JP7336740B2 - 光学機器用アクチュエータおよびこれを備えたレンズ鏡筒 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、駆動用マグネットと駆動用コイルとを有するリニアアクチュエータの構成において、駆動電圧が印加されて変形するとともに変形時に被駆動体の移動を規制する圧電素子を備えた撮像装置の移動機構について開示されている。
すなわち、上記公報に開示された撮像装置の移動機構では、省電力で移動位置における被駆動体の位置を保持するために圧電素子が用いられている。しかし、この構成では、被駆動体を移動させる際にガイド軸との間に生じる摩擦抵抗について考慮されていない。このため、摩擦抵抗が大きい場合には、被駆動体の位置制御を高精度に実施することが難しい。
つまり、リニアアクチュエータにおいて付与される駆動力によって被駆動体の移動を高精度に制御するためには、被駆動体を移動させる際に、ガイド軸との間に生じる摩擦抵抗をできるだけ小さくすることが望ましい。また、スティックスリップ現象の発生をできるだけ小さくすることが望ましい。
本開示の課題は、ガイド軸に対する可動枠の摩擦抵抗を低減して、また、スティックスリップ現象を低減して、高速かつ高精度に可動枠の位置制御を実施することが可能な光学機器用アクチュエータおよびこれを備えたレンズ鏡筒を提供することにある。
なお、出願人は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
本開示の一実施形態に係る光学機器用アクチュエータを備えたレンズ鏡筒10について、図1~図12を用いて説明すれば以下の通りである。
(1)カメラの構成
本実施形態に係るカメラ100は、図1に示すように、カメラ本体50と、レンズ鏡筒10とを備えている。
(2)カメラ本体の構成
カメラ本体50は、撮像素子と、記憶部と、制御部とを備えている。撮像素子は、レンズ鏡筒10からの光を電気信号に変換する。制御部は、撮像素子やレンズ鏡筒10に含まれる光学系を制御する。記憶部は、撮像素子によって生成された電気信号をデジタルデータとして記憶する。
(3)レンズ鏡筒の構成
本実施形態に係るレンズ鏡筒10は、図2、図3Aおよび図3Bに示すように、レンズL1~L18を含む光学系と、1群ユニット11と、2群ユニット12と、カム枠13と、固定枠14と、3群ユニット15と、4群ユニット16と、5群ユニット17と、マウントベース18と、外装ユニット19と、後枠20と、三脚ベースリング21と、三脚ロックねじ22と、回路基板25と、レンズフード26とを備えている。そして、レンズ鏡筒10は、図1に示すように、カメラ本体50のマウント部に装着される。
レンズ鏡筒10は、図3Aおよび図3Bに示すように、内蔵された光学系が、広角側(WIDE位置)と望遠側(TELE位置)との間において、光軸AX方向に沿って移動する。これにより、変倍撮影を行うことができる。
一方、レンズ鏡筒10は、図3Bに示すTELE位置にある状態では、1群ユニット11が光軸AX方向に沿って被写体側へ移動し、外装ユニット19から被写体寄りに突出した状態となる。
(3-1)光学系の構成
レンズ鏡筒10の光学系は、図4に示すように、1群ユニット11、2群ユニット12、カム枠13、固定枠14、3群ユニット15、4群ユニット16、5群ユニット17、マウントベース18、外装ユニット19、および後枠20等によって構成されている。
これにより、レンズL1~L18の間の距離が変化して、広角撮影および望遠撮影を行うことができる。
3群ユニット15は、図3Aおよび図3Bに示すように、レンズL10~レンズL15を保持している。3群ユニット15は、2群ユニット12よりも光軸AX方向における像面側に配置されている。さらに、3群ユニット15は、図4に示すように、円筒状の4群ユニット16の内周側に配置されている。3群ユニット15は、アクチュエータによって駆動されることで、レンズL10~レンズL15を保持した状態で、光軸AX方向に前後に移動する。
5群ユニット17は、図3Aおよび図3Bに示すように、レンズL17およびレンズL18を保持している。5群ユニットは、図4に示すように、円筒状の4群ユニット16の内周側に配置されている。レンズL17およびレンズL18は、レンズL16よりも光軸AX方向における像面側に配置されている。
