JPH0247803B2 - Kakusodensenyohiraigaishisochi - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の目的 （産業上の利用分野） 本発明は落雷に起因する高電圧が送電線に加わ
つたとき、それを速やかに接地するとともに、そ
の後生じる続流アークを確実に遮断し、雷による
地雷事故を防止できる架空送電線（懸垂鉄塔）用
避雷碍子装置に関するものである。

（従来の技術） 一般に、送電線に対して所定の気中放電間隙を
もつて避雷碍子を装設する方法の避雷碍子装置に
おいては、特に碍子表面が汚損したり、雨水で湿
潤したりして清浄時に比べ格段に避雷碍子の表面
潤洩電流が増加し易い条件下においても、短時間
に続流アークを遮断する必要がある。

この課題を解決するため、従来、架空送電線用
避雷碍子装置として、例えば実開昭54−137838号
公報に開示されたものがあつた。これは第５図に
示すように、鉄塔３３の支持アーム３４に対し、
送電線３５を支持するための支持碍子３６を上端
部において横方向の回動可能に吊下し、前記送電
線３５には課電側の放電電極３７を取着し、前記
支持アーム３４の中間部には避雷器３８を吊下固
定し、同避雷器３８の下端部には接地側の放電電
極３９を水平に片持ち固定していた。

（発明が解決しようとする問題点） ところが、前記従来の架空送電線用避雷碍子装
置は、避雷器３８が支持アーム３４の下部に直付
けされるので、アーム３４に付着した雨水が避雷
器３８に流れ、このため落雷により前記課電側及
び接地側の放電電極３７，３９間にアークが流れ
て、避雷器が動作したとき対地電圧によつて生じ
る表面潤洩電流が極端に増加し、気中放電間隙で
続流アークを遮断できないという現象が起こつ
た。又、鉄塔への冠雪が避雷器３８に迫り出し外
表面の閃絡を招来し易いという問題があつた。さ
らに、送電線３５と対応して両放電電極３７，３
９間にアークが生じるので、同送電線３５が溶断
され易いという問題があつた。

加えて、避雷器３８が送電線３５よりも内側
（鉄塔３３側）に配置されていることから、保守、
点検に必要な絶縁間隔を確保し得ず、アーム２の
突出長さを大幅に増加する必要が生じ、既設の鉄
塔への適用に問題があつた。

（問題点を解決するための手段） 本発明は前記問題点を解消するため、塔体の支
持アームに対し送電線の吊下碍子を回動可能に吊
下し、同吊下碍子の下端部には課電側の放電電極
を送電線から所定距離上方へ変位した位置におい
て線路方向へ延出し、一方、支持アームには取付
アダプタを介して避雷碍子を前記課電側の放電電
極と対応して側方へ変位するように避雷碍子を吊
下固定し、取付アダプタは前記支持アームの下面
から上方へ変位させ、同避雷碍子の下部電極に支
持した接地側の放電電極と前記課電側の放電電極
とを、所定の気中放電間隙をもつて対向するとい
う手段を採つている。

（作用） 本発明は前記手段を採つたことにより、次のよ
うに作用する。

落雷に起因する異常高電圧が送電線に加わる
と、同電圧はクランプ金具を介して課電側の放電
電極から接地側の放電電極に放電され、避雷碍子
に内蔵した非直線性性抵抗素子を経て塔体側へ流
れ接地される。又、その後生じる続流アークは前
記気中放電間隙と非直線性性抵抗素子により遮断
される。

本発明は避雷碍子が吊下碍子と対応してその側
方へ変位し、かつ、避雷碍子の上部が支持アーム
よりも上方に位置しているので、雨水が同放電電
極に集中することはなく、両放電電極の間隙が常
に一定に保持され放電特性が安定化する。又、避
雷碍子は既来の支持アームに対して、取付アダプ
タにより容易に取着され、課電側の放電電極の取
付も既設のホーン取付金具により容易に行える。

