JP7291570B2 - 粘結剤組成物用キット、硬化剤組成物、砂組成物および鋳型の製造方法 - Google Patents
粘結剤組成物用キット、硬化剤組成物、砂組成物および鋳型の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7291570B2 JP7291570B2 JP2019146812A JP2019146812A JP7291570B2 JP 7291570 B2 JP7291570 B2 JP 7291570B2 JP 2019146812 A JP2019146812 A JP 2019146812A JP 2019146812 A JP2019146812 A JP 2019146812A JP 7291570 B2 JP7291570 B2 JP 7291570B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mold
- composition
- sand
- surfactant
- mass
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Mold Materials And Core Materials (AREA)
Description
しかし、アルカリフェノール樹脂を含む砂組成物は流動性が悪いという欠点がある。砂組成物の流動性が悪いと、鋳型造型用型への砂組成物の充填が不充分となる。充填が不充分な状態で得られた鋳型を用いると、砂カミ、焼き付き、鋳肌不良などの鋳造欠陥が発生することがある。そのため、砂組成物を鋳型造型用型へ充填した後、さらに物理的に上から砂組成物を押し込んで隙間を埋める工程が必要となり、鋳型の生産性が低下しやすい。
例えば特許文献1には、水溶性フェノール樹脂、およびポリオキシエチレンラウリルエーテル等の界面活性剤を含む粘結剤組成物と、再生砂とを含む砂組成物が開示されている。
特許文献2には、アルカリフェノール樹脂用硬化剤、およびポリオキシエチレンラウリルエーテル等の界面活性剤を含む硬化剤組成物と、鋳物砂と、アルカリフェノール樹脂とを混合した砂組成物が開示されている。
そこで、本発明は、アルカリフェノール樹脂を利用して、常温強度の高い鋳型を製造でき、かつ流動性に優れる砂組成物が得られる粘結剤組成物用キットおよび硬化剤組成物を目的とする。
また、本発明は、アルカリフェノール樹脂を利用して、常温強度の高い鋳型を製造でき、かつ流動性に優れる砂組成物を目的とする。
また、本発明は、アルカリフェノール樹脂を利用して、常温強度の高い鋳型を高い生産性で製造できる鋳型の製造方法を目的とする。
[1] アルカリフェノール樹脂と、下記一般式(1)で表される界面活性剤とを各々独立して有する、粘結剤組成物用キット。
{RO-(AO)n-X-COO-}mMm+ ・・・(1)
(式(1)中、Rは炭素数4~20の炭化水素基であり、AOは炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、Xは単結合または炭素数1~3のアルキレン基であり、Mm+は陽イオンであり、nは0~100の数であり、mはMの価数である。)
[2] さらに、有機エステルおよび炭酸ガスからなる群より選ばれる1種の硬化剤を独立して有する、[1]の粘結剤組成物用キット。
[3] 有機エステルと、下記一般式(1)で表される界面活性剤とを含む、硬化剤組成物。
{RO-(AO)n-X-COO-}mMm+ ・・・(1)
(式(1)中、Rは炭素数4~20の炭化水素基であり、AOは炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、Xは単結合または炭素数1~3のアルキレン基であり、Mm+は陽イオンであり、nは0~100の数であり、mはMの価数である。)
[4] 耐火性粒状材料と、アルカリフェノール樹脂と、下記一般式(1)で表される界面活性剤とを含む、砂組成物。
{RO-(AO)n-X-COO-}mMm+ ・・・(1)
(式(1)中、Rは炭素数4~20の炭化水素基であり、AOは炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、Xは単結合または炭素数1~3のアルキレン基であり、Mm+は陽イオンであり、nは0~100の数であり、mはMの価数である。)
[5] さらに、有機エステルを含む、[4]の砂組成物。
[6] [5]の砂組成物を鋳型製造用の型に充填し、前記アルカリフェノール樹脂を硬化させる、鋳型の製造方法。
[7] [4]の砂組成物を鋳型製造用の型に充填し、有機エステルまたは炭酸ガスを通気させて前記アルカリフェノール樹脂を硬化させる、鋳型の製造方法。
