JPH0448528B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は長尺のプレスブレーキに関し、特に
中央駆動、左右両端ガイド方式のプレスブレーキ
に関する。

一般に長尺のプレスブレーキには両端加圧、両
端ガイド方式のプレスブレーキと、特公昭41−
3151号公報に記載のごとき中央加圧、中央ガイド
方式の２種類が知られている。この中央加圧、中
央ガイド方式のプレスブレーキは両端加圧、両端
ガイド方式のプレスブレーキに比べて曲げ精度、
コスト、機構のシンプルさ等の点で優れている。
しかしそのような中央加圧、中央ガイド方式のプ
レスブレーキにおいても、従来から次のような問
題があつた。つまりワークの曲げ長さが異なる場
合に、上部及び下部エプロンの撓み曲線にかなり
大きなズレが生ずるという問題がある。その理由
はシリンダ駆動は央央部のみが理想ではあるが、
構造上、左右にサブシリンダを設けているために
そのサブシリンダが悪影響を及ぼすためである。
なぜならば中央部のメインシリンダ及び両側のサ
ブシリンダを納めるために下部エプロンはほぼＴ
字形状の態様となり、断面形状、寸法が左右長手
方向でかなり不均一になること、及びメインシリ
ンダを収容するために、下部エプロンの下部中央
に下部が開いた大きな切欠きが形成されるために
中央集中荷重に対して開き勝手となるためであ
る。

更にこの中央加圧、中央ガイド方式のプレスブ
レーキの場合には、オフセツト荷重に対して弱い
という問題も持つている。これは左右長手方向の
一方にオフセツト荷重がかけられる場合に、その
オフセツト荷重を支えるための反力が中央ガイド
部においてのみ発生することに起因する。つま
り、長い下部エプロンの端部附近のオフセツト荷
重を中央のガイド部で支えるには、下部エプロン
が完全な剛体の場合には問題がないが、下部エプ
ロンが弾性体であり、しかも下部エプロン形状が
Ｔ字形状であつて断面形状、寸法が長手方向にお
いて不均一であつて、左右両端部付近の剛性は中
央部付近に比較して極めて小さいために、従来の
プレスブレーキではオフセツト荷重のかかつてい
る方の片半分がオフセツト荷重のかかつていない
他半分の撓み曲線と大きく異り、その結果、左右
において曲げ精度にバラツキが生ずるからであ
る。

なお、本発明に係る先行例として、特公昭52−
5309号公報に記載のごときプレスブレーキがあ
る。上記先行例に記載のプレスブレーキにおいて
は、可動エプロンを上下動する油圧シリンダを両
側に配置すると共に中央部に早送り用の小油圧シ
リンダを配置した構成であり、かつ前記可動エプ
ロンを上方に案内する案内部を中央部に左右対称
形に設けた構成である。

しかし、上記先行例においては、油圧シリンダ
を両側に配置する構成として、可動エプロンはほ
ぼＴ字形状となり、断面形状が不均一となつてい
る。そして、例えば可動エプロンの左側に偏荷重
が作用した場合には、案内部の左下側と案内部の
右上側で偏荷重のモーメントを支持する構成であ
つて、可動エプロンの左右対称的位置で受ける構
成でなく、かつ断面形状、寸法が左右方向の全長
に亘つてほぼ均等でないので問題がある。

この発明は前述のような従来の問題に鑑みてな
されたものであつて、中央加圧方式にしてガイド
部を左右両側にセンター振り分けの形で対称形に
配設すると共に可動側エプロンの長手方向の断面
形状、寸法を均一化し、またオフセツト荷重をも
左右のガイドによつて出来るだけ荷重点に近い部
分で支えることにより左右における撓みの不均衡
をなくし、曲げ精度の良いプレスブレーキを提供
することを目的とするものである。

以下、図に示す実施例について詳述する。第１
図及び第２図はこの発明の一実施例を示すもので
ある。この実施例のプレスブレーキ１は上部エプ
ロン３が固定側エプロンであり、下部エプロン５
が可動側エプロンとなつており、下部エプロン５
が上部エプロン３に対して昇降自在となつてい
る。下部エプロン５は左右長手方向においてその
断面形状、寸法がほぼ均一となるように構成され
ている。下部エプロン５の前後には支え板７，９
が設けられており、この支え板７，９はフレーム
１１にボルト部材１３によつて固定されており、
この両支え板７，９間において下部エプロン５が
上下にスライド自在となつている。また両支え板
７，９には振れ止め用ロラー１５が取り付けられ
ており、この振れ止め用ローラ１５によつて下部
エプロン５の昇降時の振れを防いでいる。

