JPH0249207Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、ラツクと、このラツクの荷受け部と
の間で荷の受渡しを行うことの出来る搬送装置と
の組合せから成る格納設備に関するものである。

（従来の技術及びその問題点） 従来のこの種の格納設備に於いて使用される前
記搬送装置としては、ラツク前の入出庫作業通路
を走行するスタツカークレーンタイプのものが一
般的であつた。即ち、従来のスタツカークレーン
タイプの搬送装置は、ランニングフオーク等の荷
受渡し手段を設けた昇降キヤレツジの昇降をガイ
ドする、ラツクの高さ以上に高い支柱を備えた大
型大重量のものであつたため、この搬送装置自体
が非常に高価で運転コストも高くつく欠点があつ
た。又、このようなスタツカークレーンタイプの
搬送装置は、その走行経路として床面から天井近
くまでの大きな空間を経路全長にわたつて占有す
ることになるためと、前記のように運転コストが
高くつき且つ大重量のものであるから高速運転に
も不向きであるため、前記ラツク前の入出庫作業
通路に於いてのみ使用される入出庫専用装置とし
て利用されており、この搬送装置を、前記ラツク
と当該ラツク前の入出庫作業通路とを含む倉庫領
域と、この倉庫領域から離れた他の荷捌き作業場
所との間の荷搬送手段に兼用させることも出来な
かつた。

一方、特開昭53−27971号公報に記載された立
体倉庫のように、ラツクに隣接する入出庫作業通
路の床面上を走行可能な台車上に荷受渡し手段を
設け、前記入出庫作業通路内に進入させた前記台
車自体を、当該台車に設けた駆動歯輪とラツク側
に設けたラツクギヤ相当レールとの係合により昇
降させ、ラツクの任意高さの荷受け部と前記台車
との間で、当該台車上の荷受渡し手段により荷の
受渡しを行うように構成した格納設備も知られて
いる。

このような台車昇降式の格納設備では、搬送装
置自体が小型軽量となり、しかも当該台車を倉庫
領域から離れた荷捌き場所との間の搬送手段にも
兼用させることが出来るので、前記のようなスタ
ツカークレーン利用の格納設備に於ける問題点を
解決することは出来るが、特殊な台車昇降駆動手
段が必要であり、台車そのものを昇降駆動しなけ
ればならないので昇降負荷が大きく、能力の大き
な駆動手段を必要とする問題点がある。更にラツ
クが僅かでも傾いたり、建方精度が低いと、円滑
で安全な昇降駆動が行えなくなる欠点もある。

上記のような問題点を解決するためには、前記
台車を入出庫作業通路の上方で当該通路にそつて
走行可能に支持し、当該台車から荷受渡し手段を
昇降可能に吊り下げれば良いことになるが、ワイ
ヤー等で入出庫作業通路内に吊り降ろされる荷受
渡し手段は前後左右に揺れ動き得る状態であるか
ら、荷受渡し手段の揺れ動きを防止してラツク側
の荷受け部との間で安全に荷の受渡しを行えるよ
うにしなければならないし、荷受渡し手段を台車
直下まで上昇させて台車を走行させるときも、吊
り下げられている荷受渡し手段の揺れ動きを防止
して、荷受渡し手段上の荷を安全に搬送し得るよ
うにしなければならない。

（課題を解決するための手段） 本考案は上記のような従来の問題点を解決する
ために、ラツクと搬送装置との組合せから成り、
前記搬送装置は、前記ラツク前の入出庫作業通路
の上方で当該通路にそつて架設されたガイドレー
ルに案内されて移動する走行移動体と、この走行
移動体からホイストによつて前記作業通路へ吊り
降ろし可能に吊り下げられた昇降移動体と、この
昇降移動体に設けられ且つ前記ラツクの荷受け部
との間で荷の受渡しを行う荷受渡し手段とを備
え、前記昇降移動体には、下降時に前記ラツクに
隣接する側部に昇降用被案内部を設け、前記ラツ
ク側には、前記昇降移動体が作業通路に於いて昇
降移動するとき、前記昇降用被案内部と協同して
当該昇降移動体の昇降経路を規制する昇降案内手
段を設け、更に前記走行移動体には、前記昇降移
動体を上昇限まで上昇させたとき、前記昇降用被
案内部と係合して当該昇降移動体を位置決めする
手段を設けて成る格納設備を提案するものであ
る。

