JP7266394B2 - 粘結剤組成物、砂組成物および鋳型の製造方法 - Google Patents

粘結剤組成物、砂組成物および鋳型の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、粘結剤組成物、砂組成物および鋳型の製造方法に関する。
従来、鋳造用鋳型(以下、単に「鋳型」ともいう。)の一つとして自硬性鋳型が知られている。自硬性鋳型とは、珪砂等の耐火性粒状材料に、フラン樹脂等を主成分とした粘結剤(酸硬化性粘結剤)と、硫酸やキシレンスルホン酸等の酸触媒(硬化剤)とを添加、混練した後、得られた砂組成物(混練砂)を木型、樹脂型、金型等(以下、これらを総称して「鋳型造型用型」ともいう。)に充填し、粘結剤を硬化させる方法で製造されているものである。
酸硬化性粘結剤は、酸触媒により脱水反応しながら重縮合し、硬化する粘結剤であり、可使時間が短すぎると砂組成物を鋳型造型用型へ充填する前に酸硬化性粘結剤が硬化してしまうことがある。そのため、砂組成物を鋳型造型用型へ充填する時間を確保できる程度の可使時間が求められる。一方、砂組成物を鋳型造型用型へ充填した後は、生産性の観点から酸硬化性粘結剤は速く硬化することが好ましく、抜型時間は短い方が好ましい。
粘結剤の硬化速度を速める方法としては、酸触媒の添加量を増やしたり、硫黄原子含有量(S含有量)の多い酸触媒を用いたりして、耐火性粒状材料への硫黄原子添加量(S添加量)、すなわち砂組成物中のS含有量を増やす方法、粘結剤にレゾルシン等の硬化促進剤を配合する方法などが知られている。
砂組成物中のS含有量を増やすと、得られる鋳型のS含有量も増えることになる。その結果、鋳型への注湯時に発生する亜硫酸ガス等の硫黄酸化物(SOx)の量も増えるため、作業環境を悪化させる恐れがある。
そのため、砂組成物中のS含有量を増やさず、粘結剤の硬化速度を速めるためには、粘結剤に硬化促進剤を配合する方法が有効である。
例えば特許文献1には、フラン樹脂と、レゾルシンおよびレゾルシン系樹脂の少なくとも一方と、水酸化カルシウムとを含有する粘結剤組成物が開示されている。
特許第5581114号公報
フラン樹脂とレゾルシンとを併用した粘結剤は硬化速度が速いため、S含有量の少ない酸触媒を用いることで実用的な可使時間が得られる。しかも、S含有量の少ない酸触媒を用いるので、鋳型への注湯時に発生する硫黄酸化物の量も削減できる。加えて、フラン樹脂とレゾルシンとを併用した粘結剤は適度な粘度を維持できるため、耐火性粒状材料や酸触媒と混練しやすい。さらに、フラン樹脂とレゾルシンとを併用した粘結剤を用いれば、強度の高い鋳型が得られる。
しかしながら、近年では、レゾルシン製造メーカーの撤退に伴い、安定的な供給に懸念がある。また、レゾルシンの価格の上昇も発生している。
そのため、フラン樹脂とレゾルシンとを併用した粘結剤と同等の性能を維持しつつ、これに代わる粘結剤が求められている。
本発明は上記事情を鑑みてなされたもので、可使時間、粘度および鋳型強度を実用的な範囲としつつ、耐火性粒状材料へのS添加量を削減できる粘結剤組成物、砂組成物および鋳型の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を有する。
[1] S含有酸を含む酸触媒で硬化させる粘結剤組成物であって、
下記(A)成分と、下記(B)成分とを含有し、
下記(A)成分と下記(B)成分との質量比(A:B)が100:0.5~100:45であり、
前記粘結剤組成物の固形分の総質量に対する下記(B)成分の含有量が0.5~30質量%である、粘結剤組成物。
(A)成分:フルフリルアルコールまたはフラン樹脂
(B)成分:ノボラック型フェノール樹脂
[2] 前記(B)成分の質量平均分子量が200~8000である、[1]の粘結剤組成物。
[3] 前記(B)成分中に残存する原料モノマーの含有量が、前記(B)成分の固形分の総質量に対して0.1質量%未満である、[1]または[2]の粘結剤組成物。
[4] 前記粘結剤組成物の固形分の総質量に対する前記(A)成分の含有量が70~99.5質量%である、[1]~[3]のいずれかの粘結剤組成物。
[5] 前記粘結剤組成物の固形分の総質量に対する前記(A)成分および前記(B)成分の含有量の合計が97質量%以上である、[1]~[4]のいずれかの粘結剤組成物。
[6] 下記(C)成分をさらに含有する、[1]~[5]のいずれかの粘結剤組成物。
(C)成分:シランカップリング剤
[7] [1]~[6]のいずれかの粘結剤組成物と、耐火性粒状材料と、S含有酸を含む酸触媒とを含有する、砂組成物。
[8] 前記粘結剤組成物の含有量が固形分換算で、前記耐火性粒状材料100質量部に対して0.1~3質量部である、[7]の砂組成物。
[9] [7]または[8]の砂組成物を鋳型造型用型に充填し、前記砂組成物に含まれる粘結剤組成物を硬化させる、鋳型の製造方法。
本発明によれば、可使時間、粘度および鋳型強度を実用的な範囲としつつ、耐火性粒状材料へのS添加量を削減できる粘結剤組成物、砂組成物および鋳型の製造方法を提供できる。
以下の明細書において、「鋳型」とは、本発明の粘結剤組成物を用いて造型してなるものである。また、「固形分」とは、100℃での不揮発分を示す。
[粘結剤組成物]
本発明の粘結剤組成物は、S含有酸を含む酸触媒で硬化させる粘結剤であり、以下に示す(A)成分と(B)成分とを含有する。粘結剤組成物は、以下に示す(C)成分をさらに含有することが好ましい。また、粘結剤組成物は(A)成分、(B)成分および(C)成分以外の成分(その他の成分)を含有していてもよい。
(A)成分:フルフリルアルコールまたはフラン樹脂
(B)成分:ノボラック型フェノール樹脂
(C)成分:シランカップリング剤
<(A)成分>
