JP7424263B2 - 車両の電動駐車ブレーキ装置 - Google Patents

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Description

本開示は、車両の電動駐車ブレーキ装置に関する。
特許文献1には、「電動パーキングブレーキ装置を運転者からの入力に応じて作動可能な構成としつつ、アイドルストップ制御に伴うエンジンの再始動時のバッテリへの負荷及び電力の無駄を低減する」ことを目的に、「バッテリ80に接続されるスタータ30と、エンジンを自動的に停止し、前記スタータによりエンジンを自動的に再始動させるアイドルストップ制御部12と、運転者からの入力に応答して作動要求を生成する入力手段と、前記バッテリに接続される電気モータ42を含み、前記作動要求に応答して前記電気モータが駆動する電動パーキングブレーキ装置40と、所定の作動要求に応答して前記電気モータが駆動状態である場合に、前記アイドルストップ制御部によるエンジンの再始動を禁止すると共に、前記アイドルストップ制御部によるエンジンの再始動中である場合に、前記所定の作動要求に応答した前記電気モータの駆動を禁止する調停部とを含む」ことが記載されている。
出願人は、特許文献2に記載されるような電動駐車ブレーキ装置を開発している。該装置では、駐車ブレーキ指示が行われる際の電気モータの電力消費低減を目的に、「電動駐車ブレーキ装置は、電気モータによって駆動され、前進方向に移動されることで駐車ブレーキを効かせ、前記前進方向とは逆方向である後退方向に移動されることで前記駐車ブレーキを解除する直動部材と、前記電気モータを制御するコントローラと、を備える。そして、前記コントローラは、前記駐車ブレーキを解除する際に、前記電気モータへの通電量が一定になった時点から解除しきい時間を経過した時点で前記電気モータへの通電を停止する」ことが記載されている。
特許文献1の装置では、電動駐車ブレーキ装置が作動中である場合にはエンジンの再始動が禁止される。一方、エンジンの再始動中であれば、電動駐車ブレーキ装置の作動が禁止される。即ち、先に作動されている一方側の装置が優先されて、他方側の装置の作動が禁止される。しかしながら、エンジンの始動装置等、他の装置からは、蓄電池等の状況に応じて、電動駐車ブレーキ装置が作動している途中で、その作動中断の要求(即ち、電気モータMTの使用電力の低減要求)がなされる場合もある。
例えば、特許文献2の装置において、解除作動の途中であって、直動部材(「出力部材」ともいう)が、或る程度、後退方向に移動された状況で、装置外部から作動中断要求があり、その後、この中断要求が終了された場合を想定する。作動中断要求の終了に伴い、出力部材は再度後退方向に戻される。出力部材の移動では、電気モータへの通電量が一定になった時点が起点(基準)とされ、この起点からの時間で電気モータへの通電が停止される。このため、解除作動の途中で電気モータの駆動が停止されると、起点が不明確となり、出力部材の移動量が過剰となる場合(即ち、過剰変位の発生)が生じ得る。
特開2016-203872号 特願2020-079922号
本発明の目的は、電動駐車ブレーキ装置において、作動中断要求が終了される際の出力部材の過剰変位が抑制され得るものを提供することである。
本発明に係る電動駐車ブレーキ装置は、電気モータ(MT)を正転方向(Da)に駆動して車両の車輪に設けられた回転部材(KT)に摩擦部材(MS)を押圧して駐車ブレーキを効かせ、前記電気モータ(MT)を逆転方向(Db)に駆動して前記駐車ブレーキを解除するものであって、前記電気モータ(MT)を制御するコントローラ(ECU)を備える。
本発明に係る電動駐車ブレーキ装置では、前記コントローラ(ECU)は、前記駐車ブレーキを解除する際に、前記回転部材(KT)と前記摩擦部材(MS)とが接触しなくなる接触解消状態を判定する時点から解除しきい時間(tk)を経過した時点で前記電気モータ(MT)への通電を停止する解除制御を実行するとともに、前記解除制御が実行されている途中で該解除制御の中断が要求される場合には前記電気モータ(MT)の駆動を停止する。
更に、本発明に係る電動駐車ブレーキ装置では、前記コントローラ(ECU)は、前記接触解消状態を判定する前に前記要求がある場合には前記要求が終了される終了時点で前記解除制御を実行する。一方、前記接触解消状態を判定した後に前記要求がある場合には前記終了時点で前記電気モータ(MT)を前記正転方向(Da)に駆動した後に前記解除制御を実行する。
解除制御において、電気モータMTに逆転駆動されている途中で、電気モータMTの駆動が停止されると、解除継続時間Tkの起点が不明確になる。上記構成によれば、接触解消状態が判定された後に解除中断要求がある場合には、要求終了時点で電気モータMTが正転駆動される。これにより、回転部材KTに摩擦部材MSが再び接触した状態にされる。その後、電気モータMTが逆転駆動され、接触解消状態が判定されてから、解除継続時間Tkに基づいて電気モータMTの駆動が終了される。回転部材KTと摩擦部材MSとの再接触によって解除継続時間Tkの起点が再度決定され、明確にされる。このため、解除制御中に中断要求があったとしても、出力部材SBの過剰変位が抑制され得る。
また、本発明に係る電動駐車ブレーキ装置では、前記コントローラ(ECU)は、前記接触解消状態を判定する前に前記要求がある場合には前記要求が終了される終了時点で前記解除制御を実行する。一方、前記接触解消状態を判定した後に前記要求がある場合には前記終了時点から前記電気モータ(MT)を前記逆転方向(Db)に駆動するとともに、前記終了時点から前記解除しきい時間(tk)よりも短い特定しきい時間(tn)を経過した時点で前記電気モータ(MT)の駆動を停止する。
接触解消状態が判定された後に作動中断要求がある場合、要求終了時点では、出力部材SBは、或る程度変位している。上記構成によれば、電気モータMTは、要求終了時点で逆転駆動されるが、逆転駆動の解除継続時間Tkに係るしきい値(即ち、特定しきい時間tn)が短く設定されるため、出力部材SBの過剰変位が抑制され得る。
電動駐車ブレーキ装置EPの実施形態を説明するための全体構成図である。 電動アクチュエータDNの詳細を説明するための概要図である。 解除制御の処理を説明するためのフロー図である。 解除制御の動作を説明するための時系列線図である。 解除中断制御の第1の処理例を説明するためのフロー図である。 再解除処理の動作を説明するための時系列線図である。 第1特定解除処理の動作を説明するための時系列線図である。 解除中断制御の第2の処理例を説明するためのフロー図である。 第2特定解除処理の動作を説明するための時系列線図である。
以下、本発明に係る車両の電動駐車ブレーキ装置EPの実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
<構成部材等の記号、記号末尾の添字、及び、運動・移動の方向>
以下の説明において、「MT」等の如く、同一記号を付された構成部材、要素、信号等は同一機能のものである。摩擦部材MS(後述のブレーキライニングBLを含む)に係る部材(摩擦部材MSそのもの、駐車ケーブルCB、出力部材SB、エンド部材EN等)の運動・移動の方向において、「前進方向Ha」が、摩擦部材MSが回転部材KT(後述のブレーキドラムBDを含む)に近づく方向に対応し、「後退方向Hb(前進方向Haとは反対の方向)」が、摩擦部材MSが回転部材KTから離れる方向に対応する。従って、摩擦部材MSに係る部材が前進方向Haに移動されると、摩擦部材MSが回転部材KTに押圧される力である押圧力(「締付力」ともいう)Faが増加され、制動力が増加される。逆に、摩擦部材MSに係る部材が後退方向Hbに移動されると、締付力Faが減少され、制動力が減少される。
電気モータMTの回転方向において、電気モータMTの正転方向Daは、各部材の前進方向Haの移動に対応している。また、電気モータMTの逆転方向Db(正転方向Daとは反対の回転方向)は、各部材の後退方向Hbに対応している。つまり、電気モータMTが正転方向Daに回転駆動されると、摩擦部材MSが前進方向Haに移動され、締付力Faが増加され、制動力が増加される。逆に、電気モータMTが逆転方向Dbに回転駆動されると、摩擦部材MSが後退方向Hbに移動され、締付力Faが減少され、制動力が減少される。
電気モータMTの通電量(例えば、電流値)において、正転方向Daに対応する通電量が「正転通電量Ia」と、逆転方向Dbに対応する通電量が「逆転通電量Ib」と、夫々称呼される。正転通電量Iaは、電気モータMTに正電圧が印加された場合に、逆転通電量Ibは、電気モータMTに負電圧が印加された場合に、夫々対応している。従って、正転、逆転通電量Ia、Ibは、電流が流れる向き(即ち、通電方向)が異なる。
<制動装置DB>
制動装置DBは、車両の車輪に設けられ、車輪(例えば、後輪)に制動力を発生させる。制動装置DBでは、摩擦部材MS(ブレーキパッド、ブレーキライニング等)が回転部材KT(ブレーキディスク、ブレーキドラム等)に押圧されることによって、車両を減速する制動力(「減速制動力Fx」という)、及び、車両の停車状態を維持する制動力(「駐車制動力Fp」という)が発生される。
図1の全体構成図を参照して、公知のドラム式ブレーキを例に、制動装置DBについて説明する。減速制動力Fxは、ホイールシリンダ(図示せず)内の制動液の圧力(液圧)を動力源にして発生される。また、駐車制動力Fpは、電動アクチュエータ(単に、「アクチュエータ」ともいう)DNに含まれる電気モータMTを動力源にして発生される。そして、電気モータMTは、車両に搭載された電力源(発電機AL、蓄電池BT)から電力供給を受けるコントローラECUによって、通電されて、駆動される。なお、減速制動力Fxはサービスブレーキに、駐車制動力Fpは駐車ブレーキに、夫々、利用される。
《サービスブレーキの作動》
