JP5862248B2 - 金属帯の圧延方法 - Google Patents
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Description
このような規制は工程管理を複雑化するばかりでなく、圧延ラインより上流の加熱炉の操業をも規制するなど、大きな障害となっていた。このため、板幅や板厚の異なった製品をランダムに生産する、いわゆるスケジュールフリーの圧延が要請されていた。
なお、圧延荷重によるロールの撓みを補償する機構としてワークロールクロスやベンダーがあるが、これらは摩耗や熱膨張のような幅方向に不均一なプロフィルを制御することはできない。
このため、圧延サイクルの板幅構成やある被圧延材とその次の被圧延材の板幅の差によっては板端部の厚みが過厚(エッジハイスポット)や過薄(エッジドロップ)になるなどの板厚プロフィル異常となる場合がある。シフトピッチやシフト移動方向を反転する折り返し位置は板厚プロフィルに大きく影響するものであるが、圧延サイクル毎に最適な値を決定する方法がなかったというのが現状である。
すなわち本発明は以下の手段を採用する。
[1]金属帯の圧延ラインにて、ワークロールを軸方向にシフトするシフト機構を備えた圧延機を用いて被圧延材を圧延するに際し、 圧延サイクルにて圧延予定の全被圧延材について、圧延サイクル内で一定とした被圧延材1本毎のシフト位置変更量とシフト移動方向を反転する折り返し位置とを仮定して、ワークロールプロフィルの予測計算値と目標値との差から求まる評価関数J1を式(1)に基づいて被圧延材幅方向の1点以上の評価点について計算するステップ1、次いでJ1をすべての評価点について式(2)に基づいて合計して評価関数J2を求めるステップ2、さらに圧延サイクル内の全被圧延材について式(3)に基づいて合計して評価関数J3を求めるステップ3により、 圧延サイクルにて圧延予定の全被圧延材についてのシフト位置変更量と折り返し位置との可能な組み合わせすべての各組合せ毎にJ 3 を求め、このようにして得られたJ3同士を比較して、J3が最小となるときの組み合わせのシフト位置変更量と折り返し位置とを、圧延サイクルにて圧延予定の全被圧延材についてのシフト位置変更量と折り返し位置として決定することを特徴とする金属帯の圧延方法。
[2]圧延サイクル内で一定である被圧延材1本毎のシフト位置変更量に上限を設けることを特徴とする[1]に記載の圧延方法。
[3]前記ワークロールを軸方向にシフトするシフト機構を備えた圧延機がタンデム圧延機の1つ以上のスタンドに設けられていることを特徴とする[1]または[2]のいずれかに記載の圧延方法。
本発明では、1つの圧延サイクルにおいて、圧延予定の全被圧延材について、被圧延材1本毎のシフト位置変更量(1回のシフト量、すなわちシフトピッチ)を一定の値として定め、そしてシフト位置変更量とシフト移動方向の折り返し位置の距離とを、例えば乱数表を用いて仮定して定め、このように定められたシフト位置変更量とワークロールのシフト移動方向を反転する折り返し位置との可能な組み合わせすべてについて、各組合わせ毎に、ワークロールプロフィルの目標値と予測計算値から決まる評価関数を、被圧延材幅方向の1点以上の評価点すべてについて計算し、次いで、これを全評価点について合計し、1本の被圧延材について評価関数の値を求める。さらに、このように合計して求められた各被圧延材についての評価関数の値を当該圧延サイクルの全被圧延材について合計する。
本発明の評価関数の計算手法は以下のステップ1〜4からなる。
(ステップ1)
被圧延材の幅方向に1点以上の評価点A、B、C・・・を定め、各評価点について、ワークプロフィルの予測値と目標値とから下記の式(1)に基づいて被圧延材1本についての評価関数J1を計算する。
評価点は、例えば、図1のA(最板端から25mm)、B(同50mm)、C(同75mm)、D(同100mm)、E(同150mm)、F(同200mm)という具合に、板幅方向の1点以上に仮定する。
上記評価点の最板端からの距離についても具体的な数値はあくまで一例であり、本発明は、ここでの例に一義的に限定するものではない。
評価点A、B、C・・・の全てについて下記の式(2)に基づいて式(1)の評価関数を合計して評価関数J2を求める。
圧延サイクルにおける全被圧延材について、下記の式(3)に基づいて式(2)の評価関数を合計して評価関数J3を求める。
このようにして、シフト位置変更量とワークロールのシフト移動方向を反転する折り返し位置との可能な組み合わせすべてについて、このJ3を求める。
