JP4526147B2 - 植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物の製造方法 - Google Patents

植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はコレステロール吸収抑制作用を有する植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
植物ステロールには小腸からのコレステロールの吸収抑制作用があることが古くから知られており、血漿コレステロール濃度低下剤として用いられている。コレステロールの吸収は、コレステロールが胆汁酸ミセルへ溶解することが必要である。しかし、コレステロールの胆汁酸への溶解量は低く、大部分はエマルジョンの状態にある。
【0003】
一方、植物ステロールの場合もコレステロールとほぼ同程度の量が胆汁酸ミセルへ溶解する。従って、コレステロールと植物ステロールが共存すると、コレステロールの胆汁酸ミセルへの溶解量が減少することになる。また、植物ステロールの小腸からの吸収率は低く、小腸内腔に残存するため、コレステロールの胆汁酸ミセルへの溶解量は制限されたままとなり、コレステロールの吸収が抑制されることなる。従って、食事から摂取するコレステロールの影響を受けやすいヒトの場合、植物ステロールは有効な血漿コレステロール低下剤として、臨床的に利用されている。
【0004】
この植物ステロールは植物油脂や大豆、小麦等に含まれており、日常の食事で摂取しているが、その量はごく僅かなものである。コレステロールの吸収を抑制させるためには、1日約1〜2gの植物ステロールが必要であり、通常のヒトの食事でそのような多量の植物ステロールを摂取することは困難である。
【0005】
最近、植物ステロールを油脂製品に利用するために、油脂への溶解性を高める方法が数多く提案されている。
特公昭57−26732号公報には、油脂中の遊離脂肪酸の含量を高めることによって植物ステロールの溶解性を高める方法が提案されている。この方法では、植物ステロールの溶解性は向上するが、油脂中の遊離脂肪酸含量が高くそのまま製品化するのは難しい。
【0006】
特開昭59−147099号公報には、脱臭スカムを食用油脂に添加し、それを精製して油脂中の植物ステロール含量を高める方法が、特開昭57−39736号公報には、食用油脂から有機溶剤を用いて植物ステロールを抽出し、それを添加した油脂組成物が提案されているが、これらの方法で調製した油脂中の植物ステロールの含量はごく僅かなものであり満足できるものではない。
【0007】
特開昭57−206336号公報には、植物ステロールを0.5 〜30重量%含有した食用油脂が提案されている。植物ステロールの油脂への溶解性は僅かであるため単に植物ステロールを油脂に混ぜただけでは、油脂への溶解性を改良したことにはなっていない。
【0008】
つまり、常温で植物ステロールの結晶化が起きることなく、その含量の高い油脂の製造方法は現在のところ見つかっていない。
【0009】
他方、植物ステロールを植物ステロール脂肪酸エステルにして油脂への溶解性を高めた方法もある。植物ステロール脂肪酸エステルは、小腸内で遊離の植物ステロールと脂肪酸に加水分解されるため、植物ステロールと同様にコレステロール吸収抑制作用を有する。
【0010】
ベルギー特許第753648号には、植物ステロール脂肪酸エステルを0.5〜10重量%添加したサラダ油が開示されている。この特許は、植物ステロール脂肪酸エステルを植物ステロールと脂肪酸無水物との化学的エステル交換反応で調製し、油脂へ添加するという方法である。この方法は、植物ステロール脂肪酸エステルを調製した後、多工程の精製が必要となり、収率及びコスト的に劣る方法である。さらに、植物ステロール脂肪酸エステルの調製方法も化学的方法としか言及されておらず、その方法も食品に適するものではない。
【0011】
また、特表平6−506909号公報では、植物ステロールを硬化した植物スタノールと脂肪酸低級アルコールエステルをアルカリ触媒でエステル交換して植物スタノール脂肪酸エステルを調製し、それを含有した油脂組成物が提案されている。この方法も植物スタノール脂肪酸エステルの調製は化学法とのみしか言及されておらず、植物スタノール脂肪酸エステルを調製した後、多工程の精製が必要で、収率及びコスト的に有効な方法ではない。
【0012】
特開昭62−166895号公報では、水媒系及び/又は含水有機溶媒系下でリパーゼを触媒として脂肪酸又は脂肪酸エステルと植物ステロールのエステル化反応が開示されているが、この反応は溶媒を使用するため脱溶媒工程が必要なこと、含水溶媒で反応を行うため得られる組成物の酸価も高いという欠点がある。
【0013】
WO9742830号には、液状油に植物ステロールと植物ステロールエステル(植物ステロールフィチン酸エステル)を特定の比率で配合したマーガリン類が提案されているが、これも後述する本発明とは明らかに異なるものである。
【0014】
また、一般に植物ステロールは油脂の脱臭スカムより産出するものであり、その風味は良好なものとは言えない。このため、植物ステロールを多量に配合すると当然風味は悪くなる。上記方法では、油脂中の植物ステロールの含量を高める方法については数多くの提案があるものの、精製油の風味について記載しているものは見当たらない。
【0015】
