JPH0355291B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、射出成形における樹脂充填完了後
の過充填を防止することができる射出成形機に関
する。

（従来の技術） 一般に、射出工程は射出開始から樹脂が成形金
型内にほぼ充満するまでの充填工程と、成形金型
内に充満した樹脂を圧縮する圧縮工程と、圧縮充
填した溶融樹脂を冷却による収縮分を補充填する
ため又は製品部の樹脂の逆流をとめるため等の保
圧工程に分割して制御が行われている。

具体的には、充填工程（射出速度制御領域）に
ついては射出スクリユあるいは射出プランジヤの
速度制御により射出速度制御を行い、圧縮工程と
保圧工程（射出圧力制御領域）については射出シ
リンダ油圧圧力の圧力制御により行なつている。

そして、射出速度制御領域から射出圧力制御領
域への切換えは、射出プランジヤの位置、射出シ
リンダ内の油圧あるいはキヤビテイ内の樹脂圧の
変化等により充填完了を確認してから切換えを行
つている。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら、上述の方法では、樹脂の充填完
了の確認から射出圧力制御への切換えの際に、制
御系の応答遅れ、射出プランジヤあるいは射出ス
クリユ等の可動部の慣性力により射出プランジヤ
がオーバーランしてしまい正確な制御が困難であ
る。また、成形金型内への樹脂の過充填ともな
り、製品にバリを発生することもあり、問題とな
つていた。

これを解決するために、射出プランジヤのオー
バーラン分を見越して、若干切換えタイミングを
早めることが考えられるが、充填完了に伴い各部
の樹脂圧力が上昇するので、充填完了点を樹脂圧
や油圧で確認する制御方法では充填完了以前に切
換えタイミングを決定することは困難であつた。
また、射出プランジヤの前進位置で切換えるもの
であつても各サイクルごとの成形条件により前進
位置が変化するので、その位置を正確に設定する
のは困難であつた。

そこで、本発明の目的は、上記事情に鑑みて、
制御系の応答遅れや可動部の慣性力等に基く充填
後の樹脂の過充填に因る成形品のバリ発生を防止
できる射出成形機を提供することにある。

（問題点を解決するための手段） 本発明者は、前記過充填に因る成形品のバリ発
生を防止するためには、キヤビテイ内への樹脂充
填が完了した際に、キヤビテイに樹脂を導く樹脂
路の容積を増大し過充填される樹脂を吸収するこ
とが有効であることを知つた。

さらに本発明者は、型開きの際に、内部で冷
却・固化された樹脂が離型されて金型外に排出さ
れる、金型のパーテイング面に形成されるランナ
部に樹脂路の容積増大部分を設けることが、前記
容積増大部分に流入した樹脂も冷却・固化されて
ランナ部の樹脂と共に、型開きの際に、容易に離
型され金型外に排出されるため、容積増大部分に
流入した樹脂の劣化等によるトラブルを回避でき
ることを知り、本発明に到達した。

すなわち、本発明の第１の発明は、射出プラン
ジヤから射出された樹脂がキヤビテイに至るまで
の樹脂路のうち、成形金型のパーテイング面に形
成されたランナ部の壁面と一致するように、前記
金型内で進退自在に設けたシリンダロツドの先端
面を臨ませ、樹脂路またはキヤビテイ内の樹脂圧
力を検出する圧力センサを設け、該キヤビテイ内
への樹脂充填完了時において、ランナ部の容積を
増大して前記圧力センサにより検出される圧力が
樹脂路またはキヤビテイ内の適正圧力と同等にな
るように、前記圧力センサの検出信号によつてシ
リンダロツドをランナ部に対して後退する方向に
移動させる駆動手段を設けたことを特徴とする射
出成形機にある。

また、本発明の第２の発明は、射出プランジヤ
から射出された樹脂がキヤビテイに至るまでの樹
脂路のうち、成形金型のパーテイング面に形成さ
れたランナ部の壁面と一致するように、前記金型
内で進退自在に設けたシリンダロツドの先端面を
臨ませ、キヤビテイ内への樹脂充填完了時におい
て、ランナ部に対してシリンダロツドを後退させ
てランナ部の容積を増大しキヤビテイ内を適正圧
力とするように、前記シリンダロツドのシリンダ
側の背圧を、キヤビテイ内への樹脂充填完了時に
おける樹脂通路中の適正圧力と同等に設定して成
ることを特徴とする射出成形機にある。

（作 用） 次に、この発明の作用について述べる。

射出速度制御領域から射出圧力制御領域への切
換の際に、キヤビテイ内やキヤビテイに接続する
樹脂路中の圧力が樹脂の過充填によつて適正圧力
よりも高圧になつたとき、樹脂路の一部であるラ
ンナ部を構成する壁面に一致するように先端面が
臨むシリンダロツドが後退してランナ部の容積を
増大せしめ、過充填となる樹脂を吸収する。

