JPH07195697A - インクジェット記録ヘッド,インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド,インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置

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JPH07195697A
JPH07195697A JP5354499A JP35449993A JPH07195697A JP H07195697 A JPH07195697 A JP H07195697A JP 5354499 A JP5354499 A JP 5354499A JP 35449993 A JP35449993 A JP 35449993A JP H07195697 A JPH07195697 A JP H07195697A
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ink
bubble
thermal energy
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jet recording
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JP5354499A
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Toshiji Inui
利治 乾
Genji Inada
源次 稲田
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Canon Inc
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2/14016Structure of bubble jet print heads
    • B41J2002/14169Bubble vented to the ambience

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  • Ink Jet (AREA)
  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 インク中に形成した気泡を外気に連通させて
インク吐出を行う記録方式において、インク滴の形成を
より一層安定化でき、より高画質な画像形成を達成でき
るインクジェット記録ヘッド,インクジェット記録方
法,およびインクジェット記録装置を提供すること。 【構成】 熱エネルギー供給手段に対向する位置に、イ
ンクの一部を吐出させるための吐出口を備え、前記熱エ
ネルギー供給手段と前記吐出口との間の距離H、液路の
高さH、前記熱エネルギー供給手段の中心と前記液路の
終端部との間の距離Lとが、0.1≦Lh/H2 ≦10
を満たすように設定した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱エネルギーを利用し
て、インク液滴を紙、樹脂シート、布等の記録材に対し
て飛翔させて記録を行なうためのインクジェット記録ヘ
ッド,インクジェット記録方法,及びインクジェット記
録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液体、あるいは加熱により溶融可能な固
体の記録媒体(インク)を、熱エネルギーを利用して被
記録材に付着させて画像形成を行なうインクジェット記
録方法は、高速記録が可能であり、また比較的記録品位
も高く、低騒音であるという利点を有している。さら
に、この記録方法は、カラー画像記録が比較的容易であ
って、普通紙等にも記録でき、さらに記録装置を小型化
し易いといった多くの優れた利点を有している。
【0003】このようなインクジェット記録方法に用い
る記録装置には、一般に、インクを飛翔インク滴として
吐出させるための吐出口と、この吐出口に連通するイン
ク路とこのインク路の一部に設けられインク路内のイン
クに吐出のための吐出エネルギーを与えるエネルギー発
生手段と、を有する記録ヘッドが備えられる。例えば、
特公昭61−59911号、特公昭61−59912
号、特公昭61−59913号、特公昭61−5991
4号の各公報には、エネルギー発生手段として電気熱変
換体を用い、電気パルス印加によってこれが発生する熱
エネルギーをインクに作用させて、インクを吐出させる
方法が開示されている。
【0004】すなわち、上記各公報に開示されている記
録方法は、熱エネルギーの作用を受けたインクが急峻な
体積の増大を伴なう状態変化を起こし、この状態変化に
基づく膜沸騰領域の気泡の主として成長と収縮により、
インクジェット記録ヘッド先端の吐出口よりインクを吐
出し、この吐出するインク滴が被記録媒体に付着して画
像形成を行なうものである。この記録方法によれば、記
録ヘッドにおける吐出口を高密度に配設することができ
るので、高解像度、高品質の画像を高速で記録すること
ができ、また、この記録方法を用いた記録装置は、複写
機、プリンタ、ファクシミリなどにおける情報出力手段
として用いることができる。
【0005】他方、熱エネルギーを使用するものの、実
現条件が不明なインクジェット記録方法としては、特開
昭54−161935号公報に記載される方法がある。
この公報に開示されている記録方法では、円筒状発熱体
によって液室内のインクをガス化(核沸騰によると思わ
れる)させ、このガスをインク滴と共にインク吐出口よ
り吐出させる。この記録方法によれば、ガスを微小滴状
に噴出させてしまい、画質は不良となる。また、このガ
スの噴出によって、ガス化したインクがスプラッシュや
ミストなどを生じ、その結果、記録紙の地汚れや記録装
置内の汚れの原因となることがあった。
【0006】また、例えば、特開昭61−197246
号公報には、従来の熱エネルギーを用いたインクジェッ
ト記録方法を変形させた方法を用いる熱転写的記録装置
に関する記載がある。この装置は、単発的なインク吐出
であり、加えて記録媒体と発熱素子とを完全に密着させ
ることが困難であるため、従来の吐出口を有する記録ヘ
ッドを用いたインクジェット記録方法に比べ、熱効率が
低下しやすく高速記録に適さないといった問題がある。
【0007】
【背景技術】以上説明したようなインクジェット記録方
式の問題点を解決するため、本出願人は吐出のためにイ
ンクを加熱することにより生成される膜沸騰による気泡
を吐出口近傍で外気に連通させて吐出を行うインクジェ
ット記録方式(以下、この方式を連通吐出方式とも言
う)について提案した(特願平2−112832号,特
願平2−112833号,特願平2−112834号,
