JP3804106B2 - V型エンジンの過給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、V型エンジンの過給装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用エンジン等にあっては、吸気を過給する過給機として、エンジンによって増速ギア装置を介して駆動されるスーパーチャージャを備えるものがある。
【0003】
従来のV型エンジンの過給装置として、例えば図9に示すようなものがある。
【0004】
これについて説明すると、V型エンジンはV型に傾斜する左右バンク間にインテークマニホールド90が接続され、インテークマニホールド90の上部に吸気を過給するスーパーチャージャ96が設けられる。
【0005】
スーパーチャージャ96はその回転により吸気を圧送する一対のロータ91,92と、各ロータ91,92を収装するスーパーチャージャハウジング94等から構成される。各ロータ91,92にはエンジンの回転が図示しない増速ギア装置を介して伝達される。各ロータ91,92が高速回転することにより、スーパーチャージャハウジング94の上部に開口した吸込口98から吸気が吸い込まれ、スーパーチャージャハウジング94の下部に開口した吐出口99から吸気が吐出される。吐出口99から吐出される吸気は、インテークマニホールド90を介して左右バンクの各気筒に分配される。
【0006】
スーパーチャージャハウジング94はインテークマニホールド90と別体で形成され、シリンダヘッド82に対して複数のボルト83により弾性体84を介して締結される。スーパーチャージャハウジング94が弾性体84を介してシリンダヘッド82に対して相対変位することにより、寸法交差やエンジン運転中の熱膨張差が吸収される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のV型エンジンの過給装置にあっては、スーパーチャージャハウジング94がインテークマニホールド90と別体で形成され、弾性体84を介してシリンダヘッド82に対して相対変位する構造により、増速ギア装置から伝わる振動、スーパーチャージャ96内に生じる圧力波によって共振する可能性があり、スーパーチャージャハウジング94から振動や騒音が発生するという問題点がある。
【0008】
また、自動車のエンジンルームの限られたスペースによりエンジンの全高は制約されるが、インテークマニホールド90が、スーパーチャージャハウジング34の下方に配置される構造により、インテークマニホールド90および吸気ポート85の通路長を十分に確保できず、吸気の充填効率を高められない問題点が考えられる。
【0009】
本発明は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、V型エンジンの過給装置において、音振性の向上および吸気効率の向上をはかることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のV型エンジンの過給装置は、
吸気を過給する過給機を備え、
過給機から吐出される吸気を各気筒に導くインテークマニホールドを備え、
インテークマニホールドをV型に対向する左右のバンクの間に配置するV型エンジンの過給装置において、
前記インテークマニホールドは各気筒に向けて分岐するブランチ部と各ブランチ部が集合するコレクタ部を備え、
コレクタ部を過給機の上方に配置し、
過給機の吐出口をコレクタ部に開口させ、
前記ブランチ部が過給機のまわりを囲むようにして過給機とインテークマニホールドとが一体化して形成され、
インテークマニホールドをエンジン本体に締結する。
【0012】
請求項2に記載のV型エンジンの過給装置は、請求項1に記載の発明において、
前記左右のバンクに接続する各ブランチ部を互いに交差させる。
【0013】
請求項3に記載のV型エンジンの過給装置は、請求項1または2に記載の発明において、
前記過給機の吐出口と吸込口を連通するバイパス通路を備え、
バイパス通路を開閉するバイパスバルブを備え、
バイパスバルブを過給機に介装する。
【0014】
請求項4に記載のV型エンジンの過給装置は、請求項1から3のいずれか一つに記載の発明において、
前記過給機から吐出する吸気と外気の熱交換を促す2つのインタークーラを過給機の上方に配置し、
過給機の吐出口と吸込口を連通するとともに各インタークーラに吸気を分配するバイパス通路を各インタークーラの間に配置する。
