JPH061801A - 非グラニュール状多糖類のカチオン化方法 - Google Patents

非グラニュール状多糖類のカチオン化方法

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JPH061801A
JPH061801A JP18578092A JP18578092A JPH061801A JP H061801 A JPH061801 A JP H061801A JP 18578092 A JP18578092 A JP 18578092A JP 18578092 A JP18578092 A JP 18578092A JP H061801 A JPH061801 A JP H061801A
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JP
Japan
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polysaccharide
water
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cationizing
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JP18578092A
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English (en)
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Tetsuo Sasano
鉄夫 笹野
Kenji Ikushima
健司 生島
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Shikibo Ltd
Shikishima Boseki KK
Original Assignee
Shikibo Ltd
Shikishima Boseki KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 大量の溶媒を使用しないで、非グラニュール
状多糖類を効率よくカチオン化して、良質のカチオン化
多糖類を容易に製造できることを目的とする。 【構成】 非グラニュール状多糖類を、等量以下の水と
低級アルコールとの混合溶媒中で僅かに湿った状態でア
ルカリ処理し、その後グリシジル基を含んだ4級アンモ
ニウム化合物を加えて反応させて、カチオン化多糖類を
得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、非グラニュール状多
糖類の乾式カチオン化方法に関するものである。さらに
詳述すれば、この発明は、非グラニュール状多糖類を僅
かに湿った状態で、グリシジル基を含んだ4級アンモニ
ウム化合物と反応させて、カチオン化多糖類を製造する
方法に関するものである。
【0002】非グラニュール状多糖類は、澱粉以外の多
糖類を意味している。非グラニュール状多糖類の中に
は、セルロースのような水に溶解しないものと、ポリガ
ラクトマンナンのような水に溶解するものとが含まれて
いる。この発明はその何れにも有効であるが、とくに水
に溶解する非グラニュール状多糖類に対して有効であ
る。
【0003】
【従来の技術】水に溶解する非グラニュール状多糖類
は、これをそのまま水に溶解して増粘剤、洗剤、捺染
剤、サイジング剤などとして用いることができる。しか
し、非グラニュール状多糖類の水溶液は、不安定である
という欠点を持っている。それは、非グラニュール状多
糖類の水溶液が、pH又は温度の変化によって粘度を大
きく変えたり、多価金属イオンに出会うとゲル化したり
するからである。
【0004】そこで、上述の欠点を改良するために、非
グラニュール状多糖類を変性し、非グラニュール状多糖
類の誘導体を作って、これを用いることが行われた。変
性は、非グラニュール状多糖類をエステル化したり、エ