従って、本発明の目的は、コレステロール吸収抑制作用を有する植物ステロールを植物ステロール脂肪酸エステルとして高含量含有し、植物ステロールを高含量含有していてもその結晶が析出することなく、風味良好な植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物の製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意研究した結果、植物ステロールと油脂との混合物を無溶媒下でリパーゼを触媒として60〜80℃でエステル化反応させることを特徴とする植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物の製造方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0017】
【発明の実施形態】
以下、本発明の植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物の製造方法について詳細に説明する。
【0018】
本発明で用いられる植物ステロールは、大豆、菜種、綿実等の種子油の不けん化物中に含まれており、主に植物油の脱臭工程で産出される脱臭スカムより分離して得られるものである。
【0019】
植物ステロールとしては、一般にβ−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、ブラシカステロール等が知られている。本発明で用いられる植物ステロールは、これらの分離単独品である必要はなく、上記ステロールの混合物で十分である。また、本発明に用いられる植物ステロールは、上記ステロールを水素添加したスタノールを含んでいてもよい。
【0020】
本発明で用いられる脂肪酸エステルとは、トリグリセリドを主成分とした油脂及び/又は脂肪酸低級アルコールエステルからなるものである。
【0021】
油脂としては、脂肪酸組成が炭素数4〜24の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸からなる油脂で、具体的にはパーム油、パームオレイン、スーパーオレイン、パームステアリン、パーム中融点部等のパーム系油脂、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、サンフラワー油、ハイオレイックサンフラワー油、米糠油等の液状油、パーム核油、ヤシ油等のラウリン系油脂、牛脂、豚脂、魚油、乳脂等の動物油脂、これらの油脂の硬化油、分別油あるいはエステル交換油を単独あるいは配合して用いることができる。しかし、健康面を考えると植物性油脂を使用する方が好ましい。また特にマーガリン、ファットスプレッド等に使用する場合、多不飽和脂肪酸を30重量%以上含むような油脂配合物を使用するのが好ましい。
【0022】
本発明で用いられる脂肪酸低級アルコールエステルの脂肪酸部分としては、好ましくは炭素数4〜24の飽和又は不飽和脂肪酸、さらに好ましくは炭素数16〜24の飽和又は不飽和脂肪酸で、アルコール部分は、エタノール、メタノール等の加水分解されたときに遊離するアルコールの沸点が100℃以下の低級アルコールが好ましい。
【0023】
また本発明で用いられる脂肪酸は、好ましくは炭素数4〜24の飽和又は不飽和脂肪酸、さらに好ましくは炭素数16〜24の飽和又は不飽和脂肪酸を用いるのがよい。
【0024】
本発明において、植物ステロールと脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸との混合物の割合としては、以下のような範囲に入ることが好ましい。
つまり植物ステロールのモル数をa、油脂のモル数をb、脂肪酸及び/又は脂肪酸低級アルコールエステルのモル数をcとしたとき、(7a−9b)/10≦cの範囲となるような割合で混合するのが好ましく、さらに好ましくは(4a−3b)/5≦cの範囲となるような割合で混合するのがよい。
【0025】
混合物中のc(脂肪酸及び/又は脂肪酸低級アルコールエステル)の割合が(7a−9b)/10よりも小さくなると遊離の植物ステロールが残存し、植物ステロール脂肪酸エステルの生成率が低下しやすい。
【0026】
特に植物ステロールと油脂の混合物を用いてエステル化反応を行う場合の植物ステロールと油脂の混合割合は、好ましくは油脂を99〜65重量%と植物ステロールを1〜35重量%、さらに好ましくは油脂を95〜65重量%と植物ステロールを5〜35重量%、最も好ましくは油脂を90〜75重量%と植物ステロールを10〜25重量%混合したもの用いる。植物ステロールの配合量が35重量%よりも多いと、未反応の植物ステロールが残存し、口どけが悪くなりやすく、1重量%よりも少ないとコレステロール吸収抑制効果が発揮されにくい。
【0027】
本発明に係るエステル化反応に使用するリパーゼは特に制限はないが、位置選択性が無いものを使用するのが好ましい。
【0028】
本発明で用いられるリパーゼとしては、具体的にはAlcaligenes 属、Chromobacterium 属、Pseudomonas 属、Humicola属から得られる酵素等が好ましく、この中で、Alcaligenes 属、Chromobacterium 属、Pseudomonas 属から得られる酵素等がさらに好ましく、Alcaligenes 属から得られる酵素が最も好ましい。これらの酵素は、酵素粉末のままで使用することも可能であるが、ケイソウ土、アルミナ、イオン交換樹脂、活性炭、セラミック等の担体に固定化して用いてもかまわない。また本発明ではリパーゼとして、固体状のもの、つまり粉末状のものや上記のような担体に固定化したものを用いるのが好ましく、リパーゼを水溶液として用いるのは好ましくない。