特願平2−114472号,特願平3−169962
号)。
【0008】上記連通吐出方式によれば、気泡を形成し
ているガスが、吐出されるインク滴と共に噴出されるこ
とはないので、スプラッシュやミストなどの発生を低減
し、被記録媒体上の地汚れや装置内の汚れを防ぐことが
できる。
【0009】また、上記連通吐出方式の基本的な作用と
して、気泡が生成される部位より吐出口側にあるインク
は原理的に全てインク滴となって吐出されるということ
がある。このため、吐出インク量は、吐出口から上記気
泡生成部位までの距離等、記録ヘッドの構造によって定
めることができる。この結果、上記連通吐出方式によれ
ば、インク温度の変化等の影響をそれ程受けずに、吐出
量の安定したインク吐出を行うことが可能となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところが、熱エネルギ
ー発生手段としての発熱部と吐出口とが対向する構成を
前提とした場合、記録ヘッドの構造によっては、インク
中形成した気泡が効率よく外気と連通せずに、吐出特性
を変化させてしまう場合があった。
【0011】本発明の目的は、インク中に形成した気泡
を外気に連通させてインク吐出を行う記録方式におい
て、インク滴の形成をより一層安定化でき、より高画質
な画像形成を達成できるインクジェット記録ヘッド,イ
ンクジェット記録方法,およびインクジェット記録装置
を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
記録ヘッドは、インク供給源からインクの供給を受ける
ために該供給源に連通している液路と、該液路内のイン
クに熱エネルギーを与えて核沸騰を急激に越える温度上
昇により気泡を生成させるための熱エネルギー供給手段
と、該熱エネルギー供給手段に対向して設けられ前記イ
ンクを吐出させるための吐出口とを備え、前記気泡を前
記吐出口において外気と連通させてインク吐出を行うイ
ンクジェット記録ヘッドにおいて、前記熱エネルギー供
給手段と前記吐出口との間の距離をH、前記液路の高さ
をh、前記熱エネルギー供給手段の中心と前記液路の終
端部との間の距離をLとしたときに、0.1≦Lh/H
2≦10を満たすことを特徴とする。
【0013】本発明のインクジェット記録方法は、イン
ク供給源からインクの供給を受けるために該供給源に連
通している液路と、該液路内のインクに熱エネルギーを
与えて核沸騰を急激に越える温度上昇により気泡を生成
させるための熱エネルギー供給手段と、該熱エネルギー
供給手段に対向して設けられ前記インクを吐出させるた
めの吐出口とを備え、前記熱エネルギー供給手段と前記
吐出口との間の距離をH、前記液路の高さをh、前記熱
エネルギー供給手段の中心と前記液路の終端部との間の
距離をLとしたときに、0.1≦Lh/H2 ≦10を満
たすインクジェット記録ヘッドを用い、前記熱エネルギ
ー供給手段により前記インクに熱エネルギーを与えて該
インクに核沸騰を急激に超える温度上昇により気泡を生
成させ、該気泡を外気と連通させるとともに前記吐出口
近傍のインクの少なくとも一部を吐出させることを特徴
とする。
【0014】また、気泡を外気と連通する状態をより安
定させるための条件としては、第1に前記連通時に、前
記気泡によって前記液路を遮断しないことを特徴とする
こと、第2に前記連通時は、前記気泡の内圧が外気圧以
下の条件で前記気泡を外気と連通させることで、第3に
前記連通時は、前記気泡の吐出方向先端部の移動速度の
加速度が正でない条件で上記気泡を外気と連通させるこ
との少なくとも1つを挙げることができる。
【0015】また、本発明のインクジェット記録装置
は、前記のインクジェット記録ヘッドと、該インクジェ
ット記録ヘッドと記録媒体とを相対的に移動させる手段
と、前記熱エネルギー供給手段を駆動させる手段と、を
具えたことを特徴とする。
【0016】
【作用】本発明は、熱エネルギー供給手段と吐出口とが
対向する連通吐出方式の構成において、前記熱エネルギ
ー供給手段と前記吐出口との間の距離H、液路の高さ
H、前記熱エネルギー供給手段の中心と前記液路の終端
部との間の距離Lとが、0.1≦Lh/H2 ≦10を満
たすように設定することによって、気泡を外気と連通さ
せてインク滴を吐出させる際に、複雑な構成を必要とす
ることなく、環境等で気泡の形成が変化しても適正なイ
ンク滴の吐出を達成し、そして、画質を安定化させて、
画像乱れのない高品位な記録画像を実現する。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0018】図1(a),(b)は、本発明の前提とな
る連通吐出方式、つまり熱エネルギー発生手段と吐出口
とが対向する構成を前提とした連通吐出方式による記録
原理の説明図である。
【0019】図1(a)はインクジェット記録ヘッドの
要部の断面図であり、同図において、基板1上には発熱
抵抗層(熱エネルギー供給手段)2が備えられ、その基
板1上に装着されるオリフィスプレートOPによって、
インクの共通液室Cに連通しかつ屈曲する液路Bと、吐
出口5が形成されている。発熱抵抗層2と吐出口5は対
向している。そして、発熱抵抗層2は、記録信号に応じ
た電極信号(パルス信号)が供給されることにより、液
路B内のインク(斜線を付して示す)に膜沸騰を生じさ
せる急激な温度上昇を短時間のうちに生じて(300℃
以上)、気泡(バブル)6を生成せしめる。その気泡6
は成長して、オリフィスプレートOPの厚み部分のイン
クを押しやり、その部分のインクを希薄にする。その
後、気泡6は、吐出口5の外気側周縁A1における吐出
口近傍領域A2にて大気(外気)と連通する。このよう
な連通状態によれば、スプラッシュすることなく、また
霧(ミスト)状のインク滴も発生せずに、図1(a)中
の破線で示すような安定したインク液滴7を吐出口5の
中心部から吐出することができる。この時、気泡6の成
長は、液路Bを遮断するものではないので、吐出方向へ
向かう必要のないインクを、液路B内のインクと連続し
た集合体として残すことができ、この結果、インク液滴
7の吐出量の安定化及び吐出速度の安定化が実現でき
る。また、膜沸騰のうち、特に300℃以上の安定化域
を利用して、気泡6を吐出口5の近傍において急激にし
かも確実に発生させることができるので、非遮断状態と
なる液路Bのリフィル性と相俟って高安定かつ高速記録
を達成することができる。
【0020】図1(b)は、同図(a)における断面位
置を液路Bの幅方向(紙面の表示方向)にずらして示す
断面図である。図1(b)からも分かるように、液路B
中のインク(斜線を付して示す)は、インク液滴7に対
して連通しており、気泡6の中央部分が吐出口5の近傍
で大気と連通する際に、気泡6の中央からはずれた位置
