JP7192781B2 - 積層フィルム、バリア性積層フィルム及び該バリア性積層フィルムを用いたガスバリア性包装材料、ガスバリア性包装体 - Google Patents

積層フィルム、バリア性積層フィルム及び該バリア性積層フィルムを用いたガスバリア性包装材料、ガスバリア性包装体 Download PDF

Info

Publication number
JP7192781B2
JP7192781B2 JP2019550319A JP2019550319A JP7192781B2 JP 7192781 B2 JP7192781 B2 JP 7192781B2 JP 2019550319 A JP2019550319 A JP 2019550319A JP 2019550319 A JP2019550319 A JP 2019550319A JP 7192781 B2 JP7192781 B2 JP 7192781B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
barrier
aluminum oxide
laminated film
laminated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019550319A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2019087960A1 (ja
Inventor
好弘 岸本
梓 鈴木
可成 青野
雄一郎 浅井
翔平 伊丹
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Publication of JPWO2019087960A1 publication Critical patent/JPWO2019087960A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7192781B2 publication Critical patent/JP7192781B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B9/00Layered products comprising a layer of a particular substance not covered by groups B32B11/00 - B32B29/00
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B65CONVEYING; PACKING; STORING; HANDLING THIN OR FILAMENTARY MATERIAL
    • B65DCONTAINERS FOR STORAGE OR TRANSPORT OF ARTICLES OR MATERIALS, e.g. BAGS, BARRELS, BOTTLES, BOXES, CANS, CARTONS, CRATES, DRUMS, JARS, TANKS, HOPPERS, FORWARDING CONTAINERS; ACCESSORIES, CLOSURES, OR FITTINGS THEREFOR; PACKAGING ELEMENTS; PACKAGES
    • B65D65/00Wrappers or flexible covers; Packaging materials of special type or form
    • B65D65/38Packaging materials of special type or form
    • B65D65/40Applications of laminates for particular packaging purposes