【0029】
また植物ステロールと油脂の混合物を無溶媒下でエステル化反応を行う場合、使用するリパーゼのエステル交換活性が好ましくは0.4mol/hr・kg以上、さらに好ましくは0.45mol/hr・kg以上、最も好ましくは0.5mol/hr・kg以上となるようにエステル化反応を行うのがよい。
【0030】
本発明では、植物ステロールと油脂の混合物を無溶媒下で、位置選択性の無いリパーゼを触媒としてエステル化反応を行う場合、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)が、好ましくは0.4以上、更に好ましくは0.5以上、最も好ましくは0.6以上となるように反応させるのが好ましい。
【0031】
リパーゼの使用量は、そのリパーゼの活性によって異なるが、植物ステロールと脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸との混合物100重量部に対して、0.03〜10重量部とするのが好ましく、さらに好ましくは0.03〜5重量部、最も好ましくは0.05〜3重量部である。
【0032】
本発明におけるエステル化反応は、無溶媒下で行う。無溶媒とすることによりエステル化反応後に脱溶剤を行なう必要がない。反応温度は60〜80℃で行う。反応温度が45℃よりも低いと反応が完全に起こりにくく、100℃よりも高いと酵素の失活が大きく効率的でない。
【0033】
また、エステル交換の反応系の水分量は、好ましくは900ppm以下、さらに好ましくは500ppm以下であることが、反応油の加水分解をできるだけ低くし、脱臭工程での損失を低くできるため望ましい。
【0034】
従って、植物ステロールと脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸との混合物中の水分量は、好ましくは900ppm以下、さらに好ましくは500ppm以下であることが望ましい。
【0035】
本発明におけるエステル化反応は、減圧下で行うことが好ましい。このとき好ましくは6,650Pa(50torr)以下、さらに好ましくは3,990Pa(30torr)以下、一層好ましくは2,660Pa(20torr)以下、最も好ましくは1,330Pa(10torr)以下の減圧下でエステル化反応を行う。減圧下でエステル化反応を行うことにより、エステル化反応により生成したアルコールや水が気相に移行するので、脱アルコールや脱水を同時に行うことができる。エステル化反応を減圧下で行うことにより、植物ステロールと脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸との混合物において、エステル化反応を完全に行い、植物ステロール脂肪酸エステルの収率を高めることができる。エステル化反応を減圧下で行わないと、エステル化反応を完全に行うことができないので、遊離の植物ステロールが残存してしまい、植物ステロール脂肪酸エステルの収率が悪くなりやすい。さらに、減圧下でエステル化反応を行わないと、生成したアルコールによって酵素が失活する可能性がある。
【0036】
本発明におけるエステル化反応は、酵素を用いる方法であるので、ソジウムメチラートのようなアルカリ触媒を用いたエステル化反応とは異なり水洗や中和工程を行うことなく、そのまま精製(漂白、脱臭)し、使用することができるため、収率及び精製コストの点から非常に効率的な方法である。
【0037】
本発明におけるエステル化反応は、バッチ式の回分反応、半連続式の反応、カラム等の連続反応でも反応を行うことができる。特にバッチ式の回分反応でエステル化反応を行うのが、反応温度を低くすることができ、酵素の熱失活や酵素の酸化劣化を抑制でき、また減圧下でエステル化反応を行うのが容易であるので好ましい。
【0038】
カラム反応の場合、反応温度は65℃以上とする。またカラム反応では植物ステロールと脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸との混合物を完全に溶解したものを通液しなければならず、植物ステロールの配合量が多くなるにしたがい、反応温度は高くする。例えば植物ステロールの配合量が植物ステロールと脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸との混合物中10重量%未満のときは65℃以上、10重量%以上25重量%未満のときは70℃以上、25重量%以上35重量%以下のときは80℃以上とする。
【0039】
一方、バッチ式の回分反応の場合、反応温度は45〜65℃とする。回分反応の場合、植物ステロールと脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸との混合物が完全に溶解していた方が反応時間は速いが、完全に溶解していなくても反応を行うことができる。これは、植物ステロールと脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸との混合物中に溶解していない植物ステロールが残存していても、一部溶解している植物ステロールが反応し、植物ステロール脂肪酸エステルになる。植物ステロール脂肪酸エステルは脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸への溶解性が大きいため、反応した分の植物ステロールがさらに溶解することになる。この繰り返しによって、植物ステロールと脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸との混合物中の植物ステロールが完全に植物ステロール脂肪酸エステルに変化する。このため、回分反応では反応温度をカラム反応に比べ低くすることができる。