カム枠13は、図4に示すように、円筒状の部材であって、カム溝が形成されている。カム枠13は、2群ユニット12と、3群ユニット15と、4群ユニット16と、固定枠14との外周面側に配置される。そして4群ユニット16の外周面に設けられたカムピンが、カム枠13のカム溝に嵌合される。
これにより、1群ユニット11から5群ユニット17に含まれるレンズL1~レンズL18間の距離を調整できるため、広角撮影や望遠撮影等を行うことができる。
マウントベース18は、図4に示すように、レンズ鏡筒10のベースとなる略円筒状の部材である。マウントベース18の内周面側には、4群ユニット16が固定される。また、マウントベース18には、相対回転可能な状態でカム枠13が取り付けられる。
後枠20は、外装ユニット19における像面側の端部に取り付けられている。後枠20は、外装ユニット19とともにレンズ鏡筒10の外装部分を構成している。そして、後枠20は、マウントベース18および外装ユニット19に対して相対回転するように取り付けられている。
なお、後枠20の外周面には、図2に示すように、三脚ベースリング21が取り付けられる。三脚ベースリング21は、三脚が接続される台座部分である。
また、後枠20の外周面には、図2に示すように、三脚ロックねじ22が取り付けられる。後枠20は、マウントベース18や外装ユニット19に対して相対回転可能な状態で取り付けられている。このため、三脚ロックねじ22は、その後枠20の相対回転を所定の位置において規制する。具体的には、三脚ロックねじ22は、光軸AX方向に交差する方向に押圧力を付与することで後枠20の相対回転を規制する。
(3-2)4群ユニット16の構成
本実施形態では、可動枠33によって保持されたレンズL16を、光軸AX方向において前後に移動させるレンズユニットであって、図5に示すように、4群ユニット16が、固定枠30、メインヨーク31、マグネット(駆動部)32、可動枠33、主軸ガイド(ガイド軸)40、副軸ガイド41、バックヨーク34、ガイド保持枠35、振動付与部36、バイアスバネ(弾性体)37を備えている。
メインヨーク31は、図5および図6に示すように、側面から見て略U字状の部材であって、固定枠30の内周面側における互いに対向する位置に2つ設けられている。
主軸ガイド40は、主軸フォロア(主ガイド穴)33aに摺動可能に係合し、図5および図6に示すように、固定枠30に対して可動枠33を相対的に移動させる際のガイド部材として、光軸AX方向に沿って配置されている。そして、主軸ガイド40は、光軸AXの方向における一端を後述する振動付与部36を介して後述するガイド保持枠35に保持され、もう一端を固定枠30に保持されている。また、主軸ガイド40は、可動枠33を移動させる際に、後述する振動付与部36から所定の振動が付与される(図7参照)。
これにより、図6に示すように、マグネット32によって生じる径方向内側への磁場と、駆動コイル33cを流れる電流とによって、可動枠33に図中Y軸方向(左方向)へのローレンツ力F1を発生させることができる。よって、駆動コイル33cに電流が流れることで、可動枠33は、光軸AX方向において前後に移動する。
本体部33dは、図6に示すように、中心部分においてレンズL16を保持している。そして、本体部33dのレンズL16を保持する部分の外周には、主軸ガイド40および副軸ガイド41が挿通される、主軸フォロア(主ガイド穴)33a、および副軸フォロア(副ガイド穴)33bが配置されている。
ガイド保持枠35は、図5に示すように、可動枠33の光軸AX方向における被写体側に配置されている。そして、ガイド保持枠35は、固定枠30の被写体側の端面との間において、バックヨーク34等を挟み込むように固定する。ガイド保持枠35は、後述する振動付与部36、および副軸ガイド41を保持し、振動付与部36を介して主軸ガイド40を保持している。
具体的には、圧電素子36aは、可動枠33(本体部33d)と主軸ガイド40との間に生じる静止摩擦が動摩擦に変化するように、図7に示すように、主軸ガイド40に対して軸方向に略平行な方向に沿って所定の超音波振動を付与する。
