JPH05116308A - インクジエツト記録方法およびインクジエツト記録装置 - Google Patents

インクジエツト記録方法およびインクジエツト記録装置

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JPH05116308A
JPH05116308A JP3281617A JP28161791A JPH05116308A JP H05116308 A JPH05116308 A JP H05116308A JP 3281617 A JP3281617 A JP 3281617A JP 28161791 A JP28161791 A JP 28161791A JP H05116308 A JPH05116308 A JP H05116308A
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JP
Japan
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ink
bubble
outside air
heater
jet recording
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Pending
Application number
JP3281617A
Other languages
English (en)
Inventor
Hisao Yaegashi
尚雄 八重樫
Masanori Takenouchi
雅典 竹之内
Akira Asai
朗 浅井
Masashi Miyagawa
昌士 宮川
Norio Okuma
典夫 大熊
Yoshihisa Takizawa
吉久 滝沢
Kazuhiro Nakajima
一浩 中島
Toshiji Inui
利治 乾
Katsuhiro Shirota
勝浩 城田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP3281617A priority Critical patent/JPH05116308A/ja
Publication of JPH05116308A publication Critical patent/JPH05116308A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2/14016Structure of bubble jet print heads
    • B41J2002/14169Bubble vented to the ambience

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 インク吐出に利用されるエネルギを発生する
素子として、通電に応じて熱エネルギを発生する発熱素
子(ヒータ)を、直接インクに接触する部位に配置して
なるインクジェット記録ヘッドにあって、エネルギ作用
効率,発熱素子の耐久性を向上する。 【構成】 インクに直接接触させて設けたヒータ(2
2)に通電し、近傍のインク(3)を急加熱して膜沸騰
による気泡(6)を生じさせる。膨張した気泡(6)は
慣性抵抗の小さい吐出口(5)側へ成長し、ついには外
気と連通する。ヒータ(22)はインクに直接接してい
るため熱エネルギの作用効率は高く、さらに気泡(6)
が外気と連通して消滅するためヒータ(22)はキャビ
テーションによる衝撃を受けることもない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱エネルギを利用して
インクを吐出するインクジェット記録方法およびインク
ジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インク滴を吐出し、これを被記録媒体上
に付着させて画像形成を行なうインクジェット記録方法
は、高速記録が可能であり、また比較的記録品位も高
く、低騒音であるという利点を有している。さらに、こ
の方法はカラー画像記録が比較的容易であって、普通紙
等にも記録でき、さらに装置を小型化し易いといった多
くの優れた利点を有している。
【0003】このようなインクジェット記録方法を用い
る記録装置には、一般にインクを飛翔インク滴として吐
出させるための吐出口と、この吐出口に連通するインク
路と、このインク路の一部に設けられ、インク路内のイ
ンクに吐出のための吐出エネルギーを与えるエネルギー
発生手段とを有する記録ヘッドが備えられる。例えば、
特公昭61−59911号、特公昭61−59912
号、特公昭61−59913号、特公昭61−5991
4号の各公報には、エネルギー発生手段として電気熱変
換体を用い、電気パルス印加によってこれが発生する熱
エネルギーをインクに作用させてインクを吐出させる方
法が開示されている。
【0004】すなわち、上記各公報に開示されている記
録方法は、熱エネルギーの作用を受けたインクが急峻な
体積の増大を伴なう状態変化を起こし、この状態変化に
基づく作用力によって、記録ヘッド部先端の吐出口より
インクを吐出し、この吐出インク滴が被記録媒体に付着
して画像形成を行なうものである。この方法によれば記
録ヘッドにおける吐出口を高密度に配設することができ
るので、高解像度、高品質の画像を高速で記録すること
ができ、この方法を用いた記録装置は、複写機、プリン
タ、ファクシミリなどにおける情報出力手段として用い
ることができる。
【0005】この記録方法においては、熱エネルギ発生
手段の発熱部分をキャビテーションによる衝撃やエロー
ジョンから保護するため、発熱部分の上部に保護層を設
けるのが一般的であるが、保護層を持たず、熱エネルギ
発生手段の発熱部分が記録液に直接接触する構造の記録
ヘッドが特開昭55−126462号により提案されて
いる。この形態の記録ヘッドは、熱エネルギ効率がよ
く、高速記録に適しているが、熱エネルギ発生手段の発
熱部分がキャビテーションによる衝撃やエロージョンを
受けるため、使用可能なヒータ材料が限られていた。
【0006】この記録方法においては、熱エネルギ発生
手段の発熱部分をキャビテーションによる衝撃やエロー
ジョンから保護するため、発熱部分の上部に保護層を設