また、本発明の砂組成物は、アルカリフェノール樹脂を利用して、常温強度の高い鋳型を製造でき、かつ流動性に優れる。
また、本発明の鋳型の製造方法は、アルカリフェノール樹脂を利用して、常温強度の高い鋳型を高い生産性で製造できる。
本発明の第一の態様の粘結剤組成物用キットは、アルカリフェノール樹脂と、界面活性剤とを各々独立して有する。粘結剤組成物用キットは、さらに硬化剤を独立して有していてもよい。
ここで、「独立して有する」とは、各々の成分が互いに混合、接触しない状態で存在していることを意味する。各成分は、粘結剤組成物用キットを使用するときに初めて混合、接触される。
粘結剤組成物用キットとしては、例えば各成分を別々に収容した容器の集合体であってもよい。
アルカリフェノール樹脂の25℃におけるpHは9~14が好ましく、10~13がより好ましく、11~13がさらに好ましい。
アルカリフェノール樹脂の総質量に対する水の含有量(水分量)については特に制限されないが、30~80質量%が好ましく、40~70質量%がより好ましい。水の含有量が30質量%以上であれば、高粘性による混練ムラが起こりにくい。水の含有量が80質量%以下であれば、強度の高い鋳型が得られやすい。
{RO-(AO)n-X-COO-}mMm+ ・・・(1)
(式(1)中、Rは炭素数4~20の炭化水素基であり、AOは炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、Xは単結合または炭素数1~3のアルキレン基であり、Mm+は陽イオンであり、nは0~100の数であり、mはMの価数である。)
Rは直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、環状の構造を含んでもよい。Rは飽和炭化水素基でもよく、不飽和結合を有していてもよい。
炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基などが挙げられる。
界面活性剤は、Rの異なる分子の集合体であってもよい。
炭素数が3以上のオキシアルキレン基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
オキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基などが挙げられ、2種以上のオキシアルキレン基が混在していてもよい。2種以上のオキシアルキレン基が混在している場合、それらはブロック状に混在していてもよく、ランダム状に混在していてもよい。
AOは少なくともオキシエチレン基を含むことが好ましく、オキシエチレン基のみであることがより好ましい。
AOの平均付加モル数であるnは、0~100の数であり、1~100の数が好ましく、1~50の数がより好ましく、3~10の数がさらに好ましい。
nが0超の数の場合、一般式(1)で表される化合物は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸またはその塩である。nが0の場合、一般式(1)で表される化合物は、アルキルカルボン酸エステルまたはその塩である。
炭素数が3のアルキレン基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基などが挙げられる。
Xとしては、単結合、メチレン基、エチレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
陽イオンとしては、例えば水素イオン;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンイオンなどが挙げられる。
Mm+が水素イオンの場合、界面活性剤はポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸またはアルキルカルボン酸エステルである。Mm+が水素イオン以外の陽イオンの場合、界面活性剤はポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸の塩またはアルキルカルボン酸エステルの塩である。
後述する有機エステルに対する界面活性剤の溶解性が高まる観点では、Mm+は水素イオンが好ましい。
Mの価数であるmは、1~2の整数が好ましく、1がより好ましい。
ここで、ポリオキシエチレンの後のカッコ内に記載された数値は、オキシエチレン基の平均付加モル数、すなわち式(1)中のnである。例えば「ポリオキシエチレン(3)」とは、オキシエチレン基の平均付加モル数が3(エチレンオキシドの平均付加モル数が3)であることを意味する。
なお、アルカリフェノール樹脂の含有量には、アルカリフェノール樹脂中の水分量も含まれる。界面活性剤の含有量は、水を除く純分換算である。