制動装置DBは、減速制動力Fxを発生するよう、ブレーキドラムBD、ブレーキシューBSa、BSb、ホイールシリンダ(図示せず)、及び、バッキングプレートBPにて構成される。
制動装置DBでは、ブレーキドラムBD(「回転部材KT」の一例)が、車輪の回転軸Jkを中心として、車輪と一体となって回転するよう、車輪に固定される。制動装置DBには、2つのブレーキシューBSa、BSbが備えられる。2つのブレーキシューBSa、BSbは、円筒状のブレーキドラムBDの内周面Mnに沿って円弧状に伸ばされている。ブレーキシューBSa、BSbには、ブレーキライニングBL(「摩擦部材MS」の一例)が焼き付けられている。制動装置DBには、円盤状のバッキングプレートBPが備えられる。バッキングプレートBPの車幅方向外方には、図示しないホイールシリンダ、ブレーキシューBSa、BSb等が配置されている。
ホイールシリンダによって、2つのブレーキシューBSa、BSbが、ブレーキドラムBDの内周面Mnに押圧される。これにより、ブレーキシューBSa、BSbに設けられたブレーキライニングBLと、ブレーキドラムBD(特に、内周面Mn)との摩擦によって、ブレーキドラムBDに制動トルクが付与され、その結果、車輪は制動力Fxを発生する。つまり、ホイールシリンダは、走行中の車両減速に用いられる。
具体的には、ブレーキシューBSa、BSbの下端部が、2つの回転位置Ja、Jbを中心にして回転可能に、バッキングプレートBPに支持される。ホイールシリンダは、バッキングプレートBPの上端部に支持されている。ホイールシリンダは、車両前後方向に突出可能な2つの可動部(ピストン)を有し、この可動部は、ホイールシリンダ内の制動液の圧力によって、突出される。可動部の突出によって、ブレーキシューBSa、BSbの上端部が押され、ブレーキライニングBLが、ブレーキドラムBDの内周面Mnに押圧される。ブレーキライニングBLと内周面Mnとの摩擦によって、ブレーキドラムBDに制動トルクが付与され、車輪が制動される。
なお、制動装置DBは、図示しない復帰部材(例えば、コイルスプリング)が備えられ、この復帰部材によって、ブレーキシューBSa、BSbの押圧が解除された場合には、ブレーキシューBSa、BSbが、ブレーキドラムBDの内周面Mnから離れるように移動される。
《駐車ブレーキの作動》
制動装置DBには、駐車制動力Fpを発生するよう、上記の構成部材(ブレーキドラムBD等)に加え、電動アクチュエータDN、駐車レバーPL、駐車ケーブルCB、及び、シューストラットSTが含まれている。
電動アクチュエータDNは、ブレーキシューBSa、BSbを駆動するアクチュエータとして、駐車時の制動に用いられる。具体的には、電気モータMTによって駆動される電動アクチュエータDNによって、駐車制動力Fpを発生させるよう、2つのブレーキシューBSa、BSbが移動される。アクチュエータDNの詳細については後述する。なお、アクチュエータDNは、走行中の制動(即ち、サービスブレーキ)に用いられてもよい。
駐車レバーPLが、2つのブレーキシューBSa、BSbのうちの一方(例えば、ブレーキシューBSa)と、バッキングプレートBPとの間で、当該ブレーキシューBSa、及び、バッキングプレートBPに重なるように、設けられている。駐車レバーPLは、ブレーキシューBSaに、回転軸Jpを中心として回転可能に支持されている。駐車レバーPLでは、回転軸Jpから遠い側の下端部Pbに、駐車ケーブルCBが接続される。
シューストラットSTが、2つのブレーキシューBSa、BSbとの間に設けられる。駐車ブレーキを効かせる際には、アクチュエータDNによって、駐車ケーブルCBが前進方向Haに引っ張られる。これにより、駐車レバーPLは、回転軸Jpを中心に回転しようとするため、シューストラットSTが、2つのブレーキシューBSa、BSbとの間で突っ張る。シューストラットSTの突っ張りによって、一方のブレーキシューBSbが押され、その反力によって、他方のブレーキシューBSaが押される。結果、ブレーキシューBSa、BSbのブレーキライニングBLが、ブレーキドラムBDの内周面Mnに押圧され、駐車制動力Fpが発生される。
駐車ブレーキを解除する際には、アクチュエータDNによって、駐車ケーブルCBの張力が減少され、ブレーキドラムBDの内周面Mnに対するブレーキライニングBLの締付力Fa(押圧力)が減少される。そして、ブレーキドラムBDの内周面MnとブレーキライニングBLとは、復帰部材によって、最終的には離間される。
<電動駐車ブレーキ装置EP>
図2の部分断面図を含む概略図を参照して、本発明に係る電動駐車ブレーキ装置EPの実施形態について説明する。電動駐車ブレーキ装置EPが備えられる車両には、駐車ブレーキ用スイッチ(単に、「駐車スイッチ」ともいう)SWが設けられる。駐車スイッチSWは、運転者によって操作されるスイッチであり、オン又はオフの信号Sw(「駐車信号」という)が、電子制御ユニットECU(「コントローラ」ともいう)に対して出力される。即ち、運転者が操作する駐車スイッチSWによって、車両の停止状態を維持する駐車ブレーキの作動(適用作動、又は、解除作動)が指示される。具体的には、駐車信号Swのオン状態(ON)で、駐車ブレーキが効くように、その適用(作動)が指示される。逆に、駐車信号Swのオフ状態(OFF)で、駐車ブレーキが効かないように、その解除(作動)が指示される。
車両には、電動駐車ブレーキ装置EP用のコントローラECUの他に、複数のコントローラ(電子制御ユニット)ECA、ECBが備えられる。これらのコントローラは、信号(検出値、演算値等)が共有されるよう、通信バスBSにて接続されている。例えば、コントローラECUには、通信バスBSから、車体速度Vx、加速操作部材(例えば、アクセルペダル)の操作量Ap等が入力される。車体速度Vx、加速操作量Apは、電動駐車ブレーキ装置EPの自動モードに用いられる。
他のコントローラECA、ECBから、解除制御の実行中に、解除制御を中断する作動中断の要求が、通信バスBSを介してコントローラECUに送信される場合がある。他のコントローラECA、ECBは、電動駐車ブレーキ装置EP(即ち、コントローラECU)と電源(電力源であり、蓄電池BT、発電機AL)を共有し、且つ、大型の電気モータ、ソレノイドを制御する装置(システム)のものである。例えば、該装置として、エンジン始動装置、変速制御装置等が該当する。
大型の電気機器(例えば、電気モータ、ソレノイド)が起動される際(電源投入時)には、その初期段階で定格電流値を超えて一時的に大電流が流される。該大電流は、「突入電流」、或いは、「始動電流」と称呼される。突入電流が原因となって、電源BTの電圧が低下して各装置が再起動されることを回避するために、上記の作動中断要求が行われる。例えば、作動中断要求(中断の開始、継続、終了の要求)は、制御フラグFK(「要求フラグ」ともいう)によって行われる。具体的には、「FK=0」にて「中断要求無し」が表示され、「FK=1」にて「中断要求有り」が表される。従って、要求フラグFKが「0」から「1」に遷移されることで中断要求が開始され、要求フラグFKが「1」に維持されること中断要求が継続され、要求フラグFKが「1」から「0」に遷移されることで中断要求が終了される。
電動駐車ブレーキ装置EPは、電動アクチュエータDN、及び、コントローラECUにて構成される。アクチュエータDNは、電気モータMTによって、駐車制動力Fpを発生する。以下、アクチュエータDNについて説明する。なお、本発明に係る電動駐車ブレーキ装置EPの特徴部は、コントローラECUにプログラムされた制御アルゴリズムである。
《電動アクチュエータDN》
電動アクチュエータDNは、バッキングプレートBPに対してブレーキシューBSa、BSbとは反対側に、バッキングプレートBPの車幅方向の内側面に固定される。アクチュエータDNからは、駐車ケーブルCBが伸ばされる。駐車ケーブルCBは、バッキングプレートBPに設けられた貫通孔を貫通し、駐車レバーPL(特に、下端部Pb)に接続されている。
アクチュエータDNは、ハウジングHG、電気モータMT、減速機GS、動力変換機構HN、駐車ケーブルCB、及び、エンド部材ENを備えている。ハウジングHGは、電気モータMT、減速機GS、及び、動力変換機構HNを支持するとともに、これらの構成部材を覆っている。電気モータMTは、駐車制動力Fpを発生すために動力源である。電気モータMTは、コントローラECUによって駆動される。
減速機GSは、複数のギヤにて構成される。例えば、減速機GSは、大径ギヤDK、及び、小径ギヤSKを含んでいる。電気モータMTの出力シャフトSFには、小径ギヤSKが固定される。小径ギヤSKには、大径ギヤDKが噛み合わされる。電気モータMTの出力(即ち、出力シャフトSFの回転動力)は、減速機GSを介して、減速される。減速された電気モータMTの回転動力は、動力変換機構HNに入力される。
動力変換機構HNは、入力部材NB、出力部材SB、及び、回り止め部材MDにて構成される。入力部材NBには、大径ギヤDKが固定される。従って、入力部材NBは、大径ギヤDKと一体となって回転駆動される。入力部材NBは、円筒形状を有し、その外周部には、雄ねじOjが形成される。入力部材NBは、「ボルト部材」である。
入力部材NBの雄ねじOjは、出力部材SBの雌ねじMjに螺合される。具体的には、出力部材SBは、筒形形状を有し、その内周部(貫通孔の内側)には雌ねじMjが形成されている。出力部材SBは、「ナット部材」である。動力変換機構HNでは、入力部材NB(ボルト部材)と出力部材SB(ナット部材)とが噛み合わされて、電気モータMTの回転動力が、直線動力に変換される。ここで、動力変換機構HNとして、セルフロックするもの(逆効率がゼロである機構)が採用される。
