JP7338153B2 - ガスバリア性蒸着フィルム、ガスバリア性積層体、ガスバリア性包装材料、ガスバリア性包装材料、及びガスバリア性蒸着フィルムの製造方法 - Google Patents

ガスバリア性蒸着フィルム、ガスバリア性積層体、ガスバリア性包装材料、ガスバリア性包装材料、及びガスバリア性蒸着フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、食品、医薬品、などの包装材料や、ディスプレイ等の産業資材の封止材料として好適に使用できる、幅方向の酸素および水蒸気に対する安定したバリア性に優れたガスバリア性蒸着フィルムとそれの製造方法に関する。
食品、医薬品等の包装材料やディスプレイ等の産業資材の封止材料の分野では、内容物の変質を防止し、かつ機能や性質を維持できるように、温度、湿度などの影響を受けない、より高いガスバリア性を、安定して発揮し得るガスバリア性フィルムが求められ、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機蒸着膜の薄膜からなるガスバリア層とガスバリア性の塗膜層を積層したガスバリア性蒸着フィルムも開発されている。
無機蒸着膜は、蒸着工程における、原料ガスの分布、温度、圧力、被覆される樹脂フィルムの動きなどの蒸着時の環境に敏感である。
そのため、しばしば、幅が広く長いロール巻きされた樹脂フィルムに酸化ケイ素蒸着膜、あるいは酸化アルミニウム蒸着膜等の無機蒸着膜を積層すると、特に幅広の樹脂フィルムの場合に、幅方向の両端部において、樹脂フィルムの蒸着工程中の樹脂フィルムのばたつきによって、蒸着ムラや蒸着膜にミクロ的なクラックや蒸着膜と樹脂フィルムとの剥離が生じて、ガスバリア性能が低下する。
上記の端部でのばたつきは、フィルム幅が600mm以上の場合から生じ始め、生産性の点で有利なフィルム幅の、1200mmから3000mmの場合においても生じている。
上記のような幅方向の両端部にガスバリア性能低下が生じたガスバリア性蒸着フィルムからなる包装材料を原反として包装袋の製品を作製すると、個々の包装袋間でガスバリア性能に優劣が生じてしまい、安定したガスバリア性能の包装袋を製造し難いという問題がある。
ガスバリア性能のばらつきを抑える方法として、蒸着材料が気化してなる蒸気と反応ガスとの供給位置と方法、蒸着位置に関する装置的改良から、この問題を解決する方法が提供されている。(特許文献1)
また、ガスバリアフィルムから試料を複数採取して評価試料とし、水分と反応して腐食する腐食性金属層を有する水蒸気透過度評価セルを用いて、光学的評価方法によって評価した水蒸気透過度(WVTR)の標準偏差(σ)を利用してガスバリア性能の管理を行う方法が提案されている。(特許文献2)。
しかしながら、提案されている上述の技術は、装置構成が複雑であるか、管理手法が複数のステップで、かつ高度なスキルを必要とする。そこで、ガスバリア性能のばらつきの少ないガスバリア性蒸着フィルムとその効率的な製造方法が望まれている。
特に酸素バリア性はフィルムの幅方向の端部での劣化が大きいことから、フィルムの幅方向の端部での酸素バリア性の劣化制御が重要であり、そのばらつきが少ないことが求められている。
特開2013-234364号公報 WO2015/194557公報
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、樹脂フィルムからなる層と無機蒸着層を有するガスバリア性蒸着フィルムにおいて、ガスバリア性蒸着フィルムの幅方向端部でのばたつきによるガスバリア性能の劣化が少なく、幅方向のガスバリア性が均一なガスバリア性蒸着フィルム、および該ガスバリア性蒸着フィルムから作製されたガスバリア性積層体、ガスバリア性包装材料、ガスバリア性包装体、そして、該ガスバリア性蒸着フィルムの製造方法を提供することである。
上記課題を達成する為に、鋭意検討を進めた結果、樹脂フィルムの特定の酸素プラズマ処理面上に無機蒸着膜を積層することで、上記課題を解決することを見出した。
すなわち、本発明は、以下の好ましい態様をとる。
1. 樹脂フィルムの酸素プラズマ処理面に無機蒸着層が形成されたガスバリア性蒸着フィルムであって、
該酸素プラズマ処理面は、1~9Paの気圧下で、略一定距離でプラズマ電極が対向し、且つ、酸素プラズマがマグネットによって略等密度で保持されている空間を樹脂フィルムが連続的に通過して流れ、プラズマ電極間のバイアス電圧によって、該酸素プラズマを該樹脂フィルムの片面に、略垂直に衝突させることによって形成された面であり、
該ガスバリア性蒸着フィルムの、流れ方向と直交する幅方向の、2箇所の略端部および略中央部の、それぞれにおける、酸素透過度の平均値が、2.5cc/m2・atm・24h以下であり、水蒸気透過度の平均値が2.5g/m2・24h以下であり、
(略端部の酸素透過度の平均値)-(略中央部の酸素透過度の平均値)の値が、0.1cc/m2・atm・24h以上、1.2cc/m2・atm・24h以下であり、
(略端部の水蒸気透過度の平均値)-(略中央部の水蒸気透過度の平均値)の値が、0.1g/m2・24h以上、1.2g/m2・24h以下であることを特徴とする、該幅方向のガスバリア性が均一な、ガスバリア性蒸着フィルム。
2. 2箇所の前記略端部および略中央部のそれぞれにおける、酸素透過度の、最大値と最小値の差が、3cc/m2・atm・24h以下であり、標準偏差が、0.1cc/m2・atm・24h以上、0.9cc/m2・atm・24h以下であることを特徴とする、上記1に記載のガスバリア性蒸着フィルム。
3. 2箇所の前記略端部および略中央部のそれぞれにおける、水蒸気透過度の、最大値と最小値の差が、2.5g/m2・24h以下であり、標準偏差が、0.2g/m2・24h以上、0.7g/m2・24h以下であることを特徴とする、上記1または2に記載のガスバリア性蒸着フィルム。
4. 前記酸素プラズマ処理面と、前記無機蒸着層とが、インラインで、連続的に形成された面であることを特徴とする、上記1~3の何れかに記載のガスバリア性蒸着フィルム。
5. 前記無機蒸着層上に、さらに有機保護層が隣接して積層されていることを特徴とする、上記1~4の何れかに記載の、ガスバリア性蒸着フィルム。
6. 前記樹脂フィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする、上記1~5の何れかに記載の、ガスバリア性蒸着フィルム。
7. 前記樹脂フィルムが、バイオマス由来のポリエステルフィルムであることを特徴とする、上記1~5の何れかに記載の、ガスバリア性蒸着フィルム。
8. 前記樹脂フィルムが、リサイクルポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする、上記1~5の何れかに記載の、ガスバリア性蒸着フィルム。
9. 上記1~8の何れかに記載のガスバリア性蒸着フィルムからなる層と、シーラント
層とを有することを特徴とする、ガスバリア性積層体。
10. 上記9に記載のガスバリア性積層体から作製されたことを特徴とする、ガスバリア性包装材料。
11. 上記10に記載のガスバリア性包装材料から作製されたことを特徴とする、ガスバリア性包装体。
12. 1~9Paの気圧下で、略一定距離でプラズマ電極が対向し、且つ、酸素プラズマがマグネットによって略等密度で保持されている空間に樹脂フィルムを連続的に通過させ、プラズマ電極間のバイアス電圧によって、該酸素プラズマを該樹脂フィルムの片面に、略垂直に衝突させることによって酸素プラズマ処理面を形成する工程と、該酸素プラズマ処理面に蒸着法によって無機蒸着層を形成する工程とを、インラインで、連続的に行ってガスバリア性蒸着フィルムを作製することを特徴とする、ガスバリア性蒸着フィルムの製造方法であって、
該ガスバリア性蒸着フィルムの、流れ方向と直交する幅方向の、2箇所の略端部および略中央部の、それぞれにおける、酸素透過度の平均値が、2.5cc/m2・atm・24h以下であり、水蒸気透過度の平均値が2.5g/m2・24h以下であり、
(略端部の酸素透過度の平均値)-(略中央部の酸素透過度の平均値)の値が、0.1cc/m2・atm・24h以上、1.2cc/m2・atm・24h以下であり、
(略端部の水蒸気透過度の平均値)-(略中央部の水蒸気透過度の平均値)の値が、0.1g/m2・24h以上、1.2g/m2・24h以下であることを特徴とする、該幅方向のガスバリア性が均一なガスバリア性蒸着フィルムの製造方法。
本発明によって、樹脂フィルムからなる層と無機蒸着層を有し、ガスバリア性蒸着フィルムの幅方向端部でのばたつきによるガスバリア性能の劣化が少なく、幅方向の両端部と中央部とのガスバリア性の差が小さく、幅方向のガスバリア性が均一なガスバリア性蒸着フィルム、および該ガスバリア性蒸着フィルムから作製されたガスバリア性積層体、ガスバリア性包装材料、ガスバリア性包装体を提供することができる。
本発明のガスバリア性蒸着フィルムの一例を示す断面図である。 本発明のガスバリア性蒸着フィルムの別態様の一例を示す断面図である。 本発明のガスバリア性積層体の一例を示す断面図である。 本発明における酸素プラズマ処理面を形成する装置の一例を示す平面図である。 本発明における酸素プラズマ処理面を形成する装置の別態様の一例を示す平面図である。 本発明における無機蒸着層を形成する装置の一例を示す平面図である。 本発明のガスバリア性蒸着フィルムまたはガスバリア性積層体のガスバリア度の測定点の一例を示す平面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態のガスバリア性能のばらつきが改善されたガスバリア性蒸着フィルムについて詳しく説明する。なお、この実施例は、単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。
以下、本発明について図面を用いながら説明する。但し、本発明はこれら具体的に例示された形態や各種具体的に記載された構造に限定されるものではない。
なお、各図においては、解り易くする為に、部材の大きさや比率を変更または誇張して記載することがある。また、見易さの為に説明上不要な部分や繰り返しとなる符号は省略することがある。
<ガスバリア性蒸着フィルム>
図1に示したように、本発明のガスバリア性蒸着フィルム7は、酸素プラズマ処理済み樹脂フィルム4の酸素プラズマ処理面2の上に隣接して、無機蒸着層3を積層した構成を有する。
酸素プラズマ処理面2は、1~9Paの気圧下で、略一定距離で電極ローラー20と電極22a~cが対向し、且つ、酸素プラズマPがマグネット21によって略等密度で保持されている空間を樹脂フィルム1が連続的に通過して流れ、電極ローラー20と電極22a~cとの間のバイアス電圧によって、該酸素プラズマPを該樹脂フィルムの片面に、略垂直に衝突させることによって形成された面であることが好ましい。
本発明のガスバリア性蒸着フィルム7は、図2に示したように、必要に応じて、さらに、ガスバリア性被覆層および/またはプライマー層からなる有機保護層5を、無機蒸着層3上に隣接して積層した構成であってもよい。
本発明のガスバリア性蒸着フィルムは、無機蒸着層積層面が上記の特定の酸素プラズマ処理によって形成された酸素プラズマ処理面上に積層されているので、ガスバリア性蒸着フィルムの全域に亘って、無機蒸着層が酸素プラズマ処理面と強固に密着されている。
[ガスバリア性]
本発明のガスバリア性蒸着フィルムは、酸素透過度と水蒸気透過度が低くガスバリア性に優れ、特に、流れ方向(長さ方向)と直交する方向(幅方向)のガスバリア性が均一である。
上記の特徴は、ガスバリア性蒸着フィルムの幅が、1200mm~3000mmのような幅広の場合であっても発揮することができる。
幅方向のガスバリア性の均一性は、例えば、ガスバリア性蒸着フィルムの幅方向の2箇所の略端部およびそれらの中間点である略中央部の3点それぞれについて酸素透過度と水蒸気透過度とを測定して、示すことができる。