（実施例） 以下に本考案の一実施例を添付の例示図に基づ
いて説明する。

第１図及び第２図に於いて、１は入出庫作業通
路２，３の左右両側に立設されたラツク、４は主
ガイドレール、５ａ，５ｂは、経路切り換え装置
６ａ，６ｂを介して前記主ガイドレール４から分
岐された副ガイドレールであつて、前記入出庫作
業通路２，３の上方で当該通路２，３に沿つて架
設されている。７は、前記主ガイドレール４及び
副ガイドレール５ａ，５ｂに案内されて自走する
搬送装置である。この搬送装置７は、前記ガイド
レール４，５ａ，５ｂに移動可能に吊り下げられ
た走行移動体８と、この走行移動体８にホイスト
９を介して昇降可能に吊り下げられた昇降移動体
１０とを備えている。

第３図及び第４図に示すように、前記走行移動
体８は、前後方向のフレーム１１の一端上部に駆
動台車１２を垂直軸１３の周りで相対回転可能に
取付けると共に、前記フレーム１１の他端上部に
遊動台車１４を垂直軸１５の周りで相対回転可能
に取付けて成るものであり、前記駆動台車１２に
は、ガイドレール４，５ａ，５ｂの上縁部に嵌合
する溝付き駆動車輪１６、この駆動車輪１６を減
速伝動手段１７を介して駆動するブレーキ付きモ
ーター１８、前記ガイドレール４，５ａ，５ｂの
下縁部を左右両側から挟む前後一組の振れ止め用
ガイドローラー１９、前記ガイドレール４，５
ａ，５ｂの下縁部に下側から当接する前後一対の
バツクアツプローラー２０、及びガイドレール
４，５ａ，５ｂの一側面に架設されている給電レ
ール手段２１に摺接する集電手段２２から構成さ
れ、前記遊動台車１４は、ガイドレール４，５
ａ，５ｂの上縁部に嵌合する溝付き遊転車輪２
３、前記ガイドレール４，５ａ，５ｂの下縁部を
左右両側から挟む前後一組の揺れ止め用ガイドロ
ーラー２４、及び前記ガイドレール４，５ａ，５
ｂの下縁部に下側から当接する前後一対のバツク
アツプローラー２５から構成されている。

前記昇降移動体１０は、側面形状が矩形枠状の
フレーム２６の下辺部上側に、左右両側方に出退
移動自在なランニングフオーク２７が設けられ、
前記フレーム２６の上辺部上側には、前記走行移
動体８のフレーム１１に搭載されたホイスト９の
吊り下げ用ワイヤー９ａが係合する滑車２８が軸
支されている。又、前記フレーム２６の左右両側
部に於ける各四隅には、水平左右方向軸によつて
軸支された前後振れ止め用ガイドローラー２９
と、水平前後方向軸によつて軸支された左右振れ
止め用ガイドローラー３０とを備えた被案内部３
１が夫々設けられている。

前記走行移動体８のフレーム１１には、前記昇
降移動体１０を上昇限位置までホイスト９により
吊り上げたとき、この昇降移動体１０に設けられ
ている被案内部３１の内、上側に位置する前後左
右４か所の被案内部３１に於けるガイドローラー
２９，３０が夫々嵌入する昇降移動体振れ止め用
ガイドレール３２と、上昇限規制用ストツパー３
３とが設けられている。前記昇降移動体振れ止め
用ガイドレール３２の下端開口部は、前記被案内
部３１に於けるガイドローラー２９，３０の嵌入
を容易ならしめるためにラツパ状に広げられてい
る。

尚、前記昇降移動体１０を吊り下げるホイスト
９を駆動するブレーキ付きモーター３４と前記駆
動台車１２のブレーキ付きモーター１８、及び前
記昇降移動体１０に設けられているランニングフ
オーク２７の駆動用モーター（図示せず）は、前
記集電手段２２を介して前記給電レール手段２１
から供給される電力によつて駆動される。

第５図及び第６図に示すように前記ラツク１側
には、前記入出庫作業通路２，３側に於いて各荷
受け部３５の左右両側に立設されている支柱３６
に、前記入出庫作業通路２，３内に於いて昇降移
動する前記昇降移動体１０の各被案内部３１のガ
イドローラー２９，３０が嵌入する昇降ガイドレ
ール３７が全長にわたつて付設されている。この
ガイドレール３７の上端開口部も、前記被案内部
３１に於ける各ガイドローラー２９，３０の嵌入
を容易ならしめるためにラツパ状に広げておくの
が望ましい。３８は前記各荷受け部３５に設けら
れた左右一対の荷受け部材であつて、前記昇降移
動体１０側のランニングフオーク２７は、この左
右一対の荷受け部材３８間に於いて昇降移動する
ことが出来る。

