JPH0311263Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

（産業上の利用分野） 本考案はバルキー性に富むスパンライクな風合
と外観を有するスパンライクフアンシーヤーンに
関するものである。 （従来の技術） 従来、マルチフイラメント糸を意匠撚糸して得
られるスラブヤーン、紡績によるスラブヤーン、
ネツプヤーン、或いはマルチフイラメント糸を空
気処理して得られるスラブヤーンなどのフアンシ
ーヤーンが知られており、またこれらフアンシー
ヤーンと他の糸条を合撚したフアンシーヤーンも
知られている。 （考案が解決しようとする問題点） しかしながら、上記マルチフイラメント糸によ
るフアンシーヤーンは風合及び外観においてスパ
ンライクなものではなく、又上記フアンシーヤー
ンはいずれもバルキー性に劣るものであり、しか
も上記フアンシーヤーンはスラブ部又はネツプ部
などの太い部分とそれ以外の細い部分からなるの
で、製編織時に太い部分と細い部分の境界部で引
つ掛り易く異常張力などが生じ易いものであり、
糸条の解舒や製編、製織に困難を伴うと言う欠点
があり、更に糸パツケージの糸層が崩れ易いもの
であつた。 本考案はこのような従来の糸条の欠点を解消す
るものであつて、その目的はバルキー性に優れた
スパンライクな風合と外観を有し、しかも製編織
時における引つ掛りが少なくて編織性が良く更に
糸パツケージの糸層が崩れにくいスパンライクフ
アンシーヤーンを提供することにある。 （問題点を解決するための手段） すなわち、本考案は糸条を構成する繊維が他の
部分よりも多く集積して形成された太い部分とそ
れ以外の細い部分からなる節部を有する糸条と通
常のマルチフイラメント糸が流体処理により交絡
され、少なくとも細い部分の糸条表面にループが
形成されていることを特徴とするスパンライクフ
アンシーヤーンを要旨とするものである。 以下、本考案を詳細に説明する。 まず、本考案スパンライクフアンシーヤーンは
糸条を構成する繊維が他の部分より多く集積して
形成された太い部分とそれ以外の細い部分からな
る糸条（以下、節部を有する糸条という）とマル
チフイラメント糸からなるが、節部を有する糸条
としては通常のスラブヤーン、ネツプヤーンなど
のフアンシーヤーンが用いられる。これらフアン
シーヤーンはマルチフイラメント糸を意匠撚糸又
は空気処理して得られるスラブヤーン、紡績によ
つて得られるスラブヤーン、ネツプヤーンなどの
フアンシーヤーンのいずれでもよく、上記以外の
フアンシーヤーンでもよい。また、マルチフイラ
メント糸としてはスラブ部やネツプ部などの節部
を有しない通常の糸条であつて、マルチフイラメ
ント糸としてはポリエステル、ポリアミドなどの
合成繊維、アセテート、トリアセテートなどの半
合成繊維、レーヨン、キユプラなどの再生繊維及
び天然繊維などのフイラメント糸が用いられる。 次ぎに、上記節部を有する糸条と上記マルチフ
イラメント糸とは交絡されているものである。す
なわち、節部を有する糸条を構成する短繊維ない
しはフイラメントとマルチフイラメント糸を構成
するフイラメントとが部分的に絡みあつているも
のである。 更に、糸条表面にループが形成されているもの
である。このループは糸条の少なくとも細い部分
の糸条表面に形成されていることが必要であり、
糸条の長手方向全体に形成されていることが好ま
しい。また、前記ループは節部を有する糸条を構
成する短繊維ないしはフイラメント、或いはマル
チフイラメント糸を構成するフイラメントのいず
れに形成されていてもよい。勿論、節部を有する
糸条とマルチフイラメント糸の両者に形成されて
いてもよい。 次ぎに、本考案スパンライクフアンシーヤーン
を図示例により説明する。第１図はマルチフイラ
メント糸を意匠撚糸して得られたスラブヤーンと
マルチフイラメント糸からなる本考案スパンライ
クフアンシーヤーンの一例であつて、スラブヤー
ンとマルチフイラメント糸が交絡されており、ス
ラブヤーンのスラブ部が反映された太い部分１
と、スラブ部以外の糸条部分が反映された細い部
分２とが存在している。上記スラブヤーンとマル
チフイラメント糸は細い部分２において強く交絡
している。一方、太い部分１においてはスラブヤ
ーンとマルチフイラメント糸は殆ど交絡していな
いか、もしくは交絡していてもその程度は低いも
のであり、マルチフイラメント糸のフイラメント
