JP7209590B2 - 複合撚糸 - Google Patents

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Description

本発明は、複合撚糸に関する。
綿繊維は吸湿性に富み、保温性、耐洗濯性の大きいことから直接肌に触れる肌着、タオル地、シーツ地等に多用されている。既知の文献によれば、綿糸の種類別撚係数(撚係数とは、糸の太さと撚数の関係を示す定数であって、撚係数=糸の1インチ当たりの撚数÷英式綿番手の平方根、で示される。)は、高級メリヤス原糸の2以下を最低域として、普通メリヤス糸2.5~3.5、甘撚緯糸3.25、普通緯糸3.5、甘撚経糸3.75、普通経糸4.0、普通強撚糸4.5、チリメン用原糸5以上、と順次上昇する範囲となっている。また、紡績糸を用いた織編物では、織編物に伸縮性を付与するために、紡績糸とポリウレタン弾性糸を組み合わせた複合糸が広く用いられている。代表的なものとしては、ポリウレタン弾性糸からなる芯糸の周りを紡績用綿で被覆して撚りを与えたコアスパンヤーン、ポリウレタン弾性糸からなる芯糸の周りに紡績糸を単層又は複層に巻き付けたシングルカバードヤーンやダブルカバードヤーン、2本以上の紡績糸とポリウレタン弾性糸を撚り合わせたプライヤーンがあり、これらの複合糸を用いて伸縮性の織編物を作製することが一般に行われている。
例えば、特許文献1では、綿繊維100%からなる双糸であって、撚係数3.0~4.0の太番手糸と撚係数3.0~4.0の細番手糸を引き揃え、単糸撚方向の反対方向に加撚してなり、前記双糸の撚係数を2.0~3.5となした双糸が開示されており、前記双糸をパイル糸としたタオル地であれば、心地よい肌触りと腰、はりを兼ね備えたタオル地が得られることが紹介されている。
特開平8-13283号公報
しかし、特許文献1では、番手の異なる単糸の撚方向の反対方向に加撚し極甘撚糸にすることから良好な風合いを備えることができるが、腰、はりが出ることによって伸縮性、嵩高性が低下し、また通気性に優れる織編物を作製することが困難であった。
本発明は、上記のような問題に鑑み、織編物にした場合、高い伸縮性を有しながら、良好な風合いを有し、且つ嵩高性及び通気性に優れた複合撚糸を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、撚り方向が同一方向で番手の異なる紡績糸同士を紡績糸の撚り方向とは逆の撚り方向に両方の糸を撚り合わせて得られた複合撚糸から織編物をつくり、従来公知の後処理をしたところ、織編物に高い伸縮性が付与され、しかもその織編物は、ふっくらとしていて良好な風合いを有し、通気性等の特性に優れることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の好適な態様を提供するものである。
[1]太番手の紡績糸Aと細番手の紡績糸Bで構成され、以下の条件を全て満足する複合撚糸。
1)紡績糸A及び紡績糸Bが同一の撚り方向を有すること、
2)複合撚糸の撚り方向が紡績糸A及び紡績糸Bの撚り方向と反対方向に加撚されてなること、
3)複合撚糸の撚数が、紡績糸Aの撚数に対して1.0~2.0倍であること。
[2]前記複合撚糸の撚数が、前記紡績糸Bの撚数に対して1.0倍以下であることを特徴とする、前記[1]に記載の複合撚糸。
[3]前記紡績糸A及び前記紡績糸Bが、綿からなる紡績糸であることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の複合撚糸。
[4]前記紡績糸Aと前記紡績糸Bの番手の比(紡績糸Bの番手/紡績糸Aの番手)が3~20であることを特徴とする、前記[1]~[3]のいずれかに記載の複合撚糸。
[5]前記紡績糸Aが6~20番手であり、前記紡績糸Bが60~120番手であることを特徴とする、前記[1]~[4]のいずれかに記載の複合撚糸。
[6]前記[1]~[5]のいずれかに記載の複合撚糸を少なくとも一部に用いた、織編物。
本発明の複合撚糸は、紡績糸の撚り方向に対して逆の撚り方向に撚り合わせているため、織編物にした場合、高い伸縮性を有し、しかも嵩高性があり、風合い、通気性に優れる複合撚糸を提供することができる。
