JP2020100040A - ガスバリア性蒸着フィルム、ガスバリア性積層体、ガスバリア性包装材料、ガスバリア性包装材料、及びガスバリア性蒸着フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
そのため、しばしば、幅が広く長いロール巻きされた樹脂フィルムに酸化ケイ素蒸着膜、あるいは酸化アルミニウム蒸着膜等の無機蒸着膜を積層すると、特に幅広の樹脂フィルムの場合に、幅方向の両端部において、樹脂フィルムの蒸着工程中の樹脂フィルムのばたつきによって、蒸着ムラや蒸着膜にミクロ的なクラックや蒸着膜と樹脂フィルムとの剥離が生じて、ガスバリア性能が低下する。
上記の端部でのばたつきは、フィルム幅が600mm以上の場合から生じ始め、生産性の点で有利なフィルム幅の、1200mmから3000mmの場合においても生じている。
ガスバリア性能のばらつきを抑える方法として、蒸着材料が気化してなる蒸気と反応ガスとの供給位置と方法、蒸着位置に関する装置的改良から、この問題を解決する方法が提供されている。(特許文献1)
特に酸素バリア性はフィルムの幅方向の端部での劣化が大きいことから、フィルムの幅方向の端部での酸素バリア性の劣化制御が重要であり、そのばらつきが少ないことが求められている。
1. 樹脂フィルムの酸素プラズマ処理面に無機蒸着層が形成されたガスバリア性蒸着フィルムであって、
該酸素プラズマ処理面は、1〜9Paの気圧下で、略一定距離でプラズマ電極が対向し、且つ、酸素プラズマがマグネットによって略等密度で保持されている空間を樹脂フィルムが連続的に通過して流れ、プラズマ電極間のバイアス電圧によって、該酸素プラズマを該樹脂フィルムの片面に、略垂直に衝突させることによって形成された面であり、
該ガスバリア性蒸着フィルムの、流れ方向と直交する幅方向の、2箇所の略端部および略中央部の、それぞれにおける、酸素透過度の平均値が、2.5cc/m2・atm・24h以下であり、水蒸気透過度の平均値が2.5g/m2・24h以下であり、
(略端部の酸素透過度の平均値)−(略中央部の酸素透過度の平均値)の値が、0.1cc/m2・atm・24h以上、1.2cc/m2・atm・24h以下であり、
(略端部の水蒸気透過度の平均値)−(略中央部の水蒸気透過度の平均値)の値が、0.1g/m2・24h以上、1.2g/m2・24h以下であることを特徴とする、該幅方向のガスバリア性が均一な、ガスバリア性蒸着フィルム。
2. 2箇所の前記略端部および略中央部のそれぞれにおける、酸素透過度の、最大値と最小値の差が、3cc/m2・atm・24h以下であり、標準偏差が、0.1cc/m2・atm・24h以上、0.9cc/m2・atm・24h以下であることを特徴とする、上記1に記載のガスバリア性蒸着フィルム。
3. 2箇所の前記略端部および略中央部のそれぞれにおける、水蒸気透過度の、最大値と最小値の差が、2.5g/m2・24h以下であり、標準偏差が、0.2g/m2・24h以上、0.7g/m2・24h以下であることを特徴とする、上記1または2に記載のガスバリア性蒸着フィルム。
4. 前記酸素プラズマ処理面と、前記無機蒸着層とが、インラインで、連続的に形成された面であることを特徴とする、上記1〜3の何れかに記載のガスバリア性蒸着フィルム。
5. 前記無機蒸着層上に、さらに有機保護層が隣接して積層されていることを特徴とする、上記1〜4の何れかに記載の、ガスバリア性蒸着フィルム。
6. 前記樹脂フィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする、上記1〜5の何れかに記載の、ガスバリア性蒸着フィルム。
7. 前記樹脂フィルムが、バイオマス由来のポリエステルフィルムであることを特徴とする、上記1〜5の何れかに記載の、ガスバリア性蒸着フィルム。
8. 前記樹脂フィルムが、リサイクルポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする、上記1〜5の何れかに記載の、ガスバリア性蒸着フィルム。
9. 上記1〜8の何れかに記載のガスバリア性蒸着フィルムからなる層と、シーラント
層とを有することを特徴とする、ガスバリア性積層体。
10. 上記9に記載のガスバリア性積層体から作製されたことを特徴とする、ガスバリア性包装材料。
11. 上記10に記載のガスバリア性包装材料から作製されたことを特徴とする、ガスバリア性包装体。
12. 1〜9Paの気圧下で、略一定距離でプラズマ電極が対向し、且つ、酸素プラズマがマグネットによって略等密度で保持されている空間に樹脂フィルムを連続的に通過させ、プラズマ電極間のバイアス電圧によって、該酸素プラズマを該樹脂フィルムの片面に、略垂直に衝突させることによって酸素プラズマ処理面を形成する工程と、該酸素プラズマ処理面に蒸着法によって無機蒸着層を形成する工程とを、インラインで、連続的に行ってガスバリア性蒸着フィルムを作製することを特徴とする、ガスバリア性蒸着フィルムの製造方法であって、
該ガスバリア性蒸着フィルムの、流れ方向と直交する幅方向の、2箇所の略端部および略中央部の、それぞれにおける、酸素透過度の平均値が、2.5cc/m2・atm・24h以下であり、水蒸気透過度の平均値が2.5g/m2・24h以下であり、
(略端部の酸素透過度の平均値)−(略中央部の酸素透過度の平均値)の値が、0.1cc/m2・atm・24h以上、1.2cc/m2・atm・24h以下であり、
(略端部の水蒸気透過度の平均値)−(略中央部の水蒸気透過度の平均値)の値が、0.1g/m2・24h以上、1.2g/m2・24h以下であることを特徴とする、該幅方向のガスバリア性が均一なガスバリア性蒸着フィルムの製造方法。
以下、本発明について図面を用いながら説明する。但し、本発明はこれら具体的に例示された形態や各種具体的に記載された構造に限定されるものではない。
なお、各図においては、解り易くする為に、部材の大きさや比率を変更または誇張して記載することがある。また、見易さの為に説明上不要な部分や繰り返しとなる符号は省略することがある。
図1に示したように、本発明のガスバリア性蒸着フィルム7は、酸素プラズマ処理済み樹脂フィルム4の酸素プラズマ処理面2の上に隣接して、無機蒸着層3を積層した構成を有する。
本発明のガスバリア性蒸着フィルムは、酸素透過度と水蒸気透過度が低くガスバリア性に優れ、特に、流れ方向(長さ方向)と直交する方向(幅方向)のガスバリア性が均一である。
