JPH0531012B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

（産業上の利用分野） 本発明は、ローエツジコグ付Ｖベルトおよびそ
の製造方法に関し、第１番目の発明は、ローエツ
ジコグ付Ｖベルトを構成する主要一構成部たる下
面にコグを形成した圧縮ゴム層と該ゴム層を被覆
する少なくとも一層のゴム付下布にあつて、ベル
トの無端化に伴つて発生する圧縮ゴム層と下布層
とのジヨイント部の配設個所に特徴を有し、又第
２番目の発明は、ローエツジコグ付Ｖベルトにあ
つて、圧縮ゴム層と該ゴム層を被覆する下布層に
発生するジヨイント部の配設個所を特定の個所に
配置せしめる上で考慮の払われたプリフオーム製
法を中心としたＶベルトの製造方法に関する。 （従来の技術） ローエツジコグ付Ｖベルトは、通常のコグのな
いＶベルトに較べ、屈曲性に富んでいるため使用
時の発熱が少なく、ベルトライフを向上せしめる
と共に、小径プーリへの掛巻き使用が可能で、コ
ンパクトな設計に対応できるなどの多くの利点が
ある。そして該コグ部を下布をもつて被覆するこ
とにより、コグ部、特にコグ谷部における亀裂防
止、耐摩耗性の向上、騒音発生の抑制などの効果
を奏することができる。 ローエツジコグ付Ｖベルトの製造は、プリフオ
ーム製法、スパンコグ製法などがその代表的なも
のであるが、ベルトの無端化に伴うベルト構成
部、特に圧縮ゴム層、該圧縮ゴム層下面を被覆す
る下布における無端化を目的としたジヨイン部の
発生は、その一例を第９図に示すようにベルト２
１の圧縮ゴム層２４および下布層２２とのそれぞ
れのジヨイント部２５，２６の個所が同一線上に
位置し、あるいはその同一線上に位置するジヨイ
ント個所がコグの山部に位置するなど、そのジヨ
イント個所には余り考慮が払われていなかつた。 又ローエツジコグ付Ｖベルトの製造方法とし
て、ゴム付下布を圧縮ゴム層のコグ形状に沿つて
被覆する方法として、予めコグ形状に沿つて下布
に型付けを行うプリフオーム製法、又は下布を予
めコグ形状することなく直接コグ面を有するモー
ルド面に巻着し、モールドのコグ面を下布に圧入
するスパンコグ製法などがその代表的なものであ
る。そしてベルトの目的及び製法にそれぞれ合致
するように、従来から下布用帆布の材質、密度、
織布方法、処理方法、経糸と緯糸の交叉角などの
諸点について、種々検討が加えられ、例えば耐摩
耗性、耐亀裂性が特に要求されるデイゼルエンジ
ン用ベルトとしては、下布の材質としてポリアラ
ミド繊維（商品名：ケブラー、コーネツクス、ノ
ーメツクス）に代表される耐摩耗性に優れた材質
の帆布が使用され、又コグ谷部における耐亀裂性
を損わないように、帆布の経糸と緯糸との交叉角
をベルト長手方向に対して90°以上となし、かつ
帆布をして２層以上用いた構成を採用している。
そして、より正確な圧縮ゴム層下面のコグ部を形
成する製造方法としてプリフオーム製法が推賞さ
れており、この製造法は、予め下布と未加硫ゴム
シートとをコグ形状に型付けしてコグパツドを形
成し、成型時に該コグパツドを成形ドラム上に装
着した円筒状母型上に嵌め込み、コグパツドの両
端部を突き合せ状に同一線上で成形ジヨイント
し、ベルトの無端化が実行されている。 （発明が解決しようとする問題点） しかし、前記プリフオーム製法にて製造された
ローエツジコグ付Ｖベルトはコグ部の正確な成形
は可能であるが、第９図にその一例を示すよう
に、従来のこの種のＶベルトは下布層２２と圧縮
ゴム層２４とのそれぞれのジヨイント部２６，２
５個所が同一線上に存在するため、ジヨイント部
の接合が不十分な場合が多く、その結果ベルト走
行時の負荷変動、ベルトの発熱現象などによつ
て、このジヨイント部から剥離する事態が発生
し、ベルトの耐久性は劣り、又逆曲げ走行ではコ
グ谷部からの亀裂発生よりも、このジヨイント部
よりの剥離の発生の方が早期に起り、該ジヨイン
