JP7316825B2 - スクラッチ‐冷凍生地兼用改良剤及び当該剤を使用した加糖中種パンの製造方法 - Google Patents
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また、冷凍生地製法における冷凍障害に対して、ビタミンCなどの酸化剤が用いられてきたが、酸化剤は添加量が過剰になると機械耐性を低下させたり、成型を困難にすることから、生地状態を調節するために他の素材との配合検討が必要あり、使い方が限られていた。
(1)冷凍・解凍したパン生地を用いるパンの製造方法において、発酵開始2時間後におけるトータルガス発生量が0.3mL/g以上0.7mL/g未満である中種生地を作製し、該中種生地を本捏生地と混捏したパン生地中に、グルテンと、該グルテン100重量部に対して0.5重量部以上のカルボニル基を同一分子内に2つ以上有する有機酸とを含有する溶液を、65℃以上で30分以上加熱処理して得られる組成物を含有させる方法。
(2)パン生地が高糖生地である、上記(1)の方法。
を提供するものである。
本発明において腰もちとは、パン生地を冷凍し、一定期間冷凍保存した後、解凍して焼成した際に、パン生地がだれることなく高さがあり、パンの側面は丸みを帯びて持ちあがって底面が小さく保たれる状態をいう。
本発明におけるトータルガス発生量は、ファーモグラフを用いて測定した。表1に記載される原材料を秤量し、ピンミキサーで混捏後、20gずつに分割し、ファーモグラフのサンプル瓶にセットした。発酵温度は28℃とし、5分間の予備加温を終了した後、120分間発酵させ、トータルガス発生量を得た。
パン生地改良剤は、蒸留水500mLに、コハク酸4.00g(0.034mol)を添加して混合し、混合液を得た。得られた混合液に、活性グルテン(水分量5.8W/W%)100gを添加し、十分に撹拌しながら、ウォーターバスを用いて80℃まで加熱した。80℃達温後、300分間、さらに撹拌を行い、活性グルテンとコハク酸を反応させた。得られた反応液に対してホモジナイザーを用いて、120秒間、乳化処理を行った。乳化処理液をバットに広げ、凍結乾燥機を用いて乾燥し、乾燥物(水分量7.0W/W%)を得た。フードプロセッサーを用いて、当該乾燥物を粉砕し、本発明におけるパン生地改良剤とした。
表1にパンの原材料の配合比を、表2に製パン工程及び各工程における条件を示した。
中種生地は全試験区とも同じ配合と工程で作製した。具体的には、強力粉、イーストフード、グルコース、イースト、水をそれぞれ秤量し、縦型ミキサーで混捏後、恒温槽で発酵した。
本捏生地には、何も加えない比較区1とグルテンを改良剤として添加した比較区2、および本発明のパン生地改良剤を添加した実施区1を用いて比較評価した。具体的には、強力粉、グラニュー糖、食塩、脱脂粉乳、水、発酵を終了した中種生地、グルテンまたはパン生地改良剤、をそれぞれ秤量し、縦型ミキサーで混捏した。ミキサーの撹拌速度を適宜調整し、生地内にグルテンが形成されたことを確認した後、ショートニングを添加し、再度混捏した。生地とショートニングが十分に混ざり合い、生地内にグルテンが再度形成させたことを確認してミキシングを終了し、この時の生地温度を捏上温度とした。また、ミキシング中に生地を適宜冷却することによって、捏上温度を28±0.5℃以内に調節した。捏ね上げた生地は恒温槽で一次発酵させた(フロアタイム)。フロアタイム終了後、生地を分割し、丸めて、ベンチタイムで生地を休ませた。ベンチタイム終了後、丸めた生地をモルダーでロール成型し、冷凍保存した。
冷凍期間は最長1ヶ月間とし、冷凍保存1日後、1週間後、2週間後、1ヶ月後について添加効果を比較した。
冷凍庫から取り出した加糖中種生地は、ドウコンディショナーで解凍し、ホイロで二次発酵した後、焼成した。
焼成したパンは室温冷却し、粗熱が取れた後、恒温槽で一晩保管し、翌日評価した。
添加効果はパンの高さと腰もち度の測定、及び内相の外観について比較した。
<パンの高さ>
本発明においてロールパンは、ロール成型時の綴じ目線と並行した一辺を長辺とし、生地が巻かれて渦巻き状を示す一辺を短辺と定義した。ロールパンの高さは、長辺の長さ1/2の位置から長辺に対し前後2cmの部位で最も底部からの高さがある位置をロールパンの高さと定義した。
<パンの腰もち度>
ロールパンの高さとして測定した位置を長辺に対して垂直または短辺に対して平行にカットしたときの切断面を図1に示した。図1中のγはロールパンの底面と切断面が付着する短辺の長さを示し、αは切断面において最も長い短辺の長さを示した。腰もち度は、αに対するγの短さ、またはαからγを引いたロールパンが底面と接していない短辺の長さをαに対して比較した数値とした。腰もち度は1からγ/αを減じた値と定義し、0に近いほど腰もちは悪く、1に近いほど腰もちが良いことを示すが、1未満の数値とする。