上記の特徴は、ガスバリア性蒸着フィルムの幅が、1200mm〜3000mmのような幅広の場合であっても発揮することができる。
該平均値が上記範囲よりも小さいガスバリア性蒸着フィルムをバランスよく安定して作製することは困難であり、上記範囲よりも大きい場合には、良好で均一で安定したガスバリア性を達成することが困難になり易い。
該差が上記範囲よりも小さいガスバリア性蒸着フィルムをバランスよく安定して作製することは困難であり、上記範囲よりも大きい場合には、良好で均一で安定したガスバリア性を達成することが困難になり易い。
略端部のそれぞれと略中央部との平均値の差が上記範囲よりも小さいガスバリア性蒸着
フィルムをバランスよく安定して作製することは困難であり、上記範囲よりも大きい場合には、良好で均一で安定したガスバリア性を達成することが困難になり易い。
該標準偏差が上記範囲よりも小さいガスバリア性蒸着フィルムをバランスよく安定して作製することは困難であり、上記範囲よりも大きい場合には、良好で均一で安定したガスバリア性を達成することが困難になり易い。
該平均値が上記範囲よりも小さいガスバリア性蒸着フィルムをバランスよく安定して作製することは困難であり、上記範囲よりも大きい場合には、良好で均一で安定したガスバリア性を達成することが困難になり易い。
該差が上記範囲よりも小さいガスバリア性蒸着フィルムをバランスよく安定して作製することは困難であり、上記範囲よりも大きい場合には、良好で均一で安定したガスバリア性を達成することが困難になり易い。
そしてまた、2箇所の略端部のそれぞれと、略中央部の間においては、(略端部の水蒸気透過度の平均値)−(略中央部の水蒸気透過度の平均値)の値が、0.1g/m2・24h以上、1.2g/m2・24h以下、であることが好ましい。
略端部のそれぞれと略中央部との平均値の差が上記範囲よりも小さいガスバリア性蒸着フィルムをバランスよく安定して作製することは困難であり、上記範囲よりも大きい場合には、良好で均一で安定したガスバリア性を達成することが困難になり易い。
該標準偏差が上記範囲よりも小さいガスバリア性蒸着フィルムをバランスよく安定して作製することは困難であり、上記範囲よりも大きい場合には、良好で均一で安定したガスバリア性を達成することが困難になり易い。
そして、このことによって、多数の、同等のガスバリア性を有する包装材料や包装体を作製することができる。
樹脂フィルムに含有される樹脂は、特に制限されるものではなく、公知の樹脂を用いて、樹脂フィルムを作製することができる。尚、本発明においては、樹脂シートを含めて樹脂フィルムと表記する。
表記。)、ポリエチレンフラノエートなどのポリエステル系樹脂;ポリアミド樹脂6、ポリアミド樹脂66、ポリアミド樹脂610、ポリアミド樹脂612、ポリアミド樹脂11、ポリアミド樹脂12などのポリアミド系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのα−オレフィンの重合体などのポリオレフィン系樹脂等からなる樹脂フィルムを用いることができる。
また、ポリエステル系樹脂としては、バイオマス由来のポリエステル系樹脂や、リサイクルポリエステル系樹脂を用いることもでき、特に、バイオマス由来のポリエチレンテレフタレート系樹脂や、リサイクルポリエチレンテレフタレート系樹脂を用いることが好ましい。
樹脂フィルムの破断伸度は、MD方向で50%以上、350%以下が好ましく、TD方向で50%以上、300%以下が好ましい。
例えば、樹脂を乾燥させた後、該樹脂の融点温度(Tm)以上の、Tm〜Tm+70℃の温度に加熱された溶融押出機に供給して、樹脂組成物を溶融し、例えばTダイなどのダイよりシート状に押出し、押出されたシート状物を回転している冷却ドラムなどで急冷固化することにより樹脂フィルムを成形することができる。
このようにして得られた樹脂フィルムは2軸延伸されていることが好ましい。2軸延伸は従来公知の方法で行うことができる。例えば、上記のようにして冷却ドラム上に押し出された樹脂フィルムを、続いて、ロール加熱、赤外線加熱などで加熱し、縦方向に延伸して縦延伸フィルムとする。
縦延伸された樹脂フィルムは、続いて横延伸、熱固定、熱弛緩の各処理工程を順次施して2軸延伸フィルムとなる。横延伸は、通常、50℃以上、100℃以下の温度範囲で行われる。横延伸の倍率は、この用途の要求特性にもよるが、2.5倍以上、5.0倍以下が好ましい。2.5倍未満の場合は樹脂フィルムの厚み斑が大きくなり良好な樹脂フィルムが得られにくく、5.0倍を超える場合は製膜中に破断が発生しやすくなる。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂とは、純粋なポリエチレンテレフタレート、またはポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂であり、ポリエチレンテレフタレート以外の樹脂を含んでいてもよく、ポリエチレンテレフタレートの原料とポリエチレンテレフタレート以外のポリエステル原料とからの共重合体を含んでいてもよい。
該共重合体のジオール単位は、エチレングリコールと、例えば、1,4−ブタンジオール等が挙げられる。
ポリブチレンテレフタレート系樹脂は、純粋なポリブチレンテレフタレート(PBT)または、主成分としてPBTを含む樹脂である。PBTの含有率は、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましい。60質量%より少ないと、PBTとしての力学特性が不十分になり易い。
ルムを含む場合と同様に、包装袋に耐突き刺し性を持たせることができる。さらには、インパクト強度や耐ピンホール性、絞り成形性にも優れる。
しかし、PBTは、高温高湿度環境下で加水分解しやすいため、レトルト処理後の密着強度とガスバリア性の低下を生じ易いが、ナイロンに比べて水分を吸収しにくいという特性を有する。
このような性質を持つことによって、PBTを含有する樹脂フィルムは、レトルト包装袋用に、従来のPETフィルムとナイロンフィルムの貼り合せ包装材に好ましく置き換えることができる。
第1の態様に係る樹脂フィルムの層構成は、樹脂をキャスト法によって多層化して作製されたものであり、複数の単位層を含む多層構造部からなる。
第2の態様に係る樹脂フィルムは、PBTを主たる繰返し単位とするポリエステルを含む単一の層によって構成されている。