Description

本発明は、食品、医薬品、ペットフードなどレトルト処理を行う包装材料として好適に使用できる、酸素および水蒸気に対するバリア性に優れ、レトルト処理後のプラスチック基材と酸化アルミニウム蒸着膜との密着性が改善されたバリア性を備える積層フィルム及び耐レトルト性を有する該積層フィルムを用いたバリア性積層フィルム並びに包装材料に関する。
食品、医薬品等のレトルト処理を必要とする分野では、内容物の変質を防止し、かつ機能や性質を維持できるように、温度、湿度などの影響を受けない、より高いバリア性を、安定して発揮し得るバリア性積層フィルムが求められ、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の蒸着膜の薄膜からなるバリア層とバリア性の塗膜層を積層した多層構造のバリア性積層フィルムも開発されている。
しかしながら、温度、湿度などの影響を受けやすいバリア性に優れた蒸着膜を有する積層フィルムのプラスチック基材は、寸法変化を起こし易く、このため、プラスチック基材の寸法変化に伴う伸縮に対応して、その上に設けた、酸化ケイ素蒸着膜、あるいは酸化アルミニウム蒸着膜等の蒸着膜の追従が困難である。
そのため、プラスチック基材と、酸化ケイ素蒸着膜あるいは酸化アルミニウム蒸着膜等の蒸着膜との層間において、高温多湿の厳しい環境下等において、しばしば層間剥離現象が生じ、更に、クラックやピンホ-ル等も発生する。
その結果、本来のバリア性能を著しく棄損し、そのバリア性能を保持することが極めて困難であるという問題がある。
上記の蒸着膜を用いる方法で、プラスチック基材上に酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を形成する場合において、プラスチック基材と形成した蒸着膜との間で高い密着性を得るために、平行平板型装置によるインラインプラズマ前処理や、アンダーコート処理層の形成といったプラスチック基材表面を改質する方法が実施されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献1の、一般的に用いられる平行平板型装置によるインラインプラズマ処理法は、プラスチック表面に水酸基やカルボニル基などの官能基を導入し、同官能基を介在して蒸着膜間との密着性を発現させている。しかし、水酸基による水素結合で密着性を発現させたものは、電子ペーパーなどの電子デバイス、レトルト包装材料などの用途に必要とされる高温多湿環境下では水素結合が破壊されるため密着性が著しく低下する問題がある。
また、上記プラズマ処理は空気中で発生させたプラズマ雰囲気下をフィルムが通過するだけであることから基材と蒸着膜間で十分な高温多湿の厳しい環境下等における密着性が得られていないのが実情である。
また、特許文献2に記載のアンダーコート処理法は、プラスチックフィルム表面に接着層としてアンダーコート層を設けるもので、一般的に実施されているが、製造法として工程が増えるためコストアップとなる。
そこで、プラズマ発生のための電極を基材側にしてプラズマを発生させるリアクティブイオンエッチング(RIE)方式を用いてプラスチック基材表面に前処理を施すことにより、密着性を向上する技術が実施されている(特許文献3)。
前記プラズマRIE法は、基材の表面に官能基を持たせるなどの化学的効果と、表面をイオンエッチングして不純物等を飛ばし平滑化するという物理的効果の、2つの効果を同時に得ることで密着性を発現するものである。
RIE法では、上記インラインプラズマ処理と異なり、水素結合で密着性を発現していないことから、高温多湿環境下での密着性の低下は見られない。
しかし、RIE法では、プラスチック基材上に官能基を持たせるため、界面での加水分解等を生じる耐水、耐熱水性が依然として不十分である。また、RIE法で十分な密着性を得るためには、一定値以上のEd値(=プラズマ密度×処理時間)が必要である。
同法で一定値以上のEd値を得るためにはプラズマ密度を高くする方法と、処理時間を長くする方法が考えられるが、プラズマ密度を高くする場合は、高出力の電源が必要であり、基材のダメージが大きくなる問題があり、処理時間を長くする場合は、生産性の低下が問題となる(特許文献4、特許文献5参照)。
そのため、上記のような搬送されるプラスチック基材表面に無機酸化物の蒸着膜を形成する上での問題を解決し、レトルト処理後においても、プラスチック基材と蒸着膜との密着性が良好で、バリア性に優れた積層フィルムが望まれている。
特に、食品、医薬品等の高温高圧でのレトルト処理、殺菌処理を必要とする分野では、内容物の変質を防止し、かつ機能や性質を維持できるように、温度、湿度などの影響を受けない、より高いバリア性を、安定して発揮し得るバリア性積層フィルムが求められ、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の酸化アルミニウムの薄膜からなるバリア層とバリア性の塗膜層を積層した多層構造を有する耐レトルト性に優れたバリア性積層フィルムが望まれている。
特開平7-233463号公報 特開2000-43182号公報 特開2005-335109号公報 特許第4461737号公報 特許第4135496号公報
従来技術の問題点において、熱水処理によるレトルト処理は、プラスチック基材と酸化アルミニウム蒸着膜の界面に大きな機械的及び化学的なストレスを与える。このストレスによりバリア性が劣化してしまう。この部位にストレスがかかるのは、この部位が積層構成の中で一番脆弱だからである。従って、レトルト耐性を得るためには、基材との界面に強固に蒸着膜を被覆することが重要である。
一方で、水酸化アルミニウムは、その化学構造によりプラスチック基材との密着性がよく、またそれ自体がネットワークを作り緻密なため、高い水蒸気バリア性を有する。しかし、レトルト処理のような強力な環境に対して、水酸化アルミニウムと基材との水素結合に基づく結合構造は微視的に崩れやすい。また、水酸化アルミニウムのネットワークに対しても、水分子と水酸化アルミニウムの粒界面の親和性から膜中に浸透しやすい。
本発明は、上記の課題及び知見に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、熱水処理後であっても、プラスチック基材と酸化アルミニウム蒸着膜との密着性が良好で、かつバリア性に優れた蒸着膜を有する積層フィルム、さらには該積層フィルムを含み、いわゆる耐レトルト性に優れた酸化アルミニウム蒸着膜を備えるバリア性積層フィルム並びに該バリア性積層フィルムを用い、密着性及びバリア性に優れた耐レトルト性に優れたガスバリア性包装材料、ガスバリア性包装体を提供することである。
これらの目的を達成するため、本発明の積層フィルムは、プラスチック基材の表面に酸化アルミニウムを主成分とする酸化アルミニウム蒸着膜を形成したバリア性を備える積層フィルムにおいて、基材フィルム表面と形成された酸化アルミニウム蒸着膜を主体する蒸着膜との密着強度を規定する該蒸着膜の遷移領域が形成されており、該遷移領域は、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を用いてエッチングを行うことで検出される水酸化アルミニウムに変成する元素結合AlHを含み、TOF-SIMSを用いてエッチングを行うことで規定される酸化アルミニウム蒸着膜に対する、TOF-SIMSを用いて規定される該変成される遷移領域の割合により定義される遷移領域の変成率が45%以下とするものである。
二次イオン質量分析(SIMS:secondary Ion Mass Spectrometry)は、一次イオンビームを被分析試料表面に照射して、試料表面からスパッタリングされて放出される二次イオンを質量分析する元素濃度分布の分析方法である。この二次イオン質量分析法では、スパッタリングを進行させつつ二次イオン強度を検出する。従って、二次イオン、即ち被検出元素イオン又は被検出元素と結合した分子イオンのイオン強度の時間推移のデータに対して、推移時間を深さに換算することで、試料表面の深さ方向の被検出元素の濃度分布を知ることができる。
本発明において、推移時間の深さへの換算は、一次イオンの照射により試料表面に形成された窪みの深さを表面粗さ計を用いて測定し、この窪みの深さと推移時間とから平均スパッタ速度を算出し、スパッタ速度が一定であるとの仮定の下に、照射時間(即ち、推移時間)を深さ(スパッタ量)に換算することでなされている。
本発明では、積層フィルムの酸化アルミニウム蒸着膜に対し、Cs(セシウム)イオン銃により上記した一定の速度でソフトエッチングを繰り返しながら、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を用いて、酸化アルミニウム蒸着膜由来のイオンと、プラスチック基材に由来するイオンを測定することにより、基材フィルム表面と形成された酸化アルミニウム蒸着膜を主体する蒸着膜との間に密着強度を規定する遷移領域が形成されている。該遷移領域は、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を用いてエッチングを行うことで検出される水酸化アルミニウムに変成する元素結合AlHを含み、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を用いてエッチングを行うことで規定される酸化アルミニウム蒸着膜に対する、飛行時間型二次イオン質量分析法を用いて規定される該変成される遷移領域の割合により定義される水酸化アルミニウムに変成する遷移領域の変成率を規定することで密着強度が改善されたバリア性を備える積層フィルムを特定できるとの知見に基づくものである。
本発明は、具体的には、飛行時間型二次イオン質量分析計を用いてCsにより、酸化アルミニウム蒸着膜の最表面からエッチングを行い、酸化アルミニウム蒸着膜とプラスチック基材との界面の元素結合及び蒸着膜の元素結合を測定し、測定された元素および元素結合について、それぞれの実測グラフを得(図3 グラフ解析図)、酸化アルミニウム蒸着膜における水酸化アルミニウムが形成するプラスチック基材と蒸着膜の界面の遷移領域を極力狭くするために、元素結合AlHに注目し、1)元素C6のグラフの強度が半分になる位置を、プラスチック基材と酸化アルミニウムの界面として、表面から界面までを酸化アルミニウム蒸着膜として求め、2)元素結合AlHを表すグラフにおけるピークを求め、そのピークから界面までを遷移領域とし、求め、3)(元素結合AlHのピークから界面までの遷移領域/酸化アルミニウム蒸着膜)×100(%)として遷移領域の水酸化アルミニウムへの変成率を求めるものである。
本発明は、酸化アルミニウム蒸着膜の遷移領域の変成率を45%以下としたことにより、積層フィルムに更にバリア性被覆層を形成し、バリア性積層フィルムのプラスチック基材と酸化アルミニウム蒸着膜との界面における密着強度が、135℃、40分間の熱水処理(ハイレトルト処理)後、又は121℃、40分間の熱水処理(セミレトルト処理)後においても、2.1N/15mm以上とすることができ、レトルトパウチを成形時またレトルト加工時においてデラミネーションが発生せず、密着性が改善され、耐レトルト性を有するバリア性積層フィルムを製造することができる。
本発明は、酸化アルミニウム蒸着膜の遷移領域の変成率を45%以下としたことにより、ハイレトルト処理、セミレトルト後の酸素透過度、水蒸気透過度が、それぞれ、0.2cc/m・24hr以下、0.9g/m・24hr以下で、レトルト処理後の内容分の品質劣化や保存寿命の劣化を起こしたりすることのない程度に十分なバリア性を示すバリア性積層フィルムを製造することができる。
したがって、本発明の酸化アルミニウム蒸着膜は、プラスチック基材との界面における密着性を改善できるだけでなく、バリア性能においてもレトルト処理後の耐湿熱性、耐熱水性に優れており耐レトルト性を改善できるものである。
本発明は、以下の点を特徴とする。
1.プラスチック基材の表面に酸化アルミニウムを主成分とする酸化アルミニウム蒸着膜を形成したバリア性を備える積層フィルムにおいて、基材フィルム表面と形成された酸化アルミニウム蒸着膜を主体する蒸着膜との密着強度を規定する該蒸着膜の遷移領域が形成されており、該遷移領域は、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を用いてエッチングを行うことで検出される水酸化アルミニウムに変成する元素結合AlHを含み、TOF-SIMSを用いてエッチングを行うことで規定される酸化アルミニウム蒸着膜に対する、TOF-SIMSを用いて規定される該変成される遷移領域の割合により定義される遷移領域の変成率が45%以下とする、上記積層フィルム。
2.プラスチック基材が、ポリエチレンテレフタレートフィルムである、上記1に記載の積層フィルム。
3.プラスチック基材が、リサイクルポリエチレンテレフタレートフィルムを含む、上記1に記載の積層フィルム。
4.プラスチック基材が、ポリブチレンテレフタレートフィルムである、上記1に記載の積層フィルム。
5.プラスチック基材が、バイオマス由来のポリエステルフィルムである、上記1に記載の積層フィルム。
6.プラスチック基材が、高スティフネスポリエステルフィルムである、上記1に記載の積層フィルム。
7.プラスチック基材表面が酸素プラズマ処理面である、上記1~6のいずれかに記載の積層フィルム。
8.酸素プラズマ処理面にインラインで酸化アルミニウム蒸着膜が積層された、上記7に記載の積層フィルム。
9.上記1~8のいずれかに記載の積層フィルムの酸化アルミニウム蒸着膜表面上にバリア性被覆層が積層されてなる、バリア性積層フィルム。
10.バリア性被覆層が、金属アルコキシドと水溶性高分子の混合溶液を塗布し、加熱乾燥してなる層である、上記9に記載のバリア性積層フィルム。
11.バリア性被覆層が、金属アルコキシドとシランカップリング剤と水溶性高分子の混合溶液を塗布し、加熱乾燥してなる層である、上記9に記載のバリア性積層フィルム。
12.上記9~11のいずれかに記載のバリア性積層フィルムにヒートシール性を有する熱可塑性樹脂が積層されてなる、ガスバリア性包装材料。
13.レトルト殺菌用包装に用いられる、上記12に記載のガスバリア性包装材料。
14.上記12または13に記載のガスバリア性包装材料から作製された、ガスバリア性包装体。
本発明では、酸化アルミニウム蒸着膜における水酸化アルミニウムが形成されるプラスチック基材との界面の遷移領域を極力狭くし、水酸化アルミニウムに変性する割合を適正化するために、元素結合AlHに注目し、積層フィルムにおける酸化アルミニウム蒸着膜の遷移領域の変成率を45%以下として、相対的に水酸化アルミニウムが少ない、酸化アルミニウム膜の比率を上げることにより、レトルト処理による水分子による微視的な蒸着膜破壊、プラスチック基材との界面破壊を大きく抑制するものである。それにより、密着性が改善され、従来にないレトルト耐性を有する積層フィルム及び該性層フィルムを含むバリア性積層フィルムを提供することができる。
本発明のバリア性積層フィルムは、プラスチック基材と酸化アルミニウム蒸着膜との界面における密着強度が、ハイレトルト処理、セミレトルト処理後においても、2.1N/15mm以上で、かつ、ハイレトルト処理、セミレトルト後の酸素透過度、水蒸気透過度が、それぞれ、0.2cc/m・24hr以下、0.9g/m・24hr以下のバリア性能を有し、耐レトルト性に優れている。
本発明の積層フィルムA(図1a)及びバリア性被覆層が積層されたバリア性積層フィルムB(図1b)、別態様の積層フィルムA(図1c)の一例を示す断面図 本発明の酸化アルミニウム蒸着膜を成膜する装置の一例を示す図 本発明の酸化アルミニウム蒸着膜積層フィルムの飛行時間型二次イオン質量分析法による分析結果のグラフ解析図の一例
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態に係る密着性が改善されたバリア性を備える酸化アルミニウム蒸着膜を有する積層フィルム及び該積層フィルムを含むバリア性積層フィルムについて詳しく説明する。なお、この実施例は、単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。
図1aは、本発明の積層フィルムの一例を示す断面図であり、図1bは、該積層フィルムを含み、表面にバリア性被覆層を積層したバリア性積層フィルムの一例を示す断面図であり、図1cは基材層が多層で構成されている積層フィルムの一例を示す断面図であり、図2は、本発明のバリア性を有する積層フィルムの酸化アルミニウム蒸着膜を成膜するに好適なローラー式連続蒸着成膜装置の構成を模式的に示す図である。なお、バリア性被覆層を積層したバリア性積層フィルムを形成するために、バリアコート剤塗布装置が蒸着膜成膜装置に連続して配置されるが、公知のローラー塗布装置を連設するものであり、ここでは図示するのを省略した。
本発明に係る密着性が改善されたバリア性を備える酸化アルミニウム蒸着膜を有する積層フィルムAは、図1aに示すように、プラスチック基材1の一方の面に、密着性が改善されたバリア性を備える酸化アルミ二ウム蒸着膜2が積層されてなる層構成を基本構成とし、本発明では、さらに図1bに示すように、該積層フィルムAの蒸着膜2上にバリア性被覆層3がさらに積層されてなる積層構成とし、密着性及びバリア性に優れ、耐レトルト性に優れたバリア性積層フィルムBとしたものである。
