JP7196121B2 - パターン形成方法、感光性樹脂組成物、積層体の製造方法、及び、電子デバイスの製造方法 - Google Patents
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Description
このような感光性樹脂組成物を、例えば塗布等により基材に適用し、その後、必要に応じて露光、現像、加熱等を行うことにより、硬化した樹脂を基材上に形成することができる。
感光性樹脂組成物は、公知の塗布方法等により適用可能であるため、例えば、適用される感光性樹脂組成物の形状、大きさ、適用位置等の設計の自由度が高いなど、製造上の適応性に優れるといえる。ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール等が有する高い性能に加え、このような製造上の適応性に優れる観点から、これらの樹脂を含む感光性樹脂組成物の産業上の応用展開がますます期待されている。
上記(A)ポリイミド前駆体が、特定構造のアミド酸エステルの構造単位を有する樹脂である、感光性樹脂組成物が記載されている。
ここで、形成されるパターンのパターン剥がれの抑制について、いまだ改善の余地があった。
<1> 感光性樹脂組成物から形成された感光膜を選択的に露光する露光工程、及び、
露光された上記感光膜を現像してパターンを得る現像工程を含み、
上記露光工程が第一の波長を有する光による露光と第二の波長を有する光による露光とを含み、
上記第一の波長を有する光、及び、上記第二の波長を有する光の少なくとも一方がレーザー光であり、
上記第一の波長と上記第二の波長の差が5nm以上であり、
上記感光膜のうち上記第一の波長を有する光により露光される第一領域と上記第二の波長を有する光により露光される第二領域の少なくとも一部が重なっており、
上記感光性樹脂組成物が、感光性化合物、並びに、ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール及びポリベンゾオキサゾール前駆体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂を含む、
パターン形成方法。
<2> 上記感光性化合物が、上記第一の波長で感光する第一の感光性化合物、及び、上記第二の波長で感光する第二の感光性化合物を含む、<1>に記載のパターン形成方法。
<3> 上記第一の波長が200~400nmである、<1>又は<2>に記載のパターン形成方法。
<4> 上記第二の波長が300~500nmである、<1>~<3>のいずれか1つに記載のパターン形成方法。
<5> 上記第一の波長を有する光、及び、上記第二の波長を有する光のいずれもがレーザー光である、<1>~<4>のいずれか1つに記載のパターン形成方法。
<6> 上記現像工程において用いられる現像液が、有機溶剤を含む現像液である、<1>~<5>のいずれか1つに記載のパターン形成方法。
<7> 上記現像工程における現像が、ネガ型現像である、<1>~<6>のいずれか1つに記載のパターン形成方法。
<8> 上記露光工程において用いられる上記感光膜の膜厚が、5~50μmである、<1>~<7>のいずれか1つに記載のパターン形成方法。
<9> 上記第一領域の全面積に対する、上記第一領域と上記第二領域の重複部分の面積の割合が、80%以上である、<1>~<8>のいずれか1つに記載のパターン形成方法。
<10> 上記樹脂がポリイミド前駆体である、<1>~<9>のいずれか1つに記載のパターン形成方法。
<11> 上記感光性樹脂組成物が、増感剤を更に含む、<1>~<10>のいずれか1つに記載のパターン形成方法。
<12> <1>~<11>のいずれか1つに記載のパターン形成方法における上記感光膜の形成に供される感光性樹脂組成物。
<13> <1>~<11>のいずれか1つに記載のパターン形成方法を含む、積層体の製造方法。
<14> <1>~<11>のいずれか1つに記載のパターン形成方法、又は、<12>に記載の積層体の製造方法を含む、電子デバイスの製造方法。
本明細書において「~」という記号を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、その工程の所期の作用が達成できる限りにおいて、他の工程と明確に区別できない工程も含む意味である。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有しない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた露光も含む。また、露光に用いられる光としては、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線又は放射線が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方、又は、いずれかを意味し、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び「メタクリル」の両方、又は、いずれかを意味し、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両方、又は、いずれかを意味する。
本明細書において、構造式中のMeはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Buはブチル基を表し、Phはフェニル基を表す。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の総質量をいう。また本明細書において、固形分濃度とは、組成物の総質量に対する、溶剤を除く他の成分の質量百分率である。
本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に述べない限り、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC測定)に従い、ポリスチレン換算値として定義される。本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC-8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてガードカラムHZ-L、TSKgel Super HZM-M、TSKgel Super HZ4000、TSKgel Super HZ3000、TSKgel Super HZ2000(東ソー(株)製)を用いることによって求めることができる。それらの分子量は特に述べない限り、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いて測定したものとする。また、GPC測定における検出は特に述べない限り、UV線(紫外線)の波長254nm検出器を使用したものとする。
本明細書において、積層体を構成する各層の位置関係について、「上」又は「下」と記載したときには、注目している複数の層のうち基準となる層の上側又は下側に他の層があればよい。すなわち、基準となる層と上記他の層の間に、更に第3の層や要素が介在していてもよく、基準となる層と上記他の層は接している必要はない。また、特に断らない限り、基材に対し層が積み重なっていく方向を「上」と称し、又は、感光膜がある場合には、基材から感光膜へ向かう方向を「上」と称し、その反対方向を「下」と称する。なお、このような上下方向の設定は、本明細書中における便宜のためであり、実際の態様においては、本明細書における「上」方向は、鉛直上向きと異なることもありうる。
本明細書において、特段の記載がない限り、組成物は、組成物に含まれる各成分として、その成分に該当する2種以上の化合物を含んでもよい。また、特段の記載がない限り、組成物における各成分の含有量とは、その成分に該当する全ての化合物の合計含有量を意味する。
本明細書において、特に述べない限り、温度は23℃、気圧は101,325Pa(1気圧)、相対湿度は50%RHである。
本明細書において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本発明のパターン形成方法は、感光性樹脂組成物から形成された感光膜を選択的に露光する露光工程、及び、露光された上記感光膜を現像してパターンを得る現像工程を含み、上記露光工程が第一の波長を有する光による露光と第二の波長を有する光による露光とを含み、上記第一の波長を有する光、及び、上記第二の波長を有する光の少なくとも一方がレーザー光であり、上記第一の波長と上記第二の波長の差が5nm以上であり、上記感光膜のうち上記第一の波長を有する光により露光される第一領域と上記第二の波長を有する光により露光される第二領域の少なくとも一部が重なっており、上記感光性樹脂組成物が、感光性化合物、並びに、ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール及びポリベンゾオキサゾール前駆体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂を含む。
以下、ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール及びポリベンゾオキサゾール前駆体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂を「特定樹脂」ともいう。
上記効果が得られるメカニズムは不明であるが、下記のように推測される。
本発明者らは、このように単一の波長による露光を行った場合、例えば、ネガ型であれば、露光光が膜の深部まで到達しにくいため、パターンが逆テーパ状になりやすく、パターン剥がれが発生しやすくなる、ポジ型であれば、パターン形成のためには膜の深部まで十分な露光量による露光を行う必要があるが、露光量を増大させるとアブレーションが発生してパターンの崩れが発生しやすくなる、等の理由により、パターン剥がれが発生する場合があることを見出した。
また、膜の深部まで露光光を到達させるため、レーザー光を用いることも検討されているが、本発明者らは、例えば単一の波長のレーザー光を用いて露光強度を増加させた場合、アブレーション等によりパターン上部が破壊されやすい等の問題が有ることを見出した。
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、露光工程において第一の波長を有する光による露光と第二の波長を有する光による露光とを含み、かつ、上記第一の波長を有する光、及び、上記第二の波長を有する光との少なくとも一方がレーザー光であるという態様にすることにより、パターン剥がれが抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記態様により効果が得られるメカニズムは不明であるが、少なくとも一方がレーザー光である、波長が異なる複数の露光光を用いて露光を行うことにより、露光光が深部まで到達しやすく、樹脂による露光光の吸収も抑制されやすいため、パターン剥がれが抑制されると推測される。
具体的には、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチルピロリドン(NMP)等の極性溶剤、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液等のアルカリ水溶液、又は、上記極性溶剤と上記アルカリ水溶液との混合液に対する溶解性、分散性が抑制されたパターンが得られると考えられる。
このように、パターンが耐薬品性に優れることにより、例えば、本発明のパターン形成方法により形成されたパターン上に溶剤を含む他の組成物を更に適用、硬化して積層体を作製する場合等に、パターンが現像液又は他の組成物に接したとしてもパターンの溶解が抑制される、パターンを溶剤等の薬品と接する条件下又は溶剤等の薬品が存在する雰囲気下で使用したとしても、パターンの溶解、分散又は変性が抑制される、等の利点が存在すると考えられる。
本発明のパターン形成方法は、感光性樹脂組成物から形成された感光膜を選択的に露光する露光工程を含む。
選択的に露光するとは、感光膜の一部の領域を露光することをいい、「パターン露光」ともいう。
露光工程においては、感光性化合物が感光し、上記感光膜の現像液に対する溶解度が変化する。
具体的には、例えば感光性化合物が後述する光重合開始剤又は光酸発生剤であり、特定樹脂が架橋性基を含むか、感光膜が架橋剤を含むか、又はその両方である場合、感光膜において架橋が進行し、露光工程後の感光膜の現像液に対する溶解度が低下する。
例えば感光性化合物が後述する光酸発生剤であり、現像液が後述するアルカリ現像液である場合、感光膜において酸が発生し、現像液に対する溶解度が増大する。
例えば感光性化合物が後述する光酸発生剤であり、現像液が後述する有機溶剤である場合、感光膜において酸が発生し、現像液に対する溶解度が低下する。
例えば感光性化合物が後述する光塩基発生剤であり、特定樹脂が後述のポリイミド前駆体及びポリベンゾオキサゾール前駆体の少なくとも一方を含む場合、感光膜において特定樹脂の環化が進行し、現像液に対する溶解度が低下する。
このように、露光工程においては、例えば、感光性化合物の感光により、特定樹脂又は架橋剤に含まれる架橋性基と他の基との結合反応が促進されることにより、感光膜の現像液に対する溶解度が変化してもよいし、感光性化合物の感光による化学変化により発生した生成物によって、感光膜の現像液に対する溶解度が変化してもよいし、特定樹脂の環化により感光膜の現像液に対する溶解度が変化してもよい。
露光工程において用いられる感光膜は、後述の感光性樹脂組成物から形成された膜である。感光性樹脂組成物からの感光膜の形成方法としては、後述の膜形成工程において説明した方法が挙げられる。
ポジ型感光膜とは、露光工程において露光された部分(露光部)が現像液により除去される感光膜をいい、ネガ型感光膜とは、露光工程において露光されていない部分(非露光部)が現像液により除去される感光膜をいう。
露光工程は、第一の波長を有する光による露光(以下、「第一の露光」ともいう。)と第二の波長を有する光による露光(以下、「第二の露光」ともいう。)とを含む。
本発明において、第一の波長は、第二の波長よりも短い波長である。
第一の波長と第二の波長との差は、5nm以上であり、10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましい。
上記波長の差は、第一の露光における最も強度の高い光の波長と、第二の露光における最も強度の高い光の波長との差として定義される。
第一の露光と第二の露光とをいずれもレーザー光により行う場合、上記差はそれぞれのレーザー光の極大波長の差として定義される。
第一の波長及び第二の波長は、上記範囲内から上述の差を有する2つの波長としてそれぞれ設定することができる。
第一の波長は200~400nmであることが好ましく、300~380nmであることがより好ましい。
第二の波長は300~550nmであることが好ましく、350~450であることが更に好ましい。
また、第一の波長が350~380nmであり、第二の波長が390~450nmであることが好ましく、第一の波長が360~380nmであり、第二の波長が390~420nmであることがより好ましい。
第一の露光と、第二の露光とは、同時に行われてもよいし、それぞれの露光時間の一部が重複するように行われてもよいし、露光時間が重複しないように行われてもよい。