において液滴7と液路B内のインクとが連通状態を保っ
ていることが理解されよう。6Wは、気泡の端部の形状
を示している。
【0021】上記図1のインクジェット記録ヘッドにお
いて、より一層好ましい液滴形成を達成するための条件
を以下に挙げる。
【0022】第1条件は、バブルbの内圧が外気圧より
低い条件でバブル6を外気と連通させることである。
【0023】すなわち、バブル6の内圧が外気圧より低
い条件でバブル6を外気と連通させることは、バブル6
の内圧が外気圧より高い条件で連通させる場合に生じる
問題、つまり吐出口5近傍の不安定なインクを飛散させ
るという問題がなく、また更に、それらの圧力が等しい
場合よりも、その吐出口5の近傍の不安定なインクを液
路B内に引き込む力がわずかではあるが働くため、より
一層安定したインクの吐出の実現と、不要インクの飛散
防止を図ることができる。
【0024】第2条件は、吐出口5の先端におけるバブ
ル6の移動速度の1次微分値が負となる条件でバブル5
と外気とを連通させることである。この第2条件は、上
記第1条件の別表現でもあり、バブル6の膨張速度の1
次微分が負となるときに、バブル6と外気とを連通させ
ることにより、バブル6の内圧が外気圧よりも低い条件
で連通することになる。この第2条件によれば、バブル
6と外気との連通時に、その連通部近傍のインクがイン
クを吐出するために過度に加速度を受けることによる問
題、つまりその連通部近傍のインクが主インク滴と分離
してしまうといった問題を解決することもできる。上記
分離が生じた場合、その近傍のインクがスプラッシュ状
に飛び散ったり、ミストとなって飛散することが顕著と
なり、しかも高密度に吐出口5を配置した場合では、吐
出口面へのインクの付着による吐出不良を招くことがあ
るが、これを上記第2条件によって解決することができ
る。
【0025】図2(a),(b)は、本発明が適用され
ているインクジェット記録ヘッドの部分構造を開示する
もので、5は断面円形の吐出口、12はインク供給路
(以下、「液路」ともいう)、2は略正方形の発熱抵抗
部の発熱部(熱エネルギー供給手段)である。1は絶縁
基板であり、その表面に発熱抵抗部を有している。イン
ク供給路12は、発熱部2(以下、「ヒータ」ともい
う)の位置にて屈曲しており、発熱部2と吐出口5とは
対向している。8は、インク供給路12と吐出口5を形
成するオリフィスプレートである。また、そのオリフィ
スプレート8は、インク供給路12に連通する共通液室
10をも形成している。
【0026】ヒータ2にて生起したインク中の気泡(バ
ブル)を吐出口5より外気と連通させて、後述するよう
にインクを吐出させるためには、ヒータ2の大きさや、
吐出口5とヒータ2との間の距離、液路12の幅や長さ
や高さ、吐出口5の大きさ等の条件を考慮して適宜設定
すれば良い。特に、ヒータ2にて生起したバブルを効率
良く吐出口5より外気と連通させ、且つ本記録方式の特
長の一つであるところの吐出するインク滴の大きさ(体
積)を一定にするためには、後述するように、前記した
諸条件の中でも、吐出口5とヒータ2との間の距離H
と、液路12の高さhと、液路12の長さLとの関係が
重要である。
【0027】すなわち、バブル6を外気に連通させてイ
ンク吐出を行う連通吐出方式の場合には、特に、次のよ
うな機能の安定化が要求される。
【0028】インクの吐出方向の安定化 バブル6の成長の安定化 インクの連続吐出の安定化 吐出口5とヒータ2との間の距離Hと、液路12の高さ
hは、特に、上記,の安定化に大きな影響を及ぼ
す。すなわち、バブル6が外気を連通してインク液滴7
が吐出する際には、図3に示すように、吐出口5内にお
ける液滴7の基端部分にはメニスカスが生じ、そのメニ
スカスの高さは、液路12側の方がその反対側よりも高
くなる。したがって、前者側のメニスカスの部分M1
液滴7を引く力F1 は、後者側のメニスカスの部分M2
が液滴7を引く力F2 よりも大きくなり、それらの力F
1 ,F2 の差が大きい場合には、液滴7が吐出方向が矢
印D方向に傾いて、上記のインクの吐出方向の安定化
と、のバブル6の成長の安定化が損なわれることにな
る。メニスカスの部分M1 ,M2 の高低差、つまり力F
1 ,F2 の差は、吐出口5とヒータ2との間の距離H
と、液路12の高さhとの比h/Hに応じて変化する。
【0029】一方、液路12の長さLと距離Hは、特
に、上記の安定化に大きな影響を及ぼす。すなわち、
長さLは、共通液室10との境の終端部から、ヒータ2
の中心、つまりバブル6の発生中心となる発泡点Pまで
の間の液路12の長さであり、また、距離Hは、発泡点
Pから吐出口5までの間の長さであり、前者の長さLに
相当する液路12の部分12Aを通して発泡点Pにイン
クが供給され、後者の距離Hに相当する液路12の部分
12Bを通して発泡点からインクが吐出することにな
る。そして、両者の部分12A,12Bにおけるインク
の流路抵抗大きさの関係は、インクのリフィル性、つま
りインクの連続吐出の安定性に大きく影響することにな
る。両者の部分12A,12Bの流路抵抗は、長さLと
距離Hに応じて変化するため、結局、それらの比L/H
が上記のインクの連続吐出の安定化に特に大きな影響
を及ぼすことになる。
【0030】そこで、本発明では、H,h,Lの値を下
式(1)の関係を満たすように設定した。
【0031】
【数1】
【0032】つまり、0.1≦Lh/H2 ≦10の関係
を満たすように構成した。
【0033】上記の関係式を満たさない場合、例えば、
Lh/H2 <0.1の場合、つまりHが比較的大きくか
つhとLが比較的小さい場合は、ヒータ2で生起したバ
ルブ6を効率良く吐出口5より外気と連通させてインク
を吐出させることが困難となり、ヒータ2で生起したバ
ブル6が液路12の方向へも成長しやすくなって、バブ
ル6を効率的に外気と連通させることが難しくなる。ま
た、バブル6が外気と連通した後に、吐出口5とヒータ
2との間にインク残りが生じる場合があり、インク滴7
の大きさが不安定となる。
【0034】さらに、Lh/H2 >10の場合、つまり
Hが比較的小さくかつhとLが比較的大きい場合は、実
質的に液路12の長さLが長くなり、インク吐出後のイ
ンクのリフィルに長い時間を要することになって、高い
周波数で記録ヘッドを駆動することが困難となる。
【0035】上記関係式において、より好ましい範囲は
0.3≦Lh/H2 ≦7であって、この範囲であれば、
バブル6を効率良く吐出口5より外気と連通させてイン
ク液滴7を吐出させることができて、吐出口5の近傍
に、実質的にインク残りを生じさせずに、特に微小なイ
ンク液滴7の体積を常に安定化させることができる。し
かも、実用的な高い周波数で記録ヘッドを駆動すること
が可能となる。
【0036】さらに好ましい範囲は、0.5≦Lh/H