【0015】
請求項5に記載のV型エンジンの過給装置は、請求項1から4のいずれか一つに記載の発明において、
前記過給機に吸入される吸気を絞るスロットルバルブを備え、
スロットルバルブを収装するスロットルチャンバを備え、
スロットルチャンバを過給機に接続する。
【0016】
【作用】
請求項1に記載のV型エンジンの過給装置において、過給機の吐出口からコレクタ部に吸気が吐出され、コレクタ部から各ブランチ部と吸気ポートを通って各気筒に分配される。
【0017】
過給機とインテークマニホールドは、互いに一体化され、エンジン本体に対して複数のボルトにより弾性体を介さずに締結されているため、それぞれの支持剛性が高められる。インテークマニホールドおよび過給機は、それぞれのエンジン本体に対する支持剛性が高められることにより、増速ギア装置から伝わる振動やその内部に生じる圧力波によって共振することが抑えられ、振動や騒音が発生することを防止できる。
【0018】
また、インテークマニホールドのコレクタ部が過給機の上部に配置され、各ブランチ部が過給機を囲むようにして延びる構造のため、エンジンの全高を抑えつつ、各ブランチ部および吸気ポートの通路長を十分に確保することが可能となり、低速域における吸気効率を高められる。
【0019】
請求項2に記載のV型エンジンの過給装置において、左右のバンクに接続する各ブランチ部を互いに交差させる構造のため、各ブランチ部および吸気ポートの通路長をさらに大きくすることが可能となり、低速域における吸気効率を高められる。
【0020】
請求項3に記載のV型エンジンの過給装置において、バイパスバルブを過給機に介装する構造のため、バイパスバルブによってエンジンの全高が増大することを抑えつつ、各ブランチ部および吸気ポートの通路長を十分に確保することが可能となり、低速域における吸気効率を高められる。
【0021】
請求項4に記載のV型エンジンの過給装置において、スーパーチャージャの吐出口からバイパス通路に吐出する吸気は、中央のバイパス通路から左右のインタークーラを通って冷却されつつコレクタ部へと流入し、左右のコレクタ部から各ブランチ部と吸気ポートを通って各気筒に分配される。
【0022】
インタークーラとバイパス通路が、スーパーチャージャハウジングの上方に配置されるものの、バイパス通路が各インタークーラの間に配置される構造のため、バイパス通路の上下方向にインタークーラが配置される構造に比べて、エンジンの全高を抑えつつ、各ブランチ部および吸気ポートの通路長を十分に確保することが可能となり、低速域における吸気効率を高められる。
【0023】
請求項5に記載のV型エンジンの過給装置において、スロットルチャンバが過給機に接続される構造により、スロットルチャンバが過給機からの伝熱によって加熱される。これにより、寒冷時にスロットルバルブが凍結して作動不良となることを防止できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0025】
図2に示すように、自動車用エンジンに備えられる吸気通路は、吸気を取り込むエアクリーナ1と、スロットルバルブ5を収装するスロットルチャンバ4と、吸気を過給するスーパーチャージャ(機械駆動式過給機)6と、各気筒に吸気を分配するインテークマニホールド10等によって構成される。
【0026】
エアクリーナ1は図示しない車体側に取付けられる。エアクリーナ1とスロットルチャンバ4はダクト3を介して連通される。ダクト3には吸気量を検出するエアフロメータ2が取付けられる。
【0027】
図1に示すように、V型エンジンはV型に傾斜する左右バンクを有し、左右バンクに点火順序の連続しない気筒どうしが並んでいる。シリンダブロック20の上部に左右シリンダヘッド22が設けられる。図中25はロッカカバーであり、各シリンダヘッド22上に動弁室26を画成する。
【0028】
左右シリンダヘッド22の外側に形成さた排気ポート24に図示しない排気管が接続されている。
【0029】
左右シリンダヘッド22の内側に各気筒に連通する各吸気ポート27が形成され、各吸気ポート27にインテークマニホールド10が接続される。図中28はインジェクタであり、インジェクタ28から各吸気ポート27に燃料を噴射するようになっている。
【0030】
スーパーチャージャ6はその回転により吸気を圧送する一対のロータ31,32と、各ロータ31,32を収装するスーパーチャージャハウジング34等から構成される。各ロータ31,32は左右シリンダヘッド22の上方にクランクシャフトと平行に配置される。