ハウジングHGに固定される回り止め部材MDによって、出力部材SBの回転運動が規制される。即ち、回り止め部材MDによって、出力部材SBの回り止めがなされ、出力部材SBの直線移動がガイドされる。例えば、出力部材SBの外周部には、フランジ部Flが設けられ、このフランジ部Flには、少なくとも1つの2面取りが形成されている。回り止め部材MDは筒形状を有し、その内面が、フランジ部Flの2面取りに嵌め合い可能なように加工されている。フランジ部Flの2面取り部分(平面)と、回り止め部材MDの2面取り部分(平面)とが摺動することによって、出力部材SBの回転運動が規制される。これにより、出力部材SBは、入力部材NBの回転軸Jnに沿って、直線移動される。なお、回り止め部材MDには、大径ギヤDKが固定された側とは反対側に、端面Mbが形成されている。
駐車ケーブルCBは、入力部材NBの内周面(貫通孔)を貫通し、回転軸Jnの方向に延ばされている。駐車ケーブルCBの一端は、ブレーキシューBSa、BSbを作動させるよう、可動部材である駐車レバーPLに結合されている。駐車ケーブルCBの他端には、エンド部材ENが結合される。エンド部材ENは、筒状部とフランジ部とを有している。エンド部材ENの筒状部が外側から加締められることにより、駐車ケーブルCBとエンド部材ENとは接合(固定)される。エンド部材ENのフランジ部(特に、端面Ma)は、出力部材SBの端部Mcよりも、径方向外方に張り出し、端部Mcに当接可能である。また、該フランジ部(特に、端面Ma)は、回り止め部材MDの端面Mbに当接可能である。
図2において、入力部材NBの回転軸Jn(一点鎖線)に対して左側に示す状態(a)は、電気モータMTが駆動され、駐車ケーブルCBに張力が加えられた状態を図示する。状態(a)では、ブレーキシューBSa、BSbがブレーキドラムBDに押圧され、電動駐車ブレーキ装置EPによって車輪が拘束されている(即ち、車輪に駐車制動力Fpが加えられる状態である)。該状態(a)が、「適用状態」と称呼され、駐車ブレーキが効いている状態である。
図2において、入力部材NBの回転軸Jnに対して右側に示す状態(b)は、駐車ケーブルCBへの張力が解放された状態を図示する。ここで、エンド部材ENと出力部材SBとは、一体化されておらず、軸方向に分離可能に構成されている。状態(b)では、ブレーキシューBSa、BSbはブレーキドラムBDから離れていて、車輪には駐車制動力Fpが作用しない。該状態(b)が、「解除状態」と称呼され、駐車ブレーキが効いていない状態である。
《コントローラECU》
コントローラECU(電子制御ユニット)によって、電気モータMTが制御され、アクチュエータDNが駆動される。コントローラECUは、マイクロプロセッサMP等が実装された電気回路基板と、マイクロプロセッサMPにプログラムされた制御アルゴリズムと、が含まれている。コントローラECUには、発電機ALによって充電される蓄電池BTから電力が供給される。蓄電池BTからの電力によって、コントローラECUは、上記の制御アルゴリズムを実行し、電気モータMTに通電を行う。なお、上述したように、蓄電池BTによって、他のシステムのコントローラECA、ECBにも電力が供給される。
コントローラECUでは、マイクロプロセッサMP内の制御アルゴリズムに基づいて、電気モータMTを制御するための駆動信号Mtが演算される。また、コントローラECUには、電気モータMTを駆動するよう、駆動回路DRが備えられる。駆動回路DRでは、スイッチング素子(MOS-FET、IGBT等のパワー半導体デバイス)によってブリッジ回路が形成される。各スイッチング素子の通電状態が、駆動信号Mtに応じて制御され、電気モータMTの出力が制御される。駆動回路DRには、電気モータMTの実際の正転通電量Ia(正転方向Daに対応)、逆転通電量Ib(逆転方向Dbに対応)を検出する通電量センサIAが備えられる。例えば、通電量センサIAとして、電流センサが採用され、電気モータMTへの供給電流Ia、Ibが検出される。
駐車ブレーキの適用作動(即ち、駐車ブレーキを効かせる作動であり、解除状態(b)から適用状態(a)への遷移)について説明する。駐車ブレーキが適用される際のアクチュエータDNの制御が「適用制御」と称呼される。駐車スイッチSWが操作され、駐車信号Swが、オフからオンに切り替えられると、電気モータMTに正電圧の印加が開始される。電気モータMTには、正転通電量Iaが供給され、電気モータMTは正転方向Daに回転駆動される。この回転動力は、減速機GSを介して、入力部材NBに伝達される。入力部材NBの回転動力は、出力部材SBの直線動力に変換される。ここで、出力部材SBは、回り止め部材MD(特に、フランジ部Flの2面取り部と内周部Mm)によって、回転軸Jnに沿った動き(前進方向Haへの移動)にガイドされる。駐車ブレーキを効かせる際には、出力部材SBは前進方向Haに移動される。入力部材NBの端部Mcとエンド部材ENの端面Maとが当接していない状態では、駐車ケーブルCBには張力がかからない。従って、電気モータMTでは、入力部材NB、出力部材SB、回り止め部材MD等の動きに対する摩擦力(摺動摩擦)に応じた出力が発生される。
駐車ケーブルCBとエンド部材ENとは固定されているため、入力部材NBの端部Mcとエンド部材ENの端面Maとが当接すると、駐車ケーブルCBに張力が生じる。エンド部材ENが、前進方向Haに移動されることによって、駐車ケーブルCBの張力は増加される。これにより、ブレーキドラムBDに対するブレーキライニングBLの締付力Faが増加され、駐車制動力Fpが増加される。電気モータMTのトルク出力は、正転通電量Iaと概ね比例するため、正転通電量Iaが終了しきい値ixに到達する時点で、電気モータMTへの通電が停止される。ここで、終了しきい値ixは、予め設定された所定値(定数)であって、駐車ブレーキが効くよう、ブレーキライニングBLとブレーキドラムBDとの押圧状態が十分に確保され得る値に相当する。動力変換機構HNはセルフロックするため、電気モータMTへの通電停止後も、駐車ケーブルCBの張力は維持され、駐車ブレーキが効いた状態(即ち、適用状態)が維持される。
次に、駐車ブレーキの解除作動(即ち、駐車ブレーキを効かなくする作動であり、適用状態(a)から解除状態(b)への遷移)について説明する。駐車ブレーキが解除される際のアクチュエータDNの制御が「解除制御」と称呼される。駐車スイッチSWが操作され、駐車信号Swがオンからオフに切り替えられると、電気モータMTに負電圧の印加が開始される。電気モータMTには、逆転通電量Ibが供給され、電気モータMTは逆転方向Dbに回転駆動される。電気モータMTは電気モータMTの回転動力によって、出力部材SBは、後退方向Hb(前進方向Haとは逆方向(反対方向))に移動される。これにより、駐車ケーブルCBの張力が減少され、締付力Fa(結果、駐車制動力Fp)が減少される。そして、エンド部材ENの端面Maが、回り止め部材MDの端部Mbに当接する。ここまでは、エンド部材ENと出力部材SBとは一体となって移動される。つまり、駐車ブレーキを解除する際(効かなくする際)には、出力部材SBは後退方向Hbに移動される。
更に、電気モータMTが逆転方向Dbに駆動されると、エンド部材ENと出力部材SBとが、離間(分離)される。これにより、駐車ケーブルCBの張力は、略「0(ゼロ)」にされる。これ以降、電気モータMTは、時間Tに基づいて逆転方向Dbに駆動される。そして、出力部材SBの端部Mk(端部Mcとは反対側)と、入力部材NBの部位Mdとが、或る程度の距離(即ち、隙間Lr)を有した状態で、電気モータMTへの通電が停止され、出力部材SBの後退方向Hbの移動が停止される。換言すれば、出力部材SBの移動停止時には、出力部材SBの端部Mkと入力部材NBの部位Mdとは隙間を有していて、ストッパ等が不要な構成にされている。
<解除制御の処理>
図3のフロー図を参照して、解除制御の処理について説明する。「解除制御」は、駐車ブレーキが効いている適用状態から、それが効いていない解除状態に遷移させるための基準となる制御である。つまり、解除制御は、駐車ブレーキを解除作動させるための制御である。解除制御は、駐車信号Swがオンからオフに切り替えられた時点で開始される。ここで、駐車信号Swがオンからオフに切り替えられることが、「解除指示」と称呼される。解除制御は、電気モータMTの駆動制御によって行われる。具体的には、解除制御では、電気モータMTへの通電(例えば、負電圧の印加)が行われ、電気モータMTが逆転方向Dbに駆動される。
ステップS110にて、駐車信号Sw、及び、実際の通電量Ia、Ibを含む各種信号が読み込まれる。例えば、正転、逆転通電量Ia、Ib(実際値)は、駆動回路DRに設けられた通電量センサIA(電流センサ)によって検出される。また、通電量センサIAは、電気モータMTに内蔵されていてもよい。
ステップS120にて、電気モータMTへの通電が行われる。具体的には、駐車信号Swがオンからオフに遷移する解除指示の時点(対応する演算周期)で、電気モータMTに負符号(-)の電圧が印加される。通電が開始された以降は、ステップS120では、電気モータMTへの負電圧の印加が継続される。これにより、電気モータMTは逆転方向Dbに駆動され続ける。
ステップS130にて、「接触解消状態であるか、否か(「接触解消判定」という)」が判定される。「接触解消状態」と、接触状態にあったブレーキライニングBL(即ち、摩擦部材MS)とブレーキドラムBD(即ち、回転部材KT)とが、接触しなくなった状態である。例えば、接触解消判定は、「逆転通電量Ibが一定であるか、否か」に基づいて行われる。接触解消状態は、逆転通電量Ibが一定になったこと(逆転通電量Ibの一定状態)に基づいて判定される。
ブレーキライニングBL(摩擦部材MS)とブレーキドラムBD(回転部材KT)とが略接触しなくなる状態(接触解消状態)では、駐車ケーブルCBの張力が略ゼロになり、逆転通電量Ibは一定となる。このとき、電気モータMTの出力は、電気モータMTから摩擦部材MSに至るまでの動力伝達機構(電気モータMT、減速機GS、入力部材NB、出力部材SB、駐車ケーブルCB等)の摩擦(摺動摩擦)のみに使用される。換言すれば、接触解消状態で電気モータMTに供給される逆転通電量Ibの大きさは、動力伝達部材の摩擦に相当する値である。