【0040】
また、脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸との混合物を完全に溶解させた後、植物ステロールを少量づつ添加し、無溶媒下でリパーゼによるエステル化反応を行ない、反応が終了したら、さらに植物ステロールを添加し、無溶媒下でリパーゼによるエステル化反応を行なうこともできる。
【0041】
本発明の植物ステロールと脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸との混合物を無溶媒下でリパーゼを触媒としてエステル化反応を行うことにより得られた植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物は、通常、漂白、脱臭又は脱酸、漂白、脱臭を行うことによって精製する。漂白工程は、活性白土、シリカ、活性炭等の吸着剤で処理することによって行う。
【0042】
また脱臭工程における、脱臭温度は通常250〜265℃のような高温で行われるが、本発明では好ましくは250℃以下、特に好ましくは120〜230℃で行う。これは、脱臭温度が250℃よりも高いと生成した植物ステロール脂肪酸エステルのロスが多くなりやすいためである。
【0043】
また、脱臭時間は脱臭温度と反応油の酸価や残存している得られた植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物の酸価によって異なるが通常30〜180分で行う。
【0044】
本発明のエステル化反応により、植物ステロール脂肪酸エステルが生成する。植物ステロールと油脂のエステル化反応は、アルコリシス反応であり、このような方法により得られた植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物は反応によってエステル交換されたトリグリセリド( 以下、TGと略す)、ジアシルグリセリン( 以下、DGと略す)と植物ステロール脂肪酸エステルが生成する。この植物ステロール脂肪酸エステルは、反応する油脂の脂肪酸組成によって異なるが炭素数4〜24の飽和又は不飽和脂肪酸からなるものである。
【0045】
植物ステロールと油脂の混合物を用いた場合、得られた植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物におけるDGと植物ステロール脂肪酸エステルとの含有比率は、好ましくはDGが3〜25重量%及び植物ステロール脂肪酸エステルが2〜80重量%である。上記の植物ステロールと油脂の混合物を用いた場合とは、脂肪酸低級アルコール及び/又は脂肪酸を添加している場合も含まれる。
【0046】
このように、本発明の植物ステロールと油脂との混合物を無溶媒下でリパーゼを触媒としたエステル化反応を行うことによって、植物ステロール脂肪酸エステル含量が高いだけでなく、DG含量も高い植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物を得ることができる。
【0047】
植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物中のDG含量が高くなると、遊離の植物ステロールの溶解性が向上する。このため、エステル化反応で生成した植物ステロール脂肪酸エステルの他に、遊離の植物ステロールの溶解性も向上するため、油脂中の植物ステロールの含量をさらに高めることができる。
【0049】
本発明に係わるエステル化反応による植物ステロール脂肪酸エステルの生成率は70〜100%、好ましくは80〜100%、さらに好ましくは90〜100%である。尚、ここでいう植物ステロール脂肪酸エステルの生成率とは、
(A/B)×100
A:反応油中の植物ステロール含有量(植物ステロール脂肪酸エステル画分;重量%)
B:反応前の全植物ステロールの含有量(重量%)で求めた値である。
【0050】
本発明の植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物の製造方法で得られた組成物は、植物ステロール脂肪酸エステルを5重量%以上含有し、好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上、最も好ましくは30重量%以上含有しており、そのままあるいは他の油脂と配合することによってフライ油脂、パン、ケーキ、クッキー用ショートニング、マーガリン、ロールイン用油脂、ホイップクリーム用油脂、マヨネーズ用等油脂として用いることができる。また上記用途に本発明により得られた組成物を用いた場合、植物ステロール脂肪酸エステルには乳化力があるので、乳化剤を添加しなくても乳化安定性を付与することができる。
【0051】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何等制限されるものではない。なお、例中に示す%は、重量%を意味する(但し;植物ステロール脂肪酸エステルの生成率、エステル交換率、トリグリセリドの2位の脂肪酸の交換率を除く)。尚、下記実施例1〜22のうち、実施例1〜15、17、19及び20が本発明の実施例であり、実施例16、18、21及び22は参考例である。