【0031】
各ロータ31,32にはエンジンの回転が図示しない増速ギア装置を介して伝達される。各ロータ31,32が高速回転することにより、スーパーチャージャハウジング34の図示しない吸込口から吸気が吸い込まれ、スーパーチャージャハウジング34の前部に開口した吐出口33から吸気が吐出されるようになっている。
【0032】
スロットルチャンバ4に収装されるスロットルバルブ5は、アクセルペダルに応動して開閉し、スーパーチャージャ6に吸入される吸気流を絞るようになっている。
【0033】
スーパーチャージャ6の吸込口はスーパーチャージャハウジング34の後端部に開口する。スーパーチャージャハウジング34の後端部にはスロットルチャンバ4が直接に接続される。
【0034】
スーパーチャージャハウジング34はインテークマニホールド10に囲まれるようにして一体化され、インテークマニホールド10はシリンダヘッド(エンジン本体)22に固定的に締結される。
【0035】
インテークマニホールド10は左右シリンダヘッド22の上部にわたって接合し、図示しない複数のボルトにより弾性体を介さずに固定的に締結される。各ボルトはインテークマニホールド10のフランジを貫通し、シリンダヘッド22に形成されたネジ穴に螺合する。インテークマニホールド10と左右シリンダヘッド22の間にはガスケットが介装され、吸気通路の密封がはかられる。
【0036】
インテークマニホールド10は各気筒に向けて分岐するブランチ部12と、各ブランチ部12が集合するコレクタ部11とから構成される。
【0037】
コレクタ部11はスーパーチャージャ6の上方に配置され、スーパーチャージャ6の吐出口33はコレクタ部11に開口する。したがって、スーパーチャージャ6の吐出口33から吐出する吸気が直接にコレクタ部11に導入される。
【0038】
各吸気ポート27は左右シリンダヘッド22の上部に開口している。
【0039】
各ブランチ部12はスーパーチャージャ6のまわりを囲むようにして鉛直方向に延びる。図中線分Iは、各ブランチ部12と各吸気ポート27の通路中心線である。図1の正面図上において、各通路中心線Iは、スーパーチャージャ6を挟むようにして鉛直方向に延びている。すなわち、左シリンダヘッド22に接続する各ブランチ部12はコレクタ部11の左側に開口し、右シリンダヘッド22に接続する各ブランチ部12はコレクタ部11の右側に開口している。
【0040】
以上のように構成され、次に作用について説明する。
【0041】
スーパーチャージャ6は各ロータ31,32の回転によってその吐出口33からコレクタ部11に吸気を吐出し、コレクタ部11から各ブランチ部12と吸気ポート27を通って各気筒に分配される。
【0042】
自動車のエンジンルームの限られたスペースによりエンジンの全高が制約されるものの、インテークマニホールド10のコレクタ部11が、スーパーチャージャハウジング34の上部に配置され、各ブランチ部12がスーパーチャージャハウジング34を挟むようにして鉛直方向に延びている構造のため、各ブランチ部12および吸気ポート27の通路長を十分に確保することが可能となり、低速域における吸気の填効率を高められる。
【0043】
スーパーチャージャハウジング34とインテークマニホールド10は、互いに一体化され、シリンダヘッド22に対して複数のボルトにより弾性体を介さずに締結されているため、シリンダヘッド22に対する支持剛性が高められる。
【0044】
この結果、スーパーチャージャハウジング34は、増速ギア装置から伝わる振動やスーパーチャージャ6内に生じる圧力波によって共振することが抑えられ、スーパーチャージャハウジング34やインテークマニホールド10から振動や騒音が発生することを防止できる。
【0045】
次に、図3に示す実施形態について説明する。なお、図1との対応部分には同一符号を付す。
【0046】
左右のバンクに接続する各ブランチ部12はスーパーチャージャ6のまわりを囲むようにして互いに交差して延びる。図中線分Iは、各ブランチ部12と各吸気ポート27の通路中心線である。図3の正面図上において、各通路中心線Iは、スーパーチャージャ6を挟むようにしてX字形に交差して延びている。すなわち、左シリンダヘッド22に接続する各ブランチ部12はコレクタ部11の右側に開口し、右シリンダヘッド22に接続する各ブランチ部12はコレクタ部11の左側に開口している。
【0047】