例えば、「逆転通電量Ibの一定状態(即ち、接触解消状態)」は、逆転通電量Ibが、予め設定された所定の範囲内(判定量ihの範囲内)に収まった状態が、所定の時間th(「判定時間」という)に亘って継続された時点で判定される。また、接触解消状態は、逆転通電量Ibにおいて、時間Tについての変化量dIb(逆転通電量Ibの時間微分値であり、「解除通電変化量」ともいう)が判定変化量dx以下である状態が、判定時間thに亘って維持された時点で判定されてもよい。ここで、判定量ih、判定時間th、及び、判定変化量dxは予め設定された所定値(定数)である。
ステップS130にて、「接触解消状態であること(「接触解消確定」ともいう)」が判定されると、制御フラグFF(「判定フラグ」ともいう)が「1」にされる。ここで、判定フラグFFは、「0」にて「接触解消状態ではない、或いは、接触状態は不明である」こと(「接触解消未確定」ともいう)が表示され、「1」にて「接触解消確定」が表される。なお、判定フラグFFは、解除制御の実行開始前には、初期値として「0(接触解消未確定)」に設定されている。
接触解消判定のロバスト性が向上されるよう、「逆転通電量Ibが解除量ik以上であること」が許可条件として、その判定条件に加えられてもよい。例えば、動力伝達部材(減速機GS、動力変換機構HN等)の伝達効率が低下した場合には、逆転通電量Ibの時間Tに対する変化量dIb(即ち、逆転通電量Ibの増加勾配)が小さくなり、ブレーキライニングBLがブレーキドラムBDに、未だ接触している状態であっても、逆転通電量Ibの一定状態が判定される状況が生じ得る。従って、「Ib<ik」の状態では、接触解消判定の実行が禁止され、「Ib≧ik」の状態になった場合に限って、接触解消判定の実行が許可される。ここで、解除量ikは、予め設定された所定値(負の定数)である。解除量ikは、通常状態(常温)において電気モータMTが無負荷で駆動される場合(即ち、電気モータMT、減速機GS、入力部材NB、出力部材SB、回り止め部材MD等の摺動摩擦)に相当する通電量よりも、僅かに大きい値に設定される。
ステップS130が否定される場合には、処理はステップS110に戻される。一方、ステップS130が肯定される場合には、処理はステップS140に進められる。ここで、ステップS130が初めて肯定される時点(該当する演算周期)が、「確定時点」と称呼される。
ステップS140にて、解除継続時間Tkが演算される。解除継続時間Tkは、ステップS130が初めて肯定された時点(該当する演算周期)からの時間である。換言すれば、解除継続時間Tkは、接触解消未確定の状態から、接触解消確定の状態に切り替わった(遷移した)時点(確定時点)が起点(基準)にされて、この起点から経過した時間である。
ステップS150にて、「解除継続時間Tkが解除しきい時間tk以上であるか、否か」が判定される。ここで、解除しきい時間tkは、予め設定された所定値(定数)であって、解除制御(解除作動)を終了するための解除継続時間Tkに対応するしきい値である。「Tk<tk」であり、ステップS150が否定される場合には、処理はステップS110に戻される。一方、「Tk≧tk」であり、ステップS150が肯定される場合には、処理はステップS160に進められる。ステップS160にて、電気モータMTへの電圧の印加が停止され、通電が停止される。即ち、ステップS160にて、電気モータMTの駆動が停止され、解除制御が終了される。
以上で説明したように、電動駐車ブレーキ装置EPでは、駐車ブレーキが解除される際には、接触解消状態が初めて判定された時点(例えば、電気モータMTへの逆転通電量Ibが一定になる時点)から解除しきい時間tkを経過した時点(対応する演算周期)で電気モータMTへの通電が停止され、電気モータMTの駆動が停止される。これにより、出力部材SBの後退方向Hbへの移動が終了され、出力部材SBは静止する。このとき、出力部材SBの端部Mkと入力部材NBの部位Mdとは、隙間Lrを有していて、接触していない。換言すれば、電動駐車ブレーキ装置EPの解除制御は時間Tに応じて行われるため、ストッパ等の移動制限部材に対する当接によって、出力部材SBの後退方向Hbへの移動が規制される必要がない。
電動駐車ブレーキ装置EPが解除されている状態において、電気モータMT、及び、電気モータMTによって駆動される部材(出力部材SB、入力部材NB等)は、非拘束状態(フリー状態)にある。具体的には、駐車ブレーキの解除状態(即ち、駐車ブレーキが効いていない状態)において、動力変換機構HNの雄ねじOjと雌ねじMjとが締め付けられることがない。このため、再度、駐車ブレーキ指示が行われ、電動駐車ブレーキ装置EPの適用制御が開始される際に、この締め付けを解放するための電力供給が不要であり、電気モータMTの電力が低減され、省電力化が図られる。更に、出力部材SBの移動制限部材が省略可能であるため、装置は小型・軽量化がされる。
<解除制御の動作>
図4の時系列線図(時間Tに対する状態量の遷移図)を参照して、解除制御の動作について説明する。なお、逆転通電量Ib(例えば、電流値)は、正符号(+)である正転通電量Iaに対して、負符号(-)であり、電気モータMTの逆転方向Dbの動きに対応している。つまり、正転通電量Iaと逆転通電量Ibとは、通電方向(例えば、電流の流れる向き)が異なる。例では、解除制御においては、上述した「Ib≧ik(<0)」の許可条件が設けられているが、該条件は省略することができる。
駐車スイッチSWがオン状態からオフ状態にされ、時点t0にて、解除制御が開始される。解除制御によって、負の電圧が電気モータMTに印加される。これにより、電気モータMTへの通電が開始され、電気モータMTが逆転駆動される。即ち、解除制御による作動(解除作動)が開始される。時点t0では、判定フラグFFは、初期値として、「0(接触解消未確定)」に設定されている。電気モータMTは逆転方向Dbに駆動されるが、少なくとも時点t1までは、エンド部材ENと出力部材SBとは当接していて、駐車ケーブルCBには張力が作用している。電気モータMTの逆転駆動により、駐車ケーブルCBの張力は徐々に減少され、逆転通電量Ib(負の値)は次第に増加し、「0」に近づいていく。
時点t1にて、逆転通電量Ibが解除量ik以上になり、禁止されていた接触解消判定が許可される。時点t2にて、制動装置DBにおいては、ブレーキライニングBLと、ブレーキドラムBD(特に、内周面Mn)とが、略接触しなくなる。これに伴い、時点t2にて、初めて、逆転通電量Ibが略一定となり、「逆転通電量Ibが一定となったこと」が判定される。しかし、時点t2では、逆転通電量Ibの一定状態は、未だ、判定時間thに亘って継続されてはいないため、接触解消状態は判定(確定)されない。なお、逆転通電量Ibの一定状態は、通電量Ibが所定範囲ih(判定量であって、予め設定された所定の定数)の内側に収まっていることによって判定される。また、逆転通電量Ibの時間変化量(時間微分値であり、解除通電変化量)dIbが、判定変化量dx(予め設定された所定の定数)以下であることによって、該一定状態が判定されてもよい。
時点t2から判定時間th(予め設定された定数)だけ経過した時点t3にて、接触解消状態であることが判定(確定)され、ステップS130が初めて満足される。これに伴い、時点t3(確定時点)にて、判定フラグFFが「0(接触解消未確定)」から「1(接触解消確定)」に切り替えられ、解除継続時間Tkの演算(時間の積算)が開始される。時点t3から解除しきい時間tk(予め設定された定数)だけ経過した時点t4にて、電気モータMTへの負電圧の印加が中止され、通電が停止される。つまり、解除制御が終了され、逆転通電量(例えば、電流値)Ibが「0」にされ、電気モータMTの逆転駆動が停止される。このとき、判定フラグFFが「1」から初期値「0」に戻される。解除制御の終了に伴い、出力部材SBの移動が停止される。なお、解除制御の終了時には、出力部材SBと入力部材NBとは隙間を有している。
<解除中断制御の第1処理例>
図5のフロー図を参照して、解除中断制御の第1の処理例について説明する。「解除中断制御」は、上述した解除制御の実行中に、他のコントローラECA、ECBから解除制御の作動を中断する要求(中断要求)があった場合の制御である。つまり、解除中断制御は、解除制御の作動中断要求があった後に、駐車ブレーキを解除状態にするための制御である。例えば、解除作動の中断要求は、コントローラ間で制御フラグ(要求フラグ)FKが、通信バスBSを介して送受信されることによって行われる。なお、コントローラECUと、他のコントローラECA、ECBとは、電源BTを共有している。
ステップS210にて、要求フラグFK、判定フラグFF、及び、正転、逆転通電量Ia、Ib(通電量センサIAの検出値)を含む各種信号が読み込まれる。ステップS220にて、作動中断用の要求フラグFKに基づいて、「解除作動が中断している最中であるか、否か」が判定される。要求フラグFKが「1(中断要求有り)」である状態が継続され、解除制御による作動(解除作動)が中断中である場合には、ステップS220は肯定され、処理はステップS250に進められる。要求フラグFKが「0(中断要求無し)」である状態が継続され、解除作動が中断されていない場合には、ステップS230は否定され、処理はステップS240に進められる。
ステップS230にて、要求フラグFKに基づいて、「解除作動の中断が開始されるか、否か」が判定される。前回の演算周期において「FK=0」であって、今回の演算周期において「FK=1」に遷移した場合には解除作動の中断開始が判定され(即ち、ステップS230は肯定され)、処理はステップS240に進められる。ステップS230が肯定される場合には、解除継続時間Tkがリセットされて「0」に戻される。一方、解除作動の中断要求がなく、要求フラグFKが「0」のままである場合には、中断開始は判定されず(即ち、ステップS230は否定され)、処理はステップS210に戻される(即ち、解除作動が継続される)。なお、ステップS230が初めて肯定された時点(該当する演算周期)が、「中断開始時点」と称呼される。
