JPH04237458A - 低カロリー油脂 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、肛門漏出現象が防止さ
れた低カロリー油脂に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】肥満は健康上好ましくない現象とされて
おり、その原因は消費カロリーよりも摂取されるカロリ
ーが多いことによる。このため食品の摂取カロリー値を
適正にすることが、肥満の防止にとって効果的であると
考えられている。

【０００３】一方、脂肪は食品の風味に大きく寄与して
いるが、炭水化物および蛋白質の２倍以上のカロリー密
度を有するので、この摂取量を低下することは、摂取カ
ロリーの適正化にとって有効である。この食品の風味を
損なわずに、脂肪から摂取されるカロリーを減らすとい
う２つの課題を解決するため、多くの検討が行われてき
た。

【０００４】即ち、米国特許３，６００，１８６におい
てＭａｔｔｓｏｎらは、ショ糖などの糖とオレイン酸な
どの脂肪酸とのポリエステルが消化吸収されないことを
利用し、この目的のために低カロリー油脂として使用す
ることを述べている。しかしながら、液状のショ糖ポリ
エステルには肛門漏出という好ましくない副作用があっ
た。

【０００５】この副作用を防止する方法が、Ｊａｎｄａ
ｃｅｋによって米国特許４，００５，１９５として提出
された。これは遊離の飽和脂肪酸，飽和脂肪酸を含有す
る多価アルコールエステルを、肛門漏出防止剤として液
状のショ糖ポリエステルに添加することで、副作用を防
止する方法である。

【０００６】また、ショ糖ポリエステルの脂肪酸として
、飽和脂肪酸を用いることにより肛門漏出を防止する方
法について多くの特許が出願されている（特開昭６３−
２２２６７１，同６４−２５３３，同６４−６２８８，
同６４−３４２４４，同６４−３４２４５，同６４−３
４９１８）。さらに、肛門漏出防止剤として繊維に用い
るものも知られている（特開平２−２２７０５１）。

【０００７】ポリオルガノシロキサン流体からなる低カ
ロリー油脂にも肛門漏出が認められ、その防止のために
シリカ粒子，飽和脂肪酸を含むトリグリセリド，繊維な
どを用いることが出願されている（特開平２−２１９５
４１）。

【０００８】さらに、他の低カロリー油脂であるホホバ
油およびポリカルボン酸のエステルをラットに投与した
ところ、肛門漏出がみられたとの報告がある（Ｈａｍｍ
，Ｄ．Ｊ．（１９８４）Ｊ．Ｆｏｏｄ　　Ｓｃｉ．４９
：４１９）。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
肛門漏出防止剤のうち、遊離の飽和脂肪酸および飽和脂
肪酸を含むトリグリセリドなどは消化吸収されるのでカ
ロリーがあり、さらに飽和脂肪酸は血清コレステロール
を上昇させて心臓病に悪影響を示すので、好ましくない
。

【００１０】本発明の目的は、従来の低カロリー油脂が
有する問題点を上記のような欠点のない手段によって解
決し、以って肛門漏出のない低カロリー油脂を提供する
ことにある。

【００１１】即ち、本発明は融点４０℃以上のワックス
を肛門漏出防止剤として配合してなる低カロリー油脂で
ある。

【００１２】本発明で用いるワックスは融点が４０℃以
上のものであることが必要で、これを満たさないと実質
的に肛門漏出防止効果がない。本発明で用いるワックス
としては、ひまわりワックス，なたねワックス，ごまワ
ックス，ライスワックス，サトウキビワックス，カルナ
バワックス，キャンデリラワックス，モンタンワックス
，鯨ロウ，セラックロウ，ミツロウなどを例示すること
ができる。

【００１３】このうちひまわりワックスは、ひまわり油
精製時の脱蝋工程で分離されるもので、分離された粗製
ワックスをそのまま用いることもできるが、好ましくは
ヘキサンによる分別などによってワックス含量を高めた
精製ワックスを使用する。粗製ワックス中のワックス含
量は２０％程度であるが、精製ワックスでは９０％以上
となる。