また、第一の露光、及び、第二の露光における第一、第二の記載は、時系列における露光の開始順序、終了順序等の順序を表すものではない。例えば、第一の露光を第二の露光よりも先に開始してもよいし、第二の露光を第一の露光よりも先に開始してもよい。また、第一の露光を第二の露光よりも先に終了してもよいし、第二の露光を第一の露光よりも先に終了してもよい。このように、時系列における第一の露光、及び、第二の露光の順序は特に限定されない。
上記同時に行われる態様の例としては、第一の露光と第二の露光とを同時に開始し、同時に終了する態様が挙げられる。
上記一部が重複する態様の例としては、例えば、第一の露光を開始した後、第一の露光の終了前に第二の露光を開始する態様、第二の露光を開始した後、第二の露光の終了前に第一の露光を開始する態様等が挙げられる。また、例えば、第一の露光と第二の露光とを同時に開始し、第一の露光と第二の露光の一方を先に終了する態様としてもよい。
また、上記露光時間が重複しないように行われる態様の例としては、第一の露光を開始した後、第一の露光の終了後に第二の露光を開始する態様、第二の露光を開始した後、第二の露光の終了後に第一の露光を開始する態様等が挙げられる。この態様において、第一の露光の終了から第二の露光の開始までの時間、又は、第二の露光の終了から第一の露光の開始までの時間は、特に限定されないが、例えば0.1秒~24時間等とすることができる。
上記第一の波長を有する光、及び、上記第二の波長を有する光の少なくとも一方はレーザー光である。
パターン剥がれを抑制する観点からは、第一の波長を有する光、及び、第二の波長を有する光のいずれもがレーザー光である態様も好ましい。
レーザーは英語のLight Amplification by Stimulated Emission of Radiation(誘導放出による光の増幅)の頭文字である。反転分布をもった物質中でおきる誘導放出の現象を利用し、光波の増幅、発振によって干渉性と指向性が一層強い単色光を作り出す発振器及び増幅器、励起媒体として結晶、ガラス、液体、色素、気体などがあり、これらの媒質から固体レーザー、液体レーザー、気体レーザー、半導体レーザーなどの公知の紫外光に発振波長を有するレーザーを用いることができる。その中でも、レーザーの出力及び発振波長の観点から、半導体レーザー、固体レーザー、ガスレーザーが好ましい。
露光にレーザー光を用いることにより、硬化が速やかに進行する等の理由により、パターンの生産性にも優れやすいと考えられる。
レーザー光は光の平行度が良好であるため、照射部位(レーザーのスポット径、照射幅など)を小さくすることが可能である。そのため、レーザー光を用い、感光膜又はレーザー光源を移動する等の方法により、露光する際にフォトマスクを使用せずにパターン露光(ダイレクト露光)を行うことが可能である。このような態様によれば、フォトマスクの設計、作製、設置、除去等の工程を省略することができるため、更に生産性に優れると考えられる。
また、得られるパターン形状における出力光の形状又はプロファイルの影響等を抑制したい場合には、レーザー光を光源とした場合であっても、フォトマスクを用いてパターン露光を行うことも好ましい態様である。
更に、レーザー光を用いることにより、不要な波長の除去が容易である、又は、光照度(露光強度)の向上が容易であり露光時間を短縮できる、露光光源の寿命が長くなる、等の利点も存在する。
本発明においては、上記第一の波長を有する光、及び、上記第二の波長を有する光の一方をレーザー光以外の光とすることも好ましい。
レーザー光以外の光の光源としては、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、極端紫外線、電子線等が挙げられる。
第一の波長と第二の波長との差を上述の範囲とするため、これらの光源において特定の波長を除去する光学フィルタ等を用いてもよい。
光源としてレーザー光以外の光の光源を用いる場合、フォトマスクを使用したパターン露光を行うことが好ましい。
上記感光膜のうち上記第一の波長を有する光により露光される第一領域と上記第二の波長を有する光により露光される第二領域とは、少なくとも一部が重なっていればよいが、上記第一領域の全面積に対する、上記第一領域と上記第二領域の重複部分の面積の割合が、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。上記割合の上限は特に限定されず、100%以下であればよい。
また、上記第一領域及び上記第二領域の少なくとも一方に含まれる領域の全面積に対する、上記第一領域に含まれる面積の割合は、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。上記割合の上限は特に限定されず、100%以下であればよい。
生産性及び解像性の観点から、第一の露光及び第二の露光におけるそれぞれの露光量としては、25mJ/cm2~3,000mJ/cm2の範囲が好ましく、50mJ/cm2~2,000mJ/cm2の範囲がより好ましく、100mJ/cm2~1,000mJ/cm2の範囲が更に好ましい。
また、生産性及び解像性の観点から、露光工程における総露光量としては、50mJ/cm2~3,000mJ/cm2の範囲が好ましく、75mJ/cm2~2,000mJ/cm2の範囲がより好ましく、100mJ/cm2~1,000mJ/cm2の範囲が更に好ましい。
露光工程は、第一の露光及び第二の露光以外の他の露光を更に含んでもよい。
他の露光としては、第一の波長とも第二の波長とも異なる波長を有する光による露光、ブロードバンド光による露光等が挙げられる。
本発明のパターン形成方法は、上記露光工程後、現像工程前に、露光後の感光膜を加熱する工程(露光後加熱工程)を含んでもよい。
露光後加熱工程における加熱温度は、50℃~140℃であることが好ましく、60℃~120℃であることがより好ましい。
露光後加熱工程における加熱時間は、1分間~300分間が好ましく、5分間~120分間がより好ましい。
露光後加熱工程における昇温速度は、加熱開始時の温度から最高加熱温度まで1~12℃/分が好ましく、2~10℃/分がより好ましく、3~10℃/分が更に好ましい。
また、昇温速度は加熱途中で適宜変更してもよい。
露光後加熱工程における加熱手段としては、特に限定されず、公知のホットプレート、オーブン、赤外線ヒーター等を用いることができる。
また、加熱に際し、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスを流す等により、低酸素濃度の雰囲気で行うことも好ましい。
本発明のパターン形成方法は、感光性樹脂組成物から感光膜を形成する膜形成工程を含んでいてもよい。
露光工程における上記感光膜は、膜形成工程により形成された感光膜であってもよいし、購入等の手段により入手した感光膜であってもよい。
膜形成工程は、感光性樹脂組成物を基材に適用して膜(層状)にし、感光膜を得る工程であることが好ましい。
基材の種類は、用途に応じて適宜定めることができるが、シリコン、窒化シリコン、ポリシリコン、酸化シリコン、アモルファスシリコンなどの半導体作製基材、石英、ガラス、光学フィルム、セラミック材料、蒸着膜、磁性膜、反射膜、Ni、Cu、Cr、Feなどの金属基材、紙、SOG(Spin On Glass)、TFT(薄膜トランジスタ)アレイ基材、プラズマディスプレイパネル(PDP)の電極板など特に制約されない。本発明では、特に、半導体作製基材が好ましく、シリコン基材がより好ましい。
また、これらの基材には表面に密着層や酸化層などの層が設けられていてもよい。
また、基材としては、例えば板状の基材(基板)が用いられる。
また、基材の形状は特に限定されず、円形状(円板状)であっても矩形状(矩形板上)であってもよい。
基材のサイズとしては、円形状であれば、例えば直径が100~450mmであり、好ましくは200~450mmである。矩形状であれば、例えば短辺の長さが100~1000mmであり、好ましくは200~700mmである。
また、あらかじめ仮支持体上に上記付与方法によって付与して形成した塗膜を、基材上に転写する方法を適用することもできる。
転写方法に関しては特開2006-023696号公報の段落0023、0036~0051や、特開2006-047592号公報の段落0096~0108に記載の作製方法を本発明においても好適に用いることができる。
また、基材の端部において余分な膜の除去を行なう工程を行なってもよい。このような工程の例には、エッジビードリンス(EBR)、エアナイフなどが挙げられる。
本発明のパターン形成方法は、膜形成工程(層形成工程)の後に、溶剤を除去するために形成された膜(層)を乾燥する工程(乾燥工程)を含んでいてもよい。
好ましい乾燥温度は50~150℃で、70℃~130℃がより好ましく、90℃~110℃が更に好ましい。乾燥時間としては、30秒~20分が例示され、1分~10分が好ましく、3分~7分がより好ましい。
本発明のパターン形成方法は、上記露光工程後の上記感光膜を現像液により現像してパターンを得る現像工程を含む。
現像を行うことにより、露光部、及び、非露光部の一方が除去される。現像方法は、所望のパターンを形成できれば特に制限は無く、例えばノズルからの吐出、スプレー噴霧、基材の現像液浸漬などが挙げられ、ノズルからの吐出が好ましく利用される。現像工程には、現像液が連続的に基材に供給され続ける工程、基材上で略静止状態で保たれる工程、現像液を超音波等で振動させる工程及びそれらを組み合わせた工程などが採用可能である。
本発明において、解像性等の観点から、現像工程における現像はネガ型現像であることが好ましい。
本発明において、現像液としてアルカリ現像液を用いる場合をアルカリ現像、現像液として有機溶剤を50質量%以上含む現像液を用いる場合を溶剤現像という。
これらの中でも、本発明において用いられる現像液は、有機溶剤を含む現像液であることが好ましく、有機溶剤を50質量%以上含む現像液であることがより好ましい。
アルカリ現像における現像液は、pHが10~15である水溶液がより好ましい。
アルカリ現像における現像液に含まれるアルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、アンモニア又はアミンなどが挙げられる。アミンとしては、例えば、エチルアミン、n-プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、アルカノールアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、四級アンモニウム水酸化物、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)又は水酸化テトラエチルアンモニウムなどが挙げられる。なかでも金属を含まないアルカリ化合物が好ましく、アンモニウム化合物がより好ましい。
現像液における塩基性化合物の含有量は、例えばTMAHを用いる場合、現像液総量中0.01~10質量%が好ましく、0.1~5質量%がより好ましく、0.3~3質量%が更に好ましい。
アルカリ化合物は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。アルカリ化合物が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
溶剤現像の場合、リンスは、現像液とは異なる有機溶剤で行うことが好ましい。
アルカリ現像の場合、リンスは、純水を用いて行うことが好ましい。
リンス時間は、5秒~1分が好ましい。
本発明のパターン形成方法は、露光工程後のパターンを加熱する加熱工程を更に含んでもよい。
また、特定樹脂、又は特定樹脂以外の架橋剤における未反応の架橋性基の架橋なども進行する。
加熱工程における加熱温度(最高加熱温度)としては、50~450℃が好ましく、140~400℃がより好ましく、160~350℃が更に好ましい。
加熱工程における、加熱開始時の温度から最高加熱温度までの昇温速度としては、1~12℃/分が好ましく、2~10℃/分がより好ましく、3~10℃/分が更に好ましい。上記昇温速度を1℃/分以上とすることにより、生産性を確保することができ、上記昇温速度を12℃/分以下とすることにより、パターンの残存応力を緩和することができる。
特に多層の積層体を形成する場合、パターンの層間の密着性の観点から、加熱温度は180℃~320℃が好ましく、180℃~260℃がより好ましい。その理由は定かではないが、上記温度範囲とすることにより層間の特定樹脂又は架橋剤における架橋性基同士が架橋反応を進行している等の理由が考えられる。
更に、加熱後冷却してもよく、この場合の冷却速度としては、1~5℃/分であることが好ましい。
加熱工程に用いられる加熱手段は、特に限定されないが、例えばホットプレート、赤外炉、電熱式オーブン、熱風式オーブンなどが挙げられる。
本発明のパターン形成方法は、上記加熱工程に代えて、又は、上記加熱工程に加えて、現像工程後のパターンを露光する現像後露光工程を更に含んでもよい。
現像後露光工程においては、例えば、後述の感光性化合物である光塩基発生剤等が感光し、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体等の環化が進行して、硬化したパターンが得られる。
現像後露光工程においては、現像工程において得られたパターンの少なくとも一部が露光されればよいが、上記パターンの全部が露光されることが好ましい。
現像後露光工程における露光量は、感光性化合物が感度を有する波長における露光エネルギー換算で、100~20,000mJ/cm2であることが好ましく、200~15,000mJ/cm2であることがより好ましい。
現像後露光工程は、例えば、上述の第一の波長を有する光、上述の第二の波長を有する光、これらを併用した光、高圧水銀灯等のブロードバンド光等を用いて行うことができ、ブロードバンド光を用いることが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、現像工程後(加熱工程及び現像後露光工程の少なくとも一方を含む場合は、これらの工程に供された後)のパターンの表面に金属層を形成する金属層形成工程を含むことが好ましい。
本発明のパターン形成方法により得られるパターンの適用可能な分野としては、電子デバイスの絶縁膜、再配線層用層間絶縁膜、ストレスバッファ膜などが挙げられる。そのほか、封止フィルム、基板材料(フレキシブルプリント基板のベースフィルムやカバーレイ、層間絶縁膜)、又は上記のような実装用途の絶縁膜をエッチングでパターン形成することなどが挙げられる。これらの用途については、例えば、サイエンス&テクノロジー(株)「ポリイミドの高機能化と応用技術」2008年4月、柿本雅明/監修、CMCテクニカルライブラリー「ポリイミド材料の基礎と開発」2011年11月発行、日本ポリイミド・芳香族系高分子研究会/編「最新ポリイミド 基礎と応用」エヌ・ティー・エス,2010年8月等を参照することができる。
本発明の積層体の製造方法は、本発明のパターン形成方法を含むことが好ましい。
本発明の積層体の製造方法により得られる積層体は、パターンを2層以上含む積層体であり、3~7層積層した積層体としてもよい。
上記積層体に含まれる2層以上の上記パターンのうち、少なくとも1つが本発明のパターン形成方法により得られるパターンであり、パターンの収縮、又は、上記収縮に伴うパターンの変形等を抑制する観点からは、上記積層体に含まれる全てのパターンが本発明のパターン形成方法により得られるパターンであることも好ましい。