下部エプロン５の昇降装置は、第１図に示され
るように、左右方向のほぼ中央部において近接し
て左右対称位置に配置したシリンダ１７，１９に
より構成されている。各シリンダ１７，１９は、
下部エプロン５に形成された穴内に配置されてお
り、かつ下部エプロン５の前後の支え板１７，１
９に支承されている。そしてこのシリンダ１７，
１９の駆動力により下部エプロン５が昇降される
のである。

次に下部エプロン５のガイド部の構成は次のよ
うになつている。つまり両支え板７，９が下部エ
プロン５と対向した各々の内側面において左右両
側部の左右対称位置に上下２箇所ずつ設けたガイ
ドポスト２１，２３を案内手段とし、下部エプロ
ン５の左右両側部の左右対称位置において前後各
面に設けたガイドローラ２５，２７を案内体と
し、このガイドロール２５，２７が左右両側から
ガイドポスト２１，２３をそれぞれ挟持している
のである。ここで、ガイドローラ２５，２７はそ
れぞれ第３図及び第４図に詳しいように取付円板
２９，３１の偏心位置に取り付けられており、こ
の取付円板２９，３１を固定具３３，３５により
下部エプロン５に固定することにより位置決めさ
れるものである。そして、固定具３３，３５を緩
め、取付円板２９，３１を回転させることにより
ガイドローラ２５，２７をそれぞれガイドポスト
２１，２３の側面に当接させ、ガイドポスト２
１，２３を上下方向に正確に案内できるように調
整することができる。

上記構成のプレスブレーキの動作について、次
に説明する。このプレスブレーキ１の場合、下部
エプロン５が昇降装置としてのシリンダ１７，１
９により昇降され、上部エプロン３に対して接
近、離反し、両者間においてワークの曲げ加工を
行なう。このシリンダ１７，１９の駆動による下
部エプロン５の昇降運動時に、ガイドローラ２
５，２７がガイドポスト２１，２３の側面を転動
し、これによつて下部エプロン５の昇降運動を円
滑ならしめているのである。

このプレスブレーキ１において、オフセツト荷
重がかかる場合の作用を次に説明する。第５図に
おいてワークＷが左右アンバランスに設定され、
下部エプロン５の左側に長さl₂分だけ長くセツト
されているとする。このプレスブレーキ１におい
ては、プレス荷重が等分布荷重Ｗである区と仮定
できるので、このl₂分に対しオフセツト荷重P₁＝
wl₂がかけられている。このオフセツト荷重P₁
は、プレスブレーキのセンターラインCLに対し
てl₃の距離にあり、その曲げモーメントはＭ＝
P₁l₃である。

この曲げモーメントＭに対して生じる反力は、
オフセツト荷重P₁の作用点から近いl₄の位置にあ
る偶力R₁l₅、及び右側の偶力R₁l₅の２つである。
従つて、この場合、左右のガイド部においてほぼ
均等な偶力を持つて受け止めることができ、下部
エプロン５の長手方向の撓みが左右においてほぼ
同一となる。

従つて、従来のプレスブレーキのように中央部
に設けた唯一つのガイド部においてオフセツト荷
重の曲げモーメントを受け止めるのとは違つて、
曲げ精度を向上させることができるのである。

尚、この発明は上記実施例に限定されるのでは
なく、次のような変更態様も可能である。

(A) 昇降装置としてのシリンダは長手方向中央部
において１体だけ設けることができる。

(B) 案内体及び案内手段としてのガイドポスト及
びガイドローラは、左右それぞれにおいて複数
箇所に設けることができる。同時にガイドポス
ト及びガイドローラの代わりに、ガイドポス上
下方向にスライド自在に把持することのできる
案内手段であれば、通常の静圧ベアリング手段
のような把持部材であつてもよい。

