JPH0539419A - ポリアリーレンサルフアイド樹脂組成物 - Google Patents

ポリアリーレンサルフアイド樹脂組成物

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JPH0539419A
JPH0539419A JP27399391A JP27399391A JPH0539419A JP H0539419 A JPH0539419 A JP H0539419A JP 27399391 A JP27399391 A JP 27399391A JP 27399391 A JP27399391 A JP 27399391A JP H0539419 A JPH0539419 A JP H0539419A
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JP
Japan
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copolymer
component
resin
polyarylene sulfide
composition
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JP27399391A
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English (en)
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Kiyotaka Kawashima
清隆 川島
Shunichi Matsuoka
俊一 松岡
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ポリフェニレンサルファイド樹脂(A)と、
ポリアミド樹脂(B)と、無水マレイン酸変性オレフィ
ン共重合体および/又はアイオノマー樹脂(C)とを、
(B)/(C)=20/80〜95/5、(A)/
〔(B)+(C)〕=5/95〜95/5の重量比で含
む組成物であり、かつあらかじめ(B)成分と(C)成
分とを混合し、次いでそれに(A)成分、又は(A)成
分と(B)成分の残分および/又は(C)成分の残分と
を混合する。 【効果】 (A)、(B)および(C)の各成分が相溶
性良く配合されており、成形品外観が良好であると共に
靭性、耐衝撃性が大幅に改良され、さらにこれらの高度
な機械的性質が安定かつ再現性良く発現される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、相溶性に優れ、成形品
外観が良好であると共に、靱性、耐衝撃性も大幅に改良
された実用性の高いポリアリーレンサルファイド樹脂組
成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリアリーレンサルファイド(以後PA
Sと記す)樹脂は卓越した耐熱性、耐薬品性を有するエ
ンジニアリングプラスチックスとして近年注目されてい
るが、特にPAS樹脂単独系や、繊維状強化剤および/
又は無機フィラ−の含有率が比較的低い系では脆弱であ
り、実用性が著しく制限されている。
【0003】これらの問題点を解決するために、各種の
エラストマ−成分をPAS樹脂に対し配合する試みが成
されている。例えば、PAS樹脂に対しα−オレフィン
とα,β−不飽和酸のグリシジルエステルからなるオレ
フィン系共重合体を配合する方法(特開昭58−154
757号公報)、不飽和カルボン酸等を共重合したα−
オレフィン共重合体とエポキシ樹脂を配合する方法(特
開昭59−207921号公報)、さらに実質的に非晶
性ポリアミドとカルボキシル基および/又はエポキシ基
含有オレフィン共重合体とをPAS樹脂に配合する方法
(特開昭61−53356号公報)等が知られててい
る。
【0004】しかしながら、いずれの変性オレフィン系
共重合体を添加した場合も、PAS樹脂とオレフィン系
共重合体が本来極めて相溶性に劣るために、靱性、耐衝
撃性の向上、さらには外観(相溶性)改良において未だ
効果が十分なものとは言い難く、特に繊維状強化剤およ
び/又は無機フィラ−等の含有率が低い系もしくは繊維
状強化剤や無機フィラ−を含まない系では、外観におけ
る顕著なパ−ル模様、層剥離現象が見られ甚だ相溶性に
劣るのが現状である。
【0005】さらにPAS樹脂に対しこれらの変性オレ
フィン系共重合体に代表されるエラストマ−成分を配合
した場合、相溶性が劣ることに加え、エラストマ−成分
の分散状態が極めて不均一であるがため、例えば溶融混
練による組成物の機械的性質(強度、伸び等)などが大
幅にばらつく、さらには再現性に極めて劣るなどの現象
を生じる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、PA
S樹脂の最大の欠点の一つである脆弱さが大幅に改善さ
れ、靱性、耐衝撃性に優れ、かつ良好な相溶性を有し、
加えて高度の機械的性質をばらつきなく、さらに再現性
よく保持するポリアリーレンサルファイド樹脂組成物を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリアリーレ
ンサルファイド樹脂(A)と、ポリアミド樹脂(B)
と、カルボキシル基含有オレフィン共重合体および/又
はこの共重合体中のカルボキシル基の一部又は全部が金
属イオンで中和されたもの(以下、アイオノマー樹脂と
称す)(C)とを、(B)/(C)=20/80〜95
/5、(A)/〔(B)+(C)〕=5/95〜95/
5の重量比で含む組成物であり、かつあらかじめ(B)
成分の一部又は全部と(C)成分の一部又は全部とを混
合し、次いでそれに(A)成分又は(A)成分と(B)
成分の残分および又は(C)成分の残分とを混合するこ
とを特徴とするポリアリーレンサルファイド樹脂組成物