T≧α×mkの状態では、主軸ガイド40と可動枠33が略一体的に動く。
すなわち、圧電素子36aによって主軸ガイド40が加速度αで振動しても、可動枠33は加速度αでは振動できず、振動しない、あるいは加速度αより小さな加速度で振動する。加速度αより小さな加速度で振動する場合は、可動枠33の振幅は、主軸ガイド40の振幅より小さくなる。この時、可動枠33に伝達できる力(摩擦力T)は、可動枠33が加速度αで振動するために必要な力(α×mk)より小さい。このため、主軸ガイド40の振動が同じ加速度αでは、可動枠33に伝わることができず、主軸ガイド40と可動枠33との間には、相対的な滑りが発生する。
つまり、T<α×mkの状態で圧電素子36aによる振動が続いている間はずっと、主軸ガイド40と可動枠33の間では、動摩擦状態が維持される。一般的に、動摩擦力は、静止摩擦力よりも小さい。よって、動摩擦が発生している状態が維持されている場合には、静止摩擦が発生している状態よりも小さい駆動力で可動枠33を駆動することができる。
ここで、超音波振動がOFF状態、すなわち圧電素子36aへの電圧印加がOFFの状態でアクチュエータの駆動力が可動枠33に付与され、可動枠33が移動する間であっても、高速または高精度の移動量制御が必要となる場合には、そのタイミングと同時、あるいは先立って、またはその位置と同じ位置かその移動手前の位置から、超音波振動を開始、すなわち圧電素子36aへの電圧印加をONにすればよい。
第1の状態は、超音波振動とアクチュエータ駆動との両方がON状態、すなわち圧電素子36aとアクチュエータとの両方に電圧が印加されている状態である。この状態では、常に摩擦抵抗が小さい状態で可動枠33が移動できるため、高速かつ高精度の移動量制御が可能となる。特に、ウォブリングのような可動枠33の速度方向が変化する往復動作時には、往復1周期につき2回、速度が0になる箇所がある。このため、速度が0になる箇所での静止摩擦から動摩擦に変化による移動遅れ、位相遅れ、スティックスリップが問題となる。しかし、可動枠33の速度が0になる箇所またはその直前、すなわち可動枠33の往復動作の方向反転点またはその直前において、この第1の状態にすれば、上記問題を軽減することができる。
第2の状態は、超音波振動はOFFでアクチュエータ駆動がON状態、すなわち圧電素子36aには電圧が印加されておらず、アクチュエータに電圧が印加されている状態である。可動枠33が一定方向に速度変化がない状態で動いている時は、この第2の状態でも主軸ガイド40と可動枠33とは、動摩擦状態が継続されている。このため、静止摩擦から動摩擦に変化することによる移動遅れ、位相遅れ、スティックスリップが問題となることは無い。その動摩擦抵抗と同等以上のアクチュエータ駆動力で駆動すれば、上記問題が起きにくくなり、高速、高精度に安定して動作させることができる。
本実施形態では、以上のように、振動の付与状態と非付与状態との選択において、可動枠33の速度方向が変化する往復動作時には、付与状態が選択される。
また、可動枠33の往復動作時の方向反転点、または方向反転点の前、または方向反転点近傍では、振動の付与状態が選択される。
さらにまた、振動の付与状態と非付与状態の選択において、可動枠33の速度が0になる箇所、または速度が0になる前、または速度が0になる近傍では、付与状態が選択される。
この超音波振動によるピントボケが目立たない様に超音波振動量、すなわち超音波振動の振幅は、小さい値が求められる。上述したように、可動枠33は、圧電素子36aによって主軸ガイド40が振動しても振動しない、あるいは振動が残存し、主軸ガイド40の振幅、すなわち超音波振動量よりも小さく振動する。
すなわち、振動付与部36から付与される振動の振幅をS、撮像素子の画素間隔で決まる解像限界量をδg、レンズのF値をF、ピント移動量に対するレンズ移動量の比をkとすると、以下の関係式(2)を満たすことが好ましい。
さらに、振動付与部36から付与される振動の振幅をS、人間の目の特性から決まる許容錯乱円で決まる量をδr、レンズのF値をF、ピント移動量に対するレンズ移動量の比をkとすると、以下の関係式(3)を満たすことが好ましい。
