JPH0312007Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の技術分野］ 本考案は電圧測定構造を改良したガス絶縁管路
母線に関する。

［考案の技術的背景とその問題点］ ガス絶縁母線は、充電部を、絶縁ガス、たとえ
ば、SF₆ガスとともに設置した金属容器内に収納
して成るが、この充電部、特に高電圧導体を接地
金属容器から絶縁支持するための絶縁スペーサが
用いられる。この絶縁スペーサには、ガス区分用
として用いられるコーン形絶縁スペーサやデイス
ク形絶縁スペーサ、またガス区分を必要としない
ところに用いられる第１図に示すようなポスト形
絶縁スペーサや第２図に示すような三脚形の絶縁
スペーサがある。なお、図中、ａは接地金属容
器、ｂは絶縁ガス、ｃは高電圧導体、ｄは絶縁ス
ペーサ、ｅは絶縁スペーサｄに埋込んだ接地側電
極、ｆは接地側電極ｅを容器ａに固定するための
ボスである。

ところで、ガス区分用絶縁スペーサにおける電
位検出、コロナ検出等の電圧検出方式としては、
絶縁スペーサ内部に埋め込まれたシールドを浮遊
させ、その電位を測定することによりおこなうと
いう方式がとられているが、ガス区分を必要とし
ないところに用いられる第１図及び第２図に示し
たポスト形絶縁スペーサや三脚形絶縁スペーサに
おいてはコロナ測定等の電圧検出はおこなわれて
いない。

このようなガス区分しない絶縁スペーサにおい
て例えばコロナ測定をおこなう場合、絶縁スペー
サ内部に埋め込まれている接地側電極ｅを浮遊さ
せておこなう方式が考えられる。

ところで、第１図、第２図に示された絶縁スペ
ーサｄを、接地側電極ｅとボスｆにより接地金属
容器ａに固定する構造を示したものであるが、長
尺のガス絶縁管路母線は単位管路母線を現地で連
結して構成する。この場合単位管路母線における
一端に配置される絶縁スペーサは、第１図及び第
２図に示したように接地金属容器に固定されるが
他端及び中間に配置されるものは絶縁スペーサと
接地金属容器とが自由に動き得る構造が、高電圧
導体ｃの熱伸縮対策、組立作業性等から不可欠で
ある。

このように、絶縁スペーサｄが接地金属容器ａ
に固定されない個所において、前記のような絶縁
スペーサの接地側電極ｅに対応して、コロナ検出
装置を取り付けることは極めて困難である。

［考案の目的］ 本考案は上記事情にもとづいてなされたもの
で、その目的とするところは、ガス絶縁管路母線
に用いられる絶縁スペーサが、高圧導体に固定さ
れ且つ接地金属容器とは固定しないで、導体の熱
伸縮等により自由に動き得る構造であつてもコロ
ナ測定のような電圧測定ができるようにしたガス
絶縁管路母線を堤供することにある。

［考案の概要］ 上記目的を達成するため本考案によれば、接地
金属容器内に、この容器から擢動部材を介して絶
縁して設けた導電性リングを、高圧導体に固定し
た絶縁スペーサの接地側に埋込まれた接地側電極
に接続固定し、かつ、この導電性リングを、この
リングに対向する接地金属容器に取り付けられた
端子を通して、常時接地されている状態から浮遊
されるようにしその浮遊電位を測定することによ
り、コロナ測定等の電圧測定をおこなうようにし
ている。

