JP7308043B2 - フラワーペースト - Google Patents
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Description
したがって、本願が解決しようとする課題は次の(イ)~(ハ)である。
(イ)含有される糖質や糖類を低減した場合であっても、良好な食感を有するフラワーペーストを得ること。
(ロ)含有される糖質や糖類を低減した場合であっても、良好な風味を有するフラワーペーストを得ること。
(ハ)含有される糖質や糖類を低減した場合であっても、良好な物性を有するフラワーペーストを得ること。
(1)油分含量が1~30質量%、糖アルコールの含量が固形分として3~38質量%、食物繊維を1~20質量%含有するフラワーペースト。
(2)澱粉類の含量が1~8質量%である(1)のフラワーペースト。
(3)糖類を実質的に含有しない(1)又は(2)のフラワーペースト。
(4)油分含量が1~30質量%、糖アルコールの含量が固形分として3~38質量%、食物繊維を1~20質量%含有するフラワーペースト原料を、均質化処理した後、加熱し、冷却する工程を有するフラワーペーストの製造方法。
(5)(1)~(3)のいずれか一項に記載のフラワーペーストを用いたベーカリー食品
(イ)含有される糖質や糖類を低減した場合であっても、良好な食感を有するフラワーペーストを得ることができる。
(ロ)含有される糖質や糖類を低減した場合であっても、良好な風味を有するフラワーペーストを得ることができる。
(ハ)含有される糖質や糖類を低減した場合であっても、良好な物性を有するフラワーペーストを得ることができる。
<油分含量>
本発明のフラワーペーストの油分含量について述べる。
本発明のフラワーペースト中の油分含量は、1~30質量%であり、好ましくは1~26質量%、より好ましくは1.5~18質量%である。
フラワーペースト中の油分含量が1質量%未満であると、良好なスプレッド性や伸展性を有するフラワーペーストが得られない、フラワーペーストの食感がワキシーになる等の問題が発生する。また、30質量%を超えると、油分が分離しやすい、フラワーペーストの食感がなめらかさに欠ける等の問題が発生する。
なお、本発明のフラワーペーストに、油脂を含有する副原料を使用した場合、上記の油分含量には、それらの副原料に含まれる油脂分も含めるものとする。
なお、本発明においてパーム系油脂とは、パーム油、パームオレイン、パームスーパーオレイン、パームオレインのランダムエステル交換油脂、パームスーパーオレインのランダムエステル交換油脂のうちの1種又は2種以上を混合したものを指す。
このため、水素添加した油脂を原料の一つとして用いる場合には、トランス脂肪酸の低減、また、その増加を抑制する観点から、ヨウ素価5以下となるように水素添加を施した極度硬化油を用いることが好ましい。
本発明のフラワーペーストに含有される糖アルコールについて述べる。
糖アルコールとは、糖質に該当するものであり、単糖、単糖が2~10分子結合したオリゴ糖、デキストリン、水飴、デンプン等を、発酵や水素添加により還元して得られるものである。
本発明においては、これらの糖アルコールを単独で用いることができ、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
糖類としては、例えば、ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ガラクトース等の単糖類、ショ糖、麦芽糖、乳糖等の二糖類が挙げられる。
本発明のフラワーペーストに含有される食物繊維について述べる。
食物繊維とは、栄養学的に「ヒトの消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」と定義され、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分類される。
本発明で用いることのできるイヌリンとは、通常末端にブドウ糖が結合している、主に果糖の重合体である。