ト部はベルトの最大の脆弱部を呈していた。 一方、スパンコグ製法にあつては、加硫時コグ
形状に沿うように下布を金型のコグ谷部に圧入す
るため、下布の残留伸びが小さくなり、ベルトの
コグ谷部における亀裂防止の効果が減少し、さら
に金型のコグの谷部の深さが深い折には、下布の
伸びが不足して満足すべきベルトのコグ形状が得
られない致命的な欠点が存在している。 本発明は、従来のローエツジコグ付Ｖベルトの
保有する欠点および該ベルトの製造方法、特にプ
リフオーム製法に内在する問題点の解消を意図
し、この種のＶベルトにおける圧縮ゴム層および
その下面を被覆する下布のジヨイント部の構成を
改善することにより、耐久性に優れたローエツジ
コグ付Ｖベルトおよびその製造方法を提供するこ
とを目的とする。 （問題点を解決するための手段） この目的を達成させるために、本発明は次のよ
うな構成としている。すなわち、本発明に係る第
１番目の発明たるローエツジコグ付Ｖベルトは、
クツシヨン層内に埋め込んだ抗張体ロープの下部
に圧縮ゴム層を配し、該圧縮ゴム層の下面に設け
たコグ部を、少なくとも一層のゴム付下布にて被
覆してなるＶベルトにおいて、圧縮ゴム層および
下布層に形成されるジヨイント部はコグの山部に
位置し、かつ圧縮ゴム層と下布層とのジヨイント
部の位置は少なくともコグ山の一山分離れた位置
に存在している構成からなり、又第２番目の発明
たるローエツジコグ付Ｖベルトの製造方法は、帯
状の凹凸部を交互に設けたパツトモールドの表面
に、少なくとも１枚のゴム付下布を被覆型付し、
その上に未加硫ゴムシートを積層し、コグ形状に
型付してコグパツドを形成し、該コグパツドの両
端部における下布層と未加硫ゴム層とのカツト位
置を少なくともコグ山の１山分離し、かつそれぞ
れのカツト位置をコグ山部に位置するようにカツ
ト形成した後、円筒形コグ付母型上に嵌め込み、
コグパツドの両端部をジヨイントし、さらにその
外周面に抗張体ロープ、未加硫ゴムシートおよび
少なくとも１枚のゴム付上布を順次巻付けて、こ
れを外周面より加圧加熱して広幅の加硫コグ付ベ
ルトスリーブを形成し、このスリーブを円周方向
に沿つて所定幅に輪切りする構成からなつてい
る。 （実施例） つぎに第１番目の発明に係るローエツジコグ付
Ｖベルトの具体的実施例を図面を用いて説明す
る。 第１図は本発明の要部が存する圧縮ゴム層およ
び下布層における無端化に伴うジヨイント部分を
中心とするＶベルトの一部の斜視図、第２図は他
の実施例を示す第１図に相当する図で、本発明を
実施した主としてプリフオーム製法を用いて製造
されたコグ付Ｖベルト１は、NR、SBR、CR、
BR、NBRなどの単一ゴム材又はこれらゴム材を
適宜量混合したブレンド材からなる下クツシヨン
ゴム層２および上クツシヨンゴム層９内に埋め込
まれた低伸度高強力の抗張体ロープ８の下側に、
上記クツシヨンゴム層２，９と同材質よりなる短
繊維３入り圧縮ゴム層４が配され、該圧縮ゴム層
４の底面には、ベルト幅方向に伸びるコグ山１３
群が所定のピツチをもつて形成され、さらに圧縮
ゴム層４の底面のコグ表面は、ベルトの屈曲性を
良くするため天然、合成、無機繊維よりなるバイ
アス帆布、あるいは経緯糸のベルトの長手方向に
向つて、その交叉角を90〜150°とする広角度帆
布、又は経糸をウーリーナイロン、スパンデツク
スなどにて構成し、緯糸を通常の天然、合成、無
機繊維で織布した伸縮性帆布からなる、少なくと
も１枚のゴム付下布１４にて被覆されている。な
お以上の帆布に代えて天然、合成、無機繊維より
なるスダレを用いることもできるが、この場合ス
ダレコードをベルト長手方向に向つて、その交叉
角120〜180°に交叉せしめてバイアス状に積層す
る。又上記帆布とスダレを同時に積層して使用す
ることもできる。なお下布１４として用いるゴム
付帆布におけるその表面のゴム引きしたエラスト
マー材と下布との厚みの比率は0.1〜3.0の範囲に