を提供するものである。
【0008】本発明の組成物の最大の特徴は、極めて高
い靱性、耐衝撃性を有しながら、これらの高度な機械的
性質をばらつくことなく、かつ再現性良く保持し、更に
外観(相溶性)に優れることである。
【0009】前述のように従来のエラストマ−成分配合
組成物では、相溶性に劣り、また分散状態が極めて不均
一であることに起因して靱性、耐衝撃性の改良効果が不
十分であり、かつ機械的性質の安定性、再現性に乏し
い。特に各種変性オレフィン系共重合体では、これらの
傾向が顕著であり、なかでも繊維状強化材および/又は
無機フィラ−の含有量が低い系、もしくは繊維状強化材
や無機フィラ−を含まない系では、成形品表面での著し
いパ−ル模様、剥離現象が見られる。
【0010】これに対し、本発明の組成物では、PAS
樹脂(A)に対しエラストマ−成分であるカルボキシル
基含有オレフィン共重合体および/又はアイオノマー樹
脂(C)を含有せしめるに際してポリアミド樹脂(B)
を介在させること、さらには組成物製造に際しカルボキ
シル基含有オレフィン共重合体および/又はアイオノマ
ー樹脂(C)ポリアミド樹脂(B)とからなる中間体組
成物を予め製造することにより、従来の変性オレフィン
系共重合体配合PAS樹脂組成物では見られぬ、良好な
相溶性、均一性に加え、高度の靱性、耐衝撃性を安定、
かつ再現性よく保持するものである。
【0011】本発明に使用するPAS樹脂としては、式
【0012】
【化1】
【0013】で示される構成単位を70モル%以上含む
もの、特にポリフェニレンサルファイド(PPS)が優
れた特性の組成物をもたらすので好ましい。このポリマ
−の重合方法としては、p−ジクロルベンゼンを硫黄と
炭酸ソーダの存在下で重合させる方法、極性溶媒中で硫
化ナトリウムあるいは水硫化ナトリウムと水酸化ナトリ
ウム又は硫化水素と水酸化ナトリウムの存在下で重合さ
せる方法、p−クロルチオフェノールの自己縮合などが
あげられるが、N−メチルピロリドン、ジメチルアセト
アミドなどのアミド系溶剤やスルホラン等のスルホン系
溶媒中で硫化ナトリウムとp−ジクロルベンゼンを反応
させる方法が適当である。この際に重合度を調節するた
めにカルボン酸やスルホン酸のアルカリ金属塩を添加し
たり、水酸化アルカリを添加したりすることは好ましい
方法である。
【0014】ここでPAS樹脂中に含有される共重合成
分としては、以下に示すようなメタ結合、エーテル結
合、スルホン結合、スルフィドケトン結合、ビフェニル
結合、置換フェニルスルフィド結合、3官能フェニルス
ルフィド、ナフチル結合等が挙げられ、その含有率は、
好ましくは共重合成分は30モル%未満である。ただ
し、3官能性以上の結合を含有させる場合の含有率は、
通常5モル%以下、好ましくは3モル%以下である。
【0015】
【化2】
【0016】
【化3】
【0017】
【化4】
【0018】
【化5】
【0019】
【化6】
【0020】
【化7】 (式中、Rはアルキルき、ニトロ基、フェニル基又はア
ルコキシ基を表わす。)
【0021】
【化8】
【0022】
【化9】
【0023】かかるPAS樹脂は一般的な製造法、例え
ば(1) ハロゲン置換芳香族化合物と硫化アルカリとの反
応(米国特許第2513188号公報、特公昭44−2
7671号公報および特公昭45−3368号公報参
照)(2) チオフェノール類のアルカリ触媒叉は銅塩等の
共存下に於ける縮合反応(米国特許第3274615号
公報、英国特許第1160660号公報参照)(3) 芳香
族化合物を塩化硫黄とのルイス酸触媒共存下に於ける縮
合反応(特公昭46−27255号公報、ベルギー特許
第29437号公報参照)等により合成されるものであ
り、目的に応じ任意に選択し得る。
【0024】また本発明の組成物における靱性、耐衝撃
性、相溶性をより良好とするPAS樹脂として架橋度の
小さいPPS樹脂が使用されるが、特に特開昭50−8
4698号公報、特開昭51−144495号公報によ
り公知である架橋度の小さい高分子量PPS樹脂が好適
に使用される。
【0025】これらの架橋度の低い高分子量PPS樹脂
のうち、特にASTM D1238による316℃/5
000g荷重下(オリフィス;0.0825±0.00
2インチ径×0.315±0.001インチ長さ)での
メルトフロ−レ−トが800g/10分以下、好ましく
は80g/10分以下、特に好ましくは30g/10分
のPPS樹脂が好適である。
【0026】一方、本発明の組成物における靱性,耐衝
撃性,相溶性をより良好とするPPS樹脂として架橋度
の高いPPS樹脂も使用されるが、特に架橋により高分
子量化されたPPS樹脂が好適に使用される。
【0027】これらの架橋度の高い高分子量PPS樹脂
のうち、特にASTM D1238による316℃/5
000g荷重下(オリフィス;0.0825±0.00
2インチ径 × 0.315±0.001インチ長さ)
でのメルトフロ−レ−トが80g/10分以下、好まし
くは30g/10分以下のPPS樹脂が好適である。
【0028】本発明におけるポリアミド樹脂(B)とし
ては、周知の種々のものを挙げることができる。例え
ば、蓚酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレ
フタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキシルジカ
ルボン酸のようなジカルボン酸とエチレンジアミン、テ
トラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキ
サメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、1,4−
シクロヘキシルジアミン、メタキシリレンジアミンとを
重縮合して得られるポリアミド;カプロラクタム、ラウ