ステップS240にて、解除作動の中断要求に応じて、電気モータMTへの負電圧の印加が停止される。つまり、ステップS230が肯定された演算周期において、電気モータMTへの通電が直ちに停止され、電気モータMTの逆転駆動が中止される。
ステップS250にて、要求フラグFKに基づいて、「解除作動の中断が終了されるか、否か」が判定される。前回の演算周期において「FK=1」であって、今回の演算周期において「FK=0」に遷移した場合には、中断要求が終了されるので、解除作動の中断終了が判定され(即ち、ステップS250は肯定され)、処理はステップS260に進められる。一方、解除作動の中断要求が継続され、要求フラグFKが「1」のままである場合には、中断終了は判定されず(即ち、ステップS250は否定され)、処理はステップS240に進められる(即ち、電気モータMTの通電停止が継続される)。なお、ステップS250が初めて肯定された時点(該当する演算周期)が、「中断終了時点」と称呼される。
ステップS260にて、判定フラグFFに基づいて、「作動中断が要求される際に、接触解消状態であったか、否か(即ち、接触解消確定か、接触解消未確定か)」が判定される。「FF=0」であって、接触解消状態が判定される前に中断要求が受信される場合(中断要求が開始される時点で接触解消未確定である場合)には、ステップS270は否定され、処理はステップS270に進められる。一方、「FF=1」であって、接触解消状態が確定された後に中断要求が受信される場合(中断要求が開始される時点で接触解消確定である場合)には、ステップS270は肯定され、処理はステップS280に進められる。
ステップS270にて、図3、4を参照して説明した解除制御が再度実行される。解除制御の作動が再度実行される処理が、「再解除処理(接触解消確定の前に中断要求がなされた場合の処理)」と称呼される。再解除処理が実行される場合には、ブレーキライニングBLがブレーキドラムBDに接触している。従って、再度解除作動が実行されても、接触解消判定が行われるため、出力部材SBの後退方向Hbへの移動量が過剰になることはない(即ち、出力部材SBが戻され過ぎない)。
ステップS280では、一旦、電気モータMTに正転通電量Iaが通電され、電気モータMTが正転方向Daに駆動された後に、図3、4を参照して説明した解除制御が再度実行される。電気モータMTに正転通電量Iaが供給された後に、解除制御の作動が再度実行される処理が、「第1特定解除処理(接触解消確定の後に中断要求がなされた場合の処理)」と称呼される。解除制御では、接触解消確定が成立する時点が基準とされ、この基準からの時間(即ち、解除継続時間Tk)に基づいて、逆転通電量Ibの停止が行われる。中断要求に応じて通電が停止されると、解除継続時間Tkの基準が不明瞭となって、出力部材SBの後退方向Hbの過剰変位が生じる場合がある。そこで、第1特定解除処理では、中断要求の終了時点で、先ずは、電気モータMTが正転駆動されて、ブレーキライニングBLとブレーキドラムBDとが再度接触状態(即ち、接触解消不確定の状態)にされる。その後、解除制御に基づく作動(図3、4を参照)が再度実行される。解除制御によって、改めて接触解消判定が行われ、解除継続時間Tkの基準(起点)が明確にされるので、出力部材SBの過剰変位が抑制される。
≪第1特定解除処理における正転通電量Iaの供給≫
以下、第1特定解除処理における正転通電量Iaの供給(付与)について詳しく説明する。正転通電量Iaは、電気モータMTを正転駆動してブレーキライニングBLとブレーキドラムBDとを接触させ、接触解消確定の状態から接触解消未確定の状態に戻すために供給される。これは、以下の状況に対応するためである。解除作動での逆転通電量Ibは、最終的には時間(特に、解除継続時間Tk)に応じて停止される。しかしながら、逆転通電量Ibが中断要求によって停止されてしまうと、「解除継続時間Tkの起点が不明瞭になる状況」、及び、「再度、逆転通電量Ibが供給される際に、逆転通電量Ibに対応する突入電流の影響を受ける状況」が生じる。これらの状況に起因して、出力部材SBが、後退方向Hbに過剰に変位される。
第1特定解除処理では、正転通電量Iaは、「突入電流の判定」、及び、「ブレーキライニングBL(即ち、摩擦部材MS)とブレーキドラムBD(即ち、回転部材KT)との接触状態の判定(「接触判定」という)」の2つの判定に基づいて供給される。これらの判定は相互に関係するが、以下、順に説明する。
正転通電量Iaには、電気モータMTの始動時には突入電流の影響が及ぶ。従って、正転通電量Iaの供給に際しては、突入電流の影響の有無が判定される必要がある。例えば、突入電流の影響の有無は、正転通電量Iaの通電時間Tj(「適用継続時間」という)に基づいて判定される。これは、突入電流が流れる時間(期間)が既知であることに基づく。電気モータMTに対して、正転通電量Iaの通電(供給)が開始された時点から、その通電が継続された時間である適用継続時間Tjが演算される。そして、適用継続時間Tjが所定時間tt(「特定適用時間」という)を経過したことに基づいて、突入電流の影響が及ばなくなったことが判定される。ここで、特定適用時間ttは、予め設定された所定値(定数)である。適用継続時間Tjが特定適用時間tt未満の場合には、上記の接触判定は禁止され、正転通電量Iaの供給は継続される。適用継続時間Tjが特定適用時間tt以上の場合に、接触判定が許可される。そして、接触有りが否定される場合(即ち、非接触の場合)には、正転通電量Iaの供給は継続される。しかし、接触有りが肯定される場合には、正転通電量Iaの供給が停止(終了)される。
突入電流が影響している状況では、正転通電量Iaは急激に変化する。このため、突入電流の影響が、正転通電量Iaの時間変化量dIa(正転通電量Iaの時間微分値であり、「通電変化量」ともいう)に基づいて判定されてもよい。電気モータMTへの正転通電量Iaの供給開始時点から、正転通電量Iaに基づいて、適用通電変化量dIaが演算される。そして、適用通電変化量dIaが所定変化量dj(「適用判定変化量」という)未満である状態が、適用判定時間tjに亘って継続された時点にて、突入電流の影響が及ばなくなったと判定される。ここで、適用判定時間tj、及び、適用判定変化量djは予め設定された定数(所定値)である。つまり、「適用通電変化量dIaが適用判定変化量dj以上である場合」、又は、「適用通電変化量dIaが適用判定変化量dj未満であっても、それが適用判定時間tjを経過していない場合」には、接触判定は禁止され、正転通電量Iaの供給は継続される。そして、「dIa<dj」の状態が適用判定時間tjに亘って継続された時点以降は、接触判定が許可される。接触有りが否定される場合には正転通電量Iaが供給されるが、接触有りが肯定される場合には正転通電量Iaの供給が停止される。
次に、「ブレーキライニングBLとブレーキドラムBDとが接触したか、否か」の接触判定について説明する。接触判定は、正転通電量Iaとしきい通電量izとの比較(「通電量比較」ともいう)に基づいて行われる。しきい通電量izは、予め設定された所定値(定数)である。正転通電量Iaがしきい通電量iz未満である場合には、「ブレーキライニングBLとブレーキドラムBDとは接触していない(接触無し)」と判定され、正転通電量Iaの供給は継続される。正転通電量Iaがしきい通電量iz以上である場合に、「ブレーキライニングBLとブレーキドラムBDとが接触した(接触有り)」と判定され、正転通電量Iaの供給が終了される。
接触判定は、適用通電変化量dIa(正転通電量Iaの時間微分値)に基づいて行われてもよい。これは、ブレーキライニングBLがブレーキドラムBDに接触し始めると、電気モータMTの負荷が大きくなり、正転通電量Iaが増加することに基づく。具体的には、適用通電変化量dIaが所定変化量di(「接触判定変化量」という)未満の場合には、接触無しが判定され、正転通電量Iaの供給は継続される。そして、適用通電変化量dIaが接触判定変化量di以上となる場合に、接触有りが判定され、正転通電量Iaの供給(通電)が終了される。ここで、接触判定変化量diは、予め設定された所定値(正の定数)である。
以上で説明したように、第1特定解除処理における正転通電量Iaの供給(付与)においては、突入電流判定、及び、接触判定の2つ判定が含まれる。そして、突入電流判定として、「適用継続時間Tjに基づく方法」、及び、「適用通電変化量dIaに基づく方法」のうちの少なくとも1が採用される。また、接触判定として、「通電量比較に基づく方法」、及び、「適用通電変化量dIaに基づく方法」のうちの少なくとも1が採用される。更に、正転通電量Iaの通電パターンは既知であるため、適用継続時間Tjに基づいて、突入電流の影響、及び、接触が判定されてもよい。従って、正転通電量Iaに係る判定として、以下の組み合わせが可能である。
(1)適用継続時間Tjに基づいて突入電流の影響が判定され、通電量比較に基づいて接触状態が判定される。
(2)適用継続時間Tjに基づいて突入電流の影響が判定され、適用通電変化量dIaに基づいて接触状態が判定される。
(3)適用通電変化量dIaに基づいて突入電流の影響が判定され、通電量比較に基づいて接触状態が判定される。
(4)適用通電変化量dIaに基づいて、突入電流の影響、及び、接触状態が判定される。
(5)適用継続時間Tjに基づいて、突入電流の影響、及び、接触状態が判定される。
<再解除処理の動作>
図6の時系列線図(時間Tに対する状態量の変化を表す線図)を参照して、ステップS270の再解除処理の動作について説明する。解除中断制御の再解除処理では、中断要求が終了される際に、解除制御と同じ作動が再開される。換言すれば、中断要求の終了時点で、解除制御が再度実行される。例では、時点u2にて解除作動の中断要求が開始される。従って、時点u0から時点u2までの動作が解除制御に対応し、時点u2以降の動作が解除中断制御に対応する。なお、時点u3から時点u7までは、解除制御の動作でもある。ここで、上述した「Ib≧ik」の許可判定は省略されてもよい。
