JPH0260883B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、ネジ部材を用いて被固定部材を固定
部材に固定する構造に関するものである。

発明の背景 従来、配電盤や機械等のメンテナンス用に設け
られた開口部に、この開口部を覆うためのカバー
（被固定部材）を取り付ける場合には、カバーの
外周縁部に穿設された複数の取り付け孔にそれぞ
れビス（ネジ部材）を挿入し、このビスの雄ネジ
部を、例えば上記機械の本体（固定部材）の開口
部の周囲に刻設された雌ネジ部にそれぞれ螺着
し、ビスの頭部でカバーの表面を押さえつけるこ
とにより、上記カバーの固定が行われている。

ところが、上記固定構造におけるカバーの取り
付け孔の内径寸法は、ビスの雄ネジ部の外径寸法
よりは大径であるが、このビスの頭部の外径寸法
よりは通常小径に形成されているため、例えばメ
ンテナンスを行うべく、上記機械の開口部からカ
バーを取り除く場合には、上記ビスを雌ネジ部か
ら完全に抜き去つた後でなければカバーを取り外
すことが出来ない。

従つて、カバーの着脱には手間がかかると共
に、雌ネジ部から一度抜き去られたビスは紛失さ
れる可能性がある。

発明の目的 本発明は、上記事情に鑑みて創案されたもので
あり、例えば機械本体の開口部に対するカバーの
着脱を簡便に行うことができ、しかも、ビスを紛
失することのない固定構造の提供を目的とするも
のである。

発明の構成 上記目的を達成するために、本発明が採用する
主たる手段は、その要旨とするところが、ネジ部
材を用いて、このネジ部材の外径寸法より大きな
内径寸法の貫通孔が穿設された被固定部材を固定
部材に固定する構造において、上記被固定部材の
貫通孔の内径寸法とほぼ等しいか、またはそれ以
下の自由外径寸法を有し、上記ネジ部材と係合す
ると共に、このネジ部材の固定部材に対する螺着
方向への移動に伴つて半径方向へ拡開する弾性体
からなる係止部材を上記被固定部材の貫通孔の外
周縁部若しくは内周壁と係合させることにより、
この被固定部材を上記固定部材に固定することと
した点に係る固定構造である。

尚、この場合、上記ネジ部材にはビスのみでな
くナツトも含まれている。

発明の作用 上記したように構成される固定構造において
は、予め固定部材に、係止部材と常時係合するネ
ジ部材をある程度螺着しておき、被固定部材の貫
通孔からネジ部材と共に係止部材を挿入し、その
後、上記ネジ部材を締め付けることにより、この
ネジ部材の固定部材に対する螺着方向への移動に
伴つて半径方向へ拡開する弾性体からなる上記係
止部材が被固定部材の貫通孔の外周縁部若しくは
内周壁と係合し、この被固定部材は上記固定部材
に固定される。

他方、上記固定部材から被固定部材を取り外す
場合には、上記手順とは逆にネジ部材を反螺着方
向へ移動させ、上記被固定部材と係合する係止部
材をこの係止部材の弾性力により半径方向へ縮小
させ、この係止部材と被固定部材の係合を解除す
ることにより、上記ネジ部材を固定部材から抜き
去ることなく、被固定部材を取り外すことができ
る。

実施例 以下、添付図面を参照して、本発明を具体化し
た実施例につき説明し、本発明の理解に供する。

尚、以下の実施例は、本発明を具体化した一例
あつて、本発明の技術的範囲を限定する性格のも
のではない。

ここに第１図は本発明の一実施例に係る固定構
造を表す断面図、第２図は上記固定構造を構成す
る構成部品であるネジ部材、係止部材及び座金の
斜視図、第３図は上記固定構造により被固定部材
を固定部材に固定する場合の手順を示す説明図、
第４図、第５図及び第６図はそれぞれ本発明の他
の実施例に係る固定構造を表す断面図である。