(A)成分は、フルフリルアルコールまたはフラン樹脂である。
フラン樹脂は、フルフリルアルコール、尿素、ホルムアルデヒド等を主原料としている樹脂で、酸触媒により脱水反応しながら重縮合し、硬化するものである。
フラン樹脂としては、フルフリルアルコールまたはフルフリルアルコールと尿素のいずれかとアルデヒド類との縮合物または共縮合物の1種または2種以上、並びにフルフリルアルコールとの混合物を主成分とし、必要に応じてフェノール類およびビスフェノール類の少なくとも一方とを含むものを用いることが好ましい。
フェノール類としては、例えばフェノール、クレゾール、レゾルシン、ノニルフェノール、カシューナッツ殻液(CNSL)などが挙げられる。これらフェノール類は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ビスフェノール類としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールC、ビスフェノールS、ビスフェノールE、ビスフェノールZなどが挙げられる。これらビスフェノール類は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール、グリオキザール、グルタルジアルデヒド、フタル酸ジアルデヒドなどが挙げられる。これらアルデヒド類は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ただし、縮合物の種類によっては、アルデヒド類としてグリオキザールやフルフラールを単独で使用した際には、酸硬化が進行しない場合もある。そのような場合には、アルデヒド類として少なくともホルムアルデヒドを使用すればよい。
フルフリルアルコールとアルデヒド類の縮合物または共縮合物を製造する場合には、フルフリルアルコール1モルに対して、アルデヒド類を0.1~1モル使用することが好ましい。アルデヒド類の使用量が上記下限値以上であれば、重合度の低い縮合物となるため、可使時間の設定がより容易となる。一方、アルデヒド類の使用量が上記上限値以下であれば、重合度の高い縮合物となるため、最終鋳型強度発現がより良好となる。
尿素とアルデヒド類の縮合物または共縮合物を製造する場合には、尿素1モルに対して、アルデヒド類を1~3モル使用することが好ましく、より好ましくは1.3~2.5モルであり、さらに好ましくは1.5~2モルである。
尿素等を由来とする窒素原子含有量は、フラン樹脂の総質量に対して、0.1~6質量%の範囲となるようにすることが好ましく、0.1~4.5質量%であることがより好ましい。
窒素原子含有量は鋳型の初期強度および最終強度に影響を与えるものであり、窒素原子含有量が低い場合には鋳型の初期強度が高くなる傾向にあり、窒素原子含有量が高い場合には鋳型の最終強度が高くなる傾向にある。
従って、必要に応じて窒素原子含有量を適宜調節することが好ましく、窒素原子含有量が上記範囲内であれば、初期強度と最終強度が共に好ましい鋳型を得ることが可能である。
フラン樹脂の特に好ましい態様として以下の2つが挙げられる。なお、以下における(共)縮合物とは、縮合物および共縮合物の少なくとも一方を意味する。
i)尿素、フルフリルアルコールおよびアルデヒド類を縮合させて得られる(共)縮合物(a)と、フルフリルアルコールと、必要に応じてフェノール類およびビスフェノール類の少なくとも一方との混合物。
ii)尿素とアルデヒド類の縮合物と、フルフリルアルコールと、必要に応じてフェノール類およびビスフェノール類の少なくとも一方との混合物。
フラン樹脂がこのようなi)~ii)の態様であると、可使時間の設定がより容易で、かつ鋳型強度をより向上させることができる。その中でも、製造が容易である観点から、i)の態様が好ましい。
i)の態様においては、フラン樹脂に占める(共)縮合物(a)の比率は5~90質量%であると好ましく、10~80質量%であるとより好ましい。フルフリルアルコールの比率は10~95質量%であると好ましく、20~90質量%であるとより好ましい。
ii)の態様においては、フラン樹脂に占める尿素とアルデヒド類の縮合物の比率は3~30質量%であると好ましく、5~20質量%であるとより好ましい。フルフリルアルコールの比率は70~97質量%であると好ましく、80~95質量%であるとより好ましい。
i)~ii)の態様においては、フラン樹脂に占めるフェノール類およびビスフェノール類の少なくとも一方の比率は、40質量%以下であると好ましく、1~30質量%であるとより好ましい。
なお、フラン樹脂として、上述した以外にも、例えば2,5-ビス(ヒドロキシメチル)フラン、フェノール類およびビスフェノール類からなる群より選ばれる1種以上と、フルフリルアルコールとの混合物;尿素とアルデヒド類との縮合物と、フルフリルアルコールと、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)フランとの混合物などを用いることもできる。
フラン樹脂は、一般的な製法で得ることができる。その一例を以下に示す。
まず、フラン樹脂の原料(フルフリルアルコール、アルデヒド類、尿素等)の一部に水酸化ナトリウム水溶液などを混合してアルカリ性とし、昇温してアルデヒド類との付加物を生成する。次に、塩酸等を用いて反応液を酸性にし、フルフリルアルコールと尿素とアルデヒド類の縮合等の反応を進行させた後、再び反応液をアルカリ性にし、残りのフラン樹脂の原料と、必要に応じてシランカップリング剤とを混合して、フラン樹脂と、水と、任意でシランカップリング剤とを含む混合物を得る。
なお、ここで添加する塩酸は量が少ないため、硬化反応まで進行しない。また、未反応のフルフリルアルコールはフラン樹脂全体を低粘度にさせるための希釈剤の役割を果たし、硬化反応においては硬化物を構成する成分として樹脂化して硬化物となる。