さらに、本発明で用いる複合撚糸は細番手が存在するために、毛羽が少なく、さらに補強の役割を果たすことから、高速の織機や編機を使用しても、糸切れ等のトラブルを発生することなく、更には整経の際に糊付け処理を行わなくても、織編物を高い生産性で円滑に製造することができる。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の複合撚糸を構成する紡績糸は、太番手の紡績糸Aと、これよりも細い細番手の紡績糸Bから構成され、紡績糸A及び紡績糸Bの撚り方向が同一方向(例えば両糸ともS撚、又はZ撚)である。紡績糸A及び紡績糸Bを撚糸機に仕掛けて、紡績糸A及び紡績糸Bの有する撚り方向と反対方向(例えば、紡績糸A及び紡績糸BがS撚の場合はZ撚、紡績糸A及び紡績糸BがZ撚の場合はS撚)に施撚することで、複合撚糸を構成する紡績糸A及び紡績糸Bは両者同時に、且つ、同一方向に解撚される。
ここで、本発明でいう「紡績糸の撚数」とは、紡績糸を製造するに当たって最後にかけられた撚りの撚数をいう。例えば、紡績糸が単糸である場合は単糸を製造するために紡績時にかけられた撚数をいい、双糸の場合は双糸を製造するために2本の糸を撚り合わせたときの撚数をいい、3本以上の合撚糸の場合は合撚糸を製造するために3本以上の糸を撚り合わせたときの撚数をいう。
紡績糸A及び紡績糸Bの撚数は特に制限されないが、撚数をT(単位:回/2.54cm)、綿番手をS(単位:番手)とすると、K=T/√Sで表される撚係数Kが2.0~6.0の紡績糸が、紡績糸の品質安定性、複合撚糸製造時の生産性、紡績糸の入手容易性等の点から好ましく用いられる。紡績糸A及び紡績糸Bの撚係数Kは、より好ましくは2.5~5.5であり、さらに好ましくは3.0~5.0である。
本発明の複合撚糸では、複合撚糸の撚り方向が、複合撚糸を構成する紡績糸A及び紡績糸Bの撚り方向と反対方向になっていることが必要である。複合撚糸の撚り方向と紡績糸A及び紡績糸Bの撚り方向とを逆にすることで、複合撚糸のトルクを低減し、風合いを向上させることができる。また、複合撚糸を製造するための合撚が、紡績糸A及び紡績糸Bの撚りを解撚する方向に働き、この解撚により太番手の紡績糸Aの糸長が細番手の紡績糸Bの糸長より長くなり、糸長が長くなった紡績糸Aが紡績糸Bを覆った状態で撚糸が行われ、太番手の紡績糸Aによる細番手の紡績糸Bのカバーリングがより良好に行われる。
本発明の複合撚糸では、複合撚糸の撚数が太番手の紡績糸Aの撚数の1.0~2.0倍であることが重要である。
上記下限値未満であると、複合撚糸の撚りの安定性が乏しくなり、複合撚糸の強力のバラツキ、毛羽抑え不足等により製織・製編性が劣るものとなり易く、さらに、複合撚糸を製造するための合撚工程時に、紡績糸の撚りの解撚が不十分になり易い。一方、上記上限値を超えると、複合撚糸を製造するための合撚をかける際に糸切れ等のトラブルを生じて、複合撚糸の生産性の低下、得られた複合撚糸の強度低下、複合撚糸を用いての織編時の工程不良等を招き易い。また、撚りによる複合撚糸のトルクが強くなり過ぎる点からも、複合撚糸を製造するための合撚をかける際の工程不良、製織・製編時の工程不良による生産性の低下等が生じ易くなる。紡績糸Aの撚数に対する複合撚糸の撚数は、1.1~1.8倍であることが好ましく、1.2~1.6倍であることがより好ましい。
つまり、本発明では、複合撚糸を製造するための合撚時に、複合撚糸の撚数が紡績糸Aの撚数の1.0~2.0倍とすることで、複合撚糸の形態安定性(撚りの安定性)を保ちながら、複合撚糸を製造するための合撚が紡績糸A及び紡績糸Bの撚りを解撚する方向に働き、その合撚の際に、一方の紡績糸は無撚状態若しくはこれに近い状態となり、更にもう一方の同じ解撚数の撚転を受ける紡績糸は普通撚から甘撚糸に変わり、撚合される複合撚糸の補強糸となり、更に無撚状態若しくはこれに近い状態になることで隙間が生じた状態で撚糸される。それによって複合撚糸から織編物を作製する際の製織・製編を良好に行うことができ、しかもそれにより得られた織編物は、伸縮性が大きくなり、嵩高性と良好な風合いを有し、通気性に優れる織編物が得られる。
