JPH0221558Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は内燃機関の慣性過給装置に関するもの
である。

［従来の技術］ 従来、例えば特開昭57−148024号公報などに示
されるように、吸気管を長くして吸気の慣性効果
をもたせるものが提案されている。しかし、これ
は例えば排気量12程度の機関では吸気管が２ｍ
以上にも長くなるので、このような配管は自動車
用機関などでは実際上困難であり、また機関の整
備作業性にも影響する。

例えば実開昭56−120317号公報に開示されるよ
うに、吸気管の長さをに短くするために共鳴箱を
備えたものも提案されている。上述の機関で共鳴
箱の容積を５とした場合に吸気管の長さを20％
程度短くすることが可能であるが、共鳴箱の取付
位置や空間の確保に関題がある。

［考案が解決しようとする問題点］ 本考案の目的は、共鳴箱と騒音遮蔽装置との一
体化により、全体が小型で吸気慣性効果と騒音低
減効果が得られる、内燃機関の慣性過給装置を提
供することにある。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本考案の構成は内
燃機関の側壁部に防音カバーにより複数個の共鳴
箱を形成し、各共鳴箱を特定の組のシリンダに連
なる吸気マニホールドと空気取入口に接続したも
のである。

［作用］ 内燃機関の側壁部に共鳴箱を設けたことは、全
体がかさばらず大容量の共鳴容積が得られる。共
鳴箱自体に防音カバーを設けたことは、機関の燃
焼騒音が減じられる。

［考案の実施例］ 本考案を直列６シリンダの内燃機関の場合につ
いて説明する。第１図はその原理的構成を示すも
ので、機関６の排気口は前後２つに分割されて排
気マニホールド７，７ａに接続され、過給機８の
タービン８ｂに接続される。このタービン８ｂに
より駆動されるブロア８ａの吐出口は導管９を経
て、ラジエータ１５（第２図）と一緒に配置され
かつフアン５により冷却される冷却器１９へ導か
れ、ここで冷却された後に分配管１０を経て共鳴
箱３，３ａへ接続される。各共鳴箱３，３ａは前
後３シリンダごとに分割された吸気マニホールド
２，２ａへそれぞれ接続される。

第２，３図に示すように、共鳴箱３，３ａはシ
リンダブロツク１２の側壁に配置される箱型の防
音カバー２０により構成され、この中間部分にシ
リンダの配列方向に延びる仕切壁２１が結合され
る。仕切壁２１と防音カバー２０の周縁部をそれ
ぞれ断面溝型に折り曲げ、この溝に断面ほぼ長方
形をなすゴムなどの防振材１４を接着し、この防
振材１４がシリンダブロツク１２の外壁に密接す
るように防音カバー２０を押し付けて固定する。

このため、シリンダブロツク１２の側壁にボル
ト２３を植え込み、このボルト２３に金属からな
る保護環２４により囲まれるラバーマウント２５
を外挿するとともに、このラバーマウント２５に
より防音カバー２０のボルト挿入穴２６を両側か
ら挾むようにナツト２７を締結して防音カバー２
０をシリンダブロツク１２に固定する。このよう
にして、防音カバー２０と仕切壁２１により区画
される共鳴箱３，３ａが形成される。

本考案は上述のように、防振材１４とラバーマ
ウント２５を介して防音カバー２０をシリンダブ
ロツク１２の側壁に固定したから、シリンダから
外部へ伝播される燃焼音が封じ込められ、機関の
運転騒音が低減される。同時に、機関の周囲の空
間を有効に利用して共鳴箱３，３ａが構成される
ので、吸気管を長くしないでも、吸気慣性過給が
達せられる。

第４図に示す実施例では、共鳴箱３，３ａがそ
れぞれ独立に、シリンダブロツク１２の側壁面に
ならつた形状に構成される。シリンダブロツク１
２の側壁面との間に適当な空間が生じるようにゴ
ムなどの防振材１４を共鳴箱３，３ａの周縁部に
接着剤などにより結合し、これをシリンダブロツ
ク１２の側壁に押し付けるようにボルト３４によ
りシリンダブロツク１２に弾性支持する。

この場合、ボルト挿通穴で共鳴箱３，３ａの内
部の空気洩れをなくすために、共鳴箱の内外両壁
の間にボルト挿通穴を提供するパイプ３１を溶接
などにより結合し、共鳴箱の外壁面に金属により
保護されるラバーマウント３２と座金３３を当
て、ボルト３４をシリンダブロツク１２に螺合し
て締結する。

シリンダブロツク１２の側壁と共鳴箱３，３ａ
との間の空間にグラスウールなどを入れると、一
層遮音効果を高めることができ、またシリンダブ
ロツク１２から共鳴箱３，３ａが離されるので、
シリンダブロツク１２の熱で吸気温度が上昇する
のを防止することができる。

なお、シリンダブロツクの側壁に発電機、燃料
噴射ポンプ、空気圧縮機などの補機部品が存在す
る場合には、これらの補機部品とシリンダブロツ
クとの間の空間を共鳴箱で埋めるような格好に構
成することにより、よりコンパクト化を図るとと
もに、補機部品などで囲まれた空間から発生する
定在波音の発生を抑制することができる。

［考案の効果］ 本考案は上述のように、内燃機関の側壁部に防
音カバーにより複数個の共鳴箱を形成し、各共鳴
箱を特定の組のシリンダに連なる吸気マニホール
ドと空気取入口に接続したものであり、共鳴箱を
シリンダブロツクの側壁に弾性支持したので、吸
気管が短くても共鳴箱により慣性過給が可能とな
り、特にターボ過給機付機関の低速域でのトルク
増大に役立つ。

共鳴箱が防音カバーとして、機関の運転騒音の
発生源であるシリンダを覆うので、シリンダ壁部
から外部への運転騒音の放散が大幅に減じられ
る。

共鳴箱がシリンダ側壁に支持されるので、別個
の共鳴箱を設ける従来のものに比べて、機関全体
の専有空間が縮小される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る内燃機関の慣性過給装置
の原理的構成を示す平面図、第２図は同装置の側
面図、第３図は同正面断面図、第４図は本考案の
変更実施例に係る内燃機関の慣性過給装置の正面
断面図である。 ２，２ａ：吸気マニホールド、３，３ａ：共鳴
箱、６：機関、１２：シリンダブロツク、１４：
防振材、２０：防音カバー、２１：仕切壁、２
３，３４：ボルト、２５，３２：ラバーマウン
ト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内燃機関の側壁部に防音カバーにより複数個の
   共鳴箱を形成し、各共鳴箱を特定の組のシリンダ
   に連なる吸気マニホールドと空気取入口に接続し
   たことを特徴とする内燃機関の慣性過給装置。