上記積層体は、パターンを2層以上含み、上記パターン同士のいずれかの間に金属層を含む態様が好ましい。上記金属層は、上記金属層形成工程により形成されることが好ましい。
上記積層体としては、例えば、第一のパターン、金属層、第二のパターンの3つの層がこの順に積層された層構造を少なくとも含む積層体が好ましいものとして挙げられる。
上記第一のパターン及び上記第二のパターンは、いずれも本発明のパターン形成方法により得られたパターンであることが好ましい。上記第一のパターンの形成に用いられる本発明の感光性樹脂組成物と、上記第二のパターンの形成に用いられる本発明の感光性樹脂組成物とは、組成が同一の組成物であってもよいし、組成が異なる組成物であってもよい。本発明の積層体における金属層は、再配線層などの金属配線として好ましく用いられる。
本発明の積層体の製造方法は、積層工程を含むことが好ましい。
積層工程とは、パターン(樹脂層)又は金属層の表面に、再度、(a)膜形成工程(層形成工程)、(b)露光工程、(c)現像工程、(d)加熱工程及び現像後露光工程のうち少なくとも一方を、この順に行うことを含む一連の工程である。ただし、(a)の膜形成工程のみを繰り返す態様であってもよい。また、(d)加熱工程及び現像後露光工程のうち少なくとも一方の後には(e)金属層形成工程を含んでもよい。積層工程には、更に、上記乾燥工程等を適宜含んでいてもよいことは言うまでもない。
例えば、樹脂層/金属層/樹脂層/金属層/樹脂層/金属層のように、樹脂層を3層以上7層以下とする構成が好ましく、3層以上5層以下とする構成が更に好ましい。
上記各層はそれぞれ、組成、形状、膜厚等が同一であってもよいし、異なっていてもよい。
本発明は、本発明のパターン形成方法、又は、本発明の積層体の製造方法を含む電子デバイスの製造方法も開示する。本発明の感光性樹脂組成物を再配線層用層間絶縁膜の形成に用いた電子デバイスの具体例としては、特開2016-027357号公報の段落0213~0218の記載及び図1の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
以下、本発明のパターン形成方法、本発明の積層体の製造方法、又は、本発明の電子デバイスの製造方法において用いられる感光性樹脂組成物の詳細について説明する。
本発明の感光性樹脂組成物は、本発明のパターン形成方法、本発明の積層体の製造方法、又は、本発明の電子デバイスの製造方法において上記感光膜の形成に供される感光性樹脂組成物である。
すなわち、本発明の感光性樹脂組成物は、感光性化合物、並びに、ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール及びポリベンゾオキサゾール前駆体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂を含む。
感光性化合物は、第一の波長で感光する第一の感光性化合物、及び、上記第二の波長で感光する第二の感光性化合物を含むことが好ましい。
感光性化合物が第一の波長で感光する第一の感光性化合物、及び、上記第二の波長で感光する第二の感光性化合物を含むことにより、第一の波長及び第二の波長で感光する感光膜を形成することができる。
上記態様において、上記第一の感光性化合物は上記第二の波長により感光してもよいし、感光しなくともよい。また、上記第二の感光性化合物は、上記第一の波長により感光してもよいし、感光しなくともよい。
また、感光性化合物は、露光工程において感光する感光性化合物(例えば、上述の第一の感光性化合物及び第二の感光性化合物)に加えて、現像後露光工程において感光する感光性化合物を更に含んでもよい。
上記現像後露光工程において感光する感光性化合物は、露光工程において感光せず、現像後露光工程において感光する感光性化合物であることが好ましい。
感光性化合物と、ポリメチルメタクリレート(PMMA)とをメチルエチルケトンに溶解し、モデル膜形成用組成物を調製する。モデル膜形成用組成物における、感光性化合物とPMMAとの全質量に対する感光性化合物の含有量は、0.5mmol/gとする。また、モデル膜形成用組成物における、感光性化合物とPMMAとの全質量に対するメチルエチルケトンの使用量は、後述するモデル膜の膜厚に応じて適宜設定すればよい。
感光性樹脂組成物が、後述する増感剤を含む場合、感光性樹脂組成物における感光性化合物と増感剤の含有質量比と、モデル膜中の感光性化合物と増感剤の含有質量比とが同様の含有質量比となるように、上記モデル膜にも増感剤を添加する。
また、PMMAの重量平均分子量は、10,000とする。
その後、得られたモデル膜形成用組成物をガラス上に塗布し、80℃で1分間熱乾燥して、モデル膜を得る。モデル膜の膜厚は、10μmとなるようにする。その後、露光工程における第一の露光又は第二の露光と同様の光源を用い、上記第一の露光又は第二の露光における露光と同様の波長、照射量により上記組成物膜を露光する。
上記露光後、上記モデル膜、及び、上記モデル膜が形成されたガラスを、メタノール/THF=50/50(質量比)溶液に超音波を当てながら10分浸漬させる。上記溶液に抽出された抽出物をHPLC(高速液体クロマトグラフィ)にて分析することで感光性化合物の残存率を以下の式より算出する。
感光性化合物の残存率(%)=露光後のモデル膜に含まれる感光性化合物の含有量(mol)/露光前のモデル膜に含まれる感光性化合物の含有量(mol)×100
また、上記感光性化合物の残存率が80%未満である場合に、上記感光性化合物は第一の波長又は第二の波長で感光する化合物であると判定する。上記残存率は、70%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましく、50%以下であることが更に好ましい。上記残存率の下限は特に限定されず、0%であってもよい。
上記感光性化合物の残存率が80%以上である場合に、上記感光性化合物は第一の波長又は第二の波長で感光しない化合物であると判定する。上記残存率は、85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが更に好ましい。上記残存率の上限は特に限定されず、100%であってもよい。
感光性化合物の極大吸収波長は、波長190~450nmの波長範囲における極大吸収波長のうち、最も長波長側に存在する波長として定義される。
更に、感光性樹脂組成物が感光性化合物及び増感剤を含むことも好ましい態様の一つである。例えば、感光性樹脂組成物が第一の波長及び第二の波長の一方の波長で感光する感光性化合物と、他方の波長で感光する増感剤とを含むことにより、第一の波長及び第二の波長で感光する感光膜を形成することができる。
また、感光性化合物は、光重合開始剤、光酸発生剤又は光塩基発生剤であることが好ましい。
感光性化合物が、第一の波長で感光する第一の感光性化合物、及び、第二の波長で感光する第二の感光性化合物を含む場合、第一の感光性化合物と第二の感光性化合物とは異なるカテゴリの化合物であってもよいが、同一のカテゴリの化合物であることが好ましい。
上記異なるカテゴリの化合物であるとは、例えば、第一の感光性化合物が光重合開始剤であり、第二の感光性化合物が光酸発生剤である態様をいう。
上記同一のカテゴリの化合物であるとは、例えば、第一の感光性化合物が光重合開始剤であって、第二の感光性化合物も光重合開始剤である態様、第一の感光性化合物が光酸発生剤であって、第二の感光性化合物も光酸発生剤である態様、又は、第一の感光性化合物が光塩基発生剤であって、第二の感光性化合物も光塩基発生剤である態様をいう。
これらの中でも、第一の感光性化合物、及び、第二の感光性化合物がいずれも光重合開始剤であることが好ましく、いずれも光ラジカル重合開始剤であることがより好ましい。
光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤等が挙げられ、光ラジカル重合開始剤が好ましい。
光ラジカル重合開始剤は、露光工程においてラジカルを発生する化合物である。
本発明の感光性樹脂組成物は、感光性化合物として、光ラジカル重合開始剤を含むことが好ましい。
例えば、感光性樹脂組成物が、光ラジカル重合開始剤、並びに、ラジカル重合性を有するエチレン性不飽和結合を有する特定樹脂、及び、後述するラジカル架橋剤の少なくとも一方を含有することで、ラジカル重合が進行し、感光膜の露光部の現像液に対する溶解度が低下するため、ネガ型のパターンを形成することができる。
光ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、公知の化合物の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視領域の光線に対して感光性を有する光ラジカル重合開始剤が好ましい。また、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよい。
本発明の感光性樹脂組成物は、感光性化合物として、光酸発生剤を含むことも好ましい。
光酸発生剤を含有することで、例えば、感光膜の露光部に酸が発生して、上記露光部の現像液(例えば、アルカリ水溶液)に対する溶解性が増大し、露光部が現像液により除去されるポジ型のレリーフパターンを得ることができる。
また、感光性樹脂組成物が、光酸発生剤と、後述する架橋剤とを含有することにより、例えば、露光部に発生した酸により架橋剤の架橋反応が促進され、露光部が非露光部よりも現像液により除去されにくくなる態様とすることもできる。このような態様によれば、ネガ型のレリーフパターンを得ることができる。
その他、光酸発生剤としては市販品を使用してもよい。市販品としては、WPAG-145、WPAG-149、WPAG-170、WPAG-199、WPAG-336、WPAG-367、WPAG-370、WPAG-469、WPAG-638、WPAG-699(いずれも富士フイルム和光純薬(株)製)、Omnicat 250、Omnicat 270(いずれもIGM Resins B.V.社製)、Irgacure 250、Irgacure 270、Irgacure 290(いずれもBASF社製)等が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物は、感光性化合物として、光塩基発生剤を含んでもよい。
感光性樹脂組成物が、光塩基発生剤と、後述する架橋剤とを含有することにより、例えば、露光部に発生した塩基により特定樹脂の環化が促進される、架橋剤の架橋反応が促進される等の作用により、露光部が非露光部よりも現像液により除去されにくくなる態様とすることもできる。このような態様によれば、ネガ型のレリーフパターンを得ることができる。
例えば、M.Shirai,and M.Tsunooka, Prog.Polym.Sci.,21,1(1996);角岡正弘,高分子加工,46,2(1997);C.Kutal,Coord.Chem.Rev.,211,353(2001);Y.Kaneko,A.Sarker, and D.Neckers,Chem.Mater.,11,170(1999);H.Tachi,M.Shirai, and M.Tsunooka,J.Photopolym.Sci.Technol.,13,153(2000);M.Winkle, and K.Graziano,J.Photopolym.Sci.Technol.,3,419(1990);M.Tsunooka,H.Tachi, and S.Yoshitaka,J.Photopolym.Sci.Technol.,9,13(1996);K.Suyama,H.Araki,M.Shirai,J.Photopolym.Sci.Technol.,19,81(2006)に記載されているように、遷移金属化合物錯体や、アンモニウム塩などの構造を有するものや、アミジン部分がカルボン酸と塩形成することで潜在化されたもののように、塩基成分が塩を形成することにより中和されたイオン性の化合物や、カルバメート誘導体、オキシムエステル誘導体、アシル化合物などのウレタン結合やオキシム結合などにより塩基成分が潜在化された非イオン性の化合物を挙げることができる。
本発明では、光塩基発生剤として、カルバメート誘導体、アミド誘導体、イミド誘導体、αコバルト錯体類、イミダゾール誘導体、桂皮酸アミド誘導体、オキシム誘導体等がより好ましい例として挙げられる。
イミド化率の観点からは、上記塩基性物質は、共役酸のDMSO(ジメチルスルホキシド)中のpKaが大きいものであることが好ましい。上記pKaは、1以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。上記pKaの上限は特に限定されないが、20以下であることが好ましい。
ここで、上記pKaとは、酸の第一解離定数の逆数の対数を表し、Determination of Organic Structures by Physical Methods(著者:Brown, H. C., McDaniel, D. H., Hafliger, O., Nachod, F. C.; 編纂:Braude, E. A., Nachod, F. C.; Academic Press, New York, 1955)や、Data for Biochemical Research(著者:Dawson, R.M.C.et al; Oxford, Clarendon Press, 1959)に記載の値を参照することができる。これらの文献に記載の無い化合物については、ACD/pKa(ACD/Labs製)のソフトを用いて構造式より算出した値をpKaとして用いることとする。
また、パターンの耐薬品性の観点からは、光塩基発生剤としては、構造中に塩を含む光塩基発生剤であることが好ましい。
本発明に係る光塩基発生剤としては、例えば、特開2009-080452号公報及び国際公開第2009/123122号で開示されたような桂皮酸アミド構造を有する光塩基発生剤、特開2006-189591号公報及び特開2008-247747号公報で開示されたようなカルバメート構造を有する光塩基発生剤、特開2007-249013号公報及び特開2008-003581号公報で開示されたようなオキシム構造、カルバモイルオキシム構造を有する光塩基発生剤等が挙げられるが、これらに限定されず、その他にも公知の光塩基発生剤の構造を用いることができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、及びこれらの前駆体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂(特定樹脂)を含む。
本発明の感光性樹脂組成物は、特定樹脂として、ポリイミド又はポリイミド前駆体を含むことが好ましく、ポリイミド前駆体を含むことがより好ましい。
また、特定樹脂はラジカル重合性基を有することが好ましい。
特定樹脂がラジカル重合性基を有する場合、感光性樹脂組成物は、感光剤として光ラジカル重合開始剤を含むことが好ましく、感光剤として光ラジカル重合開始剤を含み、かつ、ラジカル架橋剤を含むことがより好ましく、感光剤として光ラジカル重合開始剤を含み、ラジカル架橋剤を含み、かつ、増感剤を含むことが更に好ましい。このような感光性樹脂組成物からは、例えば、ネガ型感光層が形成される。
また、特定樹脂は、酸分解性基等の極性変換基を有していてもよい。
特定樹脂が酸分解性基を有する場合、感光性樹脂組成物は、感光剤として光酸発生剤を含むことが好ましい。このような感光性樹脂組成物からは、例えば、化学増幅型であるポジ型感光層又はネガ型感光層が形成される。