ーテル化したり、ヒドロキシアルキル化したりすること
が多かったが、またカチオン化することによっても行わ
れた。
【0005】非グラニュール状多糖類に限らず、澱粉の
ようなグラニュール状多糖類までも含めると、多糖類を
カチオン化するには幾つかの方法が知られている。その
方法は、大別すると有機溶媒法、水媒法及び乾式法の3
つとなる。このうち、有機溶媒法は、溶媒として主に低
級アルコールのような親水性有機溶剤を大量に用い、こ
の中に多糖類を分散させてスラリとし、スラリ状態でカ
チオン化剤によりカチオン化する方法である。また、水
媒法は、溶媒として大量の水を用い、水中に多糖類を分
散させてスラリとするか、又は水中に多糖類を溶解させ
て糊液とし、この状態でカチオン化剤によりカチオン化
する方法である。乾式法は、少量の水又は有機溶媒を用
いて、多糖類を僅かに湿った状態としてカチオン化剤に
よりカチオン化する方法である。
【0006】有機溶媒法は、米国特許第4031307
号明細書及び特公昭60−11921号公報に記載され
ている。このうち、上記米国特許明細書は、水溶性の非
グラニュール状多糖類を大量の低級アルコール中に分散
させてスラリとし、これに苛性アルカリを加えて上記多
糖類をアルカリ処理したのち、これにカチオン化剤とし
てハロゲン化アルキル4級アンモニウム塩を加え、反応
させてハロゲン化アルカリを離脱させてカチオン化多糖
類を得る方法を記載している。しかし、この方法は、大
量の低級アルコールを用いる必要があり、従って大型の
反応容器が必要とされ、また大量のハロゲン化アルカリ
を除かなければならないために、実施が煩瑣になるとい
う欠点を持っていた。また、特公昭60−11921号
公報は、上に述べたと同じような方法を記載している
が、そこでは多糖類として澱粉を用い、溶媒として水と
アルコールとの混合溶媒を用い、カチオン化剤としてグ
リシジル基を含んだ4級アンモニウム化合物を用いてい
るという点が異なっているだけで、矢張り大量の溶媒を
用いるために大型の反応容器を設置しなければならない
という欠点を持っていた。
【0007】水媒法は、米国特許第2876217号明
細書、特公昭46−25875号、特開昭47−196
1号公報に記載されている。このうち、米国特許第28
76217号明細書は、澱粉を大量の苛性アルカリ水溶
液中に分散し、これに、ハロヒドリン基又はグリシジル
基を含んだ4級アンモニウム化合物の水溶液を加えて反
応させ、カチオン化澱粉を得ている。しかし、この方法
では、大量の水が使用されるので、大型の反応容器が必
要とされ、また澱粉が水に溶解して粘稠な溶液を形成す
るので、撹拌が容易でなく、従って均一なカチオン化澱
粉を得ることが容易でない、という欠点があった。特公
昭46−25875号及び特開昭47−1961号公報
の教える方法も、上記米国特許明細書の教える方法と殆
ど同じであって、同様な欠点を持っていた。
【0008】乾式法は、特開昭48−93684号及び
特公昭59−41646号公報に記載されている。この
うち、前者は澱粉に対し溶媒として40−100重量%
の水を使用するだけと記載しているので、有機溶剤が使
用されないこととなり、この中で澱粉をアルカリ処理す
ることとしているので、アルカリ処理が不均一となり、
従ってこれをカチオン化して得られた製品は均質のもの
となり得なかった。また、後者は、溶媒として水とアル
コールとを別々に用い、まずアルカリとアルコールとを
加えて澱粉をアルカリ処理したのち、これにカチオン化
剤と水とを加え、水とアルコールとの合計量を澱粉量の
90重量%以下にして、カチオン化する方法を記載して
いる。ところが、この方法は水とアルコールとを別々に
加えることとしているので煩瑣である上に、カチオン化
剤としてハロゲン化アルキル4級アンモニウム化合物を
用いることとしているので、大量のハロゲン化アルカリ
が副生することとなり、従ってハロゲン化アルカリの除
去に煩瑣な手間を要するという欠点を持っていた。