本発明において、「3つのα結合を有するグルコース残基」とは、例えば、グルコース残基の1位と3位と6位の水酸基にα結合を有するものや、グルコース残基の1位と4位と6位の水酸基にα結合を有するものなど、グルコース残基中の3か所で他の構成糖とのα結合を形成しているものを指す。また、「3つのα結合を有するグルコース残基の比率」とは、構成糖残基組成において、上記3つのα結合を有するグルコース残基が占める比率を意味する。
本発明で用いるイソマルトデキストリンの構成糖は、グルコースが90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。
本発明のフラワーペーストは、上記の油脂や糖アルコール、食物繊維の他に、フラワーペーストに通常用いられる澱粉類やその他成分を含有していてもよい。
その他成分としては、例えば、ゲル化剤や安定剤、乳化剤、金属イオン封鎖剤、多糖類、蛋白質、乳や乳製品、卵製品、無機塩、有機酸塩、キモシン等の蛋白質分解酵素、トランスグルタミナーゼ、ラクターゼ(β-ガラクトシダーゼ)、α-アミラーゼ、グルコアミラーゼ等の糖質分解酵素、ジグリセライド、植物ステロール、植物ステロールエステル、果汁、濃縮果汁、果汁パウダー、乾燥果実、果肉、野菜、野菜汁、香辛料、香辛料抽出物、ハーブ、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、その他各種食品素材、着香料、苦味料、高甘味度甘味料、調味料等の呈味成分、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤等が挙げられ、本発明の効果を損なわない範囲で配合してもよい。
本発明のフラワーペーストに含有される澱粉類について述べる。
澱粉類としては、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉、全粒粉等の小麦粉類、ライ麦粉、大麦粉、米粉等のその他の穀粉類、アーモンド粉、へーゼルナッツ粉、カシュ―ナッツ粉、オーナッツ粉、松実粉等の堅果粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉、米澱粉等の澱粉や、これらの澱粉をアミラーゼ等の酵素で処理したものや、α化処理、分解処理、エーテル化処理、エステル化処理、架橋処理、グラフト化処理等の中から選ばれた1種又は2種以上の処理を施した化工澱粉等を挙げることができ、この中から1種又は2種以上を含有することができる。
このため、本発明においては、少量の含量であっても離水を抑制する効果や糊化に伴う良好な食感を得ることができる観点から、化工澱粉を選択して用いることが好ましい。
澱粉類の含量が1質量%未満である場合には、フラワーペースト中の固形分含量が乏しくなる他、糊化の効果が十分に得られずに、離水等の経日的な品質の悪化が起こりやすい上、フラワーペーストとしての良好な食感を得られにくい。また、澱粉類の含量が8質量%超の場合は、得られるフラワーペーストの食感が糊のようなべとついた食感となりやすい上、糖質含量が低減されたフラワーペーストを得るという目的を達成し難くなってしまう。
なお、上記の固形分とは、本発明においては、水分以外の成分の総和を意味し、その主体は蛋白質と炭水化物、油脂分、灰分である。
本発明のフラワーペースト中の糖質の含量について述べる。
糖質・糖類の含量を低減させたフラワーペーストを得るという本発明の観点から、本発明のフラワーペーストにおける糖質の含量は、好ましくは45質量%以下である。近年の低糖質志向に合わせて、より低糖質であることが望ましいため、糖質の含量は、40質量%以下がより好ましく、最も好ましくは38質量%以下である。
本発明のフラワーペースト中の糖質の含量の下限は、低糖質化とフラワーペーストの良好な風味、食感、物性のバランスをとる観点から、25質量%である。
本発明のフラワーペーストの製造方法について述べる。
本発明のフラワーペーストは、油分含量が1~30質量%、糖アルコールの含有量が固形分として3~38質量%、食物繊維を1~20質量%含有するフラワーペースト原料を、均質化処理した後、加熱することによって製造することができる。
