JPH0312965B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、鉄鋼、アルミなどの薄板、厚板等、
金属板の圧延加工における板プロフイル制御方法
に関するものである。

（従来の技術） 金属材料の圧延加工においては、圧延材のエツ
ジ部の板厚が減少するエツジドロツプという問題
がある。これは、ロールの弾性変形（ロールの偏
平）が圧延材接触部端で急激に変化することによ
るものである。

エツジ位置でのロールの急激な変形を緩和すれ
ばエツジドロツプを小さくすることができるが、
作業ロールをシフトさせる機能を有する設備にお
いて被圧延材のエツジドロツプを防止する手段と
しては次の方法が知られている。

(1) 作業ロールの片端部をテーパー状に研摩し、
テーパー部が被圧延材の板端部に一致するよう
に作業ロールをシフトする方法（特開昭55−
77903号公報など）。

(2) 更にこうした片端テーパーロールにベンデイ
ング装置で曲げを加え、効果拡大を狙う方法
（特開昭54−118364号公報など）。

これらは、いずれもエツジ部に対し、ロール形
状を逃がすように加工しておくことでエツジドロ
ツプを低減するものである。

（発明が解決しようとする問題点） しかし、いずれの場合もあらかじめロールの片
端部をテーパー状に加工しておく必要があり、ロ
ールの研摩作業が煩雑になると同時に、圧延の進
行に伴うロール摩耗によりテーパー部の形状が乱
れ、効果が薄れて来る。

本発明は、こうした一連の不具合を解消すべ
く、ロールの摩耗パターンに着目し、ロールをテ
ーパー状等の特殊な形状に予め加工する必要な
く、かつ圧延の進行とともに効果が薄れずに被圧
延材のエツジドロツプを効果的に低減する方法を
実現するものである。

（問題点を解決するための手段） 本発明は、上下作業ロールを軸方向にシフトさ
せて板材を圧延するにあたり、圧延材の圧延時に
ロールに生じる凹部の位置を求め、その次の圧延
材の両エツジ部に前の圧延材圧延時の上下ロール
の凹部の一方をそれぞれ一致させることを特徴と
するエツジドロツプ防止方法である。

（作 用） 本発明は、ロール摩耗及び熱膨張の形態が丁度
部分的にテーパー状になるという現像に着目し、
これを利用することで何ら特殊な形状（テーパー
状）にロールを研削しておかなくてもエツジドロ
ツプを低減できるということに基いている。

以下、本発明を説明する。

通常ロールの摩耗パターンは第１図に示す様に
圧延材エツジ部付近をピークとした形となる。こ
れは、エツジ部のメタルフローが板中央部のそれ
と異なるため（あるいは熱間圧延の場合、板エツ
ジ部の温度が板中央部に比べて低く、エツジ部で
ロールに対する負荷が高くなるため）、更に、被
圧延材から受ける熱によるロールの膨張量が板中
央部の方が板端部より大きくなるためと考えられ
る。

この現象を利用して、エツジドロツプを低減さ
せる目的で、予め作業ロールにテーパー状の形状
を作る為に、例えば次の方法によるロールシフト
を実施する。

ロール組替からロール組替の間に圧延する材料
の内、最も幅の狭い材料に着目する。その幅を
bmin、更に設備上定まるロールシフト量をＳと
する。今、ロールを替えてi₁番めに圧延する材料
の幅をbi_-1とすると、i_-1本めの圧延時に実施する
シフト量Wsi_-1は次式で求まる。

Wsi_-1＝（bmin＋Ｓ）−bi_-1 （ただし、Wsi_-1０） この事は、上下ロールのそれぞれ同一部が板エ
ツジに対し合う様にしておき、ロール摩耗、膨張
で部分的にテーパー状の形状を予め作つておくこ
とを意味する。

第１図ａに材料幅bi_-1の材料を圧延した後にbi
の幅の材料を圧延しようとするときの実施イメー
ジを示す。この場合、すでに作つた部分的テーパ
ー形状を利用して材料のエツジドロツプを低減す
るメカニズムを第１図ｂに示す。

当該材（bi幅の材料）圧延までに生じた部分的
テーパー部をオンラインで実測あるいは高精度の
予測計算で求めておき、当該材圧延時に、当該材
エツジ部にこのテーパー部が一致する様にシフト
させ圧延するのである。

（実施例） ホツトストリツプミルの仕上タンデム圧延機に
おいて本発明を実機化した場合のシステム構成を
第３図に示す。これはタンデム圧延機のｉスタン
ドについて示したものである。

当該圧延材１の圧延実績データを幅計３、温度
計４、厚計５、ロードセル６などを用いて収集
し、更に圧延実績及びロール径情報入力装置８か
ら得られるロール情報と併わせてロールプロフイ
ル演算装置７に入力してロールと板エツジの接触
する部分の局部プロフイルを精度良く求める。こ
の結果を基に最適作業ロールシフト量演算装置９
で次材圧延情報入力装置１２、及びスケジユール
内情報入力装置１３から得られる材料幅に関する
情報より最適シフト量を決定する。こうして求め
たシフト量は次材プリセツト用バツフアー１０に
格納され、次材圧延直前にロールシフト装置１１
により実行される。

こうした一連の動作をロール組替から組替まで
の間実行する。尚、ロール替に際しては、ロール
プロフイルをこれから組み込むロールと一致する
様初期化しておく。

本発明をホツトストリツプミル仕上圧延作業に
適用した例を第４図に示す。

図中の破線は片台形ロール、実線は本法により
ほぼ同一材料条件の下でエツジドロツプを低減す
ることで圧延材の低クラウン化を図つた比較を示
す。圧延本数が多くなる程（ロールを組み替えて
40〜50本以降で）、片台形ロール使用に比べ本法
の方がエツジドロツプ低減による低クラウン効化
は著しい。

（発明の効果） この様に、本法によれば何ら特殊なロール形状
を必要とすることなくエツジドロツプが低減で
き、これによる圧延材の低クラウンが達成でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本発明を説明するためのロ
ール摩耗とロールシフトの関係を示す図、第３図
は本発明を適用した圧延制御ブロツク図、第４図
は本発明による効果を従来法と比較して示す図で
ある。 １…圧延材、２…作業ロール、３…幅計、４…
温度計、５…厚計、６…ロードセル、７…ロール
プロフイル演算装置、８…圧延実績及びロール径
情報入力装置、９…最適作業ロールシフト量演算
装置、１０…次材プリセツト用バツフアー、１１
…作業ロールシフト装置、１２…次材圧延情報入
力装置、１３…スケジユール内情報入力装置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 上下作業ロールを軸方向にシフトさせて板材
   を圧延するにあたり、圧延材の圧延時にロールに
   生じる凹部の位置を求め、その次の圧延材の両エ
   ツジ部に前の圧延材圧延時の上下ロールの凹部の
   一方をそれぞれ一致させることを特徴とするエツ
   ジドロツプ防止方法。