例えば、ロール巻きされたガスバリア性蒸着フィルムにおいて、幅方向の各幅端部から80mm程度までの内側の2箇所の略端部、およびそれらの中間点である略中央部の3点それぞれの酸素透過度と水蒸気透過度とを測定することができる。
そして、該3点それぞれの酸素透過度は、平均値が、0.3cc/m2・atm・24h以上、2.5cc/m2・atm・24h以下であることが好ましい。
該平均値が上記範囲よりも小さいガスバリア性蒸着フィルムをバランスよく安定して作製することは困難であり、上記範囲よりも大きい場合には、良好で均一で安定したガスバリア性を達成することが困難になり易い。
さらに、該3点それぞれの酸素透過度は、最大値と最小値の差が、0.05cc/m2・atm・24h以上、3cc/m2・atm・24h以下であることが好ましい。
該差が上記範囲よりも小さいガスバリア性蒸着フィルムをバランスよく安定して作製することは困難であり、上記範囲よりも大きい場合には、良好で均一で安定したガスバリア性を達成することが困難になり易い。
そしてまた、2箇所の略端部のそれぞれと、略中央部の間においては、(略端部の酸素透過度の平均値)-(略中央部の酸素透過度の平均値)の値が、0.1cc/m2・atm・24h以上、1.2cc/m2・atm・24h以下、であることが好ましい。
略端部のそれぞれと略中央部との平均値の差が上記範囲よりも小さいガスバリア性蒸着
フィルムをバランスよく安定して作製することは困難であり、上記範囲よりも大きい場合には、良好で均一で安定したガスバリア性を達成することが困難になり易い。
また、該3点それぞれの酸素透過度は、標準偏差が、0.1cc/m2・atm・24h以上、0.9cc/m2・atm・24h以下であることが好ましい。
該標準偏差が上記範囲よりも小さいガスバリア性蒸着フィルムをバランスよく安定して作製することは困難であり、上記範囲よりも大きい場合には、良好で均一で安定したガスバリア性を達成することが困難になり易い。
該3点それぞれの水蒸気透過度は、平均値が、0.3g/m2・24h以下、2.5g/m2・24h以下であることが好ましい。
該平均値が上記範囲よりも小さいガスバリア性蒸着フィルムをバランスよく安定して作製することは困難であり、上記範囲よりも大きい場合には、良好で均一で安定したガスバリア性を達成することが困難になり易い。
さらに、該3点それぞれの水蒸気透過度は、最大値と最小値の差が、0.05g/m2・24h以上、2.5g/m2・24h以下であることが好ましい。
該差が上記範囲よりも小さいガスバリア性蒸着フィルムをバランスよく安定して作製することは困難であり、上記範囲よりも大きい場合には、良好で均一で安定したガスバリア性を達成することが困難になり易い。
そしてまた、2箇所の略端部のそれぞれと、略中央部の間においては、(略端部の水蒸気透過度の平均値)-(略中央部の水蒸気透過度の平均値)の値が、0.1g/m2・24h以上、1.2g/m2・24h以下、であることが好ましい。
略端部のそれぞれと略中央部との平均値の差が上記範囲よりも小さいガスバリア性蒸着フィルムをバランスよく安定して作製することは困難であり、上記範囲よりも大きい場合には、良好で均一で安定したガスバリア性を達成することが困難になり易い。
また、該3点それぞれの水蒸気透過度は、標準偏差が、0.2g/m2・24h以上、0.7g/m2・24h以下であることが好ましい。
該標準偏差が上記範囲よりも小さいガスバリア性蒸着フィルムをバランスよく安定して作製することは困難であり、上記範囲よりも大きい場合には、良好で均一で安定したガスバリア性を達成することが困難になり易い。
すなわち、本発明のガスバリア性蒸着フィルムは、優れたガスバリア性を有し、幅広の場合であっても、幅方向2箇所の略端部および略中央部の3点間のガスバリア性の差が小さいことから、幅方向に亘って均一で優れている。
そして、このことによって、多数の、同等のガスバリア性を有する包装材料や包装体を作製することができる。
尚、水蒸気透過度は、JIS K7129法に準拠して、40℃、100%RH雰囲気下の測定条件で測定されるものであり、酸素透過度は、JIS K7126法に準拠して、23℃、90%RH雰囲気下の測定条件で測定されるものである。
[樹脂フィルム]
樹脂フィルムに含有される樹脂は、特に制限されるものではなく、公知の樹脂を用いて、樹脂フィルムを作製することができる。尚、本発明においては、樹脂シートを含めて樹脂フィルムと表記する。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETとも表記。)、ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTとも表記。)、ポリエチレンナフタレート(以下、PENとも
表記。)、ポリエチレンフラノエートなどのポリエステル系樹脂;ポリアミド樹脂6、ポリアミド樹脂66、ポリアミド樹脂610、ポリアミド樹脂612、ポリアミド樹脂11、ポリアミド樹脂12などのポリアミド系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのα-オレフィンの重合体などのポリオレフィン系樹脂等からなる樹脂フィルムを用いることができる。
上記の中でもポリエステル系樹脂が好ましく、そして、ポリエステル系樹脂の中でも、ポリエチレンテレフタレート系樹脂がより好ましい。
また、ポリエステル系樹脂としては、バイオマス由来のポリエステル系樹脂や、リサイクルポリエステル系樹脂を用いることもでき、特に、バイオマス由来のポリエチレンテレフタレート系樹脂や、リサイクルポリエチレンテレフタレート系樹脂を用いることが好ましい。
樹脂フィルムの厚さは、特に制限を受けるものではなく、酸素プラズマ処理や無機蒸着層の積層の耐えられるものであればよく、可撓性及び形態保持性の観点から、5μm以上、400μm以下が好ましく、5μm以上、200μm以下がより好ましく、5μm以上、100μm以下が更に好ましく、5μm以上、25μm以下が特に好ましい。樹脂フィルムの厚さが前記範囲内にあると、曲げやすい上に搬送中に破けることもなく、酸素プラズマ処理や無機蒸着層の積層の装置で取り扱いやすい。
樹脂フィルムの破断強度は、MD方向(流れ方向)で5kg/mm2以上、40kg/mm2以下が好ましく、TD方向(幅方向)で5kg/mm2以上、35kg/mm2以下が好ましい。
樹脂フィルムの破断伸度は、MD方向で50%以上、350%以下が好ましく、TD方向で50%以上、300%以下が好ましい。
樹脂フィルムの、150℃の温度環境下に30分放置した時の収縮率は、0.1%以上、5%以下が好ましい。
樹脂フィルムは、その製造工程において、またはその製造後に、その特性が損なわれない範囲において各種の添加剤を含有することができる。添加剤として、例えば、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、着色顔料などが挙げられる。添加剤の含有量は、樹脂フィルム中に、5質量%以上、50質量%以下が好ましく、5質量%以上、20質量%以下がより好ましい。
樹脂フィルムは、上記の樹脂を用いて、例えば、Tダイ法によってフィルム化することにより形成することができる。
例えば、樹脂を乾燥させた後、該樹脂の融点温度(Tm)以上の、Tm~Tm+70℃の温度に加熱された溶融押出機に供給して、樹脂組成物を溶融し、例えばTダイなどのダイよりシート状に押出し、押出されたシート状物を回転している冷却ドラムなどで急冷固化することにより樹脂フィルムを成形することができる。
溶融押出機としては、一軸押出機、二軸押出機、ベント押出機、タンデム押出機等を目的に応じて使用することができる。
このようにして得られた樹脂フィルムは2軸延伸されていることが好ましい。2軸延伸は従来公知の方法で行うことができる。例えば、上記のようにして冷却ドラム上に押し出された樹脂フィルムを、続いて、ロール加熱、赤外線加熱などで加熱し、縦方向に延伸して縦延伸フィルムとする。
この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。縦延伸は、通常、50℃以上、100℃以下の温度範囲で行われる。また、縦延伸の倍率は、フィルム用途の要求特性にもよるが、2.5倍以上、4.2倍以下とするのが好ましい。延伸倍率が2.5倍未満の場合は、樹脂フィルムの厚み斑が大きくなり易く、良好な樹脂フィルムを得ることが困難になり易い。
縦延伸された樹脂フィルムは、続いて横延伸、熱固定、熱弛緩の各処理工程を順次施して2軸延伸フィルムとなる。横延伸は、通常、50℃以上、100℃以下の温度範囲で行われる。横延伸の倍率は、この用途の要求特性にもよるが、2.5倍以上、5.0倍以下が好ましい。2.5倍未満の場合は樹脂フィルムの厚み斑が大きくなり良好な樹脂フィルムが得られにくく、5.0倍を超える場合は製膜中に破断が発生しやすくなる。
横延伸のあと、続いて熱固定処理を行うが、好ましい熱固定の温度範囲は、該樹脂のガラス転移温度(Tg)+70℃以上、融点温度(Tm)-10℃以下である。また、熱固定時間は1秒以上、60秒以下が好ましい。さらに熱収縮率の低滅が必要な用途については、必要に応じて熱弛緩処理を行ってもよい。
(ポリエチレンテレフタレート系樹脂)
ポリエチレンテレフタレート系樹脂とは、純粋なポリエチレンテレフタレート、またはポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂であり、ポリエチレンテレフタレート以外の樹脂を含んでいてもよく、ポリエチレンテレフタレートの原料とポリエチレンテレフタレート以外のポリエステル原料とからの共重合体を含んでいてもよい。
該共重合体のジカルボン酸単位は、テレフタル酸と、例えば、イソフタル酸等が挙げられ、それらの誘導体としては、それらのジカルボン酸の低級アルキルエステル、具体的には、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル及びブチルエステル等が挙げられる。
該共重合体のジオール単位は、エチレングリコールと、例えば、1,4-ブタンジオール等が挙げられる。
(ポリブチレンテレフタレート系樹脂)
ポリブチレンテレフタレート系樹脂は、純粋なポリブチレンテレフタレート(PBT)または、主成分としてPBTを含む樹脂である。PBTの含有率は、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましい。60質量%より少ないと、PBTとしての力学特性が不十分になり易い。
PBT系樹脂は、PBT以外のポリエステル樹脂を含んでいてもよい。PBT以外のポリエステル樹脂としては、PET、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)などのポリエステル樹脂のほか、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのジカルボン酸が共重合されたPBT樹脂や、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカーボネートジオール等のジオール成分が共重合されたPBT樹脂を挙げることができる。
PBTは、熱変形温度が高く、機械的強度、電気的特性にすぐれ、成型加工性も良いことなどから、食品などの内容物を収容する包装袋に用いると、レトルト処理を施す際に包装袋が変形したり、その強度が低下したりすることを抑制することができ、ナイロンフィ
ルムを含む場合と同様に、包装袋に耐突き刺し性を持たせることができる。さらには、インパクト強度や耐ピンホール性、絞り成形性にも優れる。
しかし、PBTは、高温高湿度環境下で加水分解しやすいため、レトルト処理後の密着強度とガスバリア性の低下を生じ易いが、ナイロンに比べて水分を吸収しにくいという特性を有する。