得られた油相と水相を混合して攪拌し、予備乳化物を得る。この際、水相と油相の比率(水相:油相、質量基準)を99:1~60:40とすることが、得られるフラワーペーストの経時的な油水分離を避ける観点から好ましい。
澱粉類や食物繊維は、作業性の点から、油相に添加してもよい。
本発明のベーカリー食品について述べる。
本発明のベーカリー食品は、本発明のフラワーペーストを用いたものである。
具体的には、本発明のベーカリー食品は、ベーカリー生地に、本発明のフラワーペーストをフィリングとして包餡したり、トッピングしたり、練り込んだり、ロールインする等の方法で複合させた複合生地を、必要に応じ圧延、成形、ホイロ、ラックタイムをとった後、焼成やフライ等の加熱を処理して得られたものであってもよく、加熱処理により得られたベーカリー食品に対して、フィリングとして本発明のフラワーペーストを注入やトッピング等して得られたものであってもよいが、特に前者が好ましい。
以下のコントロール、比較例、実施例においては、油脂としてパーム油、糖類として水あめ及び砂糖、糖アルコールとしてエリスリトール及びマルチトール、澱粉類としてヒドロキシル化リン酸架橋澱粉、食物繊維として水溶性食物繊維であるイヌリンとイソマルトデキストリン、その他の原料として脱脂粉乳、ゼラチン、ミルク香料を使用した。
これらの糖質含量、及び水分含量を表1に示した。また、以下のコントロール、比較例、実施例の配合については表2にまとめて示した。
60℃に加温したパーム油5質量部に対して、ゼラチン0.2質量部を添加・混合したものを油相とした。また、水49.7質量部に対して、水あめ20質量部、砂糖15質量部、ヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉(イングレディオンジャパン社製「サームテックス」)4質量部、脱脂粉乳6質量部、ミルク香料0.1質量部を添加・混合したものを水相とした。
上記油相と水相を60℃の加熱下で混合し、予備乳化物を得た。この予備乳化物を圧力3MPaで均質化し、加熱殺菌して厚さ0.2mmポリエチレン製の包材にピロー充填した。これを22℃まで冷却し、ペースト状である、コントロールのフラワーペースト(以下、コントロール品と記載する場合がある)を得た。得られたコントロール品の詳細は表3に示した。
水を64.7質量部とし、砂糖を添加しないこと以外は、コントロール品と同様に製造し、ペースト状である、比較例1のフラワーペースト(以下、比較例1品と記載する場合がある)を得た。得られた比較例1品の詳細は表3に示した。
水を54.7質量部とし、砂糖を添加せず、更にエリスリトール10質量部を水相に添加した以外は、コントロール品と同様に製造し、ペースト状である、比較例2のフラワーペースト(以下、比較例2品と記載する場合がある)を得た。得られた比較例2品の詳細は表3に示した。
60℃に加温したパーム油5質量部に対して、ゼラチン0.2質量部を添加・混合したものを油相とした。また、水49.7質量部に対して、水あめ20質量部、エリスリトール10質量部、イヌリン(Beneo-Orafti S.a.社製「オラフティGR」)5質量部、ヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉(イングレディオンジャパン社製「サームテックス」)4質量部、脱脂粉乳6質量部、ミルク香料0.1質量部を添加・混合したものを水相とした。
上記油相と水相を60℃の加熱下で混合し、予備乳化物を得た。この予備乳化物を圧力3MPaで均質化し、加熱殺菌して厚さ0.2mmポリエチレン製の包材にピロー充填した。これを22℃まで冷却し、ペースト状である、実施例1のフラワーペースト(以下、実施例1品と記載する場合がある)を得た。得られた実施例1品の詳細は表3に示した。
水あめの含量を17質量部、イヌリンの含量を8質量部とした以外は、実施例1品と同様に製造し、ペースト状である、実施例2のフラワーペースト(以下、実施例2品と記載する場合がある)を得た。得られた実施例2品の詳細は表3に示した。