腰もち度は目視での官能評価も可能である。腰もちの良いロールパンの底面は、底面の周囲にホワイトラインが残り、中心部より白い色調を呈する。一方、腰もちの悪いロールパンはホワイトラインがなく、底面全体が焼き色を呈するため、腰もちの良し悪しを識別することが可能である。
<内相>
内相は、上記の切断面について、切断面内側の気泡の細かさを比較することにより評価した。冷凍障害によるダメージが大きい内相は気泡の大きさが大きく、切断面全体で気泡の入り方が荒い様相を呈する。一方、冷凍障害によるダメージが少ない場合には、気泡の大きさが小さく、入り方が細かく均一な様相を呈する。
<トータルガス発生量>
糖濃度3-20%の中種生地におけるイースト(ダイヤイーストFRZ)のトータルガス発生量を図2に示した。28℃で120分発酵させた後のトータルガス発生量は、濃度依存的に減少し、糖濃度3%から20%において0.3mL/g以上0.7mL/g未満だった。糖濃度3%はイーストの活性が最も高いため、冷凍障害を受けやすく、グルタチオン漏洩量も多いことが示唆された。
ロールパンの高さと腰もち度における継時的変化を図3及び図4に示した。
図3及び図4において、冷凍保存1日後を「冷凍1D」、冷凍保存1週間後を「冷凍1W」、冷凍保存2週間後を「冷凍2W」、冷凍保存1か月後を「冷凍1M」と記した。
ロールパンの高さについて比較すると、冷凍保存1日後から冷凍保存1ヶ月後まで実施区1の値が最も大きく、パン生地改良剤を添加することによって、ロールパンの高さが維持されることが示された。
ロールパンの腰もち度について比較すると、高さと同様に、冷凍保存1日後から冷凍保存1ヶ月後まで実施区1の値が最も大きく、パン生地改良剤を添加することによって、ロールパンの腰もちが維持されることが示された。
実施区1は高さと腰もち度が共に大きい値を示したことから、ボリュームも3つの試験区の中で最も大きいことが示唆された。
ロールパンの高さと腰もち度について冷凍1ヵ月間で継時的変化を比較すると、3試験区とも同様に減退したが、実施区1の冷凍保存1ヶ月後の値は、比較区1及び比較区2の冷凍保存1日後の数値よりも著しく高かった。実施区1は、比較区1および比較区2と比較すると、従来の冷凍生地製法で行ってきた水の配合量を減らしたり、発酵時間を短くするなどの変更を必要とせず、糖濃度が高く、発酵時間を長く取って作製しても、十分に冷凍障害を抑制出来ることを示した。
ロールパンの底面の様相を図5に示した。図5では、左から順に比較区1、比較区2、実施区1とした。比較区1の底面にホワイトラインが見当たらないのに対し、比較区2及び実施区1にはホワイトラインを確認することが出来た。実施区1のホワイトラインは比較区2よりも太く、底面において広い面積を占めていたことから、比較区2よりも腰もちが改善されていることが示唆された。
ロールパンの切断面の様相を図6に示した。図6では、左から順に比較区1、比較区2、実施区1とした。比較区1及び比較区2の内相は外側から中央部に向かって大きな気泡が増加するのに対し、実施区1は外側と中央部の気泡の大きさはほぼ同じであり、均一な内相を示した。このことから、本発明におけるパン生地改良剤は氷結晶によるパン生地の骨格の破壊を防ぎ、内相を均一に維持するのに有効であることが示された。
Claims (2)
- 冷凍・解凍したパン生地を用いるパンの製造方法において、発酵開始2時間後におけるトータルガス発生量が0.3mL/g以上0.7mL/g未満である中種生地を作製し、該中種生地を本捏生地と混捏したパン生地(本捏混合の際にイーストが添加されることを特徴とする多糖パン類を除く)中に、グルテンと、該グルテン100重量部に対して0.5重量部以上のカルボニル基を同一分子内に2つ以上有する有機酸とを含有する溶液を、65℃以上で30分以上加熱処理して得られる組成物を含有する方法。
- パン生地が高糖生地である、請求項1の方法。
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JP2019073603A JP7316825B2 (ja) | 2019-04-08 | 2019-04-08 | スクラッチ‐冷凍生地兼用改良剤及び当該剤を使用した加糖中種パンの製造方法 |
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