このため、PBTを含む層を包装用材料の外面に配置した場合であっても、包装袋の包装用材料間のラミネート強度の低下を抑制することができる。
このような性質を持つことによって、PBTを含有する樹脂フィルムは、レトルト包装袋用に、従来のPETフィルムとナイロンフィルムの貼り合せ包装材に好ましく置き換えることができる。
そして、PBTを含有するフィルムを用いた樹脂フィルムは、その組成から2つの態様に分けられる。
第1の態様に係る樹脂フィルムの層構成は、樹脂をキャスト法によって多層化して作製されたものであり、複数の単位層を含む多層構造部からなる。
第2の態様に係る樹脂フィルムは、PBTを主たる繰返し単位とするポリエステルを含む単一の層によって構成されている。
第1の態様においては、複数の単位層はそれぞれ、主成分としてPBTを含むことが好ましい。
例えば、複数の単位層におけるPBTの含有率は、それぞれ、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましい。
なお、複数の単位層においては、n番目の単位層の上にn+1番目の単位層が直接積層されている。すなわち、複数の単位層の間には、接着剤層や接着層が介在されていない。このようなPBTを含有する樹脂フィルムは、少なくとも10層以上、好ましくは60層以上、より好ましくは250層以上、更に好ましくは1000層以上の単位層を含む多層構造部からなる。
また、PBTを含有する樹脂フィルムは、PBTの共重合体であってもよい。ジカルボン酸成分は、テレフタル酸が90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上がより好ましく、98モル%以上がさらに好ましく、100モル%が最も好ましい。
そして、グリコール成分は、4-ブタンジオールが90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上がより好ましく、97モル%以上がさらに好ましい。
第2の態様においては、PBTを主たる繰返し単位とするポリエステルは、例えば、グリコール成分としての1,4-ブタンジオール、又はそのエステル形成性誘導体と、二塩基酸成分としてのテレフタル酸、又はそのエステル形成性誘導体を主成分とし、それらを縮合して得られるホモ、またはコポリマータイプのポリエステルを含む。
第2の構成に係るPBTの含有率は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
第2の態様に係るPBTを含有する樹脂フィルムは、PBT以外のポリエステル樹脂を30質量%以下の範囲で含んでいてもよい。ポリエステル樹脂を含むことにより、PBT結晶化を抑制することができ、ポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂フィルムの延伸加工性を向上させることができる。
PBTと配合するポリエステル樹脂としては、エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルを用いることができる。例えば、グリコール成分としてのエチレングリコール、二塩基酸成分としてのテレフタル酸を主成分としたホモタイプを好ましく用いることができる。
第2の態様に係るPBTを含有する樹脂フィルムは、チューブラー法又はテンター法により製造することができる。チューブラー法又はテンター法により、未延伸原反を縦方向及び横方向を同時に延伸してもよく、若しくは、縦方向及び横方向を逐次延伸してもよい。このうち、チューブラー法は、周方向の物性バランスが良好な延伸フィルムを得ることができ、特に好ましく採用される。
(バイオマス由来のポリエステル系樹脂)
バイオマス由来のポリエステル系樹脂は、ジオール単位とジカルボン酸単位とからなるポリエステルを主成分として含んでなる樹脂であり、ジオール単位がバイオマス由来のエチレングリコール単位、ジカルボン酸単位が化石燃料由来のジカルボン酸単位であるポリエステル構造部を、樹脂中に、50~95質量%、好ましくは50~90質量%含んでなるものである。
ここで、バイオマス由来のポリエステル系樹脂は、ジオールとしてバイオマス由来のエチレングリコールのみを用いて合成したポリエステルと、ジオールとして化石燃料由来のエチレングリコールのみを用いて合成したポリエステルとの混合物であってもよく、ジオールとして、バイオマス由来のエチレングリコールと化石燃料由来のエチレングリコールとを混合して用いて合成した共重合体であってもよい。
バイオマス由来のエチレングリコールは、従来の化石燃料由来のエチレングリコールと化学構造が同じであるため、バイオマス由来のエチレングリコールを用いて合成されたポリエステルのフィルムは、従来の化石燃料由来のポリエステルフィルムと機械的特性等の物性面で遜色がない。したがって、本発明における、樹脂フィルムおよびそれを用いた酸素プラズマ処理済み樹脂フィルム、ガスバリア性蒸着フィルム、ガスバリア性積層体、ガスバリア性包装材料、ガスバリア性包装体は、カーボンニュートラルな材料からなる層を有するため、従来の化石燃料から得られる原料のみから製造された場合に比べて、化石燃料の使用量を大幅に削減することができ、環境負荷を減らすことができる。
バイオマス由来のエチレングリコールは、サトウキビ、トウモロコシ等のバイオマスを原料として製造されたエタノール(バイオマスエタノール)を原料としたものである。
例えば、バイオマスエタノールを、従来公知の方法により、エチレンオキサイドを経由してエチレングリコールを生成する方法等により、バイオマス由来のエチレングリコールを得ることができる。また、市販のバイオマスエチレングリコールを使用してもよく、例えば、インディアグライコール社から市販されているバイオマスエチレングリコールを好適に使用することができる。
ポリエステルのジカルボン酸単位は、化石燃料由来のジカルボン酸を使用する。ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、およびそれらの誘導体を使用することができる。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸及びイソフタル酸等が挙げられ、芳香族ジカルボン酸の誘導体としては、芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル、具体的には、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル及びブチルエステル等が挙げられる。これらの中でも、テレフタル酸が好ましく、芳香族ジカルボン酸の誘導体としては、ジメチルテレフタレートが好ましい。
バイオマス由来のポリエステルフィルムを形成する樹脂組成物中に5~45質量%の割合で含まれてもよい非バイオマス由来のポリエステルとしては、化石燃料由来のポリエステル、化石燃料由来のポリエステル製品のリサイクルポリエステル、バイオマス由来のポリエステル製品のリサイクルポリエステル等が挙げられる。
バイオマス由来のポリエステル樹脂は、放射性炭素(14C)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量が、ポリエステル中の全炭素に対して10~19%含まれることが好ましい。大気中の二酸化炭素には、14Cが一定割合(105.5pMC)で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物、例えばトウモロコシ中の14C含有量も105.5pMC程度であることが知られている。また、化石燃料中には14Cが殆ど含まれていないことも知られている。
したがって、ポリエステル中の全炭素原子中に含まれる14Cの割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出することができる。
本発明においては、ポリエステル中の14Cの含有量をP14Cとした場合の、バイオマス由来の炭素の含有量Pbioを、以下のように定義する。
bio(%)=P14C/105.5×100
ポリエチレンテレフタレートを例にとると、ポリエチレンテレフタレートは、2炭素原子を含むエチレングリコールと8炭素原子を含むテレフタル酸とがモル比1:1で重合したものであるため、エチレングリコールとしてバイオマス由来のもののみを使用した場合、ポリエステル中のバイオマス由来の炭素の含有量Pbioは20%となる。本発明においては、樹脂フィルムのPbioは、10~19%であることが好ましい。10%未満であると、カーボンオフセット材料としての効果が乏しくなる。一方、上記したように、Pbioは20%に近いほど好ましいが、フィルムの製造工程上の問題や物性面から、樹脂中には上記したようなリサイクルポリエステルや添加剤を含む方が好ましいため、実際の上限は18%程度となる。
(リサイクルポリエステル系樹脂)
リサイクルポリエステルとは、ポリエステル系樹脂製品を原材料として、メカニカルリサイクルにより製造されたポリエステル系樹脂である。
リサイクルポリエステル系樹脂の中でもリサイクルPET系樹脂が好ましい。
ここで、メカニカルリサイクルとは、一般に、回収されたPETボトル等の樹脂製品を粉砕、アルカリ洗浄して樹脂製品の表面の汚れ、異物を除去した後、高温・減圧下で一定時間乾燥して樹脂の内部に留まっている汚染物質を拡散させ除染を行い、汚れを取り除き、再び原料樹脂に戻す方法である。
以下、本明細書においては、例えば、リサイクルして得られたポリエステル系樹脂やPET系樹脂をリサイクルポリエステル系樹脂、リサイクルPET系樹脂と表記することに対して、リサイクル品でないポリエステル系樹脂やPET系樹脂をヴァージンポリエステル系樹脂、ヴァージンPET系樹脂のように表記する。
リサイクルポリエステル系樹脂としては、具体的には、PETボトルをメカニカルリサイクルによりリサイクルしたリサイクルPET系樹脂が挙げられ、このリサイクルPET系樹脂は、ジオール単位がエチレングリコール由来であり、ジカルボン酸単位がテレフタル酸を種として含み、さらにはイソフタル酸を含むことができる。
樹脂フィルムに含まれるPETのうち、イソフタル酸成分の含有量は、PETを構成する全ジカルボン酸成分中に、0.5モル%以上、5モル%以下であることが好ましく、1.0モル%以上、2.5モル%以下であることがより好ましい。
イソフタル酸成分の含有量が0.5モル%未満であると柔軟性が向上しない場合があり、一方、5モル%を超えるとPETの融点が下がり耐熱性が不十分となる場合がある。
なお、PETは、通常の化石燃料由来のPETの他、バイオマスPETであっても良い
。「バイオマスPET」とは、ジオール成分としてバイオマス由来のエチレングリコールを含み、ジカルボン酸成分として化石燃料由来のジカルボン酸を含むものである。このバイオマスPETは、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール成分とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸成分とするPETのみで形成されていてもよいし、バイオマス由来のエチレングリコールおよび化石燃料由来のジオールをジオール成分とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸成分とするPETで形成されていてもよい。
PETは、上記したジオール成分とジカルボン酸成分とを重縮合させる従来公知の方法により得ることができる。
具体的には、上記のジオール成分とジカルボン酸成分とのエステル化反応および/またはエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法、または有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法などによって製造することができる。