2 ≦5であって、この範囲であれば、インクのリフィル
性を向上させると共にバブル6の成長を液路12側では
なく確実に吐出口5側に向かわせることができて、他の
不安定要素があっても、極めて安定した記録を行なうこ
とが可能となる。したがって、特に、吐出口5が多数隣
接して形成されるいわゆるマルチノズルの場合に、それ
らの吐出口5の内径精度のバラツキや液路12の幅精度
のバラツキの影響を小さく抑えることができる。
【0037】下表1は、本発明の効果を説明するための
実験例を示す。
【0038】
【表1】
【0039】表1において、長さの単位はμmであり、
実験例1〜5では、吐出周波数を4KHz,駆動パルス
を3μsecとし、また実験例1,3,6,7では、吐
出口5の内径B(図2(b)参照)と液路12の幅b
(同図2(b)参照)を共に30μmとし、他の実験例
2,4,5では、それらの内径Bと幅bを共に50μm
とした。実験の結果は、本発明の関係式(1)の条件を
満足する実験例1〜3では良好であるが、実験例4,5
では、この条件から外れているために、安定したインク
吐出ができなかった。
【0040】ところで、吐出口5の内径Bと液路12の
幅bは、前述した,,の安定化に対して、さほど
大きな影響はない。それは、液路12の部分12Bにお
いては、インクの吐出圧によって吐出口5の内周面に生
じる反力が互いに相殺し合い、また、液路12の部分1
2Aにおいては、インクの吐出圧によってその部分12
Aの内側面に生じる反力が互いに相殺し合うと考えられ
るからである。
【0041】しかし、環境温度の変化が大きい場合に
は、インクの大きな粘性変化によって、安定したインク
吐出が阻害されることも考えられるため、上記Bとbの
比b/Bを考慮して、H,h,Lの値を下式(2)の関
係式を満たすように設定することが望ましい。
【0042】
【数2】
【0043】なお、上式(1)における下限値0.1と
上限値10は、前述した実施例の場合と同様に、より好
ましくは0.3と7とすることが良く、さらには0.5
と5とすることが望ましい。
【0044】図4は、吐出口5を多数接近させて形成し
た場合の好適な構成例を示す。吐出口5を多数接近させ
た場合には、インクの吐出圧によって生じるいわゆるバ
ック波、つまりインク吐出時に液路12から共通液室1
0に伝わる圧力変動は、隣接する他の液路12内に伝わ
って、インク液滴の安定した吐出に悪影響を及ぼすおそ
れがある。そこで、この図4のように、吐出口5をいわ
ゆる千鳥状に配置して、液路12を同図中の上下にずら
した。この結果、吐出口5の高密度な配置が可能とな
る。
【0045】図5(a)〜(e)は、バブル6の内圧と
体積の時間変化の説明図である。バブル6が外気と連通
するときには、インクのミストやスプラッシュによる記
録紙や装置内の汚れを防止する上において、バブルの内
圧が外気圧より低い条件でバブルを外気と連通させるこ
とが好ましい。
【0046】この条件を満足させるためには、図5
(a)中のt≧t1の時刻においてバブル6と外気とを
連通させれば良い。実際には、バブル6の成長にともな
ってインクが吐出されてしまうため、バブル6の内圧又
は体積と時間との関係のグラフは図5(b)に示される
ようになる。すなわち、図5(b)においてt=tb
(t1≦tb)の時刻でバブルを外気と連通させればよ
い。
【0047】この条件でインク液滴7を吐出させるとバ
ブル6の内圧が外気圧より高い条件でバブル6を外気と
連通させて液滴を吐出させる(ガスが大気中に噴出す
る)場合に比べ、前述したようにインクのミストやスプ
ラッシュによる記録紙や装置内の汚れを防止できる。ま
た、バブル6の体積が増大してからバブル6を外気と連
通させるのでインクに対して十分な運動エネルギーを伝
達することができ、吐出速度が大きくなるという効果が
得られる。また、バブル6の内圧が外気圧より低い条件
でバブル6を外気と連通させることは上記効果をより顕
著なものにすることができるという点においてより望ま
しい。
【0048】すなわち、バブル6の内圧が外気圧より低
い条件でバブル6を外気と連通させることはバブル6の
内圧が外気圧より高い条件で連通させる場合に生じてい
た吐出口近傍の不安定な液体を飛散させる事がなく、ま
た更には、該圧力が等しい場合よりもその不安定な液体
に液路内に引き込む力がわずかではあるが働くため、よ
り一層安定した液体の吐出と不要液体の飛散防止を図る
ことができる。
【0049】次に、バブルの内圧と外気圧との関係を測
定する方法について説明する。
【0050】バブルの内圧と外気圧との大小関係は、直
接バブル内の圧力を測定することは難しいので以下に示
す方法によって、あるいは、それら方法を適宜組み合わ
せることによって知ることができる。先ず、バブルの体
積、または吐出口より外側にあるインクの体積の時間変
化を測定することによって、バブルの内圧と外気圧との
大小関係を知る方法について説明する。
【0051】インクが発泡を開始してからバブルが外気
と連通するまでの時間におけるバブルの体積Vを測定
し、Vの二次微分d2V/dt2を求めることによって
バブルの内圧と外圧との大小関係を知ることができる。
すなわち、d2V/dt2>0であればバブルの内圧は
外圧よりも高く、d2V/dt2≦0であればバブルの
内圧は外圧以下である。図5(c)で説明すると、発泡
開始t=t0よりt=t1まではバブルの内圧は外気圧
よりも高くd2V/dt2>0となり、t=t1よりバ
ブルが外気と連通するまでの時間t=tbまではバブル
の内圧は外気圧以下であり、d2V/dt2≦0とな
る。以上のようにVの二次微分d2V/dt2を求める
ことでバブルの内圧と外気圧との大小関係を知ることが
できる。
【0052】なお、この場合、バブルが記録ヘッドの外
側から見えることが必要である。記録ヘッドの外側から
バブルを観察するためには、記録ヘッドの一部が透明な
部材で形成され、バブルの発泡、成長等が記録ヘッドの
外部から観察できるような構成であることが望ましい。
記録ヘッドの構成部材が非透明である場合には、例え
ば、記録ヘッドの天板等を透明な部材に置き換えればよ
い。このとき、置き換えられる部材と置き換える部材の
硬度、弾性度等は極力同じに選ぶのが望ましい。
【0053】構成部材の置き換えとしては、記録ヘッド
の天板が例えば金属、不透明なセラミックあるいは着色
されたプラスチックの場合は、透明なプラスチック(一
例としては透明アクリル)、ガラス等に変更すればよい
が、もちろん置き換え場所とそれに用いられる材料は上
記した場所および材料に限られるものではない。
【0054】しかしながら、このとき部材の物性の違い
による発泡特性の違いを回避するためにできるだけイン
クに対する濡れ性などの物性が元の部材に近いものを選
ぶことが望ましい。元の部材のものと同等の発泡状態で
