JP2022085637A - 車両の電動駐車ブレーキ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電気モータによって締付力が増加される電動駐車ブレーキ装置において、再作動の繰り返しに起因する過剰な締付力の発生を抑制する。【解決手段】電動駐車ブレーキ装置は、コントローラによって電気モータを駆動することで車輪に設けられた回転部材と摩擦部材との間に締付力を発生して駐車ブレーキを効かせる。コントローラは、駐車ブレーキを効かせる際に、電気モータに通電を開始する開始時点から特定適用時間を経過するまでは通電を行い、特定適用時間の経過後は、通電の程度を表す通電量が適用しきい量未満の場合には通電を行い、通電量が適用しきい量以上の場合には通電を停止する適用制御を実行する。更に、コントローラは、駐車ブレーキが効いている状態で締付力の増加要求がある場合には適用制御の再度の実行を行い、今回の再度の実行が終了される時点での通電量が判定しきい量以上である場合には次回の再度の実行を禁止する。【選択図】図5

Description

本開示は、車両の電動駐車ブレーキ装置に関する。
特許文献1には、電動ブレーキ装置において、「不要な再アプライ(再作動)を制限すること」を目的に、「駐車ブレーキ制御装置24は、電動モータ7Aの作動を制御し、押圧部材保持機構8による保持作動完了後に、電動モータ7Aを再作動させる。駐車ブレーキ制御装置24は、電動モータ7Aおよび押圧部材保持機構8による保持作動完了時のピストン6Dへの液圧情報に基づいて、電動モータ7Aの再作動を制限する。より具体的には、駐車ブレーキ制御装置24は、電動モータ7Aおよび押圧部材保持機構8による保持作動完了時の液圧が所定値以上である場合、電動モータ7Aの再作動を制限する。一方、駐車ブレーキ制御装置24は、保持作動完了時の液圧が所定値未満である場合、保持作動完了後から所定時間経過すると、電動モータ7Aおよび押圧部材保持機構8を再作動させる」ことが記載されている。
特許文献2には、電動アクチュエータ制御装置において、「荷重センサ等の推力測定手段を使用せずに電動アクチュエータ装置の出力を高精度に制御することができる」ように、「セルフロック機能部を有する動力伝達機構を正方向に動作させた際の電動モータに流れる正方向電流と、これに続いて動力伝達機構を逆方向に動作させた際の電動モータに流れる逆方向電流の比率を求め、この比率に応じて次回以降に動力伝達機構を正方向に動作させる際の目標電流を変化させる」ことが記載されている。
特許文献1の装置では、駐車ブレーキを効かせるための締付力(摩擦部材と回転部材との間に発生される押圧力)はホイールシリンダ内の制動液の圧力によって増加されるが、特許文献2の装置では、該締付力が電気モータによって増加される。詳細には、特許文献2の装置では、電気モータに流れる電流値を計測しながら、電気モータへの電圧の印加状態を制御することによって、ブレーキパッドに与えられる推力(締付力)が調整され、駐車ブレーキが作動される。このような装置では、再作動の実行が繰り返されると、締付力が過大になる状況が発生し得る。従って、該状況が回避されることが望まれている。
特開2018-086879号 特開2018-057065号
本発明の目的は、電気モータによって締付力が増加される電動駐車ブレーキ装置において、再作動の繰り返しに起因する過剰な締付力の発生が抑制され得るものを提供することである。
本発明に係る電動駐車ブレーキ装置は、コントローラ(ECU)によって電気モータ(MT)を駆動することで車輪()に設けられた回転部材(KT)と摩擦部材(MS)との間に締付力(Fa)を発生して駐車ブレーキを効かせる。前記コントローラ(ECU)は、前記駐車ブレーキを効かせる際に、前記電気モータ(MT)に通電を開始する開始時点から特定適用時間(tm)を経過するまでは前記通電を行い、前記特定適用時間(tm)の経過後は、前記通電の程度を表す通電量(Ia)が適用しきい量(ix)未満の場合には前記通電を行い、前記通電量(Ia)が前記適用しきい量(ix)以上の場合には前記通電を停止する適用制御を実行する。
電動駐車ブレーキ装置では、前記コントローラ(ECU)は、前記駐車ブレーキが効いている状態で前記締付力(Fa)の増加要求がある場合には前記適用制御の再度の実行を行い、今回の前記再度の実行が終了される時点での前記通電量(Ie)が第1判定しきい量(iy)以上である場合には次回の前記再度の実行を禁止する。ここで、前記第1判定しきい量(iy)は、前記適用しきい量(ix)よりも大きい値として設定される。
電動駐車ブレーキ装置では、前記コントローラ(ECU)は、前記駐車ブレーキが効いている状態で前記締付力(Fa)の増加要求がある場合には前記適用制御の再度の実行を行い、今回の前記再度の実行において、前記通電量(Ia)が増加した後の前記通電量(Ia)の極小値(Is)が第2判定しきい量(iz)以上である場合には、次回の前記再度の実行を禁止する。ここで、前記第2判定しきい量(iz)は、前記適用しきい量(ix)よりも小さい値として設定される。
締付力Faは通電量Iaの増加に応じて増加する。今回の適用制御の終了時点の通電量Ia(即ち、最終通電量Ie)に基づいて、過大な締付力Faの発生が予測され得る。また、過大な締付力Faの発生予測は、今回の適用制御における通電量Iaの極小値Isに基づいても可能である。上記構成によれば、過大な締付力Faの発生が予測される場合(「Ie≧iy」、「Is≧iz」の場合)には、次回の適用制御の再実行は禁止される。これにより、次回の適用制御の再実行(即ち、再作動の繰り返し)における過大な締付力Faの発生が回避され得る。
電動駐車ブレーキ装置EPの実施形態を説明するための全体構成図である。 適用制御の処理を説明するためのフロー図である。 適用制御の動作を説明するための時系列線図である。 再適用制御の第1の処理例を説明するためのフロー図である。 再適用制御(第1、第2処理例)の動作を説明するための時系列線図である。 再適用制御の第2の処理例を説明するためのフロー図である。
以下、本発明に係る車両の電動駐車ブレーキ装置EPの実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
<構成部材等の記号、及び、運動・移動の方向>
以下の説明において、「MT」等の如く、同一記号を付された構成部材、要素、信号等は同一機能のものである。摩擦部材MSに係る部材(摩擦部材MSそのもの、ブレーキピストンPN、出力部材SB等)の運動・移動の方向において、「前進方向Ha」が、摩擦部材MSが回転部材KTに近づく方向に対応し、「後退方向Hb(前進方向Haとは反対の方向)」が、摩擦部材MSが回転部材KTから離れる方向に対応する。従って、摩擦部材MSに係る部材が前進方向Haに移動されると、回転部材KTに対する摩擦部材MSの押圧力(摩擦部材MSが回転部材KTに押し付けられる力であり、「締付力」ともいう)Faが増加され、制動力が増加される。逆に、摩擦部材MSに係る部材が後退方向Hbに移動されると、締付力Faが減少され、制動力が減少される。
電気モータMTの回転方向において、「正転方向Da」は、後退方向Hbの移動に対応している。また、電気モータMTの「逆転方向Db(正転方向Daとは反対の回転方向)」は、後退方向Hbに対応している。つまり、電気モータMTが正転方向Daに回転駆動されると、摩擦部材MSが前進方向Haに移動され、締付力Faが増加され、制動力が増加される。逆に、電気モータMTが逆転方向Dbに回転駆動されると、摩擦部材MSが後退方向Hbに移動され、締付力Faが減少され、制動力が減少される。