以上のステップ1〜4を図2に示す。
シフト位置変更量とワークロールのシフト移動方向を反転する折り返し位置との可能な組み合わせすべてについて求められた、全被圧延材についての式(3)のJ3の値同士を比較して、その中で最も小さい場合の、シフト位置変更量とシフト移動方向の折り返し位置とを当該圧延サイクルのものとして決定する。
ワークプロフィルの目標値は、図1に示すように、被圧延材上の駆動側(ドライブサイド)と被駆動側(ワークサイド)の各評価点、例えばA〜F点と接するワークロール箇所のワークロール半径の平均と、ワークロールの胴長中央のワークロール半径との差を下記の式(4)に基づいて計算し、上下ワークロールについて合計して求める。ワークロールプロフィルの胴長中央と左右両評価点A〜Fを放物線や楕円などの2次曲線で結ぶように設定するのが好ましい。
例えば、ワークロールの熱膨張については、下記の式(5)に基づいて、また、摩耗量については下記の式(6)に基づいてそれぞれ予測計算することができる。そして、ワークロールプロフィルは、両者を合計して、下記の式(7)に基づいて予測計算値することができる。
折り返し位置と圧延サイクル内で一定としたシフトピッチとの組み合わせを、乱数表を用いて仮定して評価関数J3を計算し、評価関数J3が最小となる折り返し位置とシフトピッチとの組み合わせを求めた。
評価点は被圧延材の板端から25mm、75mm、150mmの3点とした。ベンダー荷重は圧延開始時に60トンと設定し、圧延中の荷重変動に応じて制御した。
被圧延材の厚みプロフィルの評価は板幅が1本前の被圧延材よりも約160mm広がる62本目にて行った。
また、従来技術との比較を行うため、図3示されるものとほぼ同じ板厚−板幅構成の圧延サイクルの被圧延材に対して、従来のサイクリックシフト法によりWRシフト位置を決定し圧延を行った。
本発明法により決定されるシフトピッチは23mmであった。他方、従来例ではシフトピッチ15mmとした。いずれも、圧延サイクル内ではシフトピッチは一定の値をとっている。
シフト移動方向の折り返し位置は、図4から分かるように、本発明では、圧延本数の進行とともに、+方向,−方向のいずれの場合において短くなっている。他方、従来例はシフト移動方向の折り返し位置は+方向,−方向のいずれの場合においても同じ位置で行われている。
折り返し位置と圧延サイクル内で一定としたシフトピッチとの組み合わせを、乱数表を用いて仮定して評価関数J3を計算し、評価関数J3が最小となる折り返し位置とシフトピッチとの組み合わせを求めた。
評価点は被圧延材の板端から50mm、100mm、150mm、200mmの4点とした。ベンダー荷重は圧延開始時に75トンと設定し、圧延中の荷重変動に応じて制御した。
被圧延材の厚みプロフィルの評価は板幅が1本前の被圧延材よりも約210mm広がる93本目にて行った。
シフト移動方向の反転位置は、図7から分かるように、本発明では、圧延本数の進行とともに、+方向,−方向のいずれの場合において短くなっている。他方、従来例はシフト移動方向の反転位置は+方向,−方向のいずれの場合においても同じ位置で行われている。
Claims (3)
- 金属帯の圧延ラインにて、ワークロールを軸方向にシフトするシフト機構を備えた圧延機を用いて被圧延材を圧延するに際し、
圧延サイクルにて圧延予定の全被圧延材について、圧延サイクル内で一定とした被圧延材1本毎のシフト位置変更量とシフト移動方向を反転する折り返し位置とを仮定して、ワークロールプロフィルの予測計算値と目標値との差から求まる評価関数J1を下記の式(1)
圧延サイクルにて圧延予定の全被圧延材についてのシフト位置変更量と折り返し位置との可能な組み合わせすべての各組合せ毎にJ 3 を求め、このようにして得られたJ3同士を比較して、J3が最小となるときの組み合わせのシフト位置変更量と折り返し位置とを、圧延サイクルにて圧延予定の全被圧延材についてのシフト位置変更量と折り返し位置として決定することを特徴とする金属帯の圧延方法。 - 圧延サイクル内で一定である被圧延材1本毎のシフト位置変更量に上限を設けることを特徴とする請求項1に記載の圧延方法。
- 前記ワークロールを軸方向にシフトするシフト機構を備えた圧延機がタンデム圧延機の1つ以上のスタンドに設けられていることを特徴とする請求項1または2のいずれか一項に記載の圧延方法。
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