プラスチック基材は、特に制限されるものではなく、公知のプラスチックのフィルム又はシートを使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、バイオマス由来のポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、リサイクルポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンフラノエートなどのポリエステル系樹脂、ポリアミド樹脂6、ポリアミド樹脂66、ポリアミド樹脂610、ポリアミド樹脂612、ポリアミド樹脂11、ポリアミド樹脂12などのポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのα-オレフィンの重合体などのポリオレフィン系樹脂等、からなるフィルムを使用することができる。ポリエチレンテレフタレートフィルムとして知られているポリエステル系樹脂は、特に好ましく用いられる。
(ポリブチレンテレフタレートフィルム(PBT))
ポリブチレンテレフタレートフィルムは、熱変形温度が高く、機械的強度、電気的特性にすぐれ、成型加工性も良いことなどから、食品などの内容物を収容する包装袋に用いると、レトルト処理を施す際に包装袋が変形したり、その強度が低下したりすることを抑制することができる。
ポリブチレンテレフタレートフィルムは、高い強度を有する。このため、ポリブチレンテレフタレートフィルムを用いると、包装袋を構成する包装用材料がナイロンフィルムを含む場合と同様に、包装袋に耐突き刺し性を持たせることができる。
また、ポリブチレンテレフタレートフィルムは、高温高湿度環境下で加水分解するためレトルト処理後の密着強度、バリア性の低下がみられるが、ナイロンに比べて水分を吸収しにくいという特性を有する。このため、ポリブチレンテレフタレートフィルムを包装用材料の外面に配置した場合であっても、包装袋の包装用材料間のラミネート強度が低下してしまうことを抑制することができる。このような性質を持つので、ポリブチレンテレフタレートフィルムをレトルト包装袋に用いると、従来のポリエチレンテレフタレートフィルムとナイロンフィルムの貼り合せ包装材に置き換えることができることから、好ましく用いられる。
ポリブチレンテレフタレートフィルムは、主成分としてポリブチレンテレフタレート(以下、PBTとも記す)を含むフィルムであり、好ましく、60質量%以上のPBTを含む樹脂フィルムである。そして、ポリブチレンテレフタレートフィルムはその構造から2つの態様に分けられる。
第1の態様に係るポリブチレンテレフタレートフィルムフィルムにおけるPBTの含有率は、60質量%以上が好ましく、さらには70質量%以上、特には75質量%以上が好ましく、最も好ましくは80質量%以上である。
主たる構成成分として用いるPBTは、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸が90モル%以上であることが好ましく、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは98モル%以上であり、最も好ましくは100モル%である。グリコール成分として1,4-ブタンジオールが90モル%以上であることが好ましく、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは97モル%以上である。
ポリブチレンテレフタレートフィルムは、PBT以外のポリエステル樹脂を含んでいてもよい。PBT以外のポリエステル樹脂としては、PET、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)などのポリエステル樹脂のほか、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのジカルボン酸が共重合されたPBT樹脂や、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカーボネートジオール等のジオール成分が共重合されたPBT樹脂を挙げることができる。
これらPBT以外のポリエステル樹脂の添加量は、40質量%以下が好ましい。PBT以外のポリエステル樹脂の添加量が40質量%を超えると、PBTとしての力学特性が損なわれ、インパクト強度や耐ピンホール性、絞り成形性が不十分となることが考えられる。
第1の態様に係るポリブチレンテレフタレートフィルムの層構成は、キャスト法によって、樹脂を多層化してキャストすることによって作製されたもので、複数の単位層を含む多層構造部からなる。複数の単位層はそれぞれ、主成分としてPBTを含む。例えば、複数の単位層は、それぞれ、60質量%以上のPBTを含む。なお、複数の単位層においては、n番目の単位層の上にn+1番目の単位層が直接積層されている。すなわち、複数の単位層の間には、接着剤層や接着層が介在されていない。このようなポリブチレンテレフタレートフィルムは、少なくとも10層以上、好ましくは60層以上、より好ましくは250層以上、更に好ましくは1000層以上の単位層を含む多層構造部からなる。
第2の態様に係るポリブチレンテレフタレートフィルムは、PBTを主たる繰返し単位とするポリエステルを含む単一の層によって構成されている。PBTを主たる繰返し単位とするポリエステルは、例えば、グリコール成分としての1,4-ブタンジオール、又はそのエステル形成性誘導体と、二塩基酸成分としてのテレフタル酸、又はそのエステル形成性誘導体を主成分とし、それらを縮合して得られるホモ、またはコポリマータイプのポリエステルを含む。第2の構成に係るPBTの含有率は、70質量%以上が好ましく、さらには80質量%以上が好ましく、最も好ましくは90質量%以上である。
第2の態様に係るポリブチレンテレフタレートフィルムは、PBT以外のポリエステル樹脂を30質量%以下の範囲で含んでいてもよい。ポリエステル樹脂を含むことにより、PBT結晶化を抑制することができ、ポリブチレンテレフタレートフィルムの延伸加工性を向上させることができる。PBTと配合するポリエステル樹脂としては、エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルを用いることができる。例えば、グリコール成分としてのエチレングリコール、二塩基酸成分としてのテレフタル酸を主成分としたホモタイプを好ましく用いることができる。
第2の構成に係るポリブチレンテレフタレートフィルムは、チューブラー法又はテンター法により製造することができる。チューブラー法又はテンター法により、未延伸原反を縦方向及び横方向を同時に延伸してもよく、若しくは、縦方向及び横方向を逐次延伸してもよい。このうち、チューブラー法は、周方向の物性バランスが良好な延伸フィルムを得ることができ、特に好ましく採用される。
(バイオマス由来のポリエステルフィルム)
バイオマス由来のポリエステルフィルムは、ジオール単位とジカルボン酸単位とからなるポリエステルを主成分として含んでなる樹脂組成物からなり、前記樹脂組成物が、ジオール単位がバイオマス由来のエチレングリコールであり、ジカルボン酸単位が化石燃料由来のジカルボン酸であるポリエステルを、樹脂組成物全体に対して、50~95質量%、好ましくは50~90質量%含んでなるものである。
バイオマス由来のエチレングリコールは、従来の化石燃料由来のエチレングリコールと化学構造が同じであるため、バイオマス由来のエチレングリコールを用いて合成されたポリエステルのフィルムは、従来の化石燃料由来のポリエステルフィルムと機械的特性等の物性面で遜色がない。したがって、本発明の積層フィルムおよびそれを用いたバリア性積層フィルムは、カーボンニュートラルな材料からなる層を有するため、従来の化石燃料から得られる原料から製造された積層フィルムおよびそれを用いたバリア性積層フィルムに比べて、化石燃料の使用量を大幅に削減することができ、環境負荷を減らすことができる。
バイオマス由来のエチレングリコールは、サトウキビ、トウモロコシ等のバイオマスを原料として製造されたエタノール(バイオマスエタノール)を原料としたものである。例えば、バイオマスエタノールを、従来公知の方法により、エチレンオキサイドを経由してエチレングリコールを生成する方法等により、バイオマス由来のエチレングリコールを得ることができる。また、市販のバイオマスエチレングリコールを使用してもよく、例えば、インディアグライコール社から市販されているバイオマスエチレングリコールを好適に使用することができる。
ポリエステルのジカルボン酸単位は、化石燃料由来のジカルボン酸を使用する。ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、およびそれらの誘導体を使用することができる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸及びイソフタル酸等が挙げられ、芳香族ジカルボン酸の誘導体としては、芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル、具体的には、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル及びブチルエステル等が挙げられる。これらの中でも、テレフタル酸が好ましく、芳香族ジカルボン酸の誘導体としては、ジメチルテレフタレートが好ましい。
バイオマス由来のポリエステルフィルムを形成する樹脂組成物中に5~45質量%の割合で含まれてもよいポリエステルは、化石燃料由来のポリエステル、化石燃料由来のポリエステル製品のリサイクルポリエステル、バイオマス由来のポリエステル製品のリサイクルポリエステルである。
上記のようにして得られるポリエステルを含む樹脂組成物は、放射性炭素(14C)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量が、ポリエステル中の全炭素に対して10~19%含まれることが好ましい。大気中の二酸化炭素には、14Cが一定割合(105.5pMC)で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物、例えばトウモロコシ中の14C含有量も105.5pMC程度であることが知られている。また、化石燃料中には14Cが殆ど含まれていないことも知られている。したがって、ポリエステル中の全炭素原子中に含まれる14Cの割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出することができる。
本発明においては、ポリエステル中の14Cの含有量をP14Cとした場合の、バイオマス由来の炭素の含有量Pbioを、以下のように定義する。
Pbio(%)=P14C/105.5×100
ポリエチレンテレフタレートを例にとると、ポリエチレンテレフタレートは、2炭素原子を含むエチレングリコールと8炭素原子を含むテレフタル酸とがモル比1:1で重合したものであるため、エチレングリコールとしてバイオマス由来のもののみを使用した場合、ポリエステル中のバイオマス由来の炭素の含有量Pbioは20%となる。本発明においては、樹脂組成物中の全炭素に対して、放射性炭素(14C)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量が、10~19%であることが好ましい。樹脂組成物中のバイオマス由来の炭素含有量が10%未満であると、カーボンオフセット材料としての効果が乏しくなる。一方、上記したように、樹脂組成物中のバイオマス由来の炭素含有量は20%に近いほど好ましいが、フィルムの製造工程上の問題や物性面から、樹脂中には上記したようなリサイクルポリエステルや添加剤を含む方が好ましいため、実際の上限は18%となる。
(リサイクルポリエチレンテレフタレート)
本発明の樹脂基材として、メカニカルリサイクルによりリサイクルされたポリエチレンテレフタレート(以下、ポリエチレンテレフタレートをPETとも記す)を含むものを使用できる。
具体的には、樹脂基材は、PETボトルをメカニカルリサイクルによりリサイクルしたPETを含み、このPETは、ジオール成分がエチレングリコールであり、ジカルボン酸成分がテレフタル酸およびイソフタル酸を含む。
ここで、メカニカルリサイクルとは、一般に、回収されたPETボトル等のポリエチレンテレフタレート樹脂製品を粉砕、アルカリ洗浄してPET樹脂製品の表面の汚れ、異物を除去した後、高温・減圧下で一定時間乾燥してPET樹脂の内部に留まっている汚染物質を拡散させ除染を行い、PET樹脂からなる樹脂製品の汚れを取り除き、再びPET樹脂に戻す方法である。
以下、本明細書においては、PETボトルをリサイクルしたポリエチレンテレフタレートを「リサイクルポリエチレンテレフタレート(以下、リサイクルPETとも記す)」といい、リサイクルされていないポリエチレンテレフタレートを「ヴァージンポリエチレンテレフタレート(以下、ヴァージンPETとも記す)」というものとする。
樹脂基材に含まれるPETのうち、イソフタル酸成分の含有量は、PETを構成する全ジカルボン酸成分中に、0.5モル%以上5モル%以下であることが好ましく、1.0モル%以上2.5モル%以下であることがより好ましい。
イソフタル酸成分の含有量が0.5モル%未満であると柔軟性が向上しない場合があり、一方、5モル%を超えるとPETの融点が下がり耐熱性が不十分となる場合がある。
なお、PETは、通常の化石燃料由来のPETの他、バイオマスPETであっても良い。「バイオマスPET」とは、ジオール成分としてバイオマス由来のエチレングリコールを含み、ジカルボン酸成分として化石燃料由来のジカルボン酸を含むものである。このバイオマスPETは、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール成分とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸成分とするPETのみで形成されていてもよいし、バイオマス由来のエチレングリコールおよび化石燃料由来のジオールをジオール成分とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸成分とするPETで形成されていてもよい。
PETボトルに用いられるPETは、上記したジオール成分とジカルボン酸成分とを重縮合させる従来公知の方法により得ることができる。
具体的には、上記のジオール成分とジカルボン酸成分とのエステル化反応および/またはエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法、または有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法などによって製造することができる。
上記PETを製造する際に用いるジオール成分の使用量は、ジカルボン酸またはその誘導体100モルに対し、実質的に等モルであるが、一般には、エステル化および/またはエステル交換反応および/または縮重合反応中の留出があることから、0.1モル%以上20モル%以下過剰に用いられる。
また、重縮合反応は、重合触媒の存在下で行うことが好ましい。重合触媒の添加時期は、重縮合反応以前であれば特に限定されず、原料仕込み時に添加しておいてもよく、減圧開始時に添加してもよい。
PETボトルをリサイクルしたPETは、上記のようにして重合して固化させた後、さらに重合度を高めたり、環状三量体などのオリゴマーを除去したりするため、必要に応じて固相重合を行ってもよい。
具体的には、固相重合は、PETをチップ化して乾燥させた後、100℃以上180℃以下の温度で1時間から8時間程度加熱してPETを予備結晶化させ、続いて、190℃以上230℃以下の温度で、不活性ガス雰囲気下または減圧下において1時間~数十時間加熱することにより行われる。
リサイクルPETに含まれるPETの極限粘度は、0.58dl/g以上0.80dl/g以下であることが好ましい。極限粘度が0.58dl/g未満の場合は、樹脂基材としてPETフィルムに要求される機械特性が不足する可能性がある。他方、極限粘度が0.80dl/gを超えると、フィルム製膜工程における生産性が損なわれる場合がある。なお、極限粘度は、オルトクロロフェノール溶液で、35℃において測定される。
リサイクルPETは、リサイクルPETを50重量%以上95重量%以下の割合で含むことが好ましく、リサイクルPETの他、ヴァージンPETを含んでいてもよい。
ヴァージンPETとしては、上記したようなジオール成分がエチレングリコールであり、ジカルボン酸成分がテレフタル酸およびイソフタル酸を含むPETであってもよく、また、ジカルボン酸成分がイソフタル酸を含まないPETであってもよい。また、樹脂基材層は、PET以外のポリエステルを含んでいてもよい。例えば、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸およびイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸以外にも、脂肪族ジカルボン酸等が含まれていてもよい。