けるのが一般的であるが、保護層を持たず、熱エネルギ
発生手段の発熱部分が記録液に直接接触する構造の記録
ヘッドが特開昭55−126462号により提案されて
いる。この形態の記録ヘッドは、熱エネルギ効率がよ
く、高速記録に適しているが、熱エネルギ発生手段の発
熱部分がキャビテーションによる衝撃やエロージョンを
受けるため、保護層を設けた場合に比べ寿命が短くなる
という問題点があった。
【0007】かかる特開昭55−126462号等に対
して、従来は気泡(バブル)の収縮によるキャビテーシ
ョンを直接受けるための耐久性の向上に着眼されてお
り、そのための材料開発が専らであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、材料開
発にのみ伝存しても耐久性の向上には限界があり、実用
的な水準を満足するものは数少ない。
【0009】また、気泡形成もばらつき易く、安定した
吐出量,高い吐出速度も十分に満足することが難しかっ
た。
【0010】本発明は、かかる二面の問題点に鑑みてな
されたものである。
【0011】すなわち、本発明は、インクに直接接触す
る発熱素子を有する記録ヘッドを用いる場合において、
エネルギ効率,耐久性を一層向上することを第1の目的
とする。
【0012】また、インクに直接接触する発熱素子を有
する記録ヘッドを用いる場合において、発熱素子のイン
クに対する気泡形成を安定化し、吐出量,吐出特性の安
定化を達成することを第2の目的とする。
【0013】さらに、本発明の他の目的は、これらを同
時に得ることができるようにすることにある。
【0014】加えて、本発明はインクジェット記録方
法,装置のより好ましい構成を提供することを目的とす
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】そのために、本発明イン
クジェット記録方法は、インクを吐出させるための吐出
口と、該吐出口に連通する液路と、該液路に配置されて
前記液路内に供給されたインクに直接接触し、通電に応
じて前記吐出口から吐出を行わせるための熱エネルギを
作用する発熱素子とを具備した記録ヘッドを用い、前記
発熱素子による熱エネルギの作用に伴ってインク中に生
起されたバブルを前記吐出口より外気と連通させてイン
ク吐出を行うことを特徴とする。
【0016】また、本発明インクジェット記録装置は、
インクを吐出させるための吐出口と、該吐出口に連通す
る液路と、該液路に配置されて前記液路内に供給された
インクに直接接触し、通電に応じて前記吐出口から吐出
を行わせるための熱エネルギを作用する発熱素子とを具
備した記録ヘッドと、前記発熱素子に対して、バブルを
形成しない程度の第1駆動信号と膜沸騰によるバブルを
形成する第2駆動信号とを、この順に間隔をおいて与え
る駆動手段とを具えたことを特徴とする。
【0017】ここで、前記第2駆動信号の供給に応じた
前記発熱素子による熱エネルギの作用に伴ってインク中
にバブルを生起させ、該バブルを前記吐出口より外気と
連通させてインク吐出を行うものとすることができる。
【0018】さらに、以上において、前記連通時に前記
液路が前記バブルで遮断されないようにすること、前記
連通時は、前記バブルの内圧が外気圧以下の条件で前記
バブルを外気と連通させるものとすること、前記バブル
の吐出方向先端部の移動速度の加速度が正でない条件で
前記バブルを外気と連通させるようにすること、さらに
は、前記発熱素子の吐出口側端部と前記バブルの吐出口
側端部との距離Laが前記発熱素子の前記吐出口とは反
対側の端部と前記バブルの前記吐出口とは反対側の端部
との距離Lbに対して、La/Lb≧1なる条件下で前
記発熱素子によりインク中に生起されたバブルを前記吐
出口より外気と連通させるものとすることができる。
【0019】
【作用】本発明によれば、インクに直接接触する発熱素
子を有する記録ヘッドに対し、その発熱素子による熱エ
ネルギの作用に伴ってインク中に生起されたバブルを吐
出口より外気と連通させてインク吐出を行わせるように
したので、エネルギ効率および発熱素子の耐久性を高め
ることができる。
【0020】また、発熱素子に対し、気泡形成を生じさ
せない程度の第1駆動信号を与え、膜沸騰が生じ易くな
る雰囲気を形成してから第2駆動信号を与えるようにし
たので、膜沸騰による気泡(バブル)形成が安定して行
われるようになる。
【0021】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。
【0022】まず、本出願人は、吐出のためにインクを
加熱することにより生成される膜沸騰による気泡を、吐
出口近傍で外気に連通させて吐出を行うインクジェット
記録方式(以下、この方式を連通吐出方式とも言う)に
ついて提案している(特願平2−112832号,特願
平2−112833号,特願平2−112834号,特
願平2−114472号)。
【0023】上記連通吐出方式によれば、気泡を形成し
ているガスが吐出されるインク滴と共に噴出することは
ないので、スプラッシュやミストなどの発生を低減し、
被記録媒体上の地汚れや装置内の汚れを防ぐことができ
る。
【0024】また、上記連通吐出方式の基本的な作用と
して、気泡が生成される部位より吐出口側にあるインク
は原理的に全てインク滴となって吐出されるということ
がある。このため、吐出インク量は、吐出口から上記気
泡生成部位までの距離等、記録ヘッドの構造によって定
めることができる。この結果、上記連通吐出方式によれ
ば、インク温度の変化等の影響をそれ程受けずに吐出量
の安定した吐出を行うことが可能となる。
【0025】以下、図1〜図4を参照して上記連通吐出
方式について説明する。
【0026】図1(a)および(b)は、上記連通吐出
方式を適用して好適な記録ヘッドおよびその吐出方法を
示すものであり、この記録ヘッドの具体的インク路構成
の2例を示す。しかしながら、本発明はこの構成に限定
されないことは勿論である。
【0027】図1(a)に示すインク路構成は、基板
(不図示)上に発熱抵抗層(ヒータ)2を具え、この基
板に、隔壁や天板が設けられることによって、共通液室
Cやインク路Bが形成される。また、これとともにイン