ロラクタムのような環状ラクタムを重合して得られるポ
リアミド;あるいは環状ラクタムと、ジカルボン酸とジ
アミンとの塩を共重合して得られるポリアミド等を挙げ
ることができる。
【0029】これらのポリアミドのうち、好ましくは6
−ナイロン、6・6−ナイロン、4・6−ナイロン、6
・10−ナイロン、6・6/6・10−ナイロン共重合
体、6/6・6−ナイロン共重合体、12−ナイロン、
11−ナイロン、6/6T−ナイロン共重合体(カプロ
ラクタムとテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンとの
塩の共重合体)等が挙げられ、特に好適なものとしては
6−ナイロン、6・6−ナイロンである。
【0030】本発明ではカルボキシル基含有オレフィン
共重合体および/又はアイオノマー樹脂(C)を必須成
分として用いる。ここでカルボキシル基含有オレフィン
共重合体としては、α,β−不飽和カルボン酸コモノマ
ーとオレフィンとの直接の共重合や、ポリオレフィンお
よび/又はオレフィン共重合体にα,β−不飽和カルボ
ン酸コモノマーをグラフト共重合する等の方法によって
製造されるものが挙げられ、少なくとも50モル%、好
適には70モル%の1−オレフィン、例えばエチレン、
プロピレン、ブテン−1、イソブテン、ペンテン−1、
ヘキセン−1、デセン−1,4−メチルブテン−1、4
−メチルペンテン−1、4,4−ジメチルペンテン−
1、ビニルシクロヘキサン、スチレン、α−メチルスチ
レン、低級アルキル置換分で置換されたスチレン又は類
似物を含有するものが好ましく、また上記オレフィンの
混合物を使用することもできる。
【0031】なかでもポリオレフィンおよび/又はポリ
オレフィン共重合体にα,β−不飽和カルボン酸コモノ
マーをグラフト共重合したもの、例えばエチレンとブテ
ン−1又はプロピレンから得られる共重合体にα,β−
不飽和カルボン酸コモノマーをグラフト共重合したもの
が好ましい。
【0032】ここで用いるポリオレフィンおよび/又は
ポリオレフィン共重合体としては、市販されている製品
として、例えばタフマーA4085、タフマーA409
0、タフマーA20090等のタフマーAシリーズ〔エ
チレン−ブテン−1共重合体、三井石油化学工業(株)
製品〕およびタフマーP0280、タフマーP048
0、タフマーP0680、タフマーP0880等のタフ
マーPシリーズ〔エチレン−プロピレン共重合体、三井
石油化学工業(株)製品〕等が挙げられる。
【0033】また、α,β−不飽和カルボン酸として
は、例えばアクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、
(無水)マレイン酸、フマル酸および上記カルボン酸の
モノエステル等を例示でき、好適にはアクリル酸、メタ
クリル酸および(無水)マレイン酸を挙げることができ
る。なかでも(無水)マレイン酸が他の酸に比べて少量
の添加で十分な酸変性効果が得られるので特に好まし
い。なお、α,β−不飽和カルボン酸は共重合体中に
0.01〜90モル%の濃度で存在することができる。
【0034】好適なカルボキシル基含有オレフィン共重
合体としては、エチレン−ブテン−1−(無水)マレイ
ン酸共重合体、エチレン−プロピレン−(無水)マレイ
ン酸共重合体等を挙げることが出来る。
【0035】本発明で用いることができるアイオノマー
樹脂としては、カルボキシル基含有オレフィン共重合体
中のカルボキシル基の一部又は全部が金属イオンで中和
されたものが挙げられ、なかでもα,β−不飽和カルボ
ン酸コモノマーとオレフィンとの直接の共重合体中のカ
ルボキシル基の一部又は全部が1〜3個の原子価を有す
る金属イオンで中和されたものが好ましい。
【0036】上記アイオノマー樹脂を得るために用いる
共重合体としては、例えばエチレン/アクリル酸共重合
体、エチレン/メタクリル酸共重合体、エチレン/イタ
コン酸共重合体、エチレン/マレイン酸水素メチル共重
合体、エチレン/マレイン酸共重合体、エチレン/アク
リル酸/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/メタ
クリル酸/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/イタ
コン酸/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/マレ
イン酸水素メチル/アクリル酸エチル共重合体、エチレ
ン/メタクリル酸/酢酸ビニル共重合体、エチレン/ア
クリル酸/ビニルアルコ−ル共重合体、エチレン/プロ
ピレン/アクリル酸共重合体、エチレン/スチレン/ア
クリル酸共重合体、エチレン/メタクリル酸/アクリロ
ニトリル共重合体、エチレン/フマル酸/ビニルメチル
エ−テル共重合体、エチレン/塩化ビニル/アクリル酸
共重合体、エチレン/塩化ビニリデン/アクリル酸共重
合体、エチレン/弗化ビニル/メタクリル酸共重合体、
エチレン/クロロトリフルオロエチレン/メタクリル酸
共重合体、ポリエチレン/アクリル酸グラフト共重合
体、ポリエチレン/メタクリル酸グラフト共重合体、重
合したエチレン/プロピレンアクリル酸グラフト共重合
体、重合したエチレン/ブテン−1メタクリル酸グラフ
ト共重合体、重合したエチレン/ビニルアセテ−トメタ
クリレ−トグラフト共重合体、ポリプロピレン/アクリ
ル酸グラフト共重合体、ポリプロピレン/メタクリル酸
グラフト共重合体、ポリブテン・アクリル酸グラフト共
重合体、ポリ−3−メチルブテン/アクリル酸グラフト
共重合体、ポリエチレン/アクリル酸/アクリル酸エチ
ルグラフト共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、
スチレン/アクリロニトリル/マレイン酸共重合体、ス
チレン/ α−メチルスチレン/マレイン酸共重合体、