なお、本発明でいう「複合撚糸の撚数」とは、紡績糸A及び紡績糸Bを撚り合わせたときの撚数のことであり、実際には撚糸工程時の設定撚数に準じた値となる。
細番手の紡績糸Bの撚数について、本発明の複合撚糸では、複合撚糸の撚数が細番手の紡績糸Bの撚数の1.0倍以下であることが好ましい。細番手の紡績糸Bの撚数は、合撚前の細番手の紡績糸Bの番手数及び撚数や、複合撚糸を製造する際(合撚時)に加撚される撚数によって変化するが、紡績糸Bの撚数に対する複合撚糸の撚数が上記上限値を超えると、細番手の紡績糸側の強力低下が大きく、補強糸として十分に働かない場合がある。紡績糸Bの撚数に対する複合撚糸の撚数は、0.8倍以下であることがより好ましく、0.6倍以下であることが特に好ましい。
本発明の複合撚糸は、太番手の紡績糸Aの撚度、細番手の紡績糸Bの撚度、複合撚糸後の解撚数の3要素のバランスによって定まるが、複合撚糸の撚数が太番手の紡績糸Aの撚数に対して1.0~2.0倍の範囲にすることが必要であり、好ましくは細番手の紡績糸Bの撚数に対して1.0倍以下にすれば、本発明の目的とする高い伸縮性を有し、しかも外観、感触、通気性、軽量性に優れる織編物を得ることが出来る。
本発明の紡績糸A及び紡績糸Bはそれぞれ、単糸、双糸又は3本以上の合撚糸のいずれであってもよい。また、素材としては、綿、レーヨン、ビスコース、麻、ポリエステル、アクリル等を用いるのが好ましい。特に、織編物に用いる場合では、使用時の肌触り、ソフト感、ふんわり感等の風合いが優れることから綿からなる紡績糸を用いることが好ましい。
本発明で用いる複合撚糸について、撚糸工程性、製織・製編性や外観、風合いの観点から、太番手の紡績糸Aと細番手の紡績糸Bとの番手差、すなわち、紡績糸Bの番手/紡績糸Aの番手の比が3~20であることが好ましい。紡績糸Bの番手/紡績糸Aの番手の比は、より好ましくは4~15、さらに好ましくは5~10である。さらに具体的には、紡績糸Aは6~20番手であることが好ましく、8~12番手であることがより好ましい。太番手の紡績糸Aが上記下限値未満であると細番手の紡績糸Bのトルクが残り、良好な風合いが得られない場合がある。太番手の紡績糸Aが上記上限値を超えると、細番手の紡績糸Bとの番手差が小さくなり単糸間の隙間が少なくなり、嵩高性や風合いが低下する場合がある。また、紡績糸Bは60~120番手であることが好ましく、80~100番手であることがより好ましい。細番手の紡績糸Bが上記下限値未満であると太番手の紡績糸Aの支え糸にならず素抜け等の問題となる場合があり、細番手の紡績糸Bが上記上限値を超えると、トルクが残り太番手の紡績糸Aによる細番手の紡績糸Bのカバーリングがしにくくなる場合がある。
太番手の紡績糸Aと細番手の紡績糸Bを撚り合わせる際の撚糸機の種類は特に制限されず、例えば、ダブルツイスター、リングツイスター、アップツイスター等の従来汎用の撚糸機を使用することができる。
上記により得られる複合撚糸は、一般にトルクを有している。トルクを有していても製織・製編工程に支障を及ぼさない場合は、トルクを減ずることなくそのまま織編物の製造に使用することができる。もし、トルクを有していることにより製織・製編工程に支障を及ぼす場合は、熱処理を施してトルクを減じることが好ましい。
本発明の複合撚糸は、織編物にも好適に用いることができる。編物としては、ヨコ編(ニット)、トリコット経編、ラッセル経編等いずれの編物であってもよい。また、織物としては、平織、綾織、朱子織等の基本組織、およびそれらから誘導された変化組織(例えば、クレープ織(すててこ、ちりめん)等)、ハニカム織、片二重織、二重織等の重ね組織、コール天、ビロード等のパイル織組織等があげられる。