本発明で用いるポリイミド前駆体は、その種類等特に定めるものではないが、下記式(2)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
式(2)
式(2)におけるR111は、2価の有機基を表す。2価の有機基としては、直鎖又は分岐の脂肪族基、環状の脂肪族基及び芳香族基を含む基が例示され、炭素数2~20の直鎖又は分岐の脂肪族基、炭素数6~20の環状の脂肪族基、炭素数6~20の芳香族基、又は、これらの組み合わせからなる基が好ましく、炭素数6~20の芳香族基を含む基がより好ましい。本発明の特に好ましい実施形態として、-Ar-L-Ar-で表される基であることが例示される。但し、Arは、それぞれ独立に、芳香族基であり、Lは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、-O-、-CO-、-S-、-SO2-又はNHCO-、あるいは、上記の2つ以上の組み合わせからなる基である。これらの好ましい範囲は、上述のとおりである。
具体的には、炭素数2~20の直鎖又は分岐の脂肪族基、炭素数6~20の環状の脂肪族基、炭素数6~20の芳香族基、又は、これらの組み合わせからなる基を含むジアミンであることが好ましく、炭素数6~20の芳香族基からなる基を含むジアミンであることがより好ましい。芳香族基の例としては、下記が挙げられる。
式中、*は他の構造との結合部位を表す。
式(51)
R50~R57の1価の有機基としては、炭素数1~10(好ましくは炭素数1~6)の無置換のアルキル基、炭素数1~10(好ましくは炭素数1~6)のフッ化アルキル基等が挙げられる。
式(51)又は(61)の構造を与えるジアミン化合物としては、2,2’-ジメチルベンジジン、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ビス(フルオロ)-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノオクタフルオロビフェニル等が挙げられる。これらは1種で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
式(5)又は式(6)中、*は他の構造との結合部位を表す。
式(5)
テトラカルボン酸二無水物は、下記式(O)で表されることが好ましい。
式(O)
エチレン性不飽和結合を有する基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、下記式(III)で表される基などが挙げられ、下記式(III)で表される基が好ましい。
式(III)において、R201は、炭素数2~12のアルキレン基、-CH2CH(OH)CH2-又はポリアルキレンオキシ基を表す。
好適なR201の例は、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,2-ブタンジイル基、1,3-ブタンジイル基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、ドデカメチレン基、-CH2CH(OH)CH2-、ポリアルキレンオキシ基が挙げられ、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、-CH2CH(OH)CH2-、ポリアルキレンオキシ基がより好ましく、有機膜において式(1)又は式(2)を満たしやすくする観点からは、ポリアルキレンオキシ基が更に好ましい。
本発明において、ポリアルキレンオキシ基とは、アルキレンオキシ基が2以上直接結合した基をいう。ポリアルキレンオキシ基に含まれる複数のアルキレンオキシ基におけるアルキレン基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
ポリアルキレンオキシ基が、アルキレン基が異なる複数種のアルキレンオキシ基を含む場合、ポリアルキレンオキシ基におけるアルキレンオキシ基の配列は、ランダムな配列であってもよいし、ブロックを有する配列であってもよいし、交互等のパターンを有する配列であってもよい。
上記アルキレン基の炭素数(アルキレン基が置換基を有する場合、置換基の炭素数を含む)は、2以上であることが好ましく、2~10であることがより好ましく、2~6であることがより好ましく、2~5であることが更に好ましく、2~4であることが一層好ましく、2又は3であることが特に好ましく、2であることが最も好ましい。
また、上記アルキレン基は、置換基を有していてもよい。好ましい置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。
また、ポリアルキレンオキシ基に含まれるアルキレンオキシ基の数(ポリアルキレンオキシ基の繰り返し数)は、2~20が好ましく、2~10がより好ましく、2~6が更に好ましい。
ポリアルキレンオキシ基としては、溶剤溶解性及び耐溶剤性の観点からは、ポリエチレンオキシ基、ポリプロピレンオキシ基、ポリトリメチレンオキシ基、ポリテトラメチレンオキシ基、又は、複数のエチレンオキシ基と複数のプロピレンオキシ基とが結合した基が好ましく、ポリエチレンオキシ基又はポリプロピレンオキシ基がより好ましく、ポリエチレンオキシ基が更に好ましい。上記複数のエチレンオキシ基と複数のプロピレンオキシ基とが結合した基において、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基とはランダムに配列していてもよいし、ブロックを形成して配列していてもよいし、交互等のパターン状に配列していてもよい。これらの基におけるエチレンオキシ基等の繰り返し数の好ましい態様は上述の通りである。
R113又はR114が、水素原子、2-ヒドロキシベンジル、3-ヒドロキシベンジル及び4-ヒドロキシベンジルであることもより好ましい。
アルキル基の炭素数は1~30が好ましい。アルキル基は直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。直鎖又は分岐のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、1-エチルペンチル基、2-エチルヘキシル基2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ基、2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ基、2-(2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ基、及び2-(2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ基が挙げられる。環状のアルキル基は、単環の環状のアルキル基であってもよく、多環の環状のアルキル基であってもよい。単環の環状のアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基が挙げられる。多環の環状のアルキル基としては、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボルニル基、カンフェニル基、デカヒドロナフチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、カンホロイル基、ジシクロヘキシル基及びピネニル基が挙げられる。中でも、高感度化との両立の観点から、シクロヘキシル基が最も好ましい。また、芳香族基で置換されたアルキル基としては、後述する芳香族基で置換された直鎖アルキル基が好ましい。
芳香族基としては、具体的には、置換又は無置換のベンゼン環、ナフタレン環、ペンタレン環、インデン環、アズレン環、ヘプタレン環、インダセン環、ペリレン環、ペンタセン環、アセナフテン環、フェナントレン環、アントラセン環、ナフタセン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオレン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環又はフェナジン環である。ベンゼン環が最も好ましい。
酸分解性基の具体例としては、tert-ブトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、エトキシエチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、トリメチルシリル基、tert-ブトキシカルボニルメチル基、トリメチルシリルエーテル基などが挙げられる。露光感度の観点からは、エトキシエチル基、又は、テトラヒドロフラニル基が好ましい。
式(2-A)
R112は、式(5)におけるR112と同義であり、好ましい範囲も同様である。
上記ポリイミド前駆体の分子量の分散度は、2.5以上が好ましく、2.7以上がより好ましく、2.8以上であることが更に好ましい。ポリイミド前駆体の分子量の分散度の上限値は特に定めるものではないが、例えば、4.5以下が好ましく、4.0以下がより好ましく、3.8以下が更に好ましく、3.2以下が一層好ましく、3.1以下がより一層好ましく、3.0以下が更に一層好ましく、2.95以下が特に好ましい。
本明細書において、分子量の分散度とは、重量平均分子量/数平均分子量により算出される値である。
本発明に用いられるポリイミドは、アルカリ可溶性ポリイミドであってもよく、有機溶剤を主成分とする現像液に対して可溶なポリイミドであってもよい。
本明細書において、アルカリ可溶性ポリイミドとは、100gの2.38質量%テトラメチルアンモニウム水溶液に対し、23℃で0.1g以上溶解するポリイミドをいい、パターン形成性の観点からは、0.5g以上溶解するポリイミドであることが好ましく、1.0g以上溶解するポリイミドであることが更に好ましい。上記溶解量の上限は特に限定されないが、100g以下であることが好ましい。
また、ポリイミドは、得られる有機膜の膜強度及び絶縁性の観点からは、複数個のイミド構造を主鎖に有するポリイミドであることが好ましい。
本明細書において、「主鎖」とは、樹脂を構成する高分子化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖をいい、「側鎖」とはそれ以外の結合鎖をいう。
得られる有機膜の膜強度の観点からは、ポリイミドは、フッ素原子を有することが好ましい。
フッ素原子は、例えば、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR132、又は、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131に含まれることが好ましく、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR132、又は、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131にフッ化アルキル基として含まれることがより好ましい。
ポリイミドの全質量に対するフッ素原子の量は、1~50mol/gであることが好ましく、5~30mol/gであることがより好ましい。
得られる有機膜の膜強度の観点からは、ポリイミドは、ケイ素原子を有することが好ましい。
ケイ素原子は、例えば、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131に含まれることが好ましく、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131に後述する有機変性(ポリ)シロキサン構造として含まれることがより好ましい。
また、上記ケイ素原子又は上記有機変性(ポリ)シロキサン構造はポリイミドの側鎖に含まれていてもよいが、ポリイミドの主鎖に含まれることが好ましい。
ポリイミドの全質量に対するケイ素原子の量は、0.01~5mol/gであることが好ましく、0.05~1mol/gであることがより好ましい。
得られる有機膜の膜強度の観点からは、ポリイミドは、エチレン性不飽和結合を有することが好ましい。
ポリイミドは、エチレン性不飽和結合を主鎖末端に有していてもよいし、側鎖に有していてもよいが、側鎖に有することが好ましい。
上記エチレン性不飽和結合は、ラジカル重合性を有することが好ましい。
エチレン性不飽和結合は、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR132、又は、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131に含まれることが好ましく、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR132、又は、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131にエチレン性不飽和結合を有する基として含まれることがより好ましい。
これらの中でも、エチレン性不飽和結合は、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131に含まれることが好ましく、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131にエチレン性不飽和結合を有する基として含まれることがより好ましい。
エチレン性不飽和結合を有する基としては、ビニル基、アリル基、ビニルフェニル基等の芳香環に直接結合した、置換されていてもよいビニル基を有する基、(メタ)アクリルアミド基、(メタ)アクリロイルオキシ基、下記式(IV)で表される基などが挙げられる。
式(R1)~(R3)中、Lにおける炭素数2~12のアルキレン基、又は、炭素数2~30の(ポリ)アルキレンオキシ基の好ましい態様は、上述のR21における、炭素数2~12のアルキレン基、又は、炭素数2~30の(ポリ)アルキレンオキシ基の好ましい態様と同様である。
式(R1)中、Xは酸素原子であることが好ましい。
式(R1)~(R3)中、*は式(IV)中の*と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(R1)で表される構造は、例えば、フェノール性ヒドロキシ基等のヒドロキシ基を有するポリイミドと、イソシアナト基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物(例えば、2-イソシアナトエチルメタクリレート等)とを反応することにより得られる。
式(R2)で表される構造は、例えば、カルボキシ基を有するポリイミドと、ヒドロキシ基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物(例えば、2-ヒドロキシエチルメタクリレート等)とを反応することにより得られる。
式(R3)で表される構造は、例えば、フェノール性ヒドロキシ基等のヒドロキシ基を有するポリイミドと、グリシジル基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物(例えば、グリシジルメタクリレート等)とを反応することにより得られる。
ポリイミドは、エチレン性不飽和結合以外の架橋性基を有していてもよい。
エチレン性不飽和結合以外の架橋性基としては、エポキシ基、オキセタニル基等の環状エーテル基、メトキシメチル基等のアルコキシメチル基、メチロール基等が挙げられる。