スチレン/アクリル酸共重合体、スチレン/メチルメタ
クリレ−ト/イタコン酸共重合体などがあるが、これら
に限定されるものではない。
【0037】これら共重合体中のカルボン酸を中和する
1〜3価の金属イオンとしては、1価金属イオンとして
Na+、K+、Li+、Cs+、Ag+、Cu+、Hg+
が、二価金属イオンとしてBe2+、Mg2+、Ca2+、S
2+、Ba2+、Cu2+、Cd2+、Hg2+、Sn2+、Pb
2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Zn2+等が、また三価金
属イオンとしてAl3+、Sc3+、Fe3+、Yt3+等がそ
れぞれ挙げられる。
【0038】これらアイオノマー樹脂の具体例を挙げる
と、「ハイミラン」の名称で三井・デュポンポリケミカ
ル社より市販されているアイオノマ−樹脂などがある
が、これらに限定されるものではない。
【0039】本発明の組成物におけるPAS樹脂(A)
成分とポリアミド樹脂(B)成分およびカルボキシル基
含有オレフィン共重合体および/又はアイオノマー樹脂
(C)成分の混合割合は、(B)/(C)=20/80
〜95/5、(A)/〔(B)+(C)〕=5/95〜
95/5の重量比の範囲である。
【0040】(B)成分と(C)成分の割合(B)/
(C)において、(B)成分が20重量%未満では本発
明の組成物における相溶性が低下し、(C)成分が5重
量%未満では本発明の組成物における靱性、耐衝撃性の
改良効果が発現されないために好ましくない。また、
(A)成分と〔(B)+(C)〕成分との割合(A)/
〔(B)+(C)〕において、(A)成分が5重量%未
満であるとPAS樹脂本来の特性が大幅に失われ、
〔(B)+(C)〕成分が5重量%未満であると本発明
の組成物における靱性、耐衝撃性の改良効果が発現され
ないために好ましくない。なかでも好適な割合は、
(B)/(C)=40/60〜80/20、(A)/
〔(B)+(C)〕=25/75〜90/10である。
【0041】本発明の組成物においてPAS樹脂(A)
成分とポリアミド樹脂(B)成分およびカルボキシル基
含有オレフィン共重合体および/又はアイオノマー樹脂
(C)成分を含有せしめる製造方法としては、まず予め
第1段階で(B)成分と(C)成分とからなる中間体組
成物を製造して後、引き続き第2段階で該中間体組成物
と(A)成分もしくは(A)、(C)の両成分もしくは
(A)、(B)の両成分もしくは(A)、(B)、
(C)の3成分とを混合する方法が使用される。
【0042】本発明の組成物の製造法に見られる多段階
製法を用いない場合、例えば(A)、(B)、(C)の
各成分を、目的とする重量比にて一括で混合した場合に
は、例え重量比が本発明における(A)、(B)、
(C)の3成分重量比の範囲内に偶然あったとしても、
靱性、耐衝撃性の向上が十分でなく、更に相溶性が劣る
ことに加え、機械的性質等が大幅にばらつき、且つ再現
性に欠けるため好ましくない。
【0043】本発明の組成物には、特定のシラン化合物
を1種以上添加することができる。添加することができ
るシラン化合物とは、具体的にはアミノアルコキシシラ
ン、エポキシアルコキシシラン、ビニルアルコキシシラ
ンの1種または2種以上である。
【0044】アミノアルコキシシランとしては、1分子
中にアミノ基を1個以上有し、アルコキシ基を2個ある
いは3個有するシラン化合物であればいずれのものでも
有効で、例えばγ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミ
ノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルメチルジメトキシシラン、 N−β(アミノエチル)
−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(ア
ミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチ
ルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−ア
ミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル
−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げら
れる。
【0045】エポキシアルコキシシランとしては、1分
子中にエポキシ基を1個以上有し、アルコキシ基を2個
あるいは3個有するシラン化合物であればいずれのもの
でも有効で、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0046】ビニルアルコキシシランとしては、1分子
中にビニル基を1個以上有し、アルコキシ基を2個ある
いは3個有するシラン化合物であればいずれのものでも
有効で、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルト
リメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキ
シ)シランなどが挙げられる。
【0047】これらのシラン化合物は、前述の製造法に
おける第2段階において添加することが好ましく、その
添加量は、本発明の組成物の成分(A)、(B)、
(C)の合計〔(A)+(B)+(C)〕100重量部
に対して0.01〜5重量部であり、好ましくは0.1
〜2重量部である。
【0048】また、本発明の組成物には、エポキシ樹脂
を添加することができる。エポキシ樹脂としては、エポ
キシ基を1個あるいは2個以上含むものであり、液体ま
たは固体状のものが使用できる。例えば、ビスフェノ−
ルA、レゾルシノ−ル、ハイドロキノン、ピロカチコ−
ル、ビスフェノ−ルF、サリゲニン、1,3,5−トリ
ヒドロキシベンゼン、ビスフェノ−ルS、トリヒドロキ