S<F×δr×k ・・・・・(3)
可動枠33の残存振動量は、フォーカス用レンズの移動精度を決める制御分解能、すなわち制御可能最小移動量をEとすると、Eよりも小さい方がよい。そのためには超音波振動量を、制御分解能、すなわち制御可能最小移動量Eよりも小さく設定してもよい。具体的には、制御分解能をE、残存振動量をY、超音波振動量をSとすると、E>10×Y、またはE>10×S、が望ましいが、E>2~10×Y、またはE>2~10×Sでもよい。
ウォブリング動作によるピントボケが目立たないように、ウォブリング量、すなわち周期振動の振幅は、小さい値が求められる。このピントボケに関して、ピント方向、すなわち光軸方向とボケ方向、すなわち光軸と直交方向の変換式は、ピント方向量=F値×ボケ方向量の関係がある。よって、ウォブリング量をW、レンズのF値をF、目立つボケ量をδ、ピント移動量、すなわち像面移動量に対するレンズ移動量の比をkとすると、W<F×δ×kの関係を満たすことが必要となる。
ウォブリングの周波数(速度方向が変化する往復動作の往復周波数)をVw、振動付与部36から付与される超音波振動の周波数をVs、nを整数とすると、ウォブリングと超音波振動とが波動として相互干渉することを防ぐ観点では、以下の関係式(4)を満たすように設定されていることが好ましい。
また、ウォブリング精度に超音波振動が影響することを防ぐという観点では、Vs>Vwとなるように設定されていることが好ましい。具体的には、Vs>1000~100×Vwの関係を満たすことが望ましいが、Vs>10~100×Vwの関係を満たしていればよい。
なお、超音波振動とは、人間の耳には聞こえない高い振動数(例えば、振動数が20kHz以上の定常音として耳に感じない音)を持つ弾性振動波(音波)であって、広義の意味では、人が聞くこと以外の目的で利用される音を意味し、人間に聞こえるかどうかは問わない。ここでいう振動数は、一般的には周波数とも表現される。
なお、円板36bは、押圧力が伝達される相手側の部材等に制限されることなくスプリング36cの押圧力を主軸ガイド40に対して適切に伝達するために、スプリング36cと主軸ガイド40の押圧側の端部との間に設けられている。
スプリング押さえ36dは、図8に示すように、圧電素子36a等を内包する円筒状の部分の外周に円板状のつば部を有しており、ガイド保持枠35に対して固定されている。そして、スプリング押さえ36dは、図9Aに示すように、圧電素子36a、円板36bおよびスプリング36cを、円筒状の部分において内包する。また、スプリング押さえ36dは、図9Bに示すように、円筒状の部分の底面(光軸AX方向に略垂直な面)の中心部分に形成された穴部36daを有している。
また、振動付与部36から主軸ガイド40に対して付与される超音波振動は、例えば、図10Aに示すように、グラフの時間軸(横軸)方向において左右対称な正弦波駆動波形を有する振動(38V/60kHz)であればよい。
なお、振動付与部36から主軸ガイド40に対して付与される超音波振動は、図10Aに示す正弦波駆動波形以外に、図10Bに示す方形波駆動波形を有する振動(38V/60kHz)であってもよいし、図10Cに示す三角波駆動波形を有する振動(38V/60kHz)であってもよい。
本実施形態では、振動付与部36による振動付与は、可動枠33を特定の方向に移動させるために付与されるものではなく、可動枠33と主軸ガイド40との間に生じる摩擦抵抗を低減するために付与される。そして、可動枠33は、主軸ガイド40に沿って光軸AX方向に前後に移動する。よって、本実施形態では、特定の方向に偏った左右非対称な波形を有する振動を付与する必要はない。
バイアスバネ37は、図12に示すように、主軸ガイド40と交差する方向に付勢力F2を付与することで、可動枠33の本体部33dの一部を、主軸ガイド40に対して押し付ける。
一方、可動枠33を固定枠30に対して移動させる際には、上述した振動付与部36から主軸ガイド40の軸方向に略平行な方向に沿って付与される超音波振動によって、可動枠33の本体部33dと主軸ガイド40との間に生じる摩擦抵抗を低減する。