上記PETを製造する際に用いるジオール成分の使用量は、ジカルボン酸またはその誘導体100モルに対し、実質的に等モルであるが、一般には、エステル化および/またはエステル交換反応および/または縮重合反応中の留出があることから、0.1モル%以上、20モル%以下過剰に用いられる。
また、重縮合反応は、重合触媒の存在下で行うことが好ましい。重合触媒の添加時期は、重縮合反応以前であれば特に限定されず、原料仕込み時に添加しておいてもよく、減圧開始時に添加してもよい。
PETボトル等をリサイクルしたPETは、さらに重合度を高めたり、環状三量体などのオリゴマーを除去したりするため、必要に応じて固相重合を行ってもよい。
具体的には、固相重合は、PETをチップ化して乾燥させた後、100℃以上、180℃以下の温度で1時間から8時間程度加熱してPETを予備結晶化させ、続いて、190℃以上、230℃以下の温度で、不活性ガス雰囲気下または減圧下において1時間~数十時間加熱することにより行われる。
リサイクルPETに含まれるPETの極限粘度は、0.58dl/g以上0.80dl/g以下であることが好ましい。極限粘度が0.58dl/g未満の場合は、樹脂フィルムとしてPETフィルムに要求される機械特性が不足する可能性がある。他方、極限粘度が0.80dl/gを超えると、フィルム製膜工程における生産性が損なわれる場合がある。なお、極限粘度は、オルトクロロフェノール溶液で、35℃において測定される。
リサイクルPETは、リサイクルPETを50重量%以上、95重量%以下の割合で含むことが好ましく、リサイクルPETの他、ヴァージンPETを含んでいてもよい。
ヴァージンPETとしては、上記したようなジオール成分がエチレングリコールであり、ジカルボン酸成分がテレフタル酸およびイソフタル酸を含むPETであってもよく、また、ジカルボン酸成分がイソフタル酸を含まないPETであってもよい。また、樹脂フィルムは、PET以外のポリエステルを含んでいてもよい。例えば、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸およびイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸以外にも、脂肪族ジカルボン酸等が含まれていてもよい。
脂肪族ジカルボン酸としては、具体的には、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸ならびにシクロヘキサンジカルボン酸などの、通常炭素数が2以上、40以下の鎖状または脂環式ジカルボン酸が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸の誘導体としては、上記脂肪族ジカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルおよびブチルエステルなどの低級アルキルエステル、無水コハ
ク酸などの上記脂肪族ジカルボン酸の環状酸無水物が挙げられる。これらの中でも、脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、コハク酸、ダイマー酸またはこれらの混合物が好ましく、コハク酸を主成分とするものが特に好ましい。脂肪族ジカルボン酸の誘導体としては、アジピン酸およびコハク酸のメチルエステル、またはこれらの混合物がより好ましい。
このようなPETから構成される樹脂フィルムは、単層であってもよく、多層であってもよい。
樹脂フィルムに上記したようなリサイクルPETを用いる場合は、最外層である上層、中層、シーラント層に近い下層の3層を備えた樹脂基材としてもよい。
この場合、中層をリサイクルPETのみから構成される層またはリサイクルPETとヴァージンPETとの混合層とし、上層および下層は、ヴァージンPETのみから構成される層とすることが好ましい。
このように、上層および下層にヴァージンPETのみを用いることにより、リサイクルPETが樹脂フィルムの表面または裏面から表出することを防止することができる。このため、積層体の衛生性を確保することができる。
また、樹脂フィルムは、上記における上層を設けることなく、中層および下層の2層を備えた樹脂フィルムとしてもよい。さらに、樹脂フィルムは、下層を設けることなく、上層および中層の2層を備えた樹脂フィルムとしてもよい。これらの場合においても、中層をリサイクルPETのみから構成される層またはリサイクルPETとヴァージンPETとの混合層とし、上層および下層は、ヴァージンPETのみから構成される層とすることが好ましい。
リサイクルPETとヴァージンPETとを混合して一つの層を成形する場合には、別々に成形機に供給する方法、ドライブレンド等で混合した後に供給する方法などがある。中でも、操作が簡便であるという観点から、ドライブレンドで混合する方法が好ましい。
なお、ヴァージンPETは、化石燃料ポリエチレンテレフタレート(以下化石燃料PETとも記す)であってもよく、バイオマスPETであってもよい。ここで、「化石燃料PET」とは、化石燃料由来のジオールをジオール成分とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸成分とするものである。また、リサイクルPETは、化石燃料PETを用いて形成されたPET樹脂製品をリサイクルして得られるものであってもよく、バイオマスPETを用いて形成されたPET樹脂製品をリサイクルして得られるものであってもよい。
[酸素プラズマ処理]
酸素プラズマ処理によって、樹脂フィルムの表面は、微細表面形状や、化学的な結合状態や官能基種等の化学的性状が変化して、すなわち、樹脂フィルムの表面物性が物理的ないしは化学的に改質処理されて、樹脂フィルム層と無機蒸着層間の密着性が高くなっている。
そのため、蒸着工程中とその後のガスバリア性蒸着フィルムの搬送時に、ガスバリア性蒸着フィルムの幅方向の両端部でばたつきが起きても、樹脂フィルム層と無機蒸着層の挙動の違いによる両者の積層界面からの蒸着層内のクラック発生が抑えられ、両端部でのガスバリア性能のばらつきが減少する。
しかしながら、該酸素プラズマ処理面の詳細な化学的な組成については分析する術がない。
酸素プラズマ処理は、1~9Paの気圧下で行われることが好ましい。上記範囲の気圧
で酸素プラズマ処理を行うことにより、安定して酸素プラズマ処理面を樹脂フィルムに形成することができる。
さらに、無機蒸着層との密着性を上げる酸素プラズマ処理を行う為には、略一定距離間隔で対向して設置されたプラズマ電極の間の、マグネットによって酸素プラズマが保持された空間上を、樹脂フィルムを連続的に通過させることが好ましい。
ここで、プラズマはマグネットによって略等密度で保持されていることが好ましく、また、酸素プラズマは樹脂フィルムの片面に略垂直に衝突することが好ましい。
さらに、酸素プラズマを樹脂フィルムの片面に略垂直に衝突させるには、対のプラズマ電極間のバイアス電圧の方向が、樹脂フィルムに対して略垂直であることが好ましい。
本発明においては、樹脂フィルムの片面にのみ、酸素プラズマ処理を行う。
<酸素プラズマ処理装置>
図4は、本発明において、酸素プラズマ処理する為に好適なプラズマ処理装置の一例である、ローラー式連続プラズマ処理装置10の構成を模式的に示す平面図である。
この構成をとることで、酸素プラズマからなるプラズマPの形成が容易となって、かつ長時間安定して放電及び酸素プラズマ処理を行うことが可能になり、樹脂フィルム1へのダメージ(電気的なチャージアップの発生、エッチング、着色)や、酸素プラズマ処理面2での発生応力を低減できる。また、樹脂フィルム1へのイオンや酸素プラズマの打ち込み効果を調整することで、良好な高密着性の酸素プラズマ処理面2の形成が可能となる。さらに、酸素プラズマ処理速度を向上することもできる。
ローラー式連続プラズマ処理装置10には、図4に示すように、減圧チャンバ12内に隔壁35a、35bがあり、減圧チャンバ12内を、樹脂フィルム搬送室12A、プラズマ処理室12Bに区分けしている。
樹脂フィルム1は、樹脂フィルム搬送室12A内の巻き出しロール13から、ガイドローラー14aを経由して、隔壁35aと電極ローラー20との間の例えば矩形の穴を通って、プラズマ処理室12Bに移動し、電極ローラー20の表面に巻かれ、片面が酸素プラズマ処理され、ガイドローラー14bを経由して、ローラー式連続プラズマ処理装置10の外へと搬送される。
酸素プラズマ処理を終えて得られた酸素プラズマ処理済み樹脂フィルム4は、一旦巻き取られて取り出されてもよく、連続してインラインで、大気に触れさせずに、無機蒸着層3の形成を行ってもよい。
ここで、図示はされていないが、必要に応じて、さらに、張力ピックアップローラーを設け、張力を調整しながら、搬送することもできる。
ローラー式連続プラズマ処理装置10は、プラズマ処理手段として、プラズマ供給手段と磁気形成手段を含む。
そして、プラズマ供給手段は、プラズマ形成ガス供給装置18とそれに接続されたプラズマ形成ガス供給ノズル23(以下、供給ノズル23とも記載する。)、プラズマ電極である電極ローラー20と電極22とを含み、磁気形成手段は、マグネット21を含む。
電極22a~c、供給ノズル23a~cとマグネット21は、電極ローラー20の外周近傍の表面に沿って、電極ローラー20の一部を覆うように配置され、且つ、電極ローラー20、電極22a~c、供給ノズル23a~cおよびマグネット21との間には空隙が形成されるように配置されている。
さらに、図示はされていないが、電極22と供給ノズル23とマグネット21は、電極ローラー20の表面に巻かれた樹脂フィルム1の全面をプラズマ処理できるように、電極
ローラー20の軸方向に、電極22a~c、供給ノズル23a~cとマグネット21と同様に、複数列配置することができる。
樹脂フィルム1が電極ローラー20の表面に巻かれている状態においては、一方の電極である電極ローラー20と樹脂フィルム1との間隔は略ゼロに固定され、マグネット21と電極ローラー20との間隔は略一定距離に保たれている。
さらに、マグネット21、電極22a~c、供給ノズル23a~cは、樹脂フィルム1の酸素プラズマ処理面2の側にあり、樹脂フィルム1の片面のみを酸素プラズマ処理できる配置になっている。
そして、該空隙の空間に、供給ノズル23a~cを開口してプラズマ形成ガスを供給し、電極ローラー20と電極22との間に電圧を印加し、プラズマPを発生させる。
プラズマPは,マグネット21によって該空間内に高密度で保持され、電極ローラー20と電極22a~cとの間のバイアス電圧によって、樹脂フィルム1に対して略垂直方向に酸素プラズマが打込まれ(酸素プラズマが樹脂フィルム1の片面に衝突する)、樹脂フィルム1の片面に、無機蒸着層3との密着性が向上した酸素プラズマ処理面2が効率的に形成される。
そして、マグネット21と電極ローラー20の距離を一定に保つことにより、樹脂フィルム1近傍の磁場が均一に保たれ、それにより、イオン化された酸素(酸素プラズマP)はほぼ同じ運動エネルギーを持って樹脂フィルム1の片面表面に垂直打ちこみすることになり、特に、樹脂フィルム1の幅方向のプラズマ処理度が均一化される。このように樹脂フィルム1の片面の全面に均一な処理がなされるので、プラズマ処理の程度が両端部の処理が中央部に比較して劣ることがない。そして、均一にプラズマ処理された面に無機蒸着膜が積層されるので、本発明のガスバリア性蒸着フィルムは、フィルム幅方向及び流れ方向でのガスバリア性能のばらつきが小さい。
樹脂フィルム1の搬送速度は、特に限定されないが、本発明においては、高速での成膜処理を可能にするものであり、生産効率の観点から、少なくとも200m/min以上が好ましく、480m/min以上、1000m/min以下がより好ましい。