同士が絡み合つてスラブ部を被覆した形態になつ
ている。更に糸条の長手方向全体に微細なループ
３が存在していて糸条の表面を毛羽状に覆つてい
て、太い部分と細い部分の境界部４において太細
差が緩和されてなだらかになつており、糸条全体
として元のスラブヤーンに比べて太細差が少なく
なつている。これに対して第３図に示す意匠撚糸
により得られた従来のスラブヤーンは太い部分１
と細い部分２との境界部４に於いて太細差が急激
に変化している。 上記の本考案スパンライクフアンシーヤーンは
例えば糸条に交絡やループを与える流体処理いわ
ゆるタスラン加工などを利用して製造することが
できる。第２図は本考案スパンライクフアンシー
ヤーンの製造工程の一例を示す工程概略図であ
り、第１フイードローラ７からスラブヤーン、ネ
ツプヤーンなどの節部を有する糸条５が、第２フ
イードローラ８からマルチフイラメント糸６がそ
れぞれジエツトノズル９に供給される。上記糸条
５，６はジエツトノズル９に供給される圧縮空気
の撹乱作用によつて相互に交絡するとともに糸条
表面にループが形成され、デリベリローラ１０を
経てスパンライクフアンシーヤーンとしてパツケ
ージ１１に巻き取られる。この際、節部を有する
糸条５とマルチフイラメント糸６は各フイードロ
ーラ７，８からジエツトノズル９へオーバーフイ
ードで供給される。上記２糸条の交絡の程度及び
ループの形成量はオーバーフイード率、上記圧縮
空気などを調節することによつて行われる。特に
オーバーフイード率を高くすると交絡及びループ
が効果的に形成される。上記２糸条のオーバーフ
イード率は同じでも、異なつてもよいが、糸条の
表面に多くのループを形成するには節部を有する
糸条よりも開繊性の良いマルチフイラメント糸の
オーバーフイード率を節部を有する糸条より高く
することが好ましい。微細なループを形成するた
めには単糸繊度の細いマルチフイラメント糸を用
いることが好ましく、マルチフイラメント糸のオ
ーバーフイード率は８〜30％程度にするとよい。
尚、上記流体処理においては糸条の細い部分にル
ープが形成され易く、節部にはループが形成され
にくい傾向があるが、節部にはループが形成され
なくてもよい。 （作用） 本考案スパンライクフアンシーヤーンは節部を
有する糸条とマルチフイラメント糸が交絡されて
いるので、交絡により節部を有する糸条の太細差
が緩和される。又、糸条表面に形成されたループ
によつても上記太細差が緩和される。さらに上記
ループは糸条に加えられる張力を緩和するための
クツシヨン作用を有し、しかも糸条にバルキー性
に富んだスパンライクな風合と外観を与える。 （実施例） 以下、本考案を実施例により具体的に説明す
る。 実施例 １ 芯糸としてポリエチレンテレフタレートマルチ
フイラメント糸150d／24f、効果糸としてポリエ
チレンテレフタレートマルチフイラメント糸
150d／72f、押え糸としてポリエチレンテレフタ
レートマルチフイラメント糸50d／24fをそれぞれ
用いて、意匠撚糸機により、撚数550T／Ｍでス
ラブヤーンを製造した。その際、オーバーフイー
ド率は芯糸２％、押え糸３％とし、効果糸のオー
バーフイード率は５％〜70％の範囲で変動させ
た。得られたスラブヤーン350d／120f（糸条Ａ）
とポリエチレンテレフタレートマルチフイラメン
ト糸150d／72f（糸条Ｂ）を用いて第２図の製造工
程に従つて第１表に示す条件でフアンシーヤーン
を製造した。ジエツトノズルとしては特公昭35−
1673号公報の第７図に示されたノズルを使用し
た。

【表】 このようにして得られた糸条は太い部分と細い
部分の境界部の太細差が緩和され、糸条の表面全
体に微細なループが毛羽状に多数存在したバルキ
ー性に富んだスパンライクフアンシーヤーンであ
り、糸パツケージの糸層の崩れにくいものであつ
た。この糸条を14ゲージの天竺編機により編成し
たところ、糸パツケージからの解舒性が良好であ
つて、トラブルなく編成することができた。この
編物を常法により染色仕上加工したところ、自然
な太細斑を呈したスラブ調外観と編地表面にルー
プが毛羽状に微細に浮き出た緩か味のある風合の
製品がえられた。 実施例 ２ 綿100％の精紡工程において間歇的にドラフト
率を変化させて綿スラブヤーンを製造した。得ら
れた綿スラブヤーン16／−^,Ｓ（糸条Ｃ）とナイロ
ンマルチフイラメント糸140d／48f（糸条Ｄ）を用
いて実施例１と同様の製造工程により第２表の条