例えば、複数の単位層におけるPBTの含有率は、それぞれ、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましい。
なお、複数の単位層においては、n番目の単位層の上にn+1番目の単位層が直接積層されている。すなわち、複数の単位層の間には、接着剤層や接着層が介在されていない。このようなPBTを含有する樹脂フィルムは、少なくとも10層以上、好ましくは60層以上、より好ましくは250層以上、更に好ましくは1000層以上の単位層を含む多層構造部からなる。
また、PBTを含有する樹脂フィルムは、PBTの共重合体であってもよい。ジカルボン酸成分は、テレフタル酸が90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上がより好ましく、98モル%以上がさらに好ましく、100モル%が最も好ましい。
そして、グリコール成分は、4−ブタンジオールが90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上がより好ましく、97モル%以上がさらに好ましい。
第2の構成に係るPBTの含有率は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
第2の態様に係るPBTを含有する樹脂フィルムは、PBT以外のポリエステル樹脂を30質量%以下の範囲で含んでいてもよい。ポリエステル樹脂を含むことにより、PBT結晶化を抑制することができ、ポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂フィルムの延伸加工性を向上させることができる。
バイオマス由来のポリエステル系樹脂は、ジオール単位とジカルボン酸単位とからなるポリエステルを主成分として含んでなる樹脂であり、ジオール単位がバイオマス由来のエチレングリコール単位、ジカルボン酸単位が化石燃料由来のジカルボン酸単位であるポリエステル構造部を、樹脂中に、50〜95質量%、好ましくは50〜90質量%含んでなるものである。
バイオマス由来のエチレングリコールは、サトウキビ、トウモロコシ等のバイオマスを原料として製造されたエタノール(バイオマスエタノール)を原料としたものである。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸及びイソフタル酸等が挙げられ、芳香族ジカルボン酸の誘導体としては、芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル、具体的には、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル及びブチルエステル等が挙げられる。これらの中でも、テレフタル酸が好ましく、芳香族ジカルボン酸の誘導体としては、ジメチルテレフタレートが好ましい。
したがって、ポリエステル中の全炭素原子中に含まれる14Cの割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出することができる。
本発明においては、ポリエステル中の14Cの含有量をP14Cとした場合の、バイオマス由来の炭素の含有量Pbioを、以下のように定義する。
Pbio(%)=P14C/105.5×100
リサイクルポリエステルとは、ポリエステル系樹脂製品を原材料として、メカニカルリサイクルにより製造されたポリエステル系樹脂である。
樹脂フィルムに含まれるPETのうち、イソフタル酸成分の含有量は、PETを構成する全ジカルボン酸成分中に、0.5モル%以上、5モル%以下であることが好ましく、1.0モル%以上、2.5モル%以下であることがより好ましい。
イソフタル酸成分の含有量が0.5モル%未満であると柔軟性が向上しない場合があり、一方、5モル%を超えるとPETの融点が下がり耐熱性が不十分となる場合がある。
。「バイオマスPET」とは、ジオール成分としてバイオマス由来のエチレングリコールを含み、ジカルボン酸成分として化石燃料由来のジカルボン酸を含むものである。このバイオマスPETは、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール成分とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸成分とするPETのみで形成されていてもよいし、バイオマス由来のエチレングリコールおよび化石燃料由来のジオールをジオール成分とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸成分とするPETで形成されていてもよい。
具体的には、上記のジオール成分とジカルボン酸成分とのエステル化反応および/またはエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法、または有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法などによって製造することができる。
また、重縮合反応は、重合触媒の存在下で行うことが好ましい。重合触媒の添加時期は、重縮合反応以前であれば特に限定されず、原料仕込み時に添加しておいてもよく、減圧開始時に添加してもよい。
具体的には、固相重合は、PETをチップ化して乾燥させた後、100℃以上、180℃以下の温度で1時間から8時間程度加熱してPETを予備結晶化させ、続いて、190℃以上、230℃以下の温度で、不活性ガス雰囲気下または減圧下において1時間〜数十時間加熱することにより行われる。
ク酸などの上記脂肪族ジカルボン酸の環状酸無水物が挙げられる。これらの中でも、脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、コハク酸、ダイマー酸またはこれらの混合物が好ましく、コハク酸を主成分とするものが特に好ましい。脂肪族ジカルボン酸の誘導体としては、アジピン酸およびコハク酸のメチルエステル、またはこれらの混合物がより好ましい。
樹脂フィルムに上記したようなリサイクルPETを用いる場合は、最外層である上層、中層、シーラント層に近い下層の3層を備えた樹脂基材としてもよい。
この場合、中層をリサイクルPETのみから構成される層またはリサイクルPETとヴァージンPETとの混合層とし、上層および下層は、ヴァージンPETのみから構成される層とすることが好ましい。