水あめの含量を13質量部、イヌリンの含量を12質量部とした以外は、実施例1品と同様に製造し、ペースト状である、実施例3のフラワーペースト(以下、実施例3品と記載する場合がある)を得た。得られた実施例3品の詳細は表3に示した。
水あめの含量を15質量部とし、イヌリンの代わりにイソマルトデキストリン(株式会社林原製「ファイバリクサ」)10質量部を添加した以外は、実施例1品と同様に製造し、ペースト状である、実施例4のフラワーペースト(以下、実施例4品と記載する場合がある)を得た。得られた実施例4品の詳細は表3に示した。
水54.7質量部に対して、水あめ20質量部、エリスリトール10質量部、イヌリン(Beneo-Orafti S.a.社製「オラフティGR」)5質量部、ヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉(イングレレディオンジャパン社製「サームテックス」)4質量部、脱脂粉乳6質量部、ゼラチン0.2質量部、ミルク香料0.1質量部を添加・混合したものを水相とした。
上記水相を圧力3MPaで均質化し、加熱殺菌して厚さ0.2mmポリエチレン製の包材にピロー充填した。これを22℃まで冷却し、ペースト状である、油脂を含有しない、比較例3のフラワーペースト(以下、比較例3品と記載する場合がある)を得た。得られた比較例3品の詳細は表3に示した。
60℃に加温したパーム油2質量部に対して、ゼラチン0.2質量部を添加・混合したものを油相とした。また、水52.7質量部に対して、水あめ20質量部、エリスリトール10質量部、イヌリン(Beneo-Orafti S.a.社製「オラフティGR」)5質量部、ヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉(ナショナルスターチアンドケミカル社製「サームテックス」)4質量部、脱脂粉乳6質量部、ミルク香料0.1質量部を添加・混合したものを水相とした。
上記油相と水相を60℃の加熱下で混合し、予備乳化物を得た。この予備乳化物を圧力3MPaで均質化し、加熱殺菌して厚さ0.2mmポリエチレン製の包材にピロー充填した。これを22℃まで冷却し、ペースト状である、実施例5のフラワーペースト(以下、実施例5品と記載する場合がある)を得た。得られた実施例5品の詳細は表3に示した。
パーム油の含量を15質量部とし、水分含量を39.7質量部とした以外は、実施例5品と同様に製造し、ペースト状である、実施例6のフラワーペースト(以下、実施例6品と記載する場合がある)を得た。得られた実施例6品の詳細は表3に示した。
パーム油の含量を25質量部とし、水分含量を29.7質量部とした以外は、実施例5品と同様に製造し、ペースト状である、実施例7のフラワーペースト(以下、実施例7品と記載する場合がある)を得た。得られた実施例7品の詳細は表3に示した。
パーム油の含量を35質量部とし、水分含量を19.7質量部とした以外は、実施例5品と同様に製造し、ペースト状である、比較例4のフラワーペースト(以下、比較例4品と記載する場合がある)を得た。得られた比較例4品の詳細は表3に示した。
60℃に加温したパーム油5質量部に対して、ゼラチン0.2質量部を添加・混合したものを油相とした。また、水49.7質量部に対して、エリスリトール10質量部、マルチトール20質量部、イヌリン(Beneo-Orafti S.a.社製「オラフティGR」)5質量部、ヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉(イングレディオンジャパン社製「サームテックス」)4質量部、脱脂粉乳6質量部、ミルク香料0.1質量部を添加・混合したものを水相とした。
上記油相と水相を60℃の加熱下で混合し、予備乳化物を得た。この予備乳化物を圧力3MPaで均質化し、加熱殺菌して厚さ0.2mmポリエチレン製の包材にピロー充填した。これを22℃まで冷却し、ペースト状である、実施例8のフラワーペースト(以下、実施例8品と記載する場合がある)を得た。得られた実施例8品の詳細は表4に示した。