脂肪族ジカルボン酸としては、具体的には、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸ならびにシクロヘキサンジカルボン酸などの、通常炭素数が2以上40以下の鎖状または脂環式ジカルボン酸が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸の誘導体としては、上記脂肪族ジカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルおよびブチルエステルなどの低級アルキルエステル、無水コハク酸などの上記脂肪族ジカルボン酸の環状酸無水物が挙げられる。これらの中でも、脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、コハク酸、ダイマー酸またはこれらの混合物が好ましく、コハク酸を主成分とするものが特に好ましい。脂肪族ジカルボン酸の誘導体としては、アジピン酸およびコハク酸のメチルエステル、またはこれらの混合物がより好ましい。
このようなPETから構成される樹脂基材は、単層であってもよく、多層であってもよい。
図1cに示すように、樹脂基材に上記したようなリサイクルPETを用いる場合は、第1層1a、第2層1b、および第3層1cの3層を備えた樹脂基材としてもよい。
この場合、第2層1bをリサイクルPETのみから構成される層またはリサイクルPETとヴァージンPETとの混合層とし、第1層1aおよび第3層1cは、ヴァージンPETのみから構成される層とすることが好ましい。
このように、第1層1aおよび第3層1cにヴァージンPETのみを用いることにより、リサイクルPETが樹脂基材層の表面または裏面から表出することを防止することができる。このため、積層体の衛生性を確保することができる。
また、樹脂基材層は、図1cに示す第1層1aを設けることなく、第2層1bおよび第3層1cの2層を備えた樹脂基材層としてもよい。さらに、樹脂基材層は、図1cに示す第3層1cを設けることなく、第1層1aおよび第2層1bの2層を備えた樹脂基材層としてもよい。これらの場合においても、第2層1bをリサイクルPETのみから構成される層またはリサイクルPETとヴァージンPETとの混合層とし、第1層1aおよび第3層1cは、ヴァージンPETのみから構成される層とすることが好ましい。
リサイクルPETとヴァージンPETとを混合して一つの層を成形する場合には、別々に成形機に供給する方法、ドライブレンド等で混合した後に供給する方法などがある。中でも、操作が簡便であるという観点から、ドライブレンドで混合する方法が好ましい。
樹脂基材を構成するPETは、その製造工程において、またはその製造後に、その特性が損なわれない範囲において各種の添加剤を含有することができる。添加剤として、例えば、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、着色顔料などが挙げられる。添加剤は、PETを含む樹脂組成物全体中に、5質量%以上50質量%以下、好ましくは5質量%以上20質量%以下の範囲で含有されることが好ましい。
樹脂基材は、上記したPETを用いて、例えば、Tダイ法によってフィルム化することにより形成することができる。具体的には、上記したPETを乾燥させた後、PETの融点以上の温度(Tm)~Tm+70℃の温度に加熱された溶融押出機に供給して、樹脂組成物を溶融し、例えばTダイなどのダイよりシート状に押出し、押出されたシート状物を回転している冷却ドラムなどで急冷固化することによりフィルムを成形することができる。溶融押出機としては、一軸押出機、二軸押出機、ベント押出機、タンデム押出機等を目的に応じて使用することができる。
上記のようにして得られたフィルムは2軸延伸されていることが好ましい。2軸延伸は従来公知の方法で行うことができる。例えば、上記のようにして冷却ドラム上に押し出されたフィルムを、続いて、ロール加熱、赤外線加熱などで加熱し、縦方向に延伸して縦延伸フィルムとする。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。縦延伸は、通常、50℃以上100℃以下の温度範囲で行われる。また、縦延伸の倍率は、フィルム用途の要求特性にもよるが、2.5倍以上4.2倍以下とするのが好ましい。延伸倍率が2.5倍未満の場合は、PETフィルムの厚み斑が大きくなり良好なフィルムを得ることが難しい。
縦延伸されたフィルムは、続いて横延伸、熱固定、熱弛緩の各処理工程を順次施して2軸延伸フィルムとなる。横延伸は、通常、50℃以上100℃以下の温度範囲で行われる。横延伸の倍率は、この用途の要求特性にもよるが、2.5倍以上5.0倍以下が好ましい。2.5倍未満の場合はフィルムの厚み斑が大きくなり良好なフィルムが得られにくく、5.0倍を超える場合は製膜中に破断が発生しやすくなる。
横延伸のあと、続いて熱固定処理を行うが、好ましい熱固定の温度範囲は、PETのTg+70~Tm-10℃である。また、熱固定時間は1秒以上60秒以下が好ましい。さらに熱収縮率の低滅が必要な用途については、必要に応じて熱弛緩処理を行ってもよい。
上記のようにして得られるPETフィルムの厚さは、その用途に応じて任意であるが、通常、5μm以上100μm以下程度であり、好ましくは5μm以上25μm以下である。また、PETフィルムの破断強度は、MD方向で5kg/mm以上40kg/mm以下、TD方向で5kg/mm以上35kg/mm以下であり、また、破断伸度は、MD方向で50%以上350%以下、TD方向で50%以上300%以下である。また、150℃の温度環境下に30分放置した時の収縮率は、0.1%以上5%以下である。
なお、ヴァージンPETは、化石燃料ポリエチレンテレフタレート(以下化石燃料PETとも記す)であってもよく、バイオマスPETであってもよい。ここで、「化石燃料PET」とは、化石燃料由来のジオールをジオール成分とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸成分とするものである。また、リサイクルPETは、化石燃料PETを用いて形成されたPET樹脂製品をリサイクルして得られるものであってもよく、バイオマスPETを用いて形成されたPET樹脂製品をリサイクルして得られるものであってもよい。
(高スティフネスポリエステルフィルム)
高スティフネスポリエステルフィルムとは、流れ方向(MD)及び垂直方向(TD)において0.0017N/15mm以上のループスティフネスを有し、且つ51質量%以上のポリエステルを含む延伸プラスチックフィルムである。
ループスティフネスとは、フィルムのこしの強さを表すパラメータである。以下、フィルムのループスティフネスの測定方法を説明する。
まず、フィルムを、長辺及び短辺を有する短冊に切断して試験片を作製する。続いて、短冊の試験片を、長片がループを描くように湾曲させて所定の直径の円形ループを作成した状態で、長辺方向における短冊の両端の短辺を固定する。その後、円形ループを外側から所定の距離にわたって押し込む。そして、押し込みに要する荷重をループスティフネスとして記録する。
本実施の形態においては、短冊の短辺の長さを15mmとし、長辺の長さを150mmとした。また、円形ループの直径を60mmとし、円形ループの押し込み距離を40mmとした。上記の「0.0017N/15mm」というループスティフネスは、短辺の長さが15mmの短冊の試験片の円形ループを40mm押し込むことに要する荷重が0.0017Nであることを意味している。
流れ方向におけるループスティフネスを測定する場合、フィルムの流れ方向が短冊の長辺方向に一致するよう、試験片を作製する。垂直方向におけるループスティフネスを測定する場合、フィルムの垂直方向が短冊の長辺方向に一致するよう、試験片を作製する。ループスティフネスの測定器としては、例えば、東洋精機社製のLOOP STIFFNESS TESTERを用いることができる。
高スティフネスポリエステルフィルムの好ましい機械特性について更に説明する。
高スティフネスポリエステルフィルムの突き刺し強度は、好ましくは9.5N以上であり、より好ましくは10.0N以上である。
流れ方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張強度は、好ましくは250MPa以上であり、より好ましくは280MPa以上である。垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張強度は、好ましくは250MPa以上であり、より好ましくは280MPa以上である。
流れ方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張伸度は、好ましくは130%以下であり、より好ましくは120%以下である。垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張伸度は、好ましくは120%以下であり、より好ましくは110%以下である。
さらに、少なくとも1つの方向において、高スティフネスポリエステルフィルムの引張強度を引張伸度で割った値が2.0MPa/%以上であることが好ましい。
例えば、垂直方向(TD)における高スティフネスフィルムの引張強度を引張伸度で割った値は、好ましくは2.0MPa/%以上であり、より好ましくは2.2MPa/%以上である。そして、流れ方向(MD)における高スティフネスフィルムの引張強度を引張伸度で割った値は、好ましくは1.8MPa/%以上であり、より好ましくは2.0MPa/%以上である。
引張強度及び引張伸度は、JIS K7127に準拠して測定され得る。測定器としては、オリエンテック社製の引張試験機 STA-1150を用いることができる。試験片としては、フィルムを幅15mm、長さ150mmの矩形状のフィルムに切り出したものを用いることができる。試験片を保持する一対のチャックの間の、測定開始時の間隔は100mmであり、引張速度は300mm/分である。試験の際の環境温度は25℃である。
流れ方向における高スティフネスポリエステルフィルムの熱収縮率は、0.7%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。そして、垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムの熱収縮率は、0.7%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。熱収縮率を測定する際の加熱温度は100℃であり、加熱時間は40分である。
流れ方向における高スティフネスポリエステルフィルムのヤング率は、好ましくは4.0GPa以上であり、より好ましくは4.5MPa以上である。そして、垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムのヤング率は、好ましくは4.0GPa以上であり、より好ましくは4.5GPa以上である。
高スティフネスポリエステルフィルムの製造工程においては、例えば、まず、ポリエステルを溶融及び成形することによって得られたポリエステルフィルムを、流れ方向及び垂直方向において、それぞれ90℃~145℃で3倍~4.5倍に延伸する第1延伸工程を実施する。
続いて、ポリエステルフィルムを、流れ方向及び垂直方向において、それぞれ100℃~145℃で1.1倍~3.0倍に延伸する第2延伸工程を実施する。
その後、190℃~220℃の温度で熱固定を行う。続いて、流れ方向及び垂直方向において、100℃~190℃の温度で、ポリエステルフィルムの幅を0.2%~2.5%程度縮める為の弛緩処理を実施する。
これらの工程において、延伸倍率、延伸温度、熱固定温度、弛緩処理率を調整することにより、上述の機械特性を備える高スティフネスポリエステルフィルムを得ることができる
高スティフネスポリエステルフィルムに用いられるポリエステルの種類としては、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
上記のような本発明のプラスチック基材としてのプラスチックフィルムの厚さは、特に制限を受けるものではなく、後述するローラー式連続蒸着膜成膜装置により蒸着膜を成膜する際の前処理や成膜処理することができるものであればよく、可撓性及び形態保持性の観点から、6~400μm、好ましくは、9~200μmの範囲が望ましい。但し、高スティフネスポリエステルフィルムの場合には、厚さは、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは7μm以上であり、さらに、好ましくは25μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。プラスチックフィルムの厚さが前記範囲内にあると、曲げやすい上に搬送中に破けることもなく、密着性が改善されたバリア性を備える酸化アルミニウム蒸着膜を有する積層フィルムの製造に用いられる連続蒸着膜成膜装置で取り扱いやすい。
特にプラスチック基材に高スティフネスポリエステルフィルムを用いた場合には、積層フィルムの厚さと重量を小さくした上で同等以上の剛性、引張強度、突き刺し強度を有する積層フィルムを得ることができる。
次に、酸化アルミニウム蒸着膜について説明する。本発明においては、酸化アルミニウム蒸着膜の成膜は、プラスチック基材と酸化アルミニウム蒸着膜との密着性等を向上させるために、プラスチック基材のフィルムの表面に、以下で説明するプラズマ前処理装置を用いた特殊酸素プラズマ前処理を行うことが好ましい。特殊酸素プラズマ前処理は、本発明において各種樹脂のフィルム又はシートと酸化アルミニウム蒸着膜との密着性等を従来法より強化、改善するための前処理であって、次のような蒸着膜成膜装置において実施されるものである。
本発明の密着性が改善されたバリア性を備える酸化アルミニウム蒸着膜を有する積層フィルムの製造に好適に用いられるローラー式連続蒸着膜成膜装置10は、図2に示すように、減圧チャンバ12内に隔壁35a~35cが形成されている。該隔壁35a~35cにより、基材搬送室12A、プラズマ前処理室12B、成膜室12Cが形成され、特に、隔壁と隔壁35a~35cで囲まれた空間としてプラズマ前処理室12B及び成膜室12Cが形成され、各室は、必要に応じて、さらに内部に排気室が形成される。
(特殊酸素プラズマ前処理)
プラズマ前処理室12B内には、前処理が行われるプラスチック基材Sを搬送し、かつプラズマ処理を可能にするプラズマ前処理ローラー20の一部が基材搬送室12Aに露出するように設けられており、プラスチック基材Sは巻き取られながらプラズマ前処理室12Bに移動するようになっている。
プラズマ前処理室12B及び成膜室12Cは、基材搬送室12Aと接して設けられており、プラスチック基材Sを大気に触れさせないままに移動可能である。また、前処理室12Bと基材搬送室12Aの間は、矩形の穴により接続されており、その矩形の穴を通じてプラズマ前処理ローラー20の一部が基材搬送室12A側に飛び出しており、該搬送室の壁と該前処理ローラー20の間に隙間が開いており、その隙間を通じて基材Sが基材搬送室12Aから成膜室12Cへ移動可能である。基材搬送室12Aと成膜室12Cとの間も同様の構造となっており、プラスチック基材Sを大気に触れさせずに移動可能である。
基材搬送室12Aは、成膜ローラー23により再度基材搬送室12Aに移動させられた、片面に蒸着膜が成膜されたプラスチック基材Sをロール状に巻き取るため、巻取り手段としての巻き取りローラーが設けられ、蒸着膜を成膜されたプラスチック基材Sを巻き取り可能とするようになっている。
本発明の密着性が改善されたバリア性を備える酸化アルミニウム蒸着膜を有する積層フィルムを製造する際、前記プラズマ前処理室12Bは、プラズマが生成する空間を他の領域と区分し、対向空間を効率よく真空排気できるように構成されることで、プラズマガス濃度の制御が容易となり、生産性が向上する。その減圧して形成する前処理圧力は、0.1Pa~100Pa程度に設定、維持することができ、特に、本発明の酸化アルミニウム蒸着膜の好ましい遷移領域の変成率とするため特殊酸素プラズマ前処理の処理圧力としては、1~20Paが好ましい。
プラスチック基材Sの搬送速度は、特に限定されないが、生産効率の観点から、少なくとも200~1000m/minにすることができ、特に、本発明の酸化アルミニウム蒸着膜の遷移領域の変成率とするため特殊酸素プラズマ前処理の搬送速度としては、300~800m/minが好ましい。
プラズマ前処理装置を構成するプラズマ前処理ローラー20は、プラスチック基材Sがプラズマ前処理手段によるプラズマ処理時の熱による基材の収縮や破損を防ぐこと、酸素プラズマPをプラスチック基材Sに対して均一にかつ広範囲に適用することを目的とするものである。
前処理ローラー20は、前処理ローラー内を循環させる温度調節媒体の温度を調整することにより、-20℃から100℃の間で、一定温度に調節することが可能であることが好ましい。
プラズマ前処理手段は、プラズマ供給手段及び磁気形成手段を含むものである。プラズマ前処理手段はプラズマ前処理ローラー20と協働し、プラスチック基材S表面近傍に酸素プラズマPを閉じ込める。
プラズマ前処理手段は、前処理ローラー20の一部を覆うように設けられている。具体的には、前処理ローラー20の外周近傍の表面に沿ってプラズマ前処理手段を構成するプラズマ供給手段と磁気形成手段を配置して、前処理ローラー20とプラズマ原料ガスを供給するとともにプラズマPを発生させる電極ともなるプラズマ供給ノズル22a~22cとプラズマPの発生を促進するためマグネット21等を有する磁気形成手段とにより挟まれた空隙を形成するように設置する。
それにより、該空隙の空間にプラズマ供給ノズル22a~22cを開口させてプラズマを基材表面に向かって噴射し、該空隙内をプラズマ形成領域とし、さらに、前処理ローラー20とプラスチック基材Sの表面近傍にプラズマ密度の高い領域を形成することで、プラスチック基材Sの片面にプラズマ処理面を形成する本発明の特殊酸素プラズマ前処理が行えるように構成されている。