そして、可動枠33を所望の位置へ移動させた後は、上述した振動付与部36の振動を停止させ、バイアスバネ37によって、可動枠33の本体部33dと主軸ガイド40との間に生じる摩擦抵抗を大きくすることで、可動枠33を所望の位置において安定的に保持することができる。
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、振動付与部36を構成する部材として、圧電素子36a、円板36b、ワッシャタイプのススプリング36cおよびスプリング押さえ36dを例として挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
具体的には、振動付与部136は、図13および図14Aに示すように、圧電素子136a、円板136b、スプリング136c、スプリング押さえ136dを有している。
円板136bは、図14Aに示すように、圧電素子136aとスプリング136cとの間に配置されている。そして、円板136bは、圧電素子136aおよびスプリング136cとともに、スプリング押さえ136dの円筒状の部分の内部に内包される。
スプリング136cは、図14Aに示すように、ソレノイドタイプのバネ部材であって、円板136bとスプリング押さえ136dとの間に配置されている。そして、スプリング136cは、円板136bを介して圧電素子136aを光軸AX方向に略平行な方向へ押し付ける。
以上の構成により、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
上記実施形態では、複数のレンズ群を備えたレンズ鏡筒10に含まれる4群ユニット16に対して、本開示の光学機器用アクチュエータを適用した例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
本開示の光学機器用アクチュエータを適用される対象としては、例えば、レンズ鏡筒の4群ユニットに限定されるものではなく、撮像素子や他のレンズ枠を駆動するアクチュエータであってもよい。例えば、本開示の内容は、手振れ補正の目的で動かされるレンズや撮像素子に用いられるアクチュエータに適用されてもよい。その場合には、レンズ光軸と直交する方向にレンズを動かす場合もあるが、同様の構成で同様の効果を得ることができる。
上記実施形態では、振動付与部36から主軸ガイド40に対して、主軸ガイド40の軸方向に略平行な方向に沿って振動が付与される例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
振動付与部から主軸ガイドに対して付与される振動としては、例えば、動摩擦抵抗を低減する際には、軸方向に交差する方向に沿って付与されてもよい。
上記実施形態では、振動付与部36から主軸ガイド40に対して超音波振動が付与される例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
振動付与部から付与される振動は、超音波振動に限られるものではなく、可動枠と主軸ガイドとの間に生じる摩擦抵抗を低減する振動であれば、例えば、可聴域の振動が付与されてもよい。
(E)
上記実施形態では、振動付与部36から付与される振動として、図10A~図10Cに示すように、グラフの時間軸(横軸)方向において左右対称な振動波形を有する振動を例として挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
この場合、振動波形の左側と右側とにおける振動速度または振動加速度が異なっている。この時の左側の加速度をα1、右側の加速度をαr、可動枠の質量mk、ガイド軸と可動枠との間に作用する摩擦力をTとし、αl×mk>T>αr×mkの関係を満たす場合には、波形左側ではガイド軸と可動枠の連結力となる摩擦力Tよりも大きな加速度α1が掛かるため、ガイド軸と可動枠とは相対的に滑り、波形右側ではガイド軸と可動枠との連結力となる摩擦力Tよりも小さな加速度αrが掛かるため、ガイド軸と可動枠とは一体的に動く。すなわち、可動枠には、右側波形のαrの加速方向に推力が作用する。