<電動駐車ブレーキ装置EPの実施形態>
図1の全体構成図を参照して、本発明に係る電動駐車ブレーキ装置EPの実施形態について説明する。電動駐車ブレーキ装置EPを備える車両の車輪には、制動装置が設けられる。制動装置によって、車両を減速する制動力(「減速制動力Fx」という)、及び、車両の停車状態を維持する制動力(「駐車制動力Fp」という)が発生される。
以下、公知の浮動型ディスクブレーキを例に、制動装置について説明する。制動装置は、回転部材KT、ブレーキキャリパCP、及び、ホイールシリンダCWを含んで構成される。具体的には、回転部材KT(ブレーキディスク)が、車輪に固定される。そして、回転部材KTを挟み込むようにブレーキキャリパCPが配置される。ブレーキキャリパCPには、ホイールシリンダCWが設けられている。ホイールシリンダCW内の制動液BFの圧力(「ホイールシリンダ液圧」という)Pwが増加されることによって、摩擦部材MS(ブレーキパッド)が、回転部材KTに押し付けられる。回転部材KTと車輪とは、一体となって回転するよう固定されているため、このときに生じる摩擦力によって、車輪に制動トルクTqが発生される。そして、制動トルクTqによって、車輪に制動力Fx(減速制動力)が発生される。
減速制動力Fxは、ホイールシリンダCW内の制動液BFの圧力(ホイールシリンダ液圧)Pwを動力源にして発生される。具体的には、ホイールシリンダCWの内部には、ブレーキピストンPN(単に、「ピストン」ともいう)が挿入される。ホイールシリンダCWとピストンPNとは、シール部材SLにて封止され、液圧室Rwが形成されている。そして、この液圧室Rwの圧力(ホイールシリンダ液圧)Pwが増加、又は、減少されることによって、減速制動力Fxが調整される。一方、駐車制動力Fpは、後述する電動アクチュエータDNに含まれる電気モータMTを動力源にして発生される。具体的には、電気モータMTが、正転方向Da、又は、逆転方向Dbに駆動されることによって、駐車制動力Fpが調整される。
車両には、駐車ブレーキ用スイッチ(単に、「駐車スイッチ」ともいう)SWが設けられる。駐車スイッチSWは、運転者によって操作されるスイッチであり、オン又はオフの信号Sw(「駐車信号」という)が、駐車ブレーキ用のコントローラECU(「電子制御ユニット」ともいう)に対して出力される。即ち、運転者が操作する駐車スイッチSWによって、車両の停止状態を維持する駐車ブレーキの作動(適用作動、又は、解除作動)が指示される。具体的には、駐車信号Swのオン状態(ON)で、駐車ブレーキが効くように、その適用(作動)が指示される。逆に、駐車信号Swのオフ状態(OFF)で、駐車ブレーキが効かないように、その解除(作動)が指示される。
車両には、電動駐車ブレーキ装置EP用のコントローラECU(「駐車コントローラ」ともいう)の他に、コントローラ(電子制御ユニット)ECBが備えられる。これらのコントローラECU、ECBは、信号(検出値、演算値等)が共有されるよう、通信バスBSにて接続されている。通信バスBSから、車輪速度Vw、車体速度Vx、加速操作部材(例えば、アクセルペダル)の操作量Ap等が入力される。車輪速度Vw(非図示の車輪速度センサVWの検出結果)は、後述する適用制御の再実行に利用される。また、車体速度Vx、加速操作量Apは、後述する電動駐車ブレーキ装置EPの自動モードに用いられる。なお、コントローラECU、ECBは、共通の電源(蓄電池BT、発電機)から電力供給を受けている。
例えば、コントローラECBは、減速制動力Fxを制御する制動コントローラである。制動コントローラECBから駐車コントローラECUには、駐車制動力Fp(即ち、締付力Fa)を増加するよう、信号FZ(例えば、作動フラグ)が送信される。或いは、駐車コントローラECUは、制動コントローラECBに含まれていてもよい。この場合、電動駐車ブレーキ装置EPは、制動コントローラECBの複数の機能のうちの1つとして作動する。
≪電動駐車ブレーキ装置EP≫
電動駐車ブレーキ装置EPは、電動アクチュエータDN、及び、電動駐車ブレーキ用のコントローラ(駐車コントローラ)ECUにて構成される。電動アクチュエータDNは、電気モータMTによって、駐車制動力Fpを発生する。以下、電動アクチュエータDNについて説明する。なお、本発明に係る電動駐車ブレーキ装置EPの特徴部は、コントローラECUにプログラムされた制御アルゴリズムである。
[電動アクチュエータDN]
電動アクチュエータDN(単に、「アクチュエータ」ともいう)は、電気モータMT、減速機GS、入力部材NB、及び、出力部材SBにて構成される。
電気モータMTは、駐車制動力Fpを発生するための動力源である。電気モータMTの出力(出力シャフトSFの回転動力)は、減速機GSに入力される。例えば、電気モータMTの出力シャフトSFには、小径歯車SKが固定されている。小径歯車SKは、大径歯車DKと咬み合わされる。つまり、小径歯車SK、及び、大径歯車DKにて、減速機GSが構成される。
大径歯車DKには、入力部材NBが固定される。電気モータMTの回転動力は、減速機GSによって減速され、入力部材NBに伝達される。入力部材NBは、ホイールシリンダCW(特に、ホイールシリンダCWのボディ)に形成された挿入孔を通じて、液圧室Rwに挿入されている。入力部材NBは、軸受け部材BHで保持されるとともに、シール部材SLにて封止されている。入力部材NBの外周面には雄ねじOjが形成されている。
出力部材SBが、入力部材NBに噛み合わされる。具体的には、出力部材SBは、中空状の円筒部材として形成され、その内壁面に雌ねじMjが形成されている。この雌ねじMjは、入力部材NBの雄ねじOjと螺合される。即ち、入力部材NB(特に、雄ねじOj)、及び、出力部材SB(特に、雌ねじMj)にて、回転運動を直線運動に変換する回転・直動変換機構HN(「動力変換機構」ともいう)が構成される。なお、動力変換機構HNには、回り止め防止機構(例えば、キー機構、2面幅を有する機構)が備えられる。動力変換機構HNには、セルフロックする構成(電気モータMTから摩擦部材MSは移動可能であるが、摩擦部材MSから電気モータMTは回転され得ない構成であって、「逆効率がゼロの構成」ともいう)が採用されている。
出力部材SBの直線移動によって、ブレーキピストンPNが押圧され、摩擦部材MSが回転部材KTに押し付けられる。具体的には、出力部材SBは、ピストンPNの円筒部に挿入されており、出力部材SBが移動されることによって、ピストンPNの円筒底部が押圧される。ピストンPNは、摩擦部材MSの裏板を押圧するように配置されており、出力部材SB(結果、ピストンPN)の直線移動によって、摩擦部材MSが回転部材KTに対して締付力Faにて押圧される。そして、締付力Faによって、駐車制動力Fpが発生される。動力変換機構HNにセルフロックの構成が採用されることによって、所望の締付力Fa(結果、駐車制動力Fp)が達成されると、電気モータMTの駆動(通電)が停止されても、締付力Faは維持される。
[駐車コントローラECU]
駐車ブレーキ用のコントローラECU(電子制御ユニット)によって、電気モータMTが制御され、アクチュエータDNが駆動される。コントローラECUは、マイクロプロセッサMP等が実装された電気回路基板と、マイクロプロセッサMPにプログラムされた制御アルゴリズムと、が含まれている。コントローラECUには、発電機によって充電される蓄電池BTから電力が供給される。蓄電池BTからの電力によって、コントローラECUは、後述する制御アルゴリズムを実行し、電気モータMTに通電を行う。なお、上述したように、駐車コントローラECUは、制動コントローラECBに包含されていてもよい。
