JP7168337B2 - 鋳型造型用粘結剤組成物、鋳型造型用砂組成物、及び鋳型の製造方法 - Google Patents

鋳型造型用粘結剤組成物、鋳型造型用砂組成物、及び鋳型の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋳型造型用粘結剤組成物、鋳型造型用砂組成物、及び鋳型の製造方法に関する。
従来、鋳造用鋳型の一つとして自硬性鋳型が知られている。自硬性鋳型とは、珪砂等の耐火性粒状材料に、酸硬化性樹脂を主成分とした粘結剤と、硫酸やキシレンスルホン酸等の硬化剤とを添加、混練した後、得られた混練砂を型に充填し、粘結剤を硬化させる方法で製造されているものである。
酸硬化性樹脂は、酸(硬化剤)により脱水反応しながら重縮合し、硬化するものである。従来、酸硬化性樹脂としては、フラン樹脂やフェノール樹脂が用いられている。
例えば特許文献1には、フラン樹脂と質量平均分子量が1000~5000のフェノール樹脂とを含有する粘結剤組成物が開示されている。
特許第6062715号公報
しかしながら、フラン樹脂を用いて製造された鋳型は高強度であるものの、耐熱性が低い。鋳型は注湯時に高温に曝されるため、鋳型の耐熱性が低いと焼き付き等の鋳造欠陥が発生することがある。そのため、鋳型には高温に曝されても充分な強度(熱間強度)を発現できる耐熱性が求められる。
一方、フェノール樹脂は耐熱性に優れるものの、フェノール樹脂を用いて製造された鋳型は、フラン樹脂を用いて製造された鋳型に比べて常温時の強度(常温強度)が低い。
また、特許文献1に記載の粘結剤組成物を用いて製造された鋳型は、必ずしも充分な強度を有しているとはいえない。
本発明は上記事情を鑑みてなされたもので、常温強度を維持しつつ、耐熱性に優れる鋳型を製造できる鋳型造型用粘結剤組成物、鋳型造型用砂組成物、及び鋳型の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を有する。
[1]尿素変性フラン樹脂とレゾール型フェノール樹脂とを含有する鋳型造型用粘結剤組成物であって、
前記レゾール型フェノール樹脂の質量平均分子量が200以上、1000未満であり、
前記鋳型造型用粘結剤組成物の総質量に対して、前記尿素変性フラン樹脂の含有量が40~95質量%であり、前記レゾール型フェノール樹脂の含有量が5~60質量%である、鋳型造型用粘結剤組成物。
[2][1]に記載の鋳型造型用粘結剤組成物と、耐火性粒状材料と、硬化剤とを含有する、鋳型造型用砂組成物。
[3]前記硬化剤が有機酸を含む、[2]に記載の鋳型造型用砂組成物。
[4][2]又は[3]に記載の鋳型造型用砂組成物を鋳型製造用の型に充填し、前記鋳型造型用砂組成物に含まれる鋳型造型用粘結剤組成物を硬化させる、鋳型の製造方法。
本発明によれば、常温強度を維持しつつ、耐熱性に優れる鋳型を製造できる鋳型造型用粘結剤組成物、鋳型造型用砂組成物、及び鋳型の製造方法を提供できる。
実施例1~5及び比較例1における鋳型の圧縮強度(常温強度)を縦軸にとったグラフである。 実施例3及び比較例1、2におけるTG/DTA分析の際の温度を横軸に、質量減少率を縦軸にとったグラフである。 実施例6、7及び比較例3、4における熱処理の温度(曝熱温度)を横軸に、鋳型の圧縮強度(常温強度及び熱間強度)を縦軸にとったグラフである。 実施例8~11における鋳型の圧縮強度(常温強度)を縦軸にとったグラフである。 比較例5、6における経過日数を横軸に、粘結剤組成物の粘度を縦軸にとったグラフである。
以下の明細書において、「鋳型」とは、本発明の鋳型造型用粘結剤組成物を含む鋳型造型用砂組成物を用いて造型してなるものである。
[鋳型造型用粘結剤組成物]
本発明の鋳型造型用粘結剤組成物(以下、単に「粘結剤組成物」ともいう。)は、鋳型を製造する際の粘結剤として使用されるものであり、尿素変性フラン樹脂とレゾール型フェノール樹脂とを含有する。
<尿素変性フラン樹脂>
尿素変性フラン樹脂は、フルフリルアルコール、尿素、アルデヒド類を主原料としている樹脂である。すなわち、尿素変性フラン樹脂は、フルフリルアルコールと、尿素と、アルデヒド類とを反応させて得られる。
アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、グリオキザール、フルフラールなどが挙げられる。これらのアルデヒド類は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、粘結剤組成物の硬化が充分に進行する点で、ホルムアルデヒドが好ましい。
尿素変性フラン樹脂は、一般的な製法で得ることができる。その一例を以下に示す。
まず、尿素変性フラン樹脂の主原料(フルフリルアルコール、尿素及びアルデヒド類)を混合し、塩基性触媒の水溶液を添加し、混合物のpHを9~11に調整してアルカリ性とする。次いで、混合物を昇温して尿素とアルデヒド類とを付加反応させ、反応生成物を生成する(第1工程)。得られた反応液に酸性触媒を添加し、反応液のpHを2~5に調整して酸性とし、尿素とアルデヒド類の付加反応物等の縮合反応を進行させる(第2工程)。その後、反応液に塩基性触媒の水溶液を添加し、反応液のpHを7~10に調整してアルカリ性とし、添加剤(F)を混合して反応させ(第3工程)、必要に応じて添加剤(F)をさらに添加して、尿素変性フラン樹脂を含む反応生成物を得る。