(A)成分の含有量は、粘結剤組成物の固形分の総質量に対して70~99.5質量%が好ましく、75~99質量%がより好ましく、80~95質量%がさらに好ましい。(A)成分の含有量が上記下限値以上であれば、粘結剤組成物の粘度の上昇を抑制できる。加えて、鋳型の強度が向上する。(A)成分の含有量が上記上限値以下であれば、粘結剤組成物中の(B)成分の含有量を確保でき、粘結剤組成物の硬化速度が速まる。
<(B)成分>
(B)成分は、ノボラック型フェノール樹脂である。
(B)成分は、酸触媒(以下、「樹脂製造用酸触媒」ともいう。)の存在下で原料モノマーを反応させて得られたもの、具体的にはフェノール類およびビスフェノール類の少なくとも一方と、アルデヒド類とを反応させて得られたものであり、通常、固体である。
フェノール類としては、例えばフェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、2,3-キシレノール、3,5-キシレノール、m-エチルフェノール、m-プロピルフェノール、m-ブチルフェノール、p-ブチルフェノール、o-ブチルフェノール、レゾルシノール、ハイドロキノン、カテコール、3-メトキシフェノール、4-メトキシフェノール、3-メチルカテコール、4-メチルカテコール、メチルハイドロキノン、2-メチルレゾルシノール、2,3-ジメチルハイドロキノン、2,5-ジメチルレゾルシノール、2-エトキシフェノール、4-エトキシフェノール、4-エチルレゾルシノール、3-エトキシ-4-メトキシフェノール、2-プロペニルフェノール、2-イソプロピルフェノール、3-イソプロピルフェノール、4-イソプロピルフェノール、3,4,5-トリメチルフェノール、2-イソプロポキシフェノール、4-ピロポキシフェノール、2-アリルフェノール、3,4,5-トリメトキシフェノール、4-イソプロピル-3-メチルフェノール、ピロガロール、フロログリシノール、1,2,4-ベンゼントリオール、5-イソプロピル-3-メチルフェノール、4-ブトキシフェノール、4-t-ブチルカテコール、t-ブチルハイドロキノン、4-t-ペンチルフェノール、2-t-ブチル-5-メチルフェノール、2-フェニルフェノール、3-フェニルフェノール、4-フェニルフェノール、3-フェノキシフェノール、4-フェノキシフェノール、4-へキシルオキシフェノール、4-ヘキサノイルレゾルシノール、3,5-ジイソプロピルカテコール、4-ヘキシルレゾルシノール、4-ヘプチルオキシフェノール、3,5-ジ-t-ブチルフェノール、3,5-ジ-t-ブチルカテコール、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノン、ジ-sec-ブチルフェノール、4-クミルフェノール、ノニルフェノール、2-シクロペンチルフェノール、4-シクロペンチルフェノールなどが挙げられる。これらフェノール類は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ビスフェノール類としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールC、ビスフェノールS、ビスフェノールE、ビスフェノールZなどが挙げられる。これらビスフェノール類は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、トリオキサン、フルフラール、パラホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、メチルヘミホルマール、エチルへミホルマール、プロピルへミホルマール、サリチルアルデヒド、ブチルヘミホルマール、フェニルへミホルマール、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α-フェニルプロピルアルデヒド、β-フェニルプロピルアルデヒド、o-ヒドロキシベンズアルデヒド、m-ヒドロキシベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、o-クロロベンズアルデヒド、o-ニトロベンズアルデヒド、m-ニトロベンズアルデヒド、p-ニトロベンズアルデヒド、o―メチルベンズアルデヒド、m-メチルベンズアルデヒド、p-メチルベンズアルデヒド、p-エチルベンズアルデヒド、p-n-ブチルベンズアルデヒドなどが挙げられる。これらアルデヒド類は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂製造用酸触媒としては、例えば塩酸、硫酸、リン酸、スルホン酸、カルボン酸、または塩化亜鉛もしくは酢酸亜鉛などの金属との塩などが挙げられる。
スルホン酸としては、例えばパラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸などが挙げられる。
カルボン酸としては、例えば乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、シュウ酸、酢酸、安息香酸などが挙げられる。
これら樹脂製造用酸触媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(B)成分の質量平均分子量は、200~8000が好ましく、200~6500がより好ましく、200~4000がさらに好ましく、200~3000が特に好ましく、200~2000が最も好ましい。(B)成分の質量平均分子量が上記下限値以上であれば、粘結剤組成物の硬化速度がより速まり、S含有量のより少ない酸触媒を用いることで実用的な可使時間が得られる。しかも、S含有量のより少ない酸触媒を用いるので、耐火性粒状材料へのS添加量(すなわち砂組成物中のS含有量)をより削減できる。(B)成分の質量平均分子量が大きくなるほど硬化速度が速まり、その結果、耐火性粒状材料へのS添加量をより削減できる傾向にあるが、(B)成分の質量平均分子量が大きくなるに連れて粘結剤組成物の粘度も上昇する傾向にある。S添加量の削減と、粘結剤組成物の粘度とのバランスを考慮すると、(B)成分の質量平均分子量は8000以下が好ましい。