上記の要件を満たす複合撚糸を用いて作製した織編物は、高い伸縮性とふくらみのある良好な感触を有し、しかも通気性にも優れており、それらの性質を活かして、デニム、シャツ、パンツ、スポーツ衣料、肌着、ファンデーション、その他の衣料用、弾性包帯等の医療用途、車輛内装材、ベルトコンベア用生地、食品用ユニフォーム、医療用ユニフォーム、手術衣、病衣、白衣、作業服、エプロン、帽子、手袋等の衣類;フトン、フトンカバー、マクラカバー、ベッド、ベッドカバー、シーツ、バスマット、タオル、フェイスタオル、ボディタオル、キャビネットタオル、テーブルクロス、スリッパ等の生活用品;テーブルふきん、モップ用糸、ローリングワイパー等の清掃用品;カーテン、シャワーカーテン、ネット、ドアノブカバー、カーペット、食品用容器等の種々のリビング資材、エアコンフィルターや空気清浄器及び浄水フィルター等のフィルター用素材;加湿器の蒸散板、壁紙等の産業資材等の広範な分野に有効に使用することができる。特に、高い伸縮性、嵩高性、風合い、通気性に優れていることからデニム、シャツ、パンツ、肌着等の衣料用として好適に用いられる。
以下に、実施例等により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例に何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、複合撚糸や織物(平織生地)の各種評価は下記の方法により測定した。
[嵩高性(糸の膨張率)]
(1)各実施例及び比較例で得られた複合撚糸から製造した平織生地を80℃の熱水に20分浸漬し、熱水処理の前後の生地から、生地の緯糸を15cm(長さ)で試験糸(a;熱水処理後、b;熱水処理前)を抜き取った。
(2)上記(1)で熱水処理した後の生地から抜き取った試験糸(a)の長さ方向の一方の端部に1/500g/番手の重りを取り付けて、重りを付けた端部を下にして試験糸を垂直に吊した状態で1分間放置し、その時の試験糸(a)の幅(Da1)をキーエンス社製のマイクロスコープVHXで測定した。
次いで、上記(1)で熱水処理する前の生地について、熱水処理した後の生地と同様に試験糸(b)の幅(Da2)を測定した。
(3)上記(2)で測定した、熱水処理前後の試験糸の幅を下記の数式(1)から糸の膨張率を求めた。
[数1]
複合撚糸の膨張率(%)={Da1/Da2}×100 (1)
[嵩高性(生地の厚さ)]
各実施例及び比較例で得られた複合撚糸から製造した平織生地を80℃の熱水に20分浸漬し、熱水処理後の生地から、JIS L 1096の厚さA法(JIS法)に準拠して、厚さ(mm)を求めた。
[伸縮性(生地の伸長率)]
(1)各実施例及び比較例で得られた複合撚糸から製造した平織生地より、生地の経方向の寸法が15cm(長さ)で緯方向の寸法が2.5cm(幅)である試験片(a)と、生地の経方向の寸法が2.5cm(幅)で緯方向の寸法が15cm(長さ)である試験片(b)をそれぞれ切り取った。
(2)上記(1)で切り取った試験片(a)の長さ方向の一方の端部の中央(幅方向の中央)に1gの重りを取り付けて、重りを付けた端部を下にして試験片を垂直に吊してその状態で1分間放置し、その時の試験片(a)の長さ(La1)を測定した。
次いで、前記1gの重りを試験片(a)の端部から取り去り、代わりに300gの重りを同じ箇所に取り付けて垂直に吊してその状態で3分間放置し、その時の試験片(a)の長さ(La2)(cm)を測定して、下記の数式(2)から平織生地の経方向の伸長率(%)を求めた。
[数2]
経方向の伸長率(%)={(La2-La1)/La1}×100 (2)
(3)上記(1)で切り取った試験片(b)の長さ方向の一方の端部の中央(幅方向の中央)に1gの重りを取り付けて、重りを付けた端部を下にして試験片を垂直に吊してその状態で1分間放置し、その時の試験片(b)の長さ(Lb1)を測定した。
次いで、前記1gの重りを試験片(b)の端部から取り去り、代わりに300gの重り取りを同じ箇所に取り付けて垂直に吊してその状態で3分間放置し、その時の試験片(b)の長さ(Lb2)(cm)を測定して、下記の数式(3)から平織生地の緯方向の伸長率(%)を求めた。
[数3]
緯方向の伸長率(%)={(Lb2-Lb1)/Lb1}×100 (3)
[通気性(生地の通気度)]
各実施例及び比較例で得られた複合撚糸から製造した平織生地より、JIS L 1096の通気性A法(フラジール法)に準拠して、通気度(cm/cm/sec)を求めた。
[風合い(生地の剛軟度)]