シ−ジフェニルジメチルメタン、4,4’−ジヒドロキ
シビフェニル、1,5−ジヒドロキシナフタレン、カシ
ュ−フェノ−ル、2,2,5,5−テトラキス(4−ヒ
ドロキシフェニル)ヘキサンなどのビスフェノ−ルのグ
リシジルエ−テル、ビスフェノ−ルの代わりにハロゲン
化ビスフェノ−ル、ブタンジオ−ルのジグリシジルエ−
テルなどのグリシジルエ−テル系、フタル酸グリシジル
エステル等のグリシジルエステル系、N−グリシジルア
ニリン等のグリシジルアミン系等などのグリシジルエポ
キシ樹脂、エポキシ化ポリオレフィン、エポキシ化大豆
油等の線状系及びビニルシクロヘキセンジオキサイド、
ジシクロペンタジエンジオキサイド等の環状系の非グリ
シジルエポキシ樹脂が例示される。
【0049】また、好ましいエポキシ樹脂としては、ノ
ボラック型エポキシ樹脂が使用できる。ノボラック型エ
ポキシ樹脂は、エポキシ基を2個以上含有し、通常ノボ
ラック型フェノ−ル樹脂にエピクロルヒドリンを反応さ
せて得られるものである。
【0050】また、ノボラック型フェノ−ル樹脂は、フ
ェノ−ル類とホルムアルデヒドとの縮合反応により得ら
れる。この原料のフェノ−ル類としては、特に制限はな
いがフェノ−ル、o−クレゾ−ル、m−クレゾ−ル、p
−クレゾ−ル、ビスフェノ−ルA、レゾルシノ−ル、p
−タ−シャリ−ブチルフェノ−ル、ビスフェノ−ルF、
ビスフェノ−ルSおよびこれらの混合物が好適に用いら
れる。更にポリ−p−ビニルフェノ−ルのエポキシ化物
もノボラック型エポキシ樹脂と同様に用いることができ
る。尚、これらノボラック型エポキシ樹脂は、ハロゲ
ン、水酸基等を有していてもよく、単独または2種以上
の混合物として使用してもよい。
【0051】これらエポキシ樹脂は、前述の製造法にお
ける第2段階において添加することが好ましく、その添
加量は、本発明の組成物の成分(A)、(B)、(C)
の合計〔(A)+(B)+(C)〕100重量部に対し
て0.1〜10重量部であり、好ましくは0.5〜5重
量部である。
【0052】更に本発明の組成物には、繊維状強化材お
よび/又は無機フィラ−を含有せしめることが可能であ
る。繊維状強化材としては、例えばガラス繊維、アスベ
スト繊維、炭素繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊
維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化珪素繊維、
ホウ素繊維、チタン酸カリウム繊維、さらにステンレ
ス、アルミニウム、チタン、銅、真ちゅう等の金属の繊
維状物の無機質繊維状物質及びアラミド繊維等の有機質
繊維状物質等が挙げられる。特に代表的な繊維状強化材
は、ガラス繊維、または炭素繊維である。なお、ポリア
ミド、フッ素樹脂、アクリル樹脂等の高融点有機質繊維
状物質も使用することができる。
【0053】また無機フィラ−としては、例えば炭化珪
素、窒化ホウ素、各種金属粉末、硫酸バリウム、硫酸カ
ルシウム、カオリン、クレ−、パイロフィライト、ベン
トナイト、セリサイト、ゼオライト、雲母、ネフェリン
シナイト、タルク、アタルパルジャイト、ウオラストナ
イト、PMF、フェライト、硅酸アルミニウム、硅酸カ
ルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマ
イト、三酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化チタン、アル
ミナ、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化
鉄、二硫化モリブデン、黒鉛、石膏、ガラスビ−ズ、ガ
ラスパウダ−、ガラスバル−ン、石英、シリカ、石英ガ
ラス等を挙げることができる。
【0054】これら繊維状強化材及び/又は無機フィラ
−は、前述の製造法における第2段階において添加する
ことが好ましい。本発明の組成物には、本発明の目的を
損わない範囲で以下の如き重合体を混合して使用でき
る。これら重合体としてはエチレン、ブチレン、ペンテ
ン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、スチレ
ン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、ア
クリル酸エステル、メタクリル酸エステル、(メタ)ア
クリロニトリルなどの単量体の単独重合体または共重合
体、ポリウレタン、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリ
エチレンテレフタレ−ト等のポリエステル、ポリアセタ
−ル、ポリカ−ボネ−ト、ポリサルホン、ポリアリルサ
ルホン、ポリエ−テルサルホン、ポリア−リレ−ト、ポ
リフェニレンオキシド、ポリエ−テルケトン、ポリエ−
テルエ−テルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、
ポリエ−テルイミド、シリコ−ン樹脂、フェノキシ樹
脂、フッ素樹脂、液晶ポリマ−、ポリアリ−ルエ−テル
などの単独重合体、ランダム共重合体またはブロック共
重合体、グラフト共重合体等を挙げることができる。
【0055】また、本発明の組成物には、可塑剤、少量
の離型剤、着色剤、滑剤、耐熱安定剤、耐候性安定剤、
発泡剤、防錆剤、難燃剤等を添加してもよい。本発明の
組成物は、前述のような多段階製造法を使用する以外に
は公知の方法で調製が可能である。例えば、第1段階に
おいてまずポリアミド樹脂(B)とカルボキシル基含有
オレフィン共重合体および/又はアイオノマー樹脂
(C)をタンブラ−又はヘンシェルミキサ−のような混
合機で均一に混合の後、1軸又は2軸押出混練機に供給
して200〜350℃の温度範囲下で溶融混練し、ペレ
ットとして中間体組成物を得る。さらに、第2段階とし
