JPH061405U - 人工芝生 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 長期の使用においても砂層が堅く締まった状
態とならず、望ましい柔らかさを維持し得る砂入り人工
芝生を提供する。 【構成】 合成樹脂製フィラメントが地組織上に多数の
芝生状パイルを形成するように植設され、該芝生状パイ
ルの先端部を表面から突出させた状態で前記地組織上の
フィラメント間に砂層が設けられた人工芝生において、
前記地組織上の前記芝生状パイル間に合成樹脂製フィラ
メントにより形成された補強パイルが更に植設され、該
補強パイルの先端は前記芝生状パイル先端より低く形成
され且つ前記砂層中に埋設されていることを特徴とする
人工芝生。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、合成樹脂製フィラメントからなる芝生状パイルの間に砂層が設けら れ芝生状パイル先端部を砂層表面から突出させた人工芝生（いわゆる砂入り人工 芝生）に関する。

【０００２】

【従来技術およびその問題点】

地組織上に多数の芝生状パイルが形成された人工芝生は、その用途に応じて種 々提案されている。近年、テニス、野球、サッカー、ラグビー等のスポーツを行 なうコート又はグラウンドを形成するための人工芝生として、複数本束ねられた 偏平状モノフィラメントが地組織に植設されて多数の芝生状パイルが形成された ものが多用されている。このような人工芝生は、地組織上に多数の芝生状パイル を有した人工芝生本体が地表面に敷かれて適宜固定され、芝生状パイルのフィラ メント間に砂が入れられて地組織上に砂層が設けられ、芝生状パイル先端部が砂 層から突出した状態とされる。

【０００３】 しかしながら、このような従来の砂入り人工芝生においては、長期間の使用に より繰返し踏みつけられるうちに砂層が堅く締まった状態になる傾向があり、コ ート又はグランドとしての望ましい柔らかさが失われるという問題があった。

【０００４】 本考案の目的は、長期の使用においても砂層が堅く締まらず望ましい柔らかさ を維持し得る砂入り人工芝生を提供することにある。

【０００５】

【問題を解決するための手段】

本考案は、前記目的を達成するため、合成樹脂製フィラメントが地組織上に多 数の芝生状パイルを形成するように植設され、該芝生状パイルの先端部を表面か ら突出させた状態で前記地組織上のフィラメント間に砂層が設けられた人工芝生 において、前記地組織上の前記芝生状パイル間に合成樹脂製フィラメントにより 形成された補強パイルが更に植設され、該補強パイルの先端は前記芝生状パイル 先端より低く形成され且つ前記砂層中に埋設されていることを特徴とする人工芝 生を提供するものである。

【０００６】 なお、本明細書において使用される「フィラメント」の用語は、連続した糸と して提供されるテープヤーン、スリットヤーン、スプリットヤーン、フィルムヤ ーン等と呼ばれるものを含む。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案の実施例につき添付図面を参照しつつ説明する。図１は、本考案 の１実施例に係る人工芝生（１）を示す断面図である。該人工芝生の人工芝生本 体（１０）には、合成樹脂製のモノフィラメント（２）が複数本束ねられた状態 で地組織（４）表面にタフティングにより植設され多数の芝生状パイル（５）の 列が形成されている（該図はタフティングによる列の横断面を示す）。更に、人 工芝生本体（１０）の１つの芝生状パイル（５）の列の間には、合成樹脂製のモ ノフィラメント（２）が複数束ねられた状態で植設され１つの補強パイル（７） の列が形成されている。該実施例において、補強パイル（７）はループパイルと されており、この場合、該ループパイルのループ形状により弾性力が補強パイル （７）にもたらされる。

【０００８】 図２は、本考案の他の実施例に係る人工芝生（１´）を示す断面図である。該 人工芝生の人工芝生本体（１０´）には、図１と同様、合成樹脂製のモノフィラ メント（２）が複数本束ねられた状態で地組織（４）表面にタフティングにより 植設され多数の芝生状パイル（５）の列が形成され、更に、該人工芝生本体の１ つの芝生状パイル（５）の列の間には、合成樹脂製のモノフィラメント（２）が 複数束ねられた状態で植設され１つの補強パイル（７´）の列が形成されている 。該実施例において、補強パイル（７´）はカットパイルとされており、この場 合、補強パイル（７´）の弾性力を高めるため、カットパイルを構成する合成樹 脂製のモノフィラメント（２）は、捲縮加工により捩じり又は縮みの施されたも のが使用されるのが好ましい。