ク路Bの端部に吐出口5が形成される。E1,E2は、
それぞれ、ヒータ2にパルス上の電気信号を印加するた
めの選択電極、共通電極を示す。さらにDは保護層であ
る。
【0028】電極E1,E2を介した、記録データに基
づく上記電気信号の印加に応じて、電極E1,E2間の
ヒータ2は、蒸気膜を生じる急激な温度上昇を短時間の
うちに発生し(約300℃)、これにより、気泡6が生
成される。この気泡6は成長し、やがて吐出口5におけ
る基板側の端部Aで大気と連通する。そして、この連通
後、安定した吐出インク滴(破線7)が形成される。
【0029】この吐出において、気泡6がその成長過程
でインク路Bを完全に遮断しない(インク路B内のイン
クが吐出口5から突出したインクと連続している)ので
後続の吐出に対するリフィルが速やかに行われること、
また、300℃以上の比較的高温となった気泡の熱も外
気に放出されること等によって大きな蓄熱の問題(蓄熱
によるインク粘性低下や気泡形成の不安定化)も生ぜ
ず、各ヒータの駆動デューティーを高くすることができ
る。
【0030】図1(b)は、共通液室Cを不図示として
いるが、インク路Bを屈曲した形状としているものであ
り、屈曲部の基板面に発熱抵抗部(ヒータ)2を具えて
いる。吐出口5は、吐出方向にその断面積を減少する形
状であり、ヒータ2に対向してその開口が設けられてい
る。この吐出口5はオリフィスプレートOPに形成され
る。
【0031】図1(b)においても、上記図1(a)の
構成と同様に蒸気膜(約300℃)を生じさせて気泡6
を生成する。この気泡の生成により、オリフィスプレー
トOPの厚み部分のインクを吐出方向に押しやり、その
部分のインクを希薄にする。その後、気泡6は、吐出口
5の外気側周縁A1から内部側の吐出口近傍領域A2の
範囲で大気と連通する。この時、気泡6の成長は、イン
ク路を遮断しないもので、吐出方向へ向かう必要のない
インクをインク路B内のインクと連続した連続体として
残すことができ、インク滴7の吐出量の安定化および吐
出速度の安定化を実現することができる。
【0032】このような連通吐出方式によれば、吐出口
近傍への気泡成長を急激にしかも確実に行うことができ
るので、上記非遮断状態のインク路によるリフィル性も
手伝って、高安定高速記録を達成できる。また、気泡と
大気とを連通させることによって、気泡の消泡過程が無
くなり、キャビテーションによるヒータや基板の損傷を
防止することもできる。
【0033】以上示したインク吐出に伴う気泡と大気と
の連通は基本的にヒータ2の配設位置を吐出口5に近づ
けることによって実現できる。しかしながら、上述した
スプラッシュ等の抑制や吐出量の安定化を確実なものと
する条件であって、上記図1(a)および(b)に示す
構成に適用されて好ましい条件を以下に挙げる。
【0034】第1条件は、気泡の内圧が外気圧より低い
条件で気泡を外気と連通させることである。
【0035】すなわち、気泡の内圧が外気圧より低い条
件で気泡を外気と連通させることによって、気泡の内圧
が外気圧より高い条件で連通させる場合に生じていたス
プラッシュ等の吐出口近傍におけるインク飛散を低減で
き、また、上記2つの圧力が等しい場合よりも、吐出時
の不安定なインクをインク路内に引き込む力がわずかで
はあるが働くため、より一層安定したインク吐出と不要
インクの飛散防止を図ることができる。
【0036】上記第1条件とは別の条件として、気泡の
吐出口側端部における移動速度の1次微分値が負となる
条件で気泡と外気とを連通させるという第2条件、ま
た、吐出エネルギー発生手段の吐出口側端部から気泡の
吐出口側端部までの距離La と吐出エネルギー発生手段
の吐出口とは反対側の端部から気泡の吐出口とは反対側
の端部までの距離Lb とがLa /Lb ≧lを満足する第
3条件、もしくは、その両方の条件を満足して気泡と外
気を連通させることはより好ましい。
【0037】図2〜図4を参照して、上記第1条件をさ
らに詳しく説明する。
【0038】発泡からの経過時間tと、気泡体積Vおよ
び気泡内圧力Pとの関係は図2のようになるが、実際に
は、気泡はその成長の途中で連通するので、これらの関
係は図3に示されるようになる。すなわち、図3におい
て、t=tb(t1≦tb:t1は気泡内圧力pが外気
の圧力と等しくなる時刻)の時刻で気泡は外気と連通す
る。上記第1条件は、このとき気泡内圧力Pが外気の圧
力(OATM)より小さいという条件である。
【0039】この条件でインクを吐出させると、気泡内
圧力Pが外気圧より高い条件で気泡を外気と連通させて
インク滴を吐出させる(ガスが大気中に噴出する)場合
に比べ、前述したようにインクのミストやスプラッシュ
による記録紙や装置内の汚れを防止できる。また、この
ように気泡内圧力Pを大気圧より小さくして連通させる
場合、気泡の体積が比較的増大させてから気泡を外気と
連通させることができる。これにより、インクに対して
十分な運動エネルギーを伝達することができ、吐出速度
が大きくなるという効果も得られる。
【0040】上記第1条件を満たす記録ヘッドは、例え
ば図1(a)においてヒータ2の位置を吐出口5の方向
に近づけた位置に設けてある。これは気泡を外気と連通
させるために最も簡便にとれる手法である。しかしなが
ら、単にヒータ2を吐出口5に近づけるだけでは、上記
第1条件を満たすことができない。すなわち、上記条件
を満たすためには、ヒータの発生する熱エネルギー量
(ヒータの構成、形成材料、駆動条件、面積、ヒータの
設けられる基体の熱容量等に依る)、インク物性、記録
ヘッドの各部の大きさ(吐出口とヒータ間の距離、吐出
口や液路の幅および高さ)などを適切に設定することに
より、第1条件を満たす状態で外気と連通させることが
できる。
【0041】具体的には、例えばインク路形状は以下の
ように、気泡と大気との連通に寄与する。すなわち、イ
ンク路形状は、使用する熱エネルギー発生素子の形状に
よって幅がほぼ決定されてくるものの、具体的関係につ
いては経験則によって設定することが多い。しかしなが
ら、インク路の高さが、気泡の上記大気との連通の条件
に影響を与えることが明らかとなっている。従って、環
境等の外部の影響を受けにくく、またより一層の安定し