コントローラECUには、駐車スイッチSWからの駐車信号Swが入力される。そして、駐車信号Swに応じて、マイクロプロセッサMP内の制御アルゴリズムに基づいて、電気モータMTを制御するための駆動信号Mtが演算される。また、コントローラECUには、電気モータMTを駆動するよう、駆動回路DRが備えられる。駆動回路DRには、スイッチング素子(MOS-FET、IGBT等のパワー半導体デバイス)によってブリッジ回路が形成される。各スイッチング素子の通電状態が、駆動信号Mtに応じて制御され、電気モータMTの出力が制御される。駆動回路DRには、電気モータMTの実際の通電量Iaを検出する通電量センサIAが備えられる。ここで、通電量Iaは、電気モータMTへの通電の程度を表す状態量であり、例えば、電流値である。通電量センサIAとして、電流センサが採用され、電気モータMTへの供給電流Iaが検出される。
[駐車ブレーキの作動]
アクチュエータDNによって、適用制御、及び、解除制御が実行される。「適用制御」は、駐車ブレーキが効いていない状態(「解除状態」という)から、駐車ブレーキが効いている状態(「適用状態」という)に遷移させる制御である。逆に、「解除制御」は、適用状態(駐車制動力Fpが作用している状態)から、解除状態(駐車制動力Fpが作用していない状態)に遷移させる制御である。
先ず、駐車ブレーキの適用制御の作動(適用作動)について説明する。駐車スイッチSWが操作され、駐車信号Swが、オフからオンに切り替えられると、電気モータMTに正電圧の印加が開始される。電気モータMTには、正転方向Daに対応する通電量Iaが供給され、電気モータMTは正転方向Daに回転駆動される。この回転動力は、減速機GSを介して、入力部材NBに伝達される。入力部材NBの回転動力は、動力変換機構HN(雄ねじOjと雌ねじMj)を介して、出力部材SBの直線動力に変換される。出力部材SBは、回り止め機構によって、ピストンPNの中心軸Jp(入力部材NBの回転軸でもある)に沿った動きにガイドされる。駐車ブレーキを効かせる際には、出力部材SBは、前進方向Ha(図中の左方向)に移動される。出力部材SBの端部とピストンPNの底部とが当接していない状態では、出力部材SBが移動されても、締付力Faは発生しないので、電気モータMTには締付力Faに応じた負荷がかからない。このため、電気モータMTでは、入力部材NB、出力部材SB、回り止め機構等の動きに対する摩擦力(摺動摩擦)に応じた出力が発生される。
出力部材SBの端部とピストンPNの底部とが当接すると、回転部材KTに対する摩擦部材MSの締付力Faが生じ始める。更に、出力部材SBが、前進方向Haに移動されることによって、締付力Faが増加され、駐車制動力Fpが増加される。電気モータMTのトルク出力は、通電量Iaに概ね比例するため、通電量Iaが適用しきい量ixに到達する時点で、電気モータMTへの通電が停止される。ここで、適用しきい量ixは、適用制御(適用作動)を終了するための通電量Iaに対応するしきい値であり、予め設定された所定値(定数)である。適用しきい量ixは、駐車ブレーキが効くよう、摩擦部材MSと回転部材KTとの押圧状態が十分に確保され得る値に設定されている。動力変換機構HNはセルフロックするため、電気モータMTへの通電停止後も、締付力Faは維持され、駐車ブレーキが効いた状態(即ち、適用状態)が維持される。
次に、駐車ブレーキの解除制御の作動(解除作動)について説明する。駐車スイッチSWが操作され、駐車信号Swが、オンからオフに切り替えられると、電気モータMTに負電圧の印加が開始される。電気モータMTには、逆転方向Dbに対応する通電量Iaが供給され、電気モータMTは逆転方向Dbに回転駆動される。電気モータMTの回転動力によって、出力部材SBは、中心軸Jpに沿って、後退方向Hb(前進方向Haとは逆方向であり、図中の右方向)に移動される。これにより、ピストンPNに対する出力部材SBの押圧力は低下し、締付力Fa(結果、駐車制動力Fp)が減少される。出力部材SBの端部とピストンPNの底部とが離間(分離)されると、締付力Faは略「0(ゼロ)」にされる。これ以降、電気モータMTは、時間Tに基づいて逆転方向Dbに駆動される。
<適用制御の処理>
図2のフロー図を参照して、適用制御の処理について説明する。「適用制御」は、駐車ブレーキが効いていない解除状態から、それが効いている適用状態に遷移させるための基準となる制御である。適用制御は、駐車信号Swがオフからオンに切り替えられた時点で開始される。ここで、駐車信号Swがオフからオンに切り替えられることが、「適用指示」と称呼される。適用制御は、電気モータMTの駆動制御によって行われる。具体的には、適用制御では、電気モータMTへの通電(例えば、正電圧の印加)が行われ、電気モータMTが正転方向Daに駆動される。なお、適用制御が実行されている場合には、制御フラグFJ(「実行フラグ」ともいう)が、それが実行中であることを表示する「1」にされる。ここで、適用制御の非実行時には、実行フラグFJは、「0(初期値)」にされている。
ステップS110にて、駐車信号Sw、及び、実際の通電量(通電の度合いを表示する状態量であり、例えば、電流値)Iaを含む各種信号が読み込まれる。例えば、通電量Ia(実際値)は、駆動回路DRに設けられた通電量センサIAによって検出される。また、通電量センサIAは、電気モータMTに内蔵されていてもよい。
ステップS120にて、電気モータMTへの通電が行われる。具体的には、駐車信号Swが、オフからオンに遷移する適用指示の時点(対応する演算周期)で、電気モータMTに正符号(+)の電圧が印加される。同時に、実行フラグFJが「0」から「1」に変更される。通電が開始された以降は、ステップS120では、電気モータMTへの正電圧の印加が継続される。これにより、電気モータMTは正転方向Daに駆動され続ける。
ステップS130にて、電気モータMTへの通電開始の時点から現時点までの時間である、適用継続時間Tjが演算(積算)される。換言すれば、適用継続時間Tjは、電気モータMTへの通電時間である。適用継続時間Tjは、「電気モータMTの通電量Iaに突入電流の影響が及んでいるか、否か」を判定するために演算される。「突入電流」とは、電気機器(例えば、電気モータ)に電源が投入された際に、その初期段階で定常電流値を超えて一時的に流される大電流のことであって、「始動電流」とも称呼される。そして、通電量Iaに突入電流の影響が及んでいる期間が、「突入電流期間」と称呼される。
ステップS140にて、適用継続時間Tjに基づいて、「適用継続時間Tjが特定適用時間tm以上であるか、否か」が判定される。ステップS140の処理は、ステップS150において、突入電流の影響を排除するために行われる。特定適用時間tmは、適用継続時間Tjに対応するしきい値であり、予め設定された所定値(定数)である。「Tj<tm」である場合には、未だ突入電流の影響が存在するので、処理はステップS110に戻される。一方、「Tj≧tm」である場合には、突入電流の影響がなくなったので、処理はステップS150に進められる。なお、「Tj≧tm」が初めて満足される時点(対応する演算周期)が「特定時点」と称呼される。
ステップS150にて、実際の通電量Ia(通電量センサIAの検出値)に基づいて、「通電量Iaが適用しきい量ix以上であるか、否か」が判定される。該判定が「終了判定」と称呼される。締付力Faと通電量Iaとの間には相関関係が存在する。このため、適用しきい量ixは、駐車ブレーキの効きにおいて摩擦部材MSと回転部材KTとの押圧状態が十分となる値(所定の定数)として、予め設定されている。「Ia≧ix」であり、ステップS150が肯定される場合(十分な締付力Faが確保された場合)には、処理はステップS160に進められる。一方、「Ia<ix」であり、ステップS150が否定される場合(締付力Faが不十分な場合)には、処理はステップS110に戻される。