このように、上層および下層にヴァージンPETのみを用いることにより、リサイクルPETが樹脂フィルムの表面または裏面から表出することを防止することができる。このため、積層体の衛生性を確保することができる。
そのため、蒸着工程中とその後のガスバリア性蒸着フィルムの搬送時に、ガスバリア性蒸着フィルムの幅方向の両端部でばたつきが起きても、樹脂フィルム層と無機蒸着層の挙動の違いによる両者の積層界面からの蒸着層内のクラック発生が抑えられ、両端部でのガスバリア性能のばらつきが減少する。
しかしながら、該酸素プラズマ処理面の詳細な化学的な組成については分析する術がない。
で酸素プラズマ処理を行うことにより、安定して酸素プラズマ処理面を樹脂フィルムに形成することができる。
さらに、無機蒸着層との密着性を上げる酸素プラズマ処理を行う為には、略一定距離間隔で対向して設置されたプラズマ電極の間の、マグネットによって酸素プラズマが保持された空間上を、樹脂フィルムを連続的に通過させることが好ましい。
さらに、酸素プラズマを樹脂フィルムの片面に略垂直に衝突させるには、対のプラズマ電極間のバイアス電圧の方向が、樹脂フィルムに対して略垂直であることが好ましい。
本発明においては、樹脂フィルムの片面にのみ、酸素プラズマ処理を行う。
図4は、本発明において、酸素プラズマ処理する為に好適なプラズマ処理装置の一例である、ローラー式連続プラズマ処理装置10の構成を模式的に示す平面図である。
酸素プラズマ処理を終えて得られた酸素プラズマ処理済み樹脂フィルム4は、一旦巻き取られて取り出されてもよく、連続してインラインで、大気に触れさせずに、無機蒸着層3の形成を行ってもよい。
ここで、図示はされていないが、必要に応じて、さらに、張力ピックアップローラーを設け、張力を調整しながら、搬送することもできる。
そして、プラズマ供給手段は、プラズマ形成ガス供給装置18とそれに接続されたプラズマ形成ガス供給ノズル23(以下、供給ノズル23とも記載する。)、プラズマ電極である電極ローラー20と電極22とを含み、磁気形成手段は、マグネット21を含む。
さらに、図示はされていないが、電極22と供給ノズル23とマグネット21は、電極ローラー20の表面に巻かれた樹脂フィルム1の全面をプラズマ処理できるように、電極
ローラー20の軸方向に、電極22a〜c、供給ノズル23a〜cとマグネット21と同様に、複数列配置することができる。
樹脂フィルム1が電極ローラー20の表面に巻かれている状態においては、一方の電極である電極ローラー20と樹脂フィルム1との間隔は略ゼロに固定され、マグネット21と電極ローラー20との間隔は略一定距離に保たれている。
そして、該空隙の空間に、供給ノズル23a〜cを開口してプラズマ形成ガスを供給し、電極ローラー20と電極22との間に電圧を印加し、プラズマPを発生させる。
酸素プラズマPを発生させるための電力は、50W・sec/m2以上、4000W・sec/m2以下が好ましい。50W・sec/m2未満では、酸素プラズマ処理の効果が発現し難く、また4000W・sec/m2よりも大きいと、樹脂フィルム1の消耗、破損着色、焼成など酸素プラズマPによる樹脂フィルム1の劣化が起き易い傾向になる。
減圧チャンバ12には、図示はされていないが、圧力調整バルブを介して真空ポンプが接続されており、樹脂フィルム搬送室12A、プラズマ処理室12B全体は減圧可能となっており、必要に応じて、各室内部に排気室を持つことができ、プラズマ処理時の気圧の制御や、樹脂フィルム搬送室12AへのプラズマPの侵入を制御が可能である。
真空ポンプには、ドライポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオポンプなどを用いることができ、その排気能力及び圧力調整バルブの開度調整により任意に減圧設定することが可能となっており、9.0×10-5Paまで減圧可能である。
樹脂フィルム搬送室12Aは、電極の存在するプラズマ処理室12Bとは隔壁35a(ゾーンシール)により仕切られ圧力が異なる。樹脂フィルム搬送室12Aとプラズマ処理室12Bとを圧力的に異なる空間とすることにより、プラズマ処理室12BのプラズマPが樹脂フィルム搬送室12Aに漏れることによりプラズマ処理室12Bのプラズマ放電状
態が不安定になったり、樹脂フィルム搬送室12Aの部材を傷めたり、樹脂フィルム搬送機構の制御のための電気回路に電気的ダメージを与えて、制御不良を引き起こすことがなくなり、安定した成膜及び樹脂フィルム搬送が可能となる。
電極ローラー20をプラズマ電極の一方の電極として用いて樹脂フィルム1を巻きつかせることによって樹脂フィルム1が酸素プラズマ処理時の熱によって収縮して破損することを防ぐことが容易になり、さらに、樹脂フィルム1に対して、酸素プラズマを均一で広範囲に略垂直に衝突させることが容易になる。
電極ローラー20のローラー本体や回転軸、ベアリング、ローラー支持体には金属製の導電性材料を用いて、電極ローラー20の樹脂フィルム1が巻かれる円柱形状の側外周面部表面の両端部と回転軸周囲には電気的な絶縁部を設けることが好ましい。
あるいは、電極ローラー20は、電気的にフローティングレベル、すなわち絶縁電位に設置してもよい。電極ローラー20の電位をフローティングレベルとすることで、電力の漏れを防ぐことができ、酸素プラズマ処理の投入電力を高くして、酸素プラズマ処理への利用効率を高めることができる。
樹脂フィルム1の片面側の空間にプラズマPを高密度で均一に保持させる為に、マグネット21と電極ローラー20のとの間隔は略一定距離に保たれている。
磁気形成手段であるマグネット21は、絶縁性スペーサを有するマグネットケース内のベースプレート上に設置することが好ましい。
さらに、電極部やマグネット21の近傍に局所的に偏って熱電子やイオンが蓄積することがなくなることから、構成部材への耐熱性要求が低くなり、安価に構成部材を作製できるほか、熱変形、構造物の穴あきや割れ発生といった不具合の発生を抑えることが可能となる。
電極22は、電極ローラー20の外周近傍に所望のプラズマPを所望の密度で発生させることが可能であり、電極ローラー20との間にプラズマPを正電位にするバイアス電圧を印加できるように、電力供給配線31を通して電源32に接続されている。