本発明の第一の態様の粘結剤組成物用キットに含まれる有機エステルは、液状またはガス状である。
液状の有機エステルとしては、アルカリフェノール樹脂の硬化剤として用いられているものを使用することができ、例えばギ酸メチル、ギ酸エチル、プロピレンカーボネート、モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、γ-ブチロラクトン、プロピオラクトン、ε-カプロラクトンなどが挙げられる。これら液状の有機エステルは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ガス状の有機エステルとしては、液状の有機エステルをガス化したものが挙げられる。中でも、ギ酸メチルをガス化したギ酸メチルガス、ギ酸エチルをガス化したギ酸エチルガスが好ましい。これらガス状の有機エステルは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、アルカリフェノール樹脂の含有量には、アルカリフェノール樹脂中の水分量も含まれる。
粘結剤組成物用キットが液状の有機エステルを収容した容器を有する場合、有機エステルを収容した容器には、その他の成分として、レゾルシノールなどが含まれていてもよい。
シランカップリング剤としては、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。
粘結剤組成物用キットにおいては、硫黄原子およびリン原子の含有量が少ないことが好ましく、硫黄原子およびリン原子を有さないことがより好ましい。
また、例えばポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸等のように、界面活性剤がリン原子を含んでいると、得られる鋳型にもリン原子が含まれることとなる。そのような鋳型を用いて鋳物を製造すると、ピンホールと呼ばれるガス欠陥を誘発することがある。
このように、鋳型中の硫黄原子やリン原子は鋳物欠陥の原因となりうる。
しかし、本発明の第一の態様の粘結剤組成物用キットを構成する界面活性剤は、硫黄原子およびリン原子を含まない。よって、硫黄原子やリン原子に起因した鋳物欠陥を抑制できる。
なお、鋳型中の窒素原子もガス欠陥の原因となり得るが、前記一般式(1)で表される界面活性剤として窒素原子を含まない化合物を用いれば、窒素原子に起因したガス欠陥も抑制できる。
しかし、本発明の第一の態様の粘結剤組成物用キットを構成する界面活性剤は、親水基がカルボン酸またはその塩であり、リン酸やスルホン酸に比べて弱酸である。よって、アルカリフェノール樹脂と併用してもアルカリフェノール樹脂が中和されにくく、鋳型の常温強度が低下しにくい。しかも、本発明の第一の態様の粘結剤組成物用キットを構成する界面活性剤であれば、有機エステルと混合したときに有機エステルの加水分解物由来の臭気が発生しにくい。特に、水分量の少ない界面活性剤を用いれば、有機エステルの加水分解物由来の臭気の発生をより抑制できる。
本発明の第二の態様の硬化剤組成物は、有機エステルと、界面活性剤とを含む。硬化剤組成物は、有機エステルおよび界面活性剤以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。
有機エステルは、アルカリフェノール樹脂の硬化剤の役割を果たす。
有機エステルとしては、本発明の第一の態様の説明において先に例示した液状の有機エステルが挙げられる。これら有機エステルは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の総質量に対する水の含有量(水分量)は、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。水の含有量が15質量%以下であれば、硬化剤組成物中での有機エステルの加水分解を抑制できる。加えて、有機エステルの加水分解物由来の臭気の発生を抑制できる。界面活性剤中の水の含有量は少ないほど好ましい。すなわち、界面活性剤の総質量に対する水の含有量の下限値は、0質量%である。
なお、界面活性剤の含有量は、水を除く純分換算である。
シランカップリング剤としては、本発明の第一の態様の説明において先に例示したシランカップリング剤が挙げられる。
硬化剤組成物の総質量に対する水の含有量は、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。水の含有量が5質量%以下であれば、有機エステルの加水分解を抑制できる。
硬化剤組成物においては、硫黄原子およびリン原子の含有量が少ないことが好ましく、硫黄原子およびリン原子を含まないことがより好ましい。
前記一般式(1)で表される界面活性剤として窒素原子を含まない化合物を用いれば、窒素原子に起因したガス欠陥も抑制できる。