時点u0にて、解除作動が指示され、解除制御が開始される。解除制御によって、電気モータMTに負の電圧が印加され、電気モータMTの逆転方向Dbへの駆動(逆転駆動)が開始される。電気モータMTへの通電が開始される時点u0(逆転通電量Ibの供給開始時点であり、逆転駆動の開始時点)では、「FK=0」が継続され、他のコントローラからの解除作動の中断要求は存在しない。時点u1にて、「Ib≧ik」の許可条件が満足され、ステップS130の接触解消判定が実行される。
時点u2にて、「FK=0(中断要求無し)」から「FK=1(中断要求有り)」に切り替えられ、解除作動の中断(停止)が、通信バスBSを介して要求される。時点u2(中断開始時点)にて、この中断要求に基づいて、解除中断制御が開始される。解除中断制御によって、電気モータMTへの電圧印加は停止され、逆転通電量Ibは「0」にされる(ステップS240の処理)。また、時点u0から時点u2までの間(特に、逆転通電量Ibが停止される時点u2)では、接触解消状態は未だ判定されていないので、接触解消不確定の状態であり、判定フラグFFは初期値「0(未確定)」のままである。
時点u2から時点u3までは、コントローラECUでは「FK=1」が受信されるので、「Ib=0」が維持され、電気モータMTの駆動は停止される。そして、時点u3にて、「FK=1」から「FK=0」への切り替えが受信され、解除作動の中断が終了される。時点u3(中断終了時点)では、ステップS130(接触解消判定)は未だ肯定されておらず、接触解消状態は確定(判定)されていない(即ち、「FF=0」が維持されている)。中断要求される際に接触解消状態が判定されていない場合(接触解消未確定の場合)に該当するので、中断要求の終了時点u3からは、ステップS270の再解除処理が実行される。再解除処理では、解除制御による処理と同じ処理が再度繰り返される。換言すれば、時点u3以降は、解除制御が再度実行される。
時点u3にて、再度、電気モータMTに負の電圧が印加され、逆転通電量Ibが供給され、逆転駆動が開始される。時点u4にて、逆転通電量Ibが解除量ik以上になり、禁止されていた接触解消判定が許可される。時点u5にて、初めて、逆転通電量Ibの一定状態が判定される。時点u6にて、逆転通電量Ibの一定状態が判定時間th(予め設定された定数)に亘って判定され続け、電気モータMTの接触解消状態が判定される(即ち、ステップS130が肯定される)。この時点u6にて、判定フラグFFが「0」から「1」に切り替えられ、解除継続時間Tkの演算(時間Tの積算)が開始される。時点u6から解除しきい時間tk(予め設定された定数)を経過した時点u7にて、電気モータMTへの電圧印加が中止され、逆転通電量Ibの通電が停止される。電気モータMTの逆転駆動が停止され、解除中断制御が終了される。制御終了に伴い、出力部材SBの移動が停止される。なお、判定フラグFFは、制御終了に応じて、「1」から初期値「0」に戻される。
解除中断制御では、他のコントローラから解除制御による作動(解除作動)の中断の要求があった時点(中断開始時点)で、電気モータMTへの通電が、直ちに停止される。これにより、コントローラECUと電源BT、ALを共有する他のコントローラを含む装置(例えば、エンジン始動装置、変速制御装置)における突入電流による電源電圧の低下が抑制され得る。
解除中断制御の再解除処理は、中断要求がなされた時点(中断開始時点)で接触解消状態が判定されていない場合(即ち、接触解消確定前に中断要求がある場合)に対応した中断要求の終了時の処理である。再解除処理では、中断要求が終了される時点(即ち、要求終了が受信される時点であり、中断終了時点)で、直ちに、解除制御と同じ電気モータMTの駆動制御が再度実行される(時点u3から時点u7を参照)。再解除処理によって、中断要求の終了の際に、出力部材SBが戻され過ぎることなく、駐車ブレーキが迅速に解除状態に遷移される。
<第1特定解除処理の動作>
図7の時系列線図を参照して、ステップS280の第1特定解除処理の動作について説明する。解除中断制御の第1特定解除処理では、中断要求が終了される場合に、一旦、正転通電量Iaが電気モータMTに通電され、電気モータMTが正転方向Daに駆動された後に、解除制御と同一の作動が再開される。例では、時点v4にて解除作動の中断要求が開始される。従って、時点v0から時点v4までの動作が解除制御に対応し、時点v4以降の動作が解除中断制御に対応する。なお、時点v8から時点v12は、解除制御の動作でもある。上述したように、「Ib≧ik」の許可判定は省略されてもよい。
以下、正転通電量Iaの供給において、上記(1)を例に、第1特定解除処理について説明する。時点v0にて、解除指示が行われ、解除制御が開始される。時点v0(逆転通電量Ibの供給開始時点であり、逆転駆動の開始時点)にて、解除制御が開始され、電気モータMTに負電圧が印加される。電気モータMTに逆転通電量Ibが供給され、電気モータMTは逆転駆動される。時点v1にて、「Ib≧ik」の条件が満足され、接触解消判定が許可される。時点v2にて、逆転通電量Ibの一定状態が初めて判定される。その後、逆転通電量Ibの一定状態が維持され、時点v2から判定時間thを経過した時点v3にて、ステップS130が初めて肯定され、電気モータMTの接触解消状態が判定(確定)される。時点v3での接触解消判定の肯定結果に応じて、判定フラグFFが初期値「0(接触解消未確定)」から「1(接触解消確定)」に切り替えられる。同時に、解除継続時間Tkの演算が開始される。換言すれば、接触解消状態の確定時点v3が起点とされて、解除継続時間Tkが初期値「0」から増加される。
時点v4にて、受信している要求フラグFKが、「0」から「1」に切り替えられ、他のコントローラによって、解除作動の停止(中断)が要求される。時点v4(中断開始時点)にて、この中断要求に応え、解除中断制御が開始される。電気モータMTへの電圧印加は停止され、逆転通電量Ibは「0」にされる(ステップS240の処理)。解除継続時間Tkは、時点v4(中断要求に基づいて通電停止される時点)にて「0(初期値)」にリセットされる。時点v4では、ステップS130(接触解消判定)は既に肯定されており、接触解消状態が確定(判定)されている(即ち、「FF=1」である)。
時点v5にて、「FK=1」から「FK=0」に切り替えられ、解除作動の中断が終了される(ステップS250の肯定)。時点v5(中断終了時点)では、接触解消状態の確定後であるため、ステップS280の第1特定解除処理の実行が開始される。第1特定解除処理では、一旦、正転通電量Iaが増加されてから、解除制御の作動が実行される。従って、時点v5にて、先ずは電気モータMTに正符号(+)の電圧の印加が開始される。
正転通電量Iaの供給開始時点である時点v5(正転駆動の開始時点)を起点にして、適用継続時間Tjの演算が開始される。時点v6までは、「Tj<tt」であるため、通電量判定(突入電流に係る判定)は禁止される。時点v6にて、適用継続時間Tjが所定時間である特定適用時間tt以上となり、通電量判定が許可される。なお、「Tj≧tt」が初めて満足される時点が、「特定時点」と称呼される。特定時点v6からは、通電量比較が行われる。時点v7にて、ブレーキライニングBLとブレーキドラムBDとの接触が始まり、正転通電量Iaが徐々に増加される。しかし、時点v8までは、「Ia<iz」であるため、正転通電量Iaは継続して供給される。時点v8にて、正転通電量Iaがしきい通電量iz以上となり、正転通電量Iaの供給が停止される。加えて、時点v8では、解除制御と同じ処理が開始される。換言すれば、時点v8(逆転駆動の開始時点)から解除制御が再度実行される。
時点v8以降の動作は、図6を参照して説明した、時点u3以降と同様である。時点v8にて、電気モータMTの逆転方向Dbへの駆動が開始される。時点v9にて、「Ib≧ik」の条件が満足され、接触解消判定が許可される。時点v10にて、逆転通電量Ibの一定状態が、初めて判定される。時点v11にて、逆転通電量Ibの一定状態が判定時間thに亘って継続される。従って、時点v11にて、接触解消確定が決定され、解除継続時間Tkの演算が開始される。時点v11から解除しきい時間tkを経過した時点v12にて、電気モータMTへの負電圧の印加が中止され、電気モータMTの駆動が停止される。時点v12にて、解除中断制御(解除制御の実行途中で作動中断要求がある場合の制御)が終了される。
上記同様に、他のコントローラから解除作動中断の要求があった時点(中断開始時点)で、解除中断制御によって、直ちに電気モータMTへの通電が停止される。このため、コントローラECUと電源を共有する他のコントローラで突入電流が生じたとしても、突入電流に起因する電圧低下が回避される。
解除作動中断の第1特定解除処理においては、要求終了が受信された時点(中断終了時点v5を参照)で、解除制御と同一の作動(電気モータMTの逆転駆動)は、直ぐには再開されない。第1特定解除処理では、解除作動が開始される前に、一旦、正転通電量Iaが電気モータMTに通電される。これにより、電気モータMTは正転方向Daに駆動され、ブレーキライニングBLがブレーキドラムBDに再度接触される。そして、その後に、解除作動(逆転通電量Ibの供給)が再開される。第1特定解除処理によって、リセットされた解除継続時間Tkが再度演算されるため、解除継続時間Tkの起点が明確にされる。加えて、電気モータMTが再度逆転駆動される際の突入電流の影響が排除される。これにより、出力部材SBが、適正位置に移動され、後退方向Hbへの過剰変位が好適に抑制され得る。
<解除中断制御の第2処理例>