【００１４】また、なたねワックス，ごまワックス，米
ぬかワックスなども、ひまわりワックスの場合とほぼ同
様である。

【００１５】これらのワックスはリパーゼによって分解
されないので、摂取してもカロリーとならず、低カロリ
ー油脂に添加したときに低カロリー油脂本来の機能を阻
害することがない。

【００１６】これらのワックスの添加量は、低カロリー
油脂に対して２〜５０重量％が適当である。

【００１７】本発明にいう低カロリー油脂とは、そのま
までは肛門漏出を起こす各種の公知物質が含まれており
、ショ糖ポリエステル，ポリオルガノシロキサン流体，
ポリカルボン酸エステル，ホホバ油などを例示できる。

【００１８】

【実施例】実施例１ （１）ひまわりワックスの精製 ひまわり油の脱蝋工程で得られた粗製ワックス（ワック
ス１８％，ひまわり油８１％，その他１％）２ｋｇを、
ヘキサン５０ｌに５０℃で加温溶解する。次にこのヘキ
サン溶液を１０℃に冷却したところ、ひまわりワックス
が結晶化したので、濾過によって分離したところ３５０
ｇの精製ワックスが得られた。精製ワックス中のワック
ス含量をガスクロマトグラフィーで分析したところ、９
１％であった。

【００１９】（２）リパーゼ分解実験 精製ワックス０．５ｇを大豆油５００ｇに７０℃で加温
溶解して試料油を調製した。試料油１ｇをｐＨ８（１Ｍ
）トリス緩衝液２０ｍｌ，０．１％コール酸ナトリウム
５ｍｌおよび２Ｍ−ＣａＣｌ２　　２ｍｌを加えた水溶
液中４０℃で、撹拌しながらリパーゼ（和光純薬製パン
クレアチン）の量を変えて酵素分解を行った。

【００２０】６Ｎ−ＨＣ１を５ｍｌ加えて反応を停止し
てからエーテルで抽出し、ガスクロマトグラフィーに供
して大豆油の残存率を測定した。また、このエーテル抽
出物をシリカゲルカラムに供して大豆油の分解産物を除
き、さらに薄層クロマトグラフィーで濃縮してからガス
クロマトグラフィーに供して、ワックスの残存率を測定
した。その結果、大豆油（トリグリセリド）が分解され
る条件においても、ワックスは殆ど分解されないことが
確認された（表１）。

【００２１】

【表１】

【００２２】（３）動物による消化吸収実験動物用配合
飼料（無脂肪。以下同様）９０部に、大豆油９部および
上記の精製ワックス１部を加えてラットに１週間投与し
た。投与３日後から糞を集めて脂質を抽出し、ワックス
の***量を求めた。その結果、投与したワックスの９５
％が糞中に***されたので、ワックスが消化吸収されな
いことが確認された（表２）。

【００２３】

【表２】

【００２４】実施例２ ホホバ油８５ｋｇを６０℃以上に加温し、肛門漏出防止
剤として実施例１で得られた精製ひまわりワックス１５
ｋｇを撹拌しながら少しずつ加えて、完全に加温溶解し
た。次いでオンレーターを用いて撹拌しながら冷却する
ことによって、ひまわりワックスを微細な結晶に変え、
口当りが良く保存性の優れた低カロリー・ショートニン
グが製造された。

【００２５】この低カロリー・ショートニングの効果を
動物実験で確認した。実験動物用配合飼料を８５部，ラ
ード１０部および大豆油５部を配合した対照食と、ラー
ドの一部または全体を低カロリー・ショートニングで置
き換えた実験食を３週間ラットに投与し、脂質***量を
測定して脂質吸収率を求め、増体量を測定した。その結
果、実験食を与えたラットの脂質吸収率は低下し、増体
量が減少したが肛門漏出は認められず、ラットの生存率
は１００％であり、全てが活発に活動をしていた。これ
に対し、比較例（ホホバ油のみを与えた場合）は肛門漏
出が起こっており、ひまわりワックスが肛門漏出防止剤
として効果を示すことが確認された（表３）。

