JPH0542685Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、自動車のバンパー取付構造に関す
る。

（従来の技術） 自動車のバンパーは、衝突等による外力から乗
員や車体を保護するものであるため、一般に車体
の強度メンバたるサイドメンバの先端に剛性の高
い部材を取付けてバンパーとしている。

ところで、近年かかるバンパーのサイドメンバ
への取付構造としてその取付作業工数を低減させ
るためにサイドメンバの先端部内にバンパーステ
イの後部を収納し、これらを上下方向に貫通した
１本のボルトで連結するものが提案されている
（例えば、実開昭61−117755号公報参照）。

（考案が解決しようとする課題） この種の取付構造によれば、各ステイをメンバ
に対してそれぞれ１本の貫通ボルトで固定してい
るため、車両衝突時バンパーの局部に外力が作用
した場合には、それに伴ないバンパーステイが該
ボルトまわりに回動してしまい、局部的に加わつ
た外力を有効に分散させることができにくくなる
ために衝撃吸収特性が悪化して車体の損傷が局部
的に大きく生じるおそれがあるという問題があつ
た（第６図参照）。

この考案は、かかる事情に基づいてなされたも
ので、ステイの回転方向の動きを阻止し局部的に
加わつた外力を左右のサイドメンバに有効に分散
して負担するようにして局部的に生じる車体の損
傷の程度を軽減することを目的とするものであ
る。

（課題を解決するための手段） そのため、この考案は、自動車のフレームを構
成する両側のサイドメンバの先端に、バンパー本
体に固着され車両前後方向に延在するバンパース
テイの後部を挿入するとともに、これらバンパー
ステイを前記サイドメンバに上下方向から貫通す
る１本のボルトでそれぞれ取付けた自動車のバン
パー取付構造において、前記バンパーステイの両
側壁には外側方に突出する突きあて部を一体に形
成し、また、前記サイドメンバの両側壁には前記
突きあて部を支承するストツパ部を形成したもの
である。

（作用） バンパー本体に局部的に外力が作用した場合、
前記ストツパ部は突きあて部に当接して支承さ
れ、バンパーステイのボルトまわりの回動が抑制
されるために、バンパー本体に加わつた外力はサ
イドメンバを折れや曲がり変形させることなく順
次つぶれ変形させ衝突エネルギーを有効に吸収す
ることができる。

（実施例） 以下、図に示す一実施例について説明するが、
まず、第４図によりこの実施例の自動車の前部に
ついて説明する。

第４図において、１は車体、２は前輪、３はボ
ンネツトである。

そして、この車体１は、フレームにより支持さ
れ、そのフレームを構成する左右一対のサイドメ
ンバ４の前端は前記ボンネツト３内に形成された
エンジンルームの下部を経て、ボンネツト３の前
部下部に位置している。

そして、これらのサイドメンバ４の前端には後
述するようにフロントバンパー５が取付けられて
いる。

次に、第１図ないし第３図によりサイドメンバ
４へのフロントバンパー５の取付け構造を説明す
るが、以下の説明においては前記一対のサイドメ
ンバ４の取付構造は左右対称であるため、そのう
ちの一方（第４図で手前側）のみについて説明す
る。

サイドメンバ４は、第３図に示すごとく断面四
角形の筒状の鋼板からなり、この実施例において
は、チヤンネル材の開口側に鋼板を溶接して形成
したものである。

そして、このサイドメンバ４の先端６には、バ
ンパーステイ７の後部が収納して固定されるよう
になつている。

一方、フロントバンパー５はアーマチユア８
（この考案でいうバンパー本体に該当する）と、
そのアーマチユア８に溶接して固定されたバンパ
ーステイ７と、合成樹脂からなり前記アーマチユ
ア８に取付けたバンパーフエイシア９とで構成さ
れている。

アーマチユア８は衝突等の外力に対抗する高剛
性の部材であつて、プレス成形された鋼板からな
るものであり、その接合フランジを利用してバン
パーフエイシア９がボルト止めによつて装着され
ている。

そして、かかるアーマチユア８の後側には、前
記サイドメンバ４の前端の開口位置に対応して左
右一対のバンパーステイ７が溶接により固定され
ている。

このバンパーステイ７は、前記サイドメンバ４
の前端内側にはめ合う断面四角形の筒状に形成さ
れ、その前端両側壁にはアーマチユア８をはめ込
む切欠１１が形成されている。

そして、この切欠１１の縁に沿つて、コ字状を
なし外側に延在するフランジ１２が一体的に形成
されている（このフランジ１２はこの考案でいう
突きあて部に該当する）。

かかる形状のフランジ１２の内側には、アーマ
チユア８をはめ込んで溶接して一体に形成してい
る。

そして、かかるフランジ１２より後方の中央部
分には、このバンパーステイ７の上面から下面に
至る透孔１３が形成され、バンパーステイ７の内
側には溶接によつてカラー１４が固定されてい
る。