プラズマ前処理手段のプラズマ供給手段は、減圧チャンバ12の外部に設けたプラズマ供給ノズルに接続された原料揮発供給装置18と、該装置から原料ガス供給を供給する原料ガス供給ラインを含むものである。供給されるプラズマ原料ガスは、酸素単独又は酸素ガスとアルゴン、ヘリウム、窒素及びそれらの1種以上のガスとの混合ガスが、ガス貯留部から流量制御器を介することでガスの流量を計測しつつ供給される。
これら供給されるガスは、必要に応じて所定の比率で混合されて、プラズマ原料ガス単独又はプラズマ形成用混合ガスに形成され、プラズマ供給手段に供給される。その単独又は混合ガスは、プラズマ供給手段のプラズマ供給ノズル22a~22cに供給され、プラズマ供給ノズル22a~22cの供給口が開口する前処理ローラー20の外周近傍に供給される。
そのノズル開口は前処理ローラー20上のプラスチック基材Sに向けられ、プラスチック基材Sの表面全体に均一に酸素プラズマPを拡散、供給させることが可能となるように配置、構成され、プラスチック基材Sの大面積の部分に均一なプラズマ前処理が可能となる。
本発明の酸化アルミニウム蒸着膜の遷移領域の変成率とするため特殊酸素プラズマ前処理としては、酸素ガスとアルゴンまたはヘリウムとの混合比率は、5対1、好ましくは、2対1である。混合比率を5対1とすることで、プラスチックフィルム基材上での蒸着アルミニウムの膜形成エネルギーが増加し、更に2対1とすることで、水酸化アルミニウムの形成が基材の界面近傍で形成される、すなわち該遷移領域の変成率が低下する。
前記プラズマ供給ノズル22a~22cは、前処理ローラー20の対向電極として機能するもので、電極機能を有するようにできているものであり、前処理ローラー20との間に供給される高周波電圧、低周波電圧等による電位差によって供給されたプラズマ原料ガスが励起状態になり、プラズマPが発生し、供給される。
具体的には、プラズマ前処理手段のプラズマ供給手段は、プラズマ電源としてプラズマ前処理ローラーを設置し、対向電極との間に周波数が10Hzから2.5GHzの交流電圧を印加し、投入電力制御または、インピーダンス制御等を行い、プラズマ前処理ローラー20との間に任意の電圧を印加した状態にすることができるものであり、基材の表面物性を物理的ないしは化学的に改質する処理ができる酸素プラズマPを正電位にするバイアス電圧を印加できる電源32を備えている。
本発明で採用する単位面積あたりのプラズマ強度として50~8000W・sec/mであり、50W・sec/m以下では、プラズマ前処理の効果がみられず、また、8000W・sec/m以上では、基材の消耗、破損着色、焼成などプラズマによる基材の劣化が起きる傾向にある。特に、本発明の酸化アルミウム蒸着膜の遷移領域の変成率とするため特殊酸素プラズマ前処理のプラズマ強度としては、100~1000W・sec/mが好ましい。
プラズマ前処理手段は、磁気形成手段を有している。磁気形成手段として、マグネットケース内に絶縁性スペーサ、ベースプレートが設けられ、このベースプレートにマグネット21が設けられる。マグネットケースに絶縁性シールド板が設けられ、この絶縁性シールド板に電極が取り付けられる。
したがって、マグネットケースと電極は電気的に絶縁されており、マグネットケースを減圧チャンバ12内に設置、固定しても電極は電気的にフローティングレベルとすることが可能である。
電極には電力供給配線31が接続され、電力供給配線31は電源32に接続される。また、電極内部には電極及びマグネット21の冷却のための温度調節媒体配管が設けられる。
マグネット21は、電極兼プラズマ供給手段であるプラズマ供給ノズル22a~22cからの酸素プラズマPが基材Sに集中して適用するために設けられる。マグネット21を設けることにより、基材表面近傍での反応性が高くなり、良好なプラズマ前処理面を高速で形成することが可能となる。
マグネット21は、プラスチック基材Sの表面位置での磁束密度が10ガウスから10000ガウスである。プラスチック基材S表面での磁束密度が10ガウス以上であれば、基材表面近傍での反応性を十分高めることが可能となり、良好な前処理面を高速で形成することができる。
電極のマグネット21の配置構造によりプラズマ前処理時に形成されるイオン、電子がその配置構造に従って運動するため、例えば、1m以上の大面積のプラスチック基材Sに対してプラズマ前処理をする場合においても電極表面全体にわたり、電子やイオン、基材の分解物が均一に拡散され、プラスチック基材Sが大面積の場合にも所望のプラズマ強度で、均一かつ安定した目的の前処理が可能となるものである。
(酸化アルミニウム蒸着膜)
特殊酸化プラズマ処理されたプラスチック基材Sは、次の成膜室12Cに導くためのガイドロール14a~14dにより基材搬送室12Aから成膜室12Cに移動し、成膜区画で酸化アルミニウム蒸着膜が形成される。
酸化アルミニウム蒸着膜は、主成分として酸化アルミニウムを含む無機酸化物の薄膜であって、酸化アルミニウムあるいはアルミニウムの窒化物、炭化物、水酸化物の単独又はその混合物などのアルミニウム化合物を含むことができる酸化アルミニウムを主成分として含む層である。
さらに、酸化アルミニウム蒸着膜は、前記アルミニウム化合物を主成分として含み、ケイ素酸化物、ケイ素窒化物、ケイ素酸化窒化物、ケイ素炭化物、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の金属酸化物、またはこれらの金属窒化物、炭化物及びその混合物などを含むことができる。
本発明の酸化アルミニウム蒸着膜は、酸化アルミニウム蒸着膜の遷移領域の変成率を45%以下としたものである。
酸化アルミニウム蒸着膜の遷移領域の変成率は、バリア性を有する積層フィルムAの酸化アルミニウム蒸着膜2に対し、Cs(セシウム)イオン銃により一定の速度でソフトエッチングを繰り返しながら、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を用いて、アルミニウム蒸着膜由来のイオンと、プラスチック基材に由来するイオンを測定することにより図3のようなグラフ解析図が得られるものである。
具体的には、飛行時間型二次イオン質量分析計を用いてCsにより、一定の条件で酸化アルミニウム蒸着膜の最表面からエッチングを行い、酸化アルミニウム蒸着膜とプラスチック基材との界面の元素結合及び酸化アルミニウム蒸着膜の元素結合を測定し、測定された元素および元素結合についてそれぞれのグラフを得(図3 グラフ解析図)、1)元素C6のグラフの強度が半分になる位置を、プラスチック基材と酸化アルミニウムの界面として、表面から界面までを酸化アルミニウム蒸着膜として求め、2)元素結合AlHを表すグラフにおけるピークを求め、そのピークから界面までを遷移領域とし、求め、3)(元素結合AlHのピークから界面までの遷移領域/酸化アルミニウム蒸着膜)×100(%)と遷移領域の変成率を定め、求めたものである。
本発明の酸化アルミニウム蒸着膜層の遷移領域の変成率は、45%以下が望ましい。45%を超えると、135℃、40分間の熱水処理(ハイレトルト)後あるいは121℃、40分間の熱水処理(セミレトルト)後におけるプラスチック基材と蒸着膜との密着性が低下し、また、水蒸気に対するバリア性能が低下する。
熱水処理(レトルト処理)は、プラスチック基材と酸化アルミニウム蒸着膜の界面に大きな機械的及び化学的なストレスを与える。このストレスによりバリア性が劣化してしまう。この部位にストレスがかかるのは、この部位が積層構成の中で一番脆弱だからである。
従って、レトルト耐性を得るためには、基材との界面を強固に、蒸着膜を被覆することが重要である。
水酸化アルミニウムは、その化学構造によりプラスチック基材との密着性がよく、またそれ自体がネットワークを作り緻密なため、高い水蒸気バリア性を有する。しかし、レトルト処理のような強力な環境に対して、水酸化アルミと基材との水素結合に基づく結合構造は微視的に崩れやすい。また、水酸化アルミニウムのネットワークに対しても、水分子と水酸化アルミニウムの粒界面の親和性から膜中に浸透しやすい。
本発明では、酸化アルミニウム蒸着膜における水酸化アルミニウムが形成するプラスチック基材との界面における遷移領域を極力狭くするために、元素結合AlHに注目し、その存在量を制御することで、熱水処理によって元素結合AlHから発生する水酸化アルミニウムを抑え、相対的に水酸化アルミニウムが少ない酸化アルミニウム膜比率を上げることにより、レトルト処理による水分子による微視的な蒸着膜破壊、プラスチック基材との界面破壊を大きく抑制した。それにより従来にない密着性、バリア性を有するレトルト耐性を備える積層フィルムを提供することができる。
本発明の酸化アルミニウム蒸着膜は、特殊酸素プラズマ前処理されたプラスチック基材表面に蒸着膜を成膜することで形成することができる。蒸着膜を成膜する蒸着法としては、物理蒸着法、化学蒸着の中から種々の蒸着法が適用できる。
物理蒸着法としては、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、クラスターイオンビーム法からなる群から選ぶことができ、化学蒸着法としては、プラズマCVD法、プラズマ重合法、熱CVD法、触媒反応型CVD法からなる群から選ぶことができる。本発明においては、物理蒸着法の蒸着法が好適である。
本発明に好適な物理蒸着法により蒸着を行うことができる、図2に示すローラー式連続蒸着膜成膜装置10を使って、酸化アルミニウム蒸着膜の製膜について、以下説明する。
蒸着膜成膜装置は、減圧された成膜室12C内に配置され、プラズマ前処理装置で前処理されたプラスチック基材Sの処理面を外側にしてプラスチック基材Sを巻きかけて搬送し、成膜処理する成膜ローラー23と、該成膜ローラーに対向して配置された成膜源24のターゲットを蒸発させてプラスチック基材表面に蒸着膜を成膜する。
蒸着膜成膜手段24は抵抗加熱方式であり、アルミニウムを蒸発源としてアルミニウムの金属線材を用い、 酸素を供給ししてアルミニウム蒸気を酸化しつつ、プラスチック基材Sの表面に酸化アルミニウム蒸着膜を成膜させる。
本発明においては、舟形(「ボートタイプ」という)蒸着容器に、ローラー23の軸方向にアルミニウムの金属線材を複数配置し、抵抗加熱式により加熱する。このようにすることで、供給される熱、熱量を抑えてアルミニウムの金属材料を蒸発させることができ、プラスチック基材Sの熱的変形性を極力抑えながら酸化アルミニウム蒸着膜を成膜することができる。
上記のように製膜される酸化アルミニウムの蒸着膜の厚さは、3~50nmであり、好ましくは8~30nmである。この範囲であれば、バリア性を保持することができる。
(バリア性被覆層)
本発明の積層フィルムの酸化アルミニウム蒸着膜の表面上に積層されるバリア性被覆層は、酸化アルミニウム蒸着膜を機械的・化学的に保護するとともに、バリア性を有する積層フィルムのバリア性能を向上させるものである。以下、バリア性に優れたレトルト耐性を備えるバリア性積層フィルムを形成するためコートされるバリア性被覆層について説明する。
バリア性被覆層は、バリアコート剤を酸化アルミニウム蒸着膜上に塗布し固化して形成されるものである。バリアコート剤は金属アルコキシド、水溶性高分子、必要に応じて加えられるシランカップリング剤、ゾルゲル法触媒、酸などから構成される。
金属アルコキシドとしては、一般式R M(OR(ただし、式中、R、Rは、炭素数1~8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上の金属アルコキシド、金属アルコキシドのMで表される金属原子としては、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、その他等を例示することができ、例えば、MがSiであるアルコキシシランを使用することが好ましいものである。
上記のアルコキシシランとしては、例えば、一般式Si(ORa)(ただし、式中、Raは、低級アルキル基を表す。)で表されるものである。上記において、Raとしては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、その他等が用いられる。上記のアルコキシシランの具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン Si(OCH、テトラエトキシシラン Si(OC)4、テトラプロポキシシラン Si(OC、テトラブトキシシラン Si(OC、その他等を使用することができる。
上記アルコキシドは、2種以上を併用してもよい
シランカップリング剤として、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基などの反応基を有するものを用いることができる。特にエポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適であり、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、あるいは、β-(3、4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を使用することができる。上記のようなシランカップリング剤は、1種ないし2種以上を混合して用いてもよい。
水溶性高分子は、ポリビニルアルコール系樹脂、またはエチレン・ビニルアルコ一ル共重合体を単独で各々使用することができ、あるいは、ポリビニルアルコ一ル系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体を組み合わせて使用することができる。本発明では、ポリビニルアルコール系樹脂が好適である。
ポリビニルアルコ一ル系樹脂としては、一般に、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られるものを使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸基が数十%残存している部分ケン化ポリビニルアルコール系樹脂でも、酢酸基が残存しない完全ケン化ポリビニルアルコールでも、OH基が変性された変性ポリビニルアルコール系樹脂でもよい。ポリビニルアルコール系樹脂として、ケン化度については、ガスバリア性塗膜の膜硬度が向上する結晶化が行われるものを少なくとも用いることが必要で、好ましくは、ケン化度が70%以上である。また、その重合度としても、従来のゾルゲル法で用いられている範囲(100~5000程度)のものであれば用いることができる。このようなポリビニルアルコール系樹脂としては、株式会社クラレ製のRS樹脂である「RS-110(ケン化度=99%、重合度=1,000)」、日本合成化学工業株式会社製の「ゴーセノールNM-14(ケン化度=99%、重合度=1,400)」等を挙げることができる。
エチレン・ビニルアルコール共重合体としては、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体のケン化物、すなわち、エチレン-酢酸ビニルランダム共重合体をケン化して得られるものを使用することができる。
例えば、酢酸基が数十モル%残存している部分ケン化物から、酢酸基が数モル%しか残存していないかまたは酢酸基が残存しない完全ケン化物まで含み、特に限定されるものではない。ただし、バリア性の観点から好ましいケン化度は、80モル%以上、より好ましくは、90モル%以上、さらに好ましくは、95モル%以上であるものを使用することが好ましい。
本発明において、バリア性被覆層は、以下の方法で製造することができる。
まず、上記金属アルコキシド、必要に応じて添加するシランカップリング剤、水溶性高分子、ゾルゲル法触媒、酸、及び溶媒としての水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロパノール等のアルコール等の有機溶媒を混合し、バリアコート剤を調製する。
次いで、酸化アルミニウム蒸着膜の上に、常法により、上記のバリアコート剤を塗布し、乾燥する。この乾燥工程によって、上記金属アルコキシド、シランカップリング剤および水溶性高分子の重縮合が更に進行し、塗膜が形成される。第一の塗膜の上に、更に上記塗布操作を繰り返して、2層以上からなる複数の塗膜を形成してもよい。
さらに、20~200℃、かつプラスチック基材の融点以下の温度、好ましくは、50~180℃の範囲の温度で、3秒~10分間加熱処理する。これによって、酸化アルミニウム蒸着膜の上に、上記バリアコート剤によるバリア性被覆層を形成することができる。
バリアコート剤の組成は、アルコキシシラン100重量部に対して、ポリビニルアルコ-ル系樹脂などの水溶性高分子を100~500重量部、シランカップリング剤を1~20重量部位の範囲内で使用することができる。上記において、シランカップリング剤を20重量部超えて使用すると、形成されるバリア性塗膜の剛性と脆性とが大きくなり、好ましくない。
上記にように形成されるバリア性被覆層は、層厚が100~500nmである。この範囲であれば、コート膜が割れず蒸着膜表面を十分に被覆するため好ましい。
(ガスバリア性包装材料)
本発明のバリア性積層フィルムは、熱水処理、特に高温熱水処理のレトルト処理後においても、プラスチック基材と酸化アルミニウム蒸着膜との密着性が良好で、かつガスバリア性にも優れているので、食品用のレトルト包装材、医療用の高温熱水処理包装材だけでなく、ペットフード等のレトルト処理を行う内容物の包装材として好適に使用できる。
本発明のガスバリア性包装材料は、バリア性積層フィルムに少なくとも1層のヒートシール可能な層を積層したものであって、ヒートシール可能な熱可塑性樹脂が接着層を介して、あるいは介することなく、最内層として積層され、ヒートシール性が付与されたものである。ガスバリア性包装材料としは、さらに必要に応じて、包装材料として付与したい機能、例えば、遮光性を付与するための遮光性層、装飾性、印字を付与するための印刷層、絵柄層、レーザー印刷層、臭気を吸収又は吸着する吸収性・吸着性層など各種機能層を層構成として追加し、ガスバリア性包装材料とすることもできる。
また、用途に応じた機能フィルムを更に積層して作製することができる。例えば、レトルト用のガスバリア性包装材料であれば、耐ピンホール構造として、ナイロンフィルムを、また耐熱構造として耐熱シーラントCPPなどを積層した多層フィルムのガスバリア性包装材料、或いは、液体紙容器用のガスバリア性包装材料であれば、紙を積層した積層体の包装材料が挙げられる。
特にプラスチック基材に高スティフネスポリエステルフィルムを用いた積層フィルムから作製された包装材料の場合には、包装材料の厚さと重量を小さくした上で同等以上の剛性、引張強度、突き刺し強度を有する積層フィルムを得ることができる。
ヒートシール可能な熱可塑性樹脂としては、熱によって溶融し相互に融着し得る樹脂層やフィルムないしシートであれば良く、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密脂のフィルムないしシートであれば良い。
そして、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、α-オレフィン共重合体、アイオノマー樹脂、エチレンーアクリル酸共重合体、エチレンーアクリル酸エチル共重合体、エチレンーメタクリル酸メチル共重合体、エチレンープロピレン共重合体、エラストマー等の樹脂の一種ないしそれ以上からなる樹脂ないしはこれらをフィルム化したシートを使用することが好ましく、中でも、食品等の内容物に接する層としては、衛生性、耐熱性、耐薬品性、保香性を有するポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂の一種ないしそれ以上からなる樹脂ないしはこれらをフィルム化したシートを使用することがより好ましい。
その厚さとしては3~100μm位が好ましく、15~70μm位がより好ましい。
[ガスバリア性包装体]
本発明のガスバリア性包装体は、本発明のガスバリア性包装材料から作製される包装体である。
例えば、多層フィルムからなるガスバリア性包装材料のシーラント層を熱融着させるようなヒートシール加工によって、ピロー包装袋、三方シール、四方シール、ガセットタイプ等の形態のガスバリア性包装体を作製できる。また、紙を積層した積層フィルムからなるガスバリア性包装材料であれば、酒、ジュース等のゲーベルトップ型の液体紙容器包装体を作製できる。
(評価項目の測定方法)
上記各実施例又は比較例に示した条件下で製造した密着性が改善されたバリア性を備える酸化アルミニウム蒸着膜を有する積層フィルム又は該積層フィルムにバリア性被覆層を有するバリア性積層フィルムを測定用のサンプルとし、蒸着膜の遷移領域の変成率、酸素透過度、水蒸気透過度、及び密着強度について、下記の方法を用いて測定した。
(遷移領域の変成率)
本発明において、蒸着膜の遷移領域の変成率は、積層フィルムの酸化アルミニウム蒸着膜表面にCs(セシウム)イオン銃により一定の速度でソフトエッチングを繰り返しながら、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を用いて、酸化アルミウム蒸着膜由来のイオンと、プラスチック基材に由来するイオンを測定することにより図3のグラフ解析図が得られる。ここで、グラフの縦軸の単位(intensity)は、測定されたイオンの強度、横軸の単位(cycle)は、エッチングの回数である。
上記TOF-SIMSに用いられる飛行時間型二次イオン質量分析計としてはION TOF社製、TOF.SIMS5を用い、下記測定条件で測定を行なった。
(TOFSIMS測定条件)
・一次イオン種類:Bi ++(0.2pA,100μs)
・測定面積:150×150μm
・Et(エッチング)銃種類:Cs(1keV、60nA)
・Et(エッチング)面積:600×600μm
・Et(エッチング)レート:3sec/Cycle
・真空引き時間:1×10-6mbar以下で15h以上
・真空引き開始後、30h以内に測定
なお、測定対象となる酸化アルミニウム由来のイオンを測定するためにイオン銃としては、通常、複数ある酸化アルミニウム由来のイオンの中から他の成分由来のイオンとの切り分けが必要であり、且つ十分な強度を有するものを選択する必要があること及び、特に元素結合AlHの濃度分布に近似換算できる深さ分布を得る目的から、本発明においては、Csイオンを選択することとした。
Csを用いて、酸化アルミウム蒸着膜の最表面からエッチングを行い、酸化アルミウム蒸着膜とポリエステルフィルム等のフィルム基材との界面の元素結合及び蒸着膜の元素結合の分析を実施し、測定された元素および元素結合のグラフ1の各グラフを得た。なお、グラフは、測定された質量数の118.93をAlHに、101.94をAlに、72.00をC6になど、測定される質量数で元素および元素結合を特定して作成したものである。グラフにおいて元素C6の強度がプラスチック基材層部分の半分になる位置を、フィルム基材と酸化アルミニウムの界面として、表面から界面までを酸化アルミニウム蒸着膜とした。
次に、測定された元素結合AlHを表すグラフにおけるピークを求め、そのピークから界面までを遷移領域とし、求めることができる。
以上の操作を行い、酸化アルミニウム蒸着膜の遷移領域の変成率を
(元素結合AlHのピークから界面までの遷移領域/酸化アルミニウム蒸着膜)×100(%)
として求めた。
(酸素透過度)
酸素透過度測定装置(モダンコントロール(MOCON)社製〔機種名:オクストラン(OX-TRAN)2/21〕)を用いて、測定のために作製したバリア性積層フィルム/接着剤/ナイロンフィルム15μm/接着剤/CPP70μmの複合積層フィルムとし、酸素供給側がバリア性積層フィルムのフィルム面となるように上記試験用サンプルをセットし、23℃、100%RH雰囲気下の測定条件で、JIS K 7126 B法に準拠して測定した。
測定サンプルとして、
1)レトルト処理前の複合積層フィルム
2)ハイレトルト処理条件:135℃、40分間の処理をした袋の状態にした複合積層フィルムの袋片面の複合積層フィルム
3)セミレトルト処理条件:121℃、40分間の処理をした袋の状態にした複合積層フィルムの袋片面の複合積層フィルム
を用いた。
(水蒸気透過度)
水蒸気透過度測定装置(モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パーマトラン(PERMATRAN)3/33〕)を用いて、センサー側がバリア性積層フィルムのフィルム面となるように上記試験用サンプルをセットし、37.8℃、100%RH雰囲気下の測定条件で、JIS K 7126 B法に準拠し、測定した。
測定サンプルとして、
1)レトルト処理前の複合積層フィルム
2)ハイレトルト処理条件:135℃、40分間の処理をした袋の状態にした複合積層フィルムの袋片面の複合積層フィルム
3)セミレトルト処理条件:121℃、40分間の処理をした袋の状態にした複合積層フィルムの袋片面の複合積層フィルム
を用いた。
(基材と酸化アルミニウム蒸着膜間の密着強度)
<密着強度の測定(1);ハイレトルト・セミレトルト処理前の密着強度>
バリア性積層フィルムのバリア性被覆層側に2液硬化型ポリウレタン系接着剤を塗工し、乾燥処理したものと、厚さ70μmの無延伸ポリプロピレンフィルムに2液硬化型ポリウレタン系接着剤と厚さ15μmの延伸ナイロンフィルムと貼り合わせたフィルムとをドライラミネートした積層複合フィルムを作製した。
上記積層複合フィルムを48時間エージング処理した後、15mm巾の短冊状にカットしたサンプルについて、引張試験機(株式会社オリエンテック社製[機種名:テンシロン万能材料試験機])を用いてJIS K6854-2に準拠し、バリア性積層フィルム基材と酸化アルミウム蒸着膜との強度を測定した。
測定は、測定のために事前に剥離したポリプロピレンフィルム側とバリア性積層フィルム側をそれぞれ測定器のつかみ具で把持し、ポリプロピレンフィルムとバリア性積層フィルムとがまだ積層されている部分の面方向に対して直交する方向において互いに逆向きに(180°剥離:T字剥離法)、50mm/minの速度で引っ張り、安定領域における引張応力の平均値を測定した。
剥離は積層複合フィルムで密着強度が最も弱いバリア性積層フィルムのプラスチックス基材と酸化アルミニウム蒸着膜との間で生じており、上記の測定値を、バリア性積層フィルムのプラスチック基材と酸化アルミニウム蒸着膜の密着強度とした。
<密着強度の測定(2);ハイレトルト処理後の密着強度>
バリア性積層フィルムのバリア性被覆層側に2液硬化型ポリウレタン系接着剤を塗工し、乾燥処理したものと、厚さ70μmの無延伸ポリプロピレンフィルムに2液硬化型ポリウレタン系接着剤と厚さ15μmの延伸ナイロンフィルムと貼り合わせたフィルムとをドライラミネートし、積層複合フィルムを作製した。
上記積層複合フィルムを用いてB5サイズに作製した四方パウチに水100mLを注入し、135℃、40分間で熱水式レトルト処理を行った。該レトルト処理後、中身の水を抜いた四方パウチから15mm巾の短冊状にカットしたサンプルを作成した。このサンプルを用いて密着強度の測定(1)と同様にして、密着強度を測定した。
<密着強度の測定(3):セミレトルト処理後の密着強度>
密着強度の測定(2)の構成にいて、ナイロンフィルムを使わずに、ポリプロピレンフィルムの厚みを70μmにして積層複合フィルムを作製した。
上記積層複合フィルムを用いてB5サイズに作製した四方パウチに水100mLを注入し、121℃、40分間で熱水式レトルト処理を行った。該レトルト処理後、中身の水を抜いた四方パウチから15mm巾の短冊状にカットしたサンプルを作成した。このサンプルを用いて密着強度の測定(1)と同様にして、密着強度を測定した。
実施例1
<酸化アルミニウム蒸着膜>
まず、基材である厚さ12μmのポリエステルフィルム(以下、PETフィルム)を巻き取ったロールを準備した。
次に、このPETフィルムの蒸着膜を設ける面に、プラズマ前処理装置を配置した前処理区画と成膜区画を隔離した連続蒸着膜成膜装置を用いて、前処理区画において下記プラズマ条件下でプラズマ供給ノズルからプラズマを導入し、搬送速度400m/minで特殊酸素プラズマ前処理を施し、連続搬送した成膜区画内で、プラズマ処理面上に下記条件において真空蒸着法の加熱手段として反応性抵抗加熱方式により、厚さ12nmの酸化アルミニウム蒸着膜をPETフィルムに形成した。
(プラズマ前処理条件)
・プラズマ強度:150W・sec/m
・プラズマ形成ガス:アルゴン1200(sccm)、酸素3000(sccm)
・磁気形成手段:1000ガウスの永久磁石
・前処理ドラム-プラズマ供給ノズル間印加電圧:340V
・前処理区画の真空度:3.8Pa
(酸化アルミニウム成膜条件)
・真空度:8.1×10-2Pa
・搬送速度:400m/min
・波長366nmの光線透過率:92%
<バリア性被覆層>
水385g、イソプロピルアルコール67g及び0.5N塩酸9.1gを混合し、pH2.2に調整した溶液にテトラエトキシシラン175gとグリシドキシプロピルトリメトキシシラン9.2gを10℃となるよう冷却しながら混合させて溶液Aを調製した。
ケン価度99%以上の重合度2400のポリビニルアルコール14.7g、水324g、イソプロピルアルコール17gを混合した溶液Bを調製した。
A液とB液を重量比6.5:3.5となるよう混合して得られた溶液をバリアコート剤とした。
<バリア性積層フィルム>
上記のPETフィルムの酸化アルミニウム蒸着膜上に、上記で調製したバリアコート剤をスピンコート法によりコーティングした。その後、180℃で60秒間、オーブンにて加熱処理して、厚さ約400nmのバリア性被覆層を酸化アルミニウム蒸着膜上に形成して、バリア性積層フィルムを得た。
実施例2
酸化アルミニウム蒸着膜厚の厚さを14nmに変更した以外は、実施例1と同じにして、バリア性積層フィルムを得た。
(酸化アルミニウム成膜条件)
・真空度:8.1×10-2Pa
・搬送速度:340m/min
・波長366nmの光線透過率:92%
実施例3
基材として厚さ12μmのバイオマス由来のポリエステルフィルムを使用したこと以外は、実施例1と同じにして、バリア性積層フィルムを得た。
(酸化アルミニウム成膜条件)
・真空度:8.1×10-2Pa
・搬送速度:400m/min
・波長366nmの光線透過率:92%
実施例4
基材として厚さ12μmのポリブチレンテレフタレートフィルムを使用したことと、酸化アルミニウム蒸着膜厚の厚さを10nmに変更した以外は、実施例1と同じにして、バリア性積層フィルムを得た。
(酸化アルミニウム成膜条件)
・真空度:8.1×10-2Pa
・搬送速度:400m/min
・波長366nmの光線透過率:92%
実施例5
基材として高スティフネスポリエステルフィルムの東レ株式会社製のXP-55(厚み16μm)を使用したこと以外は、実施例1と同じにして、バリア性積層フィルムを得た。
比較例1
プラズマ前処理を行わなかった以外は、実施例1と同じにしてバリア性積層フィルムを得た。
比較例2
まず、基材である厚さ12μmのPETフィルムを巻き取ったロールを準備した。次に、このPETフィルムの蒸着層を設ける面に、ダイレクトプラズマ方式を用いて下記の条件でプラズマ処理し、プラズマ処理したPETフィルムの巻き取りロールを得た。次に、このPETフィルムのプラズマ処理面に、反応性抵抗加熱方式により、厚さ12nmの酸化アルミニウム蒸着膜を下記の条件で形成した。
(プラズマ前処理条件)
・直流プラズマ強度:150W・sec/m
・プラズマ形成ガス:アルゴン1200(sccm)、酸素3000(sccm)
・磁気形成手段:なし
・前処理ドラム-プラズマ供給ノズル間印加電圧:なし
(酸化アルミニウム成膜条件)
・真空度:8.1×10-2Pa
・搬送速度:400m/min
・波長366nmの光線透過率:92%
次に、酸化アルミニウム蒸着膜上に実施例1と同様にして、バリア性被覆層を形成して、バリア性積層フィルムを得た。
Figure 0007192781000001
測定結果を表1に示す。実施例1~5に示されているように、本発明における積層フィルムの酸化アルミニウム蒸着膜の遷移領域の変成率は45%以下となり、比較例1,2では該遷移領域の変成率が高く、ハイレトルト処理、セミレトルト処理後、比較例1と2ではレトルト処理前の剥離強度が実施例とほぼ同じであっても、レトルト処理後、1N/15mm以下の低い値となり、急激な剥離強度の劣化が見られる。これとは対照的に、本発明では剥離強度が2.1N/15mm以上と十分に密着強度が維持され、レトルト処理による密着強度の大幅な低下が見られず、劣化が抑えられている。
また、バリア性能においても、実施例1~5は、ハイレトルト処理、セミレトルト処理後、水蒸気透過率が0.9g/m/24hr以下とレトルト処理によるバリア性能の劣化が抑えられ、また酸素透過度についてはいずれのレトルト処理後でも、一定の水準を維持できている。これに対し、比較例1と2ではレトルト前処理の水蒸気透過率は実施例とほぼ同じであっても、ハイレトルト処理後では1.2g/m/24hrと高い値となり劣化を示し、また酸素透過度についても、0.5cc/m/24hr以上と2倍以上の高い値を示し、レトルト処理によるバリア性能の劣化が起きている。
これらの結果に見られるように、本発明の酸化アルミニウムの遷移領域の変成率を制御した積層フィルムでは、優れたレトルト耐性を示すものが得られる。
本発明は、蒸着膜とプラスチック基材との間の酸化アルミニウム蒸着膜の遷移領域の変成率を適正に設定することで改善された密着性が得られ、バリア性を有する酸化アルミニウム蒸着膜を備える積層フィルム及びバリア性積層フィルムを得ることができる。
蒸着膜とプラスチック基材間のレトルト処理前後における密着強度の劣化を改善することで、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性及び密着性を有するバリア性積層フィルムとすることができ、例えば、レトルト処理、殺菌処理等の加工に伴う処理に耐える積層材を必要とする食品、医薬品などの包装材、及び電気・電子部品の包装、保護シートなどの耐久性、バリア性を必要とする使用環境が厳しい分野の産業資材等に適用できる。
1,S ………プラスチック基材
2 ………酸化アルミニウム蒸着膜
3………バリア性被覆層
A ………積層フィルム又は蒸着膜フィルム
B ………バリア性積層フィルム
P ………プラズマ
10 ………ローラー式連続蒸着膜成膜装置
12 ………減圧チャンバ
12A ………基材搬送室
12B ………プラズマ前処理室
12C ………成膜室
14a~d ………ガイドロール
18 ………原料ガス揮発供給装置
20 ………前処理ローラー
21 ………マグネット
22 ………プラズマ供給ノズル
23 ………成膜ローラー
24 ………蒸着膜成膜手段
31 ………電力供給配線
32 ………電源
35a~35c ………隔壁