た気泡と大気との連通を行うためには、インク路の幅W
よりもインク路の高さHを低く(H>W)することが好
ましい。
【0042】また、例えば、連通する時刻を気泡の体積
でみれば、気泡が外気と連通しない場合に達するであろ
う気泡の最大体積、もしくは最大体積の70%以上、よ
り好ましくは80%以上の体積のときに気泡が外気と連
通するようにすることが好ましい。
【0043】次に、上記第1条件の別表現である上述の
第2条件、すなわち、気泡の膨張速度の1次微分が負と
なるとき気泡と外気とを連通させるという条件について
説明する。
【0044】インクが発泡を開始してから気泡が外気と
連通するまでの時間における気泡体積Vおよび気泡内圧
力Pの変化および気泡膨張速度dV/dtの変化を図4
に示す。
【0045】この図より、膨張速度の1次微分、すなわ
ち、体積Vの2次微分d2 V/dt2 を求めることによ
ってバブルの内圧と外圧との大小関係を知ることができ
る。すなわち、d2 V/dyt2 >0の期間で気泡の膨
張速度dV/dtは増加し、d2 V/dt2 <0で速度
dV/dtは減少する。従って、d2 V/dt2 =0の
ときに気泡内圧力Pと外気圧とが等しくなるといえる。
すなわち、d2 V/dt2 >0で、気泡内圧力Pは外圧
よりも高く、d2 V/dt2 ≦0のとき気泡内圧力Pは
外圧以下である。
【0046】図4で説明すると、発泡開始t=t0 より
t=t1 までは、気泡内圧力Pは、外気圧よりも高くd
2 V/dt2 >0となり、t=t1 より気泡が外気と連
通するまでの時間t=tb までは気泡の内圧は外気圧以
下であり、d2 V/dt2 ≦0となる。通常は、この一
般的理論が成立するが、インクの材質によってあるいは
インク路の抵抗によっても気泡体積の変化が生じるの
で、外気圧との関係はわずかに差を生じる場合がある。
このため第1条件以外の条件としてd2 /V/dt2
0を満足することは好ましく、また、第1条件とこの第
2条件との和は、より好ましいものとなる。
【0047】以上のように、体積Vの2次微分d2 V/
dt2 <0、すなわち膨張速度の1次微分が負のとき、
気泡が外気と連通することにより、気泡内圧力が外気圧
より低い条件で連通することができる。
【0048】上記第2条件によれば、気泡と外気との連
通時に連通部近傍にあるインクがインクを吐出するため
に過度に加速度を受けるために主インク滴と分離してし
まうといったことを解決することもできる。上記分離が
生じた場合、その近傍のインクがスプラッシュ状に飛び
散ったり、ミストとなって飛散することが顕著となり、
しかも高密度の吐出口配置では吐出口面へのインクの付
着による吐出不良を招くことがあるが、これを上記第2
条件によって解決することができる。
【0049】本発明では、発熱素子が直接インクに接触
するように構成した記録ヘッドに対し、かかる利点を有
する連通吐出方式を採用する。これにより、本発明の第
1の目的であるエネルギ効率,耐久性の向上を達成でき
る。
【0050】図5(a)〜(e)は本発明インクジェッ
ト記録ヘッドの一実施例の要部ないしその吐出動作を模
式的に示す。この記録ヘッドは、インクを吐出するため
に利用されるエネルギを発生する手段として、通電に応
じインクに膜沸騰を生じさせる熱エネルギを発生する電
気熱変換素子などの発熱素子を有し、該素子(以下これ
をヒータという)22自体が壁部材(不図示)で区画さ
れて形成された液路10に面してインクに熱エネルギを
作用させる。
【0051】1は上記発熱素子が設けられた基体、3は
インク、4は天板、6はバブル、7は液滴である。な
お、液路は、基体1,天板4および図5には図示しない
壁によって形成される。
【0052】図5(a)は発泡前の初期状態を示し、液
路内がインク3で満たされている。ここでヒータ22に
瞬間的に電流を流し、パルス的にヒータ22近傍のイン
ク3を急激に加熱すると、所謂膜沸騰による気泡(バブ
ル)6がヒータ22上に発生し、急激に膨張を始める
(図5(b))。さらにバブル6は膨張を続け、主とし
て慣性抵抗の小さい吐出口5側へ成長し、ついには吐出
口5を越え、外気とバブル6が連通する(図5
(c))。このとき外気はバブル6内圧と平衡状態また
はそれ以上であり、バブル6内に流入する。
【0053】吐出口5より押し出されたインク3はこの
瞬間までにバブル6の膨張によって与えられた運動量の
ためにさらに前方へ飛翔を続け、ついには独立な液滴と
なって紙などの記録媒体へ向かって飛翔する(図5
(d))。さらに吐出口5側先端部に生じた空隙には後
方のインク3の表面張力と液路を形成する部材の濡れ性
とによってインク3が図面右方向に供給され(図5
(e))、初期状態に戻る。
【0054】なお、記録媒体107は、プラテン,ロー
ラ,ベルトあるいはそれらの任意の組み合わせによって
構成される搬送手段により、プラテンに沿って吐出口5
との対向位置に搬送される。あるいは、記録媒体107
を固定し、吐出口5側を移動させる、すなわち記録ヘッ
ドを移動させるようにしても良く、また、図12に示す
ように、それらを組み合わせても良いものである。要
は、吐出口5と記録媒体とが相対的に移動可能とされ、
記録媒体の所望の位置に所望の吐出口5が対向され得る
ようにすればよい。
【0055】さて、図5(c)ではバブル6が外気と連
通したときに外気がバブル内に流入するが、このために
は特願平2−112832号等に開示されている条件で
バブル6を外気と連通させれば良い。例えばバブルの内
圧が外気圧と等しいか、または低い条件でバブルを外気
と連通させれば、バブル内のガスが外気に噴出し、吐出
液滴に悪影響を及ぼすことはない。ここでバブル6を効
率良く吐出口5より外気と連通させれば、吐出する液滴
の速度が上がり、またインクの目詰まり等を効果的に防
止できる。また液滴が吐出した後に吐出口付近にインク
残りが生じ、その結果空気を取り込んで不吐出を招くと
いう不具合も生じない。
【0056】この際、本発明ではヒータ22が直接イン
クに接しているため、ヒータ22上に保護層を設けた場
合に比べ、ヒータにおいて発生した熱は効率よくインク
を加熱するために使われる。また、記録ヘッド自体の昇
温が少ないため、より高速での駆動も可能になる。
【0057】さらに、以上の説明からも明らかなよう