（実施例） 以下、本発明を具体化した一実施例を第１図〜
第４図に基づいて説明すると、鉄塔１の支持アー
ム２の先端下面にはボルト３により吊下金具４が
固定され、同吊下金具４には連結金具５が線路
（第１図の左右）方向及び線路方向と直交する方
向の回動可能に連結され、同連結金具５にはピン
６によりホーン取付金具７が線路方向の回動可能
に連結され、同ホーン取付金具７には多数の懸垂
碍子８を直列に連結してなる吊下碍子としての懸
垂碍子連９がピン１０により同じく線路方向の回
動可能に吊下されている。

前記懸垂碍子連９の下端部には同じくホーン取
付金具１１が線路方向の回動可能に連結され、同
取付金具１１の下端部にはピン１２を介して連結
リンク１３が線路方向の回動可能に連結されてい
る同連結リンク１３の下端部には電線クランプ１
４を介して送電線１５が支持されている。

前記両ホーン取付金具７，１１には雷撃時に懸
垂碍子連９の表面を閃絡するアークを補足して同
碍子連９の溶断を防止するための課電側及び接地
側のアーキングホーン１６，１７が片持ち支持さ
れてる。又、下部の取付金具１１には前記アーキ
ングホーン１６と反対側に位置するように課電側
の放電電極１８が片持ち支持されている。

一方、前記支持アーム２の一側には、同アーム
２の側方に位置するように、平面Ｌ字状をなす取
付アダプタ１９がボルト２７により取着され、同
アダプタ１９の先端下面には、電圧電流特性が非
直線性の抵抗素子（図示略）を内蔵した避雷碍子
２０の上部電極２３がボルト２８により垂下固定
され、同避雷碍子２０の下端に位置する下部電極
２１には、前記課電側の放電電極１８と対向する
ように、線路直角方向に幅を有する接地側の放電
電極２２が下向きに取着されている。

前記懸垂碍子連９の上端部に位置する懸垂碍子
８のキヤツプ金具８ａと課電側の放電電極１８と
の距離Ｌは、課電側と接地側の両放電電極１８，
２２の放電間隙Ｇの1.3倍以上に設定されている。
これは急峻な雷があつたときでも放電間隙Ｇで確
実に放電されるためである。又、前記避雷碍子２
０の上部電極２３は取付アダプタ１９の中間部を
上方へ折り曲げることにより、支持アーム２の下
面から上方へ所定距離変位され、支持アーム２に
付着した水滴が避雷碍子２０に集中したり、冠雪
が避雷碍子２０に迫り出すのを防止するようにし
ている。

第４図は鉄塔１の左側全体の避雷碍子装置の装
着状態を示す。この図から明らかなように、最上
段の第一支持アーム２４、第二支持アーム２５、
及び最下段の第三支持アーム２６にそれぞれ装着
された第一避雷碍子２０Ａ、第二避雷碍子２０
Ｂ、及び第三避雷碍子２０Ｃの水平方向の位置関
係は、次のようになつている。すなわち、第一避
雷碍子２０Ａは塔塔に最も近くし、第二避雷碍子
２０Ｂは鉄塔から最も遠くし、第三避雷碍子２０
Ｃは第一、第二避雷碍子２０Ａ，２０Ｂの中間に
位置させて、上段の避雷碍子から滴下した雨水が
下段の避雷碍子へ当たらないようにしている。

次に、前記のように構成した架空送電線用避雷
碍子装置について、その作用を説明する。

今、送電線１５に対し落雷に起因する異常高電
圧が加わると、この電圧は電線クランプ１４、連
結リンク１３、及びホーン取付金具１１を経て、
課電側の放電電極１８から接地側の放電電極２２
へ放電され、さらに避雷碍子２０内の非直線性抵
抗素子を通つて取付アダプタ１９へ流れ、支持ア
ーム２、及び鉄塔１を経て接地される。その後、
発生する続流アークは気中放電間隙及び前記非直
線性性抵抗素子により遮断され、同アークによる
両放電電極１８，２２の溶断が防止される。