マルチトールの含量を22質量部とし、イヌリンの含量を3質量部とした以外は、実施例8品と同様に製造し、ペースト状である、実施例9のフラワーペースト(以下、実施例9品と記載する場合がある)を得た。得られた実施例9品の詳細は表4に示した。
エリスリトールの含量を15質量部、マルチトールの含量を17質量部とし、イヌリンの含量を3質量部とした以外は、実施例8品と同様に製造し、ペースト状である、実施例10のフラワーペースト(以下、実施例10品と記載する場合がある)を得た。得られた実施例10品の詳細は表4に示した。
エリスリトールの含量を17質量部、マルチトールの含量を15質量部とし、イヌリンの含量を3質量部とした以外は、実施例8品と同様に製造し、ペースト状である、実施例11のフラワーペースト(以下、実施例11品と記載する場合がある)を得た。得られた実施例11品の詳細は表4に示した。
エリスリトールの含量を25質量部、マルチトールの含量を7質量部とし、イヌリンの含量を3質量部とした以外は、実施例8品と同様に製造し、ペースト状である、実施例12のフラワーペースト(以下、実施例12品と記載する場合がある)を得た。得られた実施例12品の詳細は表4に示した。
エリスリトールの含量を32質量部、イヌリンの含量を3質量部とし、マルチトールを添加しない以外は、実施例8品と同様に製造し、ペースト状である、実施例13のフラワーペースト(以下、実施例13品と記載する場合がある)を得た。得られた実施例13品の詳細は表4に示した。
水の含量を48.7質量部、ヒドロキシル化リン酸架橋澱粉の含量を2質量部、イヌリンの含量を8質量部とした以外は、実施例8品と同様に製造し、ペースト状である、実施例14のフラワーペースト(以下、実施例14品と記載する場合がある)を得た。得られた実施例14品の詳細は表4に示した。
水の含量を48.7質量部、ヒドロキシル化リン酸架橋澱粉の含量を7質量部、イヌリンの含量を3質量部とした以外は、実施例8品と同様に製造し、ペースト状である、実施例15のフラワーペースト(以下、実施例15品と記載する場合がある)を得た。得られた実施例15品の詳細は表4に示した。
保形性試験においては、フラワーペーストを絞り袋に入れて菊型口金でポリカップに花型に絞り、蓋をして5℃の恒温槽に24時間おき、ダレの状況を観察した。
◆風味
+ コントロールと比較して、より厚みのある風味を有している。
± コントロールと同様の風味を有している。
- コントロールと比較して、味の厚みに乏しい。
-- コントロールと比較して味に厚みがなく、風味が不良である。
◆食感
+ コントロールよりも滑らかな口当たりである。
± コントロールと同様の口当たりである。
- コントロールと比較して、糊感があり、べとつく口当たりである。
◆保型性
+ コントロールと比較して、より保型性が良好である。
± コントロールと同様の保型性である
- コントロールと比較して、保型性にやや乏しい。
-- コントロールと比較して、保型性に乏しい。
食物繊維とエリスリトールを含有しない比較例1品は、実施例1~4品やコントロール品と比較して、粘弾性に乏しく、保型性に欠ける物性となることを確認した。比較例1品の配合にエリスリトールを加えた比較例2品においても、程度の差はあるが、同様の傾向がみられた他、比較例1品と比較例2品では製造後1週間で経時的な離水がみられた。
このことから、フラワーペーストを低糖質化した場合であっても、食物繊維と糖アルコールを併用することで、風味や食感、保型性が維持されることが示唆された。
また、コントロールと実施例1~3品を比較すると、水あめに代えて糖アルコールであるエリスリトールを使用した場合であっても、食物繊維の量を適宜調整することで、風味や食感、保型性を損ねることなく、コントロール品と比して、低糖質化されたフラワーペーストが得られることが分かった。
さらに、実施例4より、食物繊維の種類を変えても、低糖質化されたフラワーペーストを得られることが分かった。
実施例1品、実施例5~7品、比較例4品を比較すると、フラワーペースト中の油脂の含有量が増加するほどに、より厚みのある風味が得られることを確認した。一方、フラワーペースト中の油脂の含有量が一定量を超えて含有されると、保型性が悪化する傾向がみられた。