【0009】上述のように、従来の多糖類カチオン化方
法は何れも欠点を持っていた。要約すれば、有機溶媒法
と水媒法とは、何れも大量の有機溶媒又は水の使用を必
要とし、従って大型の反応容器を必要とするという欠点
を持っていた。乾式法はこのような欠点を持たない代わ
りに、反応を均一に行い難いので、均質の製品が得られ
ないという欠点を持っていた。その上に、カチオン化剤
としてハロゲン化4級アンモニウム化合物を用いた場合
には、副生物を除去するのに手間を要するという欠点が
加わった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上述のよ
うな欠点のない多糖類のカチオン化方法を提供しようと
するものである。すなわち、上述の乾式法のように少量
の溶媒を用いることとして、僅かに湿った状態で多糖類
を容易にカチオン化し、しかも副生物の除去が容易で、
均質なカチオン化多糖類が得られるような方法を提供し
ようとするものである。
【0011】
【課題解決のための手段】この発明者は、種々のカチオ
ン化剤を用いて多糖類のカチオン化反応を試みた。その
結果、澱粉のようなグラニュール状多糖類では、特公昭
60−11921号及び特公昭59−41646号公報
が記載するように、カチオン化剤を70−80%の良好
な効率で反応させることができるが、この発明が対象と
する非グラニュール状多糖類では、米国特許第4031
307号明細書が記載するように、これまでは50%台
の低い効率でしか、カチオン化剤を反応させることがで
きないことを知った。
【0012】そこで、非グラニュール状多糖類にカチオ
ン化剤を効率よく反応させるための手段をさらに深く検
討した。その結果、カチオン化剤としてグリシジル基を
含んだ4級アンモニウム化合物を用いると、他の4級ア
ンモニウム化合物を用いるよりも効率よくカチオン化す
ることができることを確認した。さらに、溶媒として水
と低級アルコールとの混合溶媒を少量用いて、この混合
溶媒中で非グラニュール状多糖類を僅かに膨潤させるだ
けの状態でカチオン化すると、反応容器を小さくするこ
とができることを見出した。そのためには、非グラニュ
ール状多糖類100重量部に対し、その中に含まれてい
る水分も含めて水の量を4−40重量部とし、低級アル
コールの量を5−50重量部とし、苛性アルカリの量を
1−8重量部とし、グリシジル基を含んだ4級アンモニ
ウム化合物の量を5−60重量部とすることが必要であ
ることを見出した。そのうちでもとくに、カチオン化剤
と苛性アルカリとが、何れも水と低級アルコールとの混
合溶媒に溶解して均一溶液を生成するように、これらの
材料を配合して多糖類をカチオン化すると、非グラニュ
ール状多糖類を効率よくカチオン化することができ、得
られたカチオン化多糖類が均一で良質のものとなること
を見出した。この発明は、このような知見に基づいて完
成されたものである。
【0013】この発明は、溶媒と苛性アルカリとの存在
下に、非グラニュール状多糖類をカチオン化剤によりカ
チオン化する方法において、溶媒として低級アルコール
と水との混合溶媒を使用し、カチオン化剤としてグリシ
ジル基を含んだ4級アンモニウム化合物を用い、上記多
糖類100重量部に対し、その中に含まれている水分も
含めて水の量を4−40重量部とし、低級アルコールの
量を5−50重量部とし、苛性アルカリの量を1−8重
量部として、まず混合溶媒中で非グラニュール状多糖類
を苛性アルカリ処理し、次いで5−60重量部のグリシ
ジル基を含んだ4級アンモニウム化合物を加えて反応さ
せ、上記多糖類を僅かに湿った状態でカチオン化するこ
とを特徴とする、非グラニュール状多糖類のカチオン化
方法を要旨とするものである。
【0014】この発明で用いることのできる非グラニュ
ール状多糖類は、前にも述べたように、澱粉以外の多糖
類である。その中には、セルロースのように水に溶解し
ないものと、水に溶解するものとが含まれている。ま
た、水に溶解するものの中には、冷水に溶解するものも
