JPH09136414A - インクジェット装置 - Google Patents

インクジェット装置

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JPH09136414A
JPH09136414A JP29509295A JP29509295A JPH09136414A JP H09136414 A JPH09136414 A JP H09136414A JP 29509295 A JP29509295 A JP 29509295A JP 29509295 A JP29509295 A JP 29509295A JP H09136414 A JPH09136414 A JP H09136414A
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JP
Japan
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ink
electrodes
conductive ink
boiling
pair
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JP29509295A
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English (en)
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Takuma Takasu
卓磨 鷹巣
Hideaki Horio
英明 堀尾
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電流密度を高め、沸騰気泡発生効率、さらに
はインク吐出効率を高めることで、安定したインク吐出
と少ない消費電力が達成できる、特に階調制御に適した
インクジェット装置を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明のインクジェット装置は、導電性
インクに通電を行う電極13,14の対向部分の頂点角
度を20度以上160度以下の二等辺三角形としたもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オフィス用コンピ
ュータやパーソナルコンピュータなどの出力機器である
プリンタに用いるインクジェット装置に関するものであ
り、特に導電性インクに電流を流し、加熱沸騰させ、気
泡を発生させ、その圧力によりノズルよりインク滴を吐
出させるインクジェット装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、インクジェット装置を用いたプリ
ンタは、記録時の静粛性、高速記録が可能、カラー化が
容易といった点から家庭用,オフィス用コンピュータの
出力用プリンタとして広く利用されるようになってき
た。このようなインクジェットプリンタはインクを小滴
化し飛翔させ、被印刷物に付着させて記録を行うもの
で、小滴の発生法や飛翔方向の制御法によってコンティ
ニュアス方式とオンデマンド方式に大別される。
【0003】コンティニュアス方式は、例えば米国特許
第3060429号に開示されている方式であって、イ
ンクの小滴化を静電吸引的に行い、発生した小滴を記録
信号に応じて電界制御し、被印刷物上に小滴を選択的に
付着させて記録を行うものであり、小滴の発生に高電圧
を要し、マルチノズル化が困難であるので高速記録化が
難しいという課題を有している。
【0004】オンデマンド方式は、例えば米国特許第3
4747120号に開示されている方式で、小滴を吐出
するノズル孔を有する記録ヘッドに付設されているピエ
ゾ振動素子に、電気的な記録信号を付加し、この電気記
録信号をピエゾ振動素子の機械的振動に変え、機械的振
動に従ってノズル孔より小滴を吐出させて被印刷物に付
着させることで記録を行うものであり、オンデマンドで
インクをノズル孔より吐出して記録を行うため、コンテ
ィニュアス方式のように吐出飛翔する小滴の中の画像の
記録に要さなかった小滴を回収することが不要であり、
シンプルな構成が可能である。しかしながら、記録ヘッ
ドの加工の困難さや、ピエゾ振動素子の小型化が極めて
困難でマルチノズル化が難しく、ピエゾ素子の機械振動
という機械的エネルギーで小滴の飛翔を行うので高速記
録化が難しい、等の課題を有する。
【0005】また、特公昭61−59911号公報,特
公昭62−11035号公報,特公昭61−59914
号公報には発熱抵抗体により沸騰を生起させ液滴を飛翔
させる方式の記録法が記載されている。
【0006】オンデマンド方式の他の例として米国特許