に、生成したバブルはキャビテーションを起こすことな
く、外気と連通することにより消滅する。したがって、
ヒータはキャビテーションによる衝撃やエロージョンを
受けることはない。本例において、ヒータ22が直接イ
ンクに接触するための構成は、詳しくは本発明の他の実
施例(図8)と同様に採用できる。また、本発明では連
通吐出方式を採用しているために、ヒータ材としては、
電気化学反応に強い材料であれば比較的多様な構成元素
が選択されうる。
【0058】例えば、Ti,Ta,Nbなどの陽極化成しやすい
金属、SuO2などの導電性酸化物、ZrB2,HfB2,TaB2,NbB2,
Ta2N,W,Ni-Cr,Ta-Al,Ta-Mo,Ta-Co,Ta-Ni,Ta-Ni-Al,Ta-N
i-Mo,Ta-Ni-Cr,Ta-Cr-Mo,Ta-Cr-Al,Ta-Cr-W などの化学
的に安定な合金などが挙げられる。
【0059】さらに具体的な実施例を用いて本発明を説
明する。
【0060】<実施例1>図6に示す記録ヘッドを用い
て画像形成を行なった。
【0061】この記録ヘッドは、基板1上に各液路10
を隔てるように配置された壁8と、壁に接するガラスの
透明天板4と各液路10に設けられたヒータ22より構
成されている。ヒータ22は図示しない電極によって画
信号に応じて通電される。液路10、ヒータ22、吐出
口5で構成される部分の寸法は高さが25μm、幅が3
5μm、ヒータのサイズが幅30μm×長さ25μm、
ヒータ位置はその最も吐出口側の端から吐出口までの長
さが25μmであり、1インチ当たり360個の密度で
48本配置した。
【0062】ヒータは、Ta−Al(60:40)から
成り、厚さは約0.2μmであった。
【0063】この記録ヘッドに、 C.I.フードブラック2 3.0重量% ジエチレングリコール 15.0重量% N-メチル-2- ピロリドン 5.0重量% イオン交換水 77.0重量% よりなる各配合成分を容器中で撹拌し、均一に混合溶解
させた後、孔径0.45μmのポリフッ化エチレン系繊
維製フィルタで濾過して得た粘度2.0cps(20
℃)のインクをインク供給口20より液室12に供給し
吐出を試みた。
【0064】記録ヘッドのヒータ22の加熱条件は、6
V、5μsec とし、これを2kHzで駆動した。
【0065】まず、連続する16吐出口よりインクを吐
出させた状況をパルス光源と顕微鏡とを用いて観察した
ところ、発泡開始より約2μsec 後にバブルが外気と連
通している様子が確認された。飛翔液滴の体積は各ノズ
ルとも18±1pl(pl:ピコリットル)の範囲に収
まった。また液滴の吐出速度は約9m/sec であった。
【0066】そこで次に1画素毎の市松模様になるよう
に画信号を16個のヒータ22に与えてインクを吐出、
記録紙に付着させたところ、記録紙上にはムラのない所
望の市松模様のパターンが作画された。この画像を拡大
して観察したところ余分なインクの飛散や地汚れのない
鮮明な画像であった。
【0067】また、駆動周波数を6kHzにあげても同
様の結果が得られた。
【0068】<比較例1>実施例1と同一寸法の記録ヘ
ッドにおいて、ヒータ上に保護層として、0.5μmの
Ta層と1.0μmのSiO2 層を設けた記録ヘッド
で、実施例1の記録液を吐出させたところ、駆動周波数
2kHzにおいて、実施例1と同様の印字を得るために
は、9Vの駆動電圧が必要であった。
【0069】また、駆動周波数6kHzにおいては、吐
出が不安定となった。
【0070】<実施例2>図7(a)および(b)に示
す記録ヘッドを用いて画像形成を行なった。
【0071】この記録ヘッドの基板11上には透明なガ
ラスの壁14が形成され、また吐出口15に対向する位
置にヒータ22が設けられている。吐出口の寸法は直径
が32μm、ヒータ22のサイズが22μm×22μ
m、ヒータ面から吐出口までの長さが25μmであり、
1インチ当たり360個の密度で48本配置した。
【0072】ヒータは、Ta−Al(60:40)から
成り、厚さは約0.2μmであった。
【0073】この記録ヘッドに実施例1と同じインクを
供給し吐出を試みた。
【0074】記録ヘッドのヒータ22の加熱条件は、6
V、5μsec とし、これを2kHzで駆動した。
【0075】まず、連続する16吐出口よりインクを吐
出させた状況をパルス光源と顕微鏡とを用いて観察した
ところ、発泡開始より約3μsec 後にバブルが外気と連
通している様子が確認された。飛翔液滴の体積は各ノズ
ルとも17±1plの範囲に収まっており、液滴の吐出
速度は約7m/secであった。
【0076】そこで次に1画素毎の市松模様になるよう
に画信号を16個のヒータ22に与えてインクを吐出、
記録紙に付着させたところ、実施例1と同様に記録紙上
にはムラのない所望の市松模様のパターンが作画され
た。この画像を拡大して観察したところ余分なインクの
飛散や地汚れのない鮮明な画像であった。
【0077】また、駆動周波数を6kHzにあげても同
様の結果が得られた。
【0078】<比較例2>実施例3の記録ヘッドにおい
て、ヒータ上に保護層として、0.5μmのTa層と
1.0μmのSiO2 層を設けた記録ヘッドで、実施例
2の記録液を吐出させたところ、駆動周波数2kHzに
おいて、実施例2と同様の印字を得るためには、9Vの
駆動電圧が必要であった。
【0079】また、駆動周波数6kHzにおいては、吐
出が不安定となった。
【0080】図8(a)および(b)は本発明に採用で
きるヒータ構成の2例を示す模式図である。なお、同図
は上記実施例2の構成のヘッドに対応して示してある
が、ヒータ構成自体は図5,図6の構成に対しても当然
に適用できるものである。
【0081】図8(a),(b)において、矢印はイン
クの供給方向であり、BPは基体、HLは発熱抵抗層、
E1,E2はAl等の配線、IKはインク、Oは吐出
口、OPは吐出口形成用の部材(壁)、DRVはヒータ
ドライバである。また、同図(b)においては、配線が
発熱抵抗層の上部層となっているために、ヒータ22の
部分以外を絶縁層ISで被覆している。これらの構成に
よれば、ヒータ22を直接インクに接触させるヘッドを
得ることができる。
【0082】次に、本発明の第2の目的である、気泡形