塩基性触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
酸性触媒としては、例えば塩酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸などが挙げられる。
なお、酸性触媒の添加量は少ないため、硬化反応まで進行しない。
尿素1モルに対するアルデヒド類の割合は、1~3モルが好ましい。
また、第1の工程における尿素とアルデヒド類との比率(アルデヒド類/尿素)は、モル比で2~4が好ましい。
尿素とアルデヒド類の割合が上記下限値以上であれば、重合度の低い縮合物となるため、可使時間の設定がより容易となる。尿素とアルデヒド類の割合が上記上限値以下であれば、重合度の高い縮合物となるため、鋳型の強度がより高まる。
添加剤(F)としては、シランカップリング剤、ホルムアルデヒド低減剤などが挙げられる。
添加剤(F)としてシランカップリング剤を用いれば、鋳型の強度がさらに向上する。シランカップリング剤としては、例えばN-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。これらのシランカップリング剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ホルムアルデヒド低減剤は、鋳型造型時に発生するホルムアルデヒドを低減するためのものである。ホルムアルデヒド低減剤としては、尿素、レゾルシノール、没食子酸、ピロガロールなどが挙げられる。これらのホルムアルデヒド低減剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このようにして得られる反応生成物には、尿素変性フラン樹脂と、水と、任意でシランカップリング剤とが含まれる。
尿素変性フラン樹脂には、水およびシランカップリング以外の反応に用いた成分が含まれ、具体的には、フルフリルアルコール及び尿素の少なくとも一方とアルデヒド類との縮合物又は共縮合物の1種又は2種以上と、未反応のフルフリルアルコールと、フルフリルアルコールの縮合物とが含まれる。また、尿素変性フラン樹脂の製造において、添加剤(F)としてホルムアルデヒド低減剤を用いた場合は、該ホルムアルデヒド低減剤も尿素変性フラン樹脂に含まれる。なお、未反応のフルフリルアルコールは尿素変性フラン樹脂全体を低粘度にさせるための希釈剤の役割を果たし、硬化反応においては樹脂化して硬化物となる。
水は、縮合物又は共縮合物を生成する際に生じる結合水由来の水、水溶液状の原料(例えばホルマリンなど)によって供給される水である。また、必要に応じて添加される水も含まれる。
シランカップリング剤は、尿素変性フラン樹脂の製造において、添加剤(F)として用いたシランカップリング剤である。また、尿素変性フラン樹脂の製造後に、必要に応じて添加されるシランカップリング剤も含まれる。
反応生成物中の各成分の含有量は、製法の条件、尿素変性フラン樹脂の分子量、添加剤(F)の添加量などによって変わるが、例えば、以下の通りである。
尿素変性フラン樹脂の含有量は、反応生成物の総質量に対して、70~98質量%が好ましく、75~95質量%がより好ましく、80~91質量%がさらに好ましい。
水の含有量は、反応生成物の総質量に対して、2~30質量%が好ましく、5~25質量%がより好ましく、9~20質量%がさらに好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、反応生成物の総質量に対して、10質量%以下が好ましく、0.1~9質量%がより好ましく、0.1~5質量%がさらに好ましい。
尿素等を由来とする窒素原子含有量は、反応生成物の総質量に対して、0.1~6質量%が好ましく、0.1~4.5質量%がより好ましい。
窒素原子含有量は鋳型の初期の常温強度(初期強度)及び最終の常温強度(最終強度)に影響を与えるものであり、窒素原子含有量が少なくなるにつれて鋳型の初期強度は高くなる傾向にあり、窒素原子含有量が多くなるにつれて鋳型の最終強度は高くなる傾向にある。
よって、必要に応じて窒素原子含有量を適宜調整することが好ましく、窒素原子含有量が上記範囲内であれば、初期強度と最終強度のバランスに優れた鋳型が得られやすくなる。
<レゾール型フェノール樹脂>
レゾール型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ触媒存在下で反応させて得られる。
フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ触媒存在下で反応させると、フェノール類の芳香環にアルデヒド類が付加する付加反応が起き、その後縮合反応を経て高分子化する。