ステップS160にて、電気モータMTへの印加電圧が「0」にされ、通電が停止される。即ち、通電量Iaが適用しきい量ixに到達した場合に、ステップS160にて、適用制御が終了される。このとき、実行フラグFJは、「1」から「0」に変更される。動力変換機構HNはセルフロックするため、電気モータMTへの通電が停止されても、駐車ブレーキが効いた状態(即ち、適用状態)が維持される。
以上で説明したように、適用制御では、「Ia≧ix」の条件が満足される場合に、その終了が判定され、通電量Iaが「0(通電停止)」にされる。しかしながら、突入電流に起因して、通電量Iaが適用しきい量ix以上になる状況が生じ得る。該状況で適用制御が終了されると、締付力Faが不十分となる。突入電流の影響を回避するため、電気モータMTへの通電が開始される開始時点から、突入電流の影響がなくなる特定時点までの間(即ち、特定適用時間tmに亘る突入電流期間)は、終了判定(即ち、通電量Iaと適用しきい量ixとの比較)が行われない。従って、突入電流期間では、電気モータMTの通電量Iaと適用しきい量ixとの大小関係に係らず、電気モータMTの通電は継続される。これにより、突入電流の影響が排除されるので、常に、十分な締付力Faが確保されて、駐車ブレーキが適用状態にされる。
<適用制御の動作>
図3の時系列線図(時間Tに対する状態量の遷移線図)を参照して、適用制御の動作について説明する。時点t0にて、駐車スイッチSWがオフ状態からオン状態にされ、適用作動の指示(適用指示)が行われ、適用制御が開始される。時点t0にて、電気モータMTが正転するように、正の電圧が電気モータMTに印加される。これにより、電気モータMTの正転方向Daに対応する通電が開始される。時点t0から、適用継続時間Tj(継続的な電気モータMTへの通電時間)の演算が開始されるとともに、実行フラグFJが「0」から「1」に切り替えられる。ここで、時点t0が、通電量Iaの通電が開始される「開始時点」に相当する。
時点t0(開始時点)の直後には、電気モータMTに突入電流(起動電流)が流れる。これにより、通電量Iaは、ピーク値iaまで上昇し、その後減少する。時点t0から特定適用時間tmを経過するまでの期間(即ち、「時点t0~t1」の突入電流期間)は、通電量Iaに突入電流の影響が及んでいる蓋然性が高い。このため、時点t0から時点t1までの間は、ステップS150の判定(通電量Iaに係る大小比較に基づく終了判定)において、突入電流の影響を排除するよう、該判定が禁止されている。ここで、時点t1が、通電量Iaにおいて、突入電流の影響が及ばなくなる「特定時点」に相当する。
時点t0から、特定適用時間tmを経過した特定時点t1にて、「Tj≧tm」が肯定され、ステップS150の判定が許可される。時点t0から時点t2までは、出力部材SBとピストンPNとは当接していないので、電気モータMTには、締付力Faに応じた負荷が作用していない。このため、通電量Iaは、値icで略一定である。なお、値icで一定状態にて供給される通電量Iaは、電気モータMTから摩擦部材MSに至るまでの動力伝達機構(電気モータMT、減速機GS、入力部材NB、出力部材SB等)の摩擦(摺動摩擦)に起因する値に相当する。
時点t2にて、出力部材SBがピストンPNに接触し、電気モータMTの負荷が増加され、通電量Iaの増加が始まる。時点t2より後は、通電量Iaが増加され、締付力Faが徐々に増加される。時点t3にて、通電量Iaが終了しきい値である適用しきい量ixに達する。時点t3にて、ステップS150の「Ia≧ix」が満足され、電気モータMTへの正符号の電圧の印加が停止され、通電量Iaが「0」にされる。即ち、時点t3にて、適用制御が終了され、電気モータMTへの通電が停止される。同時に、実行フラグFJが「1」から「0」に切り替えられる。
<再適用制御の第1の処理例>
図4のフロー図を参照して、再適用制御の第1の処理例について説明する。「再適用制御」は、駐車ブレーキが効いている状態(即ち、適用状態)において、締付力Faの増加要求があり、再度適用作動を実行するものである。例えば、再適用制御は、制御フラグFR(「要求フラグ」ともいう)によって指示される。要求フラグFRは締付力Faの増加を要求する信号であり、例えば、駐車コントローラECUにて決定される。或いは、要求フラグFRは、制動コントローラECBにて演算され、通信バスBSを介して、駐車コントローラECUに対して送信されてもよい。
以下に再適用制御が必要な状況について例示する。再適用制御は、例えば、以下の状況において要求される。
(1)駐車ブレーキが効いている適用状態において、運転者による駐車スイッチSWの操作によって、再度、適用制御が指示される状況。運転者が再度の適用作動を指示しているため、再度、適用制御の作動が行われる。この場合、要求フラグFRは、駐車信号Swに基づいて演算される。
(2)駐車ブレーキが効いている適用状態にもかかわらず車両が動き始め、再度、適用制御の実行が必要となる状況。車両の停止状態が維持されるよう、適用制御の作動が再度実行される。なお、「車両が動き始めたこと」は、車輪速度Vwに基づいて判定される。従って、要求フラグFRは、車輪速度Vwに基づいて演算される。
(3)適用制御が実行された際に摩擦部材MSが高温であり、「熱緩み」の蓋然性が高い状況。ここで、「熱緩み」は、摩擦部材MSの温度変化に起因する締付力Faの低下である。摩擦部材MSが、高温状態にあって膨張している状態にて適用作動が終了された場合、摩擦部材MSの温度低下(即ち、摩擦部材MSの収縮)に伴って、締付力Faは徐々に減少していく(即ち、熱緩みの発生)。この熱緩みを補償するよう、再度、適用制御の作動が実行される。この場合、要求フラグFRは、摩擦部材MSの温度Tmに基づいて演算される。例えば、摩擦部材MSの温度Tmは、温度センサによって検出される。或いは、温度Tmは、制動状態に基づいて推定されてもよい。
ステップS210にて、実行フラグFJ、要求フラグFR、及び、通電量Ia(通電量センサIAの検出値)を含む各種信号が読み込まれる。実行フラグFJは、適用制御の実行の有無を表す制御フラグである。実行フラグFJは、「0」が「適用制御の非実行」を、「1」が「適用制御の実行」を、夫々表す。なお、実行フラグFJは、初期値として「0」に設定されている。要求フラグFRは、駐車ブレーキが効いている状態で締付力Faを増加する要求を指示するための制御フラグである。具体的には、要求フラグFRは、「0」が「増加要求無し」を、「1」が「増加要求有り」を、夫々表す。
ステップS220にて、実行フラグFJに基づいて、「適用制御が再度実行されている最中であるか、否か」が判定される。「FJ=1」の状態が継続され、適用制御が再度実行されている場合には、ステップS220は肯定され、処理はステップS250に進められる。一方、「FJ=0」の状態が継続され、適用制御の再度の実行が行われていない場合(即ち、適用制御の終了が継続されている場合)には、ステップS220は否定され、処理はステップS230に進められる。