インテークマニホールド10は左右シリンダヘッド22の上部にわたって接合し、複数のボルト41により弾性体を介さずに固定的に締結される。各ボルト41はインテークマニホールド10のフランジ42を貫通し、シリンダヘッド22に形成されたネジ穴43に螺合する。インテークマニホールド10と左右シリンダヘッド22の間にはガスケットが介装され、吸気通路の密封がはかられる。
【0048】
以上のように構成され、次に作用について説明する。
【0049】
インテークマニホールド10のコレクタ部11が、スーパーチャージャハウジング34の上部に配置され、各ブランチ部12がスーパーチャージャハウジング34を挟むようにして交差して延びる構造のため、各ブランチ部12および吸気ポート27の通路長をさらに大きく設定することが可能となり、低速域における吸気の充填効率を高められる。
【0050】
スーパーチャージャハウジング34とインテークマニホールド10は、互いに一体化され、シリンダヘッド22に対してボルト41により弾性体を介さずに締結されているため、シリンダヘッド22に対する支持剛性が高められる。
【0051】
この結果、スーパーチャージャハウジング34は、増速ギア装置から伝わる振動やスーパーチャージャ6内に生じる圧力波によって共振することが抑えられ、スーパーチャージャハウジング34やインテークマニホールド10から振動や騒音が発生することを防止できる。
【0052】
次に、図4〜図8に示す実施形態について説明する。なお、図1との対応部分には同一符号を付す。
【0053】
図4に示すように、自動車用エンジンに備えられる吸気通路は、吸気を取り込むエアクリーナ1と、スロットルバルブ5を収装するスロットルチャンバ4と、吸気を過給するスーパーチャージャ6と、スーパーチャージャ6から吐出する吸気を冷却する2つのインタークーラ7と、各気筒に吸気を分配するインテークマニホールド10等によって構成される。
【0054】
各インタークーラ7は、スーパーチャージャ6によって圧縮されることにより温度上昇した吸気の熱を外気に放熱する働きをする。エンジンに送られる吸気が各インタークーラ7で冷却されることにより、エンジンのノッキングを抑えつつ吸気充填効率を高めて高出力化がはかれる。
【0055】
図6、図7に示すように、各インタークーラ7は、図中矢印で示すように流れる吸気と外気の熱交換を促すコア部68と、スーパーチャージャ6の吐出口33から吐出される吸気をコア部68に導入するバイパス通路71と、各コア部68を通過した吸気を集める左右のコレクタ部61とを備える。
【0056】
スーパーチャージャ6はその回転により吸気を圧送する一対のロータ31,32と、各ロータ31,32を収装するスーパーチャージャハウジング34等から構成される。各ロータ31,32は左右シリンダヘッド22の上方にクランクシャフトと平行に配置される。
【0057】
中央のバイパス通路71および左右のコレクタ部61はスーパーチャージャ6の上方にクランクシャフトと平行に配置される。
【0058】
各インタークーラ7を収装するハウジング60とインテークマニホールド10は別体で形成される。中央のバイパス通路71はハウジング60とインテークマニホールド10の間に画成される。
【0059】
各ロータ31,32が高速回転することにより、スーパーチャージャハウジング34の吸込口39から吸気が吸い込まれ、スーパーチャージャハウジング34の前部に開口した吐出口33から吸気が吐出されるようになっている。
【0060】
図8に示すように、バイパス通路71はスーパーチャージャハウジング34の吸込口39と吐出口33を結ぶ。バイパス通路71を開閉するバイパスバルブ72が設けられる。
【0061】
バタフライ式のバイパスバルブ72は、スーパーチャージャハウジング34の吸込口39に回動可能に収装される。
【0062】
バイパスバルブ72はアクチュエータ73を介して開閉駆動される。図示しないコントロールユニットは、例えばエンジン負荷の小さい運転時にバイパスバルブ72を開弁させて、スーパーチャージャ6による過給圧を小さく調節し、スーパーチャージャ6の駆動損失を低減するようになっている。
【0063】
スーパーチャージャ6の吸込口39はスーパーチャージャハウジング34の後端部に開口する。スーパーチャージャハウジング34の後端部にはスロットルチャンバ4が直接に接続される。
【0064】
スーパーチャージャハウジング34はインテークマニホールド10に囲まれるようにして一体化され、インテークマニホールド10はシリンダヘッド22に固定的に締結される。