フェノール類は、芳香環及び芳香環に結合した水酸基を有する化合物であり、例えば、フェノール、アルキルフェノール類(o,m,pの各クレゾール、o,m,pの各エチルフェノール、キシレノールの各異性体等)、多芳香環フェノール類(α,βの各ナフトール等)、多価フェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ピロガロール、レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン等)等が挙げられる。これらのフェノール類は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、実用的な物質は、フェノール、o,m,pの各クレゾール、キシレノールの各異性体、レゾルシン、カテコールである。
アルデヒド類としては、尿素変性フラン樹脂の説明において先に例示したアルデヒド類が挙げられる。
アルカリ触媒としては、フェノール類とアルデヒド類との反応を進行させ得るものであれば特に制限はなく、種々のアルカリ性物質を用いることができる。具体例としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属の水酸化物(水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム等)、炭酸ナトリウム、アンモニア等の無機アルカリ性物質;トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリエタノールアミン等の第3級アミン、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン)、DBN(1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン)等の環式アミン等の有機アルカリ性物質;等が挙げられる。これらのアルカリ触媒は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記反応は、公知の方法により行うことができる。例えば、攪拌機、還流器及び温度制御機構を有する反応容器にフェノール類、アルデヒド類、アルカリ触媒、水等を仕込み、任意の反応温度を任意の反応時間保持する方法が挙げられる。反応終了後、反応液を中和し、必要に応じて、添加剤(R)を添加してレゾール型フェノール樹脂を含む反応生成物を得る。
フェノール類に対するアルデヒド類のモル比(アルデヒド類/フェノール類)は、1~4が好ましく、1.5~2.5がより好ましい。フェノール類に対するアルデヒド類のモル比が上記下限値以上であれば、未反応のフェノール類(遊離フェノール類)の揮散による臭気発生、又は歩留低下等の問題が生じにくい。フェノール類に対するアルデヒド類のモル比が上記上限値以下であれば、未反応のアルデヒド類(遊離アルデヒド類)が多量に残留することなく、製造工程中の作業環境雰囲気下にホルムアルデヒドが揮発せず、作業環境を良好に維持できる。また得られる鋳型からのアルデヒド類の放散量が少ない。
前記遊離のフェノール類とは、JIS K6910の5.16の規定に準じて測定される未反応のフェノール類である。
前記遊離のアルデヒド類とは、JIS K6910の5.17の規定に準じて測定される未反応のアルデヒド類である。
添加剤(R)としては、尿素変性フラン樹脂の説明において先に例示した添加剤(F)が挙げられる。
このようにして得られる反応生成物には、レゾール型フェノール樹脂と、水と、任意でシランカップリング剤とが含まれる。
レゾール型フェノール樹脂には、水およびシランカップリング以外の反応に用いた成分が含まれ、具体的には、フェノール類とアルデヒド類との縮合物又は共縮合物の1種又は2種以上が含まれる。また、レゾール型フェノール樹脂の製造において、添加剤(R)としてホルムアルデヒド低減剤を用いた場合は、該ホルムアルデヒド低減剤もレゾール型フェノール樹脂に含まれる。また、製造条件によっては、未反応のフェノール類や未反応のアルデヒド類が含まれる場合もある。
水は、縮合物又は共縮合物を生成する際に生じる結合水由来の水、水溶液状の原料(例えばホルマリンなど)によって供給される水である。また、必要に応じて添加される水も含まれる。
シランカップリング剤は、レゾール型フェノール樹脂の製造において、添加剤(R)として用いたシランカップリング剤である。また、レゾール型フェノール樹脂の製造後に、必要に応じて添加されるシランカップリング剤も含まれる。
反応生成物中の各成分の含有量は、製法の条件、レゾール型フェノール樹脂の分子量、添加剤(R)の添加量などによって変わるが、例えば、以下の通りである。
レゾール型フェノール樹脂の含有量は、反応生成物の総質量に対して、60~95質量%が好ましく、65~90質量%がより好ましく、70~85質量%がさらに好ましい。
水の含有量は、反応生成物の総質量に対して、5~40質量%が好ましく、10~35質量%がより好ましく、15~30質量%がさらに好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、反応生成物の総質量に対して、10質量%以下が好ましく、0.1~9質量%がより好ましく、0.1~5質量%がさらに好ましい。