この場合、左右非対称な波形の振動加速度の遅い側の加速方向、すなわちαrの加速方向に推力が発生するため、マグネットと駆動コイルとで構成されるアクチュエータの推力方向を合わせればよい。
上記実施形態では、可動枠33と主軸ガイド40との間に摩擦抵抗を発生させる弾性体として、板状のバイアスバネ37を用いた例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
例えば、可動枠と主軸ガイドとの間に摩擦抵抗を生じさせる弾性体として、スプリングバネ、ゴム等の弾性力を有する他の弾性体を用いてもよい。
上記実施形態では、主軸ガイド40のガイド保持枠35への保持を、振動付与部36を介して行う例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
主軸ガイド40と振動付与部36とを各々ガイド保持枠35へ保持し、更に主軸ガイド40と振動付与部36が連結する構成であってもよい。
上記実施形態では、主軸ガイド40に対して振動付与部36からの超音波振動が付与される例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
副軸ガイド41に対して新たな振動付与部が設けられており、副軸ガイドに対して超音波振動を付与する構成であってもよい。
主軸ガイド40に圧電素子36aまたは136aが保持される構成と同様に、新たな圧電素子を副軸ガイド41に対して所定の超音波振動を付与する超音波振動子として取付ければ、可動枠33と副軸ガイド41との間に生じる摩擦抵抗を低減させることができる。その際、主軸ガイド40に付与される超音波振動の周波数をVm、副軸ガイド41に付与される超音波振動の周波数をVf、nを整数とすると、主軸ガイド40および副軸ガイド41の超音波振動が波動として相互干渉することを防ぐ目的で、以下の関係式(5)を満たすように設定されていることが好ましい。
また、回路に掛かるコストを低減する観点では、Vm=Vfの関係を満たすように設定されていることが好ましい。これにより、主軸ガイド40および副軸ガイド41の超音波振動を作り出す圧電素子への印加電圧周波数の共通化が可能となる。このため、印加電圧周波数の共通化によって、回路規模、またはプログラム規模を小さくすることができ、コストを削減することができる。
上記実施形態では、リニアアクチュエータと超音波振動との組み合わせの例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
例えば、駆動源としてリニアアクチュエータの代わりにステッピングモータ、DCモータ、超音波モータ、ボイスコイルアクチュエータ等の駆動力を発生可能なアクチュエータ全般に対して超音波振動を組み合わせた構成であってもよい。この場合には、リニアアクチュエータと超音波振動とを組み合わせた構成と同様の効果を得ることができる。
11 1群ユニット
11a ねじ部
12 2群ユニット
13 カム枠
14 固定枠
15 3群ユニット
16 4群ユニット
17 5群ユニット
18 マウントベース
19 外装ユニット
20 後枠
21 三脚ベースリング
22 三脚ロックねじ
25 回路基板
26 レンズフード
30 固定枠
31 メインヨーク
32 マグネット(駆動部)
33 可動枠
33a 主軸フォロア(主ガイド穴)
33b 副軸フォロア(副ガイド穴)
33c 駆動コイル(駆動部)
33d 本体部
34 バックヨーク
35 ガイド保持枠
36 振動付与部
36a 圧電素子
36b 円板
36c スプリング
36d スプリング押さえ
36da 穴部
37 バイアスバネ(弾性体)
40 主軸ガイド(主ガイド軸)
41 副軸ガイド(副ガイド軸)
50 カメラ本体
100 カメラ
136 振動付与部
136a 圧電素子
136b 円板
136c スプリング
136d スプリング押さえ
136da,136db 穴部
F1 ローレンツ力
F2 付勢力
L1~L18 レンズ
M 磁力
AX 光軸
Claims (7)
- 枠に保持されたガイド軸と、
前記ガイド軸に沿って移動する可動枠と、
前記可動枠を前記ガイド軸に沿って前記枠に対して相対移動させる駆動部と、
前記可動枠の位置制御を行う制御部と、
前記ガイド軸に対して振動を付与する振動付与部と、