ステップS230にて、要求フラグFR、及び、「再実行の許可/禁止」の状態に基づいて、「適用制御の再度の実行(再実行)が開始されるか、否か」が判定される。締付力Faの増加要求が存在せず、要求フラグFRが「0」のままである場合には、再実行の開始は判定されない。或いは、適用制御の再実行が既に禁止されている状態では、再実行の開始は判定されない。これらの場合、ステップS230は否定され、処理はステップS210に戻される。従って、適用制御の非実行状態が維持される(即ち、「FJ=0」の継続)。一方、適用制御の再実行が許可されている状態で、前回の演算周期で「FR=0」であり、今回の演算周期で「FR=1」に遷移した場合には適用制御の再実行開始が判定される。ステップS230が肯定され、処理はステップS240に進められる。ここで、ステップS230が満足される時点(該当する演算周期)にて、適用継続時間Tjの演算が開始され、実行フラグFJが「0」から「1」に切り替えられる。
ステップS240にて、適用制御(特に、今回の適用制御)が再度実行される。具体的には、図2、3を参照して説明したものと同様の処理が行われる。即ち、電気モータMTに正電圧が印加されることにより、電気モータMTが正転方向Daに駆動される。また、適用継続時間Tjが演算される。
ステップS250にて、ステップS140と同様の処理が行われる。即ち、ステップS250では、適用継続時間Tjに基づいて、「適用継続時間Tjが特定適用時間tm以上であるか、否か」が判定される。ここで、特定適用時間tmは、突入電流の影響を排除するための時間Tに係るしきい値であり、予め設定された所定値(定数)である。「Tj≧tm」の場合(即ち、突入電流期間を過ぎている場合)には、処理はステップS260に進められる。一方、「Tj<tm」の場合(即ち、突入電流期間である場合)には、ステップS240に進められる。つまり、「Tj<tm」が満足されている間は、ステップS260での通電量Iaと適用しきい量ixとの比較は行われず、通電量Iaが継続して通電され、電気モータMTが駆動される。
ステップS260にて、通電量Iaに基づいて、「(今回の)適用制御の再実行を終了するか、否か(終了判定)」が判定される。ステップS150と同様に、再実行の終了判定は、「通電量Iaが適用しきい量ix以上であるか、否か」に基づいて行われる。ここで、適用しきい量ixは、適用制御の終了判定用の通電量Iaに係るしきい値であって、予め設定された所定値(定数)である。「Ia<ix」であり、ステップS260が否定される場合には、処理はステップS240に進められ、適用制御の再実行が継続される。即ち、電気モータMTへの通電が継続され、通電量Iaが増加されることによって、締付力Faが増加される。一方、「Ia≧ix」であり、ステップS260が肯定される場合には、電気モータMTへの通電が停止され、適用制御(特に、再度の実行)が終了される。このとき(ステップS260が満足された時点であって、適用制御の再度の実行が終了される時点)の通電量Iaの値(大きさ)が、最終通電量Ieとして、記憶され、設定される。換言すれば、最終通電量Ieは、「Tj<tm」の期間(即ち、突入電流期間)を除いた場合における通電量Iaの最大値である。ステップS260の終了判定が満足される際には、実行フラグFJが「1」から「0」に切り替えられる。そして、処理はステップS270に進められる。
ステップS270にて、次回の適用制御の再実行(即ち、再作動)の要否が判定される。具体的には、ステップS270では、最終通電量Ieに基づいて、「最終通電量Ieが第1判定しきい量iy以上であるか、否か」が判定される。該判定が「禁止判定」と称呼される。第1判定しきい量iyは、次回の適用制御の「許可/禁止」を判定するための最終通電量Ieに対応するしきい値であり、予め設定された所定値(定数)である。例えば、第1判定しきい量iy(所定値)は、適用しきい量ixよりも大きい値として設定される。
「Ie<iy」であり、ステップS270の禁止判定が否定される場合には、処理はステップS280に進められる。そして、ステップS280にて、次回の適用制御の再度の実行は許可状態にされる。一方、「Ie≧iy」であり、ステップS270の禁止判定が肯定される場合には、処理はステップS290に進められる。そして、ステップS290にて、次回の適用制御の再実行が禁止される。つまり、ステップS290の禁止処理が実行されると、解除制御が実行されるまでは(即ち、電気モータMTが逆転方向Dbに駆動され、駐車ブレーキが一旦解除されるまでは)、締付力Faの増加要求があっても、適用制御は再度実行されることはない。
電動駐車ブレーキ装置EPでは、「Tj<tm」が満足されていない間(即ち、突入電流期間)は、通電量Iaと適用しきい量ixとの比較が行われないので、適用制御の終了判定は行われず、通電量Iaが増加され続ける。加えて、セルフロックする動力変換機構HNが採用されるため、電気モータMTが逆転駆動されない限り(上記熱緩みの場合等を除き)、基本的には締付力Faは増加されるのみである。このため、適用制御の再作動(特に、その繰り返し)において、突入電流期間中の電力供給によって締付力Faが過大なる状況が生じ得る。そこで、電動駐車ブレーキ装置EPでは、「次回の適用制御の再実行が行われたとすると、その終了時に過大な締付力Faが生じるか、否か」の予測判定(即ち、ステップS270の禁止判定)が行われる。該予測判定には、状態変数として、終了通電量Ie(適用制御の終了時点の通電量Iaであり、突入電流期間を除く、通電量Iaの最大値)が採用される。これは、締付力Faは、通電量Iaに対して相関があり、通電量Iaの増加に応じて増加することに基づく。
終了通電量Ieが第1判定しきい量iy未満の場合には、締付力Faが過剰になることはないので、次回の適用制御の再実行は許可される。一方、終了通電量Ieが第1判定しきい量iy以上の場合には、締付力Faが過大になる蓋然性が高いので、次回の適用制御の再実行は禁止される。ここで、第1判定しきい量iyは、過剰な締付力Faの発生を予測するためのしきい値である。例えば、第1判定しきい量iyは、適用しきい量ixよりも大きい値として予め設定される。「iy>ix」として設定されることで、適用制御において締付力Faが過不足なく適切に確保され得る。
例えば、「Tj≧tm」が満足された時点で「Ia<ix」であれば、該時点から通電量Iaが増加され、その後に「Ia≧ix」の条件が成立した時点で適用制御が終了される。この状況では、終了通電量Ieは、適用しきい量ixに略一致しているので、禁止判定は否定され、適用制御の再実行は許可されたままにされる。終了通電量Ieが然程大きくはなっていない状況では(例えば、終了通電量Ieが適用しきい量ix未満の場合には)、締付力Faは不必要に増加されていない。このため、再実行の終了後に、再度、適用制御が実行されたとしても、過大な締付力Faは生じないので、次回の再実行は許可される。
しかしながら、「Tj≧tm」が満足されると同時に適用制御が終了されるような場合には、終了時点で、既に過剰な締付力Faが発生している蓋然性が高い。従って、終了通電量Ie(適用制御の終了時点での通電量Iaの大きさ)が第1判定しきい量iy以上である場合には、適用制御の再実行が禁止され、これ以上には締付力Faが増加されないようにされる。この再実行の禁止処理により、適用制御(即ち、再作動)が何度も繰り返されることに起因する過大な締付力Faの発生が回避され得る。
<再適用制御の第1処理例の動作>
図5の時系列線図(時間Tの遷移に対する状態量の変化を表す線図)を参照して、再適用制御の第1処理例の動作について説明する。図5(a)が、禁止判定が否定される場合(次回の再実行許可)の動作に、図5(b)が、禁止判定が肯定される場合(次回の再実行禁止)の動作に、夫々対応している。
先ず、図5(a)を参照して、ステップS270の禁止判定が否定され、ステップS280の許可処理が行われる場合(即ち、次回の適用制御の実行が許可される場合)について説明する。時点u0までは、適用制御は、非実行、且つ、再実行許可の状態であり、実行フラグFJは「0」に維持されている。電気モータMTへの通電は停止されており、動力変換機構HNのセルフロックによって、駐車ブレーキの適用状態が維持されている。
