JPH0538466Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔技術分野〕 本考案は円板状磁気記録媒体（以下磁気デイス
クと略称する）を使用する磁気記録再生装置に関
し、特に記録再生時における磁気ヘツドのアジマ
スずれを調整する手段の改良に関する。

〔従来技術〕

近年、磁気デイスクを使用する磁気記録再生装
置は、各方面で利用されており、また垂直磁化方
式の実用化あるいは記録媒体や磁気ヘツドの改良
に伴つて、その記録密度は著しく向上している。

しかしこれに伴い、各機器間における互換性の
点で大きな問題が発生している。すなわち、線方
向の記録密度を向上させるために、記録周波数を
高くし、従来からある水平磁化記録方式における
磁気ヘツドの記録・再生ギヤツプを小さくしてい
るため、前記ギツヤプと記録媒体の移動方向とが
なす角度が少しでもずれると、ある機器で記録し
他の機器で再生した場合に、その再生出力が著し
くずれてしまう。このずれがいわゆるアジマス損
失となる。上記アジマス損失は記録波長が短くな
るほど、すなわち記録密度が上がるほど大きくな
る。

従来、磁気ヘツドのアジマス損失は標準磁気デ
イスクなどを用いて正確に合わせようとしていた
が、以下に述べるような致命的な問題点のために
記録トラツクの内周と外周とを共に最適状態に合
わせることはできなかつた。

まず、従来のこの種の磁気記録再生装置の構成
について説明する。第１図ａ，ｂは従来の磁気記
録再生装置の機構部を示す図であり、同図ａは平
面図、同図ｂは正面図である。図中１はシヤーシ
であり、このシヤーシ１にはモータ２が固定され
ている。上記モータ２のシヤフト３にはチヤツク
部材４が取付けられており、このチヤツク部材４
により磁気デイスク５が固定されている。

一方、磁気ヘツド６はヘツド座７に固定され、
上記ヘツド座７は３本のビス８，９，１０により
ヘツド移動台１１に固定されている。上記ヘツド
移動台１１は２本のガイド軸１２，１３により図
面上で左右方向へガイドされるものとなつてい
る。また上記ガイド軸１２，１３は部材１４，１
５により前記シヤーシ１に対し平行に固定されて
いる。

図中１６はステツピングモータであり、このス
テツピングモータ１６は部材１７により前記シヤ
ーシ１に固定されている。上記ステツピングモー
タ１６のシヤフト１８には送りねじ１９が形成さ
れており、また上記シヤフト１８の先端はアング
ル２０により回転自在に支持されている。また上
記送りねじ１９に押付けられているシヤフト２１
は、前記ヘツド移動台１１に部材２２により固定
されている。

上記構成の従来の磁気記録再生装置は次の如く
動作する。モータ２により回転駆動された磁気デ
イスク５に磁気ヘツド６を接触させ、図示しない
電気回路により上記磁気ヘツド６へ情報を与える
と、この情報の記録再生が行なわれる。またステ
ツピングモータ１６を駆動させ、シヤフト１８を
たとえば第１図ａ中矢印Ａ方向に一定角度回転さ
せると、送りねじ１９の作用によりシヤフト２１
が矢印Ｂ方向に移動する。同時にヘツド移動台１
１および磁気ヘツド６が矢印Ｂ方向に移動する。
かくして磁気ヘツド６は少なくとも磁気デイスク
５上に形成される記録トラツクの領域の全てをカ
バーし得るべく比較的広範囲に亙つて移動し、そ
の移動位置において記録再生が行なわれる。

このような構成の従来の磁気記録再生装置にお
いては、次のような問題が生じる。

第２図は磁気デイスク５の回転中心点すなわち
Ｏ点と、磁気ヘツド６のギヤツプ６ａとの関係を
示す拡大図である。同図において、磁気ヘツド６
が磁気デイスク５の外周部位すなわちＣ点に位置
した状態において、磁気ヘツド６のギヤツプ６ａ
がＯ点を向くように、ヘツド移動台１１上でヘツ
ド座７は固定される。その後、ステツピングモー
タ１６を駆動させて、磁気ヘツド６を磁気デイス
ク５の内周方向に移動させ、移動した位置をＤ点
とする。この場合、第２図から明らかなように、
ガイド軸１２，１３によりガイドされたヘツド移
動台１１のに移動方向すなわち磁気ヘツド６の移
動方向は、必ずしもＯ点に向かつていない。その
結果、磁気ヘツド６のギヤツプ６ａはＯ点とＤ点
を結ぶ線上からθなる角度だけずれてしまう。こ
のずれが全ての機器において一定であるならば互
換性の点でも何ら問題は生じない。しかるに実際
には一定ではないため、磁気デイスク５上の記録
パターンと再生する機器の磁気ヘツド６のアジマ
スがずれ、特に記録波長の短い領域で再生出力が
低下してしまうといつた問題があつた。