電極22は、電力を投入するために導電性で、プラズマ耐性に優れ、耐熱性を有し、冷却水による冷却効率が高く(熱伝導率が高く)、非磁性材料で、加工性に優れた材料を用い、作製することが好ましい。具体的には、アルミニウム、銅、ステンレスが好適に用いられる。
電極22は、マグネット21が内蔵されたマグネットケースに設置された絶縁性シールド板に取り付けられていることが好ましい。該絶縁性シールド板は、絶縁性で、プラズマ耐性に優れ、耐熱性を有し、加工性に優れた材料を用いることが好ましい。具体的にはフッ素樹脂、ポリイミド樹脂が好適に用いられる。
供給ノズル23は、プラズマ形成ガス供給装置18に接続され、供給されるプラズマ形成ガスは、ガス貯留部(図示せず)から、流量制御器(図示せず)を介することでガスの流量を計測しつつ供給されることが好ましい。
なお、図では、供給ノズル23は各箇所一つとなっているが、供給するプラズマ形成ガスの種類毎に個別に設けられても良い。
また、供給するプラズマ形成ガスは、酸素/アルゴンの体積比が、1/1以上、3/1以下の割合で含有する、混合ガスであることが好ましい。
プラズマ形成ガスは、この混合ガスをひとつの供給ノズル23から供給しても良く、酸素とアルゴンの各々を別々の供給ノズル23から供給しても良い。
さらに、プラズマ形成ガスには、窒素、二酸化炭素などを混ぜても良い。
図5は、本発明において、酸素プラズマ処理する為に好適なプラズマ処理装置の別の態様の一例である、ローラー式連続プラズマ処理装置10の構成を模式的に示す平面図である。
ローラー式連続プラズマ処理装置10は、プラズマ処理手段として、プラズマ供給手段と磁気形成手段を含む。
そして、プラズマ供給手段は、プラズマ形成ガス供給装置18と、それに接続された電極兼プラズマ形成ガス供給ノズル26と電極ローラー20とを含み、磁気形成手段は、マグネット21を含む。
電極兼プラズマ形成ガス供給ノズル26は、電極ローラー20との間に任意の電圧を印加するための電極と、プラズマ形成ガス供給手段とを兼ねた部品であり、プラズマPを正電位にするバイアス電圧を印加できるように、電力供給配線31を通して電源32に接続されている。
電極兼プラズマ形成ガス供給ノズル26の電極部は、電力を投入するために導電性で、プラズマ耐性に優れ、耐熱性を有し、冷却水による冷却効率が高く(熱伝導率が高く)、非磁性材料で、加工性に優れた材料を用い、作製することが好ましい。具体的には、アルミニウム、銅、ステンレスが好適に用いられる。
さらに、図示はされていないが、電極兼プラズマ形成ガス供給ノズル26とマグネット21は、電極ローラー20の表面に巻かれた樹脂フィルム1の全面をプラズマ処理できるように、電極ローラー20の軸方向に、電極兼プラズマ形成ガス供給ノズル26a〜cとマグネット21と同様に、複数列配置することができる。
そして、電極ローラー20とマグネット21との間隔は略一定距離に保たれている。
そして、該空隙の空間に、電極兼プラズマ形成ガス供給ノズル26a〜cを開口して、プラズマ形成ガスを供給し、電極ローラー20と対向する電極兼プラズマ形成ガス供給ノズル26a〜cとを印加してプラズマPを発生させる。
そして、プラズマPはマグネット21によって該空間内に高密度で均一に保持され、電極ローラー20と対向する電極兼プラズマ形成ガス供給ノズル26a〜cとの間の樹脂フィルム1に対して略垂直方向に生じているバイアス電圧によって、樹脂フィルム1の片面の全面に対して略垂直方向に酸素プラズマが均一に打込まれ、樹脂フィルム1の片面の全面に無機蒸着層3との密着性が向上した酸素プラズマ処理面2が効率的に形成される。
供給されるプラズマ形成ガスは、ガス貯留部(図示せず)から、流量制御器(図示せず)を介することで流量を計測しつつ供給されることが好ましい。
本発明における無機蒸着層の組成は特に限定されないが、ガスバリア性の無機蒸着膜として使用することから、具体的には、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、チタン、スズ、インジウム、亜鉛、ジルコニウム等の金属、またはこれらの酸化物、窒化物、炭化物、及びそれらの混合物が挙げられる。
無機蒸着層は、上記の中でも、金属蒸着層または金属酸化物蒸着層であることが好ましい。
また、無機蒸着層が金属酸化物蒸着層の場合には、酸化アルミニウム蒸着層であることがより好ましい。
そして、酸化アルミニウム蒸着層の、X線光電子分光法(XPS)による、酸素原子/アルミニウム原子のモル比が、1.2以上、5以下であることが更に好ましい。
酸化アルミニウム蒸着層が、上記範囲のモル比の高酸化度であることによって、酸化アルミニウム蒸着層の透明性と耐水密着性とガスバリア性が高くなる。
そして、生産性を重視する場合には、3nm以上、12nm未満が好ましく、高度なガスバリア性や、機械的・熱的・湿度的な耐久性や、レトルト適性を求める場合には、12nm以上、50nm以下が好ましい。
オフラインで行われた場合でも、本発明のガスバリア性蒸着フィルムの無機蒸着層は充分な密着性を発揮するが、インラインで行うことによって、酸素プラズマ処理面の化学的な変化が少なくてすみ、更に優れた密着性を発揮することができる。
無機蒸着層形成装置としては、公知の、抵抗加熱真空成膜装置、スパッタリング装置、イオンプレーティング成膜装置、イオンビームアシスト成膜装置、クラスターイオンビーム成膜装置などの物理蒸着装置や、プラズマCVD成膜装置、プラズマ重合成膜装置、熱CVD成膜装置、触媒反応型CVD成膜装置などの化学蒸着装置を用いることができる。
例えば、図6に記載された連続無機蒸着層形成装置において、蒸着層形成室12Dには、蒸着ローラー24及び蒸着層形成手段25を含む無機蒸着層形成装置が設けられている。この無機蒸着層形成装置によって、酸素プラズマ処理済み樹脂フィルム4の酸素プラズマ処理面2に、無機蒸着層3が形成される。
そして、金属蒸着層を形成する場合には、ガス供給手段から不活性ガスを供給して酸素プラズマ処理面2に金属蒸着層を形成することができ、金属酸化物蒸着層を形成する場合には、ガス供給手段から酸素を含むガスを供給して酸素プラズマ処理面2に金属酸化物蒸着層を形成することができる。
例えば、金属材料としてはアルミニウム線材を用い、抵抗加熱による加熱手段によってアルミ金属蒸気を発生させ、酸素/アルゴン混合ガスによって酸化しつつ酸素プラズマ処理面上に積層して酸化アルミニウム蒸着層を形成することができる。