第3179042号に開示されている方式はピエゾ振動
素子等の手段による機械的振動エネルギーを利用する代
わりに熱エネルギーを利用することが記載されている。
この方式では、機械的振動エネルギーを利用する方式と
比較しエネルギー変換効率が高い、マルチノズル化が容
易であるといった特徴がある。
【0007】次に、従来のインクジェット方式のプリン
タの吐出原理について説明する。図7は従来のインクジ
ェット装置のヘッド断面図、図8は従来のインクジェッ
ト装置のヘッド平面図、図9は従来のインクジェット装
置の制御ブロック図、図10は従来のインクジェット装
置の制御タイミングチャートである。
【0008】図7から図9において、13,14は一対
の電極、15は電極13,14に対応したノズル、17
は電極13,14を駆動する電極駆動装置、4は各電極
駆動装置17からの出力電圧を制御する通電時間制御装
置、11は導電性インク、22は電極13,14間に交
流電流Iを流すことにより発生する沸騰気泡、16は各
電極13,14を搭載している基板であり、10は通電
時間制御装置4に印刷開始を知らせるCPUである。
【0009】以上のように構成されたインクジェット装
置において、ドット径D1,D2(D1>D2)となる
インク吐出量Q1,Q2(Q1>Q2)のインク滴21
を得るためのインク吐出原理について、図10を用いて
説明する。
【0010】まず、ドット径D1を得る為のインク吐出
動作について説明する。CPU10は、印刷開始を知ら
せるPTM信号を通電時間制御装置4に出力する。これ
により、通電時間制御装置4は、PTM信号の立ち上が
りに同期して、ノズル15に対応する電極13,14を
印加時間T1bだけ、電極駆動装置17a,17bを用
いて図10に示すようなタイミングで駆動する。
【0011】電極駆動装置17a,17bの出力OUT
1,OUT2は、位相が180度ずれた3MHz、25
Vの電圧波形となっており、電極13,14にはこれら
の電圧波形がそれぞれ印加される。
【0012】また、電極13,14間には図7に示すよ
うに導電性インク11が充填されており、これらの電圧
により、導電性インク11には交流電流I1が流れる。
【0013】すると、電極13,14間に挟まれた導電
性インク11は、交流電流I1により自己発熱すると共
に、その熱によりインク抵抗値が低下し、図10に示す
ように印加時間の経過と共に、交流電流I1の値が増え
ていくことになる。
【0014】よって、さらに電極13,14間に挟まれ
た導電性インク11は自己発熱し、やがて図7に示すよ
うな沸騰気泡22が、期間T1a経過後発生する。この
沸騰気泡22の圧力により、印刷開始を知らせるPTM
信号の立ち上がりから期間T1a経過後、ノズル15か
らインク吐出量Q1のインク滴21が吐出され、被印刷
物9に付着し、直径D1のドットを形成する。
【0015】なお、沸騰気泡22が電極13,14を覆
うため、図10に示すように期間T1a経過後、交流電
流I1は急激に減少する。
【0016】また、ドット径D2を得る為の導電性イン
ク11の吐出動作についても同様であるが、図10に示
すように、インク吐出量Q2のインク滴21を得るため
には30Vの印加電圧で印加時間T2bが必要であり、
沸騰気泡22の発生時期は、期間T2a経過後となり、
ノズル15からのインク滴21の吐出時期は、印刷開始
を知らせるPTM信号の立ち上がりからT2a期間後と
なる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
のインクジェット装置でドット径が異なる階調印刷を行
う場合、電極13,14から導電性インク11に流れる
交流電流I1の密度が低い為、高電圧では電流損失が大
きく、電気分解気泡が発生し吐出不良となり、階調制御
に適さないという問題点を有していた。
【0018】本発明は上記従来の問題点を解決するもの
で、電流密度を高め、沸騰気泡発生効率、さらにはイン
ク吐出効率を高めることで、安定したインク吐出と少な
い消費電力が達成できる、特に階調制御に適したインク
ジェット装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに本発明のインクジェット装置は、導電性インクを収
容する圧力室に設けられた一対の電極に電圧を印加して
導電性インクに電流を流し電極間内の導電性インクを沸
騰させ気泡を発生させることによりインク滴を圧力室の
一部に設けられたノズルより吐出させるインクジェット
装置の一対の電極の対向部分を頂点角度が20度以上1
60度以下の二等辺三角形としたもので、この構成によ
り、電流密度を高め、沸騰気泡発生効率、さらにはイン
ク吐出効率を高めることで、安定したインク吐出と少な
い消費電力が達成できる、特に階調制御に適したインク
ジェット装置が得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、導電性インクを収容する圧力室と、この圧力室の一
部に設けられたノズルと、前記圧力室に設けられた一対
の電極とを備え、前記一対の電極に電圧を印加して導電
性インクに電流を流し前記電極間内の導電性インクを沸
騰させ気泡を発生させることによりインク滴を前記ノズ
ルより吐出させるインクジェット装置であって、前記一
対の電極の対向部分を頂点角度が20度以上160度以
下の二等辺三角形としたものであり、電流密度を高め、
高電圧での電流損失を抑え、沸騰気泡発生効率、さらに
はインク吐出効率を高めることができるという作用を有
する。
【0021】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、前記一対の電極の各頂点を円弧形状と
したものであり、選択的な電流分布となることを避ける
ことができるという作用を有する。
【0022】請求項3に記載の発明は、請求項1または
2に記載の発明において、前記一対の電極の幅を5μm
以上200μm以下、前記一対の電極の対向する部分の
最短距離を0.5μm以上20μm以下としたものであ
り、インク滴の体積のばらつきを抑えることができると
いう作用を有する。
【0023】請求項4に記載の発明は、請求項1,2ま
たは3記載の発明において、導電性インクに通電を行う
ための電極駆動装置からの出力電圧を変化させ導電性イ
ンクへ電気エネルギーを与え、インク吐出量を可変する
階調制御手段を備えたものであり、インク滴の大きさを
制御することができるという作用を有する。
【0024】以下、本発明の一実施の形態について図1
〜図6を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施
の形態におけるインクジェット装置のヘッドの断面図、
図2は本発明の一実施の形態におけるインクジェット装
置のヘッドの平面図である。
【0025】図1,図2において11は導電性インク、
12は導電性インク11で満たされた圧力室、13,1
4は圧力室12内に設けられた一対の電極、15はイン
ク滴21を吐出するノズル、16は電極13,14が配
置されている基板、17は電極駆動装置、18はノズル
板、20はインク流路、22は沸騰気泡である。
【0026】図3は本発明の一実施の形態におけるイン
クジェット装置のヘッドチップの断面図であり、24は
共通インク室、25はへッドチップである。
【0027】図4は本発明の一実施の形態におけるイン
クジェット装置のインクタンクの接続部構成図で、27
はヘッドチップ25を取り付けるインクカートリッジ、
28はインクカートリッジ27内に設けられたインクタ
ンク、29はインクタンク28内の導電性インク11に
含まれるゴミ、塵などを除去するインクフィルタ、30
は導電性インク11を共通インク室24に導くインク導
入路である。
【0028】図5は本発明の一実施の形態におけるイン
クジェット装置の透過斜視図で、32はインクカートリ
ッジ27およびインクタンク28を固定するキャリッ
ジ、33はシリアルに往復するキャリッジ32を導くガ
イドシャフト、34は被印刷物9を送るプラテンローラ
である。
【0029】以上のように構成されたインクジェット装
置について以下にその動作を説明する。
【0030】ここで、I(t)を電極13,14への電
圧印加からの時間経過に伴い変化する導電性インク11
間に流れる電流値、Rを導電性インク11の抵抗、tを
電圧印加開始からの時間とする。
【0031】まず、I2 ×R×Δtの0〜tまでの積分
で表される交流電流I(t)のジュール損失によって交
流電流I(t)が流れた部分の導電性インク11が自己
発熱し、時間の経過に伴い交流電流I(t)が流れた導
電性インク11の交流電流I(t)通過部の最も高温の
部分より沸騰が始まり、ついには沸騰気泡22が発生す
る。この沸騰気泡22の膨張にともない導電性インク1
1内の交流電流I(t)は沸騰気泡22が絶縁体でその
中を交流電流I(t)が通過できないため沸騰気泡22
の両側へ曲げられ電流密度は沸騰気泡22表面で最も高
くなる。よって沸騰気泡22表面が最も加熱されて沸騰
気泡22の膨張が一層加速される。
【0032】この時、電極13,14の表面より発生す
る電解気泡は、沸騰気泡22が膨張し電極13,14表
面まで達するので、沸騰気泡22に取り込まれる。そし
て沸騰気泡22の膨張により、圧力室12内の導電性イ
ンク11の圧力が急激に高まる。この高圧になった導電
性インク11はノズル15とインク流路20の方向へ移
動しようとするが、急激な圧力変化による急な導電性イ
ンク11の流れには流体的な抵抗がインク流路20の方
がノズル15より大きいため、圧力変化による急激な導
電性インク11の流れはノズル15へ向かい、ノズル1
5からインク滴21が飛び出し、被印刷物9に飛翔して
付着し、ドットの形成が行われる。
【0033】沸騰気泡22の膨張が最大の大きさに達す
ると交流電流I(t)の通過部は、かなりの部分を沸騰
気泡22が占めるようになるので導電性インク11に流
れる交流電流I(t)が低下し、沸騰気泡22の熱が導
電性インク11、電極13,14へ奪われ、沸騰気泡2
2が急激に収縮する。沸騰気泡22の消滅にともない圧
力室12内の導電性インク11は、消滅時の負圧により
攪拌されるので、交流電流I(t)の通過部から再び沸
騰を開始するのには数マイクロ秒以上の加熱時間を必要
とする。この沸騰を開始するまでの間に、電極駆動装置
17は電極13,14間への電圧の印加を中止し、導電
性インク11の二重沸騰による不必要なインク滴21の
飛翔を防止する。インク滴21の飛翔により、消費され
た導電性インク11は導電性インク11の表面張力によ
り常時インク流路20より圧力室12へ補給され待機状
態に戻る。圧力室12内の導電性インク11の温度分布
は熱伝導により待機状態の間に初期状態にもどってい
る。ノズル板18近傍の残留気泡(図示せず)は次の沸
騰時にインク滴21とともにノズルより排出される。
【0034】以上の動作を繰り返すノズル15を複数個
並べたヘッドチップ25をインク導入路30に設けるこ
とによりインクジェットカートリッジ27は構成されて
いる。例えば、コンピュータ等から送られて来る印字信
号に応じて、キャリッジ32へ装着されたインクカート
リッジ27がガイドシャフト33に沿って往復運動し、
キャリッジ32の位置にあわせて電極駆動装置17が任
意の電極13,14間に駆動電圧を印加し、インク滴2
1が連続的に生成され、プラテンローラ34によって送
られる被印刷物9に付着し、被印刷物9へのドットによ
る印字が行われる。
【0035】導電性インク11は、印字動作にともな
い、インクタンク28よりインクフィルタ29を介して
インク導入路30を通り共通インク室24に入り、共通
インク室24より圧力室12へ供給される。
【0036】この時、電極13,14の先端は、先端部
の頂点角度が20度以上160度以下の二等辺三角形を
満たす形状が適している。これは、上記形状にすること
によりインクジェット装置でドット径が異なる階調印刷
を行う場合、電極13,14から導電性インク11に流
れる交流電流I(t)の密度が高まるため、沸騰気泡2
2の発生効率、さらにはインク滴21の吐出効率が高ま
り、安定したインク滴21の吐出と消費電力削減を達成
するためである。先端部の頂点角度が160度を越える
と、電極13,14間の導電性インク11の最高温度が
電極13,14間の最短距離の線上部Aにならず、電極
13,14の先端エッヂ部Bになり、沸騰気泡22が発
生した時に、沸騰気泡22が複数個に分かれたり、小さ
な沸騰気泡22が連続して発生するなどして安定したイ
ンク滴21が得られない。逆に、先端部の頂点角度が2
0度未満であると、階調印刷時の印加電圧が低い場合、
十分な量の沸騰気泡22が起きず、沸騰気泡22の大き
さが小さくなり、そのためドット径の可変領域が狭くな
る。
【0037】また、電極13,14の各頂点は円弧が適
している。これは、頂点に丸みを付与することで選択的
な電流分布となることを避け、安定したインク滴21の
吐出と電極13,14の寿命を延ばすためである。
【0038】なお、この電極13,14先端の形状は、
擬似的に二等辺三角形に近い形状、例えば各辺が円弧あ
るいは、なめらかな曲線で形成されるものでもよい。
【0039】さらに、前記インク滴21の体積が5×1
-6mm3以上2×10-4mm3以下の範囲のとき、図1に示
す電極13,14の幅aは、5μm以上200μm以下
が良好である。電極13,14の幅aが5μm未満だと
寸法形状のできあがり誤差による沸騰気泡22の体積の
ばらつきがインク滴21の体積変動の原因となるからで
ある。逆に、電極13,14の幅aが200μmより大
きいと蓄熱分布の影響を受け易くなり、圧力室12の熱
履歴や圧力室12近傍の熱の影響により沸騰気泡22の
体積にばらつきを生じインク滴21の体積変動の原因と
なるからである。
【0040】さらに、インク滴21の体積が前記範囲の
時、電極13,14の間の最短距離は0.5μm以上2
0μm以下が良好である。電極13,14の間の距離が
0.5μm未満だと寸法形状のできあがり誤差による沸
騰気泡22の体積のばらつきがインク滴21の体積変動
の原因となるからである。逆に、電極13,14の間の