エチレン性不飽和結合以外の架橋性基は、例えば、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131に含まれることが好ましい。
ポリイミドの全質量に対するエチレン性不飽和結合以外の架橋性基の量は、0.05~10mol/gであることが好ましく、0.1~5mol/gであることがより好ましい。
ポリイミドは、酸分解性基等の極性変換基を有していてもよい。ポリイミドにおける酸分解性基は、上述の式(2)におけるR113及びR114において説明した酸分解性基と同様であり、好ましい態様も同様である。
ポリイミドがアルカリ現像に供される場合、現像性を向上する観点からは、ポリイミドの酸価は、30mgKOH/g以上であることが好ましく、50mgKOH/g以上であることがより好ましく、70mgKOH/g以上であることが更に好ましい。
また、上記酸価は500mgKOH/g以下であることが好ましく、400mgKOH/g以下であることがより好ましく、200mgKOH/g以下であることが更に好ましい。
また、ポリイミドが有機溶剤を主成分とする現像液を用いた現像(例えば、後述する「溶剤現像」)に供される場合、ポリイミドの酸価は、2~35mgKOH/gが好ましく、3~30mgKOH/gがより好ましく、5~20mgKOH/gが更に好ましい。
上記酸価は、公知の方法により測定され、例えば、JIS K 0070:1992に記載の方法により測定される。
また、ポリイミドに含まれる酸基としては、保存安定性及び現像性の両立の観点から、pKaが0~10である酸基が好ましく、3~8である酸基がより好ましい。
pKaとは、酸から水素イオンが放出される解離反応を考え、その平衡定数Kaをその負の常用対数pKaによって表したものである。
このような酸基として、ポリイミドは、カルボキシ基、及び、フェノール性ヒドロキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましく、フェノール性ヒドロキシ基を含むことがより好ましい。
アルカリ現像液による現像速度を適切なものとする観点からは、ポリイミドは、フェノール性ヒドロキシ基を有することが好ましい。
ポリイミドは、フェノール性ヒドロキシ基を主鎖末端に有してもよいし、側鎖に有してもよい。
フェノール性ヒドロキシ基は、例えば、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR132、又は、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131に含まれることが好ましい。
ポリイミドの全質量に対するフェノール性ヒドロキシ基の量は、0.1~30mol/gであることが好ましく、1~20mol/gであることがより好ましい。
式(4)
重合性基を有する場合、重合性基は、R131及びR132の少なくとも一方に位置していてもよいし、下記式(4-1)又は式(4-2)に示すようにポリイミドの末端に位置していてもよい。
式(4-1)
式(4-2)
R131は、2価の有機基を表す。2価の有機基としては、式(2)におけるR111と同様のものが例示され、好ましい範囲も同様である。
また、R131としては、ジアミンのアミノ基の除去後に残存するジアミン残基が挙げられる。ジアミンとしては、脂肪族、環式脂肪族又は芳香族ジアミンなどが挙げられる。具体的な例としては、ポリイミド前駆体の式(2)中のR111の例が挙げられる。
例えば、R115として例示される4価の有機基の4つの結合子が、上記式(4)中の4つの-C(=O)-の部分と結合して縮合環を形成する。
ポリイミドのイミド化率(「閉環率」ともいう)は、得られる有機膜の膜強度、絶縁性等の観点からは、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがより好ましい。
上記イミド化率の上限は特に限定されず、100%以下であればよい。
上記イミド化率は、例えば下記方法により測定される。
ポリイミドの赤外吸収スペクトルを測定し、イミド構造由来の吸収ピークである1377cm-1付近のピーク強度P1を求める。次に、そのポリイミドを350℃で1時間熱処理した後、再度、赤外吸収スペクトルを測定し、1377cm-1付近のピーク強度P2を求める。得られたピーク強度P1、P2を用い、下記式に基づいて、ポリイミドのイミド化率を求めることができる。
イミド化率(%)=(ピーク強度P1/ピーク強度P2)×100
ポリイミドの市販品としては、Durimide(登録商標)284(富士フイルム(株)製)、Matrimide5218(HUNTSMAN(株)製)が例示される。
本発明で用いるポリベンゾオキサゾール前駆体は、その構造等について特に定めるものではないが、好ましくは下記式(3)で表される繰り返し単位を含む。
式(3)
式(3)において、R121は、2価の有機基を表す。2価の有機基としては、脂肪族基及び芳香族基の少なくとも一方を含む基が好ましい。脂肪族基としては、直鎖の脂肪族基が好ましい。R121は、ジカルボン酸残基が好ましい。ジカルボン酸残基は、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
脂肪族基を含むジカルボン酸としては、直鎖又は分岐(好ましくは直鎖)の脂肪族基を含むジカルボン酸が好ましく、直鎖又は分岐(好ましくは直鎖)の脂肪族基と2つの-COOHからなるジカルボン酸がより好ましい。直鎖又は分岐(好ましくは直鎖)の脂肪族基の炭素数は、2~30であることが好ましく、2~25であることがより好ましく、3~20であることが更に好ましく、4~15であることが一層好ましく、5~10であることが特に好ましい。直鎖の脂肪族基はアルキレン基であることが好ましい。
直鎖の脂肪族基を含むジカルボン酸としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、エチルマロン酸、イソプロピルマロン酸、ジ-n-ブチルマロン酸、スクシン酸、テトラフルオロスクシン酸、メチルスクシン酸、2,2-ジメチルスクシン酸、2,3-ジメチルスクシン酸、ジメチルメチルスクシン酸、グルタル酸、ヘキサフルオログルタル酸、2-メチルグルタル酸、3-メチルグルタル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、3,3-ジメチルグルタル酸、3-エチル-3-メチルグルタル酸、アジピン酸、オクタフルオロアジピン酸、3-メチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2,6,6-テトラメチルピメリン酸、スベリン酸、ドデカフルオロスベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサデカフルオロセバシン酸、1,9-ノナン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ヘンエイコサン二酸、ドコサン二酸、トリコサン二酸、テトラコサン二酸、ペンタコサン二酸、ヘキサコサン二酸、ヘプタコサン二酸、オクタコサン二酸、ノナコサン二酸、トリアコンタン二酸、ヘントリアコンタン二酸、ドトリアコンタン二酸、ジグリコール酸、更に下記式で表されるジカルボン酸等が挙げられる。
R122は、また、ビスアミノフェノール誘導体由来の基であることが好ましく、ビスアミノフェノール誘導体由来の基としては、例えば、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシビフェニル、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス-(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス-(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス-(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4-ジアミノ-2,5-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジアミノ-2,4-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジアミノ-4,6-ジヒドロキシベンゼンなどが挙げられる。これらのビスアミノフェノールは、単独にて、あるいは混合して使用してもよい。
閉環に伴う反りの発生を抑制できる点で、下記式(SL)で表されるジアミン残基を他の種類の繰り返し構造単位として含むことが好ましい。
上記ポリベンゾオキサゾール前駆体の分子量の分散度は、1.4以上であることが好ましく、1.5以上がより好ましく、1.6以上であることが更に好ましい。ポリベンゾオキサゾール前駆体の分子量の分散度の上限値は特に定めるものではないが、例えば、2.6以下が好ましく、2.5以下がより好ましく、2.4以下が更に好ましく、2.3以下が一層好ましく、2.2以下がより一層好ましい。
ポリベンゾオキサゾールとしては、ベンゾオキサゾール環を有する高分子化合物であれば、特に限定はないが、下記式(X)で表される化合物であることが好ましく、下記式(X)で表される化合物であって、重合性基を有する化合物であることがより好ましい。上記重合性基としては、ラジカル重合性基が好ましい。また、下記式(X)で表される化合物であって、酸分解性基等の極性変換基を有する化合物であってもよい。
重合性基又は酸分解性基等の極性変換基を有する場合、重合性基又は酸分解性基等の極性変換基は、R133及びR134の少なくとも一方に位置していてもよいし、下記式(X-1)又は式(X-2)に示すようにポリベンゾオキサゾールの末端に位置していてもよい。
式(X-1)
式(X-2)
例えば、R122として例示される4価の有機基の4つの結合子が、上記式(X)中の窒素原子、酸素原子と結合して縮合環を形成する。例えば、R134が、下記有機基である場合、下記構造を形成する。*はそれぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す。
なお、ジカルボン酸の場合には反応収率等を高めるため、1-ヒドロキシ-1,2,3-ベンゾトリアゾール等を予め反応させた活性エステル型のジカルボン酸誘導体を用いてもよい。
ポリイミド前駆体等は、ジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体とジアミンとを反応させて得られる。好ましくは、ジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体を、塩化チオニル等のハロゲン化剤を用いてハロゲン化させた後、ジアミンと反応させて得られる。
有機溶剤としては、原料に応じて適宜定めることができるが、ピリジン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、N-メチルピロリドン及びN-エチルピロリドンが例示される。
ポリイミドは、ポリイミド前駆体を合成してから、熱イミド化、化学イミド化(例えば、触媒を作用させることによる環化反応の促進)等の方法により環化させて製造してもよいし、直接、ポリイミドを合成してもよい。
ポリイミド前駆体等の製造方法に際し、保存安定性をより向上させるため、酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物などの末端封止剤で、ポリイミド前駆体等の末端を封止することが好ましい。末端封止剤としては、モノアミンを用いることがより好ましく、モノアミンの好ましい化合物としては、アニリン、2-エチニルアニリン、3-エチニルアニリン、4-エチニルアニリン、5-アミノ-8-ヒドロキシキノリン、1-ヒドロキシ-7-アミノナフタレン、1-ヒドロキシ-6-アミノナフタレン、1-ヒドロキシ-5-アミノナフタレン、1-ヒドロキシ-4-アミノナフタレン、2-ヒドロキシ-7-アミノナフタレン、2-ヒドロキシ-6-アミノナフタレン、2-ヒドロキシ-5-アミノナフタレン、1-カルボキシ-7-アミノナフタレン、1-カルボキシ-6-アミノナフタレン、1-カルボキシ-5-アミノナフタレン、2-カルボキシ-7-アミノナフタレン、2-カルボキシ-6-アミノナフタレン、2-カルボキシ-5-アミノナフタレン、2-アミノ安息香酸、3-アミノ安息香酸、4-アミノ安息香酸、4-アミノサリチル酸、5-アミノサリチル酸、6-アミノサリチル酸、2-アミノベンゼンスルホン酸、3-アミノベンゼンスルホン酸、4-アミノベンゼンスルホン酸、3-アミノ-4,6-ジヒドロキシピリミジン、2-アミノフェノール、3-アミノフェノール、4-アミノフェノール、2-アミノチオフェノール、3-アミノチオフェノール、4-アミノチオフェノールなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよく、複数の末端封止剤を反応させることにより、複数の異なる末端基を導入してもよい。
ポリイミド前駆体等の製造に際し、固体を析出する工程を含んでいてもよい。具体的には、反応液中のポリイミド前駆体等を、水中に沈殿させ、テトラヒドロフラン等のポリイミド前駆体等が可溶な溶剤に溶解させることによって、固体析出することができる。
その後、ポリイミド前駆体等を乾燥して、粉末状のポリイミド前駆体等を得ることができる。
本発明の組成物における特定樹脂の含有量は、組成物の全固形分に対し20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることが更に好ましく、50質量%以上であることが一層好ましい。また、本発明の組成物における樹脂の含有量は、組成物の全固形分に対し、99.5質量%以下であることが好ましく、99質量%以下であることがより好ましく、98質量%以下であることが更に好ましく、97質量%以下であることが一層好ましく、95質量%以下であることがより一層好ましい。
本発明の組成物は、特定樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明の組成物は、上述した特定樹脂以外に、特定樹脂とは異なる、他の樹脂(以下、単に「他の樹脂」ともいう。)を更に含んでもよい。
他の樹脂としては、ポリアミドイミド、ポリアミドイミド前駆体、フェノール樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリシロキサン、シロキサン構造を含む樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
例えば、アクリル樹脂を更に加えることにより、塗布性に優れた組成物が得られ、また、耐溶剤性に優れた有機膜が得られる。
例えば、後述する重合性化合物に代えて、又は、後述する重合性化合物に加えて、重量平均分子量が20,000以下の重合性基価の高いアクリル系樹脂を組成物に添加することにより、組成物の塗布性、有機膜の耐溶剤性等を向上させることができる。
また、本発明の組成物における、他の樹脂の含有量は、組成物の全固形分に対し、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましく、60質量%以下であることが一層好ましく、50質量%以下であることがより一層好ましい。
また、本発明の組成物の好ましい一態様として、他の樹脂の含有量が低含有量である態様とすることもできる。上記態様において、他の樹脂の含有量は、組成物の全固形分に対し、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることが一層好ましく、1質量%以下であることがより一層好ましい。上記含有量の下限は特に限定されず、0質量%以上であればよい。