入庫作業方法の一例を説明すると、第３図に示
すように荷３９をランニングフオーク２７上に於
いて支持した昇降移動体１０を、ストツパー３３
に当接する上昇限位置までホイスト９によつて吊
り上げた状態に於いて、搬送装置７を走行させ
る。即ち、走行移動体８の駆動台車１２に於ける
駆動車輪１６をモーター１８によつて回動させ、
走行移動体８を主ガイドレール４にそつて走行さ
せる。このとき、昇降移動体１０側の上側４か所
の被案内部３１に於けるガイドローラー２９，３
０が走行移動体８側のガイドレール３２に嵌入し
ており、且つ昇降移動体１０が走行移動体８側の
ストツパー３３に当接しているので、走行移動体
８に対して昇降移動体１０が揺れ動く恐れはな
い。

上記のように荷３９を搬送する搬送装置７を、
経路切り換え装置６ｂ（又は６ａ）の切り換えに
より入出庫作業通路３（又は２）に所属する副ガ
イドレール５ｂ（又は５ａ）の経路に進入させ、
入出庫作業通路３（又は２）の左右両側のラツク
１の荷受け部３５の内、入庫対象の特定荷受け部
３５に対応する所定位置で当該搬送装置７を停止
させる。次にホイスト９をモーター３４により駆
動し、昇降移動体１０をワイヤー９ａによつて入
出庫作業通路３（又は２）内に吊り降ろすが、こ
のとき昇降移動体１０の左右各被案内部３１のガ
イドローラー２９，３０がラツク１側の昇降ガイ
ドレール３７に嵌入して下降するので、ラツク１
に対する昇降移動体１０の昇降経路は一定し、贅
語左右に揺れ動く恐れはない。

昇降移動体１０が入庫対象の特定荷受け部３５
に対応する高さまで下降すれば、当該昇降移動体
１０の吊り降ろしを停止し、昇降移動体１０に対
するランニングフオーク２７の出退移動と当該昇
降移動体１０の下降運動との組合せから成るフオ
ーキング操作により、前記ランニングフオーク２
７上の荷３９をラツク１の特定荷受け部３５に移
載することが出来る。空になつた昇降移動体１０
はホイスト９により再び上昇限位置まで吊り上げ
ることにより、ラツク１間の入出庫作業通路３
（又は２）から上方に離脱させると共に走行移動
体８と一体化することが出来る。係る状態で再び
搬送装置７を走行させ、副ガイドレール５ｂ（又
は５ａ）に連なる所定経路を経由させて当該搬送
装置７を所定場所へ移動させるのであるが、この
搬送装置７を後退移動させて副ガイドレール５ｂ
（又は５ａ）から主ガイドレール４の経路へ戻す
ことも出来る。

出庫作業も前記入庫作業と同様の要領で行うこ
とが出来る。

尚、ラツク側の昇降案内手段と昇降移動体側の
被案内部とは、実施例に示した構成に限定されな
い。例えば、ラツク１の通路側支柱３６に対して
直接当接する前後左右の振れ止め用ガイドローラ
ーを昇降移動体１０側に軸支することも出来る
し、昇降移動体１０側に上下方向のガイドレール
を付設し、ラツク１側に前記ガイドレールに嵌合
する振れ止め用ガイドローラーを上下方向適当間
隔おきに軸支することも可能である。又、第７図
に示すように、入出庫作業通路の片側に位置する
ラツク１にのみ左右一対の昇降ガイドレール４０
を付設し、昇降移動体１０側の被案内部３１とし
ては、前記通路側のガイドレール４０に嵌合して
昇降移動体１０の昇降経路を規制する左右振れ止
め用ガイドローラー４１を軸支することも出来
る。勿論、このガイドレール４０の底面に当接す
る前後振れ止め用ガイドローラーを併用しても良
い。

（考案の作用及び効果） 以上のように本考案の格納設備によれば、昇降
移動体をホイストにより上昇限位置まで吊り上げ
ておくことにより、当該昇降移動体と走行移動体
とから成る搬送装置全体を高さの低いコンパクト
な状態にして、ガイドレールにそつて走行させる
ことが出来るものでありながら、ラツクの各荷受
け部に対する入出庫作業時には、前記走行移動体
に対して昇降移動体をホイストにより下降させる
ことにより、当該昇降移動体をラツクの任意の高
さにある荷受け部に対応させ、当該昇降移動体の
荷受渡し手段によりラツク側の荷受け部と昇降移
動体との間で荷の受渡しを行うことが出来る。し
かもラツク前の入出庫作業通路に於いて昇降移動
体を昇降移動させるときには、ラツク側の昇降案
内手段と昇降移動体側の被案内部との協同作用に
より、昇降移動体はラツクに対して所定の昇降経
路を昇降移動することが出来、ラツクの傾き等に
も影響されずに安全に入出庫作業を行わせること
が出来る。