このため、制御系の応答遅れや射出成形機の可
動部の慣性力等によつて射出プランジヤがオーバ
ーランし樹脂のキヤビテイへの過充填に因る成形
品のバリ発生を防止することができる。

また、容積増大部分が金型のパーテイング面に
形成されたランナ部に形成されているため、容積
増大部分に流入した樹脂は、金型の型開きの際
に、冷却・固化されてランナ部の樹脂と共に離型
され金型外に排出されるため、容積増大部分に流
入した樹脂の劣化に起因するトラブルを回避する
こともできる。

（実施例） 以下、この発明の好適な実施例を添付図面に基
づいて詳細に説明する。

〔第１実施例〕 第１図はこの発明にかかる射出成形機の成形金
型部分を示す縦断側面図である。

符号１０で示す成形金型が射出成形機２０にお
ける固定盤２２および可動盤２４の内面にそれぞ
れ固定されている。

射出成形機２０は例えば射出シリンダ内に射出
プランジヤを兼ねるスクリユーを内挿して成るイ
ンラインスクリユー式射出成形機であり、射出シ
リンダの前端に設けた射出ノズル２６が図示され
ている。そして、射出シリンダの後端には、射出
ラムが設けられている（図示せず）。

また、固定盤２２に対して可動盤２４はタイバ
２８にガイドされつつ不図示の型締装置によつて
金型開閉を行う。

他方、成形金型１０は可動型１０ａと固定型１
０ｂからなり、可動型１０ａは可動盤２４に、固
定型１０ｂは固定盤２２にそれぞれ固設されてい
る。

そして、固定型１０ｂと可動型１０ａのパーテ
イング面にはそれぞれキヤビテイ１２、ゲート部
１４およびランナ部１６が刻設され、このランナ
部１６に続いて固定型１０ｂにスプル部１８が設
けられている。したつて、射出シリンダ（図示せ
ず）から射出される樹脂は、射出ノズル２６、ス
プル部１８およびランナ部１６により構成された
樹脂路３０、およびゲート部１４を介してキヤビ
テイ１２に注入される。

前記可動型１０ａ内に駆動手段たるシリンダ３
２が設けられ、このシリンダ３２内のピストン３
４に、型開閉方向へ進退自在に移動可能となるよ
うに、シリンダロツド３６の一端が連結されてい
る。

そして、シリンダロツド３６の他方の端面は、
樹脂路３０の一部を構成する各ランナ部１６の壁
面に一致するように臨んでいる。

また、キヤビテイ１２にはセンサロツド３８ａ
が臨み、圧力センサ３８に連結している。そし
て、圧力センサ３８の検知信号により適宜駆動手
段が駆動してランナ部１６の容積が増加するよう
にシリンダロツド３６が後退する。

次に、この実施例の動作について説明する。

(1) 型締装置により可動型１０ａを前進して型締
を行う。

(2) 固定型１０ｂに射出ノズル２６を当接して射
出する（第１図状態）。

(3) キヤビテイ１２内への樹脂の充填が完了し、
キヤビテイ１２内圧が予め設定された圧力まで
上昇したのをすべての圧力センサ３８が検知す
ると、その信号によりシリンダ３２が制御され
ピストン３４が後退する（第２図状態）。

(4) それによりシリンダロツド３６が後退した分
だけランナ部１６（樹脂路３０）の容積が増大
する。

(5) 同時に射出制御を圧力制御に切換える。

(6) すると切換時の制御系の応答遅れや、射出成
形機の可動部の慣性力により射出プランジヤが
オーバーランしてもそれによる増圧分はランナ
部１６（樹脂路３０）の容積の増大分によつて
吸収される。

(7) その後、圧力制御下で成形品を冷却固化させ
た後型開きして成形品を取り出す。

なお、シリンダロツド３６が後退してこの後退
した空間にランナ部１６の一部の樹脂が流れ込む
が、この流入した樹脂が型開閉方向に排出可能で
あるためランナ部１６の樹脂とともに容易に離型
する。

この実施例中、圧力制御領域への切換えは、キ
ヤビテイ１２内圧によりシリンダ３２の動作と同
時におこなつたが、キヤビテイ１２内圧でシリン
ダ３２のみを作動させ、圧力領域への切換えはス
クリユ位置によつて行つても良い。