成の安定化による吐出量,吐出速度等吐出特性の安定化
を達成するための態様について説明する。これは、前述
の第1目的を達成するための上記各実施例に対しても適
用されるものであり、それによって本発明の諸目的が達
成されるのである。
【0083】ヒータ22がインクに直接に接触する形態
のヘッドでは、インクに対する熱エネルギの作用効率が
極めて高いために、エッジ部などヒータ上のある部分に
おいて発泡の核が生じ、本発明にとって極めて望ましい
膜沸騰が生起される前に当該核が中心となった核沸騰が
生じてしまうおそれがなくはない。
【0084】そこで、上述のようにヒータ22に電気パ
ルスを印加する場合、まず、気泡が生起しない程度にイ
ンクを加熱する第1のパルスが印加され、次に気泡を生
起するための第2パルスを印加するようにする。
【0085】図9(a)〜(d)は、それぞれ上記第1
パルスの例を示す波形図である。
【0086】図9(a)は、上記第1パルスとしての単
一の比較的長いパルスを示し、図9(b)は断続的な複
数の短パルスを示す。すなわち、本発明を構成する第1
パルスは、単一のパルスであってもよいし断続的な複数
のパルスであっても良い。また、パルスの高さ(電圧
値)が常に一定である必要はなく、例えば図9(c)や
図9(d)に示すような電圧値が変化するパルスであっ
ても良い。さらに、例えば正弦曲線状の曲線的な波形の
パルスであってもよい。
【0087】上記第2のパルスは気泡が生起するのに十
分な程度にインクを加熱するためのものであるが、その
パルスの波形は、第1パルスと同様図9(a)〜(d)
に示すようなものを設定できるが、気泡を生起させる目
的からは、図9(a)のような単一の比較的長いパルス
の方が好ましい。
【0088】なお、第1のパルスおよび第2のパルス
に、図9(b)や図9(d)に示すような断続的なパル
スを用いる場合、第1のパルスの場合は駆動周波数は小
さく、第2のパルスの場合は駆動周波数は大きく設定す
ることが好ましい。
【0089】また、第1のパルスと第2のパルスの間隔
は実質上0であっても良いし、所定の時間間隔が設けら
れていても良い。
【0090】図5を再び参照すると、以上のような構成
の予備的な加熱を行うパルスをヒータ22に印加するこ
とにより、まず、第1のパルスの印加によってヒータ2
2の周囲のインクが加熱されたその温度が上昇する。従
って、ヒータ22面上は膜沸騰が生じやすい状態となる
のである。また、ヒータ22への第2のパルスの印加に
よって気泡6が成長する際、気泡6の周囲のインクの温
度が上述のように比較的高いことにより、その粘性が比
較的小さい状態にある。これにより、第2パルスの印加
によって発生,成長する気泡6は、その成長に対するイ
ンクの抵抗が小さくなり、成長速度が大きく、また、比
較的大きな気泡となることができる。
【0091】この結果、(1)上述した気泡6の外気と
の連通がし易くなるとともに、インク滴7の吐出速度が
向上する。また、(2)気泡が大きなものとなることに
より、インク路12においてヒータ22による熱作用部
より吐出口5側にあって吐出されるべきインクは、ほぼ
インク滴7として吐出される。すなわち、気泡6が大き
く成長できることによって、吐出の際インク路10の壁
に付着して残留するインクの量が少なくなる。
【0092】上記作用(2)によれば、前述した気泡連
通吐出方式の利点の一つをより有効なものとすることが
できる。
【0093】すなわち、気泡連通吐出方式では、ヒータ
22による熱作用部より吐出口5側にあるインクは、原
理的にインク滴として吐出されるため、インク温度等の
影響を受けずに常に一定の吐出量を確保することができ
るという利点がある。しかしながら、ヒータ22の発熱
特性のばらつきや、ヒータ22の配置やインク路形状
等、インク路毎の構造上のばらつきによって、インク路
毎に、インク滴の大きさ、すなわち吐出量がばらつくこ
とがある。これに対して、上記第1および第2のパルス
によってヒータ22を駆動すれば、上述の作用(2)の
ようにインク残りが少なくなるので、相対的に上記ばら
つきも小さくなる。この結果、吐出口毎のインク吐出量
のばらつきが抑制される。
【0094】図10は、本発明の上記作用、効果を説明
する線図である。
【0095】図10において、番号1〜43で示される
各吐出口毎にそれからのインク吐出によって記録される
濃度がプロットされ、これらプロットを連ねて各曲線が
形成されている。曲線Dbt1 およびDbt2 は、本発明に
よる気泡連通吐出方式に、上記第1および第2のパルス
を印加した場合を示し、曲線D1 およびD2 は、従来の
気泡によって吐出する方式に上記第1および第2のパル
スを印加した場合を示す。そして、曲線Dbt1 およびD
1 は、平均インク滴量Vd=35plで50%網点画像
を記録した場合を示し、曲線Dbt2 およびD2は平均イ
ンク滴量Vd=10plでベタ記録を行った場合を示
す。
【0096】これら線図から容易に理解されるように、
本発明によれば(曲線Dbt1 ,Dbt2 )、吐出口毎の吐
出量、従って記録濃度のばらつきは小さくなる。例え
ば、従来の方式において予備加熱を伴うパルスを印加し
た場合の曲線D1 は、その記録濃度のばらつきを表わす
標準偏差σが0.031であるのに対し、本発明による
曲線Dbt1 の場合、σは0.012と小さくなる。
【0097】上述した本発明の作用、効果以外に、本発
明によれば以下に示すような効果を得ることもできる。
【0098】すなわち、図11(a)〜(c)にそれぞ
れ示すように、同一の体積のインク滴を吐出するのに、
図11(a)に示す例の場合、単一パルスでは、総パル
ス幅が3.0μsecであるのに対し、本発明の予備加
熱を伴うパルスの場合、その総パルス幅は2.4μse
cとなる(電圧は双方とも等しい)。
【0099】詳しく述べると、図11(b)は、図11
(a)に比べて予備加熱用パルス幅を増加し、その分、
休止時間を長くし、パルス数を減じて、気泡形成用パル
ス幅を長くしたパルスシリーズを示している。この場合
も単一パルスの場合、その幅が3μsecの例に対し
て、(1.7+0.5×2)=2.7μsecとなって
いる。図11(c)は、7μsecの例に対して、0.