又、この実施例では課電側の放電電極１８の先
端部が水平に形成されているので、懸垂碍子連９
が連結金具５を中心に線路方向へ回動しても、両
放電電極１８，２２の放電間隙Ｇが一定に保持さ
れ、安定した装柱状態が維持される。

さらに、前記実施例では避雷碍子２０の上部電
極２３を取付アダプタ１９により支持アーム２の
下面よりも上方に位置させたので、支持アーム２
側の雨水が取付アダプタ１９を伝つて避雷碍子２
０へ流れるのをなくすことができる。又、避雷碍
子２０を懸垂碍子連９から線路方向へ変位させた
ので、避雷碍子２０と鉄塔１との気中放電間隙を
充分確保することができ、既設の鉄塔１に対し取
付アダプタ１９を介して避雷碍子２０を容易に装
着することができる。さらに、課電側の放電電極
１８の取付もホーン取付金具１１を利用して簡単
に行うことができる。

なお、本発明は次のように具体化することもで
きる。

(1) 懸垂碍子連９に代えて、長幹碍子（図示略）
を使用すること。

(2) 前記懸垂碍子連９あるいは長幹碍子をジヤン
パー線（図示略）の吊下碍子として使用するこ
と。この明細書では送電線というとき、ジヤン
パー線も含むものとする。

発明の効果 以上詳述したように、本発明は既設の架空送電
線用避雷碍子装置にも取付アダプタを使用するの
みで避雷碍子を簡単に取着することができ、か
つ、課電側の放電電極も既設のホーン取付金具を
利用して簡単に取り付けることができる。又、本
発明は避雷碍子が吊下碍子と対応して線路方向へ
変位し、かつ、避雷碍子の上部が支持アームより
も上方に位置しているので、支持アームに付着し
た雨水が避雷碍子の接地側放電電極に移動した
り、支持アーム側の冠雪が迫り出して避雷碍子に
付着するのをなくして、同避雷碍子の表面潤洩電
流を小さくできる。さらに、課電側の放電電極が
送電線の上方において接地側の放電電極と対応し
ているので、放電時にアークが送電線に触れるの
をなくして送電線の溶断を防止することができる
効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す正面図、第２
図は第１図の右側面図、第３図は第１図の平面
図、第４図は鉄塔の片側全体を示す略体正面図、
第５図は従来例を示す正面図である。 １……鉄塔、２……支持アーム、９……懸垂碍
子連、１１……ホーン取付金具、１３……連結リ
ンク、１４……電線クランプ、１４……送電線、
１６，１７……アーキングホーン、１８，２２…
…放電電極、１９……取付アダプタ、２０……避
雷碍子。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 塔体の支持アームに対し送電線の吊下碍子を
   回動可能に吊下し、同吊下碍子の下端部には課電
   側の放電電極を送電線から所定距離上方へ変位し
   た位置において線路方向へ延出し、一方、支持ア
   ームには取付アダプタを介して避雷碍子を前記課
   電側の放電電極と対応して側方へ変位するように
   吊下固定し、取付アダプタは前記支持アームの下
   面から上方へ変位させ、同避雷碍子の下部電極に
   支持した放電電極と前記課電側の放電電極とを、
   所定の気中放電間隙をもつて対向したことを特徴
   とする架空送電線用避雷碍子装置。 ２ 前記課電側の放電電極と吊下碍子の塔体側の
   金具との距離は、前記両放電電極の放電間隙の
   1.3倍以上に設定されている特許請求の範囲第１
   項に記載の架空送電線用避雷碍子装置。 ３ 前記課電側の放電電極は、吊下碍子の下端に
   取着したホーン取付金具に片持ち支持されている
   特許請求の範囲第１項に記載の架空送電線用避雷
   碍子装置。