レゾール型フェノール樹脂は、液状であってもよく固体であってもよい。尿素変性フラン樹脂との混合性に優れる点で、液状レゾール型フェノール樹脂であることが好ましい。
液状レゾール型フェノール樹脂の粘度は、50~500mPa・sが好ましく、100~300mPa・sがより好ましい。
液状レゾール型フェノール樹脂の粘度は、25℃でB型粘度計により測定される値である。
レゾール型フェノール樹脂の質量平均分子量は、200以上1000未満である。レゾール型フェノール樹脂の質量平均分子量が上記下限値以上であれば、鋳型の耐熱性が向上する。レゾール型フェノール樹脂の質量平均分子量が上記上限値以下であれば、粘度が過度に高くなるのを抑制でき、レゾール型フェノール樹脂と尿素変性フラン樹脂との混合性を良好に維持できる。加えて、粘結剤組成物の粘度の急激な上昇も抑制できる。よって、常温強度に優れる鋳型が得られる。
レゾール型フェノール樹脂の質量平均分子量の上限値は、900が好ましく、800がより好ましく、700がさらに好ましく、600が特に好ましく、500が最も好ましい。また、レゾール型フェノール樹脂の質量平均分子量の下限値は、250が好ましい。すなわち、レゾール型フェノール樹脂の質量平均分子量は、250~500が最も好ましい。
レゾール型フェノール樹脂の質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される、標準ポリスチレン換算の値である。
<任意成分>
粘結剤組成物は、上述した尿素変性フラン樹脂及びレゾール型フェノール樹脂以外の成分(任意成分)を含有してもよい。
任意成分としては、シランカップリング剤、水などが挙げられる。
シランカップリング剤には、尿素変性フラン樹脂及びレゾール型フェノール樹脂の製造の際に用いる添加剤(F)及び添加剤(R)由来のシランカップリング剤、必要に応じて別途添加されるシランカップリング剤の全てが含まれる。
水には、尿素変性フラン樹脂及びレゾール型フェノール樹脂の製造の際に生じる縮合水由来の水、水溶液状の原料(例えばホルマリンなど)によって供給される水、必要に応じて別途添加される水の全てが含まれる。
<含有量>
粘結剤組成物の総質量に対する各成分の含有量は以下の通りである。なお、水以外の各成分の含有量は、それぞれ固形分量である。
尿素変性フラン樹脂の含有量は、粘結剤組成物の総質量に対して、40~95質量%であり、50~85質量%が好ましく、55~80質量がより好ましく、60~80質量%がさらに好ましい。尿素変性フラン樹脂の含有量が上記下限値以上であれば、鋳型の常温強度を良好に維持できる。尿素変性フラン樹脂の含有量が上記上限値以下であれば、鋳型の耐熱性を良好に維持できる。
レゾール型フェノール樹脂の含有量は、粘結剤組成物の総質量に対して、5~60質量%であり、5~50質量%が好ましく、15~45質量%がより好ましく、20~40質量%がさらに好ましい。レゾール型フェノール樹脂の含有量が上記下限値以上であれば、鋳型の耐熱性が向上する。レゾール型フェノール樹脂の含有量が上記上限値以下であれば、鋳型の常温強度を良好に維持できる。
シランカップリング剤の含有量は、粘結剤組成物の総質量に対して、0.01~3質量%が好ましく、0.1~1質量%がより好ましい。シランカップリング剤の含有量が、上記下限値以上であれば鋳型の強度がより向上し、上記上限値以下であれば大幅なコスト上昇を抑えることができる。
水の含有量は、粘結剤組成物の総質量に対して、1~25質量%が好ましく、3~15質量%がより好ましい。水の含有量が、上記下限値以上であれば鋳型の強度がより向上し、上記上限値以下であれば大幅なコスト上昇を抑えることができる。
<粘結剤組成物の製造方法>
粘結剤組成物は、例えば尿素変性フラン樹脂とレゾール型フェノール樹脂と、必要に応じて任意成分とを混合することで得られる。
粘結剤組成物の粘度は、10~500mPa・sが好ましく、20~300mPa・sがより好ましい。
粘結剤組成物の粘度は、25℃でB型粘度計により測定される値である。
以上説明した本発明の粘結剤組成物は、尿素変性フラン樹脂と、質量平均分子量が200以上1000未満であるレゾール型フェノール樹脂とを特定量、含有する。本発明に用いる尿素変性フラン樹脂とレゾール型フェノール樹脂とは混合性に優れ、しかも粘結剤組成物の粘度の急激な上昇が抑制される。よって、本発明の粘結剤組成物を用いれば、尿素変性フラン樹脂及びレゾール型フェノール樹脂の両方の特性を併せ持つ、具体的には常温強度を維持しつつ、耐熱性に優れる鋳型が得られる。
[鋳型造型用砂組成物]
本発明の鋳型造型用砂組成物(以下、単に「砂組成物」ともいう。)は、上述した本発明の粘結剤組成物と、耐火性粒状材料と、硬化剤とを含有する。
<耐火性粒状材料>
耐火性粒状材料としては、珪砂、クロマイト砂、ジルコン砂、オリビン砂、アルミナ砂、ムライト砂、合成ムライト砂等の従来公知のものを使用できる。また、使用済みの耐火性粒状材料を回収したもの(回収砂)や再生処理をしたもの(再生砂)なども使用できる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。特に耐火性を要求される部分には、クロマイト砂、ジルコン砂、アルミナ砂が好ましい。
<硬化剤>
硬化剤としては、硫酸、リン酸、塩酸等の無機酸;有機スルホン酸、カルボン酸等の有機酸が挙げられる。
有機スルホン酸は、スルホ基が炭素骨格に置換した有機化合物である。有機スルホン酸としては、例えばキシレンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸などが挙げられる。これらのスルホン酸類は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、シュウ酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、マロン酸、コハク酸、安息香酸などが挙げられる。これらのカルボン酸を有する酸は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化剤としては、鋳型の常温強度や耐熱性がより高まる点では、スルホン酸系化合物が好ましく、その中でも特に、硬化剤としての性能に優れる点で、キシレンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸がより好ましい。硬化速度が速く、しかもコストが安い点では、硫酸が好ましい。
硬化剤としては、可使時間が長く、鋳型の常温強度がより向上する観点から、少なくとも有機酸を用いることが好ましい。
硬化剤として、無機酸と有機酸とを併用してもよい。無機酸と有機酸とを併用する場合は、有機酸の割合を無機酸よりも多くすることが好ましい。
硬化剤の総質量に対する有機酸の含有量は、15~70質量%が好ましく、20~60質量%がより好ましい。
硬化剤の総質量に対する無機酸の含有量は、5~60質量%が好ましく、10~50質量%がより好ましい。
硬化剤は、水溶液の状態で、すなわち硬化剤水溶液として用いることができる。
硬化剤水溶液の総質量に対する硬化剤の含有量は、20~75質量%が好ましく、30~70質量%がより好ましい。
硬化剤水溶液の総質量に対する水の含有量は、25~80質量%が好ましく、30~70質量%がより好ましい。
<含有量>
砂組成物における耐火性粒状材料と粘結剤組成物と硬化剤との混合比率は適宜設定できるが、耐火性粒状材料100質量部に対し、粘結剤組成物が0.3~2質量部であることが好ましく、0.5~1.5質量部であることがより好ましい。また、耐火性粒状材料100質量部に対し、硬化剤が0.045~1.2質量部であることが好ましく、0.075~0.9質量部であることがより好ましい。このような混合比率であると、充分な強度の鋳型が得られやすい。
<砂組成物の製造方法>
砂組成物は、粘結剤組成物と耐火性粒状材料と硬化剤とを混合することで得られる。
混合方法としては、一般的な混合方法であれば特に限定はなく、例えば攪拌機などを用いる方法などが挙げられる。
以上説明した本発明の砂組成物は、上述した本発明の粘結剤組成物を含有するので、常温強度を維持しつつ、耐熱性に優れる鋳型が得られる。
また、本発明の砂組成物を用いれば、耐熱性に優れた鋳型が得られるので、焼き付き等の鋳造欠陥も抑制できる。
[鋳型の製造方法]
本発明の砂組成物から鋳型を製造する方法としては、自硬性鋳型造型法を採用することができる。すなわち、本発明の砂組成物を鋳型造型用の所定の型に充填すると、砂組成物中の粘結剤組成物が硬化剤の作用により硬化する。その結果、鋳型を得ることができる。
本発明により得られる鋳型は、常温強度を維持しつつ、耐熱性に優れる。しかも、本発明により得られる鋳型は耐熱性にも優れるので、焼き付き等の鋳造欠陥も抑制できる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例で得られたテストピース(鋳型)の各物性の測定等は以下の方法で行った。
なお、実施例5、7は参考例である。
(水の含有量の測定)
尿素変性フラン樹脂及びレゾール型フェノール樹脂と、粘結剤組成物の水の含有量は、JIS K 0068の化学製品の水分試験方法によって求めた。
(窒素原子含有量の測定)
窒素原子含有量は、JIS K 0102の工場排水試験方法の滴定法によって求めた。
(質量平均分子量の測定)
レゾール型フェノール樹脂と、粘結剤組成物の質量平均分子量は、GPC装置及びカラムを使用し、標準物質をポリスチレンとして測定した。
(可使時間の測定)
可使時間は、JACT試験法HM-2によって求めた。
(圧縮強度の測定)
テストピースの圧縮強度は、JIS Z 2601の鋳物砂の試験方法に準じて、卓上抗圧力試験機(高千穂機械株式会社製)を用いることで測定した。
(耐熱性の評価1:TG/DTA分析)
粘結剤組成物100質量部と、硬化剤2質量部とを混合し、得られた混合物を24時間放置した後、70℃の乾燥機にて熱処理し、硬化物を得た。硬化剤としては、メタキシレンスルホン酸と乳酸の混合物(質量比50:50)を用いた。