本発明の第三の態様の砂組成物は、耐火性粒状材料と、アルカリフェノール樹脂と、界面活性剤とを含む。砂組成物は、有機エステルを含んでいてもよい。砂組成物は、耐火性粒状材料、アルカリフェノール樹脂、界面活性剤および有機エステル以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。
製造コストの観点では天然砂が好ましく、その中でも珪砂がより好ましい。熱により膨張しにくい観点では人工砂が好ましい。製造コストと耐熱性とのバランスを考慮し、天然砂と人工砂とを混合して用いてもよい。
なお、アルカリフェノール樹脂の含有量には、アルカリフェノール樹脂中の水分量も含まれる。
なお、界面活性剤の総質量に対する水の含有量については特に制限されないが、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が特に好ましい。界面活性剤中の水の含有量は少ないほど好ましい。すなわち、界面活性剤の総質量に対する水の含有量の下限値は、0質量%である。
なお、アルカリフェノール樹脂の含有量には、アルカリフェノール樹脂中の水分量も含まれる。界面活性剤の含有量は、水を除く純分換算である。
なお、アルカリフェノール樹脂の含有量には、アルカリフェノール樹脂中の水分量も含まれる。
シランカップリング剤としては、本発明の第一の態様の説明において先に例示したシランカップリング剤が挙げられる。
砂組成物は、耐火性粒状材料と、本発明の第一の態様の硬化剤組成物と、アルカリフェノール樹脂と、必要に応じてその他の成分とを混合して製造してもよい。
砂組成物は、耐火性粒状材料と、本発明の第二の態様の粘結剤組成物用キットを構成するアルカリフェノール樹脂および界面活性剤と、必要に応じて有機エステルおよびその他の成分の1つ以上とを混合して製造してもよい。本発明の第二の態様の粘結剤組成物用キットが液状の有機エステルを独立して有する場合は、有機エステルとして粘結剤組成物用キットを構成する有機エステルを用いてもよい。
砂組成物においては、硫黄原子およびリン原子の含有量が少ないことが好ましく、硫黄原子およびリン原子を含まないことがより好ましい。
前記一般式(1)で表される界面活性剤として窒素原子を含まない化合物を用いれば、窒素原子に起因したガス欠陥も抑制できる。
本発明の第四の態様の鋳型の製造方法は、自硬性鋳型造型法により鋳型を製造する方法である。
本発明の第五の態様の鋳型の製造方法は、ガス硬化鋳型造型法により鋳型を製造する方法である。
また、本発明の第一の態様の粘結剤組成物用キットを用いて鋳型を製造してもよい。その場合は、耐火性粒状材料と、本発明の第一の態様の粘結剤組成物用キットを構成するアルカリフェノール樹脂および界面活性剤と、有機エステルと、必要に応じてその他の成分とを混合して砂組成物とし、得られた砂組成物を鋳型造型用型に充填すればよい。本発明の第一の態様の粘結剤組成物用キットが液状の有機エステルを独立して有する場合、その粘結剤組成物用キットを構成する有機エステルを用いて砂組成物を調製すればよい。
また、本発明の第二の態様の硬化剤組成物を用いて鋳型を製造してもよい。その場合は、耐火性粒状材料と、本発明の第二の態様の硬化剤組成物と、アルカリフェノール樹脂と、必要に応じてその他の成分とを混合して砂組成物とし、得られた砂組成物を鋳型造型用型に充填すればよい。
また、本発明の第一の態様の粘結剤組成物用キットを用いて鋳型を製造してもよい。その場合は、耐火性粒状材料と、本発明の第一の態様の粘結剤組成物用キットを構成するアルカリフェノール樹脂および界面活性剤と、必要に応じてその他の成分とを混合して砂組成物とし、得られた砂組成物を鋳型造型用型に充填すればよい。本発明の第一の態様の粘結剤組成物用キットがガス状の有機エステルまたは炭酸ガスを独立して有する場合は、その粘結剤組成物用キットを構成する有機エステルまたは炭酸ガスを用いて、鋳型造型用型中の砂組成物に通気させてもよい。
有機エステルまたは炭酸ガスを通気させる時間(通気時間)は、30~180秒が好ましく、60~180秒がより好ましい。通気時間が30秒以上であれば、アルカリフェノール樹脂が充分に硬化するが、180秒を超えてもアルカリフェノール樹脂の硬化は頭打ちとなるため、コストを高めるだけである。
前記一般式(1)で表される界面活性剤として窒素原子を含まない化合物を用いれば、窒素原子に起因したガス欠陥も抑制できる。
耐火性粒状材料として、珪砂(三菱商事建材株式会社製、フリーマントル新砂)を用いた。
アルカリフェノール樹脂として、レゾール型フェノール樹脂(群栄化学工業株式会社製、アルファシステム用樹脂「AR-170」、25℃におけるpH:12、固形分(純分)45質量%、水分量55質量%)を用いた。