本発明の組成物は、他の樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、溶剤を含むことが好ましい。
溶剤は、公知の溶剤を任意に使用できる。溶剤は有機溶剤が好ましい。有機溶剤としては、エステル類、エーテル類、ケトン類、環状炭化水素類、スルホキシド類、アミド類などの化合物が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物は、架橋剤を含むことが好ましい。
架橋剤は、上述の露光工程において上記感光性化合物の感光によって他の基との結合反応が促進される基を有する架橋剤であることが好ましい。
架橋剤としては、ラジカル架橋剤、又は、他の架橋剤が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物は、ラジカル架橋剤を更に含むことが好ましい。
ラジカル架橋剤は、ラジカル重合性基を有する化合物である。ラジカル重合性基としては、エチレン性不飽和結合を含む基が好ましい。上記エチレン性不飽和結合を含む基としては、ビニル基、アリル基、ビニルフェニル基、(メタ)アクリロイル基などのエチレン性不飽和結合を有する基が挙げられる。
これらの中でも、上記エチレン性不飽和結合を含む基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましく、反応性の観点からは、(メタ)アクリロキシ基がより好ましい。
エチレン性不飽和結合を2個有する化合物は、上記エチレン性不飽和結合を含む基を2個有する化合物であることが好ましい。
また、得られるパターンの膜強度の観点からは、本発明の感光性樹脂組成物は、ラジカル架橋剤として、エチレン性不飽和結合を3個以上有する化合物を含むことが好ましい。上記エチレン性不飽和結合を3個以上有する化合物としては、エチレン性不飽和結合を3~15個有する化合物が好ましく、エチレン性不飽和結合を3~10個有する化合物がより好ましく、3~6個有する化合物が更に好ましい。
また、上記エチレン性不飽和結合を3個以上有する化合物は、上記エチレン性不飽和結合を含む基を3個以上有する化合物であることが好ましく、3~15個有する化合物であることがより好ましく、3~10個有する化合物であることが更に好ましく、3~6個有する化合物であることが特に好ましい。
また、得られるパターンの膜強度の観点からは、本発明の感光性樹脂組成物は、エチレン性不飽和結合を2個有する化合物と、上記エチレン性不飽和結合を3個以上有する化合物とを含むことも好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、上述したラジカル架橋剤とは異なる、他の架橋剤を含むことが好ましい。
本発明において、他の架橋剤とは、上述したラジカル架橋剤以外の架橋剤をいい、上述の感光性化合物の感光により、組成物中の他の化合物又はその反応生成物との間で共有結合を形成する反応が促進される基を分子内に複数個有する化合物であることが好ましく、組成物中の他の化合物又はその反応生成物との間で共有結合を形成する反応が酸又は塩基の作用によって促進される基を分子内に複数個有する化合物が好ましい。
上記酸又は塩基は、露光工程において、感光性化合物である光酸発生剤又は光塩基発生剤から発生する酸又は塩基である。
他の架橋剤としては、メチロール基及びアルコキシメチル基よりなる群から選ばれた少なくとも一種の基を有する化合物が好ましく、メチロール基及びアルコキシメチル基よりなる群から選ばれた少なくとも一種の基が窒素原子に直接結合した構造を有する化合物がより好ましい。
他の架橋剤としては、例えば、メラミン、グリコールウリル、尿素、アルキレン尿素、ベンゾグアナミンなどのアミノ基含有化合物にホルムアルデヒド又はホルムアルデヒドとアルコールを反応させ、上記アミノ基の水素原子をメチロール基又はアルコキシメチル基で置換した構造を有する化合物が挙げられる。これらの化合物の製造方法は特に限定されず、上記方法により製造された化合物と同様の構造を有する化合物であればよい。また、これらの化合物のメチロール基同士が自己縮合してなるオリゴマーであってもよい。
上記のアミノ基含有化合物として、メラミンを用いた架橋剤をメラミン系架橋剤、グリコールウリル、尿素又はアルキレン尿素を用いた架橋剤を尿素系架橋剤、アルキレン尿素を用いた架橋剤をアルキレン尿素系架橋剤、ベンゾグアナミンを用いた架橋剤をベンゾグアナミン系架橋剤という。
これらの中でも、本発明の感光性樹脂組成物は、尿素系架橋剤及びメラミン系架橋剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、後述するグリコールウリル系架橋剤及びメラミン系架橋剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことがより好ましい。
ビスメトキシメチル尿素、ビスエトキシメチル尿素、ビスプロポキシメチル尿素、ビスブトキシメチル尿素等の尿素系架橋剤、
モノヒドロキシメチル化エチレン尿素又はジヒドロキシメチル化エチレン尿素、モノメトキシメチル化エチレン尿素、ジメトキシメチル化エチレン尿素、モノエトキシメチル化エチレン尿素、ジエトキシメチル化エチレン尿素、モノプロポキシメチル化エチレン尿素、ジプロポキシメチル化エチレン尿素、モノブトキシメチル化エチレン尿素、又は、ジブトキシメチル化エチレン尿素などのエチレン尿素系架橋剤、
モノヒドロキシメチル化プロピレン尿素、ジヒドロキシメチル化プロピレン尿素、モノメトキシメチル化プロピレン尿素、ジメトキシメチル化プロピレン尿素、モノジエトキシメチル化プロピレン尿素、ジエトキシメチル化プロピレン尿素、モノプロポキシメチル化プロピレン尿素、ジプロポキシメチル化プロピレン尿素、モノブトキシメチル化プロピレン尿素、又は、ジブトキシメチル化プロピレン尿素などのプロピレン尿素系架橋剤、
1,3-ジ(メトキシメチル)4,5-ジヒドロキシ-2-イミダゾリジノン、1,3-ジ(メトキシメチル)-4,5-ジメトキシ-2-イミダゾリジノンなどが挙げられる。
このような化合物の具体例としては、ベンゼンジメタノール、ビス(ヒドロキシメチル)クレゾール、ビス(ヒドロキシメチル)ジメトキシベンゼン、ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、ヒドロキシメチル安息香酸ヒドロキシメチルフェニル、ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ビス(メトキシメチル)ベンゼン、ビス(メトキシメチル)クレゾール、ビス(メトキシメチル)ジメトキシベンゼン、ビス(メトキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(メトキシメチル)ベンゾフェノン、メトキシメチル安息香酸メトキシメチルフェニル、ビス(メトキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(メトキシメチル)ビフェニル、4,4’,4’’-エチリデントリス[2,6-ビス(メトキシメチル)フェノール]、5,5’-[2,2,2‐トリフルオロ‐1‐(トリフルオロメチル)エチリデン]ビス[2‐ヒドロキシ‐1,3‐ベンゼンジメタノール]、3,3’,5,5’-テトラキス(メトキシメチル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジオール等が挙げられる。
エポキシ化合物としては、一分子中にエポキシ基を2以上有する化合物であることが好ましい。エポキシ基は、200℃以下で架橋反応し、かつ、架橋に由来する脱水反応が起こらないため膜収縮が起きにくい。このため、エポキシ化合物を含有することは、感光性樹脂組成物の低温硬化及び反りの抑制に効果的である。
オキセタン化合物としては、一分子中にオキセタン環を2つ以上有する化合物、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、1,4-ビス{[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシルメチル)オキセタン、1,4-ベンゼンジカルボン酸-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メチル]エステル等を挙げることができる。具体的な例としては、東亞合成(株)製のアロンオキセタンシリーズ(例えば、OXT-121、OXT-221、OXT-191、OXT-223)が好適に使用することができ、これらは単独で、又は2種以上混合してもよい。
ベンゾオキサジン化合物は、開環付加反応に由来する架橋反応のため、硬化時に脱ガスが発生せず、更に熱収縮を小さくして反りの発生が抑えられることから好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、増感剤を含むことが好ましい。増感剤は、特定の活性放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤などと接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用が生じる。これにより、熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤は化学変化を起こして分解し、ラジカル、酸又は塩基を生成する。
増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)-4-メチルシクロヘキサノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p-ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p-ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2-(p-ジメチルアミノフェニルビフェニレン)-ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3-ビス(4’-ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’-カルボニル-ビス(7-ジエチルアミノクマリン)、3-アセチル-7-ジメチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-ベンジロキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-メトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、N-フェニル-N’-エチルエタノールアミン、N-フェニルジエタノールアミン、N-p-トリルジエタノールアミン、N-フェニルエタノールアミン、4-モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2-メルカプトベンズイミダゾール、1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2-d)チアゾール、2-(p-ジメチルアミノベンゾイル)スチレン、ジフェニルアセトアミド、ベンズアニリド、N-メチルアセトアニリド、3‘,4’-ジメチルアセトアニリド等が挙げられる。
また、増感剤としては、増感色素を用いてもよい。
増感色素の詳細については、特開2016-027357号公報の段落0161~0163の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
本発明の感光性樹脂組成物は、熱重合開始剤を含んでもよく、特に熱ラジカル重合開始剤を含んでもよい。熱ラジカル重合開始剤は、熱のエネルギーによってラジカルを発生し、重合性を有する化合物の重合反応を開始又は促進させる化合物である。熱ラジカル重合開始剤を添加することによって、例えば、本発明のパターン形成方法が加熱工程を含む場合、樹脂及び重合性化合物の重合反応を進行させることもできるので、より耐薬品性を向上できる。
本発明の感光性樹脂組成物は、熱酸発生剤を含んでもよい。
熱酸発生剤は、例えば、本発明のパターン形成方法が加熱工程を含む場合、加熱により酸を発生し、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基又はアシルオキシメチル基を有する化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物及びベンゾオキサジン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物の架橋反応を促進させる効果がある。
熱分解開始温度は、熱酸発生剤を耐圧カプセル中5℃/分で500℃まで加熱した場合に、最も温度が低い発熱ピークのピーク温度として求められる。
熱分解開始温度を測定する際に用いられる機器としては、Q2000(TAインスツルメント社製)等が挙げられる。
本発明の組成物は、オニウム塩を含むことが好ましい。
特に、特定樹脂としてポリイミド前駆体を含む場合、組成物はオニウム塩を含むことが好ましい。
オニウム塩の種類等は特に定めるものではないが、アンモニウム塩、イミニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩又はホスホニウム塩が好ましく挙げられる。
これらの中でも、熱安定性が高い観点からはアンモニウム塩又はイミニウム塩が好ましく、ポリマーとの相溶性の観点からはスルホニウム塩、ヨードニウム塩又はホスホニウム塩が好ましい。
すなわち、オニウム塩は、同一の分子構造内に、カチオン部と、アニオン部と、を有する分子内塩であってもよいし、それぞれ別分子であるカチオン分子と、アニオン分子と、がイオン結合した分子間塩であってもよいが、分子間塩であることが好ましい。また、本発明の組成物において、上記カチオン部又はカチオン分子と、上記アニオン部又はアニオン分子と、はイオン結合により結合されていてもよいし、解離していてもよい。
オニウム塩におけるカチオンとしては、アンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン又はホスホニウムカチオンが好ましく、テトラアルキルアンモニウムカチオン、スルホニウムカチオン及びヨードニウムカチオンよりなる群から選択される少なくとも1種のカチオンがより好ましい。
熱塩基発生剤とは、加熱により塩基を発生する化合物をいい、例えば、40℃以上に加熱すると塩基を発生する酸性化合物等が挙げられる。
オニウム塩としては、例えば、国際公開第2018/043262号の段落0122~0138に記載のオニウム塩等が挙げられる。また、その他、ポリイミド前駆体の分野で使用されるオニウム塩を、特に制限なく使用することが可能である。
オニウム塩は、1種又は2種以上を用いることができる。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
本発明の組成物は、熱塩基発生剤を含んでもよい。
特に、組成物が特定樹脂としてポリイミド前駆体を含む場合、組成物は熱塩基発生剤を含むことが好ましい。
熱塩基発生剤は、上述のオニウム塩に該当する化合物であってもよいし、上述のオニウム塩以外の他の熱塩基発生剤であってもよい。
他の熱塩基発生剤としては、ノニオン系熱塩基発生剤が挙げられる。
ノニオン系熱塩基発生剤としては、式(B1)又は式(B2)で表される化合物が挙げられる。
Rb13はアルキル基(炭素数1~24が好ましく、2~18がより好ましく、3~12が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~24が好ましく、2~18がより好ましく、3~12が更に好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~12が更に好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7~23が好ましく、7~19がより好ましく、7~12が更に好ましい)であり、本発明の効果を奏する範囲で置換基を有していてもよい。中でも、Rb13はアリールアルキル基が好ましい。
Rb15及びRb16は水素原子、アルキル基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2~3が更に好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10が更に好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7~23が好ましく、7~19がより好ましく、7~11が更に好ましい)であり、水素原子又はメチル基が好ましい。
Rb17はアルキル基(炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、3~8が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~12が好ましく、2~10がより好ましく、3~8が更に好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~12が更に好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7~23が好ましく、7~19がより好ましく、7~12が更に好ましい)であり、中でもアリール基が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、マイグレーション抑制剤を更に含むことが好ましい。マイグレーション抑制剤を含むことにより、金属層(金属配線)由来の金属イオンが感光膜内へ移動することを効果的に抑制可能となる。
本発明の感光性樹脂組成物は、重合禁止剤を含むことが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、電極や配線などに用いられる金属材料との接着性を向上させるための金属接着性改良剤を含んでいることが好ましい。金属接着性改良剤としては、シランカップリング剤などが挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物は、本発明の効果が得られる範囲で、必要に応じて、各種の添加物、例えば、界面活性剤、連鎖移動剤、高級脂肪酸誘導体、無機粒子、硬化剤、硬化触媒、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。これらの添加剤を配合する場合、その合計配合量は感光性樹脂組成物の固形分の3質量%以下とすることが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種類の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種類の界面活性剤を使用できる。また、下記界面活性剤も好ましい。下記式中、主鎖の繰返し単位を示す括弧は各繰返し単位の含有量(モル%)を、側鎖の繰返し単位を示す括弧は各繰返し単位の繰り返し数をそれぞれ表す。
本発明の感光性樹脂組成物は、連鎖移動剤を含有してもよい。連鎖移動剤は、例えば高分子辞典第三版(高分子学会編、2005年)683-684頁に定義されている。連鎖移動剤としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、及びGeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカルに水素を供与して、ラジカルを生成するか、若しくは、酸化された後、脱プロトンすることによりラジカルを生成しうる。特に、チオール化合物を好ましく用いることができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、酸素に起因する重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光性樹脂組成物の表面に偏在させてもよい。
本発明の感光性樹脂組成物の水分含有量は、塗布面性状の観点から、5質量%未満が好ましく、1質量%未満がより好ましく、0.6質量%未満が更に好ましい。水分の含有量を維持する方法としては、保管条件における湿度の調整、収容容器の空隙率低減などが挙げられる。
ハロゲン原子の含有量を調節する方法としては、イオン交換処理などが好ましく挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物は、再配線層用層間絶縁膜の形成に用いられることが好ましい。
また、その他、電子デバイスの絶縁膜の形成、又は、ストレスバッファ膜の形成等にも用いることができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、上記各成分を混合して調製することができる。混合方法は特に限定はなく、従来公知の方法で行うことができる。
フィルターを用いたろ過の他、吸着材を用いた不純物の除去処理を行ってもよい。フィルターろ過と吸着材を用いた不純物除去処理とを組み合わせてもよい。吸着材としては、公知の吸着材を用いることができる。例えば、シリカゲル、ゼオライトなどの無機系吸着材、活性炭などの有機系吸着材が挙げられる。
撹拌機、コンデンサー及び内部温度計を取りつけた平底ジョイントを備えた乾燥反応器中で水分を除去しながら、4,4’-ビフタル酸無水物 9.49g(32.25ミリモル)、オキシジフタル酸二無水物 10.0g(32.25ミリモル)をジグリム 140mL中に懸濁させた。2-ヒドロキシエチルメタクリレート 16.8g(129ミリモル)、ヒドロキノン 0.05g、純水 0.05g及びピリジン 10.7g(135ミリモル)を続いて添加し、60℃の温度で18時間撹拌した。次いで、混合物を-20℃まで冷却した後、塩化チオニル 16.1g(135.5ミリモル)を90分かけて滴下した。ピリジニウムヒドロクロリドの白色沈澱が得られた。次いで、混合物を室温まで温め、2時間撹拌した後、ピリジン 9.7g(123ミリモル)及びN-メチルピロリドン(NMP) 25mLを添加し、透明溶液を得た。次いで、得られた透明溶液に、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル 11.8g(58.7ミリモル)をNMP 100mL中に溶解させたものを、1時間かけて滴下により添加した。次いで、メタノール 5.6g(17.5ミリモル)と3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン 0.05gを加え、混合物を2時間撹拌した。次いで、4リットルの水の中でポリイミド前駆体樹脂を沈殿させ、水-ポリイミド前駆体樹脂混合物を500rpmの速度で15分間撹拌した。ポリイミド前駆体樹脂を濾過して取得し、4リットルの水の中で再度30分間撹拌し再び濾過した。次いで、得られたポリイミド前駆体樹脂を減圧下、45℃で3日間乾燥し、ポリマーA-1を得た。
撹拌機、コンデンサー及び内部温度計を取りつけた平底ジョイントを備えた乾燥反応器中で水分を除去しながら、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン 65.56g(179mmol)、及び、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン 2.48g(10mmol)をN-メチルピロリドン(NMP) 300gに溶解させた。続いて、オキシジフタル酸二無水物 62.04g(200mmol)を添加し、40℃の温度で2時間撹拌した。次いで、トルエン 50mL及び3-アミノフェノール 2.18g(10mmol)を添加し、40℃で2時間撹拌した。撹拌後、200ml/minの流量の窒素をフローしながら、温度を180℃に昇温し、6時間撹拌した。
上記反応液を25℃まで冷却した後、p-メトキシフェノール0.005gを加え、溶解した。この溶液に、2-イソシアナトエチルメタクリレート 24.82g(160mmol)を滴下し、25℃で2時間撹拌した後、更に60℃で3時間撹拌した。これを25℃に冷却し、酢酸10gを加えて25℃で1時間撹拌した。撹拌後、2リットルの水/メタノール=75/25(体積比)中で沈殿させ、2,000rpmの速度で30分間撹拌した。析出したポリイミド樹脂を濾過して取得し、1.5リットルの水でかけ洗いした後、濾物を2リットルのメタノールに混合して再度30分間撹拌し再び濾過した。得られたポリイミドを減圧下で、40℃で1日間乾燥し、ポリマーA-2を得た。
温度計、撹拌機、窒素導入管を備えた3つ口フラスコに27.55g(0.160mol)の1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(cis-,trans-混合物、東京化成工業(株)製)と64.28gのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を添加し、室温で塩化チオニル38.07g(0.320mol)を滴下した。滴下終了後、室温で1時間撹拌し、減圧下、過剰量の塩化チオニルを留去することで、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリド(cis-,trans-混合物)を30質量%NMP溶液として得た。
温度計、撹拌機、窒素導入管を備えた3つ口フラスコに、73.25g(0.200mol)のヘキサフルオロ-2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(Bis-AP-AF、セントラル硝子(株)製)、31.64g(0.400mol)のピリジン及び293gのNMPを添加した。これを室温で撹拌、次いでドライアイス/メタノールバスで-15℃まで冷却した。この溶液に、反応温度を-5℃~-15℃で維持しながら、30.11g(0.144mol)の1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドの30質量%NMP溶液と、3.83g(0.016mol)のセバコイルクロリド(東京化成工業(株)製)、96.25gのNMPの混合溶液を滴下した。滴下が完了した後、得られた混合物を室温で16時間撹拌した。
次に、この反応液を氷/メタノールバスで-5℃以下まで冷却し、反応温度を-0℃以下で維持しながらブチリルクロリド(東京化成工業(株)製) 9.59g(0.090mol)と34.5gのNMPの混合液を滴下した。滴下が完了した後、さらに16時間撹拌した。
この反応液をNMP 550gで希釈し、激しく撹拌した4Lの脱イオン/メタノール(80/20体積比)混合物中に投入し、析出した白色粉体を濾過によって回収し、そして脱イオン水によって洗浄した。真空下でポリマーを50℃で2日間乾燥させ、樹脂A-1aを得た。
ナスフラスコに25.00gの樹脂A-1a、125gのNMPと125gのメチルエチルケトンを添加し、60℃で内容物が160gになるまで減圧濃縮した。ここに、0.43g(1.85mmol)のカンファースルホン酸(東京化成工業(株)製)と、5.12g(0.065mol)の2,3-ジヒドロフラン(富士フイルム和光純薬(株)製)を添加し、室温で1.5時間撹拌した。得られた溶液にトリエチルアミン0.37gとNMP 150gを加えて希釈した。
得られた溶液を激しく撹拌した2Lの脱イオン水/メタノール(80/20体積比)混合物中に投入し、析出した白色粉体を濾過によって回収し、そして脱イオン水によって洗浄した。真空下でポリマーを50℃において2日間乾燥させ、ポリマーA-3を得た。
合成例1において、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル 11.8g(58.7ミリモル)に代えて、1,6-ジアミノヘキサン 6.82g(58.7ミリモル)を用いた以外は、合成例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーA-4を得た。
20.0g(64.5ミリモル)の4,4’-オキシジフタル酸二無水物(4,4’-オキシジフタル酸を140℃で12時間乾燥したもの)と、18.6g(129ミリモル)の2-ヒドロキシエチルメタクリレートと、0.05gのハイドロキノンと、10.7gのピリジンと、140gのダイグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)とを混合し、60℃の温度で18時間撹拌して、4,4’-オキシジフタル酸と2-ヒドロキシエチルメタクリレートとのジエステルを製造した。次いで、反応混合物を-10℃に冷却し、温度を-10±4℃に保ちながら、16.12g(135.5ミリモル)のSOCl2を10分かけて加えた。50mLのN-メチルピロリドンで希釈した後、反応混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、100mLのN-メチルピロリドンに11.08g(58.7ミリモル)の4,4’-オキシジアニリンを溶解させた溶液を、20~23℃で20分かけて反応混合物に滴加した。次いで、反応混合物を室温で1晩撹拌した。次いで、5リットルの水に加えてポリイミド前駆体を沈殿させ、水-ポリイミド前駆体混合物を5000rpmの速度で15分間撹拌した。ポリイミド前駆体を濾取し、4リットルの水に加えて再度30分間撹拌し、再び濾取した。次いで、得られたポリイミド前駆体を減圧下、45℃で3日間乾燥し、ポリマーA-5を得た。
14.06g(64.5ミリモル)のピロメリット酸二無水物(140℃で12時間乾燥)と、14.22g(131.58ミリモル)のベンジルアルコールを、50mLのN-メチルピロリドンに懸濁させ、モレキュラーシーブで乾燥させた。懸濁液を100℃で3時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、21.43g(270.9ミリモル)のピリジン及び90mLのN-メチルピロリドンを加えた。次いで、反応混合物を-10℃に冷却し、温度を-10±4℃に保ちながら16.12g(135.5ミリモル)のSOCl2を10分かけて加えた。SOCl2を加えている間、粘度が増加した。50mLのN-メチルピロリドンで希釈した後、反応混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、100mLのN-メチルピロリドンに11.08g(58.7ミリモル)の4,4’-ジアミノジフェニルエーテルを溶解させた溶液を、温度を-5~0℃に保ちながら20分かけて反応混合物に滴下した。次いで、溶液と反応混合物を0℃で1時間反応させたのち、エタノールを70g加えて、室温で1晩撹拌した。次いで、5リットルの水の中でポリイミド前駆体を沈殿させ、水-ポリイミド前駆体混合物を5,000rpmの速度で15分間撹拌した。ポリイミド前駆体をろ過して除き、4リットルの水の中で再度30分間撹拌し再びろ過した。次いで、得られたポリイミド前駆体を減圧下で、45℃で3日間乾燥し、ポリマーA-6を得た。