〔目的〕

本考案は上述した事情に基づいてなされたもの
であり、その目的は簡単な構成でスタテイツクな
調整により磁気ヘツドの移動方向を磁気デイスク
の回転中心に対し完全に一致させることができ、
磁気デイスク上の記録パターンと磁気ヘツドとの
アジマス損失を無くすことができる磁気記録再生
装置を提供することにある。

〔概要〕

本考案は上記目的を達成するために次の如く構
成したことを特徴としている。すなわち、シヤー
シに位置調整のための比較的微小な変位が許容さ
れるように設置され磁気デイスクを自己の周囲に
回転駆動する回転軸を有した回転駆動機構と、前
記磁気デイスクに記録再生を行なうための磁気ヘ
ツドを支持しかつ上記磁気ヘツドをそのギヤツプ
を通る所定の仮想直線に沿つて少なくとも円板状
磁気記録媒体上に形成される記録トラツクの領域
の全てをカバーし得るべく比較的広範囲に亙つて
移動させるための磁気ヘツド移動機構と、前記回
転駆動機構の回転軸を前記仮想直線の延長上に位
置させるべく前記シヤーシ上における回転駆動機
構の固定位置を調整する位置調整機構とを備えた
ことを特徴としている。

〔実施例〕

第３図ａ，ｂは本考案の第１の実施例の概略的
な構成を示す図であり、同図ａは平面図、同図ｂ
は正面図である。なお第１図ａ，ｂと同一部分に
は同一符号を付し、詳しい説明は省略する。

デイスク駆動モータ２はモータ取付けベース３
０に固定されている。上記モータ取付けベース３
０は取付けねじ３１，３２によりシヤーシ１に固
定されているが、取付けベース３０には長孔３
３，３４がそれぞれ設けられているため、ねじ３
１，３２を少し緩めると、上記取付けベース３０
は図中矢印Ｅ方向あるいはＦ方向に移動可能とな
つている。しかしてデイスク駆動モータ２は図中
矢印Ｅ方向あるいはＦ方向に対して位置調整のた
めの比較的微小な変位が許容されるようにシヤー
シ１上に設置されている。

調整ねじ３５は上記取付けベース３０に形成さ
れた雌ねじ部３６と螺合し、部材３７によりシヤ
ーシ１に回転自在に支持されている。また前記部
材３７と雌ねじ３６との間における調整ねじ３５
の周囲には、圧縮ばね３８が挿入されている。

このように構成された本装置においては、取付
けねじ３１，３２を軽く固定し、調整ねじ３５を
回転させることにより、容易にモータ２を図中矢
印Ｅ方向あるいはＦ方向に微小移動させることが
できる。すなわち、上記モータ２に固定された磁
気デイスク５の回転中心をＥ方向あるいはＦ方向
へ微小移動させることができる。これにより磁気
ヘツド６の移動方向と、磁気デイスク５の回転中
心を一致させることができるので、磁気デイスク
５の内周、外周でのアジマスの変化がなくなり、
内周または外周でアジマスを正確に合わせれば、
機器間の互換性が充分保障される。

なお前記アジマスの調整は、まず磁気ヘツド６
を移動させ、内周部に位置させて、そのときの移
動を顕微鏡等の光学手段により検知し、その延長
線上にモータ２のシヤフト３がくるように調整す
ればよい。なお調整した後には取付けねじ３１，
３２を完全に締付ける必要がある。

第４図ａ，ｂは本考案の第２の実施例の概略的
な構成を示す図であり、同図ａは平面図、同図ｂ
は正面図である。なお第１図ａ，ｂと同一部分に
は同一符号を付し、詳しい説明は省略する。

デイスク駆動モータ２はシヤーシ１に固定され
ている。但しこのモータ２の取付け部位４０はシ
ヤーシ１の他の部位とは薄板部４１，４２とで連
続しているだけである。つまり第４図ａに示すよ
うに、長方形の孔４３とＵ字型のミゾ４４がモー
タ２の取付け部位４０の周囲に設けられている。

調整ネジ４５，４６はシヤーシ１の雌ねじ部と
螺合し、その先端４７，４８はモータ２の取付け
部位４０に対向している。第４図ａにおいては、
調整ねじ４５の先端４７が取付け部位４０に接し
ている。

このように構成された本実施例においては、調
整ねじ４６をあらかじめ緩めておき、調整ねじ４
５を締め込むと、モータ２の取付け部位４０が図
中矢印Ｇ方向に移動する。また、調整ねじ４５を
あらかじめ緩めておき、調整ねじ４６を締め込む
と、モータ２の取付け部位４０が図中矢印Ｈ方向
に移動する。これは長方形の孔４３とミゾ４４に
よりモータ取付け部位４０がシヤーシ１の本体よ
り弾性的に支持された形となつているためであ
り、その結果、モータ取付け部位４０がほぼ直線
上にＧ方向あるいはＨ方向に微小移動可能となつ
ている。したがつてモータ２に固定された磁気デ
イスク５の回転中心はＧ方向、Ｈ方向に微小移動
可能となつている。

このように第２の実施例においても磁気デイス
ク５の回転中心を容易に磁気ヘツド６の移動方向
に合わせることができるので、前記第１の実施例
と同様な効果を奏する。さらに第２の実施例にお
いては、シヤーシ１に長方形の孔４３およびＵ字
型のミゾ４４を設け、シヤーシ１の一部分を弾性
的に変形させるようにしたので、第１の実施例と
比べ部品数が少なく、構成も簡単であり、かつ他
の部分たとえば磁気ヘツド６の移動機構との相対
位置関係も直接シヤーシ１上にあるため、ずれが
少なくてすみ、調整が容易となる。また第１の実
施例と比べ、図中矢印ｉ方向、ｊ方向のずれが発
生しにくいため、特に磁気ヘツド６の移動方向と
の寸法関係が変化せずに調整できる。

第５図は本考案の第３の実施例であり、ミゾ５
０，５１および長方形の孔５２，５３をシヤーシ
１に対称に形成することにより、モータ取付け部
位を直線的に移動させるようにしたものである。
この実施例によつても第２の実施例と同様な効果
が得られる。

なお本考案は上記各実施例に限定されるもので
はない。たとえば上記各実施例では、磁気デイス
ク５の回転軸とデイスク駆動モータ２のシヤフト
３は同一の部材であり、つまり磁気デイスク５は
モータ２により直接駆動されていたが、ベルトな
どの手段によりシヤフト３を伝達駆動した場合に
おいても、モータ２の代わりがシヤフト３の軸受
けハウジングなどになるだけで、同様な構成が実
施でき、同様な効果を期待できる。また前記各実
施例では、磁気デイスク５の回転中心を磁気ヘツ
ド６の移動方向に対しほぼ直交する方向に移動さ
せたが、これに限らず、磁気ヘツド６の移動方向
に対し平行方向でない状態となせば、同様な効果
を奏する。

〔考案の効果〕

以上詳述したように本考案によれば、シヤーシ
に位置調整のための比較的微小な変位が許容され
るように設置され磁気デイスクを自己の周囲に回
転駆動する回転軸を有した回転駆動機構と、前記
磁気デイスクに記録再生を行なうための磁気ヘツ
ドを支持しかつ上記磁気ヘツドをそのギヤツプを
通る所定の仮想直線に沿つて少なくとも円板状磁
気記録媒体上に形成される記録トラツクの領域の
全てをカバーし得るべく比較的広範囲に亙つて移
動させるための磁気ヘツド移動機構と、前記回転
駆動機構の回転軸を前記仮想直線の延長上に位置
させるべく前記シヤーシ上における回転駆動機構
の固定位置を調整する位置調整機構とを設けたの
で、簡単な構成でありながらスタテイツクな調整
により磁気ヘツドの移動方向を磁気デイスクの回
転中心に対し完全に一致させることができ、アジ
マス損失を生じさせない磁気記録再生装置を提供
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａおよびｂは従来の磁気記録再生装置の
構成を示す平面図および正面図、第２図は従来例
におけるアジマス変化説明図、第３図ａ，ｂは本
考案の第１の実施例の概略的構成を示す平面図お
よび正面図、第４図ａ，ｂは本考案の第２の実施
例の概略的な構成を示す平面図および正面図、第
５図は本考案の第３の実施例の概略的構成を示す
平面図である。 １……シヤーシ、２……デイスク駆動モータ、
３……シヤフト、４……チヤツク部材、５……磁
気デイスク、６……磁気ヘツド、６ａ……ギヤツ
プ、１１……ヘツド移動台、１２，１３……ガイ
ド軸、１６……ステツピングモータ、１９……送
りねじ、３０……取付けベース、３５，４５，４
６……調整ねじ、４３，５２，５３……長方形の
孔、４４……Ｕ字型ミゾ、５０，５１……ミゾ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シヤーシに位置調整のための比較的微小な変位
   が許容されるように設置され円板状磁気記録媒体
   を自己の周囲に回転駆動する回転軸を有した回転
   駆動機構と、前記円板状磁気記録媒体に記録再生
   を行なうための磁気ヘツドと、この磁気ヘツドを
   支持しかつ上記磁気ヘツドをそのギヤツプを通る
   所定の仮想直線に沿つて少なくとも前記円板状磁
   気記録媒体上に形成される記録トラツクの領域の
   全てをカバーし得るべく比較的広範囲に亙つて移
   動させるための磁気ヘツド移動機構と、前記回転
   駆動機構の回転軸を前記仮想直線の延長上に位置
   させるべく前記シヤーシ上における回転駆動機構
   の固定位置を調整するための位置調整機構とを具
   備したことを特徴とする磁気記録再生装置。