得られた硬化物を示差熱熱重量同時測定装置(株式会社日立ハイテクサイエンス製、商品名「TG/DTA6300」)を用い、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/minの条件にて30℃から650℃まで昇温させ、硬化物の加熱による質量減少率を測定した。そして、質量が5質量%減少したときの温度(5質量%減少温度)と、650℃における残炭率を下記式(1)より求めた。5質量%減少温度が高いほど、また、残炭率が高いほど、耐熱性に優れることを意味する。
残炭率(%)=100-(650℃における質量減少率) ・・・(1)
(耐熱性の評価2:熱間強度の測定)
テストピース1~3個の圧縮強度を上述した方法により測定し、その平均値を常温強度とした。
次いで、テストピース1~3個を還元雰囲気下になるようにアルミホイルで覆い、400℃、600℃、800℃に調整した電気炉内に5分間放置し、熱処理を行った。熱処理後、テストピースを取り出して、直ちに圧縮強度を測定し、その平均値を熱間強度とした。
(粘度の測定)
粘結剤組成物をトールビーカーに200mL入れ、B型粘度計(東京計器社製)を使用して、25℃における粘度を測定した。
[尿素変性フラン樹脂の製造]
温度計、冷却器及び攪拌機を備えた反応容器に、フルフリルアルコール78.64質量部と、尿素4.66質量部と、50質量%ホルムアルデヒド水溶液12.00質量部と、15質量%水酸化ナトリウム水溶液0.076質量部とを投入し、80℃で1時間反応させた(第1工程:第1の付加反応)。その後、50質量%パラトルエンスルホン酸水溶液0.18質量部添加して、さらに80℃で3時間反応させた(第2工程:縮合反応)。その後、反応液に15質量%水酸化ナトリウム水溶液0.294質量部と、ホルムアルデヒド低減剤として尿素2.85質量部、没食子酸0.10質量部、及びレゾルシノール1.00質量部を添加して、さらに80℃で30分間反応させて(第3工程:第2の付加反応)、反応混合物を得た。得られた反応混合物に、シランカップリング剤としてN-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン0.20質量部を添加し、尿素変性フラン樹脂を含む反応生成物(f)100質量部を得た。
得られた反応生成物(f)の総質量に対する、尿素変性フラン樹脂の含有量は90.8質量%であり、シランカップリング剤の含有量は0.20質量%であり、水の含有量は9.0質量%であり、窒素原子含有量は、3.5質量%であった。
[レゾール型フェノール樹脂の製造1]
温度計、冷却器及び攪拌機を備えた反応容器に、フェノール40.00質量部と、50質量%ホルムアルデヒド水溶液43.40質量部と、トリエチルアミン3.65質量部とを投入し、65℃で5時間反応させた。次いで、反応液を室温(25℃)まで冷却し、10質量%塩酸11.75質量部を添加した後、減圧濃縮した。その後、ホルムアルデヒド低減剤としてレゾルシノール1.00質量と、シランカップリング剤としてN-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン0.20質量部とを添加し、レゾール型フェノール樹脂を含む反応生成物(g-1)100質量部を得た。
得られた反応生成物(g-1)の総質量に対する、レゾール型フェノール樹脂の含有量は81.4質量%であり、シランカップリング剤の含有量は0.20質量%であり、水の含有量は18.4質量%であった。
また、反応生成物(g-1)の質量平均分子量を測定したところ、300であった。なお、反応生成物(g-1)中のシランカップリング剤の含有量はわずかであるため、本明細書においては、反応生成物(g-1)の質量平均分子量をレゾール型フェノール樹脂の質量平均分子量とみなす。
[レゾール型フェノール樹脂の製造2]
温度計、冷却器及び攪拌機を備えた反応容器に、フェノール39.93質量部と、50質量%ホルムアルデヒド水溶液43.32質量部と、トリエチルアミン3.66質量部とを投入し、65℃で5時間反応させた。次いで、反応液を室温(25℃)まで冷却し、65質量%パラトルエンスルホン酸9.84質量部を添加した後、水2.05質量部を添加した。その後、ホルムアルデヒド低減剤としてレゾルシノール1.00質量と、シランカップリング剤としてN-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン0.20質量部とを添加し、レゾール型フェノール樹脂を含む反応生成物(g-2)100質量部を得た。
得られた反応生成物(g-2)の総質量に対する、レゾール型フェノール樹脂の含有量は71.8質量%であり、シランカップリング剤の含有量は0.20質量%であり、水の含有量は28.0質量%であった。
また、反応生成物(g-2)の質量平均分子量を測定したところ、310であった。なお、反応生成物(g-2)中のシランカップリング剤の含有量はわずかであるため、本明細書においては、反応生成物(g-2)の質量平均分子量をレゾール型フェノール樹脂の質量平均分子量とみなす。
[実施例1]
<粘結剤組成物の調製>
尿素変性フラン樹脂を含む反応生成物(f)90質量部と、レゾール型フェノール樹脂を含む反応生成物(g-1)10質量部とを混合し、粘結剤組成物を調製した。
得られた粘結剤組成物の総質量に対する尿素変性フラン樹脂、レゾール型フェノール樹脂、シランカップリング剤及び水の含有量を表1に示す。
<砂組成物の製造>
珪砂(三菱商事建材株式会社製、フリーマントル新砂)100質量部に、硬化剤0.32質量部を添加し、品川式万能攪拌機(株式会社品川工業所製、MIXER)で1分間混練した。次いで、先に得られた粘結剤組成物0.8質量部を添加してさらに1分間混練し、砂組成物を得た。
なお、硬化剤として、群栄化学工業株式会社製の商品名「GH-20」及び「LH-100」の混合物(質量比;GH-20:LH-100=50:50)を用いた。「GH-20」は硫酸とメタキシレンスルホン酸を含む硬化剤であり、「LH-100」はメタキシレンスルホン酸と乳酸を含む硬化剤である。
得られた砂組成物について、可使時間を測定した。結果を表1に示す。
<テストピースの製造>
得られた砂組成物の一部を、直ちに温度26℃、湿度59%、砂温28℃の条件下、内径50mm、高さ50mmの円柱状の型が形成されたテストピース作製用木型に充填して硬化させ、硬化開始から1時間経過後にテストピースを取り出した(抜型時間1時間)。
得られたテストピースについて、硬化開始から1時間、2時間、3時間及び24時間経過後の圧縮強度を測定した。結果を表1及び図1に示す。
[実施例2~5]
粘結剤組成物の総質量に対する尿素変性フラン樹脂及びレゾール型フェノール樹脂の含有量が表1に示す値となるように、反応生成物(f)及び反応生成物(g-1)の配合量を変更した以外は、実施例1と同様にして粘結剤組成物を調製し、得られた粘結剤組成物を用いて砂組成物及びテストピースを製造し、各種測定を行った。結果を表1及び図1に示す。
また、実施例3で得られた粘結剤組成物について、耐熱性の評価1を行った。結果を表2及び図2に示す。
[比較例1]
尿素変性フラン樹脂を含む反応生成物(f)を粘結剤組成物として用いた以外は、実施例1と同様にして砂組成物及びテストピースを製造し、各種測定を行った。結果を表1及び図1に示す。
また、比較例1の粘結剤組成物について、耐熱性の評価1を行った。結果を表2及び図2に示す。
[比較例2]
レゾール型フェノール樹脂を含む反応生成物(g-1)を粘結剤組成物として用い、耐熱性の評価1を行った。結果を表2及び図2に示す。
Figure 0007168337000001
Figure 0007168337000002
表1、2及び図1、2の結果より、尿素変性フラン樹脂を用いた鋳型は常温強度が高いものの、尿素変性フラン樹脂は耐熱性に劣っていた(比較例1)。一方、レゾール型フェノール樹脂は耐熱性に優れていた(比較例2)。
これに対して、尿素変性フラン樹脂とレゾール型フェノール樹脂を併用した場合、鋳型の常温強度を維持しつつ、耐熱性にも優れていた(実施例1~5)。
[実施例6]
<粘結剤組成物の調製>
尿素変性フラン樹脂を含む反応生成物(f)70質量部と、レゾール型フェノール樹脂を含む反応生成物(g-1)30質量部とを混合し、粘結剤組成物を調製した。
得られた粘結剤組成物の総質量に対する尿素変性フラン樹脂、レゾール型フェノール樹脂、シランカップリング剤及び水の含有量を表3に示す。
<砂組成物の製造>
珪砂(三菱商事建材株式会社製、フリーマントル新砂)100質量部に、硬化剤0.32質量部を添加し、品川式万能攪拌機(株式会社品川工業所製、MIXER)で1分間混練した。次いで、先に得られた粘結剤組成物0.8質量部を添加してさらに1分間混練し、砂組成物を得た。
なお、硬化剤として、群栄化学工業株式会社製の商品名「GH-35」及び「LH-100」の混合物(質量比;GH-35:LH-100=80:20)を用いた。「GH-35」は硫酸とメタキシレンスルホン酸を含む硬化剤であり、「LH-100」はメタキシレンスルホン酸と乳酸を含む硬化剤である。
得られた砂組成物について、可使時間を測定した。結果を表3に示す。
<テストピースの製造>
得られた砂組成物の一部を、直ちに温度25℃、湿度50%、砂温25℃の条件下、内径50mm、高さ50mmの円柱状の型が形成されたテストピース作製用木型に充填して硬化させ、抜型した。
硬化開始から24時間経過後のテストピース3個について、耐熱性の評価2を行った。結果を表3及び図3に示す。なお、図3において、グラフのスタート時の圧縮強度は熱処理前のテストピースの圧縮強度である。
[実施例7]
粘結剤組成物の総質量に対する尿素変性フラン樹脂及びレゾール型フェノール樹脂の含有量が表3に示す値となるように、反応生成物(f)及び反応生成物(g-1)の配合量を変更した以外は、実施例6と同様にして粘結剤組成物を調製し、得られた粘結剤組成物を用いて砂組成物及びテストピースを製造し、各種測定を行った。結果を表3及び図3に示す。
[比較例3]
尿素変性フラン樹脂を含む反応生成物(f)を粘結剤組成物として用いた以外は、実施例6と同様にして砂組成物及びテストピースを製造し、各種測定を行った。結果を表3及び図3に示す。
[比較例4]
レゾール型フェノール樹脂を含む反応生成物(g-1)を粘結剤組成物として用いた以外は、実施例6と同様にして砂組成物及びテストピースを製造し、各種測定を行った。結果を表3及び図3に示す。
Figure 0007168337000003
表3及び図3の結果より、尿素変性フラン樹脂を用いた鋳型は常温強度が高いものの、耐熱性に劣っていた(比較例3)。一方、レゾール型フェノール樹脂を用いた鋳型は、比較例3の鋳型に比べて耐熱性に優れるものの、常温強度が低かった(比較例4)。
これに対して、尿素変性フラン樹脂とレゾール型フェノール樹脂を併用した場合、鋳型の常温強度を維持しつつ、耐熱性にも優れていた(実施例6、7)。
[実施例8]
<粘結剤組成物の調製>
尿素変性フラン樹脂を含む反応生成物(f)70質量部と、レゾール型フェノール樹脂を含む反応生成物(g-2)30質量部とを混合し、粘結剤組成物を調製した。
得られた粘結剤組成物の総質量に対する尿素変性フラン樹脂、レゾール型フェノール樹脂、シランカップリング剤及び水の含有量を表4に示す。
<砂組成物の製造>
珪砂(三菱商事建材株式会社製、フリーマントル新砂)100質量部に、硬化剤0.32質量部を添加し、品川式万能攪拌機(株式会社品川工業所製、MIXER)で1分間混練した。次いで、先に得られた粘結剤組成物0.8質量部を添加してさらに1分間混練し、砂組成物を得た。
なお、硬化剤として、メタキシレンスルホン酸を濃度が40質量%になるように純水で希釈した水溶液を用いた。
得られた砂組成物について、可使時間を測定した。結果を表4に示す。
<テストピースの製造>
得られた砂組成物の一部を、直ちに温度24.5℃、湿度55%、砂温24℃の条件下、内径50mm、高さ50mmの円柱状の型が形成されたテストピース作製用木型に充填して硬化させ、硬化開始から1.5時間経過後にテストピースを取り出した(抜型時間1.5時間)。
得られたテストピースについて、硬化開始から1.5時間、2時間、3時間及び24時間経過後の圧縮強度を測定した。結果を表4及び図4に示す。なお、硬化開始から1時間経過後にテストピースを取り出そうとしたが、抜型できなかった。
[実施例9]
硬化剤として、パラトルエンスルホン酸を濃度が40質量%になるように純水で希釈した水溶液を用いた以外は、実施例8と同様にして砂組成物を調製し、得られた砂組成物を用いてテストピースを製造し、各種測定を行った。結果を表4及び図4に示す。
[実施例10]
硬化剤として、メタンスルホン酸を濃度が40質量%になるように純水で希釈した水溶液を用いた以外は、実施例8と同様にして砂組成物を調製し、得られた砂組成物を用いてテストピースを製造し、硬化開始から1時間経過後にテストピースを取り出した(抜型時間1時間)。
得られたテストピースについて、硬化開始から1時間、2時間、3時間及び24時間経過後の圧縮強度を測定した。結果を表4及び図4に示す。
[実施例11]
硬化剤として、硫酸を濃度が40質量%になるように純水で希釈した水溶液を用いた以外は、実施例8と同様にして砂組成物を調製し、得られた砂組成物を用いてテストピースを製造し、硬化開始から1時間経過後にテストピースを取り出した(抜型時間1時間)。
得られたテストピースについて、硬化開始から1時間、2時間、3時間及び24時間経過後の圧縮強度を測定した。結果を表4及び図4に示す。
Figure 0007168337000004
表4及び図4の結果より、硬化剤として有機酸を用いた方が(実施例8~10)、無機酸を用いた場合(実施例11)よりも鋳型の常温強度が高かった。その中でも、有機酸としてメタキシレンスルホン酸及びパラトルエンスルホン酸を用いた実施例8、9の鋳型は、常温強度が特に高かった。
[比較例5]
尿素変性フラン樹脂を含む反応生成物(f)を粘結剤組成物として用い、該粘結剤組成物を40℃で保管し、時間の経過と共に粘度を測定した。結果を図5に示す。
[比較例6]
レゾール型フェノール樹脂を含む反応生成物(g-1)を粘結剤組成物として用い、該粘結剤組成物を40℃で保管し、時間の経過と共に粘度を測定した。結果を図5に示す。
図5の結果より、尿素変性フラン樹脂は40℃で保管しても粘度が変化しにくいが(比較例5)、レゾール型フェノール樹脂は時間の経過と共に粘度が著しく上昇した(比較例6)。

Claims (4)

  1. 尿素変性フラン樹脂とレゾール型フェノール樹脂とを含有する鋳型造型用粘結剤組成物であって、
    前記レゾール型フェノール樹脂の質量平均分子量が200以上、1000未満であり、
    前記鋳型造型用粘結剤組成物の総質量に対して、前記尿素変性フラン樹脂の含有量が50~95質量%であり、前記レゾール型フェノール樹脂の含有量が5~50質量%であり、前記尿素変性フラン樹脂及び前記レゾール型フェノール樹脂の含有量の合計が85.1質量%以上である、鋳型造型用粘結剤組成物。
  2. 請求項1に記載の鋳型造型用粘結剤組成物と、耐火性粒状材料と、硬化剤とを含有する、鋳型造型用砂組成物。
  3. 前記硬化剤が有機酸を含む、請求項2に記載の鋳型造型用砂組成物。
  4. 請求項2又は3に記載の鋳型造型用砂組成物を鋳型製造用の型に充填し、前記鋳型造型用砂組成物に含まれる鋳型造型用粘結剤組成物を硬化させる、鋳型の製造方法。
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