【0065】
インテークマニホールド10は左右シリンダヘッド22の上部にわたって接合し、複数のボルト41により弾性体を介さずに固定的に締結される。各ボルト41はインテークマニホールド10のフランジ42を貫通し、シリンダヘッド22に形成されたネジ穴43に螺合する。インテークマニホールド10と左右シリンダヘッド22の間にはガスケットが介装され、吸気通路の密封がはかられる。
【0066】
左右のバンクに接続する各ブランチ部12はスーパーチャージャ6のまわりを囲むようにして互いに交差して延びる。図中線分Iは、各ブランチ部12と各吸気ポート27の通路中心線である。図5の正面図上において、各通路中心線Iは、スーパーチャージャ6を挟むようにしてX字形に交差して延びている。すなわち、左シリンダヘッド22に接続する各ブランチ部12はコレクタ部11の右側に開口し、右シリンダヘッド22に接続する各ブランチ部12はコレクタ部11の左側に開口している。
【0067】
以上のように構成され、次に作用について説明する。
【0068】
スーパーチャージャ6は各ロータ31,32の回転によってその吐出口33からバイパス通路71に吐出し、中央のバイパス通路71から左右のコア部68を通って冷却されつつコレクタ部11へと流入し、左右のコレクタ部11から各ブランチ部12と吸気ポート27を通って各気筒に分配される。
【0069】
自動車のエンジンルームの限られたスペースによりエンジンの全高が制約されるものの、各インタークーラ7とコレクタ部11が、スーパーチャージャハウジング34の上部に配置され、各ブランチ部12がスーパーチャージャハウジング34を挟むようにして鉛直方向に延びている構造のため、各ブランチ部12および吸気ポート27の通路長を十分に確保することが可能となる。
【0070】
そして、各インタークーラ7とバイパス通路71が、スーパーチャージャハウジング34の上部に配置されるものの、バイパス通路71が各インタークーラ7の間に配置される構造のため、バイパス通路71の上下方向にインタークーラ7が配置される構造に比べて、エンジンの全高を抑えつつ、各ブランチ部12および吸気ポート27の通路長を十分に確保することが可能となる。
【0071】
さらに、バイパスバルブ72をスーパーチャージャハウジング34の吸込口39に介装する構造のため、バイパスバルブ72によってエンジンの全高が増大することを抑えつつ、各ブランチ部12および吸気ポート27の通路長を十分に確保することが可能となり、低速域における吸気効率を高められる。
【0072】
スーパーチャージャハウジング34とインテークマニホールド10は、互いに一体化され、シリンダヘッド22に対して複数のボルトにより弾性体を介さずに締結されているため、シリンダヘッド22に対する支持剛性が高められる。
【0073】
この結果、スーパーチャージャハウジング34は、増速ギア装置から伝わる振動やスーパーチャージャ6内に生じる圧力波によって共振することが抑えられ、スーパーチャージャハウジング34やインテークマニホールド10から振動や騒音が発生することを防止できる。
【0074】
スロットルチャンバ4がスーパーチャージャハウジング34の後端部に直接に接続される構造により、スロットルチャンバ4がスーパーチャージャハウジング34からの伝熱によって加熱される。これにより、寒冷時にスロットルバルブ5が凍結して作動不良となることを防止できる。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載のV型エンジンの過給装置によれば、過給機とインテークマニホールドは、互いに一体化され、エンジン本体に対して複数のボルトにより弾性体を介さずに締結される構造のため、それぞれの支持剛性が高められ、増速ギア装置から伝わる振動やその内部に生じる圧力波によって共振することが抑えられ、振動や騒音が発生することを防止できる。
【0076】
さらに、インテークマニホールドのコレクタ部が過給機の上部に配置され、各ブランチ部が過給機を囲むようにして延びる構造のため、エンジンの全高を抑えつつ、各ブランチ部および吸気ポートの通路長を十分に確保することが可能となり、エンジン出力の向上がはかれる。
【0077】
請求項2に記載のV型エンジンの過給装置によれば、左右のバンクに接続する各ブランチ部を互いに交差させる構造のため、各ブランチ部および吸気ポートの通路長をさらに大きくすることが可能となり、エンジン出力の向上がはかれる。