なお、アルカリフェノール樹脂の固形分は、以下のようにして測定した。
スレンレス製皿にアルカリフェノール樹脂を約2g精秤して、100℃に保持した恒温器で180分間乾燥し、放冷後に再び精秤した。下記式よりアルカリフェノール樹脂の固形分を求めた。
固形分[%]=(乾燥後のアルカリフェノール樹脂の重量/乾燥前のアルカリフェノール樹脂の重量)×100
有機エステルとして、アルカリフェノール樹脂用硬化剤(群栄化学工業株式会社製、アルファシステム硬化剤「AH-530」、トリアセチンおよびエチレングリコールジアセテートの混合物)を用いた。
界面活性剤として、以下に示すものを用いた。
・界面活性剤(i):ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル酢酸(前記一般式(1)中、Rは炭素数12の直鎖のアルキル基(ドデシル基)であり、AOはオキシエチレン基であり、Xはエチレン基であり、Mm+は水素イオンであり、nは3であり、mは1である化合物)、水分量5質量%。
・界面活性剤(ii):ポリオキシエチレン(4~5)ラウリルエーテル酢酸(前記一般式(1)中、Rは炭素数12の直鎖のアルキル基(ドデシル基)であり、AOはオキシエチレン基であり、Xはエチレン基であり、Mm+は水素イオンであり、nは4~5であり、mは1である化合物)、水分量4質量%。
・界面活性剤(iii):ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル酢酸(前記一般式(1)中、Rは炭素数12の直鎖のアルキル基(ドデシル基)であり、AOはオキシエチレン基であり、Xはエチレン基であり、Mm+は水素イオンであり、nは9であり、mは1である化合物)、水分量10質量%。
・界面活性剤(iv):ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム(前記一般式(1)中、Rは炭素数12の直鎖のアルキル基(ドデシル基)であり、AOはオキシエチレン基であり、Xはエチレン基であり、Mm+はナトリウムイオンであり、nは3であり、mは1である化合物)、水分量7質量%。
・界面活性剤(v):ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル(C12H25O-(C2H4O)4-OHで表される化合物)、水分量0質量%。
・界面活性剤(vi):ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド、水分量0質量%。
・界面活性剤(vii):ポリアクリル酸、水分量50質量%。
・界面活性剤(viii):アセチレン系ノニオン界面活性剤、水分量0質量%。
・界面活性剤(ix):ポリアクリル酸ナトリウム、水分量0質量%。
・界面活性剤(x):ポリカルボン酸、水分量50質量%。
(圧縮強度の測定)
各実施例および比較例で得られたテストピースの圧縮強度(鋳型の常温強度)は、JACT試験法HM-1に記載の方法により測定した。ただし、圧縮強度はN/mm2で表示する。
各実施例および比較例で得られた砂組成物の流動度は、JACT試験法HM-4に記載の方法により評価した。ただし、篩は14メッシュのものを用いた。
<砂組成物の製造>
表1に示す配合組成に従って各成分を混合し、1分間撹拌して砂組成物を得た。
得られた砂組成物について、流動度を測定した。結果を表1に示す。
また、比較例1-1で得られた砂組成物の流動度を100としたときの、他の例で得られた砂組成物の流動度の相対値を算出した。結果を表1に示す。
得られた砂組成物を、直ちに温度25℃、湿度60%の条件下、内径50mm、高さ50mmの円柱状の型が形成されたテストピース作製用木型に充填して硬化させ、硬化開始から1時間経過後にテストピースを取り出した(抜型時間1時間)。
得られたテストピースを温度25℃、湿度60%の条件下、硬化開始から24時間放置した後、圧縮強度を測定した。結果を表1に示す。
また、比較例1-1で得られたテストピースの圧縮強度を100としたときの、他の例で得られたテストピースの圧縮強度の相対値を算出した。結果を表1に示す。
<砂組成物の製造>
表2に示す配合組成に従って各成分を混合し、1分間撹拌して砂組成物を得た。
得られた砂組成物について、流動度を測定した。結果を表2に示す。
また、比較例1-2で得られた砂組成物の流動度を100としたときの、他の例で得られた砂組成物の流動度の相対値を算出した。結果を表2に示す。
得られた砂組成物を、直ちに温度26℃、湿度65%の条件下、内径50mm、高さ50mmの円柱状の型が形成されたテストピース作製用木型に充填して硬化させ、硬化開始から1時間経過後にテストピースを取り出した(抜型時間1時間)。