他方、かかるバンパーステイ７を内部に収納す
るサイドメンバ４の先端６には、切欠２１を形成
し、前記フランジ１２の外形に沿う内形を有する
ほぼ同形のフランジ１５がサイドメンバ４の両側
壁に外側に突出して形成され、突き当て部たるフ
ランジ１２を支承し、貫通ボルト（後述する）回
りの回転を阻止するようになされている（このフ
ランジ１５は、この考案でいうストツパ部に該当
する）。

そして、前記バンパーステイ７のフランジ１２
をサイドメンバ４のフランジ１５内にはめ込ん
で、アーマチユア８等からなるフロントバンパー
５は左右のサイドメンバ４に取付けられることと
なる。

すなわち、前記フランジ１２，１５には、それ
ぞれ凹部１６または突部１７が形成されており、
これらの凹凸を互いにはめ合うようにサイドメン
バ４に対してバンパーステイ７をはめ込んだ位置
は、前記バンパーステイ７に形成された透孔１３
がサイドメンバ４に形成された透孔１８およびプ
ロジエクシヨンナツト１９の位置と一致するよう
になつているため、フロントバンパー５のサイド
メンバ４への組付け作業時において、簡単に位置
決めすることができその作業性が良好となる。

また、かかるフロントバンパー５をサイドメン
バ４に対して組付ける場合に、前記のようにサイ
ドメンバ４の先端６に切欠２１が形成されている
ため、この切欠２１に一旦フロントバンパー５を
仮り置きすることができ、その状態でボルト２２
を挿通し締結作業をすることができるから組付け
作業の効率を向上する。

次に、かかるフロントバンパー５に局部的に外
力が作用した場合について説明する。

すなわち、左右のサイドメンバ４間の位置に第
５図に矢印で示すように外力が作用すると、アー
マチユア８には外力の作用点を後方に押し下げる
たわみを生じるが、このたわみが大きくなると、
同時にバンパーステイ７もボルト２２まわりに回
動しようとするが、前記のごとくバンパーステイ
７の両外側に一体に形成したフランジ１２は、そ
の後方にサイドメンバ４に一体に形成したフラン
ジ１５が臨んでいるため、このフランジ１５に突
き当てられて、バンパーステイ７のそれ以上の回
動が阻止され外力の一部はサイドメンバ４によつ
て負担される。

したがつて、サイドメンバ４は折れや曲がり変
形でなく軸方向に順次つぶされ、衝突等の外力に
対して、そのエネルギーを有効に吸収することが
できる。

（考案の効果） 以上説明したように、この考案は、自動車のフ
レームを構成する両側のサイドメンバの先端に、
バンパー本体に固着され車両前後方向に延在する
バンパーステイの後部を挿入するとともに、これ
らバンパーステイを前記サイドメンバに上下方向
から貫通する１本のボルトでそれぞれ取付けた自
動車のバンパー取付構造において、前記バンパー
ステイの両側壁には外側方に突出する突きあて部
を一体に形成し、また、前記サイドメンバの両側
壁には前記突きあて部を支承するストツパ部を形
成したものである。

したがつて、バンパー本体に局部的に外力が作
用した場合、前記ストツパ部は突きあて部に当接
して支承され、バンパーステイのボルトまわりの
回動が抑制されるために、バンパー本体に加わつ
た外力のはサイドメンバによつて分散して負担さ
れ、サイドメンバを折つたり曲げたりすることな
く順次つぶしてエネルギーの有効な吸収を図るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

図面は、この考案に関するもので、第１図は一
実施例のバンパー取付け部の側面図、第２図はボ
ルト部分の断面図、第３図はサイドメンバの先端
部とバンパーステイとを示す分解斜視図、第４図
はこの実施例のバンパーを装着した自動車の前部
斜視図、第５図はこの実施例に対して外力が作用
した場合の説明用平面図、第６図は従来のこの種
のバンパー取付構造の平面図である。 ４……サイドメンバ、５……フロントバンパ
ー、６……先端、７……バンパーステイ、８……
アーマチユア、１２……フランジ、１５……フラ
ンジ、２２……ボルト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 自動車のフレームを構成する両側のサイドメン
   バの先端に、バンパー本体に固着され車両前後方
   向に延在するバンパーステイの後部を挿入すると
   ともに、これらバンパーステイを前記サイドメン
   バに上下方向から貫通する１本のボルトでそれぞ
   れ取付けた自動車のバンパー取付構造において、 前記バンパーステイの両側壁には外側方に突出
   する突きあて部を一体に形成し、また、前記サイ
   ドメンバの両側壁には前記突きあて部を支承する
   ストツパ部を形成したことを特徴とする自動車の
   バンパー取付構造。