化のための恒温保持に入る。この昇
温に引き続く恒温保持は、通常5〜50時間行われる
が、この恒温保持は、通常H2 ガスまたはH2 ガスが主
な焼鈍雰囲気中で行われる。二次再結晶のために、例え
ば1000〜1100℃で恒温保持し、その後さらに昇
温して純化のための恒温保持に入る場合は、純化に入る
までの温度範囲が昇温過程と解される。上記900〜1
150℃の昇温過程でのPN2の上限は特に規定するもの
ではなく、100%まで許容される。
【0023】
【実施例】以下実施例を説明する。 実施例1 C:0.059重量%、Si:3.70重量%、Mn:
0.14重量%、S:0.005重量%、酸可溶性A
l:0.0301重量%、N:0.0081重量%を含
有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる40mm厚
のスラブを1150℃の温度で加熱した後、熱延して
1.8mm厚の熱延板とした。
【0024】この熱延板に、1120℃に30秒保持
し、900℃に30秒保持して急冷する熱延板焼鈍を施
し、次いで圧下率約90.6%で0.170mm厚の冷
延板とし、840℃で90秒保持する脱炭焼鈍を行い、
しかる後、750℃に30秒保持する焼鈍中にNH3
スを焼鈍雰囲気に混入させ、鋼板に窒化処理を施した。
この場合、窒化量(増窒素量)は0.0131重量%で
あり、この窒化処理後の鋼板の平均結晶粒径(円相当直
径)は24μmであった。この窒化処理後の鋼板にMg
Oを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、1200℃まで
15℃/hrで昇温し、H2 中で1200℃に20時間
保持する最終仕上焼鈍を施した。この最終仕上焼鈍の昇
温過程の900℃までは、N2 :20%、H2 :80%
の焼鈍雰囲気中で処理し、900℃から1200℃まで
は、(a)N2 :20%、H2 :80%、(b)N2
50%、H2 :50%、(c)N2 :75%、H2 :2
5%なる3水準の条件で処理した。
【0025】工程条件と磁気特性の関係を表1に示す。
表1から明らかなように、本発明の条件である(b)、
(c)の場合B8 ≧1.93Tなる良好な磁気特性が得
られている。
【0026】
【表1】
【0027】実施例2 C:0.060重量%、Si:4.04重量%、Mn:
0.15重量%、S:0.006重量%、酸可溶性A
l:0.0303重量%、N:0.0082重量%、S
n:0.002重量%、0.07重量%、0.3
0重量%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からな
る3種類の40mm厚のスラブを1150℃の温度で加
熱した後、熱延して1.8mm厚の熱延板とした。
【0028】この熱延板に、1120℃に30秒保持
し、900℃に30秒保持して急冷する熱延板焼鈍を施
し、次いで圧下率約90.6%で0.170mm厚の冷
延板とし、835℃で70秒保持する脱炭焼鈍を行い、
しかる後、750℃に30秒保持する焼鈍中にNH3
スを焼鈍雰囲気に混入させ、鋼板に窒化処理を施した。
この場合、窒化量(増窒素量)は0.0132重量%で
あり、この窒化処理後の鋼板の平均結晶粒径(円相当直
径)は23〜25μmであった。この窒化処理後の鋼板
にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、1200
℃まで15℃/hrで昇温し、H2 中で1200℃に2
0時間保持する最終仕上焼鈍を施した。この最終仕上焼
鈍の昇温過程の880℃までは、N2 :25%、H2
75%の焼鈍雰囲気中で処理し、880℃から1200
℃までは、N2 :75%、H2 :25%の条件で処理し
た。
【0029】工程条件と磁気特性の関係を表2に示す。
表2から明らかなように、本実験の条件はすべて本発明
の条件となっており、B8 ≧1.92Tなる良好な磁気
特性が得られている。とりわけSnの含有量が本発明の
条件を満すの条件の場合、B8 ≧1.94Tなる極め
て良好な磁気特性が得られている。
【0030】
【表2】
【0031】実施例3 C:0.058重量%、Si:3.68重量%、Mn:
0.14重量%、S:0.006重量%、酸可溶性A
l:0.039重量%、N:0.0088重量%、S
n:0.001重量%、0.05重量%を含有し、
残部Fe及び不可避的不純物からなる2種類の40mm
厚のスラブを1150℃の温度で加熱した後熱延して
1.8mm厚の熱延板とした。
【0032】この熱延板を1.4mmまで冷延した後、
1120℃に30秒保持し、900℃に30秒保持して
急冷する焼鈍を施し、次いで圧下率約89.6%で0.
145mm厚の冷延板とし、830℃で70秒保持する
脱炭焼鈍を行い、しかる後、750℃に30秒保持する
焼鈍中にNH3 ガスを焼鈍雰囲気に混入させ、鋼板に窒
化処理を施した。この場合、窒化量(増窒素量)は0.
0131〜0.0142重量%であり、この窒化処理後
の鋼板の平均結晶粒径(円相当直径)は24〜25μm