酸素プラズマPを発生させるための電力は、50W・sec/m2以上、4000W・sec/m2以下が好ましい。50W・sec/m2未満では、酸素プラズマ処理の効果が発現し難く、また4000W・sec/m2よりも大きいと、樹脂フィルム1の消耗、破損着色、焼成など酸素プラズマPによる樹脂フィルム1の劣化が起き易い傾向になる。
(樹脂フィルム搬送室12Aとプラズマ処理室12B)
減圧チャンバ12には、図示はされていないが、圧力調整バルブを介して真空ポンプが接続されており、樹脂フィルム搬送室12A、プラズマ処理室12B全体は減圧可能となっており、必要に応じて、各室内部に排気室を持つことができ、プラズマ処理時の気圧の制御や、樹脂フィルム搬送室12AへのプラズマPの侵入を制御が可能である。
真空ポンプには、ドライポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオポンプなどを用いることができ、その排気能力及び圧力調整バルブの開度調整により任意に減圧設定することが可能となっており、9.0×10-5Paまで減圧可能である。
プラズマ処理室12B内には、電極ローラー20が、その一部を樹脂フィルム搬送室12Aに露出するように設けられている。
樹脂フィルム搬送室12Aは、電極の存在するプラズマ処理室12Bとは隔壁35a(ゾーンシール)により仕切られ圧力が異なる。樹脂フィルム搬送室12Aとプラズマ処理室12Bとを圧力的に異なる空間とすることにより、プラズマ処理室12BのプラズマPが樹脂フィルム搬送室12Aに漏れることによりプラズマ処理室12Bのプラズマ放電状
態が不安定になったり、樹脂フィルム搬送室12Aの部材を傷めたり、樹脂フィルム搬送機構の制御のための電気回路に電気的ダメージを与えて、制御不良を引き起こすことがなくなり、安定した成膜及び樹脂フィルム搬送が可能となる。
(電極ローラー20)
電極ローラー20をプラズマ電極の一方の電極として用いて樹脂フィルム1を巻きつかせることによって樹脂フィルム1が酸素プラズマ処理時の熱によって収縮して破損することを防ぐことが容易になり、さらに、樹脂フィルム1に対して、酸素プラズマを均一で広範囲に略垂直に衝突させることが容易になる。
電極ローラー20は、表面温度調整手段を有していることが好ましい。具体的には、電極ローラー20の内部に、温度制御のための冷媒や熱媒等の温度調節媒体を循環させるための配管が設置することが好ましく、電極ローラー20の表面温度を-20℃から100℃の間で、一定温度に調節することが可能であることがより好ましい。
電極ローラー20のローラー本体や回転軸、ベアリング、ローラー支持体には金属製の導電性材料を用いて、電極ローラー20の樹脂フィルム1が巻かれる円柱形状の側外周面部表面の両端部と回転軸周囲には電気的な絶縁部を設けることが好ましい。
電極ローラー20は少なくともステンレス、鉄、銅、クロムからなる群から選ばれるいずれか1種以上を含む材料により形成されていることが好ましい。電極ローラー20の表面は傷つき防止のため硬質のクロムハードコート処理等を施してもよい。これらの材料は加工が容易で、熱伝導性がよいので、電極ローラー20の表面温度の温度制御性を優れたものにすることができる。
また、電極ローラー20は電気的にアースレベルに設置してもよい。電極ローラー20をアースレベルに設置した場合は、樹脂フィルム1表面に蓄積された帯電電荷がアースレベルに開放され、結果として安定した酸素プラズマ処理面2の形成が可能となる。
あるいは、電極ローラー20は、電気的にフローティングレベル、すなわち絶縁電位に設置してもよい。電極ローラー20の電位をフローティングレベルとすることで、電力の漏れを防ぐことができ、酸素プラズマ処理の投入電力を高くして、酸素プラズマ処理への利用効率を高めることができる。
電極ローラー20が電気的にフローティングレベルの場合には、電極ローラー20に電位をかけ、樹脂フィルム1への酸素プラズマの打ち込み効果を強めたり、弱めたりする機構を設置することが可能となる。酸素プラズマ打ち込み効果を高めるためには、樹脂フィルム1にマイナス電位を与え、酸素プラズマ打ち込み効果を弱めるためには、樹脂フィルム1にプラスのプラス電位を与えることが好ましい。
このような調整により、樹脂フィルム1への酸素プラズマ打ち込み効果を調整し、また樹脂フィルム1への酸素プラズマ打込みによるダメージを低減したりすることができる。
(マグネット21)
樹脂フィルム1の片面側の空間にプラズマPを高密度で均一に保持させる為に、マグネット21と電極ローラー20のとの間隔は略一定距離に保たれている。
マグネット21による、樹脂フィルム1の片側表面位置での磁束密度は、10ガウス以上、10000ガウス以下が好ましい。磁束密度が10ガウス以上であれば、プラズマの反応性を十分高めることが可能となり、良好な酸素プラズマ処理面2を高速で形成することができる。また、磁束密度を10000ガウスよりも高くするには高価な磁石または磁場発生機構が必要となる。
磁気形成手段であるマグネット21は、絶縁性スペーサを有するマグネットケース内のベースプレート上に設置することが好ましい。
また、酸素プラズマ処理時に形成されるイオン、熱電子は、マグネット21の配置構造に従って運動するため、幅が広い(例えば、1600mm以上)樹脂フィルム1に対して酸素プラズマ処理をする場合においても、電子やイオン、樹脂フィルム1の分解物が均一に拡散されることで、樹脂フィルム1の片面の全面に均一かつ安定した酸素プラズマ処理が可能となる。
さらに、電極部やマグネット21の近傍に局所的に偏って熱電子やイオンが蓄積することがなくなることから、構成部材への耐熱性要求が低くなり、安価に構成部材を作製できるほか、熱変形、構造物の穴あきや割れ発生といった不具合の発生を抑えることが可能となる。
(電極22)
電極22は、電極ローラー20の外周近傍に所望のプラズマPを所望の密度で発生させることが可能であり、電極ローラー20との間にプラズマPを正電位にするバイアス電圧を印加できるように、電力供給配線31を通して電源32に接続されている。
電極22は、電力を投入するために導電性で、プラズマ耐性に優れ、耐熱性を有し、冷却水による冷却効率が高く(熱伝導率が高く)、非磁性材料で、加工性に優れた材料を用い、作製することが好ましい。具体的には、アルミニウム、銅、ステンレスが好適に用いられる。
さらに、電極22内部には、電極22及び隣接するマグネット21の冷却のための温度調節媒体配管が設けられていることが好ましい。
電極22は、マグネット21が内蔵されたマグネットケースに設置された絶縁性シールド板に取り付けられていることが好ましい。該絶縁性シールド板は、絶縁性で、プラズマ耐性に優れ、耐熱性を有し、加工性に優れた材料を用いることが好ましい。具体的にはフッ素樹脂、ポリイミド樹脂が好適に用いられる。
また、電極22は、マグネット21が設けられているマグネットケースと電気的に絶縁されていることから、電気的にフローティングレベルとすることが可能である。
(プラズマ形成ガス供給)
供給ノズル23は、プラズマ形成ガス供給装置18に接続され、供給されるプラズマ形成ガスは、ガス貯留部(図示せず)から、流量制御器(図示せず)を介することでガスの流量を計測しつつ供給されることが好ましい。
なお、図では、供給ノズル23は各箇所一つとなっているが、供給するプラズマ形成ガスの種類毎に個別に設けられても良い。
また、供給するプラズマ形成ガスは、酸素/アルゴンの体積比が、1/1以上、3/1以下の割合で含有する、混合ガスであることが好ましい。
プラズマ形成ガスは、この混合ガスをひとつの供給ノズル23から供給しても良く、酸素とアルゴンの各々を別々の供給ノズル23から供給しても良い。
さらに、プラズマ形成ガスには、窒素、二酸化炭素などを混ぜても良い。
(電極兼プラズマ形成ガス供給ノズル)
図5は、本発明において、酸素プラズマ処理する為に好適なプラズマ処理装置の別の態様の一例である、ローラー式連続プラズマ処理装置10の構成を模式的に示す平面図である。
ローラー式連続プラズマ処理装置10は、プラズマ処理手段として、プラズマ供給手段と磁気形成手段を含む。
そして、プラズマ供給手段は、プラズマ形成ガス供給装置18と、それに接続された電極兼プラズマ形成ガス供給ノズル26と電極ローラー20とを含み、磁気形成手段は、マグネット21を含む。
電極兼プラズマ形成ガス供給ノズル26は、上述した電極22とプラズマ形成ガス供給ノズル23が一体化したものであり、それぞれの機能を果たすものである。
電極兼プラズマ形成ガス供給ノズル26は、電極ローラー20との間に任意の電圧を印加するための電極と、プラズマ形成ガス供給手段とを兼ねた部品であり、プラズマPを正電位にするバイアス電圧を印加できるように、電力供給配線31を通して電源32に接続されている。
電極兼プラズマ形成ガス供給ノズル26の電極部は、電力を投入するために導電性で、プラズマ耐性に優れ、耐熱性を有し、冷却水による冷却効率が高く(熱伝導率が高く)、非磁性材料で、加工性に優れた材料を用い、作製することが好ましい。具体的には、アルミニウム、銅、ステンレスが好適に用いられる。
電極兼プラズマ形成ガス供給ノズル26a~cとマグネット21は、電極ローラー20の外周近傍の表面に沿って、電極ローラー20の一部を覆うように配置され、且つ、電極ローラー20と、電極兼プラズマ形成ガス供給ノズル26a~cおよびマグネット21との間には空隙が形成されるように配置されている。
さらに、図示はされていないが、電極兼プラズマ形成ガス供給ノズル26とマグネット21は、電極ローラー20の表面に巻かれた樹脂フィルム1の全面をプラズマ処理できるように、電極ローラー20の軸方向に、電極兼プラズマ形成ガス供給ノズル26a~cとマグネット21と同様に、複数列配置することができる。
そして、電極ローラー20とマグネット21との間隔は略一定距離に保たれている。
さらに、マグネット21と電極兼プラズマ形成ガス供給ノズル26a~cは、樹脂フィルム1の酸素プラズマ処理面の側にあり、樹脂フィルム1の片面のみを酸素プラズマ処理できる配置になっている。
そして、該空隙の空間に、電極兼プラズマ形成ガス供給ノズル26a~cを開口して、プラズマ形成ガスを供給し、電極ローラー20と対向する電極兼プラズマ形成ガス供給ノズル26a~cとを印加してプラズマPを発生させる。
そして、プラズマPはマグネット21によって該空間内に高密度で均一に保持され、電極ローラー20と対向する電極兼プラズマ形成ガス供給ノズル26a~cとの間の樹脂フィルム1に対して略垂直方向に生じているバイアス電圧によって、樹脂フィルム1の片面の全面に対して略垂直方向に酸素プラズマが均一に打込まれ、樹脂フィルム1の片面の全面に無機蒸着層3との密着性が向上した酸素プラズマ処理面2が効率的に形成される。
なお、この態様においても、別途にプラズマ形成ガス供給ノズル22を設置し、プラズマ形成ガスを電極兼プラズマ形成ガス供給ノズル26とプラズマ形成ガス供給ノズル22から供給しても良い。
供給されるプラズマ形成ガスは、ガス貯留部(図示せず)から、流量制御器(図示せず)を介することで流量を計測しつつ供給されることが好ましい。
[無機蒸着層]
本発明における無機蒸着層の組成は特に限定されないが、ガスバリア性の無機蒸着膜として使用することから、具体的には、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、チタン、スズ、インジウム、亜鉛、ジルコニウム等の金属、またはこれらの酸化物、窒化物、炭化物、及びそれらの混合物が挙げられる。
無機蒸着層は、上記の中でも、金属蒸着層または金属酸化物蒸着層であることが好ましい。
無機蒸着層が金属蒸着層の場合には、アルミニウム蒸着層であることがより好ましい。
また、無機蒸着層が金属酸化物蒸着層の場合には、酸化アルミニウム蒸着層であることがより好ましい。
