JPH0411289B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は溶融金属から薄鋳片を直接製造する
薄鋳片連続鋳造機における鋳造空間を１対の循環
体とともに形成する短辺側板に関する。

（従来の技術） 溶融金属（以下は「溶鋼」の例で説明する）か
ら直接シートバーの如き薄鋳片を連続的に製造す
る連続鋳造機（すなわちベルトキヤスター）とし
て、最近種々の形式のものが提案されている。第
２図にその代表的な一例を示す。例示の同期式ベ
ルトキヤスターは、絞り込み方式のもので、所定
の距離にわたつて溶鋼や凝固シエル等の鋳造材料
を保持するための間〓を維持しつつ、それぞれ複
数個のガイドロール３ａ，３ｂ，３ｃを介して輪
回移動する対向配置とした１対の長辺面を支持す
る金属ベルト１，２と、それら両金属ベルト相互
間にあつて各々の側縁近傍で緊密に接している短
辺面を支持するための上広下すぼまり状の短辺側
板４，５とで４方を限局して鋳造空間とするしく
みになつている。

該鋳造空間に浸漬ノズル６から溶鋼を給湯する
と、冷却パツド７ａ，７ｂによつて冷却された金
属ベルト１，２に接触した溶鋼は凝固殻を形成し
ながら下方に引き抜かれる。

ここで短辺面での凝固を遅らせるため、短辺側
板の溶鋼に接する内面を耐火物で形成することが
有利であり、特開昭58−218360号公報には金属ベ
ルトと接する側縁に額縁部をそなえる金属板に、
耐火物を額縁部で支持させて設けた短辺側板につ
いて開示されている。

（発明が解決しようとする課題） 短辺側板中央部の耐火物面では溶鋼の凝固がな
いことが好ましいが、耐火物面での溶鋼の凝固を
完全に防止することは難しい。というのは鋳造空
間内に供給される溶鋼が低温度の場合や耐火物面
付近の溶鋼流速が遅くなつた場合には溶鋼から耐
火物面への熱伝達により耐火物面上で凝固シエル
が発達するからである。そして十分にに厚くなつ
た凝固シエルは短辺側板の額縁部上で生成したシ
エルあるいは長辺シエルにより捕捉され下方に引
き込まれるがこの時耐火物面上で生じたシエル
（額縁部上に生じた短辺シエルの量をも含む）が
最終鋳片厚より厚く成長すると楔状になる。楔状
のシエルはその強度が低い時は容易に潰し込まれ
るが、強度が高い時は長辺側の金属ベルトが外側
に押し出されベルトと短辺側間に〓間が生じこの
〓間に溶鋼が侵入して地金差し込みをまねく。い
ずれにせよ短辺側板は拘束され金属ベルトのみが
移動し短辺側板直下におけるブレークアウトやベ
ルト破断に至る重大な操業障害となる。また生成
したシエルが短辺面を下降する時、短辺にかき疵
が生じ短辺寿命を短かくすることも問題である。

一方特開昭58−218356号公報には耐火物内に発
熱体を埋めて耐火物を積極的に加熱する、耐火物
面での凝固を防止する上で有効な手段について開
示されているが、コスト高および感電などの災害
をまねくおそれがあるところに問題が残る。

この発明は、耐火物面での溶鋼の凝固を回避し
得る短辺側板について提案することを目的とす
る。

（課題を解決するための手段） この発明は、一定の距離にわたつて溶融金属を
保持するための間〓を維持しつつ循環する１対の
対向配置にかかる循環体と、それら循環体相互間
の両側縁部に位置させた１対の上広下すぼまり形
状になる短辺側板とで鋳造空間を構成する薄鋳片
連続鋳造機の短辺側板において、上記循環体と接
する両側縁に形成した額縁部と、この額縁部間で
支持される耐火物とをそなえ、耐火物は鋳造空間
側へ略三角形状に***し高さが鋳片引抜き方向へ
漸次に減少する山脈上の突出部を構成してなる薄
鋳片連続鋳造機の短辺側板である。