時点u0にて、締付力Faの増加が要求され、今回の適用制御の再実行が開始される。電気モータMTに正の電圧が印加され、電気モータMTの正転方向Daの駆動が開始される。再実行が始まる時点u0から、適用継続時間Tjの演算が開始される。また、時点u0にて、実行フラグFJが「0」から「1」に変更される。
時点u0の直後、突入電流によって、通電量Iaは値ibまで急激に増加され、その後、通電量Iaは減少される。減少していた通電量Iaは、時点u1にて反転し、徐々に増加される。適用継続時間Tjが特定適用時間tm未満の場合には、ステップS250の処理は否定されるので、時点u0(開始時点)から時点u2(特定時点)までの期間は、ステップS260の終了判定(即ち、通電量Iaと適用しきい量ixとの大小比較)は行われない。このため、通電量Iaと適用しきい量ixとの大小に関係なく、通電量Iaは継続して供給され、電気モータMTは駆動され続ける。
開始時点u0から特定適用時間tmを経過した特定時点u2の後は、ステップS260の終了判定が行われる。時点u2では、通電量Iaは適用しきい量ix未満であるため、終了判定は否定され、通電量Iaは順次増加される。時点u3にて、通電量Iaが適用しきい量ixに達し、終了判定が肯定される。時点u3にて、通電量Iaが、終了通電量Ieとして記憶(設定)された後に、適用制御が終了され、電気モータMTの駆動が停止される。ここで、時点u3(適用制御の再実行の終了時点)における終了通電量Ieは、「Tj<tm」の突入電流期間を除いた場合の通電量Iaの最大値ということができる。例えば、時点u3にて、「Ia=ix」である場合には、「Ie=ix」が設定される。
図5(a)に例示する状況では、再度の適用制御の終了時点u3では、通電量Ia(即ち、終了通電量Ie)は必要以上に増大されていない(例えば、最終通電量Ieは、適用しきい量ixと略同じである)。従って、適用制御が再度実行されても締付力Faが過大となることはない。このため、最終通電量Ieが第1判定しきい量iy未満である場合には、次回の適用制御の再実行が許可される。
次に、図5(b)を参照して、ステップS270の禁止判定が肯定され、ステップS290の禁止処理が行われる場合(即ち、次回の適用制御の実行が禁止される場合)について説明する。再実行の許可時と同様に、時点v0までは、適用制御は非実行、且つ、再実行許可の状態にあり、電気モータMTは非駆動状態であるが、動力変換機構HNのセルフロックによって、駐車ブレーキの適用状態が維持されている。
時点v0にて、締付力Faの増加が要求され、今回の適用制御の再実行が開始される。電気モータMTに正の電圧が印加され、電気モータMTの正転方向Daに駆動される。再実行の開始時点v0から、適用継続時間Tjが演算されると同時に、実行フラグFJが「0」から「1」に変更される。
時点v0の直後、突入電流の影響により、通電量Iaは急激に増加される。突入電流の影響は徐々に緩和されていくので、通電量Iaは、減少された後に、時点v1からは再び増加される。時点v2にて、通電量Iaは適用しきい量ixに達する。適用制御では「Tj<tm」の期間は終了判定が行われないので、通電量Iaは、適用しきい量ixを超えても増加され続ける。
時点v3にて、適用継続時間Tjが特定適用時間tmに達して終了判定が実行される。時点v3では、既に通電量Iaは適用しきい量ixを超えているので、終了判定は直ちに肯定され、適用制御の再実行は終了される。つまり、適用制御では、時点v3にて、終了判定が初めて可能となると同時に終了判定が肯定される(即ち、終了時点と特定時点とが一致している)。適用制御の終了の際に時点v3における通電量Iaが、最終通電量Ieとして記憶された後に、電気モータMTへの電圧印加が停止され、その駆動が終了される。最終通電量Ieは第1判定しきい量iy以上であるので、再作動の終了時点v3にて、次回以降の適用制御の再作動は禁止される。これにより、駐車ブレーキが解除されるまでは、締付力Faの増加要求が指示されても適用制御は再実行されない。
図5(b)に例示する状況では、再度の適用制御の終了時点v3では、通電量Ia(即ち、最終通電量Ie)は、適用しきい量ixを超過し、必要以上に増大されている。該状態で適用制御が再度実行されると、過剰な締付力Faが発生する蓋然性が高い。従って、最終通電量Ieが第1判定しきい量iy以上である場合には、次回の適用制御の再実行(再作動)が禁止される。これにより、適用制御の再実行の繰り返しによる過大な締付力Faの発生が好適に回避され得る。
<再適用制御の第2の処理例>
図6のフロー図を参照して、再適用制御の第2の処理例について説明する。第1の処理例では、次回の適用制御の再実行について、「許可/禁止」の判断(即ち、過大な締付力Faの発生予測)が、適用制御の再実行が終了される時点での通電量Ia(即ち、最終通電量Ieであって、突入電流期間後の通電量Iaの最大値に相当)に基づいて実行された。第2の処理例では、予測判定の状態変数として、最終通電量Ieに代えて、突入電流期間内の通電量Iaの極小値Is(「極小通電量」という)が採用される。極小通電量Isは、突入電流によって、開始時点から増加された通電量Iaが、その後減少され、再度増加される際の局部的な最小値である。
第2の処理例では、第1の処理例に対して、今回の適用制御が再実行される際の極小通電量Isを記憶するステップS245が付け加えられる。また、第1の処理例のステップS270に代えて、極小通電量Isに応じて禁止判定を実行するステップS275が採用される。以下、第1の処理例との相違点を主に、第2の処理例について説明する。なお、第1の処理例と同じ符号が付された処理では、第2の処理例でも同様の処理が実行される。
ステップS210にて、実行フラグFJ、要求フラグFR、通電量センサIAの検出値である実際の通電量Ia等が読み込まれる。ステップS220にて、実行フラグFJに基づいて、「適用制御の再実行中であるか、否か」が判定される。ステップS220が肯定される場合には、処理はステップS250に進められる。一方、ステップS220は否定される場合には、処理はステップS230に進められる。
ステップS230にて、要求フラグFR、及び、「再実行の許可/禁止」の状態に基づいて、「適用制御(特に、今回の適用制御)の再実行が開始されるか、否か」が判定される。ステップS230が否定される場合には、処理はステップS210に戻され、適用制御の非実行状態が維持される(即ち、「FJ=0」の継続)。一方、ステップS230が肯定される場合には、処理はステップS240に進められる。ステップS230が初めて満足された時点にて、適用継続時間Tjの演算が開始され、実行フラグFJが「0」から「1」に変更される。
ステップS240にて、今回の適用制御の再実行が行われる。即ち、電気モータMTに正電圧が印加され、通電量Iaが供給される。これにより、電気モータMTが正転方向Daに駆動され、締付力Faが増加される。加えて、ステップS240では、適用継続時間Tjが演算される。
ステップS245にて、極小通電量Isが記憶される。極小通電量Isは、通電量Iaの時間Tについての変化において、減少状態から増加状態に遷移する際の値であり、局所的な最小値(即ち、極小値)である。極小通電量Isは、突入電流によって増加された通電量Iaが減少した後に増加する際に生じるので、突入電流期間において記憶される。極小通電量Isは、演算周期毎に、前回の通電量Iaと今回の通電量Iaとが比較されること(即ち、大小比較)によって決定される。換言すれば、通電量Iaが減少から増加に転じる時点の通電量Iaの値(大きさ)が、極小通電量Isとして記憶される。