4μsecのパルスを休止時間1.2μsecを介し
て、5発供給した後、気泡形成用パルス幅を4.0μs
ec与えたパルスシリーズを示している。この場合も、
(4.0+0.4×5)=6.0μsecと短くなって
いる。これらの例でわかるように、予備加熱パルスは、
0.5μsecであると休止時間もわずかとなり、駆動
周期を大きくすることなく、高周波駆動も達成できる。
【0100】このように、本発明の予備加熱を伴うパル
スによってヒータを駆動した場合、総電力が少なくて済
むことになる。
【0101】以下、上述したインクジェット記録方式の
具体的実施例について説明する。
【0102】図12は上記実施例にかかる記録ヘッドを
用いて構成したインクジェット記録装置の実施例の要部
を示す概略斜視図である。
【0103】図12において、記録ヘッド101は、紙
等の記録媒体(以下記録紙という)107と対向する面
に、記録紙107の搬送方向に複数個のインク吐出口
(不図示)を具える。また、記録ヘッド101には、複
数の吐出口それぞれに連通して液路(不図示)が設けら
れ、それぞれの液路に対応して、記録ヘッド101を構
成する基板にインク吐出のために利用される熱エネルギ
を作用するヒータが形成されている。ヒータに対応する
電気熱変換素子は、上述のように記録データに応じてこ
れに印加される電気パルスによって熱を発生し、これに
より、インクに沸騰膜を生じこの沸騰膜による気泡の生
成に伴なって上記吐出口からインクが吐出される。各液
路には、これらに共通に連通する共通液室が設けられて
おり、これに貯留されるインクは、各インク路での吐出
動作に応じてそのインク路に供給される。また、この記
録ヘッドは、その適宜の部位に上述のように適宜の加熱
手段が設けられたものである。
【0104】キャリッジ102は、記録ヘッド101を
搭載し、また、記録紙107の記録面と平行に延在する
1対のガイドレール103と摺動可能に係合する。これ
により、記録ヘッド101は、ガイドレール103に沿
って移動することができ、この移動に伴なって所定のタ
イミングで上記記録面に向けてインクを吐出することに
より記録を行う。上記移動の後、記録紙107を、図中
矢印方向に所定量搬送し、再び上記移動を行い記録を行
う。このような動作を繰り返すことにより、記録紙10
7に、順次記録を行っていく。
【0105】上述した記録紙107の搬送は、その記録
面の上下にそれぞれ配設された各々一対の搬送ローラ1
04および105が回転することによって行われる。ま
た、記録紙107の記録面の裏側には、記録面の平面性
を保つためのプラテン106が配設されている。
【0106】なお、上述したキャリッジ102の移動
は、これに取付けられる不図示の例えばベルトがモータ
によって駆動されることによって可能となり、また、搬
送ローラ104および105の回転も同様にモータの回
転がこれらに伝達されることによって可能となる。
【0107】図13は、図12に示したインクジェット
記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【0108】図13において、CPU200はこの装置
各部動作の制御処理やデータ処理等を実行する。ROM
200Aには、その処理手順等が格納される他、図9,
図5にて説明したような、膜沸騰による気泡(バブル)
形成が生じないような第1駆動パルス、および第2駆動
パルスによる膜沸騰発生後、気泡の大気連通前にヒータ
による熱の作用が終了するような当該第2駆動パルスに
係るデータが格納される。また、RAM200Bは上記
処理実行のワークエリアとして用いられる。
【0109】記録ヘッド101におけるインク吐出は、
CPU200がヒータを駆動するための記録データおよ
び駆動制御信号をヘッドドライバ101Aに供給するこ
とにより行われる。また、CPU200は、上記キャリ
ッジ102を移動させるためのキャリッジモータ220
や搬送ローラ104,105を回転させるための紙送り
(P.F)モータ50の回転を、それぞれモータドライ
バ220Aおよび50Aを介して制御する。
【0110】(その他)なお、記録装置が記録できる記
録媒体の最大幅に対応した長さを有するフルラインタイ
プの記録ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。
そのような記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合
せによってその長さを満たす構成や、一体的に形成され
た1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0111】加えて、図12に示したシリアルタイプの
ものでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは
装置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続
や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在の
チップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に
一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプ
の記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0112】また、本発明の記録装置の構成として、記
録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加す
ることは本発明の効果を一層安定できるので、好ましい
ものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに
対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或
は吸引手段、電気熱変換体と別の加熱素子の組み合わせ
を用いて加熱を行う予備加熱手段、記録とは別の吐出を
行なう予備吐出手段を挙げることができる。
【0113】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば単色のインクに対応して1個の
みが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数
のインクに対応して複数個数設けられるものであっても
よい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては
黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるか
いずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色
によるフルカラーの各記録モードの少なくとも一つを備
えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0114】さらに加えて、本発明インクジェット記録
装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の
画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組
合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシ
ミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0115】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
インクに直接接触する発熱素子を有する記録ヘッドを用
いるインクジェット記録方法および装置において、エネ
ルギ効率を高めつつ、発熱素子の耐久性を向上すること
ができる。また、その発熱素子のインク中の気泡形成状
態を安定化し、確実な膜沸騰を生じさせて、インク吐出