そして、酸化アルミニウム蒸着層の、X線光電子分光法(XPS)による、酸素原子/アルミニウム原子のモル比が、1.2以上、5以下であることが更に好ましい。
酸化アルミニウム蒸着層が、上記範囲のモル比の高酸化度であることによって、酸化アルミニウム蒸着層の透明性と耐水密着性とガスバリア性が高くなる。
無機蒸着層の厚さは、3~50nmが好ましい。無機蒸着層の厚さが3nm以上であればガスバリア性を保持することができる。
そして、生産性を重視する場合には、3nm以上、12nm未満が好ましく、高度なガスバリア性や、機械的・熱的・湿度的な耐久性や、レトルト適性を求める場合には、12nm以上、50nm以下が好ましい。
無機蒸着層の形成は、酸素プラズマ処理面の形成と、連続的にインラインで行われてもよく、酸素プラズマ処理面の形成後に、一旦大気中に取り出されて、不連続的にオフラインで行われてもよい。
オフラインで行われた場合でも、本発明のガスバリア性蒸着フィルムの無機蒸着層は充分な密着性を発揮するが、インラインで行うことによって、酸素プラズマ処理面の化学的な変化が少なくてすみ、更に優れた密着性を発揮することができる。
<連続無機蒸着層形成装置>
無機蒸着層形成装置としては、公知の、抵抗加熱真空成膜装置、スパッタリング装置、イオンプレーティング成膜装置、イオンビームアシスト成膜装置、クラスターイオンビーム成膜装置などの物理蒸着装置や、プラズマCVD成膜装置、プラズマ重合成膜装置、熱CVD成膜装置、触媒反応型CVD成膜装置などの化学蒸着装置を用いることができる。
例えば、図6に記載された連続無機蒸着層形成装置において、蒸着層形成室12Dには、蒸着ローラー24及び蒸着層形成手段25を含む無機蒸着層形成装置が設けられている。この無機蒸着層形成装置によって、酸素プラズマ処理済み樹脂フィルム4の酸素プラズマ処理面2に、無機蒸着層3が形成される。
ここで、蒸着層形成手段25として、真空成膜装置を採用した場合は、蒸着層形成手段の蒸発源として、坩堝内に金属材料を充填して高温に加熱し、金属蒸気を発生させる。
そして、金属蒸着層を形成する場合には、ガス供給手段から不活性ガスを供給して酸素プラズマ処理面2に金属蒸着層を形成することができ、金属酸化物蒸着層を形成する場合には、ガス供給手段から酸素を含むガスを供給して酸素プラズマ処理面2に金属酸化物蒸着層を形成することができる。
例えば、金属材料としてはアルミニウム線材を用い、抵抗加熱による加熱手段によってアルミ金属蒸気を発生させ、酸素/アルゴン混合ガスによって酸化しつつ酸素プラズマ処理面上に積層して酸化アルミニウム蒸着層を形成することができる。
蒸発源として、スパッタ蒸発源、アーク蒸発源、あるいはプラズマ発生電極や原料ガス供給手段などのプラズマCVD成膜機構を採用することもできる。
蒸着層形成室12Dに設けられる無機蒸着層形成装置は1台でもよく、同種または異種の無機蒸着層形成装置を2台以上設けてもよい。
1台の無機蒸着層形成装置で厚い無機蒸着層3を形成すると、その無機蒸着層3は応力のために脆くなり、クラックが発生してガスバリア性が著しく低下することや、搬送時または巻取り時に無機蒸着層3が剥離することが生じ易い。そのため、厚い無機蒸着層3を
得るには、複数の無機蒸着層形成装置を設け、同じ組成の無機蒸着層を複数回積層することが好ましい。
また、複数の無機蒸着層形成装置により、異なる組成の無機蒸着層3を形成してもよく、その場合には、ガスバリア性だけでなく、さまざまな機能を付与された多層膜を得ることができる。
蒸着ローラー24は、少なくとも、ステンレス、鉄、銅、クロムのいずれか1種以上を含む材料により作製されていることが好ましい。
さらに、蒸着ローラー24の表面は傷つき防止のために、硬質のクロムハードコート処理等を施してもよい。これらの材料は加工が容易であり、また、蒸着ローラー24自体の熱伝導性がよいので、温度制御を行う際の温度制御性が優れたものとなる。
蒸着ローラー24の表面は、平坦であればあるほど好ましい。
蒸着ローラー24は、関連する機械部品の耐熱性の制約や汎用性の面から、冷却媒体および/または熱源媒体あるいはヒータを用いることにより、-20℃から200℃の間で一定温度に設定することができる温度調節機構を有していることが好ましい。
蒸着ローラー24が温度調節機構を有することによって、無機蒸着層形成時に発生する熱による酸素プラズマ処理済み樹脂フィルム4の温度の変動を抑えることが可能になる。
具体的には、冷却媒体(冷媒)としてエチレングリコール水溶液を、熱源媒体(熱媒)としてシリコンオイルを用いて、蒸着ローラー24内を循環させることによって温度調節したり、蒸着ローラー24と対向する位置にヒータを設置して加熱したりすることが可能である。
次に、連続無機蒸着層形成装置の動作について説明する。
酸素プラズマ処理済み樹脂フィルム4を、バリア性積層フィルム搬送室12Cから、ガイドローラー14cを経由して、蒸着層形成室12D内の蒸着ロール24に巻きつかせ、バリア性積層フィルム搬送室12Cに、ガイドローラー14dを経由して、酸素プラズマ処理面2が表になるように巻き取りローラー15へと導く。
そして、バリア性積層フィルム搬送室12Cと蒸着層形成室12D内を真空ポンプにより減圧する。
所定の圧力にまで減圧した後、蒸着層形成手段25による無機蒸着層3の形成が開始される。
[有機保護層]
本発明のガスバリア性蒸着フィルムの無機蒸着層の表面上には、隣接して、有機保護層を積層することができる。有機保護層としては、ガスバリア性被覆層および/またはプライマー層を適用することができる。
ガスバリア性被覆層とプライマー層の両層を積層する場合には、どちらの層が無機蒸着層の表面上に隣接して積層されていてもよいが、ガスバリア性被覆層が無機蒸着層の表面上に隣接して積層されていることが好ましい。
有機保護層は、無機蒸着層を機械的・化学的に保護するとともに、ガスバリア性蒸着フィルムのガスバリア性とレトルト耐性を向上させるものであり、塗布によって形成されることが好ましい。
(ガスバリア性被覆層)
ガスバリア性被覆層は、ガスバリア性蒸着フィルムのガスバリア性とレトルト耐性を向上させるものである。
ガスバリア性被覆層は、少なくとも、金属アルコキシドと水酸基含有水溶性樹脂とを含
有するガスバリア樹脂組成物(バリアコート剤)を塗布して、固化し、形成されたものであることが好ましい。
ガスバリア樹脂組成物は、さらに必要に応じて、シランカップリング剤、ゾルゲル法触媒等を含有することもできる。
ガスバリア樹脂組成物の組成は、例えば、金属アルコキシド100質量部に対して、水酸基含有水溶性樹脂を100~500質量部が好ましい。
更に、シランカップリング剤を含有する場合には、1~20重量部位の範囲内で含有することが好ましい。上記範囲よりも多いと、ガスバリア性被覆層の剛性と脆性とが大きくなり過ぎて好ましくない。
ガスバリア性被覆層の乾燥後の膜厚は、100~500nmが好ましい。この範囲であれば、ガスバリア性被覆層が割れ難く、無機蒸着層の表面を十分に被覆して保護することができる。
金属アルコキシドとしては、一般式R1 nM(OR2m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1~8の有機基を表し、異なるR1、R2が1分子中に存在してもよく、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される、1種または2種以上の金属アルコキシドであり、2種以上の混合物であってもよい。
金属アルコキシドのMで表される金属原子としては、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、その他等を例示することができ、例えば、MがSiであるアルコキシシランを使用することが好ましい。
上記のアルコキシシランとしては、例えば、一般式Si(ORa4(ただし、式中、Raは、低級アルキル基を表す。)で表されるものである。上記において、Raとしては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、その他等が用いられる。
上記のアルコキシシランの具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン Si(OCH34、テトラエトキシシラン Si(OC254、テトラプロポキシシラン Si(OC374、テトラブトキシシラン Si(OC494、その他等を使用することができる。上記アルコキシドは、2種以上を併用してもよい
シランカップリング剤には、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基などの反応基を有するものを用いることができる。特にエポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適であり、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、あるいは、β-(3、4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を使用することができる。上記のようなシランカップリング剤は、1種または2種以上を混合して用いてもよい。
水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール系樹脂、またはエチレン・ビニルアルコール共重合体を、各々を単独、または混合して用いることが好ましい。本発明では、ポリビニルアルコール系樹脂を用いることが好適である。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、一般に、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られるものを使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸基が数十%残存している部分ケン化ポリビニルアルコール系樹脂でも、酢酸基が残存しない完全ケン化ポリビニルアルコールであっても、OH基が変性された変性ポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。
ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、従来のゾルゲル法で用いられている範囲(100~5000程度)のものであれば用いることができる。
さらに、ガスバリア性被覆層の膜硬度は高いことが好ましく、その為には、ポリビニルアルコール系樹脂としては、結晶化度が高くなりやすい、ケン化度が70%以上のものを用いることが好ましい。
このようなポリビニルアルコール系樹脂としては、株式会社クラレ製のRS樹脂である「RS-110(ケン化度=99%、重合度=1,000)」、日本合成化学工業株式会社製の「ゴーセノールNM-14(ケン化度=99%、重合度=1,400)」等を挙げることができる。
エチレン・ビニルアルコール共重合体としては、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体のケン化物、すなわち、エチレン-酢酸ビニルランダム共重合体をケン化して得られるものを使用することができる。
例えば、酢酸基が数十モル%残存している部分ケン化物から、酢酸基が数モル%しか残存していないかまたは酢酸基が残存しない完全ケン化物まで含み、特に限定されるものではない。
エチレン・ビニルアルコール共重合体のケン化度は、80モル%以上、100%以下が好ましく、90モル%以上、100モル%以下がより好ましく、95モル%以上、100モル%以下が更に好ましい。
ゾルゲル法触媒としては、酸またはアミン系化合物が好適である。
酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸、ならびに、酢酸、酒石酸な等の有機酸等を用いることができる。