あるようにゴム付けされている。 又抗張体ロープ８を埋設せしめた上クツシヨン
ゴム層９の表面は、前記下布１４と同一材からな
る少なくとも１枚のゴム付上布１０をもつて被覆
されている。 プリフオーム製法にあつて、ベルトの無端化に
伴つて発生する圧縮ゴム層４および下布１４間の
それぞれのジヨイント部１５，１６は本発明にお
いては特に考慮の払われた構成部であつて、すな
わち、圧縮ゴム層４および下布層１４にて派生す
るジヨイント部１５，１６は共にコグ山１３部分
に位置せしめられ、かつ圧縮ゴム層４におけるジ
ヨイント部１５と下布層１４におけるジヨイント
部１６は少なくともコグ山の一山分離れた位置に
て形成されている。その具体例をより詳細に説明
すると、第１図は、３層の下布１４をもつて圧縮
ゴム層４のコグ部を被覆したベルトであるが、圧
縮ゴム層４におけるジヨイント部１５と３層の下
布１４の同一コグ山部にて一線上に配したジヨイ
ント部１６は隣接するコグ山部にそれぞれ形成さ
れている。 第２図にあつては、３層の下布の各ジヨイント
部１６，１６，１６がそれぞれ隣接した別個のコ
グ山１３部に位置し、かついずれのジヨイント部
１６，１６，１６も圧縮ゴム層４のジヨイント部
１５とは少なくもコグ山の一山分は離れて形成さ
れている。 そして、特に圧縮ゴム層４におけるジヨイント
部１５はコグ山１３の大きさとの関係もあり、水
平面に対して30〜90°の傾斜角をもつてジヨイン
ト部を形成することが望ましい。又コグ山部にて
行われる下布１４のジヨイント部１６位置は、コ
グ表面よりコグの深さ2/3以内に位置するよう構
成されている。その理由は下布のジヨイント部１
６の位置がコグ深さの2/3以上となると、ジヨイ
ント位置がコグ部の谷部に近づきすぎ、これが原
因にてジヨイント部よりの亀裂が起り易くなる。 尚、本発明に係る以上の説明はローエツジコグ
付Ｖベルトを中心に進めて来たが、上下両面にコ
グを設けた、所謂ローエツジＷコグ付Ｖベルトに
も適用されるもので、抗張体ロープ８を埋設せし
めた上クツシヨンゴム層９の表面に圧縮ゴム層４
に代る表面にコグを設け、かつこのコグ部を上布
にて被覆せしめた伸張ゴム層を積層し、このゴグ
付伸張ゴム層とこれを被覆する上布部に、少なく
ともコグ山の一山部離して伸張ゴム層、上布との
それぞれのジヨイント部を形成せしめることによ
り、耐久性に富むローエツジＷコグ付Ｖベルトを
得ることが出来る。 （実施例） つぎに第２番目の発明に係るローエツジコグ付
Ｖベルトの製造方法につき、その具体的実施例を
図面を用いて説明する。 第３図および第４図は本発明の製造方法におけ
る予備成型であるコグパツドの成形工程を経時的
に示す縦断面図で、第３図に示すように横方向に
帯状の凹凸部を設けた金属製パツドモールドＭの
表面に、ゴム付下布１４の少なくとも１枚（図面
上は３枚の下布が示されている）を用いて、下布
への型付作業が、例えばピニオンロールを用いて
パツドモールドＭの凹凸面に沿う波形の型付けが
行われ、その上にNR、SBR、CR、BR、NBR
などの単一ゴム材又はこれらゴム材を適宜量混合
したブレンド材からなる下クツシヨンゴム層２、
その下面に該クツシヨンゴム層２と同材質よりな
る短繊維３入り圧縮ゴム層４とを貼り合せた未加
硫ゴムシート５を置き、20〜90℃に予熱したプレ
ス盤でパツドモールドＭ上面より加圧して、下布
１４に未加硫ゴムシート５を積層状に密着させて
コグパツド６を形成する（第４図）。 下布１４の未加硫ゴムシート５の積層貼着に際
しては、コグパツド６の接合部となる両端部で各
下布１４，１４同志間および下布１４と未加硫ゴ
ムシート５間の所定位置にフイルム、箔、紙など
のシート状離型部材７を介挿せしめておくことに
より、後続するカツト位置を変更せしめるための
段差を形成するカツト作業が容易なものとなる。
なおここで使用するゴム付下布１４としてはベル
トの屈曲性を良くするため天然、合成、無機繊維
よりなるバイアス帆布、あるいは経緯糸のベルト