実施例5品とコントロール品とを比較して、油脂の含量が少ない範囲であっても、食物繊維を使用することにより、コントロール品と同様の風味や食感、物性を有するフラワーペーストを得ることができることが確認された。
一方で、実施例1品、実施例5~7品、コントロール品を比較すると、油脂の含量が最も少ない実施例5品については、24時間以降、継続的に評価すると、保型性が損なわれやすい傾向にあることが確認された。
また、油脂を含有しない比較例3品は、コントロール品や実施例1品と比較して、フラワーペースト特有のボディ感や厚みのある風味が乏しかった。また、他のフラワーペーストと比較して糊感が強く、食感も不良であった。また、保型性も不良であった。
実施例8~13品においては、糖アルコール中のエリスリトールの含有比率を変化させても、風味や食感、保型性について、コントロール同様の性状を得られることを確認した。このことから、エリスリトール含量を高めることで得られるフラワーペーストの性状を損ねることなく、実質的な糖質含量を大きく低減できることが示唆された。
一方、実施例12品と実施例13品においては、製造後2週間時点でエリスリトールの結晶と思しきものが表面に析出し、また、風味が低下しており、商品価値が低下しやすいことが確認された。
これらの検討から、フラワーペースト中の澱粉の含有量を低減させた場合であっても、例えば食物繊維の含有量を適宜調整することにより、コントロール品同様の性状を得ることが可能であることが確認された。
コントロール品、実施例1~15品、及び比較例1~4品のペースト状のフラワーペーストを使用し、下記配合・製法により、フラワーペーストを包餡したベーカリー生地を焼成して、ブッセをそれぞれ得た。
得られたブッセについて、下記の評価基準で評価を行なった。評価結果を表5に示した。
◆保型性評価基準
○:コントロールと同様に良好である。
△:コントロールと比較すると、ダレ気味で、やや生地との間に空隙がある。
×:コントロールと比較すると、激しいダレがみられ、大きな空洞が生じている。
◆食感評価基準
○:コントロールと同様に、良好な口当たりである。
△:コントロールと比較すると、やや糊感があり、僅かにべとつく口当たりである。
×:コントロールと比較すると、強く糊感があり、べとつく口当たりである。
ブッセ用生地の原料として、薄力粉100質量部、グラニュー糖120質量部、全卵(正味)160質量部、ケーキ用起泡剤(株式会社ADEKA製「ジェノワーズ」)6質量部、製菓用液状油(株式会社ADEKA製「グラシュー」)10質量部、ベーキングパウダー1質量部を用いた。
全卵、グラニュー糖、ケーキ用起泡剤をミキサーボールに入れ、縦型ミキサーを用いて中速で比重が0.35程度になるまで攪拌した後、薄力粉、ベーキングパウダーを加え、低速でよく混ぜ合わせた。この後、製菓用液状油を加え、比重が0.45程度になるまで攪拌し生地を調製した。
上記のようにして得られたブッセ用生地を、ロール紙を敷いた天板に流して、上火200℃、下火170℃で10分間焼成した。
焼成した生地をφ9.5cmのセルクルで抜き、ここにコントロール品、実施例1~15品、比較例1~4品のフラワーペーストを絞り、未焼成のブッセ用生地でフタをした。
これを、95℃、6分30秒の条件で蒸し、ブッセを得た。
Claims (5)
- 油分含量が1~30質量%、糖アルコールの含量が固形分として3~38質量%、イヌリン及び/又はイソマルトデキストリンを1~20質量%含有するフラワーペースト。
- 澱粉類の含量が1~8質量%である請求項1のフラワーペースト。
- 糖類を実質的に含有しない請求項1又は2のフラワーペースト。
- 油分含量が1~30質量%、糖アルコールの含量が固形分として3~38質量%、イヌリン及び/又はイソマルトデキストリンを1~20質量%含有するフラワーペースト原料を均質化処理した後、加熱し、冷却する工程を有するフラワーペーストの製造方法。
- 請求項1~3のいずれか一項に記載のフラワーペーストを用いたベーカリー食品。
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