あるかどうかは、吐出させてその吐出速度や吐出体積が
元の状態と同じかどうかを見ることによって確認するこ
とができる。予め透明な部材で構成されている場合は以
上の操作は不要である。
【0055】また、記録ヘッドの構成部材を他の部材に
置き換えなくとも、あるいは、記録ヘッドの構成上他の
部材に置き換えられない場合でも以下の方法によってバ
ブルの内圧と外圧との大小関係を知ることができる。
【0056】別の方法は発泡を開始してからインク滴が
飛翔するまでの時間において、吐出口より外側に飛び出
したインクの体積Vdを測定し、Vdの二次微分d2V
d/dt2を求めることによってバブルの内圧と外気圧
の大小関係を知ることができる。即ち、d2Vd/dt
2>0であればバブルの内圧は外気圧よりも高く、d2
Vd/dt2≦0であればバブルの内圧が外気圧以下で
ある。図5(d)はバブルの内圧が外気圧よりも高い状
態でバブルを連通したときに、吐出口より飛び出したイ
ンクの体積Vdの一次微分dVd/dtの時間変化を示
したものであるが、発泡開始t=t0よりバブルが外気
と連通するまでの時間t=taまでは、バブルの内圧は
外気圧よりも高く、d2Vd/dt2>0となる。一
方、図5(b)はバブルの内圧が外気圧以下の状態でバ
ブルを外気と連通させたときのVdの一次微分dVd/
dtの時間変化を示したものである。同図より、発泡開
始t=t0よりt=t1まではバブルの内圧は外気圧よ
りも高くd2Vd/dt2>0であるが、t=t1より
t=tbまではバブルの内圧は外気圧以下でありd2V
d/dt2≦0となる。
【0057】以上のようにVdの二次微分d2Vd/d
t2を求めることでバブルの内圧と外気圧との大小関係
を知ることができる。
【0058】吐出口より外側に存在するインクの体積V
dの測定法を説明する。吐出後各時刻における液滴の形
状は、ストロボやLED、レーザなどの光源を用いてパ
ルス光で吐出口から飛び出している液滴を照明しながら
顕微鏡で観察することによって測定することができる。
即ち、一定周波数で連続して吐出している記録ヘッドに
対して、その駆動パルスに同期してかつ所定のディレイ
時間をおいてパルス光を発光させることにより、その吐
出から所定時間後における一方向から見た液滴の投影形
状を測定できる。このときパルス光のパルス幅は測定に
十分な光量が確保できる範囲でできるだけ小さい方がよ
り正確に測定を行なうことができる。
【0059】これらの方法によって、バブルが外気に連
通する瞬間に液路側から外側に向かっての気流が観測さ
れれば、バブルの内圧が外気圧よりも高い状態で連通し
たことを示し、液路内へ流入する気流が観測されればバ
ブルの内圧が外気圧よりも低い状態で連通したことを示
す。
【0060】バブルと外気との連通時の他の条件として
は、図6に示したようにバブルの吐出口方向先端の移動
速度の一次微分値が負となる条件でバブルと外気とを連
通させる条件が好ましい。
【0061】すなわち、この条件は、バブルと外気との
連通時に連通部近傍にあるインクがインクを吐出するた
めに過度に加速度を受けるため、主インク滴と分離して
しまうことを主たる技術課題と認識したものである。こ
の分離によると、その近傍のインクがスプラッシュ状に
飛び散ったり、ミストとなって飛散することが顕著とな
り、しかも高密度の吐出口配置では吐出口面へのインク
の付着による吐出不良を招く結果となる。このような問
題が発生するのは、図6(a),(b)にそれぞれ示さ
れた曲線Aの場合であって、バブルの吐出口方向先端の
移動速度の1次微分値が正であることが確認された。
【0062】図7(a),(b)に示した曲線Bは、バ
ブルの吐出口方向先端の移動速度の1次微分値が負の条
件下で、生起されたバブルを外気と連通させて液滴を吐
出させるので、液滴の体積を常に安定化させ高品位な記
録画像を得ることができる。従って、インクミストやス
プラッシュによる記録紙の地汚れや装置内の汚れを防止
できる。
【0063】更に、インクに対してバブルの運動エネル
ギーを十分に伝達することができるので、吐出効率が高
くなり、目詰まりを解消できる。また液滴の吐出速度が
向上するため液滴の吐出方向が安定するとともに、記録
ヘッドと記録紙間の距離を広げることができ、装置設計
が容易になる。更に、生起したバブルの消泡過程がない
ため、消泡によるヒータ破壊現象が解消され、記録ヘッ
ドの寿命が向上する。
【0064】次に、本発明を実施する上で、バブルの吐
出口方向先端の移動速度、該移動速度の1次微分値を求
める方法について以下に説明する。
【0065】発泡開始後各時刻におけるバブルの吐出口
方向先端の位置は、ストロボやLED、レーザなどのパ
ルス光で記録ヘッドの天板面、あるいは側面からノズル
内に発生するバブルを照明し顕微鏡を用いて、観察する
ことができる。具体的には、図7に模式的断面図として
時系列的に示されるように、発泡開始よりバブルが外気
と連通するまでのバブルの吐出口方向先端のヒータ部の
吐出口端部からの変位量xb−nの時間変化を測定する
ことができる。該測定結果をもとに、該変位量の1次微
分dxb−n/dtを求めることにより、バブルの吐出
口方向先端の移動速度vxが求められる。次に、該移動
速度の1次微分dvx/dt(変位量の2次微分d2x
b−n/d2t)を求めることができる。
【0066】なお、この場合、バブルが記録ヘッドの外
側から見えることが必要である。記録ヘッドの外側から
バブルを観察するためには、記録ヘッドの一部が透明な
部材で形成され、バブルの発泡、成長等が記録ヘッドの
外部から観察できるような構成であることが望ましい。
記録ヘッドの構成部材が非透明である場合には、例え
ば、記録ヘッドの天板等を透明な部材に置き換えればよ
い。このとき、置き換えられる部材と置き換える部材の
硬度、弾性度等は極力同じに選ぶのが望ましい。
【0067】構成部材の置き換えとしては、記録ヘッド
の天板が例えば金属、不透明なセラミックあるいは着色
されたプラスチックの場合は、透明なプラスチック(一
例としては透明アクリル)、ガラス等に変更すればよい
が、もちろん置き換え場所とそれに用いる材料は上記し
た場所および材料に限られるものではない。
【0068】しかしながら、このとき部材の物性の違い
による発泡特性の違いを回避するためにできるだけイン
クに対する濡れ性などの物性が元の部材に近いものを選
ぶことが望ましい。元の部材のものと同等の発泡状態で
あるかどうかは、吐出させてその吐出速度や吐出体積が
元の状態と同じかどうかを見ることによって確認するこ
とができる。予め透明な部材で構成されている場合は以
上の操作は不要である。
【0069】図8は上記実施例にかかる記録ヘッドを用
いて構成したインクジェット記録装置の実施例の要部を
示す概略斜視図である。