蒸着層形成室12Dに設けられる無機蒸着層形成装置は1台でもよく、同種または異種の無機蒸着層形成装置を2台以上設けてもよい。
得るには、複数の無機蒸着層形成装置を設け、同じ組成の無機蒸着層を複数回積層することが好ましい。
また、複数の無機蒸着層形成装置により、異なる組成の無機蒸着層3を形成してもよく、その場合には、ガスバリア性だけでなく、さまざまな機能を付与された多層膜を得ることができる。
さらに、蒸着ローラー24の表面は傷つき防止のために、硬質のクロムハードコート処理等を施してもよい。これらの材料は加工が容易であり、また、蒸着ローラー24自体の熱伝導性がよいので、温度制御を行う際の温度制御性が優れたものとなる。
蒸着ローラー24の表面は、平坦であればあるほど好ましい。
蒸着ローラー24が温度調節機構を有することによって、無機蒸着層形成時に発生する熱による酸素プラズマ処理済み樹脂フィルム4の温度の変動を抑えることが可能になる。
具体的には、冷却媒体(冷媒)としてエチレングリコール水溶液を、熱源媒体(熱媒)としてシリコンオイルを用いて、蒸着ローラー24内を循環させることによって温度調節したり、蒸着ローラー24と対向する位置にヒータを設置して加熱したりすることが可能である。
酸素プラズマ処理済み樹脂フィルム4を、バリア性積層フィルム搬送室12Cから、ガイドローラー14cを経由して、蒸着層形成室12D内の蒸着ロール24に巻きつかせ、バリア性積層フィルム搬送室12Cに、ガイドローラー14dを経由して、酸素プラズマ処理面2が表になるように巻き取りローラー15へと導く。
そして、バリア性積層フィルム搬送室12Cと蒸着層形成室12D内を真空ポンプにより減圧する。
所定の圧力にまで減圧した後、蒸着層形成手段25による無機蒸着層3の形成が開始される。
本発明のガスバリア性蒸着フィルムの無機蒸着層の表面上には、隣接して、有機保護層を積層することができる。有機保護層としては、ガスバリア性被覆層および/またはプライマー層を適用することができる。
ガスバリア性被覆層とプライマー層の両層を積層する場合には、どちらの層が無機蒸着層の表面上に隣接して積層されていてもよいが、ガスバリア性被覆層が無機蒸着層の表面上に隣接して積層されていることが好ましい。
ガスバリア性被覆層は、ガスバリア性蒸着フィルムのガスバリア性とレトルト耐性を向上させるものである。
有するガスバリア樹脂組成物(バリアコート剤)を塗布して、固化し、形成されたものであることが好ましい。
ガスバリア樹脂組成物の組成は、例えば、金属アルコキシド100質量部に対して、水酸基含有水溶性樹脂を100〜500質量部が好ましい。
更に、シランカップリング剤を含有する場合には、1〜20重量部位の範囲内で含有することが好ましい。上記範囲よりも多いと、ガスバリア性被覆層の剛性と脆性とが大きくなり過ぎて好ましくない。
ガスバリア性被覆層の乾燥後の膜厚は、100〜500nmが好ましい。この範囲であれば、ガスバリア性被覆層が割れ難く、無機蒸着層の表面を十分に被覆して保護することができる。
金属アルコキシドのMで表される金属原子としては、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、その他等を例示することができ、例えば、MがSiであるアルコキシシランを使用することが好ましい。
上記のアルコキシシランの具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン Si(OCH3)4、テトラエトキシシラン Si(OC2H5)4、テトラプロポキシシラン Si(OC3H7)4、テトラブトキシシラン Si(OC4H9)4、その他等を使用することができる。上記アルコキシドは、2種以上を併用してもよい
ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、従来のゾルゲル法で用いられている範囲(100〜5000程度)のものであれば用いることができる。
このようなポリビニルアルコール系樹脂としては、株式会社クラレ製のRS樹脂である「RS−110(ケン化度=99%、重合度=1,000)」、日本合成化学工業株式会社製の「ゴーセノールNM−14(ケン化度=99%、重合度=1,400)」等を挙げることができる。
例えば、酢酸基が数十モル%残存している部分ケン化物から、酢酸基が数モル%しか残存していないかまたは酢酸基が残存しない完全ケン化物まで含み、特に限定されるものではない。
エチレン・ビニルアルコール共重合体のケン化度は、80モル%以上、100%以下が好ましく、90モル%以上、100モル%以下がより好ましく、95モル%以上、100モル%以下が更に好ましい。
酸の含有量は、金属アルコキシドのアルコキシ基の総モル量に対して、好ましくは0.001〜0.05モル%であり、より好ましくは0.01〜0.03モル%である。0.001%モルよりも少ないと触媒効果が小さすぎ、0.05モル%よりも多いと触媒効果が強すぎて反応速度が速くなり過ぎ、不均一になり易い傾向になる。
アミン系化合物の含有量は、金属アルコキシド100質量部当り、例えば0.01〜1.0質量部、特に0.03〜0.3質量部を含有することが好ましい。0.01質量部よりも少ないと触媒効果が小さすぎ、1.0質量部よりも多いと触媒効果が強すぎて反応速度が速くなり過ぎ、不均一になり易い傾向になる。
まず、金属アルコキシドと水酸基含有水溶性樹脂、更には、必要に応じて、シランカップリング剤、ゾルゲル法触媒等を溶媒に添加して混合し、ガスバリア樹脂組成物を調製する。
次いで、無機蒸着層の上に、常法により、上記のガスバリア樹脂組成物を塗布し、乾燥する。この乾燥工程によって、ガスバリア樹脂組成物中の重縮合反応が更に進行し、塗膜が形成される。
そして次に、20〜200℃、かつ樹脂フィルムの融点以下の温度、好ましくは、50〜180℃の範囲の温度で、3秒〜10分間加熱処理する。これによって、ガスバリア樹脂組成物の重縮合反応が更に進行し、ガスバリア性被覆層が形成される。
プライマー層は、ガスバリア性蒸着フィルムのガスバリア性と他の樹脂層との接着性を向上させるものである。
プライマー層は、少なくとも、ウレタン樹脂を含有するプライマー液を塗布して、固化し、形成されたものであることが好ましい。そして、必要に応じて、さらに、シランカップリング剤やシリカ微粒子を含むことが好ましい。