各実施例及び比較例で得られた複合撚糸から製造した平織生地より、JIS L 1096の剛軟度A法(45°カンチレバー法)に準拠して、剛軟度を求めた。
[風合い(官能評価)]
各実施例及び比較例で得られた複合撚糸から製造した平織生地より、10人のパネラーにより官能評価を行った。その結果、「非常に優れる」を2点、「優れる」を1点、「劣る」を0点とし、総合点で3段階に分けて行った。
◎:合計点が15点以上。
○:合計点が6点以上、14点以下。
×:合計点が5点以下。
(実施例1)
(1)太番手の紡績糸Aとして、通常工程によって製造された英式番手8番手(Z撚)の木綿100%の紡績糸を準備した。なお、この紡績糸は、撚数が413回/m(Z撚)、2.54cm当りの撚数T=10.5回であり、番手S=8であることにより、式:K=(T/√S)から求められる撚り係数Kは、10.5/√8=10.5/2.83=3.71である。
(2)細番手の紡績糸Bとして、通常工程によって製造された英式番手80番手(Z撚)の木綿100%の紡績糸を準備した。なお、この紡績糸は、撚数が1299回/m(Z撚)、2.54cm当りの撚数T=33.0回であり、番手S=80であることにより、式:K=(T/√S)から求められる撚り係数Kは、33.0/√80=33.0/8.94=3.69である。
上記で準備した紡績糸A及び紡績糸Bを、ダブルツイスター(MTMマシナリー社製「36M」)に供給して、複合撚糸の撚数が413回/m(S撚、すなわち紡績糸Aの撚りに対して反対方向に1.0倍)となるようにして撚り合わせて複合撚糸を製造した。
得られた複合撚糸を緯糸とし、木綿8番手を経糸として、経62本/インチ、緯45本/インチの平織生地を製織した。更に、平織生地を、80℃の熱水に20分間浸漬し(浴比=1:10)、次いで生地を水から取り出して脱水機で脱水した後に熱風150℃で乾燥した。この作製した平織生地の緯糸の膨張率は129%、厚さは0.64mm、平織り生地の伸長率は経方向9.2%で緯方向が12.1%であり、通気度は11.7cm/cm/secであった。結果を表2に示す。
(実施例2)
複合撚糸の撚りを紡績糸Aの撚りに対して反対方向に1.2倍とした以外は実施例1と同様にして平織生地を製織した。この作製した平織生地の緯糸の膨張率は141%、厚さは0.67mm、平織り生地の伸長率は経方向9.8%で緯方向が12.4%であり、通気度は11.5cm/cm/secであった。結果を表2に示す。
(実施例3)
複合撚糸の撚りを紡績糸Aの撚りに対して反対方向に1.4倍とした以外は実施例1と同様にして平織生地を製織した。この作製した平織生地の緯糸の膨張率は156%、厚さは0.67mm、平織り生地の伸長率は経方向10.2%で緯方向が12.8%であり、通気度は11.0cm/cm/secであった。結果を表2に示す。
(実施例4)
複合撚糸の撚りを紡績糸Aの撚りに対して反対方向に1.9倍とした以外は実施例1と同様にして平織生地を製織した。この作製した平織生地の緯糸の膨張率は119%、厚さは0.61mm、平織り生地の伸長率は経方向7.8%で緯方向が10.0%であり、通気度は10.6cm/cm/secであった。結果を表2に示す。
(実施例5)
太番手の紡績糸Aとして、通常工程によって製造された英式番手10番手(Z撚)の木綿100%の紡績糸を準備し、細番手の紡績糸Bとして、通常工程によって製造された英式番手60番手(Z撚)の木綿100%の紡績糸を準備した。上記で準備した紡績糸2本を、ダブルツイスター(MTMマシナリー社製「36M」)に供給して、複合撚糸の撚数が684回/m(S撚、すなわち紡績糸Aの撚りに対して反対方向に1.2倍)となるようにして撚り合わせて複合撚糸を製造した。
得られた複合撚糸を緯糸とし、木綿8番手を経糸として、経62本/インチ、緯45本/インチの平織生地を製織した。更に、平織生地を、80℃の熱水に20分間浸漬し(浴比=1:10)、次いで生地を水から取り出して脱水機で脱水した後に熱風150℃で乾燥した。この作製した平織生地の緯糸の膨張率は134%、厚さは0.65mm、平織り生地の伸長率は経方向9.7%で緯方向が12.2%であり、通気度は11.5cm/cm/secであった。結果を表2に示す。
(比較例1)