酸の含有量は、金属アルコキシドのアルコキシ基の総モル量に対して、好ましくは0.001~0.05モル%であり、より好ましくは0.01~0.03モル%である。0.001%モルよりも少ないと触媒効果が小さすぎ、0.05モル%よりも多いと触媒効果が強すぎて反応速度が速くなり過ぎ、不均一になり易い傾向になる。
アミン系化合物としては、水に実質的に不溶であり、且つ有機溶媒に可溶な第3級アミンが好適である。具体的には、例えば、N,N-ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン等を使用することができる。特に、N,N-ジメチルベンジルアミンが好適である。
アミン系化合物の含有量は、金属アルコキシド100質量部当り、例えば0.01~1.0質量部、特に0.03~0.3質量部を含有することが好ましい。0.01質量部よりも少ないと触媒効果が小さすぎ、1.0質量部よりも多いと触媒効果が強すぎて反応速度が速くなり過ぎ、不均一になり易い傾向になる。
溶媒としては、水や、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロパノール、n-ブタノール等のアルコール等を用いることが好ましい。
本発明において、ガスバリア性被覆層は、以下の方法で形成することができる。
まず、金属アルコキシドと水酸基含有水溶性樹脂、更には、必要に応じて、シランカップリング剤、ゾルゲル法触媒等を溶媒に添加して混合し、ガスバリア樹脂組成物を調製する。
次いで、無機蒸着層の上に、常法により、上記のガスバリア樹脂組成物を塗布し、乾燥する。この乾燥工程によって、ガスバリア樹脂組成物中の重縮合反応が更に進行し、塗膜が形成される。
該塗膜の形成は、一回の上記の塗布および乾燥による1層の形成であっても、複数回の上記の塗布および乾燥による2層以上の形成であってもよい。
そして次に、20~200℃、かつ樹脂フィルムの融点以下の温度、好ましくは、50~180℃の範囲の温度で、3秒~10分間加熱処理する。これによって、ガスバリア樹脂組成物の重縮合反応が更に進行し、ガスバリア性被覆層が形成される。
(プライマー層)
プライマー層は、ガスバリア性蒸着フィルムのガスバリア性と他の樹脂層との接着性を向上させるものである。
プライマー層は、少なくとも、ウレタン樹脂を含有するプライマー液を塗布して、固化し、形成されたものであることが好ましい。そして、必要に応じて、さらに、シランカップリング剤やシリカ微粒子を含むことが好ましい。
プライマー層の乾燥後の膜厚は、0.01~30μmが好ましく、0.1~10μmがより好ましい。
プライマー層がウレタン樹脂を含むことで、プライマー層が適度な弾性ないし柔軟性を有し、印刷やラミネート時の押圧による無機蒸着層への影響を軽減し、ガスバリア性の劣化を抑制できる。
ウレタン樹脂としては、従来公知のポリエステルウレタン樹脂およびポリエーテルウレタン樹脂のいずれも用いることができる。このようなウレタン樹脂としては、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオール等のポリオールと、ポリイソシアネートとの反応物を用いることができる。
上記のポリエステルポリオールとしては、低分子量のポリオールと、ポリカルボン酸とを反応して得られるポリエステルポリオール;ε-カプローラークトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステルポリオール;これらを共重合して得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。これらのポリエステルポリオールは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
低分子量のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール等の分子量が50~300程度である脂肪族ポリオール;シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族環式構造を有するポリオール;ビスフェノールA及びビスフェノールF等の芳香族構造を有するポリオールが挙げられる。ポリエステルポリオールの製造に使用可能なポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸;それらの無水物またはエステル化物等が挙げられる。また、ポリエステルポリオールとして、上記のポリエステルポリオールをポリイソシアネートで変性して得られる、分子構造内にウレタン結合を持つポリエステルポリウレタンポリオールを用いることもできる。これらのポリエステルポリオールは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
上記のポリエーテルポリオールとしては、例えば、活性水素原子を2つ以上有する化合物の1種又は2種以上を開始剤として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものが挙げられる。前記活性水素原子を2つ以上有する化合物としては、例えば、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、水、ヘキサントリオール等が挙げられる。また、前記アルキレンオキサイドとしては、例えば、プロピレンオキサイド、ブチレンオ
キサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。また、ポリエーテルポリオールとして、上記のポリエーテルポリオールをポリイソシアネートで変性して得られる、分子構造内にウレタン結合を持つポリエーテルポリウレタンポリオールを用いることもできる。これらのポリエーテルポリオールは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
上記のポリイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族環式構造を有するポリイソシアネート;4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。これらの中でも4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。また、これらのポリイソシアネートは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
シランカップリング剤としては、従来公知のシランカップリング剤を用いることができ、例えば上述のガスバリア樹脂組成物に用いられるものと同様のものが好適に用いられる。プライマー層はシランカップリング剤を含むことで、他の樹脂層との層間接着性を向上させることができる。
シリカ微粒子としては、従来公知のシリカを用いることができる。
特に、ウレタン樹脂がポリエーテルポリウレタンの場合に、プライマー層がシリカ微粒子を含むことで、ガスバリア性蒸着フィルムの製造工程において、巻き取り時のブロッキングを抑制することができる。
プライマー層を塗布によって形成する手段としては、例えば、グラビアロールコーターなどのロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコード、アプリケータ等の塗布手段が挙げられる。プライマー層は、1回あるいは複数回の塗布によって形成されてもよい。
<ガスバリア性積層体>
本発明のガスバリア性積層体は、本発明のガスバリア性蒸着フィルムからなる層とシーラント層とを有する積層体であり、本発明のガスバリア性蒸着フィルムに、ヒートシール可能なシーラント層を、接着剤を介して、あるいは介することなく、積層して作製される。
シーラント層は、ガスバリア性蒸着フィルムのどちら側の面に積層されていてもよいが、図3に示したように、シーラント層6は、ガスバリア性蒸着フィルム7の、無機蒸着層3側またはガスバリア性被覆層5側に、ガスバリア性積層体8の最表面に積層されていることが好ましい。
本発明のガスバリア性積層体は、更に必要に応じて、包装材料に用いた場合に付与したい機能、例えば、遮光性を付与するための遮光性層、装飾性、印字を付与するための印刷層、絵柄層、レーザー印刷層、臭気を分解又は吸着する消臭層など各種機能層を層構成として含むことも出来る。
そして、本発明のガスバリア性積層体は、本発明のガスバリア性蒸着フィルムにおける
本発明の規定を満たすガスバリア性を有している。
[シーラント層]
シーラント層は、1種または2種以上のヒートシール性樹脂を含む層であり、加熱によって接着することができる層であり、樹脂フィルムを用いたドライラミネーションあるいは共押出を含む押出ラミネーションや、樹脂塗布膜等から形成される層である。
シーラント層に含有される樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、α-オレフィン共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エラストマー等の樹脂、それらを混合した樹脂、あるいはそれら樹脂のフィルムを用いることができる。
シーラント層は、単層であっても、2層以上の多層構成であってもよい。多層構成の場合には、それぞれの層の組成が同一であってもよく、異なっていてもよく、ヒートシール性樹脂のみからなる層や、ヒートシール性樹脂を含まない層を含むこともできる。
更には、種々の機能を備えた機能層や、接着剤層を含むこともできる。しかし、ガスバリア性積層体の片面最表層を構成する層は、ヒートシール性に優れた樹脂を含むことが好ましい。
また、シーラント層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、難燃化剤、架橋剤、着色剤、顔料、滑剤、充填剤、補強剤、改質用樹脂等の種々の無機又は有機添加剤等の1種ないし2種以上を、適宜含有することができる。その含有率としては、極微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に含有することができる。
<ガスバリア性包装材料>
本発明のガスバリア性包装材料は、本発明のガスバリア性積層体から作製される包装材料である。
本発明のガスバリア性積層体に、更に、用途に応じた機能フィルムを積層させて、ガスバリア性包装材料を作製することもできる。
例えば、レトルト用の包装材料であれば、耐ピンホール構造として、ナイロンフィルムを、また耐熱構造として耐熱シーラントCPPなどを積層することができる。或いは、液体紙容器用の包装材料であれば、紙を積層することができる。
そして、本発明のガスバリア性包装材料は、本発明のガスバリア性蒸着フィルムにおける本発明の規定を満たすガスバリア性を有している。
<ガスバリア性包装体>
本発明のガスバリア性包装体は、本発明のガスバリア性包装材料から作製される包装体である。
例えば、多層フィルムからなるガスバリア性包装材料のシーラント層を熱融着させるようなヒートシール加工によって、ピロー包装袋、三方シール、四方シール、ガセットタイプ等の形態のガスバリア性包装体を作製できる。また、紙を積層した積層体から作製された包装材料であれば、お酒、ジュース等のゲーベルトップ型の液体紙容器包装体を作製できる。
[実施例1]
樹脂フィルムとして、厚さ12μm、幅2000mm、長さ40000mの石油由来のポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルム)を巻き取ったロール巻きを22個準備した。
酸素プラズマ前処理装置を配置した前処理区画と成膜区画を隔離した図5に概要を示す連続蒸着膜成膜装置を用いて、以下の条件で、PETフィルムの片面に対する酸素プラズマ処理と、酸素プラズマ処理面上に厚さ8nmの酸化アルミニウム蒸着膜の形成を行い、連続して22個のガスバリア性蒸着フィルムのロール巻きを作製した。