この実施例に係る固定構造Ａでは、第１図及び
第２図に示す如く、例えば機械の本体（固定部
材）３の図示せぬ開口部の周辺に刻設された雌ネ
ジ部３ａに螺着されるビス（ネジ部材）４を用い
て、このビス４の頭部４ａの外径寸法より大きな
内径寸法の貫通孔５ａが穿設された上記開口部を
覆うためのカバー（被固定部材）５を上記本体３
に固定する場合、上記カバー５の貫通孔５ａの内
径寸法とほぼ等しいか、またはそれ以下の自由外
径寸法を有し、上記ビス４の頭部４ａと係合する
と共に、このビス４の上記本体３に対する螺着方
向（矢印８方向）への移動に伴つて、半径方向へ
拡開する弾性体からなる係止部材６を上記カバー
５の貫通孔５ａの外周縁部と係合させることによ
り、このカバー５を上記本体３に固定するように
構成されている。

上記ビス４の頭部４ａの下面外周縁部には、上
記係止部材６の内周面に当接し、この係止部材６
をビス４の本体３に対する螺着方向への移動に伴
つて、半径方向へ押し広げ、拡開するための傾斜
面を有する支持部４ｂが形成されており、この頭
部４ａの下面中央部には、上記本体３の雌ネジ部
３ａに螺着するための雄ネジ部４ｃが形成されて
いる。

そして、この雄ネジ部４ｃには、上記カバー５
の肉厚寸法に等しい肉厚寸法とビス４の頭部４ａ
の外径寸法に等しい外径寸法とを有し、この頭部
４ａの支持部４ｂとで係止部材６を支持するため
の座金７が挿入されている。

上記カバー５の貫通孔５ａは、上記本体３に対
し、カバー５を着脱する際、ビス４の頭部４ａ、
係止部材６及び座金７を挿通するためのものであ
る。

上記係止部材６は、断面円形状の弾性を有する
例えば金属性バネ部材をリング状に成形したもの
で、上記ビス４の本体３に対する螺着方向への移
動に伴つて半径方向へ押し広げられ、この係止部
材６の下面がカバー５上面の貫通孔５ａの外周縁
部と係合することにより、カバー５が本体３に固
定される。

次に、上記固定構造Ａを構成する場合の手順に
ついて第３図に基づいて説明する。

まず、予めビス４に係止部材６及び座金７を装
備し、このビス４を本体３の雌ネジ部３ａにねじ
込み、係止部材６がビス４の支持部４ｂによつて
半径方向へ押し広げられる手前で停止する。

次に、カバー５の貫通孔５ａにビス４の頭部４
ａ、係止部材６及び座金７を挿通させると共に、
カバー５の下面を本体３の上面に当接させ、上記
ビス４を矢印８方向へ更にねじ込む。

その結果、上記係止部材６はビス４の支持部４
ｂによつて半径方向へ押し広げられ拡開し、この
係止部材６の下面とカバー５上面の貫通孔５ａの
外周縁部とが係合することにより、上記カバー５
が本体３に固定される。

他方、上記したようにして本体３に固定された
カバー５をこの本体３から取り外す場合には、上
記とは逆の手順、即ち上記ビス４を反螺着方向
（矢印９方向）へ移動させ、上記係止部材６をこ
の係止部材６の弾性力で半径方向へ収縮させるこ
とにより、この係止部材６の下面と貫通孔５ａの
外周縁部との係合が解除される。その結果、ビス
４を本体３から抜き去ることなく、この本体３か
らカバー５を容易に取り外すことができる。

尚、上記固定構造Ａにおいては、ビス４の螺着
方向への移動に伴つて係止部材６が半径方向へ押
し広げられるように構成されることが重要な一要
素であるが、そのためには、上記実施例に示すよ
うにビス４の支持部４ｂの形状が傾斜面にのみ限
定されるものではなく、また、係止部材６の断面
が円形形状にのみ限定されるものではない。