Claims (14)

  1. プラスチック基材の表面に酸化アルミニウムを主成分とする酸化アルミニウム蒸着膜を形成したバリア性を備える積層フィルムにおいて、
    該バリア性を備える積層フィルムは、プラスチック基材と、基材フィルム表面に形成された酸化アルミニウム蒸着膜を主体する蒸着膜からなり、
    基材フィルム表面と形成された酸化アルミニウム蒸着膜を主体する蒸着膜との密着強度を規定する該蒸着膜の遷移領域が形成されており、
    該遷移領域は、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を用いてエッチングを行うことで検出される水酸化アルミニウムに変成する元素結合Al24Hを含み、TOF-SIMSを用いてエッチングを行うことで規定される酸化アルミニウム蒸着膜に対する、TOF-SIMSを用いて規定される該変成される遷移領域の割合により定義される遷移領域の変成率が45%以下であり、
    測定のために作製した、上記積層フィルム/テトラエトキシシランとグリシドキシプロピルトリメトキシシランからなる溶液Aと、ポリビニルアルコールと水とイソプロピルアルコールからなる溶液Bを、A液とB液を重量比6.5:3.5となるよう混合してなる溶液よりゾルゲル法により得られたバリア性被覆層400nm/ 接着剤/ ナイロンフィルム15μm/接着剤/ CPP70μmからなる複合積層フィルムを試験用サンプルとし、
    酸素供給側がバリア性積層フィルムのフィルム面となるように該試験用サンプルをセットし、23℃、100% RH雰囲気下の測定条件で、JISK7126B法に準拠して測定した、135℃、40分間のハイレトルト熱水処理後の、酸素透過度が0.2cc/m2・24hr以下であって、
    上記試験用サンプルを、センサー側がバリア性積層フィルムのフィルム面となるようにセットし、37.8℃、100%RH雰囲気下の測定条件で、JISK 7126B法に準拠し測定した、135℃、40分間のハイレトルト熱水処理後の水蒸気透過度が0.9g/m2・24hr以下である、
    上記積層フィルム。
  2. プラスチック基材が、ポリエチレンテレフタレートフィルムである、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. プラスチック基材が、リサイクルポリエチレンテレフタレートフィルムを含む、請求項1に記載の積層フィルム。
  4. プラスチック基材が、ポリブチレンテレフタレートフィルムである、請求項1に記載の積層フィルム。
  5. プラスチック基材が、バイオマス由来のポリエステルフィルムである、請求項1に記載の積層フィルム。
  6. プラスチック基材が、高スティフネスポリエステルフィルムであり、
    該高スティフネスポリエステルフィルムは、流れ方向(MD)及び垂直方向(TD)において0.0017N/15mm以上のループスティフネスを有し、且つ51質量%以上のポリエステルを含む延伸プラスチックフィルムである、
    請求項1に記載の積層フィルム。
  7. プラスチック基材表面が酸素プラズマ処理面である、請求項1~6のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  8. 酸素プラズマ処理面にインラインで酸化アルミニウム蒸着膜が積層された、請求項7に記載の積層フィルム。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の積層フィルムの酸化アルミニウム蒸着膜表面上にバリア性被覆層が積層されてなる、バリア性積層フィルム。
  10. バリア性被覆層が、金属アルコキシドと水溶性高分子の混合溶液を塗布し、加熱乾燥してなる層である、請求項9に記載のバリア性積層フィルム。
  11. バリア性被覆層が、金属アルコキシドとシランカップリング剤と水溶性高分子の混合溶液を塗布し、加熱乾燥してなる層である、請求項9に記載のバリア性積層フィルム。
  12. 請求項9~11のいずれか1項に記載のバリア性積層フィルムにヒートシール性を有する熱可塑性樹脂が積層されてなる、ガスバリア性包装材料。
  13. レトルト殺菌用包装に用いられる、請求項12に記載のガスバリア性包装材料。
  14. 請求項12または13に記載のガスバリア性包装材料から作製された、ガスバリア性包装体。
JP2019550319A 2017-10-30 2018-10-26 積層フィルム、バリア性積層フィルム及び該バリア性積層フィルムを用いたガスバリア性包装材料、ガスバリア性包装体 Active JP7192781B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017208739 2017-10-30
JP2017208739 2017-10-30
JP2018042601 2018-03-09
JP2018042601 2018-03-09
PCT/JP2018/039877 WO2019087960A1 (ja) 2017-10-30 2018-10-26 積層フィルム、バリア性積層フィルム及び該バリア性積層フィルムを用いたガスバリア性包装材料、ガスバリア性包装体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2019087960A1 JPWO2019087960A1 (ja) 2020-11-26
JP7192781B2 true JP7192781B2 (ja) 2022-12-20