であった。この窒化処理後の鋼板にMgOを主成分とす
る焼鈍分離剤を塗布し、1200℃まで10℃/hrで
昇温し、H2 中で1200℃に20時間保持する最終仕
上焼鈍を施した。この最終仕上焼鈍の昇温過程の900
℃までは、N2 :20%、H2 :80%の焼鈍雰囲気中
で処理し、900℃から1200℃までは、N2 :75
%、H2 :25%なる条件で処理した。
【0033】工程条件と磁気特性の関係を表3に示す。
本実験条件はすべて本発明の条件に入っており、B8
1.92Tなる良好な磁気特性が得られた。さらに本発
明のSnの条件となるの場合、B8 ≧1.94Tなる
さらに良好な磁気特性が得られた。
【0034】
【表3】
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に従って、
脱炭焼鈍完了後、最終仕上焼鈍開始までの間での一次再
結晶粒の平均粒径の制御、脱炭焼鈍後、最終仕上焼鈍の
二次再結晶開始までの間の窒化処理、最終仕上焼鈍の昇
温過程でのSi量に応じた焼鈍雰囲気の窒素分圧制御を
行うことにより、磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板を
安定して製造することができ、さらにSnを添加するこ
とにより、いっそう優れた磁気特性を有する一方向性電
磁鋼板を安定して製造できるので、これらの技術の工業
的意義は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】最終仕上焼鈍の昇温過程における窒素分圧、S
i量と磁気特性の関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 増井 浩昭 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新日本製鐵株式会社 八幡製鐵所内 (72)発明者 石橋 希瑞 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新日本製鐵株式会社 八幡製鐵所内 (56)参考文献 特開 平4−297524(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量でC:0.025〜0.075%、
    Si:3.68〜5.0%、酸可溶性Al:0.015
    〜0.080%、N:0.0030〜0.0130%、
    S+0.405Se:0.014%以下、Mn:0.0
    5〜0.8%を含有し、残部がFe及び不可避不純物か
    らなるスラブを1280℃未満の温度で加熱し、熱延を
    行い、引き続き熱延板焼鈍を行い、もしくは行わず、次
    いで圧下率80%以上の最終冷延を1回もしくは中間焼
    鈍をはさむ2回以上の工程で行い、次いで脱炭焼鈍、最
    終仕上焼鈍を施して一方向性電磁鋼板を製造する方法に
    おいて、脱炭焼鈍完了後、最終仕上焼鈍開始までの一次
    再結晶粒の平均粒径を18〜32μmとし、脱炭焼鈍
    後、最終仕上焼鈍の二次再結晶開始までの間に鋼板に
    0.0010重量%以上の窒素吸収を行わせる窒化処理
    を施し、最終仕上焼鈍の昇温過程における鋼板の温度が
    900〜1150℃の範囲において、焼鈍雰囲気の窒素
    分圧をPN2(%)とし、Siの含有量を重量%を単位と
    してSi(%)とした時、このPN2(%)を下記の範囲
    に制御することを特徴とする磁気特性の優れた一方向性
    電磁鋼板の製造方法。 PN2(%)≧15×Si(%)−25
  2. 【請求項2】 重量で0.01〜0.15%のSnをス
    ラブに含有することを特徴とする請求項1記載の磁気特
    性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
JP8765093A 1992-04-16 1993-04-14 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 Expired - Fee Related JP3008003B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8765093A JP3008003B2 (ja) 1992-04-16 1993-04-14 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4-96859 1992-04-16
JP9685992 1992-04-16
JP8765093A JP3008003B2 (ja) 1992-04-16 1993-04-14 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0617129A JPH0617129A (ja) 1994-01-25
JP3008003B2 true JP3008003B2 (ja) 2000-02-14