また、圧力センサ３８はこの実施例中では各キ
ヤビテイ１２毎に１つづつ設けて、すべての圧力
センサ３８が設定圧以上になつたらシリンダ３２
を作動させるようにしたが、要は一番後に樹脂が
注入されるキヤビテイ１２の充填を確認するため
のものであるため、一番最後に樹脂が注入される
キヤビテイ１２に一つ設けるだけでも良い。

〔第２実施例〕 次に、第３図に示す第２実施例について説明す
る。

なお、この第２実施例は、第１実施例と同一部
分について同一の符号を用いて説明する。

成形金型１０には、キヤビテイ１２、ゲート部
１４、ランナ部１６、スプル部１８が形成されて
いる。

また、可動型１０ａ内にシリンダ３２が設けら
れ、このシリンダ３２内で往復動するピストン３
４に続いてシリンダロツド３６が設けられてい
る。そして、このシリンダロツド３６の先端がラ
ンナ部１６に臨んでいる。

そして、ピストン３６の背圧が、キヤビテイ１
２内への樹脂の充填完了時におけるランナ部１６
内の適正圧力と同等に設定することができるよう
に構成されている。

この実施例のその他の構成は、第１実施例と同
様に構成されているが、この実施例では圧力セン
サを設けない。したがつて、この実施例では、シ
リンダ３２自体がランナ部１６の圧力を感知し動
作するものであり、圧力センサを兼ねるものであ
る。

その他、第１実施例と同様の作用・効果を奏す
る。また、シリンダロツドが成形金型の型開閉方
向と同じ方向に進退するため、シリンダロツド３
６が後退した空間に流入した樹脂はランナ部１６
の樹脂とともに容易に離型する。

以上本発明の好適な実施例を挙げて種々説明し
たが、本発明がこの実施例に限定されることな
く、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変
を施し得ることはもちろんである。

（発明の効果） 本発明は、上述するように構成されているの
で、以下に示すような顕著な効果を奏する。

本発明では、射出速度制御領域から射出圧力
制御領域に切換る際の制御系の応答遅れ、射出
成形機の可動部の慣性力による射出プランジヤ
のオーバーランがあつてもキヤビテイ内の樹脂
圧が増圧することがないように、ランナ部に臨
んだシリンダロツドが後退して圧力を調節する
ことができる。また、キヤビテイ内の樹脂圧が
増圧することがないため、成形品にバリを発生
することがない。

シリンダロツドの先端をランナ部に臨ませた
ので、キヤビテイに近い位置で樹脂圧を調節で
き、応答が早い。

ランナ部に臨んで、シリンダロツドが金型の
型開閉方向と同じ方向に進退するため、シリン
ダロツドが後退した空間に流入した樹脂はラン
ナ部の樹脂とともに容易に離型する。

キヤビテイ内の容積が拡大しないので、キヤ
ビテイ内の容積が変化することもなく、また成
形品の表面に樹脂の余分な突起が形成されるこ
ともない。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明の好適な実施例を示し、第１図
〜第３図はそれぞれ射出成形機の成形金型部分を
示す縦断側面図である。 １０……成形金型、１２……キヤビテイ、１６
……ランナ部、２０……射出成形機、２２……固
定盤、２４……可動盤、３０……樹脂路、３２…
…シリンダ、３６……シリンダロツド、３８……
圧力センサ、３８ａ……センサロツド。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 射出プランジヤから射出された樹脂がキヤビ
   テイに至るまでの樹脂路のうち、成形金型のパー
   テイング面に形成されたランナ部の壁面と一致す
   るように、前記金型内で進退自在に設けたシリン
   ダロツドの先端面を臨ませ、 樹脂路またはキヤビテイ内の樹脂圧力を検出す
   る圧力センサを設け、 該キヤビテイ内への樹脂充填完了時において、
   ランナ部の容積を増大して前記圧力センサにより
   検出される圧力が樹脂路またはキヤビテイ内の適
   正圧力と同等になるように、前記圧力センサの検
   出信号によつてシリンダロツドをランナ部に対し
   て後退する方向に移動させる駆動手段を設けたこ
   とを特徴とする射出成形機。 ２ 射出プランジヤから射出された樹脂がキヤビ
   テイに至るまでの樹脂路のうち、成形金型のパー
   テイング面に形成されたランナ部の壁面と一致す
   るように、前記金型内で進退自在に設けたシリン
   ダロツドの先端面を臨ませ、 キヤビテイ内への樹脂充填完了時において、ラ
   ンナ部に対してシリンダロツドを後退させてラン
   ナ部の容積を増大しキヤビテイ内を適正圧力とす
   るように、前記シリンダロツドのシリンダ側の背
   圧を、キヤビテイ内への樹脂充填完了時における
   樹脂通路中の適正圧力と同等に設定して成ること
   を特徴とする射出成形機。