あれば、冷水には溶解しないが温水に溶解するものもあ
る。
【0015】水に溶解する非グラニュール状多糖類の代
表的なものは、ポリガラクトマンナンである。ポリガラ
クトマンナンの中には、グァーガム、ローカストビーン
ガム、タラガム、カシァガムなどが含まれている。その
ほか、非グラニュール状多糖類は、こんにゃくのような
グルコマンナン、タマリンドガム、キサンタンガム、サ
イリュームシードハスク等を含んでいる。これらの多糖
類は、微細な粉末として用いるのが好ましく、また精製
し不純物をできるだけ除いて使用することが好ましい。
【0016】この発明では苛性アルカリを用いる。苛性
アルカリは、非グラニュール状多糖類(以下、これを単
に多糖類という)とグリシジル基を有する4級アンモニ
ウム化合物(以下、これをアンモニウム化合物という)
とが反応するとき、触媒として働くものである。苛性ア
ルカリとしては苛性ソーダと苛性カリとを用いるのが適
している。苛性アルカリの量は、多糖類100重量部に
対し1−8重量部とするが、その中では1−6重量部と
することが好ましい。このような割合に限定した理由
は、1重量部未満では多糖類表面での苛性アルカリの量
が不足し、均一にカチオン化反応が進行しなくなるから
であり、逆に8重量部より多いと、カチオン化反応によ
って生成した物が部分的に糊化し、良好な製品を得るこ
とができないからであり、また反応終了後苛性アルカリ
を酸によって中和するとき多量の塩が生成され、製品を
悪くするからである。
【0017】この発明では、水と低級アルコールとの混
合溶媒を用いる。このうち、水について云えば、水は、
多糖類に含まれている水分も含めて、多糖類100重量
部に対し4−40重量部を用いる。そのうちでも、好ま
しいのは10−30重量部である。水は、乾燥した多糖
類中にも通常数%程度含まれているから、湿った多糖類
を用いる場合にはことさら水を加えなくてもよい場合が
ある。この水は、多糖類と苛性アルカリとが反応して多
糖類のアルカリ付加物を均一に生成するために必要とさ
れる。この水の量を4−40重量部必要とした理由は、
4重量部未満では上述のアルカリ付加物が均一に形成さ
れなくなるからであり、40重量部を越えると、反応生
成物が局部的に糊化して、不均一な製品を生成すること
になるからである。
【0018】この発明における低級アルコールは、多糖
類を湿った状態に維持するために必要とされ、とくに多
糖類に対する水の溶解力を減殺し、多糖類を膨潤した状
態に維持するために必要とされる。低級アルコールの使
用量は、多糖類100重量部に対し5−50重量部の範
囲内とする。そのうちでも好ましいのは、10−40重
量部である。低級アルコールの好適な具体例は、メタノ
ール、エタノール、プロパノールである。これらは単独
で又は混合して用いることができる。
【0019】水と低級アルコールとの混合割合は、多糖
類中に含まれている水分も含めて、重量で等量か、又は
低級アルコールの方が多くなるようにすることが望まし
く、とくに水1部に対して低級アルコールを1−6部と
することが好ましい。
【0020】水と低級アルコールとからなる混合溶媒
は,多糖類をただ適度に膨潤させているだけでなく、グ
リシジル基を含んだ4級アンモニウム化合物と苛性アル
カリとを溶解し、均一な溶液を形成することが望まし
い。混合溶媒が上記4級アンモニウム化合物と苛性アル
カリとを溶解して均一な溶液を生成しているときは、多
糖類のカチオン化が一様に行われ、均一で透明なカチオ
ン化多糖類を得ることができる。ところが、混合溶媒が
上記4級アンモニウム化合物と苛性アルカリとを溶解し
て均一な溶液を生成していないときは、カチオン化が不
均一に行われ、従って透明度の低いカチオン化多糖類が
得られる。
【0021】例えば、イソプロピルアルコール70重量
%と水30重量%とから成る混合溶媒100重量部に、
苛性ソーダ1重量部を添加するときは、苛性ソーダは均
一に溶解しないで2層に分離する。ところが、この溶液
にメタノール20重量部を加えると、全体は1つの均一