てこの中間体組成物とPAS樹脂(A)成分もしくは
(A)、(C)の両成分もしくは(A)、(B)の両成分
もしく(A)、(B)、(C)の3成分、さらには必要
に応じその他の原料とを第1段階同様あらかじめ混合機
で均一に混合の後、1軸又は2軸押出混練機に供給して
200℃〜350℃の温度範囲下で溶融混練し、ペレッ
トとして本発明の組成物を得る方法がある。
【0056】本発明のPAS樹脂組成物は、その優れた
特性により種々の用途に利用でき、その例としては、チ
ュ−ブ、ホ−ス、パイプ、ロッド、フィルム、シ−ト、
電線被覆、ワイヤ−被覆、光ハァイバ−被覆、ギア、カ
ム、軸受、ベアリング、バッキング、ガスケット、Oリ
ング、ファスナ−、バルブ、ジョイント、グリップ、キ
ャスタ−、ロ−ラ−、スイッチ、ケ−ス、さらに自動車
エンジン回りのアンダ−フ−ド点火系部品、自動車用発
電機部品のケ−シング、自動車用コネクタ等の各種自動
車部品、コネクタ、スイッチ等の電子・電気機器部品、
精密機械部品等があり、さらに粉体塗料、溶液型の接着
剤、塗料等としても使用できる。
【0057】
【実施例】以下に、本発明を実施例により具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるもの
ではない。尚、例中の部は重量部を意味する。
【0058】参考例1〔ポリフェニレンサルファイド
(以後PPSと記す)樹脂の製造〕 攪拌機付のオ−トクレ−ブにN−メチルピロリドン19
93部と硫化ナトリウム2.7水塩537部(4.1モ
ル)、水酸化ナトリウム1.6部(0.04モル)およ
び安息香酸ナトリウム144部(1.0モル)とを仕込
み、窒素雰囲気下に200℃まで約2時間かけて攪拌し
ながら徐々に昇温させて102mlの水を留出させた。
【0059】次いで、反応系を150℃に冷却したの
ち、p−ジクロルベンゼン603部(4.1モル)と
1,2,4−トリクロルベンゼン1.8部(0.01モ
ル)およびN−メチルピロリドン310部を加え、23
0℃で2時間、さらに260℃で3時間反応させたが、
この間、重合反応終了時の内圧は9.0kg/cm2
あった。
【0060】しかるのち、オートクレーブを冷却して内
容物を濾別し、次いでケ−キを熱水で3回洗浄し、さら
にアセトンで2回洗浄してから120℃で乾燥せしめ
て、394部の淡灰褐色をした粒状のPPSを得た(収
率=89%)。
【0061】ここに得られたPPSは対数粘度〔η〕
0.34、メルトフロ−レ−ト55g/10分、熱変形
温度125℃であった。これをPPS−(1) と称
す。尚、PPSの対数粘度〔η〕は、PPSのα−メチ
ルクロルナフタレン溶液(PPS濃度0.4g/100
ml)の206℃(400°F)における相対粘度値を
測定し、次式により算出したものである。
【0062】〔η〕=ln(相対粘度値)/PPS濃度
【0063】参考例2(同上) 攪拌機付の5lオ−トクレ−ブにN−メチルピロリドン
1993部と硫化ナトリウム2.7水塩537部(4.
1モル)、水酸化ナトリウム1.6部(0.04モル)
および酢酸ナトリウム144部(1.0モル)とを仕込
み、窒素雰囲気下に200℃まで約2時間かけて攪拌し
ながら徐々に昇温させて102mlの水を留出させた。
【0064】次いで、反応系を150℃に冷却したの
ち、p−ジクロルベンゼン603部(4.1 モル)と
1,2,4−トリクロルベンゼン1.8部(0.01モ
ル)およびN−メチルピロリドン310部を加え、23
0℃で2時間、さらに260℃で3時間反応させたが、
この間、重合反応終了時の内圧は9.0kg/cm2
あった。
【0065】しかるのち、オ−トクレ−ブを冷却して内
容物を濾別し、次いでケ−キを熱水で3回洗浄し、さら
にアセトンで2回洗浄してから120℃で乾燥せしめ
て、394部の淡灰褐色をした粒状のPPSを得た(収
率=89%)。
【0066】ここに得られたPPSは固有粘度〔η〕
0.20、メルトフロ−レ−ト550g/10分であっ
た。これをPPS−(2)と称す。
【0067】参考例3(同上) 参考例2で得たPPS−(2)パウダ−をリボンブレン
ダ−に投入し、255℃で空気を吹き込みながら攪拌し
て、11時間熱処理し、架橋せしめて最終的に固有粘度
〔η〕0.35、メルトフロ−レ−ト20g/10分の
PPSポリマ−を得た。これをPPS−(3)と称す。
【0068】参考例4(同上) 参考例2で得たPPS−(2)パウダ−をリボンブレン
ダ−に投入し、255℃で空気を吹き込みながら攪拌し
て、5時間熱処理し、架橋せしめて最終的に固有粘度
〔η〕0.30、メルトフロ−レ−ト120g/10分
のPPSポリマ−を得た。これをPPS−(4)と称
す。
【0069】参考例5(同上) 50lスケ−ルのオ−トクレ−ブにN−メチルピロリド
ンをモル比で70モル、硫化ナトリウム9水塩を0.9
9モル、安息香酸ナトリウムを0.60モル、水酸化ナ
トリウムを0.15モルの比で仕込み(50モルスケ−
ル)、窒素気流中で210℃まで昇温し脱水率110%
まで脱水を行なった。系を160℃まで冷却後P−ジク
ロルベンゼンをモル比1.0で仕込み、封をした後窒素
で内圧を2.5kg/cm2 まで加圧した。重合による
発熱を考慮しながら温度コントロ−ルを行なって270
℃まで昇温し5時間攪拌下に重合を行なった。内圧は1
7kg/cm2 に上昇していた。
【0070】次に系を冷却後放圧し、内容物を大量の水
中へ注ぎフレ−ク状のポリマ−を回収した。ポリマ−は
熱水とアセトンによる洗浄をくり返して最終的に70%
の収率で白色フレ−ク状であった。この白色フレ−ク状
のPPSポリマ−(固有粘度〔η〕0.19、メルトフ
ロ−レ−ト1500g/10分)をリボンブレンダ−に
投入し、265℃で空気を吹き込みながら攪拌して、1
3時間熱処理し、架橋せしめて最終的に固有粘度〔η〕
0.36、メルトフロ−レ−ト5g/10分のPPSポ