量,吐出速度などの吐出特性の安定化を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)および(b)は、本発明に適用して好適
な記録ヘッドおよびその吐出方法を説明するための記録
ヘッドの2例の要部断面図である。
【図2】本発明に適用される吐出方法における気泡内圧
力および気泡体積の変化を示す線図である。
【図3】同じく気泡内圧力、気泡体積および気泡膨張速
度の変化を示す線図である。
【図4】同じく気泡内圧力、気泡体積および気泡膨張速
度の変化を示す線図である。
【図5】(a)〜(e)は本発明の一実施例による記録
ヘッドを用いて記録を行うインクジェット記録方法を説
明するための説明図である。
【図6】(a)および(b)は、それぞれ、本発明の一
実施例による記録ヘッドを模式的に示す分解斜視図およ
び平面図である。
【図7】(a)および(b)は、それぞれ、本発明の他
の実施例として用いた記録ヘッドの模式的側断面図およ
び平面図である。
【図8】(a)および(b)は本発明に適用される直接
インクに接触する形態のヒータ構成の2例を示す説明図
である。
【図9】(a)〜(d)は本発明におけるヒータ駆動を
説明するための駆動パルスの4例を示す波形図である。
【図10】本発明の作用,効果を説明するための線図で
ある。
【図11】(a)〜(c)は本発明のさらなる効果を説
明するためのヒータ駆動パルスの波形図である。
【図12】本発明の上記各実施例を実施可能なインクジ
ェット記録装置の概略斜視図である。
【図13】図12に示した装置の制御構成の一例を示す
ブロック図である。
【符号の説明】
1 基板 2,22 ヒータ 4 天板 5 吐出口 6 気泡 7 インク滴 10 液路 101 記録ヘッド 200 CPU 200A ROM 200B RAM
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮川 昌士 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 大熊 典夫 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 滝沢 吉久 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 中島 一浩 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 乾 利治 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 城田 勝浩 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを吐出させるための吐出口と、該
    吐出口に連通する液路と、該液路に配置されて前記液路
    内に供給されたインクに直接接触し、通電に応じて前記
    吐出口から吐出を行わせるための熱エネルギを作用する
    発熱素子とを具備した記録ヘッドを用い、前記発熱素子
    による熱エネルギの作用に伴ってインク中に生起された
    バブルを前記吐出口より外気と連通させてインク吐出を
    行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 【請求項2】 前記連通時に前記液路が前記バブルで遮
    断されないことを特徴とする請求項1に記載のインクジ
    ェット記録方法。
  3. 【請求項3】 前記連通時は、前記バブルの内圧が外気
    圧以下の条件で前記バブルを外気と連通させるものであ
    ることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジ
    ェット記録方法。
  4. 【請求項4】 前記バブルの吐出方向先端部の移動速度
    の加速度が正でない条件で前記バブルを外気と連通させ
    ることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載
    のインクジェット記録方法。
  5. 【請求項5】 前記発熱素子の吐出口側端部と前記バブ
    ルの吐出口側端部との距離Laが前記発熱素子の前記吐
    出口とは反対側の端部と前記バブルの前記吐出口とは反
    対側の端部との距離Lbに対して、La/Lb≧1なる
    条件下で前記発熱素子によりインク中に生起されたバブ
    ルを前記吐出口より外気と連通させるものであることを
    特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のインク
    ジェット記録方法。
  6. 【請求項6】 インクを吐出させるための吐出口と、該
    吐出口に連通する液路と、該液路に配置されて前記液路
    内に供給されたインクに直接接触し、通電に応じて前記
    吐出口から吐出を行わせるための熱エネルギを作用する
    発熱素子とを具備した記録ヘッドと、 前記発熱素子に対して、バブルを形成しない程度の第1
    駆動信号と膜沸騰によるバブルを形成する第2駆動信号
    とを、この順に間隔をおいて与える駆動手段とを具えた
    ことを特徴とするインクジェット記録装置。
  7. 【請求項7】 前記第2駆動信号の供給に応じた前記発
    熱素子による熱エネルギの作用に伴ってインク中にバブ
    ルを生起させ、該バブルを前記吐出口より外気と連通さ
    せてインク吐出を行うようにしたことを特徴とする請求
    項6に記載のインクジェット記録装置。
  8. 【請求項8】 前記連通時に前記液路が前記バブルで遮
    断されないことを特徴とする請求項6または7に記載の
    インクジェット記録装置。
  9. 【請求項9】 前記連通時は、前記バブルの内圧が外気
    圧以下の条件で前記バブルを外気と連通させるものであ
    ることを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載
    のインクジェット記録装置。
  10. 【請求項10】 前記バブルの吐出方向先端部の移動速
    度の加速度が正でない条件で前記バブルを外気と連通さ
    せることを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記
    載のインクジェット記録装置。
  11. 【請求項11】 前記発熱素子の吐出口側端部と前記バ
    ブルの吐出口側端部との距離Laが前記発熱素子の前記
    吐出口とは反対側の端部と前記バブルの前記吐出口とは
    反対側の端部との距離Lbに対して、La/Lb≧1な
    る条件下で前記発熱素子によりインク中に生起されたバ
    ブルを前記吐出口より外気と連通させるものであること
    を特徴とする請求項6ないし10のいずれかに記載のイ
    ンクジェット記録装置。
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JP3281617A Pending JPH05116308A (ja) 1991-10-28 1991-10-28 インクジエツト記録方法およびインクジエツト記録装置

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JP (1) JPH05116308A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07227967A (ja) * 1994-02-18 1995-08-29 Hitachi Koki Co Ltd インク噴射記録装置

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JPH07227967A (ja) * 1994-02-18 1995-08-29 Hitachi Koki Co Ltd インク噴射記録装置

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