JPH043932B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は動物用代用乳に関する。更に詳しく
は、バチルス・リケニホルミス菌を有効菌として
含有することを特徴とする動物用代用乳に関する
ものである。 現在、子牛の様な幼若哺乳動物の飼育において
は、母体の保護、母乳の節約、子牛の順調な発育
の達成のため、生後１週令程度から４〜６週令程
度までの間、代用乳とよばれる脱脂粉乳、油脂、
糖類、穀物粉、魚粉等を主成分とする母乳代用乳
品を給与して飼育した後、離乳する飼養方法が最
も一般的に採用されている。従来、この様な動物
用代用乳中には、疾病防止、成長促進等を目的と
して、抗生物質、酵素類、生菌剤等が添加されて
いる。 しかしながらこのうち抗生物質については、副
作用の発現や、その残留移行により、人間にアレ
ルギーや腸内細菌の変化を引き起こす恐れがある
ため、使用上の規制が強められ、使用範囲が限
定、縮少される方向にある。酵素類としてリパー
ゼ剤、アミラーゼ剤、セルラーゼ剤、プロテアー
ゼ剤及びこれらの混合酵素剤などが検討されてい
るが、その効果がまちまちであり常に一定した効
果は期待できないのが現状である。 また生菌剤として納豆菌、乳酸菌、酪酸菌、ビ
フイズス菌等が検討されており、ある程度の効果
は見られるもののまだ十分なものではない。 以上のように、動物用代用乳としては、いまだ
満足すべきものがないのが実情である。 本発明者等は以上の様な情勢下、自然界より分
離したバチルス属菌を動物用代用乳中に含有さ
せ、有効なものを種々検討した結果、意外にもバ
チルス・リケニホルミス菌を有効菌として含有す
る動物用代用乳が、生体毒性もなく、かつ下痢症
等の疾病防止、成長促進効果等の優れた効果を有
する事を見い出し本発明を完成させるに至つた。 本発明は、バチルス・リケニホルミス菌を有効
菌として含有することを特徴とする動物用代用乳
である。 次に本発明を詳細に説明する。 本発明の動物用代用乳が対象とする動物は、乳
用種雌子牛、乳用種雄子牛、（主として肉用に供
す為飼育）、肉用種子牛等が代表的な例であるが、
子豚、子羊、子山羊、子犬、子猫等にも使用する
事ができる。 本発明に用いるバチルス・リケニホルミス菌は
バチルス属に属する通性嫌気性細菌であり、自然
より単離した菌ばかりでなく、その変異菌株も有
効に用いうる。なかでも好ましい菌株としては微
工研条寄第266号にMN−001として寄託された変
異株バチルス・リケニホルミスMN−001株であ
る。 このバチルス・リケニホルミスMN−001株
（以下MN−001株と表わす。）の菌学的性質を示
す。 Ａ 形態 (1) 幅0.5〜0.8μｍ長さ２〜3μｍの桿菌。 (2) グラム染色：陽性。 (3) 楕円状の内生胞子を形成。 (4) 運動性：有。 Ｂ 生育 (1) 普通寒天培地：非常に良く生育する。色素
の生成なし。 (2) 糖蜜、硫酸アンモニウムを主体とした培
地：非常に良く生育する。色素の生成なし。 (3) 食塩液体培地 ５％：生育する。 ７％：生育する。 10％：生育する。 Ｃ 生理学的性質 (1) カタラーゼ生成 ＋ (2) 嫌気的条件下での生育 ＋ (3) VP反応 ＋ (4) 高温での生育状態 50℃ ＋ 55℃ − (5) 糖類から酸生成の有無 グルコース ＋ Ｌ−アラビノース ＋ Ｄ−キシロース ＋ マンニツト ＋ Ｄ−タガトース ＋ (6) アルギニン ジヒドロラーゼ＋ (7) レシチナーゼ − (8) デンプンの加水分解性 ＋ (9) ゼラチンの加水分解性 ＋ (10) DNAの加水分解性 ＋ (11) クエン酸塩の利用性 ＋ (12) プロピオン酸塩の利用性 ＋ (13) 硝酸還元性 ＋ (14) インドール生成 − (15) フエニルアラニンの脱アミノ化− 本発明の有効菌であるバチルス・リケニホルミ
ス菌を培養するには、通常の醗酵法に準じて、液
体培養、又は固体培養する事によつて行なえばよ
い。 培地としては天然培地、半合成培地、合成培地
等いずれも使用する事ができる。培地の組成は、
(i)炭素源としては、グルコース、サツカロース、
デキストリン、グリセリン、デンプン、糖蜜等
を、(ii)窒素源としては、ペプトン、肉エキス、酵
母エキス、乾燥酵母、大豆粕、尿素、チオ尿素、
アンモニウム塩、硝酸塩、その他有機あるいは無
機窒素化合物を、(iii)無機塩としては、マグネシウ
ム、マンガン、カリウム、カルシウム、鉄等の燐
酸塩、硝酸塩、炭酸塩、塩化物などが用いられ
る。またアミノ酸類、ビタミン類、核酸およびそ
の関連化合物を添加してもよい。培養温度は、通
常の醗酵法に準ずるが、たとえば20℃〜50℃で好
適に培養できる。培養期間も通常の醗酵法に準ず
るがたとえば12時間〜５日で好適に培養できる。 ここに得られた培養物は、そのままもしくは洗
滌をくりかえして菌体のみにして使用することが
できる。また、培養物、その処理物、菌体を、そ
のままもしくは添加料を添加し、凍結乾燥、噴霧
乾燥するなどにより製剤化した後用いる事ができ
る。 更には、たとえば、培養液をそのまま、小麦
粉、デンプン、デキストリン等や、飼料用原料の
穀類、脱脂米ぬか等の糟糖類、油粕等の適当な希
釈剤を用い、製剤化する事も可能である。 又培養液から菌体のみを洗滌分離し、同様に製
剤化して、用いてもよい。 本発明の動物用代用乳は、バチルス・リケニホ
ルミス菌を含有する事を特徴としており、動物用
代用乳を製造する方法には限定されないが、通
常、バチルス・リケニホルミス菌製剤または菌体
のみまたは培養物をそのまま市販の代用乳中に混
合する事により容易に製造される。また代用乳を
製造する際、すなわち脱脂粉乳、ホエー等の乳製
品加工副産物、全脂粉乳、イエローグリスタロ
ー、エキストラフアンシータロー、大豆油、パー
ム油、ココナツツ油等の油脂類、乳糖、ブドウ
糖、果糖、シヨ糖等の糖類、小麦粉、トウモロコ
シ等の穀物粉、魚粉、プロピレングリコール、グ
リセリン等の多価アルコール類、ビタミン、ミネ
ラル、アミノ酸、着香料、化学的保存剤、乳化剤
等の添加剤類の他、当該産業分野で広く使用され
ている諸原料を任意の割合で配合する際に、バチ
ルス・リケニホルミス菌製剤または菌体のみまた
は培養物を、混合する事も可能である。 本発明の動物用代用乳に含有されるバチルス・
リケニホルミス菌は、菌体が代用乳１Kg当り10²
〜10¹⁵個、望ましくは10⁴〜10¹²個、最も望ましく
は、10⁵〜10¹⁰個になるごとく添加するとよい。 本発明の動物用代用乳は、含有されるバチル
ス・リケニホルミス菌の作用により、対象動物に
対し、下痢防止、抑制効果、増体効果、飼料効率
改善効果等の優れた効果を発揮すると共に、極め
て安全性が高いため、産業上の利用価値が高い。 以下、バチルス・リケニホルミス製剤製造例お
よび実施例にて、本発明を更に詳細に説明する。 製造例 〔バチルス・リケニホルミス菌生菌製剤の作
製〕 水道水100重量部に糖蜜２重量部、硫酸アンモ
ニウム１重量部、２塩基性リン酸カリ0.1重量部、
酵母エキス0.05重量部を溶解し、0.1N塩酸及び
0.1NカセイソーダによりPHを8.0に調整した培養
液１をジヤーフアーメンターに入れ、殺菌
（121℃、15分間）後、あらかじめ前培養したバチ
ルス・リケニホルミスMN−001株（微工研条寄
第266号にMN−001として寄託）を接種し、24時
間振とう培養した。次いで遠心分離して培養液か
ら菌体を分離し、この菌体にデンプン１Kgを添加
混合したのち、乾燥させて、バチルス・リケニホ
ルミスMN−001株製剤（以下MN−001製剤と表
わす。）を得た。この製剤中の生菌数は10⁸個／ｇ
であつた。 実施例 １ １週令のホルスタイン種雄子牛10頭を用い、各
群５頭ずつの２群に分け、各群に表１に示した組
成の基本代用乳に、デンプンを添加した対照区用
代用乳およびMN−001製剤（製造例でデンプン
を用いて得た１ｇ当り10⁸個の生菌を含有する製
剤）を添加した試験区用代用乳を作製し、夫々対
照区、試験区とした。飼養試験にあたつては、代
用乳１重量部を温湯７重量部部に溶解、分散させ
た後子牛に給与し、４週間の試験を行なつた。結
果を第２表に示した。 尚、我国の最近の子牛の飼養方法においては、
上記の如き代用乳と共にカーフスターターと呼ば
れるペレツト状飼料（代用乳よりも低蛋白、低脂
肪）を給与する方法が広く採用されているが、本
実施例では、代用乳自体の効果を検討することを
目的とした為、カーフスターターは併用しなかつ
た。

【表】

【表】

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ バチルス・リケニホルミス菌を有効菌として
   含有することを特徴とする動物用代用乳。 ２ バチルス・リケニホルミス菌が微工研条寄第
   266号にMN−001として寄託されているバチル
   ス・リケニホルミスMN−001株である特許請求
   の範囲第１項記載の動物用代用乳。