Family

ID=66333043

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019550319A Active JP7192781B2 (ja) 2017-10-30 2018-10-26 積層フィルム、バリア性積層フィルム及び該バリア性積層フィルムを用いたガスバリア性包装材料、ガスバリア性包装体

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP7192781B2 (ja)
WO (1) WO2019087960A1 (ja)

Families Citing this family (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20200135828A (ko) * 2018-03-22 2020-12-03 다이니폰 인사츠 가부시키가이샤 배리어성 적층 필름 및 상기 배리어성 적층 필름을 이용한 포장 재료
JP7248012B2 (ja) 2018-03-23 2023-03-29 大日本印刷株式会社 バリア樹脂フィルム、バリア積層体及び該バリア積層体を用いた包装材料
JP7425984B2 (ja) * 2018-09-28 2024-02-01 大日本印刷株式会社 紙容器用包装材料及び液体紙容器
JP7331444B2 (ja) * 2019-05-10 2023-08-23 大日本印刷株式会社 バリアフィルム
JP7163890B2 (ja) 2019-05-16 2022-11-01 大日本印刷株式会社 包装袋
US20220162740A1 (en) * 2019-06-12 2022-05-26 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Barrier film, laminate, and packaging product
WO2021045127A1 (ja) * 2019-09-06 2021-03-11 大日本印刷株式会社 バリアフィルム、該バリアフィルムを用いた積層体、該積層体を用いた包装製品
JP6939968B2 (ja) * 2019-09-19 2021-09-22 大日本印刷株式会社 バリアフィルム、該バリアフィルムを用いた積層体、該積層体を用いた包装製品
JP6863425B2 (ja) * 2019-09-19 2021-04-21 大日本印刷株式会社 バリアフィルム、該バリアフィルムを用いた積層体、該積層体を用いた包装製品
US20220396870A1 (en) 2019-09-30 2022-12-15 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Barrier laminate, heat sealing laminate including barrier laminate, and packaging container with heat sealing laminate
WO2021065890A1 (ja) 2019-09-30 2021-04-08 大日本印刷株式会社 バリア性積層体、該バリア性積層体を備える包装容器
EP4129673A4 (en) 2020-03-31 2024-05-08 Dainippon Printing Co Ltd MULTILAYER BODY AND PACKAGING CONTAINER FORMED FROM THE MULTILAYER BODY
WO2021230319A1 (ja) * 2020-05-14 2021-11-18 凸版印刷株式会社 ガスバリアフィルム
WO2023013768A1 (ja) 2021-08-05 2023-02-09 大日本印刷株式会社 バリア性積層体、蓋材及び包装容器

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003009998A1 (fr) 2001-07-24 2003-02-06 Toppan Printing Co., Ltd. Film de depot
JP2012096469A (ja) 2010-11-02 2012-05-24 Dainippon Printing Co Ltd バリア性フィルムおよびそれを用いた積層体
WO2013010073A1 (en) 2011-07-13 2013-01-17 Andritz Inc. Rotor refiner plate element for counter-rotating refiner having curved bars and serrated leading edges
WO2014050951A1 (ja) 2012-09-28 2014-04-03 大日本印刷株式会社 透明蒸着フィルム

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6474546B2 (ja) * 2011-12-28 2019-02-27 大日本印刷株式会社 プラズマを使った前処理装置を有した蒸着装置
JP7098900B2 (ja) * 2016-09-30 2022-07-12 大日本印刷株式会社 フィルム及びフィルム製造方法、並びにフィルムを備える包装用材料
WO2018203526A1 (ja) * 2017-05-02 2018-11-08 東レフィルム加工株式会社 アルミニウム蒸着フィルムおよびその製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003009998A1 (fr) 2001-07-24 2003-02-06 Toppan Printing Co., Ltd. Film de depot
JP2012096469A (ja) 2010-11-02 2012-05-24 Dainippon Printing Co Ltd バリア性フィルムおよびそれを用いた積層体
WO2013010073A1 (en) 2011-07-13 2013-01-17 Andritz Inc. Rotor refiner plate element for counter-rotating refiner having curved bars and serrated leading edges
WO2014050951A1 (ja) 2012-09-28 2014-04-03 大日本印刷株式会社 透明蒸着フィルム

Also Published As

Publication number Publication date
WO2019087960A1 (ja) 2019-05-09
JPWO2019087960A1 (ja) 2020-11-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7192781B2 (ja) 積層フィルム、バリア性積層フィルム及び該バリア性積層フィルムを用いたガスバリア性包装材料、ガスバリア性包装体
JP7248011B2 (ja) バリア性積層フィルム及び該バリア性積層フィルムを用いた包装材料
JP7434766B2 (ja) ガスバリア性蒸着フィルム、ガスバリア性積層体、ガスバリア性包装材料及びガスバリア性包装体。
JP7434767B2 (ja) ガスバリア性蒸着フィルム、および該ガスバリア性蒸着フィルムを用いた積層体、包装材料、包装体
JP2020029095A (ja) バリアフィルムおよび包装材料
JP7248012B2 (ja) バリア樹脂フィルム、バリア積層体及び該バリア積層体を用いた包装材料
JP7056790B2 (ja) バリアフィルム、該バリアフィルムを用いた積層体、該積層体を用いた包装製品
JP7027972B2 (ja) バリア樹脂フィルム、バリア積層体及び該バリア積層体を用いた包装材料
JP7441433B2 (ja) 蒸着膜成膜装置及び蒸着膜成膜方法
JP7031772B2 (ja) バリアフィルム、該バリアフィルムを用いた積層体、該積層体を用いた包装製品
JP2020070429A (ja) 酸素プラズマ処理樹脂フィルム、ガスバリア性蒸着フィルム及び該ガスバリア性蒸着フィルムを用いたガスバリア性積層体、ガスバリア性包装材料、ガスバリア性包装体、ガスバリア性包装袋、及びそれらの製造方法
JP2023123494A (ja) バリア性積層フィルム及びバリア性積層フィルムの製造方法、並びにバリア性積層フィルムを備える包装材料
WO2021045127A1 (ja) バリアフィルム、該バリアフィルムを用いた積層体、該積層体を用いた包装製品
JP2021041697A (ja) バリアフィルム、該バリアフィルムを用いた積層体、該積層体を用いた包装製品
JP7318783B2 (ja) 包装袋
JP2021049780A (ja) バリアフィルム、該バリアフィルムを用いた積層体、該積層体を用いた包装製品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210514

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211026

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220322

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220407

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220705

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220826

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221108

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221121

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7192781

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150