更に、前記昇降移動体を上昇限位置まで上昇さ
せた状態では、走行移動体側の位置決め手段（実
施例ではガイドレール３２）と前記昇降移動体側
の被案内部との係合により、吊り下げられている
昇降移動体が走行移動体に対して揺れ動くことも
なくなり、搬送装置を高速走行させる場合でも荷
崩れを伴うことなく安全に荷を搬送することが出
来る。勿論、この昇降移動体を上昇限位置で位置
決めするのに利用されている被案内部は、当該昇
降移動体が入出庫作業通路内で吊り下げられて昇
降するときにラツク側の昇降案内手段と係合する
ものであつて、上昇限位置で位置決めするために
専用に設けられたものではない。従つて、部品点
数も少なくて全体の構造が簡単となり、安価に実
施することが出来る。

上記の理由から本考案の格納設備に於ける搬送
装置は、ラツク前の入出庫作業通路に於いては従
来のスタツカークレーンタイプの搬送装置と同様
に、上下方向多段に荷受け部を備えたラツクに対
する入出庫作業を安全に行えるものでありなが
ら、実施例にも示すように前記入出庫作業通路以
外の搬送経路に於いては、小型軽量で運転コスト
の安価なトロリーコンベヤタイプの搬送装置とし
て活用することが出来る。

しかも搬送装置は、荷受渡し手段を備えた昇降
移動体のみをホイストで吊り下げるタイプである
から、床面上を有効に活用し得るばかりでなく、
台車ごとラツクに沿つて昇降させる場合のような
特殊な昇降駆動手段や能力の大きな昇降駆動手段
は不要であり、安価に実施することが出来る。勿
論、ラツク側のラツクギヤ相当物とこれに咬合す
る歯輪とで昇降移動体を昇降駆動する場合のよう
に、ラツク側の寸法精度や傾きにそれ程影響され
ず、昇降移動体を常に円滑安全に昇降させること
が出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は全体の概略平面図、第２図は全体の立
面図、第３図は搬送装置の側面図、第４図は同正
面図、第５図は入出庫作業状態での昇降移動体と
ラツクとの関係を示す立面図、第６図は同横断平
面図、第７図は別の実施例を示す横断平面図であ
る。 １…ラツク、２，３…入出庫作業通路、４…主
ガイドレール、５ａ，５ｂ…副ガイドレール、７
…搬送装置、８…走行移動体、９…ホイスト、１
０…昇降移動体、１２…駆動台車、１４…遊動台
車、１６…駆動車輪、１８…走行駆動用モータ
ー、２１…給電レール手段、２２…集電手段、２
７…ランニングフオーク（荷受渡し手段）、２９
…前後振れ止め用ガイドローラー、３０，４１…
左右振れ止め用ガイドローラー、３１…被案内
部、３２…上昇限位置の昇降移動体を位置決めす
るガイドレール、３３…ストツパー、３４…ホイ
スト駆動用モーター、３５…荷受け部、３６…支
柱、３７，４０…ガイドレール（昇降案内手段）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ラツクと搬送装置との組合せから成り、前記搬
   送装置は、前記ラツク前の入出庫作業通路の上方
   で当該通路にそつて架設されたガイドレールに案
   内されて移動する走行移動体と、この走行移動体
   からホイストによつて前記作業通路へ吊り降ろし
   可能に吊り下げられた昇降移動体と、この昇降移
   動体に設けられ且つ前記ラツクの荷受け部との間
   で荷の受渡しを行う荷受渡し手段とを備え、前記
   昇降移動体には、下降時に前記ラツクに隣接する
   側部に昇降用被案内部を設け、前記ラツク側に
   は、前記昇降移動体が作業通路に於いて昇降移動
   するとき、前記昇降用被案内部と協同して当該昇
   降移動体の昇降経路を規制する昇降案内手段を設
   け、更に前記走行移動体には、前記昇降移動体を
   上昇限まで上昇させたとき、前記昇降用被案内部
   と係合して当該昇降移動体を位置決めする手段を
   設けて成る格納設備。