Family

ID=26428902

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8765093A Expired - Fee Related JP3008003B2 (ja) 1992-04-16 1993-04-14 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3008003B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7962441B2 (en) 2006-09-22 2011-06-14 Denso Corporation Air conditioner for vehicle and controlling method thereof
US8720335B2 (en) 2007-04-24 2014-05-13 Probity Engineering, Llc Offset hand proofer tool
US8973497B2 (en) 2007-04-24 2015-03-10 Probity Engineering, Llc Flexographic proofing tools and methods

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5472521A (en) * 1933-10-19 1995-12-05 Nippon Steel Corporation Production method of grain oriented electrical steel sheet having excellent magnetic characteristics
US6613160B2 (en) 2000-08-08 2003-09-02 Nippon Steel Corporation Method to produce grain-oriented electrical steel sheet having high magnetic flux density
IT1317894B1 (it) * 2000-08-09 2003-07-15 Acciai Speciali Terni Spa Procedimento per la regolazione della distribuzione degli inibitorinella produzione di lamierini magnetici a grano orientato.
CN103834856B (zh) * 2012-11-26 2016-06-29 宝山钢铁股份有限公司 取向硅钢及其制造方法
KR102326327B1 (ko) * 2019-12-20 2021-11-12 주식회사 포스코 방향성 전기강판 및 그의 제조방법

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2521585B2 (ja) * 1991-03-27 1996-08-07 新日本製鐵株式会社 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7962441B2 (en) 2006-09-22 2011-06-14 Denso Corporation Air conditioner for vehicle and controlling method thereof
US8720335B2 (en) 2007-04-24 2014-05-13 Probity Engineering, Llc Offset hand proofer tool
US8973497B2 (en) 2007-04-24 2015-03-10 Probity Engineering, Llc Flexographic proofing tools and methods

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0617129A (ja) 1994-01-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11603572B2 (en) Grain-oriented electrical steel sheet and method for manufacturing same
JP3359449B2 (ja) 超高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法
JP3008003B2 (ja) 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法
JPH03294427A (ja) 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法
JPH07252532A (ja) 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法
JP3065853B2 (ja) 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法
JP2709549B2 (ja) 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法
JP3056970B2 (ja) 磁気特性が優れた一方向性電磁鋼板の製造方法
JP2001049351A (ja) 磁束密度の高い一方向性電磁鋼板の製造方法
JP2521585B2 (ja) 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法
JPH06306473A (ja) 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法
JP3474594B2 (ja) 磁気特性の優れた厚い板厚の一方向性電磁鋼板の製造方法
JPH08269561A (ja) 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法
JP2878501B2 (ja) 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法
JPH06306474A (ja) 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法
JP3314844B2 (ja) 磁気特性と被膜性状の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法
JPH07305116A (ja) 高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法
JPH0762437A (ja) 極めて低い鉄損をもつ一方向性電磁鋼板の製造方法
JP3061515B2 (ja) 極めて低い鉄損をもつ一方向性電磁鋼板の製造方法
JP3287488B2 (ja) 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法
JPH05156361A (ja) 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法
KR20220089074A (ko) 방향성 전기강판 및 그의 제조방법
JPH07310124A (ja) 磁気特性、被膜特性の優れた厚い板厚の一方向性電磁鋼板の製造方法
JPH09118920A (ja) 磁気特性が優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法
JP2000199014A (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 19980310

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081203

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081203

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091203

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101203

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101203

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111203

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111203

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121203

Year of fee payment: 13

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees