JPH0534019U - 車両吸気ダクトの吸気取入構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 空気流量の増大を図りつつも雨水や雪などの
異物を分離する分離機能を確保し得るような車両吸気ダ
クトの吸気取入構造を提供する。 【構成】 自動車のグリル部又はフロントバンパーから
車体前端部内に流入した空気をシュラウドアッパー３の
上側へ導いて吸気ダクト９へ導入させるようにした吸気
ダクトの吸気取入構造において、空気流中の雨水や雪の
分離の為のシールボード５が、シールボード右分割体５
Ａとシールボード左分割体５Ｂとで構成され、シールボ
ード右分割体５Ａの左端部２０とシールボード左分割体
５Ｂの右端部２１とは、上下方向に異なる高さ位置に且
つ相互にラップさせて配設され、右端部２０と左端部２
１間には空気通路２２が形成され、これにより空気流量
の増大を図り、且つ空気流中の雨水や雪を分離する分離
機能を確保することが出来る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、車両吸気ダクトの吸気取入構造に関し、特に吸気取入ダクトへ導く 空気中の水分や雪などの異物を分離する為のシールボードの構造を改善したもの に関する。

【０００２】

【従来の技術】

自動車のエンジンのエアクリナへ空気を導入する吸気取入ダクトへ空気を導入 する吸気取入構造としては、種々の形式のものが実用化されているが、従来の通 常の吸気取入構造について説明すると、ラジエータの上端部にはシュラウドアッ パーが車幅方向に向けて配設され、このシュラウドアッパーの右部の上端の後方 近傍部に吸気取入ダクトが開口され、シュラウドアッパーの前方側のうちの車幅 方向中央側部分には左右方向に細長い略水平の１枚のシールボードが配設され、 自動車のグリル部又はフロントバンパーから車体前端部内に流入した空気は、シ ールボードの下面に沿って左右両側へ流れ、シールボードの左端と右端とを迂回 してシールボード上へ流れ、そこから吸気取入ダクトの方へ流れて吸気取入ダク トの吸気取入口へ流入するようになっている。 このようにシールボードを介して空気流の方向を約９０度方向変換することで 、空気流中の雨水や雪などの異物をシールボードに衝突させてそれらを効果的に 分離するように構成してある。 尚、参考までに、特開昭６３−８２８８０号公報には、エンジンルームの左右 両側のストラットタワー間に、外気導入部を一体形成した金属製の強度部材を架 け渡すことにより、エンジンルームの剛性と外気導入性能の向上を図った吸気取 入構造が記載されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

前記従来の車両用吸気ダクトの吸気取入構造においては、シールボードが左右 に細長く一体形成され、空気はその左端と右端とを迂回してシールボードの上側 へ導入されることから、通路抵抗も大きくなりがちで、吸気取入ダクトへの空気 流量が制約されるという欠点がある。 そこで、シールボードの車幅方向中央側部分に空気通路を追加的に形成するこ とが考えられるが、その場合車体前端部に流入した空気の一部は、シールボード で邪魔されずにストレートに吸気取入ダクトの方へ流れるため、シールボードの 雨水や雪を分離する分離機能が低下してしまうという欠点が残る。

【０００４】 本考案の目的は、吸気取入ダクトへの空気流量の増大を図りつつも雨水や雪を 分離する分離機能を確保し得るような車両吸気ダクトの吸気取入構造を提供する ことである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

請求項１に係る車両吸気ダクトの吸気取入構造は、車両のグリル部又はフロン トバンパーから車体前端部内に流入した空気をシュラウドアッパーの上側へ導い て吸気取入ダクトに導入させるように構成した車両吸気ダクトの吸気取入構造に おいて、前記シュラウドアッパーの車体前方側のうちの車幅方向中央側部分に、 車幅方向に細長い略水平状のシールボードを設け、このシールボードを左右に分 割されたシールボード左分割体とシールボード右分割体とで構成し、前記シール ボード左分割体の右端部とシールボード右分割体の左端部とを上下方向異なる高 さに配設してそれらをラップさせ、これらラップした右端部と左端部間に空気通 路を形成したことを特徴とするものである。