件によりフアンシーヤーンを製造した。

【表】 このようにして得られた糸条は綿スラブヤーン
がナイロンマルチフイラメント糸に覆われて両糸
条が交絡しており、綿スラブヤーンのスラブ部の
太細差が穏やかな形態になり、かつナイロンマル
チフイラメント糸によるループが毛羽状に形成さ
れたものであつた。この糸条を12ゲージの横編機
によりゴム編変化組織の編地に編成したところ、
糸パツケージからの解舒性は良好であつて、なん
らのトラブルもなく編成することができた。この
編物を常法により染色仕上加工したところ、しな
やかなバルキータツチを有し、杢調とスラブが調
和した斬新な外観を呈した製品がえられた。 実施例 ３ ポリエチレンテレフタレートマルチフイラメン
ト糸150d／96f、同100d／48f、ナイロンマルチフ
イラメント糸140d／48fおよびポリエチレンテレ
フタレートマルチフイラメント糸175d／72fをそ
れぞれタスランノズルへ供給し、タスランノズル
により間歇的な空気撹乱作用を与えて糸条の長手
方向に交絡部（スラブ部）と非交絡部を交互に形
成した４種のスラブヤーンを製造した。 得られたスラブヤーンをそれぞれ下記のように
マルチフイラメント糸と組み合わせて第２図の工
程に従つて第３表の条件で本考案スパンライクフ
アンシーヤーンを製造した。尚、下記試料No.１に
おいては２本のマルチフイラメント糸を引き揃え
てフイードローラ８から供給した。 試料No.１ スラブヤーン150d／96fとポリエチ
レンテレフタレートマルチフイラメント糸
（以下PET糸という）50d／48fとPET糸
50d／12fとの引き揃え糸。 No.２ スラブヤーン100f／48fとカチオン
可染ポリエステルマルチフイラメント糸
100f／36f。 No.３ スラブヤーン140d／48fとPET糸
150d／48f。 No.４ スラブヤーン175d／72fとレーヨン
糸75d／30f。

【表】 上記のようにして得られた糸条はいずれもスラ
ブ部による太い部分とスラブ部以外の細い部分の
境界部が穏やかな形態となり、さらに糸条表面に
微細なループ状の毛羽が無数に形成されていて極
めてバルキー性に富んだものであつた。 No.１の糸条はスラブヤーンが芯部、マルチフイ
ラメント糸が鞘部を形成しており、主としてマル
チフイラメント糸のフイラメントがループを形成
していた。さらに、スラブ部はマルチフイラメン
ト糸により被覆され、部分的に交絡していた。 No.２の糸条はスラブヤーンの非交絡部とマルチ
フイラメント糸が混然一体に交絡され、両糸条の
フイラメントによりループが多数形成され、スラ
ブ部はマルチフイラメント糸と軽度に交絡してい
た。 No.３の糸条はスラブヤーンが鞘部、マルチフイラ
メント糸が芯部を形成し、主としてスラブヤーン
のフイラメントがループを形成していた。スラブ
部はほとんど交絡されていないが、太い部分と細
い部分の境界部で両糸条が強く交絡していた。 No.４の糸条はNo.１の糸条とほぼ同様な糸条形態で
あつた。 さらに、これらの糸条はいずれも製編織性が良
好であり、しかも得られた製品は嵩高性に優れ、
好ましい温もり感を有するものであつた。 （考案の効果） 本考案はの糸条は上記のような構成を有するの
で、バルキー性に優れたスパンライクな風合と外
観を有するものであり、また糸パツケージの糸層
が崩れにくく、運搬中などにおいて荷崩れが生じ
にくいものである。しかも、従来のフアンシーヤ
ーンに比べて優れた製編織性を示すものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案スパンライクフアンシーヤーン
の一例を示す概略側面図、第２図は本考案スパン
ライクフアンシーヤーンの製造工程の一例を示す
工程概略図、第３図は従来のスラブヤーンの一例
の概略側面図である。 １……フアンシーヤーンの太い部分、２……フ
アンシーヤーンの細い部分、３……ループ、４…
…太い部分と細い部分の境界部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 糸条を構成する繊維が他の部分よりも多く集積
   して形成された太い部分とそれ以外の細い部分か
   らなる節部を有する糸条と通常のマルチフイラメ
   ント糸が流体処理により交絡され、少なくとも細
   い部分の糸条表面にループが形成されていること
   を特徴とするスパンライクフアンシーヤーン。