長手方向に向つて、その交叉角を90〜150°とする
広角度帆布、又は経糸をウーリーナイロン、スパ
ンデツクスなどにて構成し、緯糸を通常の天然、
合成、無機繊維で織布した伸縮性帆布が用いられ
る。 又以上の帆布に代えて、天然、合成、無機繊維
よりなるスダレを用いることも出来るが、この場
合スダレコードをベルト長手方向に向つて、その
交叉角を120〜180℃に交叉せしめてバイアス状に
積層する。又上記帆布とスダレを同時に積層して
使用してもよい。 なお下布１４として用いるゴム付帆布における
その表面のゴム引したエラストマー材と下布との
厚みの比率は0.1〜3.0の範囲にあるようゴム付け
されている。 第５図はコグパツドの両端部のカツト形状を示
す縦断面図で、第６図は、該コグパツド６を次の
成形工程である成形ドラムに巻付ける作業工程を
示す一部の縦断面図で、第５図は前記工程にて成
形されたコグパツド６を成形ドラムＤ上の母型Ｎ
の山型数に合せて、所定の山数にカツトし、かつ
コグパツド６の両端部に段差を有する接合カツト
端部の形状を示すもので、まずコグパツド６の両
端部における下布１４，１４同志間、および下布
１４と未加硫ゴム層５′間に介挿されたシート状
離型部材７を取除き、下布１４と未加硫ゴム層
５′のコグ山数が、成形ドラムのコグ付母型Ｎの
山数と同一の山数となるようにコグ山１３部でカ
ツトし、かつ下布１４と未加硫ゴム層５′のカツ
ト位置を少なくともコグ山１３の１山分離してカ
ツトし、第５図にあつてその左端部にては下布１
４が延出し、又右端部にては、未加硫ゴム層５′
が延出したコグパツド６′を形成する。この際複
数層の下布１４のカツト位置は３層共同じ位置に
てカツトしてもよいが、第５図にてＡ，Ｂ，Ｃお
よびＤ，Ｅ，Ｆにてそのカツト位置を例示するよ
うに下布各層をコグ山１山分づつ離して段状にカ
ツトすることにより、下布端部同志のジヨイント
部の接着面は増大し、その接着性は一段と良好な
ものとなる。そして圧縮ゴム層４の両端部はそれ
ぞれコグ山部のＧ，Ｈ部にてカツトされる。 本発明にては、下布層１４および未加硫ゴム層
５′とも前述のとおり、そのカツト位置をコグ山
部に限定し、特に未加硫ゴム層５′のカツト作業
の折は、コグ山１３部の大きさとの関係もあり、
水平面に対し30〜90°の傾斜角をもつてカツトす
ることが望ましい。 次に、所定の山数にカツトされたコグパツド
６′は次の成形工程にて、第６図に示すごとく円
筒形成型ドラムＤの外周面に装着されたコグ付き
母型Ｎ上に、該母型Ｎのコグ谷部に、前記コグパ
ツド６′の山部をそれぞれ嵌め込む。このコグパ
ツド６′の嵌め込みに際しては、コグパツドの一
方端、即ち第５図に示すコグパツド６′の左端部
にて、延出した最外層の下布から順に巻付け、最
終的にコグパツド６′の右端部を母型Ｎ上の、よ
り正確にはすでにセツトされたコグパツド６′の
左端部の下布上に、右端部側の下布を重ね合せ、
かつ両端の未加硫ゴム層５′の端面同志は下布同
志のジヨイント部の存在しないコグ山部にて突き
合される。このような手順を踏むことにより、コ
グパツド６′の母型Ｎ上への巻着作業の能率を高
めることができる。なおコグ山部にて行われる下
布のジヨイント部位置は、コグ表面よりコグの深
さの2/3以内に位置するように構成されている。
即ち、下布のジヨイント位置がコグ深さの2/3以
上となるとジヨイント位置がコグ部の谷部に近づ
きすぎ、これが原因にてこのジヨイント部よりの
亀裂の発生が起り易くなる。 つぎに、通常の方法に従い低伸度高強力の抗張
体ロープ８、上クツシヨンゴム層９および前記下
布１４と同材質のゴム付上布１０を順次積層状に
巻付けて広幅の未加硫ベルトスリーブ１１を形成
する（第７図）。なお第７図は該未加硫ベルトス
リーブ１１における下布１４および圧縮ゴム層４
における特にジヨイント部分を中心としたスリー
ブの一部の縦断面図である。 更に次工程では、前記未加硫ベルトスリーブ１