【０００９】 図１及び図２のいずれの実施例においても、芝生状パイル（５）の長さは用途 に応じて１５、２０、２５ｍｍ等と適宜選択される。これに対応して補強パイル （７）又は（７´）の高さも種々選択され得るが、いずれの高さ（長さ）の場合 においても、これらの補強パイル先端は芝生状パイル（５）より低く形成されて いる。このように、補強パイル（７）又は（７´）の列を芝生状パイル（５）の 列の間に低く形成するには次のように行なう。

【００１０】 例えば、タフティングマシンにおいて、タフティングをカットパイル列とルー プパイル列とに分けて行ない、ループパイル用ニードルが基布を貫いて下降する 量をカットパイル用ニードルの下降量より小さくし、且つルーパーと同期して作 動する切断用ナイフをカットパイル用ニードルによる植設列にのみ作用させれば 、ループパイルの補強パイル（７）を有する人工芝生（図１）が形成され得る。 また、前記切断用ナイフを前記ループパイル用ニードルによる植設列にも作用さ せれば、カットパイルの補強パイル（７´）を有する人工芝生（図２）が形成さ れ得る。

【００１１】 地組織（４）の裏面は芝生状パイル（５）の抜落ちを防止するためバッキング 処理が施され樹脂層（６）が形成されている。

【００１２】 人工芝生本体（１０）又は（１０´）は、例えばコート又はグラウンドを形成 すべき地表面に敷かれて適宜固定され、更に、芝生状パイル（５）の先端部のみ 表面に突出するように地組織（４）表面上に示す位置（図中、矢印Ａで示す位置 ）まで砂が入れられて砂層（３）が設けられ、人工芝生（１）又は（１´）とし て使用される。前述のように補強パイル（７）又は（７´）は芝生状パイル（５ ）の高さより低く形成されているため、図１及び図２に示すように、地組織（４ ）上の砂層（３）中に該補強パイル全体が埋設される。

【００１３】 芝生状パイル（５）の材質は、従来の人工芝に使用されている材料であるポリ プロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリエステル、塩化ビニリデン等の耐候 性及び耐久性に富む合成樹脂を使用することができる。補強パイル（７）、（７ ´）の材質としては、前記合成樹脂の他、天然繊維を使用することができる。該 天然繊維としては、麻、黄麻（ジュート）等の腰が強くて弾性に富むものが好ま しい。芝生状パイル（５）及び補強パイル（７）、（７´）を構成するモノフィ ラメントの厚み及び繊度（デニール）も、従来の人工芝に適用されている範囲で 適宜選択して使用することができる。

【００１４】 更に、図３に示す他の実施例に係る人工芝生（１〃）には、補強パイル（７〃 ）が、天然繊維又は合成繊維の細いフィラメント（２〃）の束ねられたカットパ イルにより構成され、人工芝生本体（１０〃）の地組織（４）上から放射状に延 びている。補強パイル（７〃）として合成繊維の細いフィラメントを用いる場合 には、該フィラメントに予め捲縮加工を施しておくことにより、好ましい弾性力 が付与され得る。人工芝生本体（１０〃）も、前述の実施例（図１及び図２）と 同様、補強パイル（７〃）先端が芝生状パイル（５）より低く形成され、且つ補 強パイル（７〃）の列が芝生状パイル（５）の列の間に低く形成されている。こ の芝生本体（１０〃）に対し、前述の実施例と同様、芝生状パイル（５）の先端 部のみ表面に突出するように砂が入れられ砂層（３）が図中矢印Ａで示す位置ま で設けられ、補強パイル（７〃）全体が砂層（３）中に埋設される。