溶液となる。このように、均一溶液となった組成の苛性
ソーダ溶液を用いて多糖類を処理すると、多糖類は均一
に苛性ソーダによって処理され、ここに均質のアルカリ
付加多糖類を生成する。
【0022】上述の苛性アルカリは、水と低級アルコー
ルとからなる混合溶媒との関係から云えば、混合溶媒中
でなるべく高濃度を維持することが好ましい。しかし、
苛性アルカリが混合溶媒中で飽和濃度以上となって固相
部分を持つときは、その部分が不均一な反応を起こすお
それがある。そこで、苛性アルカリは、混合溶媒中で飽
和濃度以下にあって、なるべく飽和濃度に近い高濃度を
持つよう、その量を調節して添加することが好ましい。
【0023】この発明においては、カチオン剤を用い
る。カチオン剤は、グリシジル基を持った4級アンモニ
ウム化合物である。このカチオン化剤は、一般式
【0024】
【化1】
【0025】で表されるものであって、澱粉用カチオン
化剤として公知のものである。ここで、R1は炭素数が1
〜8の直鎖または分岐のアルキル基を表し、R2、R3及び
R4は炭素数が1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基又はア
リール基を表し、Xはハロゲンを表している。アリール
基の好適な例はベンジル基であり、ハロゲンの好適な例
は塩素である。このカチオン化剤は、常温で固体であっ
て、水と低級アルコールによく溶解する性質を持ってい
る。カチオン化剤は、多糖類100重量部に対し5−6
0重量部使用される。カチオン化剤の好適な例は、グリ
シジルトリメチルアンモニウムクロライドである。
【0026】この発明では、カチオン化剤を混合溶媒と
ともに用いて、カチオン化剤を混合溶媒に溶解させる
が、そのときカチオン化剤は均一溶液を生成することが
好ましい。なぜならば、混合溶媒が2層に分かれると、
前述の苛性アルカリと同じく、カチオン化の反応が均一
に進行しにくくなるからである。例えば、カチオン化剤
としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドを
用いた場合に、その75重量%水溶液とイソプロパノー
ルとの等重量混合物は、低温では2層に分かれているけ
れども、26℃以上では均一相となる。従って、この場
合には26℃以上でカチオン化反応を行うとカチオン化
を一様に進行させることができる。そのうちでも好まし
いのは、40−80℃に加熱して反応を進行させること
である。その理由は、40℃未満では反応速度が遅く
て、反応完了までに時間を要するからであり、逆に80
℃を越えると、得られたカチオン化多糖類が褐色に着色
して品質を低下させるからである。
【0027】この発明では、まず多糖類に混合溶媒と苛
性アルカリとを加え、その後にカチオン化剤を加える。
多糖類に混合溶媒と苛性アルカリとを加える順序につい
ては、格別制限がない。しかし、加える順序としては、
最初苛性アルカリを混合溶媒に溶解しておいて、得られ
た溶液を多糖類に加えるか、又は初めに混合溶媒を多糖
類に加えておいて、あとから苛性アルカリを加えるのが
好ましい。
【0028】この発明では、多糖類に混合溶媒と苛性ア
ルカリとを加えたのち、これをよく撹拌する。苛性アル
カリを固体のまま加えた場合には、撹拌の間に苛性アル
カリと多糖類との摩擦によって多糖類が微粉状となり、
混合溶媒に溶解されて溶液を形成する。こうして形成さ
れた溶液、又は初めから溶液として加えられた溶液は、
多糖類粒子に付着してアルカリ付加物を形成する。この
とき、加えた混合溶媒は、多糖類100重量部に対して
高々90重量部に過ぎないから、全体は僅かに湿った状
態に過ぎない。従って、撹拌は容易である。
【0029】この発明では、上述のようにして混合溶媒
中で多糖類を苛性アルカリと反応させたあとで、カチオ
ン化剤を加える。その後もさらに撹拌を続ける。そのと
き反応を円滑に進行させるために適度に加熱し、例えば
40〜80℃に保持する。すると、カチオン化剤は混合