得られたテストピースを温度26℃、湿度65%の条件下、硬化開始から24時間放置した後、圧縮強度を測定した。結果を表2に示す。
また、比較例1-2で得られたテストピースの圧縮強度を100としたときの、他の例で得られたテストピースの圧縮強度の相対値を算出した。結果を表2に示す。
<砂組成物の製造>
表3に示す配合組成に従って各成分を混合し、1分間撹拌して砂組成物を得た。
得られた砂組成物について、流動度を測定した。結果を表3に示す。
また、比較例1-3で得られた砂組成物の流動度を100としたときの、他の例で得られた砂組成物の流動度の相対値を算出した。結果を表3に示す。
得られた砂組成物を、直ちに温度27℃、湿度52%の条件下、内径50mm、高さ50mmの円柱状の型が形成されたテストピース作製用木型に充填して硬化させ、硬化開始から1時間経過後にテストピースを取り出した(抜型時間1時間)。
得られたテストピースを温度27℃、湿度52%の条件下、硬化開始から24時間放置した後、圧縮強度を測定した。結果を表3に示す。
また、比較例1-3で得られたテストピースの圧縮強度を100としたときの、他の例で得られたテストピースの圧縮強度の相対値を算出した。結果を表3に示す。
<砂組成物の製造>
表4に示す配合組成に従って各成分を混合し、1分間撹拌して砂組成物を得た。
得られた砂組成物について、流動度を測定した。結果を表4に示す。
また、比較例1-4で得られた砂組成物の流動度を100としたときの、他の例で得られた砂組成物の流動度の相対値を算出した。結果を表4に示す。
得られた砂組成物を、直ちに温度25℃、湿度65%の条件下、内径50mm、高さ50mmの円柱状の型が形成されたテストピース作製用木型に充填して硬化させ、硬化開始から1時間経過後にテストピースを取り出した(抜型時間1時間)。
得られたテストピースを温度25℃、湿度65%の条件下、硬化開始から24時間放置した後、圧縮強度を測定した。結果を表4に示す。
また、比較例1-4で得られたテストピースの圧縮強度を100としたときの、他の例で得られたテストピースの圧縮強度の相対値を算出した。結果を表4に示す。
<砂組成物の製造>
表5に示す配合組成に従って各成分を混合し、1分間撹拌して砂組成物を得た。
得られた砂組成物について、流動度を測定した。結果を表5に示す。
また、比較例1-5で得られた砂組成物の流動度を100としたときの、他の例で得られた砂組成物の流動度の相対値を算出した。結果を表5に示す。
得られた砂組成物を、直ちに温度24℃、湿度54%の条件下、内径50mm、高さ50mmの円柱状の型が形成されたテストピース作製用木型に充填して硬化させ、硬化開始から1時間経過後にテストピースを取り出した(抜型時間1時間)。
得られたテストピースを温度24℃、湿度54%の条件下、硬化開始から24時間放置した後、圧縮強度を測定した。結果を表5に示す。
また、比較例1-5で得られたテストピースの圧縮強度を100としたときの、他の例で得られたテストピースの圧縮強度の相対値を算出した。結果を表5に示す。
表1~5において、各々1つの表に記載された例は、同日に実験された例である。
表1~5における結果のうち、相対値を表6、7にまとめた。
対して、前記一般式(1)で表される界面活性剤以外の界面活性剤を用いた比較例2~7の場合、流動性と圧縮強度の両方の結果を満足しなかった。
Claims (7)
- アルカリフェノール樹脂と、下記一般式(1)で表される界面活性剤とを各々独立して有する、粘結剤組成物用キット。
{RO-(AO)n-X-COO-}mMm+ ・・・(1)
(式(1)中、Rは炭素数4~20の炭化水素基であり、AOは炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、Xは単結合または炭素数1~3のアルキレン基であり、Mm+は陽イオンであり、nは0~100の数であり、mはMの価数である。) - さらに、有機エステルおよび炭酸ガスからなる群より選ばれる1種の硬化剤を独立して有する、請求項1に記載の粘結剤組成物用キット。
- 有機エステルと、下記一般式(1)で表される界面活性剤とを含む、硬化剤組成物。
{RO-(AO)n-X-COO-}mMm+ ・・・(1)
(式(1)中、Rは炭素数4~20の炭化水素基であり、AOは炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、Xは単結合または炭素数1~3のアルキレン基であり、Mm+は陽イオンであり、nは0~100の数であり、mはMの価数である。) - 耐火性粒状材料と、アルカリフェノール樹脂と、下記一般式(1)で表される界面活性剤とを含む、砂組成物。
{RO-(AO)n-X-COO-}mMm+ ・・・(1)