距離が20μmより大きいと電極13,14表面の導電
性インク11の温度が最高になる部分が離れ2カ所から
沸騰気泡22ができるようになり、吐出力にばらつきを
生じインク滴21の体積変動の原因となるからである。
【0041】さらに、導電性インク11の1cm当たり
の体積抵抗率は8Ω・cm以上50Ω・cm以下が良好
である。体積抵抗率が8Ω・cm未満になると、導電性
インク11の導電性付与剤の含有量が多くなるので染料
の溶解安定性が低下し、ノズル15の目詰まり性が悪化
する傾向が認められ、体積抵抗率が50Ω・cmを越え
ると、導電性化合物の含有量が少なくなるので、基板1
6上の化学反応を防止することができなくなり、電極1
3,14が溶解され電極13,14の形状の変化により
沸騰気泡22のばらつきが発生し、インク滴21の体積
変動の原因となるからである。
【0042】次に、本発明においてドット径を変え多階
調で印刷する場合の制御方法を説明する。図6(a)に
おいて、横軸は加熱時間、縦軸は電極13,14に印加
する電力およびドット径を決定する沸騰気泡22の体積
である。電極13,14に0.4Wの電力を与えると、
沸騰開始までの加熱時間は7μsとなり、E1=0.4
×7=2.8μJのエネルギーが導電性インク11に与
えられる。その時の沸騰気泡22の体積は曲線B1のよ
うに成長し、最大気泡体積は200plとなる。同様に
電極13,14に0.23Wの電力を与えると、沸騰開
始までの加熱時間は22μsとなり、E2=0.23×
22=5.06μJのエネルギーが導電性インク11に
与えられ、その時の沸騰気泡22の体積はB2のように
成長し、最大気泡体積は400plとなる。このように
電極13,14に印加する電力により沸騰開始までの時
間が決まり、それにより導電性インク11の加熱される
体積が変化し、加熱される体積が大きいほど最大気泡体
積が大きくなる。つまり、ゆっくり加熱すれば、より大
きな沸騰気泡22を形成することができる。沸騰が始ま
れば、沸騰気泡22により電極13,14間の電流が遮
断されるので、電圧を沸騰開始直後に切るように制御し
ても最大気泡体積に影響はない。
【0043】また、電力の与え方は図6(b)のように
電圧値を変化させてもよいが、図6(c)、図6(d)
のように電圧値は一定でパルスデューティを変化させて
も沸騰気泡22の体積を制御できる。このようにして沸
騰気泡22の体積を変化させ、ドット径の階調制御がで
きる。
【0044】ところで、基板16の材料としては、ガラ
ス,セラミック等の絶縁材料、半導体,表面を高抵抗材
料で被覆した金属,金属合金,絶縁物,半導体が使用で
きる。また、ガラス基板としては、カリ石灰ガラス,ソ
ーダ石灰ガラス,硼珪酸ガラス,クラウンガラス,亜鉛
クラウンガラス,ソーダカリガラス,バリウム硼珪酸ガ
ラス,96%珪酸ガラス,99.5%珪酸ガラス,燐酸
ガラス,低融点ガラス,リチウム珪酸ガラス,亜鉛アル
ミ珪酸ガラス,珪酸ジルコニウムガラス等が使用でき
る。セラミック基板としては、酸化アルミニュウム(ア
ルミナ),酸化チタン(チタニア),MgO・SiO2
(ステアタイト),2MgO・SiO2(ホルステライ
ト),BeO(ベリリア),MgO・Al23(スピネ
ル)等が使用できる。半導体基板としては、シリコン,
炭化シリコン,ダイアモンド,ゲルマニウム等が使用で
きる。
【0045】電極13,14の材料としては、Ti族金
属(Ti,Zr,Hf)、白金族金属(Pt,Ru,R
h,Pd,Os,Ir)、高融点金属(W,Ta,M
o)、その他V,Cr,Fe,Co,Ni,Nb,A
u,Ag,Al等の単金属又はこれらの合金(Ni−F
e,NiCr,TiCr等)が使用できる。また、これ
らの酸化物(酸化チタン,酸化ハフニウム,酸化錫,酸
化インジウム等)、窒化物(窒化チタン,窒化クロム
等)、炭化物(炭化チタン,炭化タングステン等)、硼
化物も使用できる。
【0046】インク流路20を形成する材料、ノズル板
18の材料としては、ポリイミド,アクリル,ポリエチ
レンテレフタレートシート等のポリマー,ガラス,セラ
ミック等の絶縁材料、半導体、又は表面を高抵抗材料で
被覆した金属,金属合金,絶縁物,半導体が使用でき
る。
【0047】なお、本発明で使用できる導電性インク1
1は水溶性、油溶性どちらでも良い。臭い、安全性を考
慮すると水溶性の方が好ましい。導電性インク11に
は、染料、湿潤材としてのアルコール類,グリコール類
等の水可溶性有機溶媒、界面活性剤、あるいはこれらの
混合物を添加するのがにじみ、乾燥速度、沸騰状態の調
節、電極13,14の寿命、ノズル15の目詰まり防止
等にとって好ましい。さらに防腐剤も使用される。
【0048】本発明が使用されるインクジェット装置