ウレタン樹脂としては、従来公知のポリエステルウレタン樹脂およびポリエーテルウレタン樹脂のいずれも用いることができる。このようなウレタン樹脂としては、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオール等のポリオールと、ポリイソシアネートとの反応物を用いることができる。
キサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。また、ポリエーテルポリオールとして、上記のポリエーテルポリオールをポリイソシアネートで変性して得られる、分子構造内にウレタン結合を持つポリエーテルポリウレタンポリオールを用いることもできる。これらのポリエーテルポリオールは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
特に、ウレタン樹脂がポリエーテルポリウレタンの場合に、プライマー層がシリカ微粒子を含むことで、ガスバリア性蒸着フィルムの製造工程において、巻き取り時のブロッキングを抑制することができる。
本発明のガスバリア性積層体は、本発明のガスバリア性蒸着フィルムからなる層とシーラント層とを有する積層体であり、本発明のガスバリア性蒸着フィルムに、ヒートシール可能なシーラント層を、接着剤を介して、あるいは介することなく、積層して作製される。
そして、本発明のガスバリア性積層体は、本発明のガスバリア性蒸着フィルムにおける
本発明の規定を満たすガスバリア性を有している。
シーラント層は、1種または2種以上のヒートシール性樹脂を含む層であり、加熱によって接着することができる層であり、樹脂フィルムを用いたドライラミネーションあるいは共押出を含む押出ラミネーションや、樹脂塗布膜等から形成される層である。
更には、種々の機能を備えた機能層や、接着剤層を含むこともできる。しかし、ガスバリア性積層体の片面最表層を構成する層は、ヒートシール性に優れた樹脂を含むことが好ましい。
本発明のガスバリア性包装材料は、本発明のガスバリア性積層体から作製される包装材料である。
本発明のガスバリア性積層体に、更に、用途に応じた機能フィルムを積層させて、ガスバリア性包装材料を作製することもできる。
例えば、レトルト用の包装材料であれば、耐ピンホール構造として、ナイロンフィルムを、また耐熱構造として耐熱シーラントCPPなどを積層することができる。或いは、液体紙容器用の包装材料であれば、紙を積層することができる。
そして、本発明のガスバリア性包装材料は、本発明のガスバリア性蒸着フィルムにおける本発明の規定を満たすガスバリア性を有している。
本発明のガスバリア性包装体は、本発明のガスバリア性包装材料から作製される包装体である。
例えば、多層フィルムからなるガスバリア性包装材料のシーラント層を熱融着させるようなヒートシール加工によって、ピロー包装袋、三方シール、四方シール、ガセットタイプ等の形態のガスバリア性包装体を作製できる。また、紙を積層した積層体から作製された包装材料であれば、お酒、ジュース等のゲーベルトップ型の液体紙容器包装体を作製できる。
樹脂フィルムとして、厚さ12μm、幅2000mm、長さ40000mの石油由来のポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルム)を巻き取ったロール巻きを22個準備した。
酸素プラズマ前処理装置を配置した前処理区画と成膜区画を隔離した図5に概要を示す連続蒸着膜成膜装置を用いて、以下の条件で、PETフィルムの片面に対する酸素プラズマ処理と、酸素プラズマ処理面上に厚さ8nmの酸化アルミニウム蒸着膜の形成を行い、連続して22個のガスバリア性蒸着フィルムのロール巻きを作製した。
そして、各ロール巻きの巻き終わり部のガスバリア性蒸着フィルムのガスバリア性を測定した。
・搬送速度:600m/min
・プラズマ強度:60W・sec/m2
・プラズマ形成ガス比:酸素/アルゴン=2/1
・前処理ドラム−プラズマ供給ノズル間印加電圧:280V
・前処理区画の真空度:3.8Pa
・磁気形成手段:1000ガウス
・真空蒸着法の加熱手段:反応性抵抗加熱方式
・真空度:8.1×10-2Pa
・搬送速度:600m/min
実施例の酸素プラズマ処理に替えて、ダイレクトプラズマ方式を用いて下記の条件でプラズマ処理した後に、実施例1と同様の条件で厚さ8nmの酸化アルミニウム蒸着膜の形成を行い、ガスバリア性蒸着フィルムを得た。
同操作を繰り返して、22個のガスバリア性蒸着フィルムのロール巻きを作製し、実施例1と同様に、各々のロールの巻き終わり部のガスバリア性を測定した
・プラズマ強度:150W・sec/m2
・プラズマ形成ガス比:酸素/アルゴン=2/1
・磁気形成手段:なし
・前処理ドラム−プラズマ供給ノズル間印加電圧:なし
[ガスバリア度の測定]
(測定点)
・フィルム幅方向:図7に示したように、ガスバリア性蒸着フィルムの幅2000mmの、下記の略端部1(G1)、中央部(G2)、略端部2(G3)の3地点で測定した。(G1とG3の間隔は、1870mm)
略端部1(G1):幅方向の端から65mm
中央部(G2):略端部G1と略端部G3の中間点
略端部2(G3):幅方向のG1とは反対の端から65mm
ロール巻き22個分の、各ロール巻を、略端部1、中央部、略端部2のそれぞれにおける水蒸気透過度と酸素透過度とを集計し、最大値、最小値、平均値、最大値と最小値の差
、標準偏差を求めた。
さらに、略端部1と略端部2のそれぞれの平均値の、略中央部の平均値との差を、下記式から求めた。
(略端部1の平均値)−(略中央部の平均値)
(略端部2の平均値)−(略中央部の平均値)
・水蒸気透過度の測定
水蒸気透過度測定装置(モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パーマトラン(PERMATRAN)3/33〕)を用いて、センサー側がガスバリア性蒸着フィルムの樹脂フィルム面となるようにセットし、40℃、100%RH雰囲気下の測定条件で、JIS K7129法に準拠して、水蒸気透過度(g/m2・24h)を測定した。測定結果を表1に示した。
酸素透過度測定装置(モダンコントロール(MOCON)社製〔機種名:オクストラン(OX−TRAN)2/21〕)を用いて、酸素供給側がガスバリア性蒸着フィルムの樹脂フィルム面となるようにセットし、23℃、90%RH雰囲気下の測定条件で、JIS
K7126法に準拠して、酸素透過度(cc/m2・atm・24h)を測定した。測定結果を表2に示した。