(B)成分の質量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質として用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定できる。
フェノール類およびビスフェノール類の少なくとも一方と、アルデヒド類との反応は、公知の方法により行うことができる。例えば、反応容器にフェノール類およびビスフェノール類の少なくとも一方と、アルデヒド類と、樹脂製造用酸触媒と、水等を仕込み、任意の反応温度を任意の反応時間保持する方法が挙げられる。反応終了後、必要に応じ反応液を中和し、さらに反応液を減圧濃縮して水を除去して、(B)成分を得る。なお、反応液の中和の前または後に、必要に応じて、シランカップリング剤を添加してもよい。この場合、(B)成分と、シランカップリング剤とを含む混合物が得られる。
シランカップリング剤としては、例えばN-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
(B)成分中に残存する原料モノマーの含有量は、(B)成分の総質量に対して0.1質量%未満が好ましく、0.05質量%以下がより好ましい。(B)成分中に残存する原料モノマーの含有量が上記上限値未満であれば、鋳型を造型する際において作業者への皮膚刺激を軽減できる。
(B)成分中に残存する原料モノマーの含有量は少ないほど好ましく、0質量%が特に好ましい。
(B)成分の含有量は、粘結剤組成物の固形分の総質量に対して0.5~30質量%であり、1~25質量%が好ましく、5~20質量%がより好ましい。(B)成分の含有量が上記下限値以上であれば、粘結剤組成物の硬化速度が速まり、S含有量の少ない酸触媒を用いることで実用的な可使時間が得られる。しかも、S含有量の少ない酸触媒を用いるので、耐火性粒状材料へのS添加量を削減できる。(B)成分の含有量が上記上限値以下であれば、粘結剤組成物の粘度の上昇を抑制できる。加えて、鋳型の強度が向上する。
(A)成分と(B)成分との質量比(A:B)は、100:0.5~100:45であり、100:1~100:30が好ましく、100:5~100:25がより好ましい。(A)成分に対する(B)成分の割合が多くなるほど、粘結剤組成物の硬化速度が速まり、S含有量の少ない酸触媒を用いることができ、耐火性粒状材料へのS添加量を削減できる。(A)成分に対する(B)成分の割合が少なくなるほど、粘結剤組成物の粘度の上昇を抑制できる。加えて、鋳型の強度が向上する。
(A)成分および(B)成分の含有量の合計は、粘結剤組成物の固形分の総質量に対して97質量%以上が好ましく、98質量%以上がより好ましい。(A)成分および(B)成分の含有量の合計が上記下限値以上であれば、鋳型の強度を良好に維持できる。(A)成分および(B)成分の含有量の合計は、粘結剤組成物の固形分の総質量に対して100質量%でもよい。
<(C)成分>
(C)成分は、シランカップリング剤である。
シランカップリング剤としては、例えばN-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
なお、上述したように、(A)成分や(B)成分を製造する際にはシランカップリング剤が用いられる場合があり、その場合、(A)成分や(B)成分はシランカップリング剤との混合物として得られる。
(C)成分は、(A)成分や(B)成分の製造時に用いられたものでもよいし、粘結剤組成物の製造時に後から加えられるものでもよい。さらには砂組成物の製造時に加えられてもよく、また、予め耐火性粒状材料に(C)成分を被覆または混合させてもよい。
(C)成分の含有量は、粘結剤組成物の固形分の総質量に対して0.01~3質量%が好ましく、0.1~2質量%がより好ましい。(C)成分の含有量が上記下限値以上であれば、鋳型の強度を向上させる効果が充分得られる。鋳型の強度向上効果は、(C)成分の含有量が増えるほど得られやすくなる傾向にあるが、増えすぎても効果は頭打ちになるだけである。よって、(C)成分の含有量は3質量%以下が好ましい。
<その他の成分>
粘結剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、必要に応じて(A)成分、(B)成分および(C)成分以外の成分(その他の成分)を含有していてもよい。
粘結剤組成物に含まれるその他の成分としては、例えば(A)成分および(B)成分以外の樹脂(他の樹脂)、水などが挙げられる。
他の樹脂としては、例えばレゾール型フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂などが挙げられる。
水の含有量は、粘結剤組成物の総質量に対して1~25質量%が好ましく、1~15質量%がより好ましい。水の含有量が上記下限値に近いほど、鋳型の強度がより向上する。
なお、(A)成分や(B)成分を製造する際には水が用いられたり、水が生成したりする場合があり、その場合、(A)成分や(B)成分は水との混合物として得られる。
粘結剤組成物に含まれる水は、(A)成分や(B)成分の製造時に用いられたり生成したりしたものでもよいし、粘結剤組成物の製造時に後から加えられるものでもよい。
<製造方法>
粘結剤組成物は、(A)成分および(B)成分と、必要に応じて(C)成分およびその他の成分の1つ以上とを混合することで得られる。
粘結剤組成物の粘度は、10~300mPa・sが好ましく、15~200mPa・sがより好ましい。
粘結剤組成物の粘度は、25℃でE型粘度計により測定される値である。
<作用効果>
以上説明した本発明の粘結剤組成物は、(A)成分と(B)成分とを特定の質量比で含有し、かつ(B)成分の含有量が規定されているので、硬化速度が速い。そのため、S含有量の少ない酸触媒を用いることで実用的な可使時間が得られる。しかも、S含有量の少ない酸触媒を用いるので、耐火性粒状材料へのS添加量を削減でき、鋳型への注湯時に発生する硫黄酸化物の量も削減できる。加えて、本発明の粘結剤組成物は適度な粘度を維持できるため、耐火性粒状材料や酸触媒と混練しやすい。さらに、本発明の粘結剤組成物を用いれば、強度の高い鋳型が得られる。また、(B)成分はレゾルシンに比べて低価格で入手可能であり、かつ、安定供給が可能である。
このように、本発明の粘結剤組成物によれば、可使時間、粘度および鋳型強度を実用的な範囲としつつ、耐火性粒状材料へのS添加量を削減でき、従来のフラン樹脂とレゾルシンとを併用した粘結剤と同等の性能を維持しつつ、粘結剤組成物や鋳型の製造コストを削減でき、さらには安定供給も可能である。
[砂組成物]
本発明の砂組成物は、上述した本発明の粘結剤組成物と、耐火性粒状材料と、S含有酸を含む酸触媒とを含む。
砂組成物は、粘結剤組成物、耐火性粒状材料および酸触媒以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。
<耐火性粒状材料>
耐火性粒状材料としては、珪砂、クロマイト砂、ジルコン砂、オリビン砂、非晶質シリカ、アルミナ砂、ムライト砂等の天然砂;人工砂などの従来公知のものを使用できる。また、使用済みの耐火性粒状材料を回収したもの(回収砂)や再生処理したもの(再生砂)なども使用できる。これら耐火性粒状材料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
製造コストの観点では天然砂が好ましく、その中でも珪砂がより好ましい。熱により膨張しにくい観点では人工砂が好ましい。製造コストと耐熱性とのバランスを考慮し、天然砂と人工砂とを混合して用いてもよい。
耐火性粒状材料の平均粒子径は50~600μmが好ましく、100~550μmがより好ましく、200~500μmがさらに好ましい。耐火性粒状材料の平均粒子径が上記下限値以上であれば、強度の高い鋳型が得られる。耐火性粒状材料の平均粒子径が上記上限値以下であれば、該鋳型を用いて鋳造される鋳物の表面性にも優れる。
耐火性粒状材料の平均粒子径は、動的光散乱法により測定した耐火性粒状材料の体積累計50%のメディアン径である。
<粘結剤組成物>
砂組成物に含まれる粘結剤組成物は、上述した本発明の粘結剤組成物であり、その説明を省略する。
粘結剤組成物の含有量は固形分換算で、耐火性粒状材料100質量部に対して0.1~3質量部が好ましく、0.2~2質量部がより好ましい。粘結剤組成物の含有量が上記下限値以上であれば、強度がより高い鋳型が得られやすい。鋳型の強度向上効果は、粘結剤組成物の含有量が増えるほど得られやすくなる傾向にあるが、粘結剤組成物の含有量が増えるに連れて注湯時における粘結剤組成物の熱分解によるガスの発生量も増える傾向にある。鋳型の強度の向上と、注湯時におけるガス発生の軽減とのバランスを考慮すると、粘結剤組成物の含有量は2質量部以下が好ましい。
<酸触媒>
酸触媒は、鋳型を製造するに際して粘結剤組成物を硬化させる触媒である。
酸触媒は、少なくともS含有酸を含む。酸触媒は、S含有酸以外の酸(他の酸)を含んでいてもよい。
S含有酸は、分子内に硫黄原子を含む酸である。
S含有酸としては、硫酸等の無機酸;有機スルホン酸等の有機酸が挙げられる。
有機スルホン酸は、スルホ基が炭素骨格に置換した有機化合物である。有機スルホン酸としては、例えばパラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸などが挙げられる。これらの中でも、硬化剤としての性能に優れる点で、キシレンスルホン酸が好ましい。これら有機スルホン酸は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
S含有酸としては、硬化速度および鋳型強度に優れる観点から、硫酸と有機スルホン酸とを併用することが好ましい。
他の酸は、S含有酸以外の酸、すなわち分子内に硫黄原子を含まない酸である。
他の酸としては、リン酸、塩酸等の無機酸;カルボン酸等の有機酸が挙げられる。
カルボン酸としては、例えば乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、シュウ酸、酢酸、安息香酸などが挙げられる。これらカルボン酸は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
S含有酸の含有量は、酸触媒の総質量に対して5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。S含有酸の含有量が上記下限値以上であれば、鋳型の強度がより向上する。S含有酸の含有量は、酸触媒の総質量に対して100質量%でもよい。
酸触媒が他の酸を含む場合、S含有酸の含有量は、酸触媒の総質量に対して90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。
他の酸の含有量は、酸触媒の総質量に対して10~95質量%が好ましく、20~90質量%がより好ましい。他の酸の含有量が上記下限値以上であれば、酸触媒および砂組成物中のS含有量をより削減できる。他の酸の含有量が上記上限値以下であれば、鋳型の強度がより向上する。
酸触媒の含有量は、耐火性粒状材料100質量部に対して0.01~3質量部が好ましく、0.02~2質量部がより好ましい。酸触媒の含有量が上記下限値以上であれば、粘結剤組成物を充分に硬化することができる。酸触媒の含有量が上記上限値以下であれば、砂組成物中のS含有量をより削減できる。
<その他の成分>
砂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、必要に応じて粘結剤組成物、耐火性粒状材料および酸触媒以外の成分(その他の成分)を含有していてもよい。
砂組成物に含まれるその他の成分としては、例えばシランカップリング剤、ブロッキング防止剤、水、水以外の溶媒(他の溶媒)などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、粘結剤組成物の説明において先に例示した(C)成分が挙げられる。
ブロッキング防止剤としては、例えばゼオライト;硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム等の水和反応が可能な金属塩などが挙げられる。
他の溶媒としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2プロパノール等のアルコールなどが挙げられる。
<製造方法>
砂組成物は、粘結剤組成物、耐火性粒状材料および酸触媒と、必要に応じてその他の成分とを混合することで得られる。
混合方法としては、一般的な混合方法であれば特に限定はなく、例えば撹拌機などを用いる方法などが挙げられる。
酸触媒は先に説明した酸を単独、もしくは数種類の酸を併用して用いることができるが、ここに溶媒を使用し、溶液の状態で、すなわち酸触媒の溶液として用いてもよい。
酸触媒の溶液の総質量に対する酸触媒の含有量は、10~100質量%が好ましく、15~100質量%がより好ましい。
酸触媒の溶液の総質量に対する溶媒の含有量は、0~90質量%が好ましく、0~85質量%がより好ましい。
酸触媒の溶液に用いる溶媒としては水、アルコール、これらの混合物などが挙げられる。アルコールとしては、砂組成物に含まれる任意成分の説明において先に例示したアルコールが挙げられる。酸触媒が室温(25℃)で液体の場合、前記溶媒で希釈して用いてもよい。
<作用効果>
以上説明した本発明の砂組成物は、上述した本発明の粘結剤組成物を含有するので、可使時間および鋳型強度を実用的な範囲としつつ、耐火性粒状材料へのS添加量が削減されている。
また、本発明の砂組成物を用いれば、S含有量が削減された鋳型が得られるので、鋳型への注湯時に発生する硫黄酸化物の量も削減できる。
[鋳型の製造方法]
鋳型は、上述した本発明の砂組成物を用い、該砂組成物を鋳型造型用型に充填し、砂組成物を硬化させることで製造される。
鋳型を製造する方法としては、自硬性鋳型造型法を採用することができる。すなわち、砂組成物を鋳型造型用型に充填すると、砂組成物中の粘結剤組成物が酸触媒の作用により硬化する。その結果、鋳型を得ることができる。
<作用効果>
以上説明した本発明の鋳型の製造方法によれば、本発明の砂組成物を用いるので実用的な強度であり、S含有量が削減された鋳型を製造できる。
また、本発明により得られる鋳型はS含有量が削減されているので、鋳型への注湯時に発生する硫黄酸化物の量も削減できる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。各例で用いた(A)成分、(B)成分とその比較品((B’)成分)、(C)成分、耐火性粒状材料および酸触媒を以下に示す。また、各種測定方法および評価方法は以下の通りである。
<(A)成分>
以下のようにして、前記i)の態様の(A)成分を調製した。
温度計、冷却器および撹拌機を備えた4つ口フラスコに、フルフリルアルコール827.1質量部と、尿素24.18質量部と、92質量%パラホルムアルデヒド33.9質量部と、15質量%水酸化ナトリウム水溶液2.0質量部とを投入し、80℃で1時間反応させた(第1の付加反応)。その後、10質量%塩酸3.0質量部添加して、さらに3時間反応させた(縮合反応)。その後、15質量%水酸化ナトリウム水溶液2.0質量部と、尿素14.82質量部とを添加して、さらに30分間反応させて(第2の付加反応)、反応混合物を得た。得られた反応混合物に、シランカップリング剤(N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン)1.8質量部を添加し、(A)成分とシランカップリング剤と水とを含む混合物(α)908.8質量部を得た。
混合物(α)の総質量に対する(A)成分の含有量は88.2質量%であり、シランカップリング剤の含有量は0.2質量%であり、水の含有量は11.6質量%である。また、(A)成分の総質量に対する窒素原子含有量は、2.3質量%であった。
<(B)成分>
(B)成分として、以下に示すものを用いた。
・ノボラック型フェノール樹脂(i):群栄化学工業株式会社製の商品名「BPF-SG」、質量平均分子量310。
・ノボラック型フェノール樹脂(ii):群栄化学工業株式会社製の商品名「PSM-4261」、質量平均分子量1050。
・ノボラック型フェノール樹脂(iii):群栄化学工業株式会社製の商品名「PSM-4324」、質量平均分子量1950。
・ノボラック型フェノール樹脂(iv):群栄化学工業株式会社製の商品名「PSM-4326」、質量平均分子量6400。
<(B’)成分>
(B)成分の比較品((B’)成分)として、以下に示すものを用いた。
・レゾール型フェノール樹脂:群栄化学工業株式会社製の商品名「GEB-100KF」、質量平均分子量1000。
・レゾルシン:住友化学株式会社製の商品名「レゾルシン」。
<(C)成分>
(C)成分として、JNC株式会社製の商品名「サイラエースS-310」を用いた。
<耐火性粒状材料>
耐火性粒状材料として、珪砂(三菱商事建材株式会社製、フリーマントル新砂)を用いた。
<酸触媒>
酸触媒として、以下に示すものを用いた。
・GH-20:硫酸およびキシレンスルホン酸を含む酸触媒(群栄化学工業株式会社製の商品名「GH-20」、酸触媒の総質量に対するS含有量17.59質量%)。
・LH-100:メタキシレンスルホン酸および乳酸を含む酸触媒(群栄化学工業株式会社製の商品名「LH-100」、酸触媒の総質量に対するS含有量3.44質量%)。
<測定・評価>
(水の含有量の測定)
混合物(α)の水の含有量は、JIS K 0068の化学製品の水分試験方法によって求めた。
(窒素原子含有量の測定)
窒素原子含有量は、JIS K 0102の工場排水試験方法の滴定法によって求めた。
(質量平均分子量の測定)
ノボラック型フェノール樹脂およびレゾール型フェノール樹脂の質量平均分子量は、GPC測定装置(東ソー株式会社社製、HPLC8320GPC)およびカラム(東ソー株式会社社製、TSKgel G3000HXL+G2000HKL+G2000HKL)を使用し、標準物質にポリスチレンを用いて測定した。
(粘度の測定)
粘結剤組成物を測定容器に1.1mL入れ、E型粘度計(東機産業株式会社製の商品名「VISCOMETER TV-25」)を使用して、25℃における粘度を測定した。
(可使時間の測定)
可使時間は、JACT試験法HM-2によって求めた。
(圧縮強度の測定)
各実施例および比較例で得られたテストピースの圧縮強度(鋳型強度)は、JIS Z 2601の鋳物砂の試験方法に準じて、卓上抗圧力試験機(高千穂機械株式会社製)を用いることで測定した。
(S削減率の算出)
下記式(1)よりS削減率を求めた。
S削減率={(Y-X)/Y}×100 ・・・(1)
(式(1)中、Xは各実施例または比較例1を除く各比較例における、耐火性粒状材料1kg当たりのS添加量であり、Yは比較例1における、耐火性粒状材料1kg当たりのS添加量である。)
[実施例1]
<粘結剤組成物の製造>
(A)成分、(B)成分および(C)成分の固形分量、並びに水の配合量(混合物(α)に含まれる水を含む)が表1に示す値となるように、混合物(α)と、(B)成分としてノボラック型フェノール樹脂(i)と、(C)成分と、水とを品川式万能撹拌機(株式会社品川工業所製、MIXER)に投入し、これらを混合して粘結剤組成物を得た。
得られた粘結剤組成物の粘度を測定した。結果を表1に示す。
<砂組成物の製造>
砂組成物の可使時間が10分となるように、GH-20とLH-100とを質量比(GH-20:LH-100=58:42)で混合した触媒組成物を酸触媒として用いた。
得られた触媒組成物の総質量に対するS含有量は、11.65質量%(=17.59×0.58+3.44×0.42)である。
耐火性粒状材料100質量部と、先に得られた粘結剤組成物0.8質量部と、触媒組成物0.32質量部とを品川式万能撹拌機(株式会社品川工業所製、MIXER)に投入し、これらを混合して砂組成物を得た。
耐火性粒状材料1kg当たりのS添加量は0.373g(=0.32×0.1165×10)である。
得られた砂組成物について、S削減率を求めた。結果を表1に示す。
<テストピースの製造>
得られた砂組成物の一部を、直ちに温度25℃、湿度40%の条件下、内径50mm、高さ50mmの円柱状の型が形成されたテストピース作製用木型に充填して硬化させ、硬化開始から1時間経過後にテストピースを取り出した(抜型時間1時間)。
得られたテストピースについて、硬化開始から24時間経過後の圧縮強度を測定した。結果を表1に示す。
[実施例2~20]
(B)成分の種類を表1~4に示すものに変更し、(A)成分、(B)成分および(C)成分の固形分量、並びに水の配合量(混合物(α)に含まれる水を含む)が表1~4に示す値となるように、混合物(α)、(B)成分、(C)成分および水の配合量を変更した以外は、実施例1と同様にして粘結剤組成物を製造した。
得られた粘結剤組成物の粘度を測定した。結果を表1~4に示す。
得られた粘結剤組成物を用い、かつ、砂組成物の可使時間が10分となるように、GH-20とLH-100との質量比を表1~4に示す値となるように変更した触媒組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして砂組成物およびテストピースを製造した。
触媒組成物の総質量に対するS含有量、耐火性粒状材料1kg当たりのS添加量、およびS削減率と、テストピースの圧縮強度を測定した。結果を表1~4に示す。
[比較例1]
(A)成分、(B)成分および(C)成分の固形分量、並びに水の配合量(混合物(α)に含まれる水を含む)が表5に示す値となるように、混合物(α)、(B)成分、(C)成分および水の配合量を変更した以外は、実施例1と同様にして粘結剤組成物を製造した。
得られた粘結剤組成物の粘度を測定した。結果を表5に示す。
得られた粘結剤組成物を用い、かつ、砂組成物の可使時間が10分となるように、GH-20とLH-100との質量比を表5に示す値となるように変更した触媒組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして砂組成物およびテストピースを製造した。
触媒組成物の総質量に対するS含有量、耐火性粒状材料1kg当たりのS添加量と、テストピースの圧縮強度を測定した。結果を表5に示す。
[比較例2~5]
(B)成分の種類を表5に示すものに変更し、(A)成分、(B)成分および(C)成分の固形分量、並びに水の配合量(混合物(α)に含まれる水を含む)が表5に示す値となるように、混合物(α)、(B)成分、(C)成分および水の配合量を変更した以外は、実施例1と同様にして粘結剤組成物を製造した。
得られた粘結剤組成物の粘度を測定した。結果を表5に示す。
得られた粘結剤組成物を用い、かつ、砂組成物の可使時間が10分となるように、GH-20とLH-100との質量比を表5に示す値となるように変更した触媒組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして砂組成物およびテストピースを製造した。
触媒組成物の総質量に対するS含有量、耐火性粒状材料1kg当たりのS添加量、およびS削減率と、テストピースの圧縮強度を測定した。結果を表5に示す。
[比較例6~15]
(B)成分の代わりに表6、7に示す(B’)成分を用い、(A)成分、(B’)成分および(C)成分の固形分量、並びに水の配合量(混合物(α)に含まれる水を含む)が表6、7に示す値となるように、混合物(α)、(B’)成分、(C)成分および水の配合量を変更した以外は、実施例1と同様にして粘結剤組成物を製造した。
得られた粘結剤組成物の粘度を測定した。結果を表6、7に示す。
得られた粘結剤組成物を用い、かつ、砂組成物の可使時間が10分となるように、GH-20とLH-100との質量比を表6、7に示す値となるように変更した触媒組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして砂組成物およびテストピースを製造した。
触媒組成物の総質量に対するS含有量、耐火性粒状材料1kg当たりのS添加量、およびS削減率と、テストピースの圧縮強度を測定した。結果を表6、7に示す。
Figure 0007266394000001
Figure 0007266394000002
Figure 0007266394000003
Figure 0007266394000004
Figure 0007266394000005
Figure 0007266394000006
Figure 0007266394000007
表1~7中の(A)成分、(B)成分もしくは(B’)成分、並びに(C)成分の配合量は固形分量である。また、(C)成分の配合量には混合物(α)に含まれるシランカップリング剤の量も含まれ、水の配合量には混合物(α)に含まれる水の量も含まれる。
表1~7中の各成分の含有量は、粘結剤組成物の固形分の総質量に対する、各成分の含有量(質量%)である。「A+B」は、粘結剤組成物の固形分の総質量に対する、(A)成分および(B)成分の含有量の合計(質量%)である。「A:B」は(A)成分と(B)成分との質量比である。「A+B’」は、粘結剤組成物の固形分の総質量に対する、(A)成分および(B’)成分の含有量の合計(質量%)である。「A:B’」は(A)成分と(B’)成分との質量比である。
なお、表1~7中における各成分の配合量および含有量については、四捨五入の有効数字の関係で合計が100質量%にならない場合もある。
表1~7の結果より、各実施例で得られた粘結剤組成物の粘度は、いずれも実用的な範囲内であった。また、各実施例で得られた砂組成物におけるS削減率はいずれも高く、耐火性粒状材料へのS添加量が充分に削減されていることが示された。さらに、各実施例で得られたテストピースは、比較例11~15で得られたテストピースよりも強度が高く、いずれも実用的な範囲内であった。
対して、比較例2~5の場合、S削減率は高かったが、同じ種類の(B)成分を用いた実施例と比べて、比較例2~5で得られた粘結剤組成物の粘度は高く、テストピースの強度は低かった。
比較例6~10の場合、粘結剤組成物の粘度およびテストピースの強度は実用的な範囲内であったが、S削減率が低かった。
よって、本発明の粘結剤組成物によれば、可使時間、粘度および鋳型強度を実用的な範囲としつつ、耐火性粒状材料へのS添加量を削減でき、フラン樹脂とレゾルシンとを併用した粘結剤(比較例11~15)と同等の性能を維持しつつ、粘結剤組成物や鋳型の製造コストを削減できることが示された。

Claims (7)

  1. S含有酸を含む酸触媒で硬化させる粘結剤組成物であって、
    下記(A)成分と、下記(B)成分と、下記(C)成分とを含有し、
    下記(A)成分と下記(B)成分との質量比(A:B)が100:0.5~100:45であり、
    前記粘結剤組成物の固形分の総質量に対する、下記(A)成分の含有量が75~99質量%であり、下記(B)成分の含有量が0.5~22質量%であり、かつ下記(A)成分および下記(B)成分の含有量の合計が97質量%以上である、粘結剤組成物。
    (A)成分:フルフリルアルコールまたはフラン樹脂
    (B)成分:ノボラック型フェノール樹脂
    (C)成分:シランカップリング剤
  2. 前記(B)成分の質量平均分子量が200~8000である、請求項1に記載の粘結剤組成物。
  3. 前記(B)成分中に残存する原料モノマーの含有量が、前記(B)成分の固形分の総質量に対して0.1質量%未満である、請求項1または2に記載の粘結剤組成物。
  4. 前記(B)成分がフェノールとホルムアルデヒドとの反応生成物であり、かつ、前記(B)成分の質量平均分子量が200~2000である、請求項1~3のいずれか一項に記載の粘結剤組成物。
  5. 請求項1~のいずれか一項に記載の粘結剤組成物と、耐火性粒状材料と、S含有酸を含む酸触媒とを含有する、砂組成物。
  6. 前記粘結剤組成物の含有量が固形分換算で、前記耐火性粒状材料100質量部に対して0.1~3質量部である、請求項に記載の砂組成物。
  7. 請求項またはに記載の砂組成物を鋳型造型用型に充填し、前記砂組成物に含まれる粘結剤組成物を硬化させる、鋳型の製造方法。
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