(式(1)中、Rは炭素数4~20の炭化水素基であり、AOは炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、Xは単結合または炭素数1~3のアルキレン基であり、Mm+は陽イオンであり、nは0~100の数であり、mはMの価数である。) - さらに、有機エステルを含む、請求項4に記載の砂組成物。
- 請求項5に記載の砂組成物を鋳型製造用の型に充填し、前記アルカリフェノール樹脂を硬化させる、鋳型の製造方法。
- 請求項4に記載の砂組成物を鋳型製造用の型に充填し、有機エステルまたは炭酸ガスを通気させて前記アルカリフェノール樹脂を硬化させる、鋳型の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019146812A JP7291570B2 (ja) | 2019-08-08 | 2019-08-08 | 粘結剤組成物用キット、硬化剤組成物、砂組成物および鋳型の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019146812A JP7291570B2 (ja) | 2019-08-08 | 2019-08-08 | 粘結剤組成物用キット、硬化剤組成物、砂組成物および鋳型の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021023985A JP2021023985A (ja) | 2021-02-22 |
JP7291570B2 true JP7291570B2 (ja) | 2023-06-15 |
Family
ID=74662700
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019146812A Active JP7291570B2 (ja) | 2019-08-08 | 2019-08-08 | 粘結剤組成物用キット、硬化剤組成物、砂組成物および鋳型の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7291570B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023054167A1 (ja) * | 2021-09-30 | 2023-04-06 | 新東工業株式会社 | 砂鋳型造型用添加剤、砂鋳型造型用組成物、砂鋳型の製造方法、及び砂鋳型 |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003020262A (ja) | 2001-07-02 | 2003-01-24 | Kao Corp | 石膏スラリー用分散剤 |
JP2004331784A (ja) | 2003-05-07 | 2004-11-25 | Ge Toshiba Silicones Co Ltd | シリコーンエマルジョン組成物 |
WO2007058254A1 (ja) | 2005-11-21 | 2007-05-24 | Sintokogio, Ltd. | 鋳型の造型方法 |
JP2011148003A (ja) | 1998-11-20 | 2011-08-04 | Rolls-Royce Corp | 鋳造用金型装置を製造する方法 |
JP2012170996A (ja) | 2011-02-23 | 2012-09-10 | Kimura Chuzosho:Kk | 有機系発泡流動自硬性鋳型造型用の起泡剤 |
JP5192737B2 (ja) | 2007-06-26 | 2013-05-08 | 太平洋セメント株式会社 | 非鉛系圧電セラミックス用焼結助剤、非鉛系圧電セラミックスおよび非鉛系圧電セラミックスの製造方法 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6052262A (ja) * | 1983-09-02 | 1985-03-25 | Okamoto Tekkosho:Kk | 鋳物ばり取り方法およびその装置 |
JP2504672B2 (ja) * | 1991-09-10 | 1996-06-05 | 花王株式会社 | 鋳物砂用粘結剤組成物及び鋳型組成物 |
-
2019
- 2019-08-08 JP JP2019146812A patent/JP7291570B2/ja active Active
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011148003A (ja) | 1998-11-20 | 2011-08-04 | Rolls-Royce Corp | 鋳造用金型装置を製造する方法 |