実施例の略端部1、略中央部及び略端部2のそれぞれの水蒸気透過度及び酸素透過度の平均値は、比較例のそれらに比べて小さくなっていることから、優れたガスバリア性であることを示しており、また、実施例の略端部1、略中央部及び略端部2における水蒸気透過度及び酸素透過度のばらつき(最大値と最小値の差および標準偏差)は、比較例のそれらに比べ小さくなっている。
さらに、本発明のガスバリア性蒸着フィルムの製造方法は、ガスバリア性蒸着フィルムの幅方向のガスバリア性を均一にすることができる、優れた製造方法である。
2 酸素プラズマ処理面
3 無機蒸着層
4 酸素プラズマ処理済み樹脂フィルム
5 有機保護層(バリア性被覆層および/またはプライマー層)
6 シーラント層
7 ガスバリア性蒸着フィルム
8 ガスバリア性積層体
TD フィルム幅方向
MD フィルム流れ方向
G1 ガスバリア度の測定点(略端部1)
G2 ガスバリア度の測定点(略中央部)
G3 ガスバリア度の測定点(略端部2)
P (酸素)プラズマ
10 ローラー式連続酸素プラズマ処理装置
11 ローラー式連続蒸着層形成装置
12 減圧チャンバ
12A 樹脂フィルム搬送室
12B プラズマ処理室
12C バリア性積層フィルム搬送室
12D 蒸着層形成室
13 巻出しローラー
14a〜d ガイドローラー
15 巻取りローラー
18 プラズマ形成ガス供給装置
20 電極ローラー
21 マグネット
22a〜c 電極
23a〜c プラズマ形成ガス供給ノズル
24 蒸着ローラー
25 蒸着層形成手段
26a〜c 電極兼プラズマ形成ガス供給ノズル
31 電力供給配線
32 電源
35a〜d 隔壁
Claims (12)
- 樹脂フィルムの酸素プラズマ処理面に無機蒸着層が形成されたガスバリア性蒸着フィルムであって、
該酸素プラズマ処理面は、1〜9Paの気圧下で、略一定距離でプラズマ電極が対向し、且つ、酸素プラズマがマグネットによって略等密度で保持されている空間を樹脂フィルムが連続的に通過して流れ、プラズマ電極間のバイアス電圧によって、該酸素プラズマを該樹脂フィルムの片面に、略垂直に衝突させることによって形成された面であり、
該ガスバリア性蒸着フィルムの、流れ方向と直交する幅方向の、2箇所の略端部および略中央部の、それぞれにおける、酸素透過度の平均値が、2.5cc/m2・atm・24h以下であり、水蒸気透過度の平均値が2.5g/m2・24h以下であり、
(略端部の酸素透過度の平均値)−(略中央部の酸素透過度の平均値)の値が、0.1cc/m2・atm・24h以上、1.2cc/m2・atm・24h以下であり、
(略端部の水蒸気透過度の平均値)−(略中央部の水蒸気透過度の平均値)の値が、0.1g/m2・24h以上、1.2g/m2・24h以下であることを特徴とする、該幅方向のガスバリア性が均一な、ガスバリア性蒸着フィルム。 - 2箇所の前記略端部および略中央部のそれぞれにおける、酸素透過度の、最大値と最小値の差が、3cc/m2・atm・24h以下であり、標準偏差が、0.1cc/m2・atm・24h以上、0.9cc/m2・atm・24h以下であることを特徴とする、請求項1に記載のガスバリア性蒸着フィルム。
- 2箇所の前記略端部および略中央部のそれぞれにおける、水蒸気透過度の、最大値と最小値の差が、2.5g/m2・24h以下であり、標準偏差が、0.2g/m2・24h以上、0.7g/m2・24h以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のガスバリア性蒸着フィルム。
- 前記酸素プラズマ処理面と、前記無機蒸着層とが、インラインで、連続的に形成された面であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のガスバリア性蒸着フィルム。
- 前記無機蒸着層上に、さらに有機保護層が隣接して積層されていることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の、ガスバリア性蒸着フィルム。
- 前記樹脂フィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の、ガスバリア性蒸着フィルム。
- 前記樹脂フィルムが、バイオマス由来のポリエステルフィルムであることを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の、ガスバリア性蒸着フィルム。
- 前記樹脂フィルムが、リサイクルポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の、ガスバリア性蒸着フィルム。
- 請求項1〜8の何れか1項に記載のガスバリア性蒸着フィルムからなる層と、シーラント層とを有することを特徴とする、ガスバリア性積層体。
- 請求項9に記載のガスバリア性積層体から作製されたことを特徴とする、ガスバリア性包装材料。
- 請求項10に記載のガスバリア性包装材料から作製されたことを特徴とする、ガスバリ
ア性包装体。 - 1〜9Paの気圧下で、略一定距離でプラズマ電極が対向し、且つ、酸素プラズマがマグネットによって略等密度で保持されている空間に樹脂フィルムを連続的に通過させ、プラズマ電極間のバイアス電圧によって、該酸素プラズマを該樹脂フィルムの片面に、略垂直に衝突させることによって酸素プラズマ処理面を形成する工程と、該酸素プラズマ処理面に蒸着法によって無機蒸着層を形成する工程とを、インラインで、連続的に行ってガスバリア性蒸着フィルムを作製することを特徴とする、ガスバリア性蒸着フィルムの製造方法であって、
該ガスバリア性蒸着フィルムの、流れ方向と直交する幅方向の、2箇所の略端部および略中央部の、それぞれにおける、酸素透過度の平均値が、2.5cc/m2・atm・24h以下であり、水蒸気透過度の平均値が2.5g/m2・24h以下であり、
(略端部の酸素透過度の平均値)−(略中央部の酸素透過度の平均値)の値が、0.1cc/m2・atm・24h以上、1.2cc/m2・atm・24h以下であり、
(略端部の水蒸気透過度の平均値)−(略中央部の水蒸気透過度の平均値)の値が、0.1g/m2・24h以上、1.2g/m2・24h以下であることを特徴とする、該幅方向のガスバリア性が均一なガスバリア性蒸着フィルムの製造方法。
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