【0070】図8において、記録ヘッド101は、紙等
の記録媒体(以下、「記録紙」という)107と対向す
る面に、記録紙107の搬送方向に複数個のインク吐出
口(不図示)を具える。記録ヘッド101は、前述した
実施例の記録ヘッドと同様の構成となっている。すなわ
ち、記録ヘッド101には、複数の吐出口それぞれに連
通して液路(不図示)が設けられ、それぞれの液路に対
応して、記録ヘッド101を構成する基板にインク吐出
のために利用される熱エネルギーを作用するヒータが形
成されている。ヒータに対応する電気熱変換素子は、記
録データに応じてこれに印加される電気パルスによって
熱を発生し、これにより、インクに沸騰膜を生じさせ、
この沸騰膜による気泡の生成に伴なって上記吐出口から
インクを吐出させる。各液路には、これらに共通に連通
する共通液室が設けられており、これに貯留されるイン
クは、各液路での吐出動作に応じてその液路に供給され
る。
【0071】キャリッジ102は、記録ヘッド101を
搭載し、また、記録紙107の記録面と平行に延在する
1対のガイドレール103と摺動可能に係合する。これ
により、記録ヘッド101は、ガイドレール103に沿
って移動することができ、この移動に伴なって、所定の
タイミングで上記記録面に向けてインクを吐出すること
により記録を行う。上記移動の後、記録紙107を、図
中矢印方向に所定量搬送し、再び上記移動を行い記録を
行う。このような動作を繰り返すことにより、記録紙1
07に、順次記録を行っていく。
【0072】上述した記録紙107の搬送は、その記録
面の上下にそれぞれ配設された各々一対の搬送ローラ1
04および105が回転することによって行われる。ま
た、記録紙107の記録面の裏側には、記録面の平面性
を保つためのプラテン106が配設されている。
【0073】なお、上述したキャリッジ102の移動
は、これに取付けられる不図示の例えばベルトがモータ
によって駆動されることによって可能となり、また、搬
送ローラ104および105の回転も同様にモータの回
転がこれらに伝達されることによって可能となる。
【0074】図9は、図8に示したインクジェット記録
装置の制御構成を示すブロック図である。
【0075】図9において、CPU200はこの装置各
部動作の制御処理やデータ処理等を実行する。ROM2
00Aには、その処理手順等が格納される。また、RA
M200Bは上記処理実行のワークエリアとして用いら
れる。
【0076】記録ヘッド101におけるインク吐出は、
CPU200がヒータを駆動するための記録データおよ
び駆動制御信号をヘッドドライバ101Aに供給するこ
とにより行われる。また、CPU200は、上記キャリ
ッジ102を移動させるためのキャリッジモータ220
や搬送ローラ104,105を回転させるための紙送り
(P.F)モータ50の回転を、それぞれモータドライ
バ220Aおよび50Aを介して制御する。
【0077】(その他)なお、本発明は、特にインクジ
ェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために
利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段
(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エ
ネルギによりインクの状態変化を生起させる方式の記録
ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすもので
ある。かかる方式によれば記録の高密度化,高精細化が
達成できるからである。
【0078】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書,同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,
コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特
に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持
されているシートや液路に対応して配置されている電気
熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急
速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加
することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せ
しめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結
果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)
内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成
長,収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐
出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信
号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が
行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐
出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信
号としては、米国特許第4463359号明細書,同第
4345262号明細書に記載されているようなものが
適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する
発明の米国特許第4313124号明細書に記載されて
いる条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことが
できる。
【0079】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口,液路,電気熱変換体
の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に
熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示す
る米国特許第4558333号明細書,米国特許第44
59600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるも
のである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通
するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示
する特開昭59−123670号公報や熱エネルギの圧
力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示す
る特開昭59−138461号公報に基いた構成として
も本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッドの
形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録
を確実に効率よく行うことができるようになるからであ
る。
【0080】さらに、記録装置が記録できる記録媒体の
最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのよう
な記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによっ
てその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の
記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0081】加えて、上例のようなシリアルタイプのも
のでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装
置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や
装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチ
ップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一
体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの
記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0082】また、本発明の記録装置の構成として、記
録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加す
ることは本発明の効果を一層安定できるので、好ましい
ものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに
対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或
は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或
はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出手段を挙げるこ
とができる。
【0083】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば単色のインクに対応して1個の
みが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数
のインクに対応して複数個数設けられるものであっても
よい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては
黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるか
いずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色
によるフルカラーの各記録モードの少なくとも一つを備
えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0084】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェ
ット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものを用いてもよ
い。加えて、熱エネルギによる昇温を、インクの固形状
態から液体状態への状態変化のエネルギとして使用せし
めることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発
を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化す
るインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギの
記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状イ
ンクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点では
すでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギの付与
によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も
本発明は適用可能である。このような場合のインクは、
特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−7
1260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部
または貫通孔に液状又は固形物として保持された状態
で、電気熱変換体に対して対向するような形態としても
よい。本発明においては、上述した各インクに対して最
も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するもので
ある。
【0085】さらに加えて、本発明インクジェット記録
装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の
画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組
合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシ
ミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0086】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、熱エネ
ルギー供給手段と吐出口とが対向する連通吐出方式の構
成において、前記熱エネルギー供給手段と前記吐出口と
の間の距離H、液路の高さH、前記熱エネルギー供給手
段の中心と前記液路の終端部との間の距離Lとが、0.