【００１５】 このようにして形成された本発明の実施例に係る人工芝生において、踏みつけ による圧縮荷重は、砂層（３）に加えられると共に該砂層中に埋設された補強パ イル（７）、（７´）、（７〃）にも加えられる。この際、砂層（３）の砂粒子 は圧縮荷重によりその密度を増すが、補強パイル（７）、（７´）、（７〃）は 、該パイル周囲の砂粒子からの圧縮荷重をその弾性変形により受止め、前記圧縮 荷重の解除後には、補強パイルの弾性力により、該パイル自身の形状を復元して 砂層（３）を押し戻す。この補強パイルによる押し戻しが有利に行なわれ得るよ うに、各図中に示す砂層の高さ（Ａ）は、補強パイル（７）、（７´）、（７〃 ）の弾性力が有効に活用され該補強パイルに加えられる砂の自重が過大とならな いように、補強パイル（７）、（７´）、（７〃）の先端部より、好ましくは約 ３〜１０ｍｍ程度、より好ましくは約５ｍｍ程度高く設けられる。

【００１６】 このように構成された本考案に係る人工芝生においては、長期間の使用の後も 砂層が堅く締まった状態となることが防止される。また、砂層の締まった状態に 伴なう透水性の低下が防止されるという効果も得られる。

【００１７】 また、人工芝生の用途に応じて、地組織上に植設された芝生状パイル列間に植 設される補強パイル列を複数としたり、複数の芝生状パイル列毎に１つの補強パ イル列を設けたりすることにより、砂入り人工芝生の柔らかさを調整することも できる。この場合の人工芝生本体の製造は、前述のように芝生状パイル列及び補 強パイル列に対応したニードル、ルーパー及びナイフが組合されたタフティング 機械により行なわれる。

【００１８】

【考案の効果】

本考案に係る人工芝生は、地組織表面上の芝生状パイル列間に補強パイル列が 更に植設され、該補強パイルの先端は前記芝生状パイル先端より低く形成され、 且つ芝生状パイルの先端部を表面から突出させた状態で設けられた砂層中に埋設 されている。このため、前記人工芝生は、踏みつけられても補強パイルの有する 弾性力により、砂層が締まった状態となることが防止され、長期の使用において コート又はグラウンド等の用途として望ましい柔らかさを維持することができる 。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係る人工芝生の横断面図であ
る。

【図２】本考案の他の実施例に係る人工芝生の横断面図
である。

【図３】本考案の更に他の実施例に係る人工芝生の横断
面図である。

【符号の説明】

１ 人工芝生 １′ 人工芝生 １″ 人工芝生 ２ モノフィラメント ３ 砂層 ４ 地組織 ５ 芝生状パイル ６ 樹脂層 ７ 補強パイル ７′ 補強パイル ７″ 補強パイル １０ 人工芝生本体 １０′人工芝生本体 １０″人工芝生本体

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 合成樹脂製フィラメントが地組織上に多
   数の芝生状パイルを形成するように植設され、該芝生状
   パイルの先端部を表面から突出させた状態で前記地組織
   上のフィラメント間に砂層が設けられた人工芝生におい
   て、 前記地組織上の前記芝生状パイル間に合成樹脂製フィラ
   メントにより形成された補強パイルが更に植設され、該
   補強パイルの先端は前記芝生状パイル先端より低く形成
   され且つ前記砂層中に埋設されていることを特徴とする
   人工芝生。
2. 【請求項２】 前記芝生状パイル及び補強パイルがタフ
   ティングによる列をなして植設されており、前記補強パ
   イルの列は前記芝生状パイルの列の間に形成されている
   ことを特徴とする請求項１に記載の人工芝生。
3. 【請求項３】 前記補強パイルが天然繊維で形成された
   フィラメントであることを特徴とする請求項１又は請求
   項２に記載の人工芝生。
4. 【請求項４】 前記補強パイルがループパイルであるこ
   とを特徴とする請求項１から３のいずれか一つに記載の
   人工芝生。
5. 【請求項５】 前記補強パイルがカットパイルであるこ
   とを特徴とする請求項１から３のいずれか一つに記載の
   人工芝生。