ステップS250にて、適用継続時間Tjに基づいて、突入電流期間の判定が行われる。突入電流期間であり、ステップS250が否定される場合には、処理はステップS240に進められ、通電量Iaの供給は継続される。一方、突入電流期間を過ぎ、ステップS250が肯定される場合には、処理はステップS260に進められる。ステップS260にて、通電量Iaに基づいて終了判定が行われる。ステップS260が否定される場合には、処理はステップS240に進められ、通電量Iaの供給が継続される。そして、通電量Iaの増加に応じて、締付力Faが増加される。ステップS260が肯定される場合には、適用制御の再実行が終了される。電気モータMTへの電圧印加が「0」にされ、通電が停止される。同時に、実行フラグFJが「1」から「0」に変更される。
ステップS275にて、極小通電量Isに基づいて、次回の適用制御の再実行の要否が判定される。具体的には、ステップS275では、「極小通電量Isが第2判定しきい量iz以上であるか、否か」の禁止判定が行われる。ここで、極小通電量Isは、通電量Iaの極小値である。また、第2判定しきい量izは、次回の適用制御の「許可/禁止」を判定するための極小通電量Isに対応するしきい値(定数)であって、予め設定された所定値(定数)である。例えば、第2判定しきい量izは、適用しきい量ixよりも小さい値として設定され得る。「Is<iz」であり、ステップS275の禁止判定が否定される場合には、処理はステップS280に進められ、次回の適用制御の再度の実行は許可される。一方、「Is≧iz」であり、ステップS275の禁止判定が肯定される場合には、処理はステップS290に進められ、次回の適用制御の再実行が禁止される。該禁止処理によって、駐車ブレーキが一旦解除されるまでは、締付力Faが増加要求されても、適用制御は再度実行されない。
第2の処理例でも、第1の処理例と同様の効果を奏する。極小通電量Isは、適用制御の再実行前の締付力Faに相関し、該締付力Faが大きいほど、極小通電量Isは大きくなる特性を有する。従って、極小通電量Isが第2判定しきい量iz未満である場合には、再実行前の締付力Faが然程大きくはないので、次回の適用制御の再実行が行われたとしても締付力Faが過大になることはない。このため、「Is<iz」である場合には、次回の適用制御の再度の実行が許可される。一方、極小通電量Isが第2判定しきい量iz以上である場合には、今回の再実行前において、既に、或る程度の締付力Faが発生しているので、次回の適用制御の再実行が行われると、締付力Faが過剰となり得る。このため、「Is≧iz」である場合には、次回の適用制御の再度の実行が禁止される。これにより、適用制御の再実行の繰り返しによる過大な締付力Faの発生が抑制され得る。
<再適用制御の第2処理例の動作>
再び図5を参照して、再適用制御の第2処理例の動作について説明する。図5(a)(b)において、[ ]が付された記号が第2処理例に対応している。第1処理例と同様に、図5(a)が、次回の再度の実行が許可される動作に、図5(b)が、それが禁止される動作に、夫々対応している。
図5(a)を例に、ステップS275の禁止判定が否定される場合(即ち、次回の適用制御の実行が許可され場合)について説明する。時点u0にて、締付力Faの増加要求に応じて、適用制御の再実行が開始される。上述したように、再実行の開始時点u0にて、電気モータMTの正転駆動、適用継続時間Tjの演算、及び、実行フラグFJの変更が行われる。時点u0の直後、突入電流によって、通電量Iaは急増された後に減少される。そして、時点u1にて、通電量Iaは減少から増加に転じる。演算周期毎の通電量Iaの大小比較に基づいて、通電量Iaの増減が演算される。時点u1にて、通電量Iaが極小となったことが識別され、該時点u1の通電量Iaが、極小通電量Isとして記憶され、設定される。
通電量Iaは、時点u1以降、徐々に増加される。適用継続時間Tjが特定適用時間tm未満の場合にはステップS250の処理は否定され、ステップS260の終了判定は行われない。従って、実際の通電量Iaと適用しきい量ixとの大小関係に係らず、通電量Iaは継続して増加されていく。特定時点u2にて、終了判定が開始される。時点u2では、「Ia<ix」であるため、終了判定は否定され、通電量Iaは増加され続ける。時点u3にて、「Ia≧ix」となり、終了判定が肯定される。時点u3にて、適用制御が終了され、電気モータMTの駆動が停止されるとともに、極小通電量Isと第2判定しきい量izとが比較される。ここで、第2判定しきい量izは、適用しきい量ixよりも小さい値として予め設定されている。時点u3では、極小通電量Isは第2判定しきい量iz未満であるため、次回の適用制御の再実行が許可される。これは、極小通電量Isが相対的に小さい場合には、適用制御が再度実行されても締付力Faが過大となることはないことに基づく。
図5(b)を例に、禁止判定が肯定される場合(即ち、次回の適用制御の実行が禁止される場合)について説明する。時点v0にて、締付力Faの増加要求に応じて、適用制御の再実行が開始される。これに伴い、電気モータMTが正転駆動され、適用継続時間Tjが演算され、実行フラグFJが変更される。突入電流の影響により、通電量Iaは急増された後に減少される。そして、時点v1にて、通電量Iaは極小値となり、該時点v1の通電量Iaが、極小通電量Isとして記憶される。
時点v2にて、「Ia≧ix」となるが、適用継続時間Tjが特定適用時間tmに達していないので終了判定は実行されない。従って、電気モータMTへの電力供給は継続され、通電量Iaは増加される。時点v3にて、適用継続時間Tjが特定適用時間tmに到達し、終了判定が行われる。時点v3では、既に通電量Iaは適用しきい量ixを超えているので、直ちに適用制御が終了される。同時に、極小通電量Isが第2判定しきい量iz以上であることが判定され、次回以降の適用制御の再実行が禁止される。これにより、駐車ブレーキが解除されるまでは、締付力Faの増加要求が指示されても適用制御は再度実行されない。これは、極小通電量Isが相対的に大きい場合には、適用制御が再度実行されると締付力Faが過大となる蓋然性が高くなることに基づく。第1処理例と同様に、第2処理例でも、極小通電量Isに基づく再実行の禁止によって、再実行が繰り返されることに起因する過剰な締付力Faの発生が回避され得る。
<電動駐車ブレーキ装置EPの実施形態のまとめと作用・効果>
以下に、電動駐車ブレーキ装置EPの実施形態についてまとめる。
電動駐車ブレーキ装置EPは、電気モータMTを駆動することで車輪に設けられた回転部材KTと摩擦部材MSとの間に締付力Fa(即ち、回転部材KTに対する摩擦部材MSの押圧力)を発生して駐車ブレーキを効かせる。電気モータMTは、駐車コントローラECUによって駆動される。駐車コントローラECUは、駐車ブレーキを効かせる際に、電気モータMTに通電を開始する開始時点から特定適用時間tmを経過するまでは通電を行う。そして、コントローラECUは、特定適用時間tmの経過後は、電気モータMTの通電の程度を表す通電量Iaが適用しきい量ix未満の場合には通電を行うが、通電量Iaが適用しきい量ix以上の場合には通電を停止する。該制御(駐車ブレーキを効かせる制御)が適用制御である。