溶媒に溶解し、多糖類のアルカリ付加物と反応して、カ
チオン化多糖類を生成する。こうして得られた生成物
は、カチオン化多糖類のほかに未反応の残留物を含んで
いる。未反応の残留物は主に苛性アルカリと混合溶媒と
である。そこで、反応生成物に酸、例えば酢酸を加えて
苛性アルカリを中和し、減圧乾燥して混合溶媒を除く。
こうして、目的とするカチオン化多糖類を得ることがで
きる。
【0030】
【発明の効果】この発明によれば、多糖類100重量部
に対し、その中に含まれている水分も含めて、水の量を
4−40重量部とし、低級アルコールの量を5−50重
量部とした混合溶媒を用いることとしたので、用いる溶
媒の量は高々90重量部であって少量であるから、大き
な反応容器を必要とせず、小さな容器内で手軽に実施す
ることができる。また、溶媒として水と低級アルコール
との混合溶媒を用いたので、混合溶媒が多糖類を適度に
膨潤させるにとどまり、さらに混合溶媒が少量であるた
めに撹拌が容易となり、従って容易にカチオン化反応を
進行させることができる。その上に、カチオン化剤とし
てグリシジル基を含んだ4級アンモニウム化合物を用い
ることとしたので、カチオン化反応を効率よく進行させ
ることができる。また、カチオン化剤の量を5−60重
量部とし、苛性アルカリの量を1−8重量部としたの
で、全体として効率よく均一にカチオン化反応を進行さ
せることができ、カチオン化反応の終了後は残留物を容
易に除去できて、品質のよいカチオン化多糖類を容易に
製造することができる。この点で、この発明は大きな利
益を与えるものである。
【0031】以下に、実施例と比較例とを挙げて、この
発明のすぐれている所以を具体的に明らかにする。以下
の実施例と比較例とにおいて、単に部というのは重量部
を意味している。また、そこで行った水分率、pH、灰
分、置換度及び透明度の測定は、下記の方法によった。
【0032】 (a)水分率: 赤外線水分計を用いて測定した。 (b)pH : 1重量%の水溶液を調製し、10分後
にpHメーターで測定した。 (c)灰分 : 絶乾試料を電気炉に入れ、700℃に
加熱して分解し、残留分の重量を測定した。 (d)置換度: 70重量%のメタノール水溶液で充分
洗浄し、乾燥したのち、食品添加物公定書窒素定量法
(2)のセミケルダール法によって測定した窒素量から
算出した。なお、グァーガムの中には、あとで(f)の
ところで述べるように、蛋白質などに由来する窒素が含
まれているので実施例及び比較例に掲げた置換度は、測
定値から上記窒素分0.01を差し引いた値を示した。 (e)透明度: 0.5重量%の水溶液を調製し、2時
間経過してのち、JIS K 0101−9に規定する
方法に従い、濁度透視度計を使用して、二重十字を識別
できる水層の高さを測定した。 (f)グァーガムの精製: グァーガムを30重量%の
メタノール水溶液中に懸濁したのち、1時間撹拌し、懸
濁液を一晩放置し、吸引濾過後、メタノールと水の混合
溶媒に溶解した苛性ソーダの10重量%溶液(水とメタ
ノールの比率は重量で1対1)中に濾過残分を分散さ
せ、1時間撹拌したのち、酢酸で中和し、懸濁液を吸引
濾過した。濾過残分をメタノール・水混合液(水とメタ
ノールの比率は重量で1対1)で洗浄、脱水を2回繰り
返したのち、乾燥した。乾燥後粉砕して、これを精製グ
ァーガムとした。これを粉砕して得た粉末の100メッ
シュ篩を通過した粉末はN%が0.1%であった。これ
は窒素分より置換度を求める計算式に代入すると、 となる。
【0033】
【実施例1】V型ブレンダーに精製グァーガム(水分率
6%)1000gを加えた後、水40g、メタノール1
60gと、苛性ソーダ40gとを別々に加え、その後室
温で2時間撹拌した。こうして得られた混合物を密閉で
きる容器に入れ、容器内の圧力が100mmHgになる
まで減圧脱気した。次いで、バルブを開いて、グリシジ
ルトリメチルアンモニウムクロライドの75%水溶液4
00gとメタノール200gとの混合溶液を注入し、7