【０００６】 請求項２に係る車両吸気ダクトの吸気取入構造は、請求項１に記載の車両吸気 ダクトの吸気取入構造において、前記ラップする端部が上側となる方のシールボ ード分割体の後方に吸気取入ダクトを配設したことを特徴とするものである。

【０００７】

【作用】

請求項１に係る車両吸気ダクトの吸気取入構造においては、車幅方向に細長い 略水平状のシールボードがシュラウドアッパーの車体前方側のうちの車幅方向中 央側部分に設けられているので、車両のグリル部又はフロントバンパーから車体 前端部内に流入した空気の大部分は、シュラウドアッパーに衝突して左右に方向 変換され、シュラウドアッパーの左端と右端とを迂回して、シュラウドアッパー の上側へ導かれ、吸気取入ダクトに導入される。 前記シールボードを左右に分割されたシールボード左分割体とシールボード右 分割体とで構成し、シールボード左分割体の右端部とシールボード右分割体の左 端部とを上下方向異なる高さに配設してそれらをラップさせ、これらラップした 右端部と左端部間に空気通路を形成したので、車体前端部内に流入した空気の一 部は前記追加的に形成された空気通路からシュラウドアッパーの上側へ流れるた めシュラウドアッパーの下側から上側へ流れる空気の流量を増加して吸気取入ダ クトへ供給する空気流量を十分に確保できる。 しかも、シールボード左分割体の右端部とシールボード右分割体の左端部とを 上下方向異なる高さに配設してそれらをラップさせたので、この追加的な空気通 路を流れる空気が上方に向かってストレートにシュラウドアッパーの上側へ流れ ることなく、シールボード左分割体の右端部やシールボード右分割体の左端部に 衝突するので、雨水や雪を分離する分離機能が低下することもない。

【０００８】 請求項２に係る車両吸気ダクトの吸気取入構造においては、基本的に請求項１ と同様の作用が得られる。更に、前記ラップする端部が上側となる方のシールボ ード分割体の後方に吸気取入ダクトを配設したので、前記追加的な空気通路を流 れる空気が下から上へ向かって傾斜ストレート状にシュラウドアッパーの上側へ 流れることなく、下から上へ向かって吸気取入ダクトから遠ざかる方へ迂回的に 流れるので、雨水や雪を分離する分離機能を向上できる。

【０００９】

【考案の効果】

前記作用の項で説明したように、次のような効果が得られる。 請求項１に係る車両吸気ダクトの吸気取入構造によれば、前記シールボードを 左右に分割されたシールボード左分割体とシールボード右分割体とで構成し、シ ールボード左分割体の右端部とシールボード右分割体の左端部とを上下方向異な る高さに配設してそれらをラップさせ、これらラップした右端部と左端部間に空 気通路を形成したので、車体前端部内に流入した空気の一部は前記追加的に形成 された空気通路からシュラウドアッパーの上側へ流れるためシュラウドアッパー の下側から上側へ流れる空気の流量を増加して吸気取入ダクトへ供給する空気流 量を十分に確保できること、雨水や雪を分離する分離機能を確保できること、な どの効果が得られる。

【００１０】 請求項２に係る車両吸気ダクトの吸気取入構造によれば、基本的に請求項１と 同様の効果が得られる。更に、前記ラップする端部が上側となる方のシールボー ド分割体の後方に吸気取入ダクトを配設したので、追加的な空気通路を流れる空 気が、下から上へ向かって吸気取入ダクトから遠ざかる方へ迂回的に流れるよう になり、雨水や雪を分離する分離機能を向上できる。