［考案の実施例］ 以下、本考案の一実施例を第３図及び第４図を
参照しながら説明する。

第３図は単相三脚形絶縁スペーサを使用して本
考案を適用した場合の一実施例を示したもので、
第４図は第３図の拡大断面である。

１は内部にSF₆ガスのような絶縁ガス２を封入
した接地金属容器で、この接地金属容器１内に高
電圧導体３が挿通される。４はこの高電圧導体に
固定される３つの支持脚４ａを一体形成した導体
３を支持する絶縁スペーサで、前記夫々の支持脚
４ａ端部には接地側電極（シールド）５を埋込ん
である。また各支持脚４ａの延長方向端部には、
商品名テフロン等で製作される擢動用絶縁物７を
取付けるためのホルダー６を接地側電極５との間
に所定の幅Ｗを有する導電性リング８を介してボ
ルト９で固着する。前記導電性リング８は絶縁ス
ペーサ４の各支持脚４ａに設けた接地側電極５を
内接する径を有しており、夫々ボルト９によつて
即ち３個所で各支持脚４ａに固着される。また絶
縁スペーサ４は接地金属容器１内面に摺動用絶縁
物７を介して摺動可能に支持されることになる。
１０は、絶縁スペーサ４が位置される部分の接地
金属容器１に設けた電圧測定端子装置である。第
４図から明らかなように、接地金属容器１に設け
た開口１１の外周部に取付座１２を固着し、この
取付座１２に接触棒１３をバネ１４を介して移動
自在に取付けた端子１５を備えた絶縁板１６を固
着する。この絶縁板１６の固着により前記開口１
１を閉塞する。接触棒１３は常時バネ１４により
接地金属容器１内方への移動力が与えられてお
り、これによつてその先端が絶縁スペーサ４に設
けた導電性リング８の外周部に接触している。端
子１５は常時は図示しない接地線によつて接地さ
れている。そして端子１５の接地を解放すること
により導電性リング８は浮遊電位の状態となり、
電圧が誘起される。そしてこの誘起電圧を測定す
ることにより、コロナ測定や電圧測定等の電圧検
出を行なうことができる。

しかして上記実施例によれば、高電圧導体３に
絶縁スペーサ４が取着され、この絶縁スペーサ４
の接地側電極５側が接地金属容器１内面とは自由
に動きうる場合のものにおいて、高電圧導体３の
熱伸縮や組立上の点から絶縁スペーサ４の位置が
変位しても、ほぼ導電性リング８の幅Ｗ分につい
ては導電性リング８と電圧測定端子装置１０の接
触棒１３との接触状態を確保することができる。

従つて高電圧導体３の熱伸縮による絶縁スペー
サ４の変位、組立時における絶縁スペーサ取付位
置のずれ等が生じても電圧検出、コロナ検出等の
電圧測定が可能なガス絶縁管路母線を得ることが
できる。

尚上記実施例では単相構造のものについて説明
したが、第５図に示したような３相構造のものに
ついても本考案を適用することができる。即ち第
３図と対応部品に同符号を記した第５図は絶縁ス
ペーサ４に３相各相の高電圧導体３を埋込んだ構
成で、絶縁スペーサ４の支持脚４ａは各相導体３
の中間に位置する絶縁スペーサ４の外周部から突
出して設けている。そして第５図では簡略化して
図示したが、支持脚４ａと接地金属容器１間の支
持構造は第３図と同じである。そして支持脚４ａ
と接地金属容器１内に導電性リング８を配置す
る。この導電性リング８に電圧測定端子装置１０
を当接させる。しかしてこの実施例に於いては各
相の電圧検出を独立して測定することは出来ない
が、コロナ測定のための電圧検出を行なうことが
できる。即ち導電性リング８が各相の高電圧導体
３に共通であるため独立した電圧検出はできない
が、コロナ測定としての電圧検出であれば、内部
にコロナが発生すると、この発生個所の近くに配
置された導電性リングがその電圧変化を検出でき
る。

［考案の効果］ 以上説明したように本考案によれば、絶縁スペ
ーサが接地金属容器に固定されない個所において
もコロナ測定や電圧測定のような電圧検出を行な
うことができるガス絶縁管路母線を提供すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図はガス絶縁管路母線に使用さ
れる絶縁スペーサの取付構成を示す断面図、第３
図は本考案の一実施例の断面図、第４図は本考案
の要部を拡大して示す断面図、第５図は本考案の
他の実施例を示す断面図である。 １……接地金属容器、２……絶縁ガス、３……
高電圧導体、４……絶縁スペーサ、４ａ……支持
脚、５……接地側電極、６……ホルダー、７……
摺動用絶縁物、８……導電性リング、１０……電
圧測定端子装置。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 絶縁ガスを充填した接地金属容器内に、高電
   圧導体を取付け支持する絶縁スペーサを配置
   し、この絶縁スペーサは、その支持脚部端に設
   けた接地側電極が前記接地金属容器の内面と当
   接しないように摺動用絶縁物を介して配置して
   接地金属容器内面を移動可能に配置して成り、
   前記接地側電極と電気的に接続されるとともに
   接地金属容器内面と所定の間隔を存し且つ所定
   の幅を有する導電性リングを配置し、この導電
   性リングに当接自在の電圧測定端子装置を前記
   接地金属容器に絶縁して設けたことを特徴とす
   るガス絶縁管路母線。 (2) 絶縁スペーサには複数個の支持脚部が所定間
   隔存して設けられ、夫々の接地側電極に外装す
   るように導電性リングを配置固定した実用新案
   登録請求の範囲第１項記載のガス絶縁管路母
   線。