を備え、
前記振動は、前記ガイド軸に対して付与状態と非付与状態を選択的に切り替えられ、
前記制御部によって前記可動枠が速度方向を変化させる時、または移動速度を変化させる時、前記付与状態が選択され、前記可動枠が一定方向に速度変化がない状態で移動している時は前記非付与状態が選択される、
光学機器用アクチュエータ。 - 枠に保持されたガイド軸と、
前記ガイド軸に沿って移動する可動枠と、
前記可動枠を前記ガイド軸に沿って前記枠に対して相対移動させる駆動部と、
前記ガイド軸に対して振動を付与する振動付与部と、
を備え、
前記振動は、前記ガイド軸に対して付与状態と非付与状態を選択的に切り替えられ、
前記可動枠が移動している間において、前記可動枠の状態が少なくとも移動速度が0になる箇所、移動速度が0になる前、移動速度が0になる近傍、前記可動枠の速度方向が変化する往復動作時、速度変更時、低速移動時、移動開始点近傍、および移動停止点近傍のいずれかが含まれる場合は前記付与状態が選択され、
前記可動枠が移動している間において、前記場合以外は、前記非付与状態が選択される、
光学機器用アクチュエータ。 - 枠に保持されたガイド軸と、
前記ガイド軸に沿って移動する可動枠と、
前記可動枠を前記ガイド軸に沿って前記枠に対して相対移動させる駆動部と、
前記可動枠の位置制御を行う制御部と、
前記ガイド軸に対して振動を付与する振動付与部と、
を備え、
前記振動は、前記ガイド軸に対して付与状態と非付与状態を選択的に切り替えられ、
前記制御部によって前記可動枠が移動している時には、前記非付与状態が選択され、
前記可動枠が移動している場合において、前記制御部によって前記可動枠の速度が0になる箇所、または速度が0になる前、または速度が0になる近傍で、前記付与状態が選択される、
光学機器用アクチュエータ。 - ピント調整を行なうためのフォーカスが可能であって、レンズを含む光学系と、
前記光学系の光軸と略平行に配置され、枠に保持されたガイド軸と、
前記レンズを保持し、前記フォーカス時に前記ガイド軸に沿って移動する可動枠と、
前記可動枠を前記ガイド軸に沿って前記枠に対して相対移動させる駆動部と、
前記可動枠の位置制御を行う制御部と、
前記ガイド軸に対して振動を付与する振動付与部と、
を備え、
前記振動は、前記ガイド軸に対して付与状態と非付与状態を選択的に切り替えられ、
前記可動枠のウォブリング量をW、前記光学系のF値をF、前記光学系のピント移動量に対する前記可動枠のフォーカス移動量の比をk、予め前記制御部に設定された前記光学系のピントボケ量をδとした時に、
W<F×δ×kの関係で、前記制御部によって前記可動枠を移動させる場合には、前記付与状態が選択され、
W≧F×δ×kの関係で、前記制御部によって前記可動枠を移動させる場合には、前記非付与状態が選択される、
光学機器用アクチュエータ。 - 枠に保持されたガイド軸と、
前記ガイド軸に沿って移動する可動枠と、
前記可動枠を前記ガイド軸に沿って前記枠に対して相対移動させる駆動部と、
前記ガイド軸に対して振動を付与する振動付与部と、
を備え、
前記振動は、前記ガイド軸に対して付与状態と非付与状態を選択的に切り替えられ、
前記付与状態が選択される時は前記非付与状態が選択される時よりも前記駆動部の駆動力が小さく設定される、
光学機器用アクチュエータ。 - 枠に保持されたガイド軸と、
前記ガイド軸に沿って移動する可動枠と、
前記可動枠を前記ガイド軸に沿って前記枠に対して相対移動させる駆動部と、
前記ガイド軸に対して振動を付与する振動付与部と、
を備え、
前記振動は、前記ガイド軸に対して付与状態と非付与状態を選択的に切り替えられ、
前記付与状態が選択される時は前記非付与状態が選択される時よりも前記駆動部に印加される電圧、又は電力が小さく設定される、
光学機器用アクチュエータ。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載の光学機器用アクチュエータと、
光軸方向に沿って配置された複数のレンズ群と、
を備えたレンズ鏡筒。
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