【００１１】

【実施例】

以下、本考案の実施例について図面を参照しながら説明する。 本実施例は、自動車の吸気ダクトの吸気取入構造に本考案を適用した場合の実 施例であり、以下の説明においては自動車の前後左右方向を前後左右方向として 説明する。 図１〜図３に示すように、自動車の車体１の前端部の上端部には、左右のホイ ールエプロンレインフォースメント２間に架け渡されるクロスメンバとしてのシ ュラウドアッパー３が設けられ、このシュラウドアッパー３の車幅方向中央側部 分の下側にはラジエータ４が配設され、シュラウドアッパー３の車体前方側のう ち車幅方向中央側部分には左右方向に細長い略水平状のシールボード５が設けら れ、シールボード５はシュラウドアッパー３の下部と略同レベルの高さ位置に配 設され、シールボード５の後端部の複数の取付けブラケット６は複数のボルトや ビスによりシュラウドアッパー３の前端面に夫々固定され、またシールボード５ の前端部の複数の取付け部７は車体前端部のグリル補強部材８に固定されている 。前記シールボード５の右半部とその後側のシュラウドアッパー３の部分の後方 に対応する位置には、エンジンのエアクリーナへ吸気を導入する為の吸気取入ダ クト９が設けられ、その吸気取入口１０はシュラウドアッパー３の上端の上方近 傍位置でシュラウドアッパー３の後端位置に開口している。図２に図示のように 、ボンネット１１の前端部下面には、シュラウドアッパー３の上端に対して吸気 取入口１０の高さと略等しい空気通路隙間１２を空けて対向する補強兼空気流案 内用の補強板１３が設けられ、吸気取入ダクト９の吸気取入口１０が空気通路隙 間１２の後端に臨むように配設されている。 前記車体１の前端部にはバンパー本体１４が設けられ、このバンパー本体１４ の外側は合成樹脂製のソフトフェーシャ１５により覆われ、ソフトフェーシャ１ ５の下部には外気導入用の開口部１６が形成され、走行風が開口部１６から車体 １の前端部内へ導入されるように構成してある。尚、図２に示す符号１７はエン ジンルームの左右両側に配設されたフロントフレームである。

【００１２】 前記シールボード５の構造について、図３〜図６に基いて説明する。 前記シールボード５は、左右に分割されて別体のシールボード右分割体５Ａと シールボード左分割体５Ｂとからなり、これら両者の境界部には、ボンネット１ １をロックする為のロック装置１８を嵌める為の開口部１９が形成され、シール ボード左分割体５Ｂの右端部２１はシールボード右分割体５Ａの左端部２０より も所定高さ低く配設され、且つシールボード右分割体５Ａの左端部２０とシール ボード左分割体５Ｂの右端部２１とは上下にラップさせて配設され、これら左端 部２０と右端部２１間には空気通路２２が形成されている。 尚、本実施例の場合、吸気取入ダクト９が右側に配置されていることから、シ ールボード右分割体５Ａの左端部２０とシールボード左分割体５Ｂの右端部２１ とを上下にラップさせるが、吸気取入ダクト９が左側に配置される場合にはシー ルボード左分割体５Ｂの右端部２１とシールボード右分割体５Ａの左端部２０と を上下にラップさせることが望ましい。