【0052】
(エステル交換活性の計算方法)
100mlの三角フラスコに原料油(オリーブ油:トリミリスチン=9 :1)20gを入れ、60℃で完全に溶解した。原料油が完全に溶解した後、酵素0.2g(対油1%)を添加し、反応温度60℃でエステル交換反応を行った。なお、原料油の水分は200ppmに調節して反応を行った。24時間後、反応油の組成を分析し、以下のように酵素のエステル交換活性(mol/hr・kg)を求めた。
Figure 0004526147
w :トリミリスチンの重量(g)
Mw:トリミリスチンの分子量
Xt:エステル交換率=(TMO−TMt)/(TMO−TMeq)×100
TMO :原料油トリミリスチン含量
TMt :t(hr)反応後のトリミリスチン含量
TMeq:全ランダム計算値におけるトリミリスチン含量
t :反応時間
W :酵素重量(kg)
【0053】
(2位脂肪酸の交換率/エステル交換率の計算方法)
100mlの三角フラスコに原料油(オリーブ油:トリミリスチン=9:1)20gを入れ、60℃で完全に溶解した。原料油が完全に溶解した後、酵素0.2g(対油1%)を添加し、反応温度60℃でエステル交換反応を行った。なお、原料油の水分は200ppmに調節して反応を行った。40時間後、反応油の組成を分析し、下記に示す式により、▲1▼エステル交換率及び▲2▼トリグリセリドの2位脂肪酸の交換率を求め、▲2▼/▲1▼を求めた。
エステル交換率
Xt=(TMO−TMt)/(TMO−TMeq)×100
TMO :原料油のトリミリスチン含量
TMt :t(hr)反応後のトリミリスチン含量
TMeq:全ランダム計算値におけるトリミリスチン含量
トリグリセリドの2位脂肪酸の交換率
X2t=(PO−Pt)/(PO−Peq)×100
PO :原料油の2位のパルミチン酸含量
Pt :t(hr)反応後の2位のパルミチン酸含量
Peq:全ランダム計算値における2位パルミチン酸含量
【0054】
【表1】
Figure 0004526147
【0055】
【表2】
Figure 0004526147
【0056】
以下の実施例で、原料油脂中の各成分は、次の分子量を用いてモル数を計算した。
菜種油トリグリセリド:MW884
植物ステロール :MW414
オレイン酸エチル :MW310.5
オレイン酸メチル :MW296
オレイン酸 :MW282
【0057】
〔実施例1〕
1リットルのフラスコに原料油(ナタネ油90%及び植物ステロール10%の混合油)200gを入れ、65℃で完全に溶解した。このときのナタネ油は低エルカ酸ナタネ油を、植物ステロールはタマ生化学(株)製のフィトステロールF(植物ステロール含量99%) を使用した。原料油が完全に溶解した後、リパーゼQL0.63gを添加し、反応温度を65℃とし、反応時間40時間で、エステル交換反応を行った。
【0058】
使用したリパーゼのエステル交換活性を表1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表2にそれぞれ示す。なお、原料油の水分は150ppmに調節して反応を行った。また、得られた反応精製油(エステル交換油)の植物ステロール脂肪酸エステルの生成率を表3に示す。
【0059】
〔実施例2〕
実施例1においてリパーゼQLを0.63g添加するところを、リパーゼQLCを2.0g添加したほかは実施例1と同様の方法にてエステル交換反応を行った。
【0060】
使用したリパーゼのエステル交換活性を表1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油(エステル交換油)の植物ステロール脂肪酸エステルの生成率を表3に示す。
【0061】
〔実施例3〕
実施例1においてリパーゼQLを0.63g添加するところを、リパーゼPLCを5.8g添加したほかは実施例1と同様の方法にてエステル交換反応を行った。
【0062】
使用したリパーゼのエステル交換活性を表1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油(エステル交換油)の植物ステロール脂肪酸エステルの生成率を表3に示す。
【0063】
〔実施例4〕
実施例1においてリパーゼQLを0.63g添加するところを、CHIRAZYME L1を0.69g添加したほかは実施例1と同様の方法にてエステル交換反応を行った。
【0064】
使用したリパーゼのエステル交換活性を表1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油(エステル交換油)の植物ステロール脂肪酸エステルの生成率を表3に示す。
【0065】
上記の実施例1〜実施例4においては、酵素の添加量はエステル交換活性が同じになるような酵素量とした。
【0066】
【表3】
Figure 0004526147
【0067】
植物ステロール脂肪酸エステルの生成率は次のようにして求めた。
植物ステロール脂肪酸エステルの生成率=(A/B)×100
A:反応油中の植物ステロール含量(植物ステロール 画分;重量%)
B:反応前の全植物ステロール含量(重量%)
【0068】
また、反応油中の植物ステロール含量は、反応油2gをフロリジルカラム20gにて分画した。分画は、n−Hex150mlで行った。n−Hex抽出画分に遊離の植物ステロールが含まれていないのを確かめた後、それのステロール含量を測定した。このn−Hex抽出画分のステロール含量を基準油脂分析法(日本油化学協会)の2.4.9.1−1996ステロール(薄層クロマトグラフ−ガスクロマトグラフ法)に準じて測定した。
【0069】
〔実施例5〜8〕
表4に示す混合割合の原料油200gにリパーゼQLCを2g添加し、反応温度65℃、反応時間40時間でエステル交換反応を行った。なお、原料油の水分は150ppmに調節した。得られた油脂組成物(反応油)の組成及び植物ステロール脂肪酸エステルの生成率を表4に示す。
【0070】
【表4】
Figure 0004526147
【0071】
表4において、反応精製油の組成は、イアトロスキャンでの分析値を示す。また、植物ステロール脂肪酸エステルの生成率は、実施例1と同様に求めた。
【0072】
表4の結果より、ナタネ油と植物ステロールを混合した原料油をエステル交換すると、植物ステロール脂肪酸エステルとジアシルグリセリン(DG)を高含量含んだ油脂組成物を調製できることが判る。また、植物ステロールの配合量が多くなると未反応の植物ステロールが残存することが判る。
【0073】
〔実施例9〕
1リットルのフラスコに原料油(植物ステロール30%、ナタネ油44%、オレイン酸エチルエステル26%の配合油)250gを入れ、リパーゼQLC5.0g(対油2.0%)を添加し、反応温度65℃、減圧下(1,330Pa;10torr)でエタノール除去しながらエステル化反応を行い、エタノールを除去できなくなるまで反応を行った。反応終了後、常法で漂白(温度85℃にて、反応物に対し白土を1%添加し、1,330Pa以下の減圧下で30分間処理)、温度200℃、399Pa以下の減圧下で60分間水蒸気蒸留を行う脱臭にて、未反応の脂肪酸エチルを除去し、反応精製油を得た。
【0074】
使用したリパーゼのエステル交換活性を表1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を表5に示した。なお、ナタネ油は低エルカ酸ナタネ油を、オレイン酸エチルエステルは和光純薬(株)製を使用した。
【0075】
また原料油脂中の植物ステロール、ナタネ油、オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.18(a)、0.12(b)、0.21(c)である。
(7a−9b)/10≦c
に、各モル数を代入すると0.018 <0.21となり、上記範囲を満たしていた。
【0076】
〔実施例10〕
実施例9においてリパーゼQLC5.0g(対油2.0%)をリパーゼQL 2.5g(対油1.0%)に変更したほかは実施例9と同様の方法にて反応精製油を得た。
【0077】
使用したリパーゼのエステル交換活性を表1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を表5に示した。
【0078】
そして原料油脂中の植物ステロール、ナタネ油、オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.18(a)、0.12(b)、0.21(c)である。
(7a−9b)/10≦c
に、各モル数を代入すると0.018 <0.21となり、上記範囲を満たしていた。
【0079】
〔実施例11〕
実施例9においてリパーゼQLC5.0g(対油2.0%)をリパーゼPLC10.0g(対油4.0%)に変更したほかは実施例9と同様の方法にて反応精製油を得た。
【0080】
使用したリパーゼのエステル交換活性を表1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を表5に示した。
【0081】
そして原料油脂中の植物ステロール、ナタネ油、オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.18(a)、0.12(b)、0.21(c)である。
(7a−9b)/10≦c
に、各モル数を代入すると0.018 <0.21となり、上記範囲を満たしていた。
【0082】
〔実施例12〕
実施例9においてリパーゼQLC5.0g(対油2.0%)をCHIRAZYME L1 2.5g(対油1.0%)に変更したほかは実施例9と同様の方法にて反応精製油を得た。
【0083】
使用したリパーゼのエステル交換活性を表1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を表5に示した。
【0084】
そして原料油脂中の植物ステロール、ナタネ油、オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.18(a)、0.12(b)、0.21(c)である。
(7a−9b)/10≦c
に、各モル数を代入すると0.018 <0.21となり、上記範囲を満たしていた。
【0085】
【表5】
Figure 0004526147
【0086】
表5において、反応精製油の組成は、イアトロスキャンでの分析値を示す。また、植物ステロール脂肪酸エステルの生成率は、実施例1と同様に求めた。
【0087】
〔実施例13〕
1リットルのフラスコに原料油(植物ステロール24%、ナタネ油55%、オレイン酸エチルエステル21%の配合油)250gを入れ、リパーゼQL2.5g(対油1.0%)を添加し、反応温度65℃、減圧下(1,330Pa;10torr)でエタノール除去しながらエステル化反応を行い、エタノールを除去できなくなるまで反応を行った。反応終了後、常法で漂白(温度85℃にて、反応物に対し白土を1%添加し、1,330Pa以下の減圧下で30分間処理)、温度200℃、399Pa以下の減圧下で60分間水蒸気蒸留を行う脱臭にて、未反応の脂肪酸エチルを除去し、反応精製油を得た。