(C) 上記実施例においては、下部エプロンが上部
エプロンに対して昇降するものとしたが、可動
側エプロンは上部エプロンであつてもよい。

以上のごとき実施例の説明より理解されるよう
に要するに本発明は、フレーム１１の上部に装着
した左右に長い上部エプロン３とフレーム１１の
下部に装着した左右に長い下部エプロン５とを備
え、上部エプロン３あるいは下部エプロン５を上
下動自在の可動エプロンとしてなり、かつ前記フ
レーム１１に固定した支え板７，９を可動エプロ
ンの前後に設けると共に、上記可動エプロンを上
下動するための昇降装置を可動エプロンの左右方
向の中央部付近に配置してなるプレスブレーキに
して、上記可動エプロンの断面形状、寸法を左右
方向の全長に亘つてほぼ等しく設け、この可動エ
プロンの左右両側のほぼ対称位置でかつ上下に離
隔した複数箇所に、上下方向のガイドポスト２
１，２３あるいはガイドポスト２１，２３を左右
両側から挟持する案内体２５，２７の一方を設け
ると共に上記案内体２５，２７あるいはガイドポ
スト２１，２３の他方を前記支え板７，９に設け
てなり、前記昇降装置は、ほぼ中央部に左右対称
位置に設けられた複数のシリンダ１７，１９より
なり、各シリンダ１７，１９は可動エプロンに形
成した穴内に配置されているものである。

上記構成より明らかなように、本発明において
は、可動エプロンの断面形状、寸法は左右方向の
全長に亘つてほぼ等しいものであり、この可動エ
プロンの左右両側のほぼ対称位置かつ上下に離隔
した複数箇所に、上下方向のガイドポスト２１，
２３あるいはガイドポスト２１，２３を左右両側
から挟持する案内体２５，２７の一方を設け、他
方をフレーム１１に固定した支え板７，９に設け
てなるものである。

したがつて本発明によれば、可動エプロンの撓
み曲線は常にほぼ左右対称形となるものである。
また、可動エプロンに偏偏荷重が作用して動エプ
ロンに撓みが生じる傾向にあるとき、上記偏荷重
による曲げモーメントは、可動エプロンの複数箇
所のガイドポスト２１，２３、案内体２５，２７
で受けることとなる。すなわち、可動エプロンは
左右対称的な位置で受けることとなり、かつ可動
エプロンの撓み曲線が左右対称形となり、曲げモ
ーメントを受ける位置が左右非対称的でかつ可動
エプロンの撓み曲線が左右で異なる従来の構成よ
りも精度の良い加工を行うことができるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例の正面図、第２図
は同上の断面図、第３図は同上の下部エプロン案
内部の拡大正面図、第４図は同案内部の拡大平面
図、第５図は同上実施例の作用説明図である。 １…プレスブレーキ、３…上部エプロン、５…
下部エプロン、１１…フレーム、１７，１９…シ
リンダ、２１，２３…ガイドポスト、２５，２７
…ガイドローラ、Ｗ…ワーク。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ フレーム１１の上部に装着した左右に長い上
   部エプロン３とフレーム１１の下部に装着した左
   右に長い下部エプロン５とを備え、上部エプロン
   ３あるいは下部エプロン５を上下動自在の可動エ
   プロンとしており、かつ前記フレーム１１に固定
   した支え板７，９を可動エプロンの前後に設ける
   と共に、上記可動エプロンを上下動するための昇
   降装置を可動エプロンの左右方向の中央部付近に
   配置してなるプレスブレーキにして、上記可動エ
   プロンの断面形状、寸法を左右方向の全長に亘つ
   てほぼ等しく設け、この可動エプロンの左右両側
   のほぼ対称位置でかつ上下に離隔した複数箇所
   に、上下方向のガイドポスト２１，２３あるいは
   ガイドポスト２１，２３を左右両側から挟持する
   案内体２５，２７の一方を設けると共に上記案内
   体２５，２７あるいはガイドポスト２１，２３の
   他方を前記支え板７，９に設けてなり、前記昇降
   装置は、ほぼ中央部に左右対称位置に設けられた
   複数のシリンダ１７，１９よりなり、各シリンダ
   １７，１９は可動エプロンに形成した穴内に配置
   されていることを特徴とするプレスブレーキ。