リマ−を得た。これをPPS−(5)と称す。
【0071】参考例6(カルボキシル基含有オレフィン
共重合体の製造) エチレン・ブテン−1共重合体(三井石油化学工業
(株)製、タフマーA4085)100部、1,3−ビ
ス(t−ブチルパーオキシ・イソプロピル)ベンゼン
〔化薬ヌーリー(株)製、パーカドックス14−40〕
0.1部および無水マレイン酸0.5部をヘンシェルミ
キサーで混合した後、スクリュー径50mmφ、完全噛
み合い型の二軸押出機を用い230℃で溶融重合させ、
ペレット化してカルボキシル基含有オレフィン共重合体
を得た。これを共重合体−(1)と称す。
【0072】このペレットの一部を粉砕し、ソックスレ
ー摘出器を用いてアセトンにて未反応無水マレイン酸を
抽出した。未反応物を除いた共重合体をシクロヘキサン
に溶解し、1/10Nアルコール性KOH溶液で滴定し
酸価を測定したところ酸価は5.2であり、無水マレイ
ン酸に換算すると0.45%の無水マレイン酸がグラフ
トしていることが判明した。
【0073】参考例7(同上) エチレン−プロピレン共重合体(タフマーP−028
0)100部をトルエン400部に80℃にて加熱攪拌
下溶解後、無水マレイン酸5部を添加し溶解した。次い
で内容物を110℃迄昇温した後、三級ブチルパーオキ
シベンゾエート(日本油脂、パーブチルZ)0.15部
/トルエン20部の溶液を1時間かけて滴下し、110
℃で10時間重合を行なった。得られたグラフト重合体
溶液をトルエンで5%濃度に稀釈した後、同等量以上の
45〜55℃のメタノール中に少量ずつ添加しグラフト
重合体を析出させ、洗浄、乾燥した。このグラフト重合
体を共重合体−(2)称す。この共重合体−(2)は酸
価の測定により無水マレイン酸は4.7%グラフトして
いることが判明した。
【0074】実施例1〜6 まず、製造における第1段階として、参考例6〜7で製
造したカルボキシル基含有オレフィン共重合体とポリア
ミド樹脂〔ナイロン66:レオナ−1300、旭化成工
業(株)製〕とを表1に示す割合で均一に混合の後、4
0mmφ1軸押出機を用いてシリンダ−温度270℃に
て溶融混練して中間体組成物ペレットを得た。
【0075】次いで、第2段階として中間体組成物ペレ
ットと参考例1〜5で製造したPPS−(1)〜PPS
−(5)、さらに表1に示す残りの原料を同表中の割合
で均一に混合の後、35mmφの2軸押出機にて290
℃で溶融混練し、ペレットを得た。このペレットをイン
ラインスクリュ−式の3オンス射出成形機を用いシリン
ダ−温度290℃、金型温度135℃、射出圧力100
0kgf/cm2 、射出スピード中速にて、機械的特性
評価用テストピ−ス御代び相溶性評価用シ−トを成形
し、各種特性、相溶性を評価した。この結果を表2に示
す。
【0076】なお、評価項目は以下のとうりである。 <機械的特性> (1)曲げ特性:ASTM D−790に準拠して、曲
げ強度、曲げ破断伸びを1/8″(厚)×1/2″
(幅)×5″(長)の試片にて測定。ただし、測定試片
数:n=10である。
【0077】(2)アイゾット衝撃強度:ASTM D
−256に準拠して、ノッチ無/ノッチ付の両衝撃強度
を1/8″(厚)×1/2″(幅)×2・1/2″
(長)の試片にて測定。ただし、測定試片数:n=10
(各々)である。
【0078】<相溶性>フィルムゲ−トによる 2mm
(厚)×50mm(幅)×100mm(長)のシ−トで
の外観を目視にて判定。 ○…成形品の表面が均一で剥離現象がなく良好。 △…成形品の表面が不均一でパ−ル状光沢がある。 ×…成形品の表面が不均一で剥離現象がある。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】比較例1〜5 参考例で製造したPPS樹脂、カルボキシル基含有オレ
フィン共重合体、実施例1〜6で使用のポリアミド樹脂
〔ナイロン66:レオナ−1300、旭化成工業(株)
製〕および表3に示す残りの原料を同表中の割合で均一
に混合の後、35mmφの2軸押出機にて290℃で溶
融混練しペレットを得た。
【0082】このペレットを用い、実施例1〜6と全く
同様の射出成形によりテストピ−スおよびシ−トを得
て、実施例1〜6と同様の項目を評価した。この結果を
表4に示す。
【0083】
【表3】
【0084】
【表4】
【0085】実施例7 実施例1〜6と同様にまず第1段階として、参考例7で
合成した共重合体−(2)と実施例1〜6で使用のポリ
アミド樹脂〔ナイロン66:レオナ−1300、旭化成
工業(株)製〕とを表5に示す割合で用いた以外は実施
例1〜6と同様にして中間体組成物を得た。
【0086】引き続き中間体組成物と参考例2で製造し
たPPS−(2)、さらにはガラス繊維(直径13μ
m、長さ3mmのチョップドストランド)を、表5に示
す割合で用いた以外は実施例1〜6と同様にして第2段
階によるペレットを得た〔このペレットの最終重量組成
比は、PPS−(2) /ナイロン66/共重合体−
(2)/ガラス繊維=56/13.2/10.8/20
である。〕。
【0087】このペレットを用い、実施例1〜6と全く
同様の射出成形によりテストピ−スおよびシ−トを得
て、実施例1〜6と同様の項目を評価した。この結果を
表6に示す。
【0088】尚、曲げ強度は、n=10における平均値
が1780kgf/cm2 、最大値が1810kgf/
cm2 、最小値が1740kgf/cm2 、標準偏差σ
n-1が22kgf/cm2 、またノッチ無アイゾット衝
撃強度は、n=10における平均値が66kgf・cm
/cm、最大値が74kgf・cm/cm、最小値が6
0kgf・cm/cm、標準偏差σn-1 が5.0kgf
・cm/cmであり、それぞればらつきが小さかった。
【0089】比較例6 実施例7で使用の原料と全く同一の原料を、実施例7の
第2段階による最終組成の重量比率〔PPS−(2)/
ナイロン66:レオナ−1300/共重合体−(2)/