また実施に当り、短辺側板の鋳造空間に対する
面における耐火物を除く部分は、鋳造空間が鋳片
引抜き方向へ狭くなる傾きのテーパを有すること
が有利に適合する。

（作用） この発明に従う短辺側板は、耐火物を溶鋼側へ
突出させることによつて凝固シエルの形状が楔様
になつてもその楔形が容易に潰れる形状の鋳造空
間とし、また耐火物の突出部の水平断面を略三角
形状にし凝固シエルが下方に引き込まれる際に多
発する短辺側板の傷付きを回避し、さらに突出部
中央の突起（水平断面における略三角形の頂角）
によつて溶鋼流が突出部に当つた際に短辺側板中
央部での凝固シエル生成を防止して楔の発生を阻
止し得るため、安定した連続鋳造を実現する。

また短辺側板の耐火物を除く面に鋳造空間が鋳
片引抜き方向へ狭くなる傾きテーパを付与したも
のは、額縁部で成長した凝固シエルと短辺側板と
の〓間を最小限に抑え溶鋼の侵入によりバリの発
生を防止するのに有利である。

（実施例） 第１図にこの発明に従う短辺側板を示す。

図中８は両側縁に額縁部９をそなえる側板本
体、１０は額縁部９にて支持される耐火物よりな
る突出部、そして１１は冷却水などが循環する冷
媒通路である。

突出部１０は、その水平断面が三角形状に***
しかつ、Ａ−ＡおよびＢ−Ｂ断面図に示すよう
に、高さが鋳片引抜き方向（下方）へ漸次に減少
する山脈状に形成されてなる。したがつて突出部
１０には、Ｃ−Ｃ断面図に示すように、鋳片引抜
き方向へδ₁／l₁の正テーパが付与されることにな
る。一方この突出部１０を除く側板本体８の溶鋼
と接する面は、Ｃ−Ｃ断面図に示すように、鋳片
引抜き方向へ凝固シエルの長辺側の収縮量に見合
うδ₂／l₂の逆テーパを付与してある。

なお額縁部９は冷媒通路１１内を流れる冷却水
により表面が十分に冷却され、高強度および高熱
伝導度に保持されており、ここで溶鋼は冷却され
て凝固シエルが生成する。ここで第１図の短辺側
板で構成した鋳造空間は短辺の中央と額縁部とに
おけるテーパが逆になつているため、凝固シエル
が短辺面からのはく離によつて生じる楔効果に起
因したブレークアウトまたは鋳片表面の欠陥は解
消される。

次にこの発明に従う短辺側板を用いた連続鋳造
について、具体的に説明する。

第２図のベルトキヤスターに、第１図の短辺側
板を用い、低炭素アルミキルド鋼を鋳造速度12
ｍ／minで厚さ30mm、幅1200mmの鋳片に鋳造し
た。

なお短辺側板の突出部は溶融シリカ質のレンガ
で形成し、また第１図のＣ−Ｃ断面図における各
寸法は下記の通りであつた。

記 l₁＝65cm l₂＝100cm δ₁＝35mm δ₂＝12mm かかる条件で１ヒート（600ｍ）の連続鋳造を
行つたところ、常時安定した操業となり、凝固シ
エルの破断がなかつたことから得られた鋳片の表
面性状も良好であつた。

（発明の効果） この発明によれば、耐火物面での溶融金属の凝
固を防ぎ、よつて鋳造継続長の増長および安定鋳
造を実現し、また得られる鋳片の表面性状の改善
も達成できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明に従う短辺側板を示す説明
図、第２図はベルトキヤスターほ説明図である。 １，２……金属ベルト、３ａ，３ｂ，３ｃ……
ガイドロール、４，５……短辺側板、６……浸漬
ノズル、７ａ，７ｂ……冷却パツド、８……側板
本体、９……額縁部、１０……突出部、１１……
冷媒通路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 一定の距離にわたつて溶融金属を保持するた
   めの間〓を維持しつつ循環する１対の対向配置に
   かかる循環体と、それら循環体相互間の両側縁部
   に位置させた１対の上広下すぼまり形状になる短
   辺側板とで鋳造空間を構成する薄鋳片連続鋳造機
   の短辺側板において、 上記循環体と接する両側縁に形成した額縁部
   と、この額縁部間で支持される耐火物とをそな
   え、耐火物は鋳造空間側へ略三角形状に***し高
   さが鋳片引抜き方向へ漸次に減少する山脈状の突
   出部を構成してなる薄鋳片連続鋳造機の短辺側
   板。 ２ 短辺側板の鋳造空間に対する面における耐火
   物を除く部分は、鋳造空間が鋳片引抜き方向へ狭
   くなる傾きのテーパを有する特許請求の範囲第１
   項に記載の短辺側板。