１の表面に加圧加熱用ジヤケツトをかぶせて加硫
缶内に入れ、ベルトスリーブ１１を加圧加熱して
広幅の加硫済コグ付きベルトスリーブを形成し、
最終工程として、この加硫済ベルトスリーブを母
型Ｎより取り外し、ベルト長手方向に沿つて、所
定幅に輪切りして第１図又は第２図にその一例を
示す複数本のローエツジコグ付Ｖベルト１を得
る。 なお以上詳記したベルトの製造方法は上下両面
にコグを設けたローエツジＷコグ付Ｖベルトにも
適用される。即ち母型Ｎ上に巻装されたクツシヨ
ンゴム層内に埋設された抗張体ロープ８の表面
に、さらに詳述した製法にて形成したコグパツド
のコグ部を表面側に配して積層被覆し、一段と厚
手の未加硫ベルトスリーブを形成し、外周面にコ
グ付母型をかぶせて加圧加硫することによりロー
エツジＷコグ付Ｖベルトを得ることができる。 （実験例） ここで、本発明を実施した、即ちプリフオーム
製法により製出された第２図に例示したローエツ
ジコグ付Ｖベルトと第９図に示したベルト圧縮ゴ
ム層と下布の各ジヨイント部が同一山部にて同一
線上に存在する従来のローエツジコグ付Ｖベルト
につき、以下その性能について具体的実験例を開
示する。 周長40インチのLB形ローエツジコグ付Ｖベル
トについて、第８図に示すその径90mmの駆動プー
リ（Dr）とその径150mmの従動プーリ（Dn）の
１対のプーリ間に掛装し、その径60mmのテンシヨ
ンプーリ（Dt）をもつて、該テンシヨンプーリ
部におけるベルト逆曲げ角度θが140°となるよう
負荷をかけて、回転数1800rpm、負荷6psの試験
条件下にて、第８図にその概略図をもつて示す走
行試験装置を用いてベルトの走行試験を行い、そ
れぞれのベルトライフを比較した。その結果は第
１表に示すとおりである。

【表】 上記表からは、本発明に係るベルトにあつて
は、従来のこの種のベルトに比べ、実に約７倍に
近いベルトライフの向上を見たことが確認され
た。 （発明の効果） 本発明は、ベルトの圧縮ゴム層におけるジヨイ
ント部と下布層のジヨイント部をローエツジコグ
付Ｖベルトの屈曲疲労が集中するベルトのコグ谷
部を意図的にさけて、その山部に位置せしめ、か
つ両ジヨイント部を少なくともコグ山の１山分離
す構成により、その接合部の強度は顕著に増大
し、特に積層状の下布にあつては、下布を構成す
る各布層のジヨイント部をそれぞれ各別のコグ山
部に配することにより、その接合強度は一層増大
するものとなり、既述した実験例からも明らかな
如く、所定の走行試験後に発生を見出した破損個
所は、ベルトのコグ谷部であつたことからも、ジ
ヨイント部を設けたことによる弊害を完全に取去
ることに成功した。 又、正確かつ強度の大きいベルトコグ部を形成
しうるＶベルトのプリフオーム製法にあつて、ベ
ルトの圧縮ゴム層および下布層を構成するコグパ
ツドの製作時、この素材の両端部の圧縮ゴム層部
と下布層にそれぞれ相対的に少なくともコグ山の
１山分の間隔ある段差あるカツト部を予め形成せ
しめておくことにより、又さらに積層状の下布に
あつては、各下布間にも同様の段差あるカツト部
を設けることによりベルト成形後のジヨイント部
における接合面の拡大を実現でき、これにより該
ジヨイント部における結合強度を確実に増大せし
めることができ、このさけて通ることのできない
ジヨイント部の存在がベルトの耐久性を劣化せし
める原因ともならず、耐亀裂性、耐摩耗性、耐騒
音性の面でも優れた結果を導き出すことができ、
ベルトの耐久性の増大に大きく帰与するものとな
つた。又段差あるジヨイント部の形成はコグパツ
ドの成形時、下布層と圧縮ゴム層および各下布層
の両端部寄り部分にシート状離型部材を介挿せし
めておくことにより、段差カツト部の作成も比較
的容易に行なうことができ、この面では作業能率
を高める上で顕著な効果が奏せられた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の要部が存する圧縮ゴム層およ