【0088】
使用したリパーゼのエステル交換活性を表1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を表6に示した。
【0089】
また原料油脂中の植物ステロール、ナタネ油、オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.14(a)、0.16(b)、0.17(c)である。
(7a−9b)/10≦c
に、各モル数を代入すると−0.046 <0.17となり、上記範囲を満たしていた。
【0090】
〔実施例14〕
原料油を植物ステロール34.5%、ナタネ油34.5%、オレイン酸エチルエステル31%の配合油を使用し、反応温度を75℃に変えた以外は、実施例13と同様の方法にて反応精製油を得た。
【0091】
使用したリパーゼのエステル交換活性を表1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を表6に示した。
【0092】
また原料油脂中の植物ステロール、ナタネ油、オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.21(a)、0.10(b)、0.25(c)である。
(7a−9b)/10≦c
に、各モル数を代入すると0.057<0.25となり、上記範囲を満たしていた。
【0093】
〔実施例15〕
原料油を植物ステロール43%、ナタネ油19%、オレイン酸エチルエステル38%の配合油を使用し、反応温度を75℃に変えた以外は、実施例13と同様の方法にて反応精製油を得た。
【0094】
使用したリパーゼのエステル交換活性を表1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を表6に示した。
【0095】
また油脂中の植物ステロール、ナタネ油、オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.26(a)、0.05(b)、0.25(c)である。
(7a−9b)/10≦c
に、各モル数を代入すると0.137<0.25となり、上記範囲を満たしていた。
【0096】
〔実施例16〕
原料油を植物ステロール55%、ナタネ油0%、オレイン酸エチルエステル 45%の配合油を使用し、反応温度を95℃に変えた以外は、実施例13と同様の方法にて反応精製油を得た。
【0097】
使用したリパーゼのエステル交換活性を表1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を表6に示した。
【0098】
また原料油脂中の植物ステロール、ナタネ油、オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.33(a)、0(b)、0.36(c)である。
(7a−9b)/10≦c
に、各モル数を代入すると0.231<0.36となり、上記範囲を満たしていた。
【0099】
〔実施例17〕
原料油を植物ステロール11%、ナタネ油80%、オレイン酸エチルエステル9%の配合油を使用した以外は、実施例13と同様の方法にて反応精製油を得た。
【0100】
使用したリパーゼのエステル交換活性を表1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を表6に示した。
【0101】
また油脂中の植物ステロール、ナタネ油、オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.07(a)、0.23(b)、0.07(c)である。
(7a−9b)/10≦c
に、各モル数を代入すると−0.158≦0.07となり、上記範囲を満たしていた。
【0102】
〔実施例18〕
原料油を植物ステロール35%、ナタネ油0%、オレイン酸エチルエステル65%の配合油を使用した以外は、実施例13と同様の方法にて反応精製油を得た。
【0103】
使用したリパーゼのエステル交換活性を表1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を表6に示した。
【0104】
また油脂中の植物ステロール、ナタネ油、オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.21(a)、0(b)、0.52(c)である。
(7a−9b)/10≦c
に、各モル数を代入すると0.147≦0.52となり、上記範囲を満たしていた。
【0105】
【表6】
Figure 0004526147
【0106】
表6において、反応精製油の組成は、イアトロスキャンでの分析値を示す。また、植物ステロール脂肪酸エステルの生成率は、実施例1と同様に求めた。
【0107】
〔実施例19〕
原料油を植物ステロール30%、ナタネ油44%、オレイン酸メチルエステル(和光純薬(株)製)26%の配合油を使用し、1,330Pa以下の減圧下で脱メタノールしながら反応を行った以外は実施例9と同様の方法で反応精製油を得た。
【0108】
使用したリパーゼのエステル交換活性を表1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を表7に示した。