【００２６】

【表３】

【００２７】実施例３ ホホバ油２００ｋｇおよびオリーブ油１４０ｋｇを混合
してから６０℃以上に加温し、肛門漏出防止剤として実
施例１の粗製ひまわりワックス１６０ｋｇを撹拌しなが
ら少しずつ加えて完全に加温溶解して、低カロリー油脂
を製造した。この低カロリー油脂３８０ｋｇに乳化剤５
ｋｇ，フレーバー３ｋｇおよび着色料２０ｇを混合した
油相と、水１００ｌに食塩７ｋｇおよび脱脂粉乳５ｋｇ
を溶解した水相とを、タンクに入れて６０℃で均一に乳
化した。次いでオンレーターを用いて撹拌しながら急速
に冷却することによって、低カロリー・マーガリンを製
造した。

【００２８】実施例４ ホホバ油２８０ｋｇおよびなたね油１２０ｋｇを６０℃
以上に加温し、肛門漏出防止剤として市販のライスワッ
クス１００ｋｇを撹拌しながら少しずつ加えて完全に加
温溶解して、低カロリー油脂を製造した。この低カロリ
ー油脂を用いて、実施例３と同様にして低カロリー・マ
ーガリンを製造したところ、実施例３の低カロリー・マ
ーガリンよりも色のやや濃い製品が得られた。このもの
は肛門漏出を起こさなかった。

【００２９】実施例５ カナダ産のカルナバワックスを脱酸，脱臭処理して、食
品用硬化油の規格に準じた精製ワックスをえた。ホホバ
油３００ｋｇおよびコーン油１７０ｋｇを６０℃以上に
加温し、肛門漏出防止剤としてこの精製ワックス３０ｋ
ｇを撹拌しながら少しずつ加えて完全に加温溶解して、
低カロリー油脂を製造した。この低カロリー油脂を用い
て、実施例３と同様にして低カロリー・マーガリンを製
造した。このものは肛門漏出を起こさなかった。

【００３０】実施例６ プロパントリカルボン酸のオレイルアルコールトリエス
テル４００ｋｇを６０℃以上に加温し、肛門漏出防止剤
として実施例１で得られた精製ひわまりワックス１００
ｋｇを撹拌しながら少しずつ加えて完全に加温溶解して
、低カロリー油脂を製造した。この低カロリー油脂を用
いて、実施例３と同様にして低カロリー・マーガリンを
製造したところ、実施例３の低カロリー・マーガリンよ
りも色のやや淡い製品が得られた。

【００３１】この低カロリー・マーガリンの効果を動物
実験で確認した。実験動物用配合飼料を８５部，低カロ
リー・マーガリンを１５部配合した実験食と、プロパン
トリカルボン酸のオレイルアルコールトリエステルのみ
で同様に試作したマーガリンで置き換えた対照食を３週
間ラットに投与し、肛門漏出の有無を求め、増体量を測
定した（表４）。

【００３２】

【表４】

【００３３】実施例７ ショ糖オクタオレイン酸エステルを主成分とし大豆硬化
油を配合し、さらに肛門漏出防止剤として実施例で得ら
れた精製ひまわりワックスを添加した表５の配合からな
るマーガリンをオンレーターを用いて製造した。また比
較例として、ショ糖オクタオレイン酸エステルを大豆油
で置き換えたものおよび肛門漏出防止剤を添加しないも
のも試作した。

【００３４】

【表５】

【００３５】実験動物用配合飼料８０部，実施例または
比較例のマーガリン２０部を配合して、肥満系ラットに
５週間投与した。その結果、比較例Ａは肥満がみられ、
また比較例Ｂでは肛門漏出がみられ、活動が不活発であ
った。これらに対し本発明品においては、肛門漏出がな
く、肥満も認められず活発に活動していた。

【００３６】

【発明の効果】本発明によれば、従来、肛門漏出が起こ
っていた低カロリー油脂の問題点が効果的に解決され、
肛門漏出のない改良された低カロリー油脂が得られる。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　融点４０℃以上のワックスを肛門漏出
   防止剤として配合してなる低カロリー油脂。