JPH04109407U - Ｄｏｈｃ式エンジンのシリンダヘツド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】この考案の目的は、タペットの良好な潤滑を維
持しつつ、タペットを摺動自在に嵌挿するタペット孔の
機械的強度を向上させるようにしたものである。 【構成】この考案のシリンダヘッド１０は、点火栓を装
着するプラグホールの周面１６ａと、タペットを摺動自
在に支承するタペット孔の周面１２ａ，１３ａとの間を
リブ２０で連結するとともに、そのリブで囲繞した囲繞
部にタペット潤滑用の潤滑油を貯留させるようにしたも
のである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、燃焼室上方のシリンダヘッド内に、吸気バルブのみを駆動するカ ムシャフトと排気バルブのみを駆動するカムシャフトとを配置したＤＯＨＣ式エ ンジンに関し、特にその２本のカムシャフトを収容配置するシリンダヘッドの改 良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に４サイクルエンジンでは、燃焼室上方に位置するシリンダヘッド内に、 吸気バルブ駆動用のカムシャフトと排気バルブ駆動用のカムシャフトとを２本配 置したＤＯＨＣ式（ダブルオーバヘッドカムシャフト式）エンジンがよく知られ ている。

【０００３】 図３は、上述したＤＯＨＣ式エンジンの従来のシリンダヘッド１を示す一部破 断上面図で、特に自動二輪車に搭載されるＤＯＨＣ式エンジンのシリンダヘッド を示している。

【０００４】 このシリンダヘッド１は、吸気バルブと排気バルブの後端にそれぞれ配設され たタペットをカムシャフトのカムにより直接駆動する、いわゆる直打式のＤＯＨ Ｃ式エンジンのシリンダヘッドで、特に１気筒あたり吸気及び排気バルブがそれ ぞれ２本づつ配設された１気筒あたり４つのバルブを有するＤＯＨＣ式エンジン である。

【０００５】 このシリンダヘッド１では、その上面に図示せぬ吸気バルブのタペットが摺動 自在に嵌挿されるタペット孔２と、図示せぬ排気バルブのタペットが摺動自在に 嵌挿されるタペット孔３とが形成されている。また、吸気バルブ側には、当該吸 気バルブを直接駆動する図示せぬカムシャフトを回動自在に支承する軸受部４が 形成されており、また排気バルブ側には、当該排気バルブを直接駆動する図示せ ぬカムシャフトを回動自在に支承する軸受部５が形成されている。

【０００６】 一方、上述したシリンダヘッド１の上面には、図示せぬ点火栓（点火プラグ） を装着するプラグホール６が形成されており、隣接する軸受部４、４間及び軸受 部５、５間に挾まれた位置であって、しかもプラグホール６の周面６ａとタペッ ト孔２、３の周面２ａ、３ａとの間には、斜線で示すように、図示せぬオイルギ ャラリーを介して送給された潤滑油の一部を一時貯留し、その潤滑油をタペット 孔２、３内に案内して、当該タペット孔２、３内を摺動するタペットの潤滑を図 る凹部７が形成されている。

【０００７】 なお、図３で符号８はシリンダヘッド１の中央部に形成されたカムチェーン室 である。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上述した従来のＤＯＨＣ式エンジンのシリンダヘッド１によると、 タペットの潤滑を図るために、隣接する軸受部４、５間に挾まれた位置であって 、しかもプラグポール周面６ａとタペット孔２、３の周面２ａ、３ａとの間にタ ペット潤滑用の潤滑油を一時貯留する凹部７を形成する構造であるため、タペッ ト孔２、３周囲の機械的強度（剛性）が低く、このためタペット孔２、３が変形 しタペットの作動不良を引起こす要因となっていた。

【０００９】 この考案は、上述した事情に鑑み、良好なタペット潤滑を維持するとともに、 タペットを支承するタペット孔の機械的強度を可及的に向上させるようにしたＤ ＯＨＣ式エンジンのシリンダヘッドを提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

上述した課題を解決するため、この考案では、点火栓を装着するプラグホール の周面と、タペットを摺動自在に嵌挿するタペット孔の周面との間を補強用のリ ブで連結するとともに、その補強用のリブで囲繞した囲繞部にタペット潤滑用の 潤滑油を一時貯留させるようにしている。

【００１１】

【作用】

上述したシリンダヘッドによると、点火栓を装着するプラグホールの周面とタ ペット孔の周面との間とを補強用のリブで連結するようにしたので、タペット孔 の機械的強度が飛躍的に向上するとともに、この補強用のリブで囲繞された囲繞 部にタペット潤滑用の潤滑油を一時貯留させるようにしたので、タペットの潤滑 も円滑に行われることとなる。

【００１２】

【実施例】

以下、この考案に係わるシリンダヘッドの一実施例を詳述する。

【００１３】 図１は、本願考案に係わるＤＯＨＣ式エンジンのシリンダヘッド１０を示す一 部破断上面図で、特に自動二輪車に搭載されるものを示している。

【００１４】 このシリンダヘッド１０は、従来例と同様に図示せぬ吸気バルブと排気バルブ の後端にそれぞれ配設されるタペットを図示せぬカムシャフトのカムにより直接 駆動する直打式のＤＯＨＣ式エンジンのシリンダヘッドで、特に１気筒あたり吸 気及び排気バルブが２本づつ配設される１気筒あたり４つのバルブを有する直打 式のＤＯＨＣ式エンジンである。