複合撚糸の撚りを紡績糸Aの撚りに対して反対方向に0.8倍とした以外は実施例1と同様にして平織生地を製織した。この作製した平織生地の緯糸の膨張率は110%、厚さは0.57mm、平織り生地の伸長率は経方向7.2%で緯方向が8.5%であり、通気度は9.3cm/cm/secであったことから、実施例で得られた平織生地に比べ、伸縮性、嵩高性、通気性が劣る結果となった。結果を表2に示す。
(参考例1)
緯糸に反対方向に加撚していない木綿100%の8番手の紡績糸と、木綿100%の8番手の経糸を使用して、経62本/インチ、緯45本/インチの平織生地を製織した。更に、平織生地を、80℃の熱水に20分間浸漬し(浴比=1:10)、次いで生地を水から取り出して脱水機で脱水した後に熱風150℃で乾燥した。この作製した平織生地の緯糸の膨張率は101%、厚さは0.57mm、平織り生地の伸長率は経方向7.2%で緯方向が8.2%であり、通気度は8.6cm/cm/secであり、実施例で得られた平織生地に比べ、伸縮性、嵩高性、風合い、通気性が劣る結果となった。結果を表2に示す。
Figure 0007209590000001
Figure 0007209590000002
本発明の複合撚糸は、製編織性に優れ、織物や編物を作製する際に糸切れ等のトラブルが生じず、高い伸縮性、優れた風合い、感触、軽量性、通気性等の特性を活かして、具体的な例として、スポーツ衣料、肌着、ファンデーション、その他の衣料用、弾性包帯等の医療用途、車輛内装材、ベルトコンベア用生地、食品用ユニフォーム、医療用ユニフォーム、手術衣、病衣、白衣、作業服、エプロン、帽子、手袋等の衣類;フトン、フトンカバー、マクラカバー、ベッド、ベッドカバー、シーツ、バスマット、タオル、フェイスタオル、ボディタオル、キャビネットタオル、テーブルクロス、スリッパ等の生活用品;テーブルふきん、モップ用糸、ローリングワイパー等の清掃用品;カーテン、シャワーカーテン、ネット、ドアノブカバー、カーペット、食品用容器等の種々のリビング資材、エアコンフィルターや空気清浄器及び浄水フィルター等のフィルター用素材;加湿器の蒸散板、壁紙等の産業資材等の広範な分野に有効に使用することができる。
以上のとおり、本発明の好適な実施態様を説明したが、当業者であれば、本件明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更及び修正を容易に想定するであろう。したがって、そのような変更及び修正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。

Claims (6)

  1. 太番手の紡績糸Aと細番手の紡績糸Bで構成され、以下の条件を全て満足する複合撚糸。
    1)紡績糸A及び紡績糸Bが同一の撚り方向を有すること、
    2)複合撚糸の撚り方向が紡績糸A及び紡績糸Bの撚り方向と反対方向に加撚されてなること、
    3)複合撚糸の撚数が、紡績糸Aの撚数に対して1.0~2.0倍であること。
  2. 前記複合撚糸の撚数が、前記紡績糸Bの撚数に対して1.0倍以下であることを特徴とする、請求項1に記載の複合撚糸。
  3. 前記紡績糸A及び前記紡績糸Bが、綿からなる紡績糸であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の複合撚糸。
  4. 前記紡績糸Aと前記紡績糸Bの番手の比(紡績糸Bの番手/紡績糸Aの番手)が3~20であることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の複合撚糸。
  5. 前記紡績糸Aが6~20番手であり、前記紡績糸Bが60~120番手であることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の複合撚糸。
  6. 請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の複合撚糸を少なくとも一部に用いた、織編物。
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