【0078】
請求項3に記載のV型エンジンの過給装置によれば、バイパスバルブを過給機に介装する構造のため、バイパスバルブによってエンジンの全高が増大することを抑えつつ、各ブランチ部および吸気ポートの通路長を十分に確保することが可能となり、低速域における吸気効率を高められる。
【0079】
請求項4に記載のV型エンジンの過給装置によれば、インタークーラとバイパス通路が、スーパーチャージャハウジングの上方に配置されるものの、バイパス通路が各インタークーラの間に配置される構造のため、バイパス通路の上下方向にインタークーラが配置される構造に比べて、エンジンの全高を抑えつつ、各ブランチ部および吸気ポートの通路長を十分に確保することが可能となり、低速域における吸気効率を高められる。
【0080】
請求項5に記載のV型エンジンの過給装置によれば、スロットルチャンバがスーパーチャージャハウジングに接続される構造のため、スロットルチャンバがスーパーチャージャハウジングからの伝熱によって加熱され、寒冷時にスロットルバルブが凍結して作動不良となることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すエンジンの正面図。
【図2】同じく吸気系の構成図。
【図3】他の実施形態を示すエンジンの正面図。
【図4】さらに他の実施形態を示す吸気系の構成図。
【図5】同じくエンジンの正面図。
【図6】同じく吸気系の平面図。
【図7】同じく吸気系の正面図。
【図8】同じく図6のA−A線に沿う断面図。
【図9】従来例を示すエンジンの正面図。
【符号の説明】
4 スロットルチャンバ
5 スロットルバルブ
6 スーパーチャージャ
7 インタークーラ
10 インテークマニホールド
11 コレクタ部
12 ブランチ部
13 吸気弁
22 シリンダヘッド
27 吸気ポート
31 ロータ
32 ロータ
33 吐出口
34 スーパーチャージャハウジング
71 バイパス通路
72 バイパスバルブ
Claims (5)
- 吸気を過給する過給機を備え、
過給機から吐出される吸気を各気筒に導くインテークマニホールドを備え、
インテークマニホールドをV型に対向する左右のバンクの間に配置するV型エンジンの過給装置において、
前記インテークマニホールドは各気筒に向けて分岐するブランチ部と各ブランチ部が集合するコレクタ部を備え、
コレクタ部を過給機の上方に配置し、
過給機の吐出口をコレクタ部に開口させ、
前記ブランチ部が過給機のまわりを囲むようにして過給機とインテークマニホールドとが一体化して形成され、
インテークマニホールドをエンジン本体に締結したことを特徴とするV型エンジンの過給装置。 - 前記左右のバンクに接続する各ブランチ部を互いに交差させたことを特徴とする請求項1に記載のV型エンジンの過給装置。
- 前記過給機の吐出口と吸込口を連通するバイパス通路を備え、
バイパス通路を開閉するバイパスバルブを備え、
バイパスバルブを過給機に介装したことを特徴とする請求項1または2に記載のV型エンジンの過給装置。 - 前記過給機から吐出する吸気と外気の熱交換を促す2つのインタークーラを過給機の上方に配置し、
過給機の吐出口と吸込口を連通するとともに各インタークーラに吸気を分配するバイパス通路を各インタークーラの間に配置したことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のV型エンジンの過給装置。 - 前記過給機に吸入される吸気を絞るスロットルバルブを備え、
スロットルバルブを収装するスロットルチャンバを備え、
スロットルチャンバを過給機に接続したことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のV型エンジンの過給装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18238496A JP3804106B2 (ja) | 1996-07-11 | 1996-07-11 | V型エンジンの過給装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18238496A JP3804106B2 (ja) | 1996-07-11 | 1996-07-11 | V型エンジンの過給装置 |
Publications (2)
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