【００１５】 このシリンダヘッド１０では、その上面に図示せぬ吸気バルブのタペットが摺 動自在に嵌挿されるタペット孔１２と、図示せぬ排気バルブのタペットが摺動自 在に嵌挿されるタペット孔１３とが形成されている。また、吸気バルブ側には、 当該吸気バルブを直接駆動するカムシャフトを回動自在に支承する軸受部１４が 形成され、排気バルブ側には、当該排気バルブを直接駆動するカムシャフトを回 動自在に支承する軸受部１５が形成されている。

【００１６】 また、このシリンダヘッド１の上面には、図示せぬ点火栓（点火プラグ）を装 着するプラグホール１６が形成されている。

【００１７】 一方、上述したシリンダヘッド１では、タペット孔１２、１３の周面１２ａ、 １３ａとプラグポール１６の周面１６ａとの間は、補強用のリブ２０により互い に強固に連結されている。

【００１８】 従って、上述したシリンダヘッド１の構造によると、タペット孔１２、１３の 周囲はプラグホール１６の周面１６ａに連結した補強用のリブ２０により補強さ れているので、その機械的強度（特に剛性）が著しく向上することとなる。

【００１９】 また、タペット孔１２、１３に隣接したシリンダヘッド１０の上面には、タペ ット孔周面１２ａ、１３ａに臨むように、タペット孔周面１２ａ、１３ａとプラ グホール周面１６ａとの間を連結した補強用のリブ２０により囲繞部２１、２２ が形成されている。従って、この囲繞部２１、２２内にタペット潤滑用の潤滑油 を一時貯留させ、しかる後タペット孔１２、１３内へ案内することによりタペッ トの潤滑を図ることが可能となる。

【００２０】 一方、図１のＡＡ断面図で示す図２のように、実施例のシリンダヘッド１０は 車体に搭載されると全体を鉛直線３０より略１６度程度前方に傾斜させて車体に 取り付けられる。その際、図示せぬオイルギャラリーを介して送給される潤滑油 は斜線で示すＢの部分と囲繞部２２であるＣの部分に一時貯留され、しかる後、 タペット孔１２、１３内へ案内されることとなる。そして、余剰の潤滑油は囲繞 部２１の底面２１ａに形成された孔２３、あるいはタペット孔１３を介して共通 通路２４に案内され、図示せぬオイルギャラリーを介してオイルパンへ返却され る。

【００２１】 なお、上記実施例では、図示せぬカムシャフトに形成されたカムのカムプロフ ィールの逃げ２５よりも少なくとも上面に囲繞部２１、２２の底面２１ａ、２２ ａが位置するので、シリンダヘッドを切削加工する際に使用される切削油は油溜 りを形成することなく、タペット孔１２、１３等を介して容易に返却されること となり、このため次工程における切削油の油持ち出しを可及的に低減させること もできることとなる。

【００２２】 なお、図２で、符号３０、３１は図示せぬバルブのステムが嵌挿するガイド、 ３２は排気ポート、３３は吸気ポートである。また、図２で符号３４はタペット 孔１２から排気ポート側へ延設された補強用のリブ、３５はタペット孔１３から 吸気ポート側へ延設された補強用のリブである。

【００２３】

【考案の効果】

以上説明したように、この考案のシリンダヘッドでは、点火栓を装着するプラ グホールの周面とタペットを摺動自在に嵌挿するタペット孔の周面との間を補強 用のリブで連結するようにしたのでタペット孔の機械的強度が向上し、このため タペット孔の変形を阻止してタペットの作動不良を可及的に低減させることがで きる。

【００２４】 また、補強用のリブで囲繞した囲繞部にタペット潤滑用の潤滑油を貯留させる ようにしたので、シリンダヘッド内にタペット潤滑用の潤滑油を一時貯留させる ための特別な凹部を形成する必要もない。

【００２５】 また従来では、カムプロフィールの逃げよりも下方に底面を有する凹部が形成 されているので、シリンダヘッドを切削加工する際の、切削油が凹部内に貯留さ れやすく、このため次工程における切削油の油持ち出しが多い難点があったが、 この考案では、囲繞部の底面をカムプロフィールの逃げよりも上面に形成するよ うにしたので、切削加工を施す際に使用される切削油の抜けがよく、次工程にお ける切削油の持ち出しがなくなり、生産性を大巾に向上させることもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、この考案に係わるシリンダヘッドの一
部破断上面図。

【図２】図２は、図１のＡＡ断面図。

【図３】図３は、従来のシリンダヘッドの一部破断上面
図。

【符号の説明】

１０…シリンダヘッド １２、１３…タペット孔 １２ａ、１３ａ…タペット孔周面 １６…プラグホール １６ａ…プラグホール周面 ２０…リブ ２１、２２…囲繞部 ２１ａ、２２ａ…底面 ２５…カムプロフィール

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】吸気バルブ駆動用のカムシャフトと排気バ
   ルブ駆動用のカムシャフトとを配置したＤＯＨＣ式エン
   ジンのシリンダヘッドにおいて、前記シリンダヘッド内
   に形成された点火栓を装着するプラグホールの周面と前
   記カムシャフトにより駆動されるタペットを摺動自在に
   嵌挿するタペット孔の周面との間を補強用のリブで連結
   するとともに、該リブにより囲繞された囲繞部にタペッ
   ト潤滑用の潤滑油を一時貯留させるようにしたことを特
   徴とするＤＯＨＣ式エンジンのシリンダヘッド。
2. 【請求項２】前記囲繞部の底面は前記シリンダヘッドに
   配設されるカムシャフトのカムプロフィールよりも少な
   くとも上面に位置することを特徴とするＤＯＨＣ式エン
   ジンのシリンダヘッド。