図8のフロー図を参照して、解除中断制御の第2の処理例について説明する。第1の処理例では、出力部材SBの過剰変位が、第1特定解除処理(電気モータMTを正転駆動してから解除作動を行う制御)によって抑制された。これに代えて、第2の処理例では、解除作動の実行時間が短縮されることによって、出力部材SBの戻し過ぎが抑制される。第2の処理例でも、解除中断制御は、解除制御の実行中に、コントローラECUと電源BTを共有している他のコントローラECA、ECBから中断要求がなされた場合に実行される。例えば、作動中断要求(開始、継続、終了の要求)は、要求フラグFKの受送信によって行われる。
解除中断制御の第2の処理例は、第1の処理例に対して、ステップS280の処理が省略される代わりに、ステップS290、及び、ステップS300の処理が追加される。第1の処理例と同一記号が付されたステップの処理は、第2の処理例でも同じである。このため、それらについての説明は省略される。以下、第1の処理例との相違点について説明する。
ステップS260が否定される場合(即ち、接触解消状態が判定される前に解除中断要求が受信される場合)には、第1の処理例と同じ再駆動処理が実行される。一方、ステップS260が肯定される場合(即ち、接触解消状態が判定された後に解除中断要求が受信される場合)には、ステップS290にて、特定しきい時間tnが演算される。特定しきい時間tnは、解除作動を終了するための第2戻し時間Tnに対応するしきい値である。特定しきい時間tnは、解除しきい時間tkよりも小さい値として決定される。
例えば、特定しきい時間tnは、第1戻し時間Tm、及び、演算マップZtnに基づいて演算される。「第1戻し時間Tm」は、接触解消状態が確定された時点(確定時点)から、中断要求が受信された時点(中断開始時点)までの時間であり、中断開始時点での解除継続時間Tkである。演算マップZtnでは、特定しきい時間tnは、解除しきい時間tkよりも小さく、且つ、第1戻し時間Tmの増加に従って減少するように演算される。
ステップS300では、電気モータMTに負電圧が印加され、逆転通電量Ibが供給される。これにより、電気モータMTは、逆転方向Dbに駆動される。また、ステップS300では、ステップS250が満足された時点(中断終了時点)からの時間Tn(「第2戻し時間」という)が演算される。第2戻し時間Tnが特定しきい時間tn未満である場合には、逆転通電量Ibの供給が継続され、電気モータMTは逆転方向Dbに駆動され続ける。そして、第2戻し時間Tnが特定しきい時間tn以上になる場合に、逆転通電量Ibの供給が停止され、解除中断制御の処理は終了される。ステップS300の処理が、「第2特定解除処理」と称呼される。
第1の処理例における第1特定解除処理では、中断終了の際に電気モータMTが一旦正転方向Daに駆動されてから解除制御が再度実行された。第2の処理例における第2特定解除処理では、中断終了時点から電気モータMTが逆転方向Dbに駆動されとともに、中断終了時点からの第2戻し時間Tnが演算される。そして、第2戻し時間Tnが特定しきい時間tnに達した時点で、電気モータMTの駆動が停止され、解除中断制御の処理が終了される。特定しきい時間tnは、解除しきい時間tkよりも小さくなるように決定されるため、出力部材SBの過度の引き戻しが抑制され得る。なお、解除作動が再度行われる際には、逆転通電量Ibの再供給に起因して、逆転通電量Ibに係る突入電流が発生するが、その影響は既知である。このため、突入電流による出力部材SBの移動量(変位)は事前に想定され得る。従って、特定しきい時間tnには、その影響が見込まれて決定される。
解除継続時間Tkは、解除中断要求が受信された時点(中断開始時点)でリセットされるが、確定時点から中断開始時点までの時間(即ち、中断開始時点での解除継続時間Tk)が、第1戻し時間Tmとして記憶される。これは、作動中断が要求される前までに、出力部材SBがどの程度変位したかが、第1戻し時間Tmに基づいて把握可能であることに基づく。そして、第1戻し時間Tmに基づいて、第1戻し時間Tmが大きいほど、特定しきい時間tnが小さくなるように演算される。第2特定解除処理では、第1戻し時間Tmに応じて中断要求前の出力部材SBの引き戻し量(変位)が、中断終了後の逆転駆動の所要時間に考慮されるため、出力部材SBが適正位置に戻され、過剰な引き戻しが確実に抑制され得る。
<第2特定解除処理の動作>
図9の時系列線図を参照して、ステップS300の第2特定解除処理の動作について説明する。第2特定解除処理では、解除作動の中断要求終了が受信される時点(中断終了時点)で電気モータMTが逆転方向Dbに駆動される。これと同時に、中断終了時点から、第2戻し時間Tnが演算される。そして、第2戻し時間Tnが、解除しきい時間tkよりも短い特定しきい時間tnを経過した時点で電気モータMTへの通電が停止さて、出力部材SBの移動が停止される。例では、時点w0から時点w4までが解除制御の作動に相当し、時点w4の後が解除中断制御の作動に相当する。上述したように、「Ib≧ik」の許可判定は省略されてもよい。
時点w0にて、解除制御が開始される。電気モータMTに負電圧が印加され、逆転通電量Ibが供給される。これにより、電気モータMTは、逆転方向Dbに駆動される。時点w0では、判定フラグFFは、初期値「0」に設定されている。時点w1にて、「Ib≧ik」になり、接触解消判定が許可される。時点w2にて、逆転通電量Ibの一定状態が、初めて判定される。時点w2から、この一定状態の継続時間が演算される。一定状態の解除継続時間が判定時間thに達した時点w3にて、接触解消状態が判定(確定)される。時点w3(確定時点)にて、判定フラグFFが「0」から「1」に切り替えられ、解除継続時間Tkが演算される。
解除制御では、基本的には、解除継続時間Tkが解除しきい時間tkに達すると制御終了される。しかしながら、例では、解除継続時間Tkが解除しきい時間tkに達する事前の時点w4にて、解除作動の中断が要求される。このため、時点w4にて、解除中断制御が開始され、電気モータMTへの通電が停止される。時点w4(中断開始時点)にて、解除継続時間Tkは一旦リセットされるが、このときの解除継続時間Tkの値が、第1戻し時間Tmとして記憶される。つまり、第1戻し時間Tmは、接触解消状態が成立する確定時点w3から、中断開始時点w4までの時間である。そして、時点w4にて、第1戻し時間Tmに基づいて、特定しきい時間tnが演算される。特定しきい時間tnは、解除しきい時間tkよりも短い時間であって、演算マップZtnに従って、第1戻し時間Tmが長いほど、短くなるように演算される。
解除中断制御によって、中断の開始が受信される時点(中断開始時点)w4から、中断要求の終了が受信される時点(中断終了時点)w5までの間、電気モータMTへの通電は停止されている。時点w5にて、中断要求が終了されると、電気モータMTに負電圧が再度印加され、逆転通電量Ibが通電される。これにより、電気モータMTは、逆転方向Dbに駆動される。電気モータMTの逆転駆動の開始と同時に、第2戻し時間Tnの演算が開始される。第2戻し時間Tnが特定しきい時間tn未満の場合には、電気モータMTは逆転駆動され続ける。そして、第2戻し時間Tnが特定しきい時間tn以上となる時点w6で、電気モータMTの逆転駆動は停止され、解除中断制御(即ち、第2特定解除処理)は終了される。
接触解消状態が判定された後に作動中断要求が受信される場合、中断終了時点で、ブレーキライニングBLとブレーキドラムBDとは離間している。即ち、解除作動は、或る程度進んでいて、出力部材SBは適正位置に向けて戻されつつある。電気モータMTは、通電開始からの時間(即ち、第2戻し時間Tn)に基づいて逆転駆動されるが、その時間に係るしきい値(即ち、特定しきい時間tn)が短い時間に演算されるため、出力部材SBの過度な移動が抑制される。更に、特定しきい時間tnの演算においては、第1戻し時間Tmが考慮される。つまり、第1戻し時間Tmが大きいほど、特定しきい時間tnが小さくなるように決定される。これにより、中断要求前の出力部材SBの移動状態が参酌されるため、出力部材SBが適切な位置にまで戻される。
<電動駐車ブレーキ装置EPの実施形態のまとめと作用・効果>
以下、電動駐車ブレーキ装置EPの実施形態についてまとめる。電動駐車ブレーキ装置EPでは、電気モータMTが正転方向Daに駆動されることによって、車輪に設けられた回転部材KTに摩擦部材MSが押圧されて駐車ブレーキが効かせられ、電気モータMTが逆転方向Db(正転方向Daとは反対方向)に駆動されることによって、駐車ブレーキが解除される。電動駐車ブレーキ装置EPには、電気モータMTを制御するコントローラECUが備えられる。
第1の実施形態(解除制御+解除中断制御の第1の処理例)では、コントローラECUは、解除制御として、回転部材KTと摩擦部材MSとが接触しなくなる接触解消状態を判定する時点(確定時点)から解除しきい時間tkを経過した時点で電気モータMTへの通電を止める(図3、4を参照)。換言すれば、解除制御は、駐車ブレーキを解除する際に、回転部材KTと摩擦部材MSとが接触しなくなる接触解消状態を判定する確定時点を基準として、この確定時点から解除しきい時間tkを経過した時点で電気モータMTの駆動を停止するものである。
また、解除制御の実行中に、他のコントローラ等によって該解除制御の中断を要求される場合には、コントローラECUによって、解除中断制御として、以下の作動が行われる。解除中断制御では、中断要求の開始時点で電気モータMTの駆動は停止される。更に、解除中断制御では、接触解消状態を判定する前に解除制御の中断要求がある場合(即ち、中断開始時点が確定時点よりも前であり、中断開始時点で接触解消状態が判定されていない場合)には、その中断要求が終了される時点(中断要求の終了時点)で「解除制御と同じ制御」(即ち、解除制御)が実行される(図5のステップS270、及び、図6を参照)。一方、接触解消状態を判定した後に解除制御の中断要求がある場合(即ち、中断開始時点が確定時点よりも後であり、中断開始時点で接触解消状態が判定されている場合)には中断要求の終了時点で電気モータMTを正転方向Daに駆動した後に「解除制御と同じ制御」(即ち、解除制御)が実行される(図5のステップS280、及び、図7を参照)。