そして、各ロール巻きの巻き終わり部のガスバリア性蒸着フィルムのガスバリア性を測定した。
(酸素プラズマ処理条件)
・搬送速度:600m/min
・プラズマ強度:60W・sec/m2
・プラズマ形成ガス比:酸素/アルゴン=2/1
・前処理ドラム-プラズマ供給ノズル間印加電圧:280V
・前処理区画の真空度:3.8Pa
・磁気形成手段:1000ガウス
(酸化アルミニウム成膜条件)
・真空蒸着法の加熱手段:反応性抵抗加熱方式
・真空度:8.1×10-2Pa
・搬送速度:600m/min
[比較例1]
実施例の酸素プラズマ処理に替えて、ダイレクトプラズマ方式を用いて下記の条件でプラズマ処理した後に、実施例1と同様の条件で厚さ8nmの酸化アルミニウム蒸着膜の形成を行い、ガスバリア性蒸着フィルムを得た。
同操作を繰り返して、22個のガスバリア性蒸着フィルムのロール巻きを作製し、実施例1と同様に、各々のロールの巻き終わり部のガスバリア性を測定した
(プラズマ前処理条件)
・プラズマ強度:150W・sec/m2
・プラズマ形成ガス比:酸素/アルゴン=2/1
・磁気形成手段:なし
・前処理ドラム-プラズマ供給ノズル間印加電圧:なし
<評価>
[ガスバリア度の測定]
(測定点)
・フィルム幅方向:図7に示したように、ガスバリア性蒸着フィルムの幅2000mmの、下記の略端部1(G1)、中央部(G2)、略端部2(G3)の3地点で測定した。(G1とG3の間隔は、1870mm)
略端部1(G1):幅方向の端から65mm
中央部(G2):略端部G1と略端部G3の中間点
略端部2(G3):幅方向のG1とは反対の端から65mm
(集計)
ロール巻き22個分の、各ロール巻を、略端部1、中央部、略端部2のそれぞれにおける水蒸気透過度と酸素透過度とを集計し、最大値、最小値、平均値、最大値と最小値の差
、標準偏差を求めた。
さらに、略端部1と略端部2のそれぞれの平均値の、略中央部の平均値との差を、下記式から求めた。
(略端部1の平均値)-(略中央部の平均値)
(略端部2の平均値)-(略中央部の平均値)
(測定手法)
・水蒸気透過度の測定
水蒸気透過度測定装置(モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パーマトラン(PERMATRAN)3/33〕)を用いて、センサー側がガスバリア性蒸着フィルムの樹脂フィルム面となるようにセットし、40℃、100%RH雰囲気下の測定条件で、JIS K7129法に準拠して、水蒸気透過度(g/m2・24h)を測定した。測定結果を表1に示した。
・酸素透過度の測定
酸素透過度測定装置(モダンコントロール(MOCON)社製〔機種名:オクストラン(OX-TRAN)2/21〕)を用いて、酸素供給側がガスバリア性蒸着フィルムの樹脂フィルム面となるようにセットし、23℃、90%RH雰囲気下の測定条件で、JIS
K7126法に準拠して、酸素透過度(cc/m2・atm・24h)を測定した。測定結果を表2に示した。
Figure 0007338153000001
Figure 0007338153000002
<結果まとめ>
実施例の略端部1、略中央部及び略端部2のそれぞれの水蒸気透過度及び酸素透過度の平均値は、比較例のそれらに比べて小さくなっていることから、優れたガスバリア性であることを示しており、また、実施例の略端部1、略中央部及び略端部2における水蒸気透過度及び酸素透過度のばらつき(最大値と最小値の差および標準偏差)は、比較例のそれらに比べ小さくなっている。
さらに、実施例は、略端部1と略中央部との平均値の差、および略端部2と略中央部との平均値の差が、本発明規定を満たし、幅方向のばらつきが小さくて均一である結果であったが、比較例におけるこれらの差は、本発明規定を満たさず、幅方向のばらつきが大きく、不均一な結果であった。
一般的に、ロット間のばらつきは、単一ロット内のばらつきよりも大きいが、本発明においては、22個のロール巻き(ロット)間で、上記の通り、小さなばらつきしか示さなかったことから、本発明のガスバリア性蒸着フィルムおよびガスバリア性積層体は、ガスバリア性が高く、幅方向に均一であり、安定したガスバリア性包装袋を製造する包装材の原反として、優れていることを示している。
さらに、本発明のガスバリア性蒸着フィルムの製造方法は、ガスバリア性蒸着フィルムの幅方向のガスバリア性を均一にすることができる、優れた製造方法である。
1 樹脂フィルム、
2 酸素プラズマ処理面
3 無機蒸着層
4 酸素プラズマ処理済み樹脂フィルム
5 有機保護層(バリア性被覆層および/またはプライマー層)
6 シーラント層
7 ガスバリア性蒸着フィルム
8 ガスバリア性積層体
TD フィルム幅方向
MD フィルム流れ方向
G1 ガスバリア度の測定点(略端部1)
G2 ガスバリア度の測定点(略中央部)
G3 ガスバリア度の測定点(略端部2)
P (酸素)プラズマ
10 ローラー式連続酸素プラズマ処理装置
11 ローラー式連続蒸着層形成装置
12 減圧チャンバ
12A 樹脂フィルム搬送室
12B プラズマ処理室
12C バリア性積層フィルム搬送室
12D 蒸着層形成室
13 巻出しローラー
14a~d ガイドローラー
15 巻取りローラー
18 プラズマ形成ガス供給装置
20 電極ローラー
21 マグネット
22a~c 電極
23a~c プラズマ形成ガス供給ノズル
24 蒸着ローラー
25 蒸着層形成手段
26a~c 電極兼プラズマ形成ガス供給ノズル
31 電力供給配線
32 電源
35a~d 隔壁

Claims (10)

  1. 樹脂フィルムの酸素プラズマ処理面に無機蒸着層が形成されたガスバリア性蒸着フィルムであって、
    該樹脂フィルムの、幅は1200mm以上、3000mmであって、厚さは5μm以上、400μm以下であり、
    該樹脂フィルムの、破断強度はMD方向(流れ方向)で5kg/mm以上、40kg/mm以下であって、TD方向(幅方向)で5kg/mm以上、35kg/mm以下であり、破断伸度はMD方向で50%以上、350%以下であって、TD方向で50%以上、300%以下であり、
    該酸素プラズマ処理面は、1~9Paの気圧下で、略一定距離でプラズマ電極が対向し、且つ、酸素プラズマがマグネットによって略等密度で保持されている空間を樹脂フィルムが連続的に通過して流れ、プラズマ電極間のバイアス電圧によって、該酸素プラズマを該樹脂フィルムの片面に、略垂直に衝突させることによって形成された面であり、
    該ガスバリア性蒸着フィルムの、流れ方向と直交する幅方向の、2箇所の略端部および略中央部の、それぞれにおける、酸素透過度の平均値が、2.5cc/m・atm・24h以下であり、水蒸気透過度の平均値が2.5g/m・24h以下であり、
    (略端部の酸素透過度の平均値)-(略中央部の酸素透過度の平均値)の値が、0.1cc/m・atm・24h以上、1.2cc/m・atm・24h以下であり、
    (略端部の水蒸気透過度の平均値)-(略中央部の水蒸気透過度の平均値)の値が、0.1g/m・24h以上、1.2g/m・24h以下であり、
    2箇所の前記略端部および略中央部のそれぞれにおける、酸素透過度の、最大値と最小値の差が、3cc/m ・atm・24h以下であり、標準偏差が、0.1cc/m ・atm・24h以上、0.9cc/m ・atm・24h以下であり、
    2箇所の前記略端部および略中央部のそれぞれにおける、水蒸気透過度の、最大値と最小値の差が、2.5g/m ・24h以下であり、標準偏差が、0.2g/m ・24h以上、0.7g/m ・24h以下であり、
    上記の略端部は、ガスバリア性蒸着フィルムの幅方向の各幅端部から80mmまでの内側の2箇所であって、上記の略中央部は、2箇所の略端部の中間点である、
    ことを特徴とする、該幅方向のガスバリア性が均一な、ガスバリア性蒸着フィルム。
  2. 前記酸素プラズマ処理面と、前記無機蒸着層とが、インラインで、連続的に形成された面であることを特徴とする、請求項に記載のガスバリア性蒸着フィルム。
  3. 前記無機蒸着層上に、さらに有機保護層が隣接して積層されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の、ガスバリア性蒸着フィルム。
  4. 前記樹脂フィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする、請求項1~の何れか1項に記載の、ガスバリア性蒸着フィルム。
  5. 前記樹脂フィルムが、バイオマス由来のポリエステルフィルムであることを特徴とする、請求項1~の何れか1項に記載の、ガスバリア性蒸着フィルム。
  6. 前記樹脂フィルムが、リサイクルポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする、請求項1~の何れか1項に記載の、ガスバリア性蒸着フィルム。
  7. 請求項1~の何れか1項に記載のガスバリア性蒸着フィルムからなる層と、シーラント層とを有することを特徴とする、ガスバリア性積層体。
  8. 請求項記載のガスバリア性積層体から作製されたことを特徴とする、ガスバリア性包装材料。
  9. 請求項に記載のガスバリア性包装材料から作製されたことを特徴とする、ガスバリア性包装体。
  10. 1~9Paの気圧下で、略一定距離でプラズマ電極が対向し、且つ、酸素プラズマがマグネットによって略等密度で保持されている空間に樹脂フィルムを連続的に通過させ、プラズマ電極間のバイアス電圧によって、該酸素プラズマを該樹脂フィルムの片面に、略垂直に衝突させることによって酸素プラズマ処理面を形成する工程と、該酸素プラズマ処理面に蒸着法によって無機蒸着層を形成する工程とを、インラインで、連続的に行ってガスバリア性蒸着フィルムを作製することを特徴とする、ガスバリア性蒸着フィルムの製造方法であって、
    該樹脂フィルムの、幅は1200mm以上、3000mmであって、厚さは5μm以上、400μm以下であり、
    該樹脂フィルムの、破断強度はMD方向(流れ方向)で5kg/mm以上、40kg/mm以下であって、TD方向(幅方向)で5kg/mm以上、35kg/mm以下であり、破断伸度はMD方向で50%以上、350%以下であって、TD方向で50%以上、300%以下であり、
    該ガスバリア性蒸着フィルムの、流れ方向と直交する幅方向の、2箇所の略端部および略中央部の、それぞれにおける、酸素透過度の平均値が、2.5cc/m・atm・24h以下であり、水蒸気透過度の平均値が2.5g/m・24h以下であり、
    (略端部の酸素透過度の平均値)-(略中央部の酸素透過度の平均値)の値が、0.1cc/m・atm・24h以上、1.2cc/m・atm・24h以下であり、
    (略端部の水蒸気透過度の平均値)-(略中央部の水蒸気透過度の平均値)の値が、0.1g/m・24h以上、1.2g/m・24h以下であり、
    2箇所の前記略端部および略中央部のそれぞれにおける、酸素透過度の、最大値と最小値の差が、3cc/m ・atm・24h以下であり、標準偏差が、0.1cc/m ・atm・24h以上、0.9cc/m ・atm・24h以下であり、
    2箇所の前記略端部および略中央部のそれぞれにおける、水蒸気透過度の、最大値と最小値の差が、2.5g/m ・24h以下であり、標準偏差が、0.2g/m ・24h以上、0.7g/m ・24h以下であり、
    上記の略端部は、ガスバリア性蒸着フィルムの幅方向の各幅端部から80mmまでの内側の2箇所であって、上記の略中央部は、2箇所の略端部の中間点である、
    ことを特徴とする、該幅方向のガスバリア性が均一なガスバリア性蒸着フィルムの製造方法。
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