JP2003020262A (ja) | 2001-07-02 | 2003-01-24 | Kao Corp | 石膏スラリー用分散剤 |
JP2004331784A (ja) | 2003-05-07 | 2004-11-25 | Ge Toshiba Silicones Co Ltd | シリコーンエマルジョン組成物 |
WO2007058254A1 (ja) | 2005-11-21 | 2007-05-24 | Sintokogio, Ltd. | 鋳型の造型方法 |
JP5192737B2 (ja) | 2007-06-26 | 2013-05-08 | 太平洋セメント株式会社 | 非鉛系圧電セラミックス用焼結助剤、非鉛系圧電セラミックスおよび非鉛系圧電セラミックスの製造方法 |
JP2012170996A (ja) | 2011-02-23 | 2012-09-10 | Kimura Chuzosho:Kk | 有機系発泡流動自硬性鋳型造型用の起泡剤 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2021023985A (ja) | 2021-02-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5213318B2 (ja) | 鋳型の製造方法 | |
JP7291570B2 (ja) | 粘結剤組成物用キット、硬化剤組成物、砂組成物および鋳型の製造方法 | |
JP2020082127A (ja) | 被覆砂およびその製造方法と、鋳型の製造方法 | |
WO2012090940A1 (ja) | 鋳型造型用粘結剤組成物 | |
JP7266394B2 (ja) | 粘結剤組成物、砂組成物および鋳型の製造方法 | |
JP7121580B2 (ja) | 鋳型の製造方法 | |
JP6358869B2 (ja) | 鋳型の製法 | |
US6326418B1 (en) | Acid-curable, refractory particulate material composition for forming mold | |
JP3933794B2 (ja) | 炭酸ガス硬化用粘結剤組成物 | |
KR100947964B1 (ko) | 탄산가스 경화형 점결제 조성물 및 이를 이용한 조형방법 | |
JP2005095932A (ja) | シェルモールド用フェノール樹脂組成物及びレジンコーテッドサンド | |
JP6104088B2 (ja) | レジンコーテッドサンドの製造方法 | |
JP2024089621A (ja) | 粘結剤組成物、砂組成物、鋳型造型用キット及び鋳型の製造方法 | |
JP2019063842A (ja) | 鋳型用骨材組成物 | |
JP7341609B2 (ja) | フェノール臭抑制用鋳型造型用組成物 | |
WO2023054430A1 (ja) | 鋳型組成物 | |
JP3324718B2 (ja) | 鋳型製造用粘結剤−硬化剤キット | |
JP2010253517A (ja) | かき型造型用組成物 | |
JP3250930B2 (ja) | 鋳型用粘結剤組成物、鋳型組成物および鋳型の製造方法 | |
JP3189916B2 (ja) | 鋳型用粘結剤組成物及び鋳型の製造方法 | |
JP3200644B2 (ja) | 鋳型用粘結剤組成物及び鋳型の製造方法 | |
JP3321779B2 (ja) | 鋳型製造用粘結剤水溶液組成物及び鋳型の製造方法 | |
JP3897907B2 (ja) | 炭酸ガス硬化用粘結剤組成物 | |
JP3181480B2 (ja) | 鋳型用粘結剤組成物、鋳型組成物および鋳型の製造方法 | |
JPH0780599A (ja) | 鋳型の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190906 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220725 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20230424 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230509 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230605 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7291570 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |