JP2003027352A - ボトム用ストレッチ織物 - Google Patents

ボトム用ストレッチ織物

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JP2003027352A
JP2003027352A JP2001340425A JP2001340425A JP2003027352A JP 2003027352 A JP2003027352 A JP 2003027352A JP 2001340425 A JP2001340425 A JP 2001340425A JP 2001340425 A JP2001340425 A JP 2001340425A JP 2003027352 A JP2003027352 A JP 2003027352A
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yarn
warp
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Mitsuyuki Yamamoto
満之 山本
Haruhiko Yamamoto
晴彦 山本
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Asahi Kasei Corp
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製織時の工程安定性に優れ、衣料に加工した
際は、長時間着用しても緯シワが入りにくく、きれいな
シルエットを長く保ち、圧迫感が少なく、疲れにくく、
耐摩耗性に優れたボトム用ストレッチ織物を提供するこ
と。 【解決手段】 少なくとも経方向に15〜30%のスト
レッチ率と75%以上のストレッチバック率を有するス
トレッチ織物であって、織物の経糸の全部又は一部が、
ポリトリメチレンテレフタレートを主体とするポリエス
テルと繊維形成性を有するポリエステルとのサイドバイ
サイド型複合マルチフィラメントであるボトム用ストレ
ッチ織物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボトム用ストレッ
チ織物、すなわち、スラックスパンツやスカート等の下
半身用のアウター衣料に用いられるストレッチ織物に関
し、特に、着用快適性に優れ、緯シワが入りにくく、耐
摩耗性に優れた、ボトム用ストレッチ織物に関する。
【0002】
【従来の技術】ボトム用衣料に使用されている織物は、
ハリ・コシを重視した見栄えのよいノンストレッチ織物
(経/緯両方向のストレッチ率が10%未満)が一般的
であるが、動作する上で各関節部に圧迫感等の不快感が
生じる点や着用シワ(特に、股関節周辺及び膝裏周辺)
が発生しやすく、長時間見栄えのよいシルエットを保つ
ことができないという欠点があった。
【0003】最近、ストレッチ性を有するボトム用衣料
が市販されているが、その多くは、緯(水平)方向のみ
にストレッチ性能を有するものである。ストレッチ性能
を有する衣料は、動作時の肌との追従性がよいために各
関節部への圧迫感が少ない。したがって、長時間着用し
ても疲れにくいため、快適性に優れている。しかし、ボ
トム用途には、経(垂直)方向のストレッチ性能が十分
にある場合でも、ノンストレッチ品と同様に疲れやすく
着用シワも発生しやすいという問題がある。なぜなら、
下半身の動きは、上半身とは違って座位の姿勢が主で、
経方向のストレッチ性能が不十分なボトム衣料では、膝
周辺や股関節等で極端な生地のつっぱりとダブツキが発
生し、不快な圧迫感と緯シワが生じる。この際、経(垂
直)方向のストレッチ性能が十分にあれば、関節部周辺
の無理なつっぱりやダブツキは緩和され、圧迫感を感じ
ず、また、ダブツキによる緯シワの発生も軽減できる。
したがって、ボトム衣料には、経(垂直)方向に適度な
ストレッチ性能が必要となる。
【0004】例えば、特開平2000−355846号
公報には、経方向のストレッチ率(A)と緯方向のスト
レッチ率(B)との比(A/B)が0.4以下となるよ
うな織物をスカートに用いると、緯シワを抑制する十分
な効果が期待できると述べられている。しかし、この織
物の用途はタイトなスカートやキュロットに限定され、
特に、膝下まで覆うパンツ類やロングスカートについて
は、経方向に生地の追従性がないために効果がなく、経
方向に十分なストレッチ性能を有するボトム商品の開発
が強く望まれていた。
【0005】しかし、経(垂直)方向にストレッチ性能
を有する織物を安定な品質で製品化することは困難であ
った。例えば、このような用途に弾性繊維と非弾性マル
チフィラメント繊維とをカバリングした複合糸(以下、
FTY、という)、弾性繊維と非弾性マルチフィラメン
ト繊維とを引き揃え、合撚した複合糸(以下、合撚糸、
という)、弾性繊維と非弾性マルチフィラメント繊維と
を空気交絡させた複合糸(以下、AJY、という)等の
複合弾性糸を用いる方法が多く知られている。しかし、
これらの糸条を経糸に用いる場合、種々の問題が存在
し、安定な品質を持つ織物を得ることはできない。
【0006】例えば、FTYやAJYを経糸に用いる場
合、製織工程性の安定を図る目的でサイジングを施して
経糸として使うことが多いが、サイジング工程では経糸
に付着させた糊液を乾燥させるために熱風中を通過させ
たり、高温シリンダーに接触させたりしている。このと
きの乾燥時の熱によって弾性繊維の特性が変化し、所望
の織物ができないといった問題があった。これを避ける
方法としては、無糊で行う方法があるが、この場合、集
束性の悪いFTYやAJYは製織時の綜絖や筬等との摩
擦により、撚ずれ、伴糸の毛羽立ちによる開口不良が発
生しやすく、製織が困難となる。また合撚糸の場合も、
弾性繊維の被覆性が不十分であり、弾性繊維が表面に出
る、目ムキ欠点や製織時の綜絖や筬等との摩擦による弾
性繊維の断糸等が生じやすく、製織性に問題があった。
【0007】一方、弾性繊維を用いずに、ポリエチレン
テレフタレート繊維のみを使用した織物も多く提案され
ている。このような織物としては、例えば、仮撚加工
糸、コンジュゲートヤーン、異収縮混繊糸等を用いたス
トレッチ織物があるが、ストレッチ性能を十分に発揮さ
せるためには、経/緯糸の組織点をルーズな織物組織に
限定する必要がある。その結果、耐摩耗性に劣る織物と
なってしまうという問題があり、広い商品分野への展開
は難しい状況にあった。
【0008】このような技術的背景から、経ワンウエイ
(1Way)ストレッチ織物及びツーウエイ(2Wa
y)ストレッチ織物の製造は敬遠され、比較的製造が容
易な緯ワンウエイ(1way)ストレッチ織物の製造が
主流となり、ボトム用についても緯ワンウエイ(1Wa
y)ストレッチ織物が多く出回っている。しかし、上述
してきた通り、着用時の快適性と見栄えいう点では必ず
しも満足できるレベルには至っていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、製織
時の工程安定性に優れ、衣料にした際は、長時間着用し
ても緯シワが入りにくく、きれいなシルエットを長く保
ち、圧迫感が少なく、疲れにくく、耐摩耗性に優れたボ
トム用ストレッチ織物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、特定の
ポリエステル系サイドバイサイド型複合マルチフィラメ
ントが撚糸された有撚糸及び/又はこの複合マルチフィ
ラメントの捲縮糸を経糸に使用することにより、驚くべ
きことに、上述のルーズな織物組織に限定されることな
く、密度の込んだ織物組織でも織物表面にシボ感がな
く、優れたストレッチ性とストレッチバック性を有する
織物を容易に得ることができることがわかった。また、
この織物は、緯シワが入りにくく、きれいなシルエット
を長く保ち、圧迫感が少なくて疲れにくく、耐摩耗性に
優れたボトム用ストレッチ織物になることが判明し、本
発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明は、以下の通りである。 (1)少なくとも経方向に15〜30%のストレッチ率
と75%以上のストレッチバック率を有するストレッチ
織物であって、織物の経糸の全部又は一部が、ポリトリ
メチレンテレフタレートを主体とするポリエステルと繊
維形成性を有するポリエステルとのサイドバイサイド型
複合マルチフィラメントであることを特徴とするボトム
用ストレッチ織物。 (2)サイドバイサイド型複合マルチフィラメントが、
撚糸された有撚糸及び/又はこの複合マルチフィラメン
トの捲縮糸であることを特徴とする(1)に記載のボト
ム用ストレッチ織物。
【0012】(3)(1)に記載のサイドバイサイド型
複合マルチフィラメントが撚糸された有撚糸の撚係数が
7000〜25000、サイドバイサイド型複合マルチ
フィラメントを構成する単糸の繊度が1.5〜6dte
xであることを特徴とする(2)に記載のボトム用スト
レッチ織物。 (4)有撚糸が(1)に記載のサイドバイサイド型複合
マルチフィラメントと綿糸との合撚糸であることを特徴
とする(2)に記載のボトムストレッチ織物。 (5)経方向のストレッチ率(A)と緯方向のストレッ
チ率(B)との比(A/B)が0.5〜30であり、か
つ、緯方向のストレッチ率が30%以下であることを特
徴とする(1)に記載のボトム用ストレッチ織物。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。ボトム用
織物というのは、下半身のアウター衣料、特に、スラッ
クスパンツやスカート等に用いられる織物である。本発
明のボトム用ストレッチ織物は、少なくとも経方向に1
5〜30%のストレッチ率を有する必要があり、好まし
くは15〜25%である。本発明のボトム用ストレッチ
織物の経方向のストレッチ率が15%未満の場合、屈伸
時や座るという動作中において、衣服から受ける圧迫感
が臀部周辺や膝周辺に特に大きく、着用中に不快感や疲
労感を感じる。また、長時間、着用すると、股関節部や
膝関節部周辺に多くの緯シワが入り、見た目が悪くな
る。その他、正座等、過度な屈曲状態を長時間継続した
場合、膝下への血行が悪くなり、足のしびれ等も生じ、
不快感が増す。織物の経方向のストレッチ率が30%を
越えると、織物としてのハリ・コシがなくなり、この織
物を用いたスラックス等のパンツ類を長時間、着用及び
洗濯を繰り返すことによって裾が伸びやすくなり、ひい
ては本発明の目的の一つである、きれいなシルエットを
長時間保つことができない。
【0014】本発明のボトム用ストレッチ織物の経方向
のストレッチバック率は75%以上であることが必要で
あり、好ましくは80〜100%、より好ましくは85
〜100%である。ストレッチバック率が75%未満の
場合、一旦織物についたしわが回復せずに長く残り、ひ
いては、きれいなシルエットを長時間保つことができな
い。また、伸縮運動の多い膝周辺部においては膝抜けが
生じる。したがって、ストレッチバック率は、高ければ
高い方が好ましい。
【0015】本発明のボトム用ストレッチ織物は、緯方
向にストレッチ性を有していてもよく、その場合、緯糸
に用いる糸としては、ストレッチ性を発現できる素材で
あればいずれでもよい。ストレッチ性を発現できる素材
の具体例としては、ポリエステル系サイドバイサイド型
複合マルチフィラメントの有撚糸又はその捲縮糸、精紡
機を用いたコアヤーン(例えば、芯部がサイドバイサイ
ド型複合マルチフィラメントからなり、鞘部が綿からな
るもの、及び芯部がスパンデックスからなり鞘部が綿か
らなるもの)等を挙げることができるが、好ましくはポ
リエステル系サイドバイサイド型複合マルチフィラメン
トの有撚糸又はその捲縮糸である。
【0016】緯方向のストレッチ率及びストレッチバッ
ク率の好ましい範囲は、ストレッチ率は30%以下、ス
トレッチバック率は75%以上である。経方向のストレ
ッチ率が15〜30%の範囲にあり、かつ、緯方向のス
トレッチ率が30%を越える場合は、織物としてのハリ
・コシ感が少なくなり、アイロンの折り目がきれいにつ
きにくくなる傾向がある。さらに、見栄えのよいシルエ
ットを表現できにくくなる傾向がみられる。緯方向のス
トレッチバック率が75%未満の場合、伸縮動作の多い
膝周辺においては膝抜けが生じやすくなる。
【0017】本発明のボトム用ストレッチ織物は、経方
向のストレッチ率(A)が15〜30%の範囲を有し、
かつ、緯方向のストレッチ率(B)は、好ましくは30
%以下、より好ましくは25%以下で、経方向のストレ
ッチ率(A)と緯方向のストレッチ率(B)との比(A
/B)が0.5〜30であることが好ましく、より好ま
しくは0.75〜3.0である。
【0018】その理由は、以下のように考えられる。人
間の下半身の動作中、特に、膝頭部屈伸時の皮膚の経/
緯方向の最大伸長比は2.0で、経方向の伸びが緯方向
よりも大きく、これを衣服に置き換えても同様である。
下半身がスムーズに動作をするには、経方向及び緯方向
の衣服に必要なストレッチ率の大小関係は、経方向>緯
方向に設計することが好ましい。ストレッチ率比(A/
B)が、0.5未満になると、膝頭皮膚部の最大伸長比
(2.0)からの乖離が大きくなり、間接の動きに対す
る衣服の追従性が鈍り、着心地が悪く、疲れやすく、緯
シワも入りやすくなる。ストレッチ率比(A/B)が3
0を越えると、経方向のストレッチ率のみが過剰とな
り、ダレ(スラックス等のパンツ類において、長期間着
用及び洗濯を繰り返すことにより裾が伸びる現象)が生
じやすくなり、形態安定性が低下しやすい傾向にあり、
シルエットや風合いも悪くなりやすい。
【0019】本発明において、経糸の一部又は全部にポ
リトリメチレンテレフタレートを主体とするポリエステ
ル繊維と、繊維形成性を有するポリエステルとのサイド
バイサイド型複合マルチフィラメントを用いることが必
要である。本発明の複合マルチフィラメントの代わり
に、1種類のポリトリメチレンテレフタレート、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等
のポリエステルからなるマルチフィラメントや、構成す
る2種類のポリマーがポリトリメチレンテレフタレート
ではない複合ポリエステルマルチフィラメントを用いて
も本発明の目的を満足する織物は達成できない。すなわ
ち、少なくとも1成分がポリトリメチレンテレフタレー
トを主体とするポリエステルと、繊維形成性を有するポ
リエステルとのサイドバイサイド型複合マルチフィラメ
ントを用いることによって初めて、ボトム衣料に適し
た、着用快適感に優れ、疲れにくく、かつ、緯シワが入
りにくく、長時間見栄えが良好で、耐摩耗性に優れた織
物を得ることができる。
【0020】複合マルチフィラメントを構成するポリト
リメチレンテレフタレートポリマーは、トリメチレンテ
レフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエス
テルであり、トリメチレンテレフタレート単位を50モ
ル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは
80モル%以上、最も好ましくは90モル%以上含む。
したがって、第三成分として、他の酸成分及び/又はグ
リコール成分の合計量が50モル%以下、好ましくは3
0モル%以下、より好ましくは20モル%以下、最も好
ましくは10モル%以下含有してもよい。
【0021】ポリトリメチレンテレフタレートは、テレ
フタル酸又はその機能的誘導体と、トリメチレングリコ
ール又はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当
な反応条件下に結合せしめることにより合成される。こ
の合成過程において、適当な一種又は二種以上の第三成
分を添加して共重合ポリエステルとしてもよいし、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート
等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエステ
ル、ナイロンとポリトリメチレンテレフタレートを別個
に合成した後、ブレンドしてもよい
【0022】添加する第三成分としては、脂肪族ジカル
ボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン
酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボ
ン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸
等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2
−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール
等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール
等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス
(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテ
ルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキ
シカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(P−オキ
シ安息香酸等)等がある。1個又は3個以上のエステル
形成性官能基を有する化合物(安息香酸等又はグリセリ
ン等)も重合体が実質的に線状である範囲内で使用でき
る。
【0023】さらに、二酸化チタン等の艶消剤、リン酸
等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外
線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑
剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃
剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤
等を含有させてもよい。本発明で使用するサイドバイサ
イド型複合マルチフィラメントを構成する繊維形成性を
有するポリエステルは、ポリトリメチレンテレフタレ−
トとの界面接着性が良好で、紡糸が安定に行えるポリエ
ステルが用いられ、ポリトリメチレンテレフタレート、
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ートが好ましく、ポリマーの粘度差を有するポリトリメ
チレンテレフタレートがより好ましい。
【0024】本発明で用いられる複合マルチフィラメン
トは、前記の二種類のポリエステルを、サイドバイサイ
ド型紡口を用いて紡糸して得られた未延伸糸を3000
m/分以下の巻取り速度でパッケージに巻き取った後、
2〜3.5倍程度で延伸して製造することが好ましい。
本発明の目的を損なわないかぎり、紡糸と延伸を連続し
て行う直接紡糸延伸法(スピンドロー法)や、巻取り速
度5000m/分以上の高速紡糸法(スピンテイクアッ
プ法)を採用してもよい。
【0025】複合マルチフィラメントの形態は、長さ方
向に均一なものや太細のあるものでもよく、断面形状は
丸型、三角、繭型、L型、T型、Y型、W型、八葉型、
偏平、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型
等、任意な形状でよく、限定されないが、紡糸安定性の
面から丸型、三角、繭型が好ましい。本発明で使用する
ポリエステル系複合マルチフィラメントの繊度は20〜
300dtexが好ましく、より好ましくは44〜16
7dtexであり、複合マルチフィラメントを構成する
単糸の繊度は0.5〜10dtexが好ましく、より好
ましくは1.5〜6dtexである。単糸繊度が0.5
dtex未満になると、織物にした場合の回復性が低下
する傾向にあり、10dtexを越えると風合いが硬く
なることがある。
【0026】本発明で使用するポリエステル系複合マル
チフィラメントの強度が1.8cN/dtex以上であ
ることが好ましく、2.0〜4.0cN/dtexであ
ることがより好ましい。強度が1.8cN/dtex未
満の場合は、仮撚加工糸の強度が低くなることがある。
伸度は25%以上であることが好ましく、30〜50%
であることがより好ましい。伸度が25%未満の場合は
撚糸時の糸切れ頻度が多くなる場合がある。弾性率は2
6.5cN/dtex未満であることが好ましく、1
7.6〜26.5cN/dtexであることがより好ま
しい。26.5cN/dtexを越えると柔軟性に乏し
い織物となることがある。
【0027】本発明の織物は、かかるポリエステル系複
合マルチフィラメントを経糸の全部又は一部に用いたも
のであるが、中でもポリエステル系複合マルチフィラメ
ントの有撚糸及び/又は捲縮糸を用いることが好まし
い。ポリエステル系複合マルチフィラメントの有撚糸に
は、ポリエステル系複合マルチフィラメントと他の繊維
とを合糸し撚糸した複合合撚糸を使用することができ
る。中でも綿糸との合撚糸は、チノパンツやジーンズパ
ンツ用の糸として好ましく用いることができる。この場
合、複合合撚糸中のポリエステル系複合マルチフィラメ
ントの占める割合は15〜100質量%であることが好
ましく、より好ましくは30〜100質量%である。1
5質量%未満ではストレッチ性及び回復性の性能が不足
する場合がある。
【0028】撚糸を行う方法としては、リングツイスタ
ー、イタリー撚糸機、ダブルツイスター等による方法が
挙げられるが、コスト的な面からダブルツイスターによ
る方法が特に好ましい。撚数(T1)は、次式で計算さ
れる撚数の係数(K1)の値が7000〜25000で
あることが好ましく、より好ましくは10000〜20
000である。撚数の係数(K1)の値が7000未満
では、織物にした場合の織物表面にシボが出やすく、2
5000を越えるとストレッチ性が不足する傾向にあ
る。 T1(T/m)=K1/[糸の繊度(dtex)]1/2
【0029】本発明で用いられる、ストレッチ性に優
れ、取り扱い性に優れた有撚糸を得るための撚り止めセ
ットをする方法としては、スチームセッター等を用いて
セット温度50℃〜100℃でセットすることが好まし
く、より好ましくは60〜90℃である。50℃未満で
は糸のビリツキにより製織時のトラブルが発生しやす
く、100℃を越えると織物のストレッチ性が低下する
傾向にある。撚り止めセット時間は30〜60分が好ま
しい。
【0030】本発明における複合マルチフィラメントの
有撚糸及び/又は捲縮糸を経糸の全部に用いても、経糸
の一部に用いてもよい。経糸の一部に用いる場合には、
もう一方の糸(以下、相手糸、という)の種類は特に限
定されない。複合マルチフィラメントの有撚糸を用いる
場合は、同じ条件で撚糸を施した糸を用いることが好ま
しい。本発明における複合マルチフィラメントの有撚糸
及び/又は捲縮糸を経糸の一部に用いる場合は、全経糸
の30質量%以上を用いることが好ましく、より好まし
くは40%以上、最も好ましくは50%以上である。
【0031】有撚糸を経糸の一部に用いる場合の糸の配
列は、通常、有撚糸:相手糸を1:2〜3:1の規則配
列とする。配列比は、規則性を有する設計がよく、不規
則配列にすると、筋欠点に見える場合がある。規則配列
の場合においても、最小リピート本数毎に筬羽に引き通
して製織をした方が経筋欠点を防止する上で好ましい。
最小リピート本数は4本以下が好ましく、5本以上にす
ると、筬羽内での各経糸の開口が円滑にならず、張力斑
や開口斑の原因となる。
【0032】有撚糸:相手糸の規則配列比が1:2を下
回る、例えば1:3、1:4の場合、有撚糸の伸縮性が
小さくなり、所望のストレッチ特性を有するストレッチ
織物が得られ難くなる。規則配列比が3:1を上回る、
例えば4:1、5:1の場合、有撚糸の伸縮性と相手糸
とのトルクバランスが崩れ、経筋欠点のように見える場
合がある。緯糸においても、有撚糸を使用する場合、経
糸に用いる有撚糸とのストレッチバランスや糸条の撚方
向の組み合わせを考慮した設計が好ましい。
【0033】本発明の織物において、織物の少なくとも
経糸の全部又は一部に用いられるポリエステル系複合マ
ルチフィラメントの捲縮糸は、任意のものが用いること
がでいるが、仮撚加工方法で得られる加工糸が好まし
い。仮撚方法としては、ピンタイプ、フリクションタイ
プ、ニップベルトタイプ、エアー加撚タイプ等、任意の
方法を採用できるが、好ましくはピンタイプである。ピ
ンタイプにより仮撚加工すると、より均整なクリンプ状
態が得られ易い。仮撚加工糸は、いわゆる2ヒーターの
仮撚加工糸(セットタイプ)よりも、いわゆる1ヒータ
ーの仮撚加工糸(ノンセットタイプ)を用いる方が、よ
り高いストレッチ率の織物が得られるので好ましい。
【0034】ストレッチ性に優れた仮撚加工糸を得るた
めの仮撚加工時の熱固定温度は150℃〜190℃が好
ましく、150℃未満では織物にした場合の回復性が低
下し、190℃を越えると糸切れが発生しやすくなる傾
向がある。仮撚数(T1)は次式で計算される仮撚数の
係数(K1)の値が21000〜33000であること
が好ましく、より好ましくは25000〜32000で
ある。仮撚数の係数(K1)の値が21000未満で
は、得られる加工糸の捲縮性が不足し、ストレッチ性が
低下する傾向にあり、33000を越えると仮撚工程で
の糸切れが増える傾向にある。 T1(T/m)=K1/[糸の繊度(dtex)]1/2
【0035】本発明で捲縮糸を織物の経糸及び/又は緯
糸に用いる場合の撚数(T2)は、基本的には無撚であ
ることが好ましいが、集束性を高めるために仮撚方向と
同方向又は異方向に撚係数(K2)3000以下の若干
の撚りを付与してもよい。撚係数(K2)は次式で与え
られる。 T2(T/m)=K2/[加工糸の繊度(dtex)]
1/2
【0036】織物の種類は、特に限定されるものではな
く、平組織、綾組織、朱子組織、さらにはこれらの組織
を組み合わせた組織であってもよい。ストレッチ性能を
引き出すために、経/緯糸の組織点のルーズな組織にす
るとスナッギングやピリング等の耐摩擦性能が劣るので
平組織や綾組織がより好ましい。ボトム用途として特に
好ましい織組織は2/1綾、2/2綾及び3/1綾組織
であり、特にチノパンツ用には3/1綾、ジーンズパン
ツ用には2/1綾が好ましい。
【0037】捲縮糸を経糸の一部に用いる場合の糸の配
列は、通常、捲縮糸:相手糸を1:2〜3:1の規則配
列とするのが好ましい。配列比は、規則性を有する設計
がよく、不規則配列にすると、筋欠点に見える場合があ
る。規則配列の場合においても、最小リピート本数毎に
筬羽に引き通して製織をした方が経筋欠点を防止する上
で好ましい。最小リピート本数は4本以下が好ましく、
5本以上にすると、筬羽内での各経糸の開口が円滑にな
らず、張力斑や開口斑の原因となる。
【0038】捲縮糸:相手糸の規則配列比が1:2を下
回る、例えば1:3、1:4の場合、捲縮糸の伸縮性が
小さくなり、所望のストレッチ特性を有するストレッチ
織物が得られ難くなる。規則配列比が3:1を上回る、
例えば4:1、5:1の場合、捲縮糸の伸縮性と相手糸
とのトルクバランスが崩れ、経筋欠点のように見える場
合がある。織物の経糸及び緯糸の密度としては、経糸繊
度40〜920dtexの場合、経糸密度は40〜22
0本/2.54cm、緯糸繊度40〜920dtexの
場合、緯糸密度は40〜220本/2.54cmの範囲
内で、織物組織や用途に応じて設定すればよい。
【0039】織物製織用の織機は特に限定されるもので
はなく、エアージェットルーム、ウォータージェットル
ーム、レピアルーム、グリッパールーム、有杼織機等を
用いて生産することができる。これら織機において、経
糸ビームと綜絖の間に経糸にワックス剤等が付くような
機構を織機に設けて経糸の摩耗を減らして毛羽発生を抑
え、製織工程性を高めてもよい。
【0040】
【発明の実施形態】以下、実施例にて本発明を具体的に
説明する。本発明におけるストレッチ特性、着圧、運動
量、緯シワ、シルエット、バギング、スナッギングの評
価方法は下記の通りである。 (1)固有粘度[η] 固有粘度[η](dl/g)は、次式の定義に基づいて
求められる値である。 [η]=lim(ηr−1)/C C→0 式中のηrは、純度98%以上の0−クロロフェノール
溶媒に溶解したポリトリメチレンテレフタレート繊維又
はポリエチレンテレフタレート繊維の稀釈溶液の35℃
での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除し
た値であり、相対粘度と定義されているものである。C
はg/100mlで表されるポリマー濃度である。本発
明の2種類のポリマーからなるサイドバイサイド型複合
マルチフィラメントは、それぞれの固有粘度を測定する
ことは困難であるので、複合マルチフィラメントの紡糸
条件と同じ条件で2種類のポリマーをそれぞれ単独で紡
糸し、得られた繊維を用いて測定した固有粘度を、複合
マルチフィラメントを構成する繊維の固有粘度とする。
【0041】(2)織物ストレッチ特性 織物のストレッチ特性は、JIS−L−1080(19
78)、B法(定荷重法)にしたがって測定し、伸長率
及び回復率の項目をストレッチ率及びストレッチバック
率として表す。 (3)着圧測定(着用評価) 計測器には多点式衣服圧測定器AM13037−10
(商標、エイエムアイテクノ(株)製)を使用する。着
圧センサーを膝頭周辺に3点、大腿部裏に1点、臀部中
央に1点の計5カ所取り付け、スラックスに縫製した各
織物サンプルを着用し、直立姿勢から足を持ち上げ、膝
の角度が120度に到達した時点で足を元に降ろす往復
運動を30deg/秒の速度で50回行い、そのうちの
21〜40回に当たる20回分の各部位の平均値の合計
値を測定値に用いる。
【0042】(4)運動量測定(着用評価) 計測器は人体負荷運動量測定器(バイオテックスシステ
ム(株)製)を使用する。スラックスに縫製した各織物
サンプルを着用し、直立姿勢から足を持ち上げ、膝の角
度が120度に到達した時点で足を元に降ろす往復運動
を30deg/秒の速度で50回行い、そのうちの21
〜40回に当たる20回分の値を測定値に用い、疲れ易
さの指標とする。
【0043】(5)緯シワ(着用評価) スラックスに縫製した各織物サンプルを連続5日間着用
し、この間、製織準備作業のような現場作業及び事務作
業を8時間/日繰り返す。着用前後のスラックスを水平
台の上に置き、膝裏周りを中心とした緯シワの発生程度
を以下の基準にしたがって5人のパネラーによって官能
評価する。 緯シワがほとんどみえない良好な織物を○(5点) 緯シワは見えるが気にならない程度の織物を○〜△(4
点) 緯シワが多少気になる織物を△(3点) 緯シワが気になる織物を△〜×(2点) 緯シワが非常に気になる織物を×(1点) 評価が3〜5点の範囲内を緯シワの入りにくい織物とす
る。
【0044】(6)シルエット(着用評価) スラックスに縫製した各織物サンプルを連続5日間着用
し、この間、製織準備作業のような現場作業及び事務作
業を8時間/日、繰り返す。着用前後のスラックスにつ
いて、以下の基準にしたがって、折り目や膝抜け程度を
中心として、5人のパネラーにより実物及び写真による
官能評価を行う。 折り目がほとんど変わらずついている良好な状態を○
(5点) 折り目が若干弱いが気にならない程度の状態を○〜△
(4点) 折り目の残り程度が多少気になる状態を△(3点) 折り目の残り程度が気になる状態を△〜×(2点) 折り目の残り程度が非常に気になり、膝抜けも多少感じ
る状態を×(1点) 評価は5人がランク付けしてその平均値で表す。評価が
3〜5点の範囲内はシルエットのきれいな織物とする。
【0045】(7)バギング(膝抜け等の型崩れ評価) JIS−L−1061(A法屈曲反復法)にしたがって
測定する。 (8)スナッギング(耐摩耗性評価) JIS−L−1058(D−3法、フレイング法)スナ
ッグ試験方法にしたがって測定する。なお、着用評価に
用いた各スラックスサンプルは、被験者の体格に合わ
せ、全て同様の裁断方法及び同寸法で縫製を行う。膝周
りのゆとり率は15%とする。
【0046】
【参考例1】非サイドバイサイド型ポリトリメチレンテ
レフタレート繊維及びその仮撚加工糸の製造 固有粘度[η]が0.8のポリトリメチレンテレフタレ
ートを、紡糸温度265℃、紡糸速度1200m/分で
紡糸して未延伸糸を得た。次いで、ホットロール温度6
0℃、ホットプレート温度140℃、延伸倍率3倍、延
伸速度800m/分で延撚して、84dtex/24f
の延伸糸を得た。この延伸糸の強度は3.1CN/dt
ex、伸度は、46%、弾性率は26.4CN/dte
xであった。得られた糸をピンタイプの仮撚加工機であ
るIVF−338(商標、(株)石川製作所製)を用い
て第1ヒーター温度170℃、仮撚数3200t/mに
て仮撚加工を行い、強度2.8CN/dtex、伸度4
0%、弾性率15.5CN/dtexの仮撚加工糸を得
た。
【0047】
【実施例1】固有粘度[η]=0.93と[η]=0.
72の二種類のポリトリメチレンテレフタレートを、通
常のサイドバイサイド型複合繊維紡糸用紡口を用いて、
紡糸温度265℃、ポリマー質量比率1:1で紡出し、
紡糸速度1500m/分で巻きとって未延伸糸を得た。
次いで、ホットロール温度55℃、ホットプレート温度
140℃、延伸速度400m/分、延伸後の繊度が56
dtexとなるように延伸倍率を設定して延撚し、56
dtex/12fのサイドバイサイド型複合マルチフィ
ラメントを得た。得られた複合マルチフィラメントの固
有粘度は、高粘度側が[η]=0.90、低粘度側が
[η]=0.70であった。 この延伸糸の強度は2.
5CN/dtex、伸度は30%、弾性率は22.4C
N/dtexであった。
【0048】次いで、撚数を2000T/mになるよう
に設定して(撚係数K=14967)、撚方向S及びZ
の撚糸を製造した。撚糸はダブルツイスターDT−31
0F(商標、村田機械(株)製)を用い、スピンドル回
転数10000rpmで行った。更に、真空セッターに
て70℃で40分間ビリ止めセットを行った。得られた
撚糸糸条を無糊の状態で、部分整経機HB−M (商
標、カキノキ(株)製)を用いて巻取速度140m/分
で整経して経糸準備を行い、S撚とZ撚を一本交互にし
た経密度(織機上の設定密度)193本/2.54c
m、通し幅145cmの経糸を準備し、エアージェット
ルームZA209i (商標、津田駒工業(株))に仕
掛けた。
【0049】緯糸には、経糸と同じ糸を用い、S撚とZ
撚の糸を一本交互に緯密度(緯糸打ち込み密度)100
本/2.54cmで経2重3/2綾の組織にて、500
rpmの織機回転数で製織した。得られた生機を110
℃にて液流リラックス処理し、170℃にてプレセット
し、染色(120℃)、ファイナルセット(170℃)
を行い、最終仕上げ幅を102cmに設定した。得られ
た織物の経/緯方向のストレッチ率は25%/25%
(ストレッチ率比A/B=1.0)、ストレッチバック
率は92%/92%であった。
【0050】
【比較例1】実施例1において、経糸に用いる撚糸をポ
リエチレンテレフタレートのサイドバイサイド糸である
Z−10(商標、ユニチカ(株)社製)56dtex/
12fとし、プレセット温度及びファイナルセット温度
を180℃、液流リラックス温度及び染色温度を130
℃にした以外は、実施例2と同様に加工を行い、仕上げ
幅を102cmとした。得られた織物の経/緯方向のス
トレッチ率は12%/23%(ストレッチ率比(A/
B)=0.52)、ストレッチバック率は92%/85
%であった。
【0051】
【実施例2】固有粘度[η]=0.92と[η]=0.
70の二種類のポリトリメチレンテレフタレートを、通
常のサイドバイサイド型複合繊維紡糸用紡口を用いて紡
糸温度265℃、ポリマー質量比率1:1で紡出し、紡
糸速度1500m/分で巻きとって未延伸糸を得た。次
いで、ホットロール温度55℃、ホットプレート温度1
40℃、延伸速度400m/分、延伸後の繊度が84d
texとなるように延伸倍率を設定して延撚し、84d
tex/24fのサイドバイサイド型複合マルチフィラ
メントを得た。得られた複合マルチフィラメントの固有
粘度は高粘度側が[η]=0.90、低粘度側が[η]
=0.68であった。この延伸糸の強度は2.6CN/
dtex、伸度は32%、弾性率は22.4CN/dt
exであった。
【0052】次いで、撚数を1500T/mにように設
定して(撚係数(K)=13748)、撚方向Zの撚糸
を作成した。撚糸はダブルツイスターDT−310F
(商標、(株)村田機械製)を用い、スピンドル回転数
10000rpmで行った。更に、真空セッターにて7
0℃で40分間ビリ止めセットを行った。得られた撚糸
糸条を無糊の状態で、部分整経機HB−M (商標、カ
キノキ(株)製)を用いて巻取速度140m/分で整経
して経糸準備を行い、経密度(織機上の設定密度)10
7本/2.54cm、通し幅145cmの経糸を準備
し、エアージェットルームZA209i (商標、津田
駒工業(株)製)に仕掛けた。
【0053】緯糸には、経糸と同じ糸を用い、緯密度
(緯糸打ち込み密度)100本/2.54cmで2/2
ツイル組織にて500rpmの織機回転数で製織した。
次に、得られた生機を110℃にて液流精練リラックス
し、170℃にてプレセットし、染色(120℃)、フ
ァイナルセット(170℃)を行い、最終仕上げ幅を1
02cmに設定した。得られた織物の経/緯方向のスト
レッチ率は28%/20%(ストレッチ率比A/B=
1.4)、ストレッチバック率は88%/92%であっ
た。
【0054】
【実施例3】固有粘度[η]=0.95のポリトリメチ
レンテレフタレートと固有粘度[η]=0.58のポリ
エチレンテレフタレートを、通常のサイドバイサイド型
複合繊維紡糸用紡口を用いて紡糸温度277℃、ポリマ
ー質量比率1:1で紡出した以外は実施例3と全く同様
の方法で紡糸を行った。繊度が84dtexとなるよう
に延伸倍率を設定して延撚し、84dtex/24fの
サイドバイサイド型複合マルチフィラメントを得た。得
られた複合マルチフィラメントの固有粘度は高粘度側が
[η]=0.90、低粘度側が[η]=0.54であっ
た。この延伸糸は強度2.4CN/dtex、伸度30
%、弾性率25.8CN/dtexであった。
【0055】次いで、実施例2と同様の方法で撚糸し、
同一設計にて経糸を準備し、製織、染色加工を行った。
得られた織物の経/緯方向のストレッチ率は20%/2
3%(ストレッチ率比A/B=0.87)、ストレッチ
バック率は82%/82%であった。
【0056】
【実施例4】実施例1で得られた56dtex/12f
のポリトリメチレンテレフタレートのサイドバイサイド
型複合マルチフィラメントを2本合糸して、Z1400
t/mの撚糸を製造した。これを経糸に用い、機上の経
糸密度174本/2.54cm、通し幅145cmとな
るよう整経し、エアージェットルームにて緯糸に16S
/−の綿糸、紫三馬(商標、クラボウ(株)製)を40
本/2.54cmの密度で打ち込んで3/1綾組織の生
機を得た。実施例2と同様の染色加工を行い、最終仕上
げ幅を126cmにて仕上げた。得られた織物の経/緯
方向のストレッチ率は30%/1.5%、ストレッチバ
ック率は83%/98%であった。
【0057】
【実施例5】実施例3の生機を用い、U型ソフサーで一
旦精練(95℃)後に液流リラックス(110℃)を行
い、プレセット(170℃)、液流染色(130℃)を
行い、最終仕上げ幅126cmにて仕上げた。得られた
織物の経/緯方向のストレッチ率は16%/2%、スト
レッチバック率は90%/97.5%であった。
【0058】
【実施例6】実施例3と同一の糸(56dtex/12
fの2本合糸)を用い、撚数をZ600t/mにする以
外は実施例3と全く同様に製織及び染色加工を行い、最
終仕上げ幅を127cmにて行ったところ、表面平坦性
は比較的シボ感のある織物であった。得られた織物の経
/緯方向のストレッチ率は35%/1.1%、ストレッ
チバック率は80%/99%であった。
【0059】
【比較例2】実施例2において、経糸にポリエチレンテ
レフタレートのマルチフィラメントからなる84dte
x/24fのZ1500t/mの撚糸を使用した以外は
同様の製織、染色加工を行い、最終仕上げ幅を105c
mにて仕上げた。得られた織物の経/緯方向のストレッ
チ率はストレッチ率は3%/24%、ストレッチバック
率は97%/92%の織物であった。
【0060】
【比較例3】実施例2において、経糸及び緯糸にポリエ
チレンテレフタレートのマルチフィラメントからなる8
4dtex/24fのZ1500t/mの撚糸を使用し
た以外は同様の製織、染色加工を行い、最終仕上げ幅を
128cmにて仕上げた。得られた織物の経/緯方向の
ストレッチ率は3%/3%、ストレッチバック率は97
%/97%の織物であった。
【0061】
【比較例4】実施例2において、経糸に参考例1に記載
のサイドバイサイド型ではないポリトリメチレンテレフ
タレート仮撚加工糸の無撚糸を用いた以外は同様に製織
及び染色加工を行い、最終仕上げ幅を105cmにて仕
上げた。得られた織物の経/緯方向のストレッチ率は1
5%/25%、ストレッチバック率は72%/94%で
あった。
【0062】
【比較例5】経及び緯糸に参考例1に記載のサイドバイ
サイド型ではないポリトリメチレンテレフタレート仮撚
加工糸を無撚にて用い、最終仕上げ幅を105cmに設
定した以外は実施例2と同様に製織及び染色加工を行っ
た。得られた織物の経/緯方向のストレッチ率は15.
0%/35.0%(ストレッチ率比(A/B)=0.4
3)、ストレッチバック率は72%/70%であった。
【0063】
【実施例7】実施例2で得られた84dtex/24f
のサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを使用
し、仮撚加工機IVF−338(商標、(株)石川製作
所製)を用いて、第1ヒーター温度170℃、仮撚方向
はZ方向、仮撚数3200t/mにて仮撚加工を行い、
強度2.3CN/dtex、伸度35%、弾性率14.
3CN/dtexの仮撚加工糸を得た。この糸にZ10
0t/mの撚糸を施し、更に、サイジングを施して経糸
とし、緯糸には実施例2と同じ有撚糸を用いて、実施例
3と同様の製織及び染色加工を行った。得られた織物の
経/緯方向のストレッチ率は29%/25%(ストレッ
チ率比A/B=1.16)、ストレッチバック率は88
/92%であった。
【0064】
【比較例6】実施例5において、経糸をサイドバイサイ
ド型複合マルチフィラメントの仮撚加工糸に代えて、ポ
リトリメチレンテレフタレート仮撚加工糸を用いた以外
は同じ緯糸を用い、実施例5と同様に製織及び染色加工
を行った。得られた織物の経/緯方向のストレッチ率は
12%/25%(ストレッチ率比A/B=0.48)、
ストレッチバック率は74/92%であった。
【0065】
【実施例8】実施例1で得られたサイドバイサイド型複
合マルチフィラメントを50S/−の綿糸、紫三馬(商
標、クラボウ(株)製)とパーンワインダー((株)村
田機械製、タイプ303−II(商標))を用いてイン
タレーサーで150kPaの圧力で交絡を加えながら引
き揃えた後、1000T/mになるように設定して(撚
係数K=13180)、撚方向Sの複合合撚糸(サイド
バイサイド型複合マルチフィラメントの混率=32%)
を作製した。撚糸はダブルツイスターDT−310F
(商標、(株)村田機械製)を用い、スピンドル回転数
10000rpmで行った。更に、真空セッターにて8
0℃で40分間ビリ止めセットを行った。
【0066】得られた複合合撚糸を無糊の状態で、部分
整経機HB−M (商標、カキノキ(株)製)を用いて
巻取速度140m/分で整経して経糸準備を行い、経密
度(織機上の設定密度)96本/2.54cm、通し幅
145cmの経糸を準備し、エアージェットルームZA
209i (商標、津田駒工業(株))に仕掛けた。緯
糸には、経糸と同じ糸を用い、緯密度(緯糸打ち込み密
度)96本/2.54cmで3/1綾の組織にて、50
0rpmの織機回転数で製織した。
【0067】得られた生機を95℃にて液流リラックス
し、160℃にてプレセットし、染色(120℃)、フ
ァイナルセット(160℃)を行い、最終仕上げ密度を
経142本/2.54cm、緯140本/2.54cm
に設定した。得られた織物の経/緯方向のストレッチ率
は23%/25%(ストレッチ率比(A/B)=0.9
2)、ストレッチバック率は85%/85%であった。
この織物を使いチノパンツを作製し評価した。風合いは
綿タッチであった。
【0068】
【実施例9】実施例1で得られたサイドバイサイド型複
合マルチフィラメント56dtex/12fと28S/
−の綿糸、紫三馬(商標、クラボウ(株)製)とを実施
例8と同様の方法で引き揃えた後、800T/mになる
ように設定して(撚係数(K)=13060)、撚方向
Sの複合合撚糸(サイドバイサイド型複合マルチフィラ
メントの混率=21%)を作製した。同様の方法でビリ
止めセットし、部分整経機HB−M (商標、カキノキ
(株)製)を用いて経糸準備を行い、経密度(織機上の
設定密度)55本/2.54cm、通し幅145cmの
経糸を準備し、エアージェットルームZA209i
(商標、津田駒工業(株)製)に仕掛けた。
【0069】緯糸には、16S/−の綿糸、紫三馬(商
標、クラボウ製)を用い、緯密度(緯糸打ち込み密度)
48本/2.54cmで2/1ツイル組織にて製織し、
同様の方法にて一連の染色加工を行い、得られた織物の
経/緯方向のストレッチ率は20%/4%(ストレッチ
比A/B=5.0)、ストレッチバック率は80%/9
0%であった。この織物を使いジーンズパンツを作製し
着用評価した。表1、2及び3に、上記の実施例及び比
較例の条件及び得られた織物の評価結果を表す。
【0070】表1、2及び3より、本発明のボトム用ス
トレッチ織物は、ストレッチ性能に優れ、適正なストレ
ッチ性能の設定により、着用快適性及びシルエットの良
さを長く保つボトム用ストレッチ織物であることがわか
る。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【発明の効果】本発明のボトム用ストレッチ織物は、製
織時の工程安定性に優れ、衣料に加工した際は、長時間
の着用においても緯シワが入りにくく、きれいなシルエ
ットを長く保ち、かつ圧迫感が少なく疲れにくく、か
つ、耐摩耗性に優れる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A41D 31/00 502 A41D 31/00 502B 503 503G

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも経方向に15〜30%のスト
    レッチ率と75%以上のストレッチバック率を有するス
    トレッチ織物であって、織物の経糸の全部又は一部が、
    ポリトリメチレンテレフタレートを主体とするポリエス
    テルと繊維形成性を有するポリエステルとのサイドバイ
    サイド型複合マルチフィラメントであることを特徴とす
    るボトム用ストレッチ織物。
  2. 【請求項2】 サイドバイサイド型複合マルチフィラメ
    ントが、撚糸された有撚糸及び/又はこの複合マルチフ
    ィラメントの捲縮糸であることを特徴とする請求項1記
    載のボトム用ストレッチ織物。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のサイドバイサイド型複
    合マルチフィラメントが撚糸された有撚糸の撚係数が7
    000〜25000、サイドバイサイド型複合マルチフ
    ィラメントを構成する単糸の繊度が1.5〜6dtex
    であることを特徴とする請求項2記載のボトム用ストレ
    ッチ織物。
  4. 【請求項4】 有撚糸が請求項1に記載のサイドバイサ
    イド型複合マルチフィラメントと綿糸との合撚糸である
    ことを特徴とする請求項2記載のボトムストレッチ織
    物。
  5. 【請求項5】 経方向のストレッチ率(A)と緯方向の
    ストレッチ率(B)との比(A/B)が0.5〜30で
    あり、かつ、緯方向のストレッチ率が30%以下である
    ことを特徴とする請求項1記載のボトム用ストレッチ織
    物。
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