電動駐車ブレーキ装置EPでは、コントローラECUは、駐車ブレーキが効いている状態で締付力Faの増加要求がある場合には適用制御の再度の実行を行う。コントローラECUは、今回の再度の実行が終了される時点での通電量Ie(最終通電量)を演算(決定)する。そして、コントローラECUは、最終通電量Ieが第1判定しきい量iy未満である場合には次回の再度の実行を許可するが、最終通電量Ieが第1判定しきい量iy以上である場合には次回の再度の実行を禁止する。ここで、第1判定しきい量iyは、適用しきい量ixよりも大きい値として設定されるとよい。
電動駐車ブレーキ装置EPの適用制御では、開始時点から特定適用時間tmを経過するまでは、通電量Iaが増加され続ける。更に、電動駐車ブレーキ装置EPの動力変換機構HNにはセルフロックするものが採用されている。このため、適用制御の再度の実行(即ち、再作動)が繰り返されることによって、締付力Faが、再作動毎に増加され、過大になる状況が生じ得る。
電動駐車ブレーキ装置EPでは、最終通電量Ieに基づいて、次回の適用制御の再実行(再作動)の禁止判定が行われる。これは、締付力Faは通電量Iaの増加に応じて増加するので、適用制御の終了時点の通電量Ia(即ち、最終通電量Ie)によって、過大な締付力Faの発生予測(特に、次回の再実行における発生予測)が可能であることに基づく。最終通電量Ieが第1判定しきい量iy未満の場合には次回の適用制御の再実行が許可され、再作動は可能である。しかし、最終通電量Ieが第1判定しきい量iy以上の場合には次回の適用制御の再実行は禁止され、再作動は不可にされる。これにより、適用制御の再実行に繰り返しに起因する過大な締付力Faの発生が回避され得る。
なお、「Ia=ix」で適用制御は一旦終了されるが、この状態で再実行が要求される場合には、締付力Faが不足していることがあり得る。従って、適用制御の再実行によって、その終了時の締付力Faが更に増加されるよう、第1判定しきい量iyは、適用しきい量ixよりも大きく設定されることが望ましい。「iy>ix」に設定されることにより、増加要求後の締付力Faにおいて、その過不足が解消され、適正化が図られ得る。
また、コントローラECUは、今回の再実行(再作動)において、通電量Iaが増加した後の通電量Iaの極小値Is(極小通電量)を演算する。そして、コントローラECUは、極小通電量Isが第2判定しきい量iz未満である場合には、次回の再度の実行を許可するが、極小通電量Isが第2判定しきい量iz以上である場合には、次回の再度の実行を禁止する。ここで、第2判定しきい量izは、適用しきい量ixよりも小さい値として設定されるとよい。
上記同様に、急増された通電量Iaが減少から増加に転じる際の極小通電量Isによって、過大な締付力Faの発生予測(特に、次回の再実行における発生予測)が行われる。極小通電量Isが第2判定しきい量iz以上の場合には次回の適用制御の再実行は禁止されるため、適用制御の再実行に繰り返しにより締付力Faが過剰になることが抑制される。なお、極小通電量Isは、開始時点から特定適用時間tmを経過するまでの間に決定される。従って、第2判定しきい量izが或る程度大きい値として設定されると、過剰な締付力Faが許容されることになる。このため、第2判定しきい量izは、適用しきい量ixよりも小さく設定されることが望ましい。「iz<ix」の設定により、適正な締付力Faが確保され得る。
<他の実施形態>
以下、電動駐車ブレーキ装置EPの他の実施形態について説明する。他の実施形態でも、上記同様の効果(過剰な締付力Faの抑制)を奏する。
上記の実施形態では、駐車スイッチSWの操作に応じた電動駐車ブレーキ装置EPの作動について説明した。電動駐車ブレーキ装置EPの適用指示/解除指示は、駐車スイッチSWの操作に代えて自動で行われてもよい。電動駐車ブレーキ装置EPの作動が自動的に行われる状況が「自動モード」と称呼される。自動モードでは、例えば、車両が停止した際に、電動駐車ブレーキ装置EPが自動で適用指示が行われ、駐車制動力Fpが発生(付与)される。また、運転者によって、加速操作部材(アクセルペダル等)が操作され、操作量Apが「0(ゼロ)」から増加した際に、電動駐車ブレーキ装置EPが自動で解除指示が行われる。自動モードは、通信バスBSを介して、コントローラECUにて取得された車体速度Vx、加速操作量Apによって実行される。
上記の実施形態では、制動装置として、ティスク型ブレーキが採用された。これに代えて、制動装置として、ドラム型ブレーキが採用されてもよい。ドラム型ブレーキでは、摩擦部材MSとしてブレーキライニングが採用され、回転部材KTとしてブレーキドラムが採用される。なお、ブレーキライニングは、アクチュエータDNによって駆動されるブレーキシューに焼き付けられている。
EP…電動駐車ブレーキ装置、ECB…制動コントローラ、FR…要求フラグ(締付力Faの増加要求信号)、FJ…実行フラグ(適用制御の実行を表す信号)、SW…駐車スイッチ、BS…通信バス、KT…回転部材、MS…摩擦部材、DN…電動アクチュエータ、MT…電気モータ、ECU…駐車コントローラ(電動駐車ブレーキ用コントローラ)、MP…マイクロプロセッサ、DR…駆動回路、IA…通電量センサ(例えば、電流センサ)、Ia…通電量(通電の程度を表す状態量であり、例えば、電流値)、Ie…最終通電量、Is…極小通電量、ix…適用しきい量、iy…第1判定しきい量、iz…第2判定しきい量。


Claims (4)

  1. コントローラによって電気モータを駆動することで車輪に設けられた回転部材と摩擦部材との間に締付力を発生して駐車ブレーキを効かせる車両の電動駐車ブレーキ装置において、
    前記コントローラは、
    前記駐車ブレーキを効かせる際に、前記電気モータに通電を開始する開始時点から特定適用時間を経過するまでは前記通電を行い、前記特定適用時間の経過後は、前記通電の程度を表す通電量が適用しきい量未満の場合には前記通電を行い、前記通電量が前記適用しきい量以上の場合には前記通電を停止する適用制御を実行するとともに、
    前記コントローラは、
    前記駐車ブレーキが効いている状態で前記締付力の増加要求がある場合には前記適用制御の再度の実行を行い、
    今回の前記再度の実行が終了される時点での前記通電量が第1判定しきい量以上である場合には次回の前記再度の実行を禁止する、車両の電動駐車ブレーキ装置。
  2. 請求項1に記載の車両の電動駐車ブレーキ装置において、
    前記第1判定しきい量は、前記適用しきい量よりも大きい値として設定される、車両の電動駐車ブレーキ装置。
  3. コントローラによって電気モータを駆動することで車輪に設けられた回転部材と摩擦部材との間に締付力を発生して駐車ブレーキを効かせる車両の電動駐車ブレーキ装置において、
    前記コントローラは、
    前記駐車ブレーキを効かせる際に、前記電気モータに通電を開始する開始時点から特定適用時間を経過するまでは前記通電を行い、前記特定適用時間の経過後は、前記通電の程度を表す通電量が適用しきい量未満の場合には前記通電を行い、前記通電量が前記適用しきい量以上の場合には前記通電を停止する適用制御を実行するとともに、
    前記コントローラは、
    前記駐車ブレーキが効いている状態で前記締付力の増加要求がある場合には前記適用制御の再度の実行を行い、
    今回の前記再度の実行において、前記通電量が増加した後の前記通電量の極小値が第2判定しきい量以上である場合には、次回の前記再度の実行を禁止する、車両の電動駐車ブレーキ装置。
  4. 請求項3に記載の車両の電動駐車ブレーキ装置において、
    前記第2判定しきい量は、前記適用しきい量よりも小さい値として設定される、車両の電動駐車ブレーキ装置。
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