ガラス繊維=56/13.2/10.8/20〕で一括
に均一に混合し、この一括混合物を35mmφの2軸押
出機にて 290℃で溶融混練し、ペレットを得た。
【0090】このペレットを用い、実施例1〜6と全く
同様の射出成形によりテストピ−スおよびシ−トを得
て、実施例1〜6と同様の項目を評価した。この結果を
表6に示す。
【0091】尚、曲げ強度は、n=10における平均値
が1560kgf/cm2 、最大値が1680kgf/
cm2 、最小値が1410kgf/cm2 、標準偏差σ
n-1 が96kgf/cm2 、またノッチ無アイゾット衝
撃強度は、n=10における平均値が42kgf・cm
/cm、最大値が58kgf・cm/cm、最小値が2
8kgf・cm/cm、標準偏差σn-1 が13kgf・
cm/cmであり、それぞればらつきが大きかった。
【0092】実施例8〜9 実施例1〜6と同様にまず第1段階として、共重合体−
(3)〔アイオノマー樹脂:ハイミラン1856、Na
イオンタイプのエチレンーメタアクリル酸共重合体、三
井・デュポンポリケミカル(株)製〕又は共重合体−
(4)〔アイオノマー樹脂:ハイミラン1855、Zn
イオンタイプのエチレンーメタアクリル酸共重合体、三
井・デュポンポリケミカル(株)製〕と実施例1〜6で
使用のポリアミド樹脂〔ナイロン66:レオナ−130
0、旭化成工業(株)製〕とを表5に示す割合で用いた
以外は実施例1〜6と同様にして中間体組成物を得た。
【0093】引き続き中間体組成物と参考例2で製造し
たPPS−(2)、さらには表5に示す残りの原料を同
表中の割合で用いた以外は実施例1〜6と同様にして第
2段階によるペレットを得た。
【0094】このペレットを用い、実施例1〜6と全く
同様の射出成形によりテストピ−スおよびシ−トを得
て、実施例1〜6と同様の項目を評価した。この結果を
表6に示す。
【0095】
【表5】
【0096】
【表6】
【0097】
【発明の効果】本発明の組成物は、前記(A)、(B)
および(C)の各成分が相溶性良く配合されており、成
形品外観が良好であると共に靭性、耐衝撃性が大幅に改
良され、さらにこれらの高度な機械的性質が安定かつ再
現性良く発現される樹脂組成物であり、エンジニアリン
グプラスチックスとして優れた物性を備えた実用性の大
きい成形材料である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 23/26 LDP 7107−4J 51/06 LLD 7142−4J LLE 7142−4J 63/00 NJM 8416−4J 77/00 LQS 9286−4J LQT 9286−4J LQY 9286−4J

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアリーレンサルファイド樹脂(A)
    と、ポリアミド樹脂(B)と、カルボキシル基含有オレ
    フィン共重合体および/又はこの共重合体中のカルボキ
    シル基の一部又は全部が金属イオンで中和されたもの
    (C)とを、(B)/(C)=20/80〜95/5、
    (A)/〔(B)+(C)〕=5/95〜95/5の重
    量比で含む組成物であり、かつあらかじめ(B)成分の
    一部又は全部と(C)成分の一部又は全部とを混合し、
    次いでそれに(A)成分、又は(A)成分と(B)成分
    の残分および/又は(C)成分の残分とを混合すること
    を特徴とするポリアリーレンサルファイド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 アミノアルコキシシラン、エポキシアル
    コキシシランおよびビニルアルコキシシランからなる群
    から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物を添加する
    請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】 エポキシ樹脂を添加する請求項1記載の
    組成物。
  4. 【請求項4】 繊維状強化材及び/又は無機フィラ−を
    添加する請求項1記載の組成物。
  5. 【請求項5】 シラン化合物、エポキシ樹脂、繊維状強
    化材およびび無機フィラ−からなる群から選ばれる少な
    くとも1種を、(B)成分の一部又は全部と(C)成分
    の一部又は全部とを混合し、次いでそれに(A)成分又
    は(A)成分と(B)成分の残分および又は(C)成分
    の残分とを混合するに際して添加する請求項2、3又は
    4記載の組成物。
  6. 【請求項6】 ポリアリーレンサルファイド樹脂(A)
    の溶融粘度が、ASTMD 1238による316℃/
    5000g荷重下(オリフィス;0.0825±0.0
    02インチ径×0.315±0.001インチ長さ)で
    のメルトフロ−レ−トで80g/10分以下である請求
    項1〜5のいずれか1つに記載の組成物。
  7. 【請求項7】 ポリアリーレンサルファイド樹脂(A)
    の溶融粘度が、ASTMD 1238による316℃/
    5000g荷重下(オリフィス;0.0825±0.0
    02インチ径×0.315±0.001インチ長さ)で
    のメルトフロ−レ−トで30g/10分以下である請求
    項1〜5のいずれか1つに記載の組成物。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007254519A (ja) * 2006-03-22 2007-10-04 Toray Ind Inc 樹脂組成物およびそれからなる成形品
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