は、1個または複数のインクカートリッジ27をキャリ
ッジ32に搭載し、被印刷物9の前面を主走査方向に往
復移動しながらヘッドチップ25のノズル15よりイン
ク滴21を吐出し、被印刷物9は副走査方向に所定の量
だけ送られることで記録を行うシリアル型記録装置で
も、ヘッドチップ25のノズル15が被印刷物9の主走
査方向全幅にわたって設けられ、被印刷物9が副走査方
向に所定の量だけ送られることで記録を行うライン型記
録装置でもどちらでも良い。
【0049】また、1個または複数のインクカートリッ
ジ27をキャリッジ32に搭載し、被印刷物9の前面を
主走査方向、および副走査方向に移動しながら記録ヘッ
ドよりインク滴21を吐出し、記録する所謂プロッタ型
記録装置でも良い。
【0050】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、電流密度
を高め、高電圧での電流損失を抑え、沸騰気泡発生効
率、さらにはインク吐出効率を高め、インク吐出を安定
化し、消費電力を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態におけるインクジェット
装置のヘッドの断面図
【図2】本発明の一実施の形態におけるインクジェット
装置のヘッドの平面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるインクジェット
装置のヘッドチップの断面図
【図4】本発明の一実施の形態におけるインクジェット
装置のインクタンクの接続部構成図
【図5】本発明の一実施の形態におけるインクジェット
装置の透過斜視図
【図6】本発明の一実施の形態におけるインクジェット
装置のドット径の階調制御を示すグラフ
【図7】従来のインクジェット装置のヘッド断面図
【図8】従来のインクジェット装置のヘッド平面図
【図9】従来のインクジェット装置の制御ブロック図
【図10】従来のインクジェット装置の制御タイミング
チャート
【符号の説明】
4 通電時間制御装置 9 被印刷物 10 CPU 11 導電性インク 12 圧力室 13,14 電極 15 ノズル 16 基板 17 電極駆動装置 18 ノズル板 20 インク流路 21 インク滴 22 沸騰気泡 24 共通インク室 25 ヘッドチップ 27 インクカートリッジ 28 インクタンク 29 インクフィルタ 30 インク導入路 32 キャリッジ 33 ガイドシャフト 34 プラテンローラ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性インクを収容する圧力室と、この圧
    力室の一部に設けられたノズルと、前記圧力室に設けら
    れた一対の電極とを備え、前記一対の電極に電圧を印加
    して導電性インクに電流を流し前記電極間内の導電性イ
    ンクを沸騰させ気泡を発生させることによりインク滴を
    前記ノズルより吐出させるインクジェット装置であっ
    て、前記一対の電極の対向部分を頂点角度が20度以上
    160度以下の二等辺三角形としたことを特徴とするイ
    ンクジェット装置。
  2. 【請求項2】前記一対の電極の各頂点が円弧形状である
    ことを特徴とする請求項1記載のインクジェット装置。
  3. 【請求項3】前記一対の電極の幅が5μm以上200μ
    m以下、前記一対の電極の対向する部分の最短距離が
    0.5μm以上20μm以下であることを特徴とする請
    求項1または2記載のインクジェット装置。
  4. 【請求項4】導電性インクに通電を行うための電極駆動
    装置からの出力電圧を変化させ導電性インクへ電気エネ
    ルギーを与え、インク吐出量を可変する階調制御手段を
    備えたことを特徴とする請求項1,2または3記載のイ
    ンクジェット装置。
JP29509295A 1995-11-14 1995-11-14 インクジェット装置 Pending JPH09136414A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010504227A (ja) * 2006-10-09 2010-02-12 シルバーブルック リサーチ ピーティワイ リミテッド 調整可能な気泡衝撃を伴うインクジェットプリントヘッド
US8899721B2 (en) 2006-10-10 2014-12-02 Memjet Technology Ltd. Method of operating inkjet printhead in printing and maintenance modes

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