各実施例において、それぞれ、下記表1又は表2に記載の成分を混合し、各感光性樹脂組成物を得た。また、比較例において、下記表2に記載の成分を混合し、各比較用組成物を得た。
具体的には、表1又は表2に記載の成分の含有量は、表1又は表2の「質量部」に記載の量とした。また、各組成物において、溶剤の含有量は、組成物の固形分濃度(質量%)が表1又は表2に記載の値となるようにした。
得られた感光性樹脂組成物及び比較用組成物を、フィルタ孔径が0.8μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターを通して0.3MPaの圧力で加圧ろ過した。
また、表1又は表2中、「-」の記載は該当する成分を組成物が含有していないことを示している。
・A-1~A-6:上述の合成例で合成したポリマーA-1~A-6
・B-1:テトラエチレングリコールジメタクリレート
・B-2:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
・B-3:ライトエステルBP-6EM(共栄化学(株)製)
・B-4:二カラックMX-270((株)三和ケミカル製)
・C-1:Irgacure 784(BASF社製)
・C-2:Irgacure OXE-01(BASF社製)
・C-3:ADEKA NCI-930((株)ADEKA製)
・C-4:下記式(C-4)で表される光酸発生剤(BASF社製、PAG-103)
・D-1:N-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)フタルアミド酸
・D-2:ベンゾフェノン-3,3’-ビス(N-(3-トリエトキシシリル)プロピルアミド)-4,4’-ジカルボン酸
・D-3:IM-1000(JX金属(株)製)
・D-4:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン(株)製、KBM-403)
・D-5:N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]マレイン酸モノアミド
・E-1:2-ニトロソ-1-ナフトール
・E-2:4-メトキシフェノール(MEHQ)
・E-3:4-メトキシ-1-ナフトール
・E-4:p-ベンゾキノン
・F-1:下記式(F-1)で表される化合物
・F-2:7-(ジエチルアミノ)クマリン-3-カルボン酸エチル
・F-3:1H-テトラゾール
・F-4:N-フェニルジエタノールアミン
・F-5:1,3-ジブチルチオウレア
・F-6:メガファックF-554(DIC(株)製)
・G-1:p-トルエンスルホン酸イソプロピル
・S-1:N-メチル-2-ピロリドン
・S-2:乳酸エチル
・S-3:γ-ブチロラクトン
・S-4:ジメチルスルホキシド
表1又は表2中、「溶剤中比率」の欄の記載は、溶剤の全質量に対する各溶剤の含有量(質量%)を示している。
〔パターン形成性の評価〕
-感光膜の形成-
各実施例及び比較例において調製した感光性樹脂組成物又は比較用組成物を、直径200mmの円板形状のシリコンウェハ上にそれぞれスピンコート(「適用方法」の欄に「A」と記載された例)又はスリットコート(「適用方法」の欄に「B」と記載された例)により適用した。
感光性樹脂組成物を塗布したシリコンウェハをホットプレート上で、100℃で5分間乾燥し、シリコンウェハ上に感光膜を形成した。
スピンコートについては、上記乾燥後の膜厚が表1又は表2の「膜厚(μm)」の欄に記載の膜厚となるように回転数を調整して30秒間回転させて塗布した。スリットコートについては、基板とスリットダイの間隔を200μm、スリットダイの液吐出口の間隔を150μmとして、上記乾燥後の膜厚が表1又は表2の「膜厚(μm)」の欄に記載の膜厚となるように吐出液量を調整して塗布した。
表1又は表2の「第一の露光波長(nm)」の欄に「365」等と記載された例においては、記載された波長を有するレーザー光を第一の波長を有する光として、第一の波長を有する光による露光を行った。、
表1又は表2の「第一の露光波長(nm)」の欄に「365(H)」等と記載された例においては、記載された波長±10μmの波長以外の波長をバンドパスフィルタによりカットした高圧水銀灯を第一の波長を有する光として、第一の波長を有する光による露光を行った。
表1又は表2の「第二の露光波長(nm)」の欄に「405」等と記載された例においては、記載された波長を有するレーザー光を第二の波長を有する光として、第二の波長を有する光による露光を行った。、
表1又は表2の「第二の露光波長(nm)」の欄に「405(H)」等と記載された例においては、記載された波長±10μmの波長以外の波長をバンドパスフィルタによりカットした高圧水銀灯を第二の波長を有する光として、第二の波長を有する光による露光を行った。
表1又は表2の「露光方法」の欄に「M」と記載した例においては、フォトマスクとして幅20μmの1:1ラインアンドスペースパターンが形成されたバイナリマスクを使用して露光を行った。照射量(露光量)は、いずれの光源においても単位面積当たりのエネルギーが等しくなるようにした。
表1又は表2の「露光方法」の欄に「D」と記載した例においては、フォトマスクを介さずにダイレクトにパターン露光を行った。露光パターンとしては、幅20μmの1:1ラインアンドスペースパターンとした。照射量(露光量)は、いずれの光源においても単位面積当たりのエネルギーが等しくなるようにした。
表1又は表2の「タイミング」の欄に「A」と記載した例においては、第一の露光波長を有する光による露光、及び、第二の露光波長を有する光による露光を同時に行った。
表1又は表2の「タイミング」の欄に「B」と記載した例においては、第一の露光波長を有する光による露光開始後に、第二の露光波長を有する光による露光を行った。第二音露光波長を有する光による露光の開始時点は、第一の露光波長における露光時間の半分が終了した時点とした。
表1又は表2の「タイミング」の欄に「C」と記載した例においては、第一の露光波長を有する光による露光の終了直後に第二の露光波長を有する光による露光を開始した。
表1又は表2の「タイミング」の欄に「D」と記載した例においては、第一の露光波長を有する光による露光の終了から10秒後に第二の露光波長を有する光による露光を開始した。
比較例1においては、第一の露光波長を有する光による露光のみを行ったため「タイミング」の欄に「-」と記載した。
表1又は表2の「重複面積」の欄に「A」と記載した例においては、第一の露光波長を有する光により露光される領域(第一領域)と第二の露光波長を有する光により露光される領域(第二領域)とを同一の領域として露光を行い、第一領域の全面積に対する、上記第一領域と上記第二領域の重複部分の面積の割合を100%とした。
表1又は表2の「重複面積」の欄に「B」と記載した例においては、第一の露光波長を有する光により露光される領域(第一領域)を、フォトマスクとして幅20μmの1:1ラインアンドスペースパターンが形成されたバイナリマスクを用いて第一の露光波長を有する光により露光した領域とし、第二の露光波長を有する光により露光される領域(第二領域)を、フォトマスクとして幅16μmの16:24ラインアンドスペースパターンが形成されたバイナリマスクを用いて第1領域のうち両端から2μmを露光しない領域として露光を行い、第一領域の全面積に対する、上記第一領域と上記第二領域の重複部分の面積の割合を80%とした。
表1又は表2の「現像液」の欄に「S」と記載した例においては、露光した感光膜(樹脂層)を、25℃のシクロペンタノンで60秒間現像して、幅20μmのラインアンドスペースパターンを形成した。次いで、窒素雰囲気下で、10℃/分の昇温速度で昇温し、表1又は表2の「キュア温度(℃)」の欄に記載の温度に達した後、表1又は表2の「キュア時間(min)」の欄に記載の時間、その温度を維持し、パターンを形成した。
表1又は表2の「現像液」の欄に「A」と記載した例においては、露光した感光膜(樹脂層)を、25℃の2.3質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間現像し、純水を用いて洗浄して、幅20μmのラインアンドスペースパターンを形成した。次いで、窒素雰囲気下で、10℃/分の昇温速度で昇温し、表1又は表2の「キュア温度(℃)」の欄に記載の温度に達した後、表1又は表2の「キュア時間(min)」の欄に記載の時間、その温度を維持し、パターンを形成した。
形成されたパターンを走査型電子顕微鏡(S-4800、日立ハイテクノロジーズ社製)にて観察し、パターン剥がれの有無を評価した。また走査型電子顕微鏡(S-4800、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いてパターン断面を観察し、アンダーカットの有無を評価した。
得られたパターン形成性の結果について、下記評価基準に従って評価し、評価結果を表1又は表2の「パターン形成性」の欄に記載した。パターン剥がれが認められないことが好ましく、パターン剥がれ及びアンダーカットのいずれもが認められないことがより好ましい。
-評価基準-
A:パターン剥がれ及びアンダーカットのいずれもが認められなかった。
B:パターン剥がれは認められなかったが、アンダーカットは認められた。
C:パターン剥がれもアンダーカットもいずれも認められた。
-溶解速度の算出-
各実施例又は比較例において、上述のパターン形成性の評価における感光膜の形成と同様の方法により、シリコンウェハ上に感光膜を形成した。
その後、感光性化合物としてC-1~C-3のうち少なくとも1種を含む樹脂組成物又は比較用組成物を用いた各実施例又は比較例において、表1又は表2の「露光方法」の欄に「M」と記載した例についてはフォトマスクを使用せずに感光膜の全面に対して露光を行い、表1又は表2の「露光方法」の欄に「D」と記載した例については感光膜の全面に対してレーザー露光を行った以外は、上述のパターン形成性の評価における露光方法と同様の方法により露光を行い、樹脂膜を得た。
感光性化合物としてC-4を含む樹脂組成物を用いた実施例においては、露光を行わず、感光膜を樹脂膜とした。
次いで、各実施例又は比較例において得られた樹脂膜を、窒素雰囲気下で、10℃/分の昇温速度で昇温し、表1又は表2の「キュア温度(℃)」の欄に記載の温度に達した後、表1又は表2の「キュア時間(min)」の欄に記載の時間、その温度を維持し、硬化膜を形成した。
得られた硬化膜を下記の薬品に下記の条件で浸漬し、溶解速度を算定した。
薬品:ジメチルスルホキシド(DMSO)と25質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液の90:10(質量比)の混合物
評価条件:上記硬化膜を上記薬品に75℃で15分間浸漬して浸漬前後の硬化膜の膜厚を比較し、溶解速度(nm/分)を算出した。
得られた溶解速度の値について、下記評価基準に従って評価し、評価結果を表1又は表2の「耐薬品性」の欄に記載した。溶解速度が小さいほど、耐薬品性に優れるといえる。
-評価基準-
A:溶解速度が250nm/分未満である。
B:溶解速度が250nm/分以上500nm/分未満である。
C:溶解速度が500nm/分以上である。
実施例1において使用した感光性樹脂組成物を、表面に銅薄層が形成された樹脂基材の銅薄層の表面にスピンコート法により層状に適用して、100℃で2分間乾燥し、膜厚20μmの感光膜を形成した後、波長365nmの波長を有するレーザー光、及び、波長405nmの波長を有するレーザー光を用いて400mJ/cm2の露光量で露光した。露光はマスク(パターンが1:1ラインアンドスペースであり、線幅が20μmであるバイナリマスク)を介して行った。露光の後、25℃のシクロペンタノンを用いて60秒間現像し、PGMEAで20秒間リンスして、パターンを得た。
上記パターンを230℃で120分間加熱して硬化し、再配線層用層間絶縁膜を形成した。この再配線層用層間絶縁膜は、絶縁性に優れていた。
また、上記再配線層用層間絶縁膜を使用して電子デバイスを製造したところ、問題なく動作することを確認した。
Claims (12)
- 感光性樹脂組成物から形成された感光膜を選択的に露光する露光工程、及び、
露光された前記感光膜を現像してパターンを得る現像工程を含み、
前記露光工程が第一の波長を有する光による露光と第二の波長を有する光による露光とを含み、
前記第一の波長を有する光、及び、前記第二の波長を有する光の少なくとも一方がレーザー光であり、
前記第一の波長と前記第二の波長の差が5nm以上であり、
前記感光膜のうち前記第一の波長を有する光により露光される第一領域と前記第二の波長を有する光により露光される第二領域の少なくとも一部が重なっており、
前記感光性樹脂組成物が、感光性化合物、並びに、ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール及びポリベンゾオキサゾール前駆体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂を含み、
前記感光性化合物が、前記第一の波長で感光する第一の感光性化合物、及び、前記第二の波長で感光する第二の感光性化合物を含む
パターン形成方法。 - 前記第一の波長が200~400nmである、請求項1に記載のパターン形成方法。
- 前記第二の波長が300~500nmである、請求項1又は2に記載のパターン形成方法。
- 前記第一の波長を有する光、及び、前記第二の波長を有する光のいずれもがレーザー光である、請求項1~3のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記現像工程において用いられる現像液が、有機溶剤を含む現像液である、請求項1~4のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記現像工程における現像が、ネガ型現像である、請求項1~5のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記露光工程において用いられる前記感光膜の膜厚が、5~50μmである、請求項1~6のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記第一領域の全面積に対する、前記第一領域と前記第二領域の重複部分の面積の割合が、80%以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記樹脂がポリイミド前駆体である、請求項1~8のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記感光性樹脂組成物が、増感剤を更に含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 請求項1~10のいずれか1項に記載のパターン形成方法を含む、積層体の製造方法。
- 請求項1~10のいずれか1項に記載のパターン形成方法、又は、請求項12に記載の積層体の製造方法を含む、電子デバイスの製造方法。
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