0℃に加温して4時間撹拌した。その後、真空ポンプで
容器内を減圧し、酢酸で中和した。その後再び真空ポン
プで容器内を減圧にし、水とメタノール等を除去して、
カチオン化グァーガムを得た。
【0034】得られたカチオン化グァーガムは、100
メッシュの篩をすべて通過し、pHが6.8で、均一に
カチオン化されていた。また、その置換度は0.23
で、灰分は4.1%、透明度は11.2cmであり、反
応効率は68%という高い値であった。
【0035】なお、苛性ソーダ40gは水40gとメタ
ノール160gとに溶解して均一溶液を生成し、またグ
リシジルトリメチルアンモニウムクロライドの75%水
溶液400gとメタノール200gも均一溶液を生成し
た。
【0036】
【比較例1】この比較例では実施例1と同様に実施した
が、ただカチオン化剤としてグリシジル基を含んだアン
モニウム化合物を使用しないで、代わりにクロロアルキ
ル基を含んだアンモニウム化合物を使用し、また低級ア
ルコールとしてイソプロパノールを用い、水と低級アル
コールとの使用量を多くしてスラリ状で実施した点で、
実施例1と異なるようにした。その詳細は次のとおりで
ある。
【0037】実施例1で用いた精製グァーガム(水分率
6%)1000gに、イソプロパノール1500gを加
えてよく撹拌しながら、これに苛性ソーダ60gと水9
00gの混合液をゆっくり加えた。そのまま1時間撹拌
したのち、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメ
チルアンモニウムクロライドの50%水溶液624gと
イソプロパノール100gとの混合溶液をゆっくり加え
て、液温を70℃まで上げて70℃で5時間撹拌した。
その後、酢酸で中和し、濾別後乾燥してカチオン化グァ
ーガムを得た。
【0038】得られたカチオン化グァーガムはpHが
6.7で均一にカチオン化されていた。その置換度は
0.17で低く、灰分が7.0%と多く、透明度は6.
6cmで不良であり、反応効率は52%と低かった。溶
媒として水900g、イソプロパノール1500gとい
う大量を使用しているのに効率が悪かった。
【0039】
【実施例2】撹拌機つきの密閉できる容器に、実施例1
で用いた精製グァーガム(水分率6%)1000gを加
えた後、メタノール40g、イソプロパノール60gと
50%苛性ソーダ水溶液40gを別々に加え、40℃で
2時間撹拌した後、60℃に昇温させながら減圧乾燥し
た。1時間後、バルブを開いてメタノール200gとイ
ソプロパノール100gを注入した後、グリシジルトリ
メチルアンモニウムクロライドの75%水溶液250g
を注入し、そのまま4時間撹拌した。この間反応容器内
の温度を70℃に保持した。その後、酢酸で中和し、減
圧乾燥してカチオン化グァーガムを得た。
【0040】得られたカチオン化グァーガムはpHが
6.8で、均一にカチオン化されていた。その置換度は
0.15で、灰分は2.2%で少なく、透明度は7.0
cmで良好であり、反応効率は71%と高かった。
【0041】
【実施例3】実施例2で用いたのと同じ容器に、実施例
1で用いたのと同じ精製グァーガム(水分率6%)10
00gを入れたのち、メタノール100gと、苛性ソー
ダの50%水溶液80gとの混合溶液を加え、室温で2
時間撹拌した後、この容器内の圧力が100mmHgに
なるまで減圧脱気した。次いで、バルブを開きグリシジ
ルトリメチルアンモニウムクロライドの75%水溶液3
00gとメタノール200gとの混合溶液を注入し、7
0℃まで昇温させてこの温度で3時間撹拌した。その
後、酢酸で中和し、減圧乾燥してカチオン化グァーガム
を得た。
【0042】得られたカチオン化グァーガムは、pHが
6.6で均一にカチオン化されていた。その置換度は
0.19で高く、灰分が4.1%で少なく、透明度は
8.4cmで良好であり、反応効率は76%と高かっ
た。
【0043】
【実施例4】実施例2で用いたのと同じ容器に、実施例
1で用いたのと同じ精製グァーガム(水分率6%)10