【００１３】 次に、前記自動車の吸気ダクトの吸気取入構造の作用について説明する。 前記シールボード５は、車体１の前端部内に流入した空気流中の雨水や雪や砂 粒などの異物を衝突させて除去する為のもので、車体１の前端部内に流入した空 気流は、シールボード５により左右両方向へ方向変換され、このとき空気流中の 異物がシールボード５に衝突して空気流から分離されることになるが、空気流の 一部は左方へ方向変換されて左方へ流れ、シールボード５の左端を迂回してシー ルボード５の上側へ流れ、また空気流の一部は右方へ方向変換されて右方へ流れ 、シールボード５の右端を迂回してシールボード５の上側へ流れ、また空気流の 一部は空気通路２２を通ってシールボード５の上側へ流れ、これらシールボード ５の上側へ流入した空気の大部分は吸気取入ダクト９の吸気取入口１０に吸入さ れる。 シールボード右分割体５Ａの左端部２０とシールボード左分割体５Ｂの右端部 ２１とをラップさせ、それら両者間に空気通路２２を形成したので、シールボー ド５の下側から上側へ流れる空気流量が増加し、十分な量の空気を吸気取入ダク ト９へ供給してエンジンに供給する空気量を確保できるうえ、左端部２０と右端 部２１とをラップさせたことにより、この空気通路２２を流れる空気からも確実 に異物を分離することが出来る。 即ち、前記吸気取入ダクト９は、シールボード右分割体５Ａの後方に配置され ていることから、図６に図示のように、空気通路２２の上側において空気の流れ は右後方へ向かう流れとなるが、空気は空気通路２２内を左方へ流れ、その後シ ールボード５の上側で右方へ流れることになる、つまり空気は空気通路２２を介 して迂回的に流れることになることから、その空気流中の異物が効果的に分離さ れることになる。要するに、シールボード５の上側の空気流の方向に対して空気 通路２２中の空気流の方向が逆になるように、左端部２０と右端部２１の上下位 置関係を設定しておくことが望ましい。

【００１４】 以上説明したように、本実施例の自動車の吸気ダクトの吸気取入構造によれば 、シールボード５をシールボード右分割体５Ａとシールボード左分割体５Ｂとで 構成し、空気通路２２を設けたことにより、吸気取入ダクト９へ導入する空気量 を十分に確保できる。また、前記シールボード右分割体５Ａの左端部２０とシー ルボード左分割体５Ｂの右端部２１とを上下にラップさせたことにより、空気流 中の異物を分離できる。しかも、シールボード５の上側の空気流の方向に対して 空気通路２２中の空気流の方向が逆になるように、左端部２０と右端部２１の上 下位置関係を設定したことにより、異物分離効果を向上できる。 尚、前記ロック装置１８を図示の位置に設けない場合には、シールボード右分 割体５Ａの左端部２０とシールボード左分割体５Ｂの右端部２１とを車体前後方 向全幅に亙って上下にラップさせてもよい。 また、通常の自動車のように車体 前端部のグリル部から空気を導入する形式の吸気取入構造にも本考案を同様に適 用し得ることは勿論である。また、シールボード５やシュラウドアッパー３の構 造は、実施例のものに限定される訳ではなく、当業者ならば本考案の技術思想を 逸脱しない範囲で種々の変形を加えることも可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】自動車の車体前部の斜視図である。

【図２】自動車の前端部の一部切欠き縦断面図である。

【図３】吸気取入構造の要部斜視図である。

【図４】吸気取入構造の要部平面図である。

【図５】図４の要部５の拡大図である。

【図６】図５の６−６線断面図である。

【符号の説明】

３ シュラウドアッパー ５ シールボード ５Ａ シールボード右分割体 ５Ｂ シールボード左分割体 ９ 吸気取入ダクト １４ バンパー本体 １５ ソフトフェーシャ １６ 開口部 ２０ 左端部 ２１ 右端部 ２２ 空気通路

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両のグリル部又はフロントバンパーか
   ら車体前端部内に流入した空気をシュラウドアッパーの
   上側へ導いて吸気取入ダクトに導入させるように構成し
   た車両吸気ダクトの吸気取入構造において、 前記シュラウドアッパーの車体前方側のうちの車幅方向
   中央側部分に、車幅方向に細長い略水平状のシールボー
   ドを設け、このシールボードを左右に分割されたシール
   ボード左分割体とシールボード右分割体とで構成し、前
   記シールボード左分割体の右端部とシールボード右分割
   体の左端部とを上下方向異なる高さに配設してそれらを
   ラップさせ、これらラップした右端部と左端部間に空気
   通路を形成したことを特徴とする車両吸気ダクトの吸気
   取入構造。
2. 【請求項２】 前記ラップする端部が上側となる方のシ
   ールボード分割体の後方に吸気取入ダクトを配設したこ
   とを特徴とする請求項１に記載の車両吸気ダクトの吸気
   取入構造。