び下布層における無端化に伴うジヨイント部分を
中心とするＶベルトの一部の斜視図、第２図は他
の実施例を示す第１図に相当する図、第３図およ
び第４図は本発明の製造方法における予備成型で
あるコグパツドの成形工程を経時的に示す縦断面
図、第５図はコグパツドの両端部のカツト形状を
示す縦断面図で、第６図はコグパツドの成形母型
への嵌合巻付け作業時の一部の縦断面図、第７図
は下布および圧縮ゴム層におけるジヨイント部を
中心とする未加硫ベルトスリーブの一部の縦断面
図、第８図はベルト走行試験装置の一例を示す概
略正面図、第９図は従来のローエツジコグ付Ｖベ
ルトのジヨイント部を中心とするベルト一部の正
面図である。 図中、１はローエツジコグ付Ｖベルト、２は下
クツシヨンゴム層、４は圧縮ゴム層、５は未加硫
ゴムシート、６はコグパツド、７はシート状離型
部材、８は抗張体ロープ、９は上クツシヨンゴム
層、１１は未加硫ベルトスリーブ、１３はコグ
山、１４はゴム付下布、１５は圧縮ゴム層のジヨ
イント部、１６は下布層のジヨイント部、Ｍはパ
ツドモールド、Ｎは母型を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ クツシヨン層内に埋め込んだ抗張体ロープの
   下部に圧縮ゴム層を配し、該圧縮ゴム層の下面に
   設けたコグ部を、少なくとも一層のゴム付下布に
   て被覆してなるＶベルトにおいて、圧縮ゴム層お
   よび下布層に形成されるジヨイント部はコグの山
   部に位置し、かつ圧縮ゴム層と下布層とのジヨイ
   ント部の位置は少なくともコグ山の一山分離れた
   位置に存在していることを特徴とするローエツジ
   コグ付Ｖベルト。 ２ 前記下布が複数層の下布にて構成されている
   場合、各下布のジヨイント部が同一コグ山部の一
   線上に存在している特許請求の範囲第１項記載の
   ローエツジコグ付Ｖベルト。 ３ 前記下布が複数層の下布にて構成されている
   場合、各下布のジヨイント部の位置が、少なくと
   も１層の下布は他の下布のジヨイント部と、少な
   くともコグ山１山分離れている特許請求の範囲第
   １項記載のローエツジコグ付Ｖベルト。 ４ 前記下布層のジヨイント部は、コグ表面より
   コグ深さの2/3以内に位置して設けられている特
   許請求の範囲第１項より第３項のうちいずれか１
   項に記載のローエツジコグ付Ｖベルト。 ５ 帯状の凹凸部を交互に設けたパツトモールド
   の表面に、少なくとも１枚のゴム付下布を被覆型
   付し、その上に未加硫ゴムシートを積層し、コグ
   形状に型付してコグパツドを形成し、該コグパツ
   ドの両端部における下布層と未加硫ゴム層とのカ
   ツト位置を少なくともコグ山の１山分離し、かつ
   それぞれのカツト位置をコグ山部に位置するよう
   にカツト形成した後、円筒形コグ付母型上に嵌め
   込み、コグパツドの両端部をジヨイントし、さら
   にその外周面に抗張体ロープ、未加硫ゴムシート
   および少なくとも１枚のゴム付上布を順次巻付け
   て、これを外周面より加圧加熱して広幅の加硫コ
   グ付ベルトスリーブを形成し、このスリーブを円
   周方向に沿つて所定幅に輪切りすることを特徴と
   するローエツジコグ付Ｖベルトの製造方法。 ６ 前記コグパツドの成形時、コグパツドの両端
   部にあつて、未加硫ゴムシートと下布間、下布同
   志間にはシート状離型部材が介挿されている特許
   請求の範囲第５項記載のローエツジコグ付Ｖベル
   ト。 ７ 前記コグパツドの両端部にて下布および未加
   硫ゴムシートの少なくともコグ山の１山分離れて
   形成されたカツト部分は、円筒形コグ付母型表面
   に嵌め込まれる折、まずコグパツドの端部にて延
   出した下布部分から嵌め込まれる特許請求の範囲
   第５項記載のローエツジコグ付Ｖベルト。