1≦Lh/H2 ≦10を満たすように設定することによ
って、気泡を外気と連通させてインク滴を吐出させる際
に、複雑な構成を必要とすることなく、環境等で気泡の
形成が変化しても適正なインク滴の吐出を達成すること
ができ、この結果、画質を安定化させて画像乱れのない
高品位な記録画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】連通吐出方式による記録原理の説明図である。
【図2】本発明の一実施例の記録ヘッドを説明する図で
ある。
【図3】図2に示す記録ヘッドの要部の拡大断面図であ
る。
【図4】本発明の他の実施例の記録ヘッドを説明する図
である。
【図5】本発明が適用されるインクジェット記録方法、
および装置の新規な具体例の説明図で、バブルの内圧と
体積の時間変化を順に説明する図である。
【図6】本発明が適用されるインクジェット記録方法、
および装置の他の新規な具体例の説明図である。
【図7】気泡の先端の単位時間当たりの変化を示す図で
ある。
【図8】本発明のインクジェット記録装置の要部の斜視
図である。
【図9】図8に示すインクジェット記録装置の制御系の
ブロック構成図である。
【符号の説明】
2 発熱抵抗層 5 吐出口 6 気泡 7 液滴 6W 端部(気泡) A 連通部 B 液路

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク供給源からインクの供給を受ける
    ために該供給源に連通している液路と、該液路内のイン
    クに熱エネルギーを与えて核沸騰を急激に越える温度上
    昇により気泡を生成させるための熱エネルギー供給手段
    と、該熱エネルギー供給手段に対向して設けられ前記イ
    ンクを吐出させるための吐出口とを備え、前記気泡を前
    記吐出口において外気と連通させてインク吐出を行うイ
    ンクジェット記録ヘッドにおいて、 前記熱エネルギー供給手段と前記吐出口との間の距離を
    H、前記液路の高さをh、前記熱エネルギー供給手段の
    中心と前記液路の終端部との間の距離をLとしたとき
    に、0.1≦Lh/H2 ≦10を満たすことを特徴とす
    るインクジェット記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 インク供給源からインクの供給を受ける
    ために該供給源に連通している液路と、該液路内のイン
    クに熱エネルギーを与えて核沸騰を急激に越える温度上
    昇により気泡を生成させるための熱エネルギー供給手段
    と、該熱エネルギー供給手段に対向して設けられ前記イ
    ンクを吐出させるための吐出口とを備え、前記熱エネル
    ギー供給手段と前記吐出口との間の距離をH、前記液路
    の高さをh、前記熱エネルギー供給手段の中心と前記液
    路の終端部との間の距離をLとしたときに、0.1≦L
    h/H2 ≦10を満たすインクジェット記録ヘッドを用
    い、 前記熱エネルギー供給手段により前記インクに熱エネル
    ギーを与えて該インクに核沸騰を急激に超える温度上昇
    により気泡を生成させ、該気泡を外気と連通させるとと
    もに前記吐出口近傍のインクの少なくとも一部を吐出さ
    せることを特徴とするインクジェット記録方法。
  3. 【請求項3】 前記連通時は、前記気泡によって前記液
    路を遮断しないことを特徴とする請求項2に記載のイン
    クジェット記録方法。
  4. 【請求項4】 前記連通時は、前記気泡の内圧が外気圧
    以下の条件で前記気泡を外気とを連通させるものである
    ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のイン
    クジェット記録方法。
  5. 【請求項5】 前記連通時は、前記気泡の吐出方向先端
    部の移動速度の加速度が正でない条件で前記気泡を外気
    と連通させるものであることを特徴とする請求項2,3
    または4いずれかに記載のインクジェット記録方法。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載のインクジェット記録ヘ
    ッドと、該インクジェット記録ヘッドと記録媒体とを相
    対的に移動させる手段と、前記熱エネルギー供給手段を
    駆動させる手段と、を具えたことを特徴とするインクジ
    ェット記録装置。
JP5354499A 1993-12-30 1993-12-30 インクジェット記録ヘッド,インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置 Pending JPH07195697A (ja)

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