00gを入れたのち、苛性ソーダの50%水溶液40g
にメタノール160gとイソプロパノール60gを加え
た混合溶液を加えて、室温で3時間撹拌した後、この容
器内の圧力が100mmHgになるまで減圧脱気した。
次いで、バルブを開いて、グリシジルトリメチルアンモ
ニウムクロライドの75%水溶液200gとメタノール
100gとイソプロパノール100gとの混合溶液を注
入し、70℃まで昇温させて4時間撹拌した。この間、
反応容器内の温度を70℃に保持した。その後、酢酸で
中和し、減圧乾燥してカチオン化グァーガムを得た。
【0044】得られたカチオン化グァーガムは、pHが
6.5で均一にカチオン化されていた。その置換度は
0.13で、灰分が2.2%で少なく、透明度は6.9
cmで良好であり、反応効率は75%と高かった。
【0045】
【実施例5】実施例2で用いたのと同じ容器に、実施例
1で用いたのと同じ精製グァーガム(水分率6%)10
00gを入れたのち、容器内の圧力が100mmHgに
なるまで減圧脱気した。次いで、苛性ソーダの50%水
溶液20gとメタノール100gとイソプロパノール6
0gとの混合溶液を注入し、室温で3時間撹拌した。そ
の後70℃まで昇温させながら減圧脱気した。1時間
後、グリシジルトリメチルアンモニウムクロライドの7
5%水溶液200gとメタノール100gとの混合溶液
を注入し、そのまま4時間撹拌した。この間、反応容器
内の温度を70℃に保持した。その後、酢酸で中和し、
減圧乾燥してカチオン化グァーガムを得た。
【0046】得られたカチオン化グァーガムは、pHが
6.6で均一にカチオン化されていた。その置換度は
0.12で低かったが、灰分は1.1%で少なく、透明
度は5.7cmで良好であり、反応効率は70%と高か
った。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶媒と苛性アルカリとの存在下に、非グ
    ラニュール状多糖類をカチオン化剤によりカチオン化す
    る方法において、溶媒として低級アルコールと水との混
    合溶媒を使用し、カチオン化剤としてグリシジル基を含
    んだ4級アンモニウム化合物を用い、上記多糖類100
    重量部に対し、その中に含まれている水分も含めて水の
    量を4−40重量部とし、低級アルコールの量を5−5
    0重量部とし、苛性アルカリの量を1−8重量部とし
    て、まず混合溶媒中で非グラニュール状多糖類を苛性ア
    ルカリで処理し、次いで5−60重量部のグリシジル基
    を含んだ4級アンモニウム化合物を加えて反応させ、上
    記多糖類を僅かに湿った状態でカチオン化することを特
    徴とする、非グラニュール状多糖類のカチオン化方法。
  2. 【請求項2】 低級アルコールがメタノール、エタノー
    ル又はプロパノールであることを特徴とする、特許請求
    の範囲第1項に記載する非グラニュール状多糖類のカチ
    オン化方法。
  3. 【請求項3】 非グラニュール状多糖類が、水に溶解す
    るものであることを特徴とする、特許請求の範囲第1項
    又は第2項に記載する非グラニュール状多糖類のカチオ
    ン化方法。
  4. 【請求項4】 グリシジル基を含んだ4級アンモニウム
    化合物と苛性アルカリとが、混合溶媒に溶解して均一な
    溶液を形成することを特徴とする、特許請求の範囲第1
    −3項の何れか1つの項に記載する非グラニュール状多
    糖類のカチオン化方法。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006501318A (ja) * 2002-05-06 2006-01-12 ハーキュリーズ・インコーポレーテッド カチオン性ポリマー組成物、および、そのコンディショニング用途における使用
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