従つて、例えば係止部材６の断面は、方形や矩
形状であつても良い。

次に第４図、第５図及び第６図に基づいて本発
明の他の実施例に係る固定構造Ｂ，Ｃ，及びＤに
ついて順次説明する。

まず、固定構造Ｂは第４図に示す如く、カバー
５の貫通孔５ａの内周壁が上方に向かつて拡開す
るテーパ状に形成されており、この貫通孔５ａの
テーパ状の内周壁と、ビス４の螺着方向への移動
に伴つて半径方向へ拡開する係止部材６とが係合
することにより、上記カバー５が本体３に固定さ
れる。

次に、固定構造Ｃでは、第５図に示す如く、前
記第１図に示した固定構造Ａにおける座金７を本
体３に一体的に形成することにより構成されてい
る。

更に、固定構造Ｄでは、第６図に示す如く、カ
バー５の貫通孔５ａに、上方に向かつて拡開する
テーパ状の内周壁６ａを有する係止部材６′が挿
入されており、この係止部材６′の内周壁６ａに
は、ビス４′の横断面矩形状の頭部４a′の下面外
周縁部が当接されている。

従つて、上記ビス４′の螺着方向への移動に伴
つて、係止部材６′は半径方向へ押し広げられ拡
開し、この係止部材６′の外周壁がカバー５の貫
通孔５ａの内周壁に圧接されることにより、上記
カバー５が本体３に固定される。

尚、上記各実施例においては、ビスをネジ部材
として用いた場合について説明したが、予め本体
に設けられた雄ネジ部に螺着するためのナツトを
上記ネジ部材として用いて上記固定構造を構成す
ることも可能である。

また、上記各実施例では、機械に対しカバーの
着脱を行う場合を例としているが、本発明に係る
固定構造は上記例に限定されるものではなく、ネ
ジ部材を用いて被固定部材に固定する構造におい
てはあらゆるものに適用し得ることは言うまでも
ない。

発明の効果 本発明は、上記したように、ネジ部材を用い
て、このネジ部材の外径寸法より大きな内径寸法
の貫通孔が穿設された被固定部材を固定部材に固
定する構造において、上記被固定部材の貫通孔の
内径寸法とほぼ等しいか、またはそれ以下の自由
外径寸法を有し、上記ネジ部材と係合すると共
に、このネジ部材の固定部材に対する螺着方向へ
の移動に伴つて半径方向へ拡開する弾性体からな
る係止部材を上記被固定部材の貫通孔の外周縁部
若しくは内周壁と係合させることにより、この被
固定部材を上記固定部材に固定することとした固
定構造であるから、上記構造を、例えば機械の開
口部に設けられるカバーの固定手段に適用するこ
とにより、機械の開口部に対するカバーの着脱も
簡便に行うことができ、しかも、このカバーの着
脱の際、ネジ部材であるビスを紛失するというこ
とはないのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例に係る固定構造を表
す断面図、第２図は上記固定構造を構成する構成
部品であるネジ部材、係止部材及び座金の斜視
図、第３図は上記固定構造により被固定部材を固
定部材に固定する場合の手順を示す説明図、第４
図、第５図及び第６図はそれぞれ本発明の他の実
施例に係る固定構造を表す断面図である。 （符号の説明）、３……本体、３ａ……雌ネジ
部、４，４′……ビス（ネジ部材）、４ａ，４a′…
…頭部、４ｂ……支持部、４ｃ……雄ネジ部、５
……カバー（被固定部材）、５ａ……貫通孔、６，
６′……係止部材、６ａ……内周壁、７……座金、
Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄ……固定構造。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ネジ部材を用いて、このネジ部材の外径寸法
   より大きな内径寸法の貫通孔が穿設された被固定
   部材を固定部材に固定する構造において、 上記被固定部材の貫通孔の内径寸法とほぼ等し
   いか、またはそれ以下の自由外径寸法を有し、上
   記ネジ部材と係合すると共に、このネジ部材の固
   定部材に対する螺着方向への移動に伴つて半径方
   向へ拡開する弾性体からなる係止部材を上記被固
   定部材の貫通孔の外周縁部若しくは内周壁と係合
   させることにより、この被固定部材を上記固定部
   材に固定することとした固定構造。