【0109】
また油脂中の植物ステロール、ナタネ油、オレイン酸メチルエステルの各モル数は 0.18(a)、0.12(b)、0.22(c)である。
(7a−9b)/10≦c
に、各モル数を代入すると0.018≦0.22となり、上記範囲を満たしていた。
【0110】
〔実施例20〕
原料油を植物ステロール30%、ナタネ油44%、オレイン酸(和光純薬(株)製)26%の配合油を使用し、1,330Pa以下の減圧下で脱水を行いながら反応を行った以外は、実施例9と同様の方法で反応精製油を得た。
【0111】
使用したリパーゼのエステル交換活性を表1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を表7に示した。
【0112】
また油脂中の植物ステロール、ナタネ油、オレイン酸の各モル数は0.18(a)、0.12(b)、0.23(c)である。
(7a−9b)/10≦c
に、各モル数を代入すると0.018≦0.23となり、上記範囲を満たしていた。
【0113】
〔実施例21〕
原料油を植物ステロール55%、ナタネ油 0%、オレイン酸45%の配合油を使用し、1,330以下の減圧下で脱水を行いながら反応を行った以外は、実施例9と同様の方法で反応精製油を得た。
【0114】
使用したリパーゼのエステル交換活性を表1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を表7に示した。
【0115】
また油脂中の植物ステロール、ナタネ油、オレイン酸の各モル数は0.33(a)、0(b)、0.40(c)である。
(7a−9b)/5≦c
に、各モル数を代入すると0.231≦0.40となり、上記範囲を満たしていた。
【0116】
〔実施例22〕
原料油を植物ステロール35%、ナタネ油0%、オレイン酸65%の配合油を使用し、1,330Pa以下の減圧下で脱水を行いながら反応を行った以外は、実施例9と同様の方法で反応精製油を得た。
【0117】
使用したリパーゼのエステル交換活性を表1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を表7に示した。
【0118】
また油脂中の植物ステロール、ナタネ油、オレイン酸の各モル数は0.21(a)、0(b)、0.58(c)である。
(7a−9b)/10≦c
に、各モル数を代入すると0.147≦0.58となり、上記範囲を満たしていた。
【0119】
【表7】
Figure 0004526147
【0120】
表7において、反応精製油の組成は、イアトロスキャンでの分析値を示す。また、植物ステロール脂肪酸エステルの生成率は、実施例1と同様に求めた。
【0121】
表7の結果より、脱アルコール(含む脱水)されるアルコールの沸点が100℃以下の脂肪酸エステルを使用すると、植物ステロール脂肪酸エステルを高含量含んだ油脂組成物が得られることが判る。
【0122】
【発明の効果】
本発明の製造方法によって、コレステロール吸収抑制作用を有する有する植物ステロールを植物ステロール脂肪酸エステルとして高含量含有し、植物ステロールを高含量含有していてもその結晶が析出することのない、風味良好な植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物を提供することができる。

Claims (8)

  1. 植物ステロールと油脂との混合物を無溶媒下でリパーゼを触媒として60〜80℃でエステル化反応させることを特徴とする植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物の製造方法。
  2. 上記混合物が、脂肪酸及び/又は脂肪酸低級アルコールエステルを含有することを特徴とする請求項1記載の植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物の製造方法。
  3. 上記リパーゼが、位置選択性の無いリパーゼであることを特徴とする請求項1又は2記載の植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物の製造方法。
  4. 上記エステル化反応を減圧下で行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物の製造方法。
  5. 上記混合物の水分が、900ppm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物の製造方法。
  6. (2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)が0.4以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物の製造方法。
  7. リパーゼのエステル交換活性が0.4mol/(hr・kg)以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物の製造方法。
  8. 上記植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物がジアシルグリセリンを含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物の製造方法。
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