電動駐車ブレーキ装置EPでは、解除制御の実行中に、他のコントローラECA、ECBから解除作動の中断要求があった場合には、直ちに、電気モータMTへの通電が停止される。このため、コントローラECUと電源BT、ALを共有する他のコントローラを含む装置(例えば、エンジン始動装置、変速制御装置)での突入電流による電源電圧の低下が抑制され得る。
解除制御では、接触解消状態が初めて判定される確定時点が起点とされて、この確定時点からの時間Tk(解除継続時間)に基づいて制御が終了され、電気モータMTへの通電が停止される。解除制御が実行されている途中で、一旦電気モータMTへの通電が停止されると、解除制御の終了に係る時間(即ち、解除継続時間Tkの起点)が不明確になる。接触解消状態が判定される前に中断要求がある場合には、接触解消状態は未だ判定されていない。このため、中断要求の終了時点(中断終了時点)で解除制御が再度実行される。そして、接触解消状態が判定され、その後に、「Tk≧tk」に基づいて、電気モータMTへの通電停止(即ち、解除制御の終了)が行われる。一方、接触解消状態が判定された後に中断要求がある場合には、中断要求の終了時点(中断終了時点)で電気モータMTが正転方向Daに駆動され、摩擦部材MSと回転部材KTとが再び接触解消不確定の状態(即ち、接触解消状態が判定されていない状態)に戻される。その後、接触解消状態が判定(確定)されてから、「Tk≧tk」に基づいて、電気モータMTへの通電が停止される。上記構成によれば、解除継続時間Tkの起点(確定時点)が明確にされるため、解除制御中に中断要求があったとしても、出力部材SBは適切な位置にまで戻され、過剰な引き戻し(即ち、過剰な変位)が回避され得る。
コントローラECUでは、電気モータMTに供給される正転通電量Iaに基づいて、「接触解消状態であるか、否か」が判定される。例えば、接触解消状態の判定は、正転通電量Iaとしきい通電量izとの比較、或いは、適用通電変化量dIa(通電量Iaの時間変化量)に基づいて行われる。摩擦部材MSと回転部材KTとが接触すると、電気モータMTの負荷が増加するので、正転通電量Iaは増加される。従って、回転部材KTに対する摩擦部材MSの押圧力Fa(締付力)が実際に検出されなくても、正転通電量Iaの変化に基づいて、摩擦部材MSと回転部材KTとの接触状態を把握することが可能である。
第2の実施形態(解除制御+解除中断制御の第2の処理例)でも、第1の実施形態と同様に、コントローラECUは、接触解消状態を判定する確定時点から解除しきい時間tkを経過した時点で電気モータMTの駆動を停止する解除制御を実行する。そして、解除制御の実行中にその中断が要求される場合には、解除中断制御を実行し、電気モータMTの駆動を停止する。中断要求に応じて、直ちに、電気モータMTへの通電が停止されるので、突入電流に起因する電源電圧の低下が抑制される。
第2の実施形態に係る電動駐車ブレーキ装置EPでは、コントローラECUは、解除中断制御として、以下の作動を行う。接触解消状態を判定する前に解除制御の中断要求がある場合には、その中断要求が終了される時点(中断終了時点)で「解除制御と同じ制御」(即ち、解除制御)を実行する(図8のステップS270、及び、図6を参照)。一方、接触解消状態を判定した後に中断要求がある場合には、中断要求の終了時点から電気モータMTを逆転方向Dbに駆動する。そして、中断要求の終了時点から解除しきい時間tkよりも短い特定しきい時間tnを経過した時点で電気モータMTの駆動を停止する。
接触解消状態が判定された後に作動中断要求がある場合には、中断終了時点では、出力部材SBは或る程度戻されていて、摩擦部材MSは既に回転部材KTから離れている。第2の実施形態では、中断要求の終了時点で、電気モータMTは逆転方向Dbに駆動されるが、その駆動時間は短時間に限られる。具体的には、逆転駆動は、その開始時点から特定しきい時間tnを経過した時点で停止されるが、特定しきい時間tnは解除しきい時間tkよりも短く設定されている。このため、出力部材SBの過剰な変位が抑制される。
コントローラECUでは、接触解消状態が判定される確定時点から、中断要求が開始される時点(中断開始時点)までの時間が、第1戻し時間Tmとして記憶される。そして、第1戻し時間Tmが大きいほど、特定しきい時間tnが小さくなるように演算される。特定しきい時間tnの決定において、中断要求前の出力部材SBの移動量(変位)が、第1戻し時間Tmに基づいて考慮されるので、出力部材SBの過剰な引き戻しが好適に抑制される。
<他の実施形態>
以下、電動駐車ブレーキ装置EPの他の実施形態について説明する。他の実施形態でも、上記同様の効果(迅速な解除作動の再開、出力部材SBの過剰移動の抑制、等)を奏する。
上記の実施形態では、駐車スイッチSWの操作に応じた電動駐車ブレーキ装置EPの作動(適用指示に応じた適用制御/解除指示に応じた解除制御)について説明した。電動駐車ブレーキ装置EPの適用指示/解除指示は、駐車スイッチSWの操作に代えて自動で行われてもよい。電動駐車ブレーキ装置EPの作動が自動的に行われる状況が「自動モード」と称呼される。自動モードでは、例えば、車両が停止した際に、電動駐車ブレーキ装置EPが自動で適用指示が行われ、駐車制動力Fpが発生(付与)される。また、運転者によって、加速操作部材(アクセルペダル等)が操作され、操作量Apが「0(ゼロ)」から増加した際に、電動駐車ブレーキ装置EPが自動で解除指示が行われる。自動モードは、通信バスBSを介して、コントローラECUにて取得された車体速度Vx、加速操作量Apによって実行される。
自動制動装置が備えられる車両では、運転者が操作を行うことなく電動駐車ブレーキ装置EPの自動モードが実行されてもよい。例えば、渋滞時等の運転を支援するよう、先行車を検知して車体速度Vxを自動調節される。そして、先行車が停止した際は車間距離を保ったまま自動で停止し、自動的に適用指示が行われ、電動駐車ブレーキ装置EPが適用作動される。その後、先行車が発進した場合には、自動的に解除指示が行われ、電動駐車ブレーキ装置EPが解除作動され、先行車に追従するように、自車の車体速度Vxが調整される。
上記の実施形態では、制動装置DBとして、ドラム型ブレーキが採用された。これに代えて、制動装置DBとして、ディスク型ブレーキが採用されてもよい。ディスク型ブレーキでは、摩擦部材MSとしてブレーキパッド、回転部材KTとしてブレーキディスクが採用される。
EP…電動駐車ブレーキ装置、BT…蓄電池(電源)、AL…発電機(電源)、ECA、ECB…他のコントローラ、FK…要求フラグ(解除作動の中断要求用の制御フラグ)、FF…判定フラグ(接触解消判定用の制御フラグ)、SW…駐車スイッチ、BS…通信バス、DB…制動装置、KT…回転部材、BD…ブレーキドラム(回転部材KTの一例)、MS…摩擦部材、BL…ブレーキライニング(摩擦部材MSの一例)、BSa、BSb…ブレーキシュー、ST…シューストラット、CB…駐車ケーブル、PL…駐車レバー、BP…バッキングプレート、DN…電動アクチュエータ、MT…電気モータ、GS…減速機、NB…入力部材、SB…出力部材、MD…回り止め部材、EN…エンド部材、ECU…コントローラ(電動駐車ブレーキ装置用)、MP…マイクロプロセッサ、DR…駆動回路、IA…通電量センサ(例えば、電流センサ)、Ia…正転通電量(正転方向Daに対応する通電量)、Ib…逆転通電量(逆転方向Dbに対応する通電量)、Tk…解除継続時間、Tm…第1戻し時間、Tn…第2戻し時間、tk…解除しきい時間、tn…特定しきい時間。


Claims (2)

  1. 電気モータを正転方向に駆動して車両の車輪に設けられた回転部材に摩擦部材を押圧して駐車ブレーキを効かせ、前記電気モータを逆転方向に駆動して前記駐車ブレーキを解除する車両の電動駐車ブレーキ装置であって、
    前記電気モータを制御するコントローラを備え、
    前記コントローラは、
    前記駐車ブレーキを解除する際に、前記回転部材と前記摩擦部材とが接触しなくなる接触解消状態を判定する時点から解除しきい時間を経過した時点で前記電気モータの駆動を停止する解除制御を実行するとともに、
    前記解除制御が実行されている途中で該解除制御の中断が要求される場合には前記電気モータの駆動を停止し、
    前記コントローラは、
    前記接触解消状態を判定する前に前記要求がある場合には前記要求が終了される終了時点で前記解除制御を実行し、
    前記接触解消状態を判定した後に前記要求がある場合には前記終了時点で前記電気モータを前記正転方向に駆動した後に前記解除制御を実行する、車両の電動駐車ブレーキ装置。
  2. 電気モータを正転方向に駆動して車両の車輪に設けられた回転部材に摩擦部材を押圧して駐車ブレーキを効かせ、前記電気モータを逆転方向に駆動して前記駐車ブレーキを解除する車両の電動駐車ブレーキ装置であって、
    前記電気モータを制御するコントローラを備え、
    前記コントローラは、
    前記駐車ブレーキを解除する際に、前記回転部材と前記摩擦部材とが接触しなくなる接触解消状態を判定する時点から解除しきい時間を経過した時点で前記電気モータの駆動を停止する解除制御を実行するとともに、
    前記解除制御が実行されている途中で該解除制御の中断が要求される場合には前記電気モータの駆動を停止し、
    前記コントローラは、
    前記接触解消状態を判定する前に前記要求がある場合には前記要求が終了される終了時点で前記解除制御を実行し、
    前記接触解消状態を判定した後に前記要求がある場合には前記終了時点から前記電気モータを前記逆転方向に駆動するとともに、前記終了時点から前記解除しきい時間よりも短い特定しきい時間を経過した時点